食品収納容器
【課題】食品類を自宅に持ち帰る際などに好適に用いることのできる簡便な食品収納容器を提供する。
【解決手段】防水性及び柔軟性を有して箱形に一体成型された内容器1と、内容器1を収容する外容器2とを備える。内容器1は、シリコーンゴム製であり、その相対する両側面部13に折目Lを有して偏平状に折り畳み可能とされる。又、外容器2は、内容器1を収容する形状を保持可能な剛性を有する外容器本体3と、外容器本体3の上端開口部3Aを塞ぐ上蓋4とを有する。
【解決手段】防水性及び柔軟性を有して箱形に一体成型された内容器1と、内容器1を収容する外容器2とを備える。内容器1は、シリコーンゴム製であり、その相対する両側面部13に折目Lを有して偏平状に折り畳み可能とされる。又、外容器2は、内容器1を収容する形状を保持可能な剛性を有する外容器本体3と、外容器本体3の上端開口部3Aを塞ぐ上蓋4とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品類を収納する容器に係わり、特に結婚披露宴などで提供された料理の食べ残しを持ち帰る際に用いて好適な食品収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品類を自宅に持ち帰る際などに用いられる食品容器として、合成樹脂製のシート体に複数条の折曲げ線を付与して箱形に組み立てられるようにしたものが知られる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3148783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される折り畳み式携帯用食品容器のように、合成樹脂製のシート体に複数条の折曲げ線を付与して箱形に組み立てられるようにしたものでは、そのシート体を箱形に組み立てることも、その箱を折り畳むことも容易でなく、その組立、折り畳みに時間を要して使い勝手が悪いという欠点がある。
【0005】
又、その種の容器は、箱形のままでは隅々まで綺麗に洗浄することができず、シート状に展開した場合には全体を綺麗に洗浄することはできても、全体が大きく広がるために洗浄作業を行い難い。
【0006】
更に、シート体を箱形に組み立てたものでは高い強度を得難く、食品類を持ち帰る際に箱形に組み立てられた容器が外力を受けて潰れてしまうことが懸念される。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その主たる目的は食品類を自宅に持ち帰る際などに好適に用いることのできる簡便な食品収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る食品収納容器は、防水性及び柔軟性を有して箱形に一体成型された内容器と、その内容器を収容する外容器とを備え、前記内容器は相対する両側面部に折目を有して偏平状に折り畳み可能とされ、前記外容器は、内容器を収容する形状を保持可能な剛性を有する外容器本体と、その外容器本体の上端開口部を塞ぐ上蓋とを有することを特徴とする。
【0009】
加えて、前記折目は、内容器の相対する両側面部における下縁部の両端と当該下縁部に対向する上縁部とを結ぶ第1折目と第2折目から成り、その第1折目と第2折目は前記下縁部と上縁部との中心を結ぶ線上で交差し、その交点が前記下縁部よりも上縁部寄りに位置していることを特徴とする。
【0010】
又、前記内容器の上縁部に、外容器本体と上蓋との間に挟まれる鍔部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
又、前記内容器がシリコーンゴム製であること、ならびに前記内容器に抗菌物質が含有もしくは塗工されていることを特徴とする。
【0012】
更に、前記外容器本体は、方形状の底板部と該底板部の各端縁に可撓性のヒンジ片を介して連結される4つの側壁部とを有し、その各側壁部を前記底板部上に倒伏して偏平状に折り畳んだ状態から各側壁部を起立せしめて隣り合う端縁同士を結合してなる箱形に組立可能とされていることを特徴とする。又、前記外容器本体及び上蓋に巻き掛ける結束バンドを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る食品収納容器によれば、柔軟性を有する内容器と、これを収容する形状を保持可能な剛性を有する外容器とを備えることから、内容器に詰めた食品類を外力から保護することができ、しかも内容器が防水性及び柔軟性を有して箱形に一体成型されていることから、高含水量の食品類を収納して水漏れせず、使用後には表裏反転して隅々まで綺麗に洗浄し、衛生を保って繰返し利用することができる。又、内容器は相対する両側面部に折目を有して偏平状に折り畳み可能とされているので、ハンドバッグ内などに入れて嵩張らず、外出先に携行して邪魔にならない。
【0014】
特に、折目は内容器の相対する両側面部における下縁部の両端と当該下縁部に対向する上縁部とを結ぶ第1折目と第2折目から成り、その第1折目と第2折目が上記下縁部と上縁部との中心を結ぶ線上で交差し、その交点が上記下縁部よりも上縁部寄りに位置していることから、その折目に従って内容器を偏平状に保ち得る態様に容易に折り畳むことができる。
【0015】
又、内容器の上縁部には、外容器本体と上蓋との間に挟まれる鍔部が形成されているので、外容器内での内容器の遊動を防止して内容器から食品類が零れ出すことを抑えることができる。
【0016】
更に、内容器がシリコーンゴム製であることから耐久性があり、食品衛生上好ましく、しかも抗菌物質が含有もしくは塗工されているので、食中毒の発生を抑制することができる。
【0017】
加えて、外容器本体は、偏平状に折り畳んだ状態から箱形に組立可能とされているので、外出先に携行する際に偏平状に折り畳んで邪魔にならず、しかも外容器本体及び上蓋に巻き掛ける結束バンドを備えていることから、外出先から食品類を持ち帰る際などに上蓋が不用意に開放してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る食品収納容器を示す斜視分解図
【図2】内容器の側面図
【図3】内容器を部分的に破断して示した拡大図
【図4】偏平状に折り畳んだ内容器を示す平面図
【図5】偏平状に折り畳んだ内容器を示す斜視図
【図6】内容器の畳み方を示す説明図
【図7】内容器を収容した外容器の断面図
【図8】外容器本体を示す展開図
【図9】外容器本体の部分拡大断面図
【図10】偏平状に折り畳んだ外容器本体を示す平面図
【図11】偏平状に折り畳んだ外容器本体を上蓋内に嵌め込んだ状態を示す説明図
【図12】本発明に係る食品収納容器の使用態様を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。先ず、図1において、1は防水性及び柔軟性を有する内容器、2は内容器1よりも硬質の外容器である。
【0020】
本例において、内容器1は0.5〜1mmの肉厚を有するシリコーンゴム製であり、これには抗菌物質として全重量当たり1〜5重量%の銀が含有されている。尚、内容器1は抗菌物質を混合したシリコーンゴム原料を図示せぬ金型に入れて成型後、その成型品を90℃程度でアニーリングして製造されるもので、その硬度(JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータ硬度)は60〜70である。又、内容器1は、長方形状の底面部11とその周縁に連なる4つの側面部12,13とを有する箱形に一体成型されている。特に、底面部11の長辺側に連なる両側面部12には、その各上縁部12aにおいて帯状の鍔部14が形成され、他の相対する両側面部13には同一の折目Lが形成されている。
【0021】
図2から明らかなように、折目Lは側面部13の下縁部13bの両端と当該下縁部13bに対向する上縁部13aとを結ぶ第1折目L1と第2折目L2とから成る。その第1折目L1と第2折目L2は、下縁部13bと上縁部13aとの中心を結ぶ線C上で交差し、その交点Pが下縁部13bよりも上縁部13a寄りに位置している。又、図3から明らかなように、第1折目L1と第2折目L2は、側面部13の内側面をV字状に凹ませて成る。尚、本例において、側面部13の肉厚は0.52mm、第1折目L1と第2折目L2の深さは0.21mmとされている。
【0022】
そして、上記のような内容器1によれば、図1のような箱形に一体成型されながら、必要に応じて図4及び図5に示されるような偏平状に折り畳むことができ、この状態ではハンドバッグなどに入れて嵩張らず、外出先に携行して邪魔にならない。ここに、箱形の内容器1を図4及び図5に示されるような偏平状に折り畳むには、図6に示すように両側面部13を内側に強制的に押し込み、相対する側面部12の一方(図6の右側)と両側面部13との間に形成されるギャップGに対し、他方の側面部12(図6の左側)と両側面部13との稜角部Kを差し込むようにする。これによれば、折目Lに従って三角形状に折り畳まれる両側面部13と一方の側面部12との間に、他方の側面部12の上縁部12a側が折り込まれるため、偏平状にした内容器1が不用意に広がって箱形に復元してしまうことがなく、しかも使用に際して両側面部13と一方の側面部12との間から他方の側面部12の上縁部12a側を強制的に引き抜くだけで極簡単に箱形にすることができる。又、第1折目L1と第2折目L2が上記の如く側面部13の下縁部13bと上縁部13aとの中心を結ぶ線C上で交差されるために、内容器1を箱形にした場合、折目Lをもつ両側面部13が図6のように内側に鋭角状に折れ曲がって上端開口部1Aが自然に閉じられてしまうことが防止される。このため、上端開口部1Aが大きく広げられた状態のまま、内容器1内に食品類を容易に入れることができる。
【0023】
尚、シリコーンゴム製にして箱形に一体成型される内容器1では、高含水量の食品類を収納して水漏れせず、耐油性や耐熱性にも優れるので、天ぷらなどを高温状態のまま収納しても劣化、塑性変形することがなく、しかも冬期などにおいては収納食品類の保温効果も得られる。又、食品類を取り出した内容器1は表裏反転して隅々まで綺麗に洗浄し、繰返して利用することができる。
【0024】
次に、外容器2について言及すれば、係る外容器2は、図1に示すように、内容器1を収容する外容器本体3と、外容器本体3の上端開口部3Aを塞ぐ上蓋4とにより構成される。外容器本体3及び上蓋4は、いずれも合成樹脂(本例においてポリプロピレン)製であり、射出成型などにより別々に形成されている。特に、外容器本体3は、長方形状の底板部31と4つの側壁部32,33とを有する横長の箱形で、その箱形状を保持可能な剛性を有している。
【0025】
一方、上蓋4は平面部41の周縁に縁枠部42を有する断面凹字形の形態であり、その縁枠部42の内側には図7のように外容器本体3の上端部を嵌め込み可能とされている。尚、図7から明らかなように、内容器1は、外容器本体3とその上端開口部3Aを塞ぐ上蓋4との間に鍔部14を挟み込むことにより、外容器本体3内に掛子状にして収容され、これにより外容器2内での内容器1の遊動が防止されるようになっている。又、図1及び図7において、5は内容器1に入れた食品類の上に敷かれる抗菌シートである。この抗菌シート5は、セルロースのシートを基材にして、これにワサビ及び辛子の粉末を含有せしめたもので、カビや腐敗菌に対して静菌作用を有し、食中毒を抑制する効果を発揮する。
【0026】
ここに、外容器本体3は、図8に示されるように平面状に展開することもできる。図8から明らかなように、外容器本体3を構成する底板部31と各側壁部32,33はヒンジ片34を介して連結されている。ヒンジ片34は可撓性を有する合成樹脂の薄片であり、これにより底板部31に対する各側壁部32,33の屈曲が可能とされている。又、図8及び図9に示されるように、外容器本体3の相対する側壁部33は、各々その両端縁に凸条33aを有する凹字状の形態とされている。凸条33aにはその長手方向に沿って溝部33bが形成され、溝部33b内には凹部33cが形成されている。又、他方の相対する側壁部32には、各々その両端縁に突片32aが形成され、その突片32aには凹部33c内に嵌合する凸部32bが形成されている。
【0027】
そして、係る外容器本体3によれば、突片32aを有する側壁部32を起立させ、次いで側壁部33を起立せしめて溝部33b内に突片32aを嵌め込むことにより、図1のような箱形にしてその箱形状を保持することができる。又、図8の状態において、底板部31上に側壁部32を倒伏して折り重ね、更にその上に側壁部33を倒伏して折り重ねることにより、図10に示されるような偏平状に折り畳むことができる。特に、偏平状に折り畳まれた外容器本体3は、図10及び図11のように上蓋4の縁枠部42内に嵌め込めるようになっており、この状態では内容器1と同じくハンドバッグなどに入れて嵩張らず、外出先に携行して邪魔にならない。
【0028】
次に、図12は本発明に係る食品収納容器の使用態様を示す。この図で明らかなように、係る食品収納容器は、以上のような内容器1及び外容器2のほか、外容器本体3と上蓋4との外周に巻き掛ける結束バンド6、ならびに外容器2を収容する手提げ袋7を備える。
【0029】
結束バンド6は、ゴム状弾性を有する伸縮自在な環状であり、これによれば食品の持ち運びに際して上蓋4が不用意に開放してしまうことを防止することができる。一方、手提げ袋7は、合成樹脂フィルムなどから形成される袋本体71と、その口を閉じる紐72とから成る巾着式であり、これによれば食品類の持ち運びに際して食品臭が周囲に拡散するのを防止し、しかも外容器が天地逆にならぬようにして持ち運ぶことが可能になる。
【0030】
以上、本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明したが、内容器はシリコーンゴム製であることに限らず、その他のエラストマ(合成ゴム、天然ゴム、再生ゴム、あるいはアクリル系樹脂など)、軟質合成樹脂、合成皮革などでもよく、要は防水性及び柔軟性を有して箱形に一体成型されていればよい。
【0031】
又、内容器1の鍔部14は、側面部12の上縁部12aに形成することに限らず、側面部13の上縁部13aに形成しても良い。但し、側面部13の上縁部13aでは内容器1を折り畳んだとき鍔部14が折れぬよう、これを第1折目L1と第2折目L2の間に形成することが好ましい。
【0032】
更に、抗菌物質は内容器1に含有せしめることに限らず、これをバインダに混合して内容器1の表面に塗工するようにしてもよいし、抗菌物質として銅その他の金属イオン、あるいは有機抗菌剤などを用いてもよい。尚、2重量%の銀を含有せしめたシリコーンゴム製内容器と、その種の抗菌物質による抗菌処理を施さないシリコーンゴム製内容器とに対し、試験細菌(2×105個)を接種して37℃で24時間保温したところ、前者は菌数が3.7×103まで減少し、後者は菌数4.5×107に増加した。
【符号の説明】
【0033】
1 内容器
11 底面部
12,13 側面部
12a,13a 上縁部
13b 下縁部
14 鍔部
L 折目
L1 第1折目
L2 第2折目
2 外容器
3 外容器本体
31 底板部
32,33 側壁部
34 ヒンジ片
4 上蓋
5 抗菌シート
6 結束バンド
7 手提げ袋
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品類を収納する容器に係わり、特に結婚披露宴などで提供された料理の食べ残しを持ち帰る際に用いて好適な食品収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品類を自宅に持ち帰る際などに用いられる食品容器として、合成樹脂製のシート体に複数条の折曲げ線を付与して箱形に組み立てられるようにしたものが知られる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3148783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される折り畳み式携帯用食品容器のように、合成樹脂製のシート体に複数条の折曲げ線を付与して箱形に組み立てられるようにしたものでは、そのシート体を箱形に組み立てることも、その箱を折り畳むことも容易でなく、その組立、折り畳みに時間を要して使い勝手が悪いという欠点がある。
【0005】
又、その種の容器は、箱形のままでは隅々まで綺麗に洗浄することができず、シート状に展開した場合には全体を綺麗に洗浄することはできても、全体が大きく広がるために洗浄作業を行い難い。
【0006】
更に、シート体を箱形に組み立てたものでは高い強度を得難く、食品類を持ち帰る際に箱形に組み立てられた容器が外力を受けて潰れてしまうことが懸念される。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その主たる目的は食品類を自宅に持ち帰る際などに好適に用いることのできる簡便な食品収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る食品収納容器は、防水性及び柔軟性を有して箱形に一体成型された内容器と、その内容器を収容する外容器とを備え、前記内容器は相対する両側面部に折目を有して偏平状に折り畳み可能とされ、前記外容器は、内容器を収容する形状を保持可能な剛性を有する外容器本体と、その外容器本体の上端開口部を塞ぐ上蓋とを有することを特徴とする。
【0009】
加えて、前記折目は、内容器の相対する両側面部における下縁部の両端と当該下縁部に対向する上縁部とを結ぶ第1折目と第2折目から成り、その第1折目と第2折目は前記下縁部と上縁部との中心を結ぶ線上で交差し、その交点が前記下縁部よりも上縁部寄りに位置していることを特徴とする。
【0010】
又、前記内容器の上縁部に、外容器本体と上蓋との間に挟まれる鍔部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
又、前記内容器がシリコーンゴム製であること、ならびに前記内容器に抗菌物質が含有もしくは塗工されていることを特徴とする。
【0012】
更に、前記外容器本体は、方形状の底板部と該底板部の各端縁に可撓性のヒンジ片を介して連結される4つの側壁部とを有し、その各側壁部を前記底板部上に倒伏して偏平状に折り畳んだ状態から各側壁部を起立せしめて隣り合う端縁同士を結合してなる箱形に組立可能とされていることを特徴とする。又、前記外容器本体及び上蓋に巻き掛ける結束バンドを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る食品収納容器によれば、柔軟性を有する内容器と、これを収容する形状を保持可能な剛性を有する外容器とを備えることから、内容器に詰めた食品類を外力から保護することができ、しかも内容器が防水性及び柔軟性を有して箱形に一体成型されていることから、高含水量の食品類を収納して水漏れせず、使用後には表裏反転して隅々まで綺麗に洗浄し、衛生を保って繰返し利用することができる。又、内容器は相対する両側面部に折目を有して偏平状に折り畳み可能とされているので、ハンドバッグ内などに入れて嵩張らず、外出先に携行して邪魔にならない。
【0014】
特に、折目は内容器の相対する両側面部における下縁部の両端と当該下縁部に対向する上縁部とを結ぶ第1折目と第2折目から成り、その第1折目と第2折目が上記下縁部と上縁部との中心を結ぶ線上で交差し、その交点が上記下縁部よりも上縁部寄りに位置していることから、その折目に従って内容器を偏平状に保ち得る態様に容易に折り畳むことができる。
【0015】
又、内容器の上縁部には、外容器本体と上蓋との間に挟まれる鍔部が形成されているので、外容器内での内容器の遊動を防止して内容器から食品類が零れ出すことを抑えることができる。
【0016】
更に、内容器がシリコーンゴム製であることから耐久性があり、食品衛生上好ましく、しかも抗菌物質が含有もしくは塗工されているので、食中毒の発生を抑制することができる。
【0017】
加えて、外容器本体は、偏平状に折り畳んだ状態から箱形に組立可能とされているので、外出先に携行する際に偏平状に折り畳んで邪魔にならず、しかも外容器本体及び上蓋に巻き掛ける結束バンドを備えていることから、外出先から食品類を持ち帰る際などに上蓋が不用意に開放してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る食品収納容器を示す斜視分解図
【図2】内容器の側面図
【図3】内容器を部分的に破断して示した拡大図
【図4】偏平状に折り畳んだ内容器を示す平面図
【図5】偏平状に折り畳んだ内容器を示す斜視図
【図6】内容器の畳み方を示す説明図
【図7】内容器を収容した外容器の断面図
【図8】外容器本体を示す展開図
【図9】外容器本体の部分拡大断面図
【図10】偏平状に折り畳んだ外容器本体を示す平面図
【図11】偏平状に折り畳んだ外容器本体を上蓋内に嵌め込んだ状態を示す説明図
【図12】本発明に係る食品収納容器の使用態様を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。先ず、図1において、1は防水性及び柔軟性を有する内容器、2は内容器1よりも硬質の外容器である。
【0020】
本例において、内容器1は0.5〜1mmの肉厚を有するシリコーンゴム製であり、これには抗菌物質として全重量当たり1〜5重量%の銀が含有されている。尚、内容器1は抗菌物質を混合したシリコーンゴム原料を図示せぬ金型に入れて成型後、その成型品を90℃程度でアニーリングして製造されるもので、その硬度(JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータ硬度)は60〜70である。又、内容器1は、長方形状の底面部11とその周縁に連なる4つの側面部12,13とを有する箱形に一体成型されている。特に、底面部11の長辺側に連なる両側面部12には、その各上縁部12aにおいて帯状の鍔部14が形成され、他の相対する両側面部13には同一の折目Lが形成されている。
【0021】
図2から明らかなように、折目Lは側面部13の下縁部13bの両端と当該下縁部13bに対向する上縁部13aとを結ぶ第1折目L1と第2折目L2とから成る。その第1折目L1と第2折目L2は、下縁部13bと上縁部13aとの中心を結ぶ線C上で交差し、その交点Pが下縁部13bよりも上縁部13a寄りに位置している。又、図3から明らかなように、第1折目L1と第2折目L2は、側面部13の内側面をV字状に凹ませて成る。尚、本例において、側面部13の肉厚は0.52mm、第1折目L1と第2折目L2の深さは0.21mmとされている。
【0022】
そして、上記のような内容器1によれば、図1のような箱形に一体成型されながら、必要に応じて図4及び図5に示されるような偏平状に折り畳むことができ、この状態ではハンドバッグなどに入れて嵩張らず、外出先に携行して邪魔にならない。ここに、箱形の内容器1を図4及び図5に示されるような偏平状に折り畳むには、図6に示すように両側面部13を内側に強制的に押し込み、相対する側面部12の一方(図6の右側)と両側面部13との間に形成されるギャップGに対し、他方の側面部12(図6の左側)と両側面部13との稜角部Kを差し込むようにする。これによれば、折目Lに従って三角形状に折り畳まれる両側面部13と一方の側面部12との間に、他方の側面部12の上縁部12a側が折り込まれるため、偏平状にした内容器1が不用意に広がって箱形に復元してしまうことがなく、しかも使用に際して両側面部13と一方の側面部12との間から他方の側面部12の上縁部12a側を強制的に引き抜くだけで極簡単に箱形にすることができる。又、第1折目L1と第2折目L2が上記の如く側面部13の下縁部13bと上縁部13aとの中心を結ぶ線C上で交差されるために、内容器1を箱形にした場合、折目Lをもつ両側面部13が図6のように内側に鋭角状に折れ曲がって上端開口部1Aが自然に閉じられてしまうことが防止される。このため、上端開口部1Aが大きく広げられた状態のまま、内容器1内に食品類を容易に入れることができる。
【0023】
尚、シリコーンゴム製にして箱形に一体成型される内容器1では、高含水量の食品類を収納して水漏れせず、耐油性や耐熱性にも優れるので、天ぷらなどを高温状態のまま収納しても劣化、塑性変形することがなく、しかも冬期などにおいては収納食品類の保温効果も得られる。又、食品類を取り出した内容器1は表裏反転して隅々まで綺麗に洗浄し、繰返して利用することができる。
【0024】
次に、外容器2について言及すれば、係る外容器2は、図1に示すように、内容器1を収容する外容器本体3と、外容器本体3の上端開口部3Aを塞ぐ上蓋4とにより構成される。外容器本体3及び上蓋4は、いずれも合成樹脂(本例においてポリプロピレン)製であり、射出成型などにより別々に形成されている。特に、外容器本体3は、長方形状の底板部31と4つの側壁部32,33とを有する横長の箱形で、その箱形状を保持可能な剛性を有している。
【0025】
一方、上蓋4は平面部41の周縁に縁枠部42を有する断面凹字形の形態であり、その縁枠部42の内側には図7のように外容器本体3の上端部を嵌め込み可能とされている。尚、図7から明らかなように、内容器1は、外容器本体3とその上端開口部3Aを塞ぐ上蓋4との間に鍔部14を挟み込むことにより、外容器本体3内に掛子状にして収容され、これにより外容器2内での内容器1の遊動が防止されるようになっている。又、図1及び図7において、5は内容器1に入れた食品類の上に敷かれる抗菌シートである。この抗菌シート5は、セルロースのシートを基材にして、これにワサビ及び辛子の粉末を含有せしめたもので、カビや腐敗菌に対して静菌作用を有し、食中毒を抑制する効果を発揮する。
【0026】
ここに、外容器本体3は、図8に示されるように平面状に展開することもできる。図8から明らかなように、外容器本体3を構成する底板部31と各側壁部32,33はヒンジ片34を介して連結されている。ヒンジ片34は可撓性を有する合成樹脂の薄片であり、これにより底板部31に対する各側壁部32,33の屈曲が可能とされている。又、図8及び図9に示されるように、外容器本体3の相対する側壁部33は、各々その両端縁に凸条33aを有する凹字状の形態とされている。凸条33aにはその長手方向に沿って溝部33bが形成され、溝部33b内には凹部33cが形成されている。又、他方の相対する側壁部32には、各々その両端縁に突片32aが形成され、その突片32aには凹部33c内に嵌合する凸部32bが形成されている。
【0027】
そして、係る外容器本体3によれば、突片32aを有する側壁部32を起立させ、次いで側壁部33を起立せしめて溝部33b内に突片32aを嵌め込むことにより、図1のような箱形にしてその箱形状を保持することができる。又、図8の状態において、底板部31上に側壁部32を倒伏して折り重ね、更にその上に側壁部33を倒伏して折り重ねることにより、図10に示されるような偏平状に折り畳むことができる。特に、偏平状に折り畳まれた外容器本体3は、図10及び図11のように上蓋4の縁枠部42内に嵌め込めるようになっており、この状態では内容器1と同じくハンドバッグなどに入れて嵩張らず、外出先に携行して邪魔にならない。
【0028】
次に、図12は本発明に係る食品収納容器の使用態様を示す。この図で明らかなように、係る食品収納容器は、以上のような内容器1及び外容器2のほか、外容器本体3と上蓋4との外周に巻き掛ける結束バンド6、ならびに外容器2を収容する手提げ袋7を備える。
【0029】
結束バンド6は、ゴム状弾性を有する伸縮自在な環状であり、これによれば食品の持ち運びに際して上蓋4が不用意に開放してしまうことを防止することができる。一方、手提げ袋7は、合成樹脂フィルムなどから形成される袋本体71と、その口を閉じる紐72とから成る巾着式であり、これによれば食品類の持ち運びに際して食品臭が周囲に拡散するのを防止し、しかも外容器が天地逆にならぬようにして持ち運ぶことが可能になる。
【0030】
以上、本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明したが、内容器はシリコーンゴム製であることに限らず、その他のエラストマ(合成ゴム、天然ゴム、再生ゴム、あるいはアクリル系樹脂など)、軟質合成樹脂、合成皮革などでもよく、要は防水性及び柔軟性を有して箱形に一体成型されていればよい。
【0031】
又、内容器1の鍔部14は、側面部12の上縁部12aに形成することに限らず、側面部13の上縁部13aに形成しても良い。但し、側面部13の上縁部13aでは内容器1を折り畳んだとき鍔部14が折れぬよう、これを第1折目L1と第2折目L2の間に形成することが好ましい。
【0032】
更に、抗菌物質は内容器1に含有せしめることに限らず、これをバインダに混合して内容器1の表面に塗工するようにしてもよいし、抗菌物質として銅その他の金属イオン、あるいは有機抗菌剤などを用いてもよい。尚、2重量%の銀を含有せしめたシリコーンゴム製内容器と、その種の抗菌物質による抗菌処理を施さないシリコーンゴム製内容器とに対し、試験細菌(2×105個)を接種して37℃で24時間保温したところ、前者は菌数が3.7×103まで減少し、後者は菌数4.5×107に増加した。
【符号の説明】
【0033】
1 内容器
11 底面部
12,13 側面部
12a,13a 上縁部
13b 下縁部
14 鍔部
L 折目
L1 第1折目
L2 第2折目
2 外容器
3 外容器本体
31 底板部
32,33 側壁部
34 ヒンジ片
4 上蓋
5 抗菌シート
6 結束バンド
7 手提げ袋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水性及び柔軟性を有して箱形に一体成型された内容器と、その内容器を収容する外容器とを備え、前記内容器は相対する両側面部に折目を有して偏平状に折り畳み可能とされ、前記外容器は、内容器を収容する形状を保持可能な剛性を有する外容器本体と、その外容器本体の上端開口部を塞ぐ上蓋とを有することを特徴とする食品収納容器。
【請求項2】
前記内容器の上縁部に、外容器本体と上蓋との間に挟まれる鍔部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の食品収納容器。
【請求項3】
前記折目は、内容器の相対する両側面部における下縁部の両端と当該下縁部に対向する上縁部とを結ぶ第1折目と第2折目から成り、その第1折目と第2折目は前記下縁部と上縁部との中心を結ぶ線上で交差し、その交点が前記下縁部よりも上縁部寄りに位置していることを特徴とする請求項1、又は2記載の食品収納容器。
【請求項4】
前記内容器は、シリコーンゴム製であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品収納容器。
【請求項5】
前記内容器に抗菌物質が含有もしくは塗工されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品収納容器。
【請求項6】
前記外容器本体は、方形状の底板部と該底板部の各端縁に可撓性のヒンジ片を介して連結される4つの側壁部とを有し、その各側壁部を前記底板部上に倒伏して偏平状に折り畳んだ状態から各側壁部を起立せしめて隣り合う端縁同士を結合してなる箱形に組立可能とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の食品収納容器。
【請求項7】
前記外容器本体及び上蓋に巻き掛ける結束バンドを備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の食品収納容器。
【請求項1】
防水性及び柔軟性を有して箱形に一体成型された内容器と、その内容器を収容する外容器とを備え、前記内容器は相対する両側面部に折目を有して偏平状に折り畳み可能とされ、前記外容器は、内容器を収容する形状を保持可能な剛性を有する外容器本体と、その外容器本体の上端開口部を塞ぐ上蓋とを有することを特徴とする食品収納容器。
【請求項2】
前記内容器の上縁部に、外容器本体と上蓋との間に挟まれる鍔部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の食品収納容器。
【請求項3】
前記折目は、内容器の相対する両側面部における下縁部の両端と当該下縁部に対向する上縁部とを結ぶ第1折目と第2折目から成り、その第1折目と第2折目は前記下縁部と上縁部との中心を結ぶ線上で交差し、その交点が前記下縁部よりも上縁部寄りに位置していることを特徴とする請求項1、又は2記載の食品収納容器。
【請求項4】
前記内容器は、シリコーンゴム製であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品収納容器。
【請求項5】
前記内容器に抗菌物質が含有もしくは塗工されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品収納容器。
【請求項6】
前記外容器本体は、方形状の底板部と該底板部の各端縁に可撓性のヒンジ片を介して連結される4つの側壁部とを有し、その各側壁部を前記底板部上に倒伏して偏平状に折り畳んだ状態から各側壁部を起立せしめて隣り合う端縁同士を結合してなる箱形に組立可能とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の食品収納容器。
【請求項7】
前記外容器本体及び上蓋に巻き掛ける結束バンドを備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の食品収納容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−25984(P2011−25984A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175976(P2009−175976)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(509110208)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(509110208)
【Fターム(参考)】
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