説明

食品ソース製造法

新鮮果実懸濁液を有する食品ソースを製造する方法。本発明により開示される方法は、種々の加工工程および成分の添加により低メトキシルペクチンのプレゲルを操作することを含む。その最終製品から、独特な質感と口当たりの新鮮果実風味を有するソースができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品ソース中に食品粒子を懸濁する方法、特に、ソース中に果実片を新鮮な果実の見た目を保ったまま懸濁する方法に関する。この方法は、パルプ状、粒状、糸状、またはビーズ状質感の半流動性マトリックスを有する食品の製造にも用い得る。この方法は、種々の化学物質および物理的反応を制御して低メトキシルペクチンプレゲルを操作することを含む。
【背景技術】
【0002】
調理済果実懸濁液を含むソースは従来技術によく見られる。これらのソースには、種々のジャムおよびゼリー配合物や、アップルソースなどの他の調理済果実ソース、および懸濁液中に果実片が入っている他の食品が含まれる。通常、果実とゲル化剤は、果実片を混合物中に導入する前にプレゲルが形成されないように高温で混合される。混合物全体が冷めるにつれ、ゲル化剤は調理済食品粒子の懸濁媒体となり始める。最終製品が完全に混ざる前にゲル化剤がゲル化することは、そのような早期ゲル化(またはプレゲル)が、最終製品に、滑らかな質感とは対照的に、つぶつぶのある質感をもたらすので、当業では望ましくないと考えられている。
【0003】
ペクチンは食品のゲル化剤として頻繁に用いられている。ペクチンはメチルエステル化ポリガラクツロン酸であり、一般に、高メトキシルペクチンまたは低メトキシルペクチンという2つのカテゴリーに分類される。ペクチンは直鎖状に結合した一連の300〜1,000環のガラクツロン酸を含む長鎖分子である。これらのガラクツロン酸単位の一部はメチルエステル型であるが、他の単位は酸型である。全単位に対するメチルエステル型単位の割合は、メトキシル化度またはエステル化度で表され、これらの用語は、通常、それぞれ「DM」または「DE」と略される。DEが50%以上のペクチンは高メトキシルペクチンとみなされ、DEが50%以下のペクチンは低メトキシルペクチンとみなされる。これら2つのタイプのペクチンは異なるゲル化特性を有し、それゆえ、通常、異なる用途に用いられる。例えば、低メトキシルペクチンは、果実に含まれるカルシウムイオンなどの二価イオンの存在下でゲル化を起こしやすい。反対に、高メトキシルペクチンは、カルシウムなどの二価イオンの存在下ではゲル化しない。
【0004】
低メトキシルペクチンは、カルシウムとゲル化反応するために、従来技術において果実懸濁液用のゲル化剤としては避けられている。例えば、「Stabilized Fruit Suspensions
and Method for Preparing the Same」と題されるレイポルド(Leipold)に付与された特許文献1(’354特許)で言及されているように、「ゲル化剤として「低メトキシルペクチン」を用いると、低メトキシルペクチンがカルシウム感受性であり、カルシウムの存在下に所望の程度より硬いゲルを形成する傾向があることに起因するいくつかの問題が生じる。1つの問題は、すべての果実がカルシウムを含有していることである。」(第1欄、27〜31行)。さらに’354特許で言及されているように、この問題は、ペクチンと反応し得る量を超えた過剰なカルシウムを添加することによって克服することができる。これは、懸濁する果実を加える前にペクチンが添加カルシウムと完全に反応するようにペクチンを高温に維持しながら行う。次いで、プレゲルの形成を回避するために、最終混合物をさらに加熱してからゆっくり冷却する。
【0005】
しかし、高メトキシルペクチンはゲル化条件として3.5以下のpHおよび高固体を必要とするので、多くの場合、ゲル化剤としては高メトキシルペクチンより低メトキシルペクチンの方が望ましい。通常、低メトキシルペクチンは、低〜中固体食品において1.0〜7.0以上のpH範囲でゲルを形成し得る。それにもかかわらず、’354特許を含め
むすべての従来技術は、低メトキシルペクチンと果実との混合はプレゲルを回避するために高温下で行わなければならないと教示している。
【0006】
ゼリー、ジャム、および他の従来技術による果実懸濁液やソースなどの調理済果実の味および質感ではなく、新鮮な果実の味および質感を有する食品ソースを製造することが望ましい場合には種々の問題が生じる。従来技術は、低メトキシルペクチンが好ましいゲル化剤であると教示している。しかし、従来技術はさらに、プレゲルによって大きな塊ができるのを避けるために、食品ソースの製造中、低メトキシルペクチンを、高温、例えば、約65.6℃(150°F)より高い温度に維持する必要があると教示している。この高温では、果実がその場で加熱調理されてしまい、新鮮な果実ソースまたは懸濁液の見栄えを損ねる。
【特許文献1】米国特許第4,370,354号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、新鮮果実の口当たりと味を与える非加熱調理の果実懸濁液を含む食品ソースを製造する1つ以上の方法を開発することが望ましいであろう。理想的には、そのような方法は、最終製品の見栄えを高めるために低メトキシルペクチンのプレゲルを制御しながら、低メトキシルペクチンを一次ゲル化剤として使用することを可能にしなければならない。さらに、この方法は、従来の食品技術装置によって実施し易く、かつ望ましい食品の見栄えをもたらす経済的な方法を提供しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、食品ソースまたは果実懸濁液の製造に関わる様々な単位操作工程における低メトキシルペクチンの操作を含む。本明細書において、用語「ソース」は、粒子または他の食料品を囲むか覆い得る、滑らかなものから粗いものまで含む質感を有する、流動性、半流動性、または柔軟性固体マトリックス食品を広く表現するものとする。それらの例としては、マリナラソース、ケチャップ、マヨネーズ、カスタード、サラダドレッシング(ビネガーまたは乳製品ベース)、グレービー、オランデーズソース、ホースラディッシュソース、サルサ、チャツネ、フルーツまたはベジタブルバター、コンポート、ピックルレリッシュ、アップルソース、チョコレートソース、ジャム、ゼリー、プディング、およびゲル化ゼラチンデザートが含まれるが、それらには限定されない。
【0009】
低メトキシルペクチンは、プレゲルの形成を制御すると共に、果実や他の粒子を長時間高温に暴露することなく、製品混合物に添加し得るように、処理される。その成果が、独特な味、質感、および口当たりを与える新鮮果実または他の粒子懸濁液である。本発明は、従来の食品技術装置を用いて実施し易く、かつ望ましい独特な食品の見栄えを実現する経済的な方法を提供する。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、低メトキシルペクチンは、高せん断ミキサーを使って温水に水和される。得られたペクチン水溶液にガムまたは許容可能な増粘剤を加える。次いで、この混合物を、濃縮ジュース、ピューレおよびカルシウム溶液と混合し、その後加熱する。次いでこの混合物に冷凍果実を加えて混合物を冷却すると共に果実を解凍する。最後に、風味用添加物または保存料などの任意の他の成分を添加する。
【0011】
この方法は、あらゆる果実または食品粒子懸濁液に適応し、最終製品の望ましい質感、味、および口当たりが得られるように調節することができる。処理されたペクチンは、製品に独特なパルプ状または粒状の外観を与え、消費者の口中で溶ける。この方法は、利用可能な装置および所望の製造パラメータに応じて、バッチプロセスでも、半連続プロセスでも、連続プロセスでも実施され得る。本発明は、加工中に果実を調理することなく低メ
トキシルペクチンを使うことはできないと教示する従来技術より優れた実質的な改良である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に特有であると考えられる新規な特徴は添付の特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、本発明自体、並びにその好ましい使用法、さらなる目的および利点は、以下の例示的実施形態の詳細な説明を添付図面と併せて読めば最もよく分るであろう。
【0013】
図1は本発明の1つの実施形態の方法工程の図式である。この方法工程は、大きく2つの単位操作A、Bに分けられる。記載実施形態において、第1単位操作Aは、高せん断ミキサー、例えば、米国ミズーリ州、MO64111、カンザスシティー所在のアメリカン・イングリーディエンツ社(American Ingredients Co.)、ブレッド・リクウィフィアー・ディビジョン(Breddo Likwifier Division)で製造されたLDT−100高せん断ミキサーで行われる。第2単位操作Bは、傾斜攪拌器(inclined agitator)を備えたジャケット付バッチ反応器(jacketed batch kettle)、例えば、米国ペンシルベニア州、PA16866、フィリップスバーク(Philipsburg)所在のリー・インダストリーズ社(Lee Industries,Inc.)のプロセス・システムズ&エクイップメント・ディビジョン(Process Systems & Equipment,Division)で製造された約757.1リットル(200ガロン)容量の強力「D9MSI」反応器で行われる。本発明をバッチ操作に関連して以下に説明するが、当業者は連続または半連続プロセスを実施するためにインラインブレンド工程を用いて本発明を実践することも可能であると理解すべきである。
【0014】
第1単位操作に戻ると、このプロセスは、高せん断ミキサーに、好ましくは約4〜約93℃(40〜200°F)、より好ましくは約60〜約77℃(140〜170°F)の温水を加えることによって開始し、次いで第1攪拌工程10を行う。この第1攪拌工程10で、温水は高せん断速度の条件下で攪拌される。このプロセスの次の工程は、第1攪拌工程10で生じた渦に低メトキシルペクチンをゆっくりと添加する混合工程20を含む。混合工程20中に添加される好ましいペクチンは、中程度のカルシウム反応性を有する低メトキシルペクチン、例えば、米国デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington)所在のシーピーケルコ社(C P Kelco)製のGENU LM ペクチンである。この段階における好ましいペクチン:温水比は1:25〜1:40である。次いで、混合工程20で、ペクチンと温水とを、ペクチンが実質的に水和するまで混合する。混合工程20では、ペクチンの溶液への均一な分散を促進するために、高せん断ミキサーを用いる。水温を上昇させることも、ペクチンの溶液化プロセスを加速する。この装置および上述の好ましいプロセスパラメータを前提として、この工程は、通常、次の混合工程30に移行するまで少なくとも1分間を要する。
【0015】
1つの好ましい実施形態では、その後、第2混合工程30で、キサンタンまたは類似のガムなどの増粘剤を加える。本発明では任意選択であるこの増粘剤の目的は、ペクチンがゲル化する前に混合物中の果実粒子の懸濁を促進することである。他の許容可能なガムまたは増粘剤としては、所望の最終製品に応じて、スターチ、プロテイン、グアーガム、ローカストビーンガム、コンニャク、カラゲーナン、アラビアガム、寒天、およびカルボキシメチルセルロースがあり得る。1つの好ましい実施形態で用いられるキサンタンは、米国デラウェア州、ウィルミントン所在のシーピーケルコ社製のKeltrol(登録商標)キタンサンガムまたはKeltrol(登録商標)Tキタンサンガムである。キサンタンとペクチンの比率は、最終製品の所望特性や、浮遊状態に維持される果実の組成および性質に依存する。しかし、好ましい実施形態のピーチ、ミックスベリー、アップルおよびペアーソースは、約1:4〜約1:7、より好ましくは約1:5〜約1.6のキサンタン
:ペクチン重量比を利用する。増粘剤は、ペクチンおよび水溶液と、好ましくは30秒〜2分間、または混合物中に増粘剤がほぼ完全に分散されるのに十分な時間混合する。第1単位操作時の全混合時間は、成分を過度にせん断することなくペクチンと増粘剤を分散させるのに必要な時間であることが重要である。
【0016】
次に第2単位操作Bでは、ジャケット付反応器に、好ましい実施形態では濃縮ジュース、果実ピューレおよびカルシウム溶液からなる液体画分(liquid fraction)を加える。液体画分のカルシウム量は、好ましくはペクチン溶液中ペクチン1グラム当たりカルシウム20〜100グラムの範囲であり、ペクチンのエステル化度および所望のプレゲル度に依存する。次いで、この液体画分を攪拌工程40で完全に混合する。1つの好ましい実施形態において、攪拌工程40は、混合物を、混合物中の熱伝達および種々の成分すべてのブレンディングの促進に十分な程度にゆっくり攪拌することを含む。
【0017】
プレゲルの形成は、ペクチン添加速度および反応器攪拌速度のプロセスパラメータを変えることによって操作することができる。例えば、超低速攪拌および高速添加で形成されたプレゲルは大型のプレゲルを生成するのに対し、高速攪拌および低速添加は小型プレゲルを生成する。プレゲルの形成に影響を与える他の要素は、ペクチンの反応性、カルシウムの濃度、および両溶液の温度である。好ましい実施形態では、約7.6Lpm(2gpm)のペクチン添加速度と、14〜18rpmの初期反応器攪拌速度を用いる。反応器内の量が増大するにつれ、跳ね返りを最小限にするために、攪拌を20〜25rpmに加速する。添加速度(ガロン):攪拌速度(rpm)の比は、好ましくは1:5未満、より好ましくは1:5〜1:15、最も好ましくは約1:10であろう。
【0018】
次いで、液体画分を、攪拌工程40でブレンドした後、加熱工程50で加熱する。加熱工程50では、反応器内のいずれの液体画分も焦げ(burn−on)ないように加熱することが重要である。約760リットル(200ガロン)容量の反応器を用いる上述の反応器では、液体画分バッチは約152リットル(40ガロン)程度であることが好ましい。このバッチ量は、反応器内の液体画分のレベルを蒸気ジャケットより下に維持する。液体レベルを蒸気ジャケットより下に維持することにより、焦げをより容易に回避することができる。加熱工程50では、液体画分を、ペクチンのゲル化温度〔通常、約60〜約65.6℃(140〜150°F)〕より高いが、液体画分の好ましくない加熱調理(cooking)または焦げ(burning)を引き起こすほど高くはない温度に加熱する。上述の好ましい実施形態において、20〜30分の穏やかな加熱工程50後に得られる温度は、約71.1℃(約160°F)である。
【0019】
所望の温度に達したら、蒸気を止め、液体画分を強攪拌工程60にかける。この強攪拌工程60の混合速度は、例えば12〜30rpmであるが、特定の使用攪拌器固有の速度である。
【0020】
次いで、混合工程70で、ジャケット付反応器内の液体画分に上述のペクチン溶液を加える。この混合工程70の持続時間は比較的短く、攪拌速度、添加速度およびバッチサイズによって決まる。本明細書に記載の実施例実施態様を用いる場合、混合工程70は、持続時間が30秒〜5分であり、(第2混合工程80に進む前に)溶液が砂状または粒状の外観を有して均質に見えるようになるまでしか続けてはならない。溶液のこの特徴が達成されたら、第2混合工程80で冷凍果実を加える。冷凍果実は、混合物の冷却と果実の加熱調理の回避という二重の機能を果たすために、第2混合工程80で添加物として用いられる。この潜熱は、混合物を冷却する一方で果実を解凍するが、果実をさらに加熱調理するほどであってはならない。
【0021】
風味料または保存料などの付加的な微量成分は、最終混合工程90で添加してもよいし
、その前の混合工程80で冷凍果実の添加と同時に添加してもよい。記載の実施形態において、混合物は、第2混合工程80で冷凍果実を添加してから5〜45分後に、約10〜約15.6℃(50〜60°F)の最終温度に達する。所望の最終温度に達するにはさらなる加熱を必要とし得る。次いで、製品を包装して冷凍保存してもよいし、あるいは包装する前にさらに加工してもよい。
【0022】
次いで、図1に関連して上述したプロセスパラメータを用いて、独特な味と口当たりを有する新鮮果実の懸濁液を有するソースをもたらす数種の特定配合物を開発した。好ましい実施形態の第1実施例を以下の表1に示すが、表中、ピーチ懸濁液の成分は重量パーセントで表されている。
【0023】
【表1】

【0024】
このピーチ懸濁液からは、わずかに酸味のある新鮮ピーチ風味のソースができる。このソースの色は大体橙色〜黄色であり、このソースは、独特な口当たりを有し、新鮮な果実そのものという印象を与える。
【0025】
本発明のミックスベリーの実施形態の成分を以下の表2に記載する。
【0026】
【表2】

【0027】
このミックスベリーの実施形態からは赤色〜紫色のソースができる。このミックスベリー実施形態の風味は、わずかに酸味のある、ラズベリーとブラックベリーとの組合わせである。
【0028】
本発明のペアー(洋ナシ)の実施形態の成分を以下の表3に詳述する。
【0029】
【表3】

【0030】
このペアー実施形態からは、明るいベージュ色を有するわずかに酸味のある新鮮なペアー風味のソースができる。
【0031】
本発明のアップルの実施形態の成分を以下の表4に示す。
【0032】
【表4】

【0033】
本発明のアップルの実施形態からは、明るいベージュ色を有するわずかに酸味のある新鮮なアップル風味のソースができる。
上記の表1〜表4は、本発明の1つの好ましい実施形態の特定の実施例を列挙している。しかし、それらの特定の成分はそれぞれ、本発明の加工工程および目的を達成するために、調整されるか、または適当に置き換えられる。例えば、以下の表5は、本明細書に記載の好ましい実施形態の加工工程に従って食品ソースまたは食品懸濁液を製造するために許容可能であると判明した製品の範囲を規定している。
【0034】
【表5】

【0035】
本発明を特定のパラメータまたは加工工程に関連して詳細に表示かつ説明したが、これらのパラメータは果実懸濁液または食品ソースの最終特性を調整するために調節し得るものと理解すべきである。さらに、特定の果実添加物を用いて好ましい実施形態を説明したが、本発明は、多くの果実混合物、例えば、ピーチ、ストロベリー、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ペアー(洋ナシ)、グレープ、アップル、パイナップル、アプリコット、マンゴー、チェリー、キウイ、バナナおよびパパイヤなどの単独または組み合わせ果実混合物に適用可能であるものと理解すべきである。本発明は、添
加される果実が比較的短時間しか高温に暴露されないので新鮮な果実の懸濁液に有益ではあるが、本発明は、調理済果実片または粒子の懸濁にも用いることができる。実際、添加される果実は、本発明の教示に一致する添加前において、新鮮(生)、冷凍、缶詰、または任意の状態であってよい。例えば、野菜、肉および穀物などの非果実食品ソースおよび懸濁液も本発明を用いて製造され得る。実際には、本発明は、任意の形状およびサイズの食品粒子の懸濁を必要とするどのような食品の加工に用いられ得る。本明細書に記載の種々のプロセス工程および成分を操作することにより、非常に微妙なものから顕著なものまでを含むパルプ状、粒状、またはビーズ状と称し得る質感を有する半流動性マトリックスを有する食品を加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の好ましい実施形態の方法工程の略フローチャート。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品ソースを製造する方法であって、
(a) 低メトキシルペクチンを水溶液に水和させる工程と、
(b) そのペクチン水溶液に増粘剤を混合する工程と、
(c) 前記工程(b)の水溶液を液体画分と混合する工程であって、前記液体画分はカルシウムを含有する工程と、
(d) 工程(c)で得た混合物に果実成分を添加する工程と
を含む方法。
【請求項2】
工程(a)の水溶液を、約60〜約77℃(140〜170°F)の温度に維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)の増粘剤がキサンタンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(b)の液体画分が、前記工程(b)の水溶液と混合する前には約71.1℃(約160°F)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)の液体画分がさらに濃縮ジュースを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)の液体画分がさらに果実ピューレを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
混合工程(c)は、溶液中ペクチンのゲル化温度より高い温度で行われ、かつ形成された混合物が均一な砂状または粒状の外観を得るまで継続する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(d)の果実の添加が、前記混合物の温度を、新鮮な果実の加熱調理が起こるであろう温度より低い温度まで低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
(e) 工程(d)で得た混合物に付加的な微量成分を添加する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(d)で添加する果実が冷凍果実を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(d)で添加する冷凍果実が、ピーチ、ストロベリー、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ペアー、グレープ、アップル、パイナップル、アプリコット、マンゴー、チェリー、キウイ、バナナおよびパパイヤを含む冷凍果実のうちから選択される少なくとも1種の冷凍果実成分を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1の方法で製造された食品ソース。
【請求項13】
食品ソースを製造する方法であって、
(a) 低メトキシペクチンを水溶液に水和させる工程と、
(b) そのペクチン水溶液に増粘剤を混合する工程と、
(c) 前記工程(b)の水溶液を液体画分と混合する工程であって、前記液体画分はカルシウムを含む工程と、
(d) 工程(c)で得た混合物に複数の食品片を添加する工程であって、前記食品片の前記添加は混合物の温度を低下させる工程と
を含む方法。
【請求項14】
工程(d)で添加する食品片が果実を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記果実が冷凍果実を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(d)における食品片の添加が、混合物の温度を、前記食品片の加熱調理が起こるであろう温度より低い温度まで低下させる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法で製造された食品ソース。
【請求項18】
食品ソースであって、
(a) 低メトキシペクチンを水溶液に水和させる工程と、
(b) そのペクチン水溶液に増粘剤を混合する工程と、
(c) 前記工程(b)の水溶液を液体画分と混合する工程であって、前記液体画分はカルシウムを含む工程と、
(d) 工程(c)で得た混合物に果実成分を添加する工程であって、果実成分は、混合物中、果実成分の加熱調理が起こるであろう温度より低い温度に維持される工程とを含む方法によって製造された食品ソース。
【請求項19】
工程(d)で添加する果実成分が、ピーチ、ストロベリー、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ペアー、グレープ、アップル、パイナップル、アプリコット、マンゴー、チェリー、キウイ、バナナおよびパパイヤを含む冷凍果実のうちから選択される少なくとも1種の冷凍果実成分を含む、請求項18に記載の食品ソース。
【請求項20】
食品ソースを製造する方法であって、
(a) 低メトキシペクチンを水溶液に水和させる工程、
(b) 前記工程(a)のペクチン水溶液を液体画分と混合する工程であって、前記液体画分は、前記ペクチン水溶液中のペクチン1グラム当たり、20〜100グラムの範囲のカルシウムを含む工程と、
(c) 工程(b)で得た混合物に果実成分を添加する工程と
を含む方法。
【請求項21】
工程(a)のペクチン水溶液を約60〜約77℃(140〜170°F)の温度に維持する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
混合工程(b)の前に、増粘剤を水和ペクチンと混合する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
増粘剤がキサンタンを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
増粘剤:ペクチンの比が約1:4〜約1:7である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
工程(b)の液体画分がさらに濃縮ジュースを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
工程(b)の液体画分がさらに果実片を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
混合工程(b)は、溶液中ペクチンのゲル化温度より高い温度で行われ、形成された混合物が均一な砂状または粒状の外観を得るまで継続する、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
工程(c)の果実の添加が、混合物の温度を、新鮮な果実の加熱調理が起こるであろう温度より低い温度まで低下させる、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
工程(c)で添加する果実が冷凍果実を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
工程(c)で添加する冷凍果実が、ピーチ、ストロベリー、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ペアー、グレープ、アップル、パイナップル、アプリコット、マンゴー、チェリー、キウイ、バナナおよびパパイヤを含む冷凍果実のうちから選択される少なくとも1種の冷凍果実成分を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ペクチン水溶液を液体画分に、1:5〜1:15のペクチン水溶液(ガロン)添加速度:混合攪拌速度(rpm)比で添加する、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
請求項20の方法で製造された食品ソース。
【請求項33】
食品ソースを製造する方法であって、
(a) 低メトキシペクチンを水溶液に水和させる工程と、
(b) 前記工程(a)の水溶液を液体画分と、液体画分に対する水溶液の制御された混合速度および添加速度で混合する工程であって、前記液体画分はカルシウムを含む工程と、
(c) 工程(b)で得た混合物に複数の食品片を添加する工程であって、前記食品片の添加は混合物の温度を低下させる工程と
を含む方法。
【請求項34】
工程(c)で添加する食品片が果実を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記果実が冷凍果実を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
工程(c)における食品片の添加が、混合物の温度を、前記食品片の加熱調理が起こるであろう温度より低い温度まで低下させる、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
水溶液の液体画分への制御された混合および添加速度が、1:5〜1:15のペクチン水溶液(ガロン)添加速度:攪拌速度(rpm)比を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
請求項33に記載の方法で製造された食品ソース。

【公表番号】特表2007−535295(P2007−535295A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513105(P2006−513105)
【出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/011940
【国際公開番号】WO2004/091311
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(505387277)ウェルチ フーズ インコーポレイテッド,ア コーポレイティブ (1)
【氏名又は名称原語表記】WELCH FOODS INC.,A COOPERATIVE
【Fターム(参考)】