説明

食品用包装袋

【課題】 食品を収容する際に、フィルム壁の側端縁同士を溶着した部分が大きく裂けてしまうことを防止して、食品の包装作業の効率を高めることのできる食品用包装袋を提供することを課題とする。
【解決手段】 互いに対向する一対のフィルム壁を備え、該一対のフィルム壁は、幅方向の両側端縁同士が接続されるとともに、幅方向と直交する縦方向の一方の端部同士が直接的又は間接的に接続され、少なくとも何れか一方の側端縁同士が線状の溶着線を形成するように溶着することで接続され、縦方向の他方の端縁側からフィルム壁間に食品を収容可能に構成された食品包装袋において、一対のフィルム壁のうちの少なくとも何れか一方は、他方の端縁側に前記溶着線を始点にしたエッジ部が形成され、該エッジ部は、溶着線上の始点から前記一方の端縁側に向けて延びる誘導エッジ部を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン類、乾物類、菓子類等の各種食品を包装するための食品用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品を包装するためのフィルム製の食品用包装袋には、種々形態のものがあり、その一つとして、図9に示す如く、重ね合わされた一対のフィルム壁2’,3’の幅方向の両側端縁同士が溶着(接続)され、食品を包装するときに両フィルム壁2’,3’を互いに離間させて該フィルム壁2’,3’間に食品を収容するスペースを形成するようにしたものが知られている。
【0003】
この種の食品用包装袋1’は、製袋時にフィルムをヒートシールしたり所定サイズに溶断したりすることで、一対のフィルム壁2’,3’の幅方向の両側端縁同士が線状に溶着(接続)されている。これにより、該食品用包装袋1’は、フィルム壁2’,3’の側端縁同士の溶着で、フィルム壁2’,3’の側端縁に沿った線状の溶着線WLが形成されている。
【0004】
そして、この種の食品用包装袋1’には、一対のフィルム壁2’,3’の幅方向と直交する縦方向(溶着線WLの延びる方向)にある一方の端部同士が直接溶着されたものや、図9に示すようにガゼット6’を介して一対のフィルム壁2’,3’の一方の端部同士が間接的に接続されたものがあるが、何れも、図10に示す如く、フィルム壁2’,3’の他方の端縁側から該フィルム壁2’,3’間(スペース内)に食品Bを収容できるようになっている。
【0005】
そして、上記構成の食品用包装袋1’は、一対のフィルム壁2’,3’間に食品Bを収容した後、一対のフィルム壁2’,3’の他方の端縁側をテープやクリップ等の結束手段で結束したり、テープやシールを貼り付けたりして他方の端縁側に形成された開口を閉じることで、食品Bを包装できるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしなから、上記構成の食品用包装袋1’は、フィルム壁2’,3’の側端縁同士が線状に溶着されているため、食品(例えば、食パン等の嵩高い食品)Bを収容(包装)するときに、図11に示す如く、一対のフィルム壁2’,3’の側端縁同士を溶着した部分が溶着線WLに沿って裂けてしまう場合がある。
【0007】
具体的に説明すると、上記構成の食品用包装袋1’は、フィルム壁2’,3’の側端縁といった極めて狭い領域同士を縦方向の全長に亘って溶着させているため、フィルム壁2’,3’の溶着部分(溶着線WL)の縦方向の始点が食品Bを収容する開口(縦方向の他方の端縁)側にあり、また、フィルム壁2’,3’の側端縁同士の接続強度(溶着線WLでの強度)が周辺の強度(フィルム壁2’,3’自体の強度)よりも弱くなっている。
【0008】
そのため、食品Bを収容すべく一対のフィルム壁2’,3’の他方の端縁側を互いに離間させると、それによって生じる引っ張り力がフィルム壁2’,3’の溶着部分(溶着線WL)における縦方向の他方の端縁側にある始点に集中的に作用し、その始点を起点にして食品用包装袋1’が溶着線WLに沿って大きく裂けてしまうことがあった。
【0009】
そのため、食品用包装袋1’が溶着線WLで裂けるといった事態が発生するのを避けるべく、上記構成の食品用包装袋1’で食品Bを包装する際に、食品Bを収容する作業をゆっくり丁寧に行うことになる結果、食品Bの包装作業を迅速に且つ効率的に行うことができないといった問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、食品を収容する際に、フィルム壁の側端縁同士を溶着した部分が大きく裂けてしまうことを防止して、食品の包装作業の効率を高めることのできる食品用包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る食品用包装袋は、互いに対向する一対のフィルム壁を備え、該一対のフィルム壁は、幅方向の両側端縁同士が接続されるとともに、幅方向と直交する縦方向の一方の端部同士が直接的又は間接的に接続され、少なくとも何れか一方の側端縁同士が線状の溶着線を形成するように溶着することで接続され、縦方向の他方の端縁側からフィルム壁間に食品を収容可能に構成された食品包装袋において、一対のフィルム壁のうちの少なくとも何れか一方は、溶着線上に始点のあるエッジ部が他方の端縁側に形成され、該エッジ部は、溶着線上の始点から一方の端縁側に向けて延びる誘導エッジ部を備えていることを特徴とする。なお、ここで「エッジ」とは、フィルム壁(フィルム)を部分的に切断したり裁断したりすることで形成される縁を意味する。すなわち、「エッジ」とは、フィルム壁部の実体のある部分を画定し、その実体のある部分と実体のない部分とを区画する境界を意味する。
【0012】
上記構成の食品用包装袋によれば、一対のフィルム壁のうちの少なくとも何れか一方は、溶着線上に始点のあるエッジ部が他方の端縁側に形成され、該エッジ部は、溶着線上の始点から一方の端縁側に向けて延びる誘導エッジ部を備えているため、食品を収容するのに一対のフィルム壁の他方の端縁同士を互いに離間させようとしたとき(食品を収容する入口を拡げようとしたとき)に生じる力が誘導エッジ部に沿って作用することになる。すなわち、一対のフィルム壁を離間させることによる引っ張り力が誘導エッジ部に沿うように誘導されることになる。これにより、上記構成の食品用包装袋は、一対のフィルム壁を離間させることによる引っ張り力を分散させることができ、食品を収容する際に溶着線に沿って裂けてしまうことが防止される。従って、食品を収容する際に食品用包装袋が大きく裂けてしまうことを気にする必要がなくなるため、食品の包装作業の効率を高めることができる。
【0013】
本発明の一態様として、少なくとも何れか一方のフィルム壁は、縦方向の他方の端縁側に前記溶着線上を始点にして縦方向の一方の端縁側に凸をなす円弧状の切り込みが設けられ、前記エッジ部は、前記切り込みによってフィルム壁に形成される端縁で構成されてもよい。このようにすれば、円弧状の切り込みに沿って形成されるエッジ部の始点側が溶着線上の始点から一方の端縁側に向けて延びる誘導エッジ部になるため、簡単な構成であるにも拘わらず、食品を収容する際に溶着線に沿って大きく裂けてしまうことを防止することができる。これにより、食品を収容する際に食品用包装袋が裂けてしまうことを気にすることなく、食品を収容することができ、食品の包装作業の効率を高めることができる。
【0014】
なお、このようにフィルム壁に切り込みを設けてエッジ部を形成すると、エッジ部がフィルム壁の他方の端縁側にある溶着線の始点よりも一方の端縁側に位置することになるため、食品を収容する際にフィルム壁の他方の端縁側にある溶着線の始点からエッジ部までの間で食品用包装袋が溶着線に沿って裂けてしまうことがあるが、食品用包装袋がエッジ部を超えて裂けてしまうことがないため、エッジ部をできる限りフィルム壁の他方の端縁寄りに設けることで、食品用包装袋が裂ける範囲を、食品を収容するのに何ら影響ない最小限の範囲に抑えることができる。
【0015】
本発明の他態様として、少なくとも何れか一方のフィルム壁は、縦方向の他方の端縁側に前記溶着線に接近するように円形状の穴が設けられ、前記エッジ部は、前記穴を画定する内周縁で構成されていてもよい。このようにすれば、円形状の穴の内周に沿って形成されるエッジ部の始点側が溶着線上の始点から一方の端縁側に向けて延びる誘導エッジ部になるため、簡単な構成であるにも拘わらず、食品を収容する際に溶着線に沿って大きく裂けてしまうことを防止することができる。これにより、食品を収容する際に食品用包装袋が裂けてしまうことを気にすることなく、食品を収容することができ、食品の包装作業の効率を高めることができる。
【0016】
なお、このようにフィルム壁に穴を設けてエッジ部を形成すると、エッジ部がフィルム壁の他方の端縁側にある溶着線の始点よりも一方の端縁側に位置することになるため、食品を収容する際にフィルム壁の他方の端縁側にある溶着線の始点からエッジ部までの間で食品用包装袋が溶着線に沿って裂けてしまうことがあるが、食品用包装袋がエッジ部を超えて裂けてしまうことがないため、この場合においても、エッジ部をできる限りフィルム壁の他方の端縁寄りに設けることで、食品用包装袋が裂ける範囲を、食品を収容するのに何ら影響ない最小限の範囲に抑えることができる。
【0017】
また、本発明の別の態様として、一方のフィルム壁は、他方の端縁が他方のフィルム壁の他方の端縁から外側に延出するように形成され、他方のフィルム壁は、他方の端縁が波形状又は鋸刃状に形成され、前記エッジ部は、他方のフィルム壁の他方の端縁で構成されてもよい。このようにすれば、他方のフィルム壁の他方の端縁の両端部が溶着線上の始点から一方の端縁側に向けて延びる誘導エッジ部になるため、簡単な構成であるにも拘わらず、食品を収容する際に溶着線に沿って裂けてしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の食品用包装袋によれば、食品を収容する際に、フィルム壁の側端縁同士を溶着した部分が大きく裂けてしまうことを防止して、食品の包装作業の効率を高めることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る食品用包装袋の説明図であって、(a)は、平面図を示し、(b)は、縦断面図を示す。
【図2】同実施形態に係る食品用包装袋の断面図であって、一対のフィルム壁を互いに離間させた状態(食品(食パン)を収容する途中の状態及び食品(食パン)を収容した状態)の縦断面図を示す。
【図3】同実施形態に係る食品用包装袋の製造工程を説明するための概略斜視図を示す。
【図4】同実施形態に係る食品用包装袋で食品(食パン)を包装した状態の斜視図を示す。
【図5】本発明の他実施形態に係る食品用包装袋の説明図であって、(a)は、平面図を示し、(b)は、縦断面図を示す。
【図6】図5に示す食品用包装袋の一対のフィルム壁を互いに離間させた状態(食品(食パン)を収容する途中の状態及び食品(食パン)を収容した状態)の縦断面図を示す。
【図7】本発明の別の実施形態に係る食品用包装袋の平面図であって、(a)は、エッジ部を鋸刃状に形成した食品用包装袋の平面図を示し、(b)は、エッジ部を幅方向におけるピッチ数の多い波型形状に形成した食品用包装袋の平面図を示し、(c)は、エッジ部を幅方向におけるピッチ数の少ない波型形状に形成した食品用包装袋の平面図を示す。
【図8】本発明のさらに別の実施形態に係る食品用包装袋の平面図であって、(a)は、エッジ部を切り込みによって形成される端縁で構成した食品用包装袋の平面図を示し、(b)は、エッジ部を穴を画定する内周縁で構成した食品用包装袋の平面図を示す。
【図9】従来の食品用包装袋を説明するための説明図であって、(a)は、従来の食品用包装袋の平面図を示し、(b)は、従来の食品用包装袋の縦断面図を示す。
【図10】従来の食品用包装袋を説明するための説明図であって、(a)は、食品を収容する状態の平面図を示し、(b)は、食品を収容する状態の側面図を示す。
【図11】従来の食品用包装袋の問題点を説明するための説明図であって、食品用包装袋が溶着線に沿って裂けた状態の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る食品用包装袋について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0021】
本実施形態に係る食品用包装袋は、図1及び図2に示す如く、互いに対向する一対のフィルム壁2,3を備えている。一対のフィルム壁2,3は、それぞれ正面視矩形状に形成されており、幅方向の両側端縁同士が一致し、且つ幅方向と直交する縦方向の一方の端縁同士が一致するように重ね合わされた状態で配置されている。本実施形態に係る食品用包装袋1は、一方のフィルム壁2の縦方向の長さが他方のフィルム壁3の縦方向の長さよりも長く設定されている。これより、本実施形態に係る食品用包装袋1は、一方のフィルム壁2の縦方向における他方の端部が他方のフィルム壁3の縦方向の他方の端縁から外側に延出した状態になっている。
【0022】
そして、一方のフィルム壁2の他方の端部には、食品Bを包装する際に当該食品用包装袋1を吊り下げておくための穴4(別途用意されたフックやバーを挿通させるための穴4)が設けられている。なお、この穴4は、少なくとも一つ設けられればよいが、本実施形態においては、幅方向に間隔をあけて複数(図においては二つ)設けられている。
【0023】
本実施形態に係る一方のフィルム壁2の他方の端部には、該フィルム壁2の他方の端縁と穴4を画定する内周縁との間で縦方向に延びる切断補助線5(例えば、ミシン目やハーフカット)が設けられている。これにより、フック等に吊り下げた食品用包装袋1を引っ張ると、切断補助線5でフィルム壁2の他方の端部が部分的に切断し、食品用包装袋1をフック等から簡単に取り外せることができるようになっている。
【0024】
前記一対のフィルム壁2,3は、互いの両側端縁同士が接続されており、少なくとも一方の側端縁同士が線状の溶着線WLを形成して接続される。本実施形態に係る食品用包装袋1は、一対のフィルム壁2,3の両側端縁同士が線状に溶着されており、前記溶着線WLが両側端縁に形成されている。
【0025】
このフィルム壁2の側端縁同士の溶着は、一対のフィルム壁2,3(フィルム)を重ね合わせた状態で、両フィルム壁2,3の側端縁同士をヒートシールバー等で溶着することもできるが、フィルムを切断して両フィルム壁2,3を形成するに当り、重ね合わせ状態にあるフィルム(例えば、二枚のフィルムや、一枚のフィルムを折り返すことで重なりある部分)を一緒に溶断すること、重ね合わさったフィルムの側端縁(端縁)同士を溶着させることによっても行うことができる。なお、本実施形態に係る食品用包装袋1は、後述する製袋過程でフィルム壁2となるフィルムを溶断することで、該フィルムを切断して一対のフィルム壁2,3にするのに併せて該一対のフィルム壁2,3の両側端縁同士を線状に溶着するようにしている。
【0026】
そして、一対のフィルム壁2,3のうちの少なくとも何れか一方は、溶着線WL上に始点のあるエッジ部7が縦方向の他方の端縁側に形成されている。エッジ部7は、フィルムから製袋する際に該フィルムに切断加工を行うことで形成されるもので、溶着線WL上の始点から縦方向の一方の端縁側に向けて延びる誘導エッジ部8を備えている。
【0027】
本実施形態に係る食品用包装袋1は、一対のフィルム壁2,3のそれぞれに対してエッジ部7が形成されている。具体的に説明すると、一対のフィルム壁2,3は、他方の端縁側に前記溶着線WL上を始点にして縦方向の一方の端縁側に凸をなす円弧状の切り込みSが設けられている。すなわち、一対のフィルム2,3は、食パンを包み込む縦方向の一端側の領域から外れた縦方向の他端側の位置に前記切り込みSが設けられている。
【0028】
前記エッジ部7は、前記切り込みSによってフィルム壁2,3に形成される端縁で構成されて構成されている。そのため、本実施形態に係るエッジ部7は、切り込みSに対応して縦方向の一方の端縁側に凸をなす円弧状に形成されている。なお、本実施形態においては、上述の如く、フィルム壁2,3の実体の在る部分に切り込みS,Sを設けてエッジ部7,7を形成するため、切り込みS,S(エッジ部7,7)は、可能な限り縦方向の他方の端縁に近づけて形成される。
【0029】
両フィルム壁2,3に形成されるエッジ部7,7は、溶着線WL上で始点が一致するように設けられている。なお、本実施形態に係る食品用包装袋1は、一対のフィルム壁2,3のそれぞれにエッジ部7,7を形成するために各フィルム壁2,3に形成された切り込みS,Sが連続しており、溶着線WL上を通る切り込みS,S(エッジ部7)同士の接続部分)がフィルム壁2の他方の端縁側に凸をなす小さな円弧状をなすように形成されている。
【0030】
このように本実施形態に係る食品用包装袋1は、円弧状の切り込みSでエッジ部7を形成するようにしているため、エッジ部7の始点側(溶着線WL側)が溶着線WL上の始点から前記一方の端縁側に向けて延びる誘導エッジ部8を構成している。
【0031】
そして、この種の食品用包装袋1は、縦方向の一方の端部同士が直接的又は間接的に接続されている。本実施形態に係る食品用包装袋1は、重ね合わせた複数枚の食パンBを収容することを対象としており、一対のフィルム壁2,3に加え、両フィルム壁2,3の縦方向の一方の端部同士を接続するガゼット部6をさらに備えている。これにより、本実施形態に係る食品用包装袋1は、一対のフィルム壁2,3の一方の端部同士がガゼット部6を介して間接的に接続されている。
【0032】
前記ガゼット部6は、二つ折り状態でフィルム壁2間に折り込まれた状態をなしており、その一方の端縁が一方のフィルム壁2の一方の端縁に接続されるとともに、その他方の端縁が他方のフィルム壁3の一方の端縁に接続されている。そして、ガゼット部6は、二つ折りによって形成される稜線がフィルム壁2間に位置するように、全体がフィルム壁2間に位置している。すなわち、ガゼット部6は、基端が一方のフィルム壁2の一方の端縁に接続され、先端側がフィルム壁2間に延びる第一延出部6aと、基端が他方のフィルム壁3の一方の端縁に接続され、先端側がフィルム壁2間に延びて該先端が第一延出部6aの先端に接続された第二延出部6bとで構成されている。
【0033】
そして、本実施形態に係る食品用包装袋1は、ガゼット部6の両側端縁が一対のフィルム壁2,3の両側端縁に溶着されている。すなわち、本実施形態に係る食品用包装袋1は、第一延出部6a及び第二延出部6bの両側端縁(フィルム壁2,3の一方の端縁から延出する方向と直交する方向の両端)が、一対のフィルム壁2,3の両側端縁に一体的に溶着されている。
【0034】
そして、本実施形態に係る食品用包装袋1は、他方の端縁側からフィルム壁2間に食品を収容可能に構成されている。すなわち、本実施形態に係る食品用包装袋1は、一対のフィルム壁2,3の縦方向の他方の端部同士が非接続状態になっており、これによって形成される開口(他方の端部開口)から食品を収容できるようになっている。また、上述の如く、本実施形態に係る食品用包装袋1は、ガゼット部6を備えているため、嵩高い食パンBを収容したときにガゼット6が拡がることになり、柔らかい食パンBがフィルム壁2,3に挟み込まれた状態になることが防止されている。
【0035】
本実施形態に係る食品用包装袋1は、以上の構成からなり、次に、図3を参照しつつ上記構成の食品用包装袋1の製袋方法について説明することとする。
【0036】
まず、一方向で長手をなす長尺フィルムFを長手方向に送りつつ、該長尺フィルムFを長手方向と直交する方向に二つ折りにする。そして、その二つ折りによって形成される稜線から所定距離あけた位置(第一延出部6a及び第二延出部6bの延出量と対応した距離をあけた位置)で前記稜線と同方向に延びる別の稜線を形成するように、二つ折りによって形成された前記稜線の両側で長尺フィルムFを折り返す。すなわち、二つ折りにした長尺フィルムFの短手方向の両側を外側に折り返す。
【0037】
本実施形態においては、一方のフィルム壁2の他方の端部が他方のフィルム壁3の他方の端縁から延出した状態にする必要があるため、長手方向と直交する短手方向の一方の端縁に対して他方の端縁がずれるように(一方の端縁から他方の端部が延出した状態になるように)、長尺フィルムFの短手方向の両側が折り返される。なお、本実施形態においては、上述の如く、ガゼット部6の第一延出部6aと第二延出部6bとの接続部分となる稜線を形成するように長尺フィルムFを二つ折りした後に、その両側を外側に折り返すようにしているため、長尺フィルムFを二つ折りにする際の折り曲げ位置(稜線の形成位置)が、外側に折り返した長尺フィルムFの短手方向の両端がずれた配置になるように設定されている。
【0038】
これにより、一対のフィルム壁2,3となる部分(重ね合わせ状態になったフィルム部分)F1,F2と、ガゼット部6となる部分(重ね合わせ状態になったフィルム部分F1,F2間で二つ折り状態になった部分)F3とが長手方向に連続して形成された状態になる。
【0039】
その後、上述の如く折り曲げ加工された長尺フィルムFを長手方向で所定間隔おきに溶断する。すなわち、食品用包装袋1の幅方向の長さに対応する間隔毎に設定された溶断予定位置WPで長尺フィルムFを溶断することで、重ね合わせ状態になっていたフィルム部分F1,F1は、両側端縁同士が線状の溶着線WLを形成して接続された一対のフィルム壁2,3になり、重ね合わせ状態になっていたフィルム部分F1,F2間で二つ折り状態になっていた部分F3がガゼット部6になる。
【0040】
そして、両フィルム壁2,3(又は、長尺フィルムFのフィルム壁2,3になる部分F1,F2)の両側端部に円弧状の切り込みSを入れ、また、一方のフィルム壁2(又は、長尺フィルムFのフィルム壁2になる部分F1)の他方の端部に穴4をあけるとともに切断補助線5を形成する。なお、切り込みS、穴4、切断補助線5は、長尺フィルムFを溶断する前の加工で設けてもよいし、長尺フィルムFを溶断した後の加工で設けるようにしてもよい。
【0041】
このような一連の工程を連続的に行うことにより、長尺フィルムFから上記形態の食品用包装袋1を順々に作製することができる。
【0042】
そして、図2に示す如く、上記構成の食品用包装袋1に食パンBを収容する際、一対のフィルム壁2,3の他方の端縁側(開口)から食パンBが入れられる。この際、一対のフィルム壁2,3の他方の端部は、食パンBの進入に伴って互いに離間することになる。
【0043】
本実施形態に係る食品用包装袋1は、フィルム壁2,3に切り込みS,Sを設けてエッジ部7,7を形成しているため、エッジ部7,7がフィルム壁2,3の他方の端縁側にある溶着線WLの始点よりも一方の端縁側に位置することになることから、食品Bを収容する際(上述の如く、フィルム壁2,3を離間させる際)に、溶着線WLの始点にフィルム壁2,3を離間させることによる引っ張り力が集中的に作用し、これに伴ってフィルム壁2,3の他方の端縁側にある溶着線WLの始点からエッジ部7,7までのごく僅かな距離で溶着線WKに沿って裂けてしまうことがある。
【0044】
しかしながら、本実施形態に係る食品用包装袋1は、エッジ部7,7まで裂けると、フィルム壁2,3の離間に伴って作用する力Fが誘導エッジ部8に沿って作用することになる。すなわち、一対のフィルム壁2,3を離間させることによる引っ張り力Fが誘導エッジ部8に沿うように誘導されて分散されることになる。これにより、食パンBを収容する際に食品用包装袋1が溶着線WLに沿って大きく裂けてしまうことなく、食パンBがフィルム壁2間に収容されることになる。
【0045】
そして、図4に示す如く、一対のフィルム壁2,3の他方の端縁側をテープやクリップ等の結束手段Cで結束して他方の端縁開口を閉じることで食パンBの包装が完了する。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る食品用包装袋1は、一対のフィルム壁2,3の食パンBを収容する入口側(他方の端縁側)に、側端縁同士を溶着した線状の溶着線WLを始点にしたエッジ部7が形成され、該エッジ部7は、溶着線WLから反対側の側端縁に向かうに連れて前記一方の端縁側に延びる誘導エッジ部8を備えているため、食パンBを収容する際に一対のフィルム壁2,3の他方の端縁を互いに離間させようとしたときの引っ張り力が誘導エッジ部8に沿うように誘導されることになり、一対のフィルム壁を離間させることによる引っ張り力を分散させることができる。これにより、本実施形態に係る食品用包装袋1は、食パンBを収容する際に溶着線WLに沿って大きく裂けてしまうことを防止することができる。従って、食パンBを収容する際に食品用包装袋1が大きく裂けてしまうことを気にする必要がなくなるため、食パンBの包装作業の効率を高めることができる。
【0047】
また、本実施形態において、前記エッジ部7は、一対のフィルム壁2,3のそれぞれに対して入れられた一方の端縁側に凸をなす円弧状の切り込みSによって形成されているため、円弧状の切り込みSに沿って形成されるエッジ部7の始点側が溶着線WLから反対側の側端縁に向かうに連れて前記一方の端縁側に延びる誘導エッジ部8になり、食パンBを収容する際に溶着線WLに沿って裂けてしまうことを防止することができる。また、製袋を行うに際し、両フィルム壁2,3に対して円弧状の切り込みSを入れるといった簡単な加工を行うだけで、上記作用及び効果を奏するものを製造することができる。
【0048】
なお、本発明に係る食品用包装袋は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0049】
上記実施形態において、収容(包装)の対象として食パンBを一例にして説明したが、これに限定されるものではなく、包装の対象となる食品Bは、菓子パンや惣菜パン等のパン類、乾物類、菓子類等の種々のものであってもよい。
【0050】
上記実施形態において、エッジ部7を溶着線WLの両側(一対のフィルム壁2,3のそれぞれ)に形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、エッジ部7を溶着線WLの片側(何れか一方のフィルム壁2)に形成するようにしてもよい。このようにしてもエッジ部7の誘導エッジ部8で食品Bの挿入時に生じる引っ張り力を分散させることができ、食品Bを収容する際に溶着線WLに沿って大きく裂けてしまうことを防止することができる。但し、引っ張り力を確実に分散させるには、上記実施形態と同様に溶着線WLの両側にエッジ部7を形成することが好ましい。
【0051】
また、上記実施形態において、一対のフィルム壁2,3のそれぞれに対して入れられた一方の端縁側に凸をなす円弧状の切り込みSによってエッジ部7を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、V字状の切り込みによってエッジ部7を形成するようにしてもよい。このようにしても、エッジ部の始点側が溶着線WLから反対側の側端縁に向かうに連れて前記一方の端縁側に延びる誘導エッジ部8になるため、食品Bを収容する際に溶着線WLに沿って裂けてしまうことを防止することができる。
【0052】
また、エッジ部7は、図5に示す如く、一対のフィルム壁2,3のそれぞれに対して設けられた円形状の穴Hを画定する内周縁で構成されていてもよい。このようにすれば、円形状の穴Hの内周縁(エッジ部7)の始点側が溶着線WLから反対側の側端縁に向かうに連れて前記一方の端縁側に延びる誘導エッジ部8になるため、図6に示す如く、食品Bを収容する際、一対のフィルム壁2,3の他方の端部同士の離間に伴って作用する力Fが誘導エッジ部8に沿って作用することになる。すなわち、一対のフィルム壁2,3を離間させることによる引っ張り力Fが誘導エッジ部8に沿うように誘導されることになる。これにより、上記構成の食品用包装袋1は、一対のフィルム壁2,3を離間させることによる引っ張り力Fを分散させることができ、溶着線WLに沿って食品用包装袋1が大きく裂けることを防止することができる。
【0053】
この場合においても、何れか一方のフィルム壁2に穴Hをあけてエッジ部7を形成するようにしてもよいが、切り込みSでエッジ部7を形成する場合と同様、引っ張り力を確実に逃がす(分散させる)には、上記実施形態と同様に溶着線WLの両側(一対のフィルム壁2,3のそれぞれ)にエッジ部7,7を形成することが好ましい。
【0054】
また、図7に示す如く、他方の端縁が他方のフィルム壁3の他方の端縁から外側に延出するように一方のフィルム壁2を形成し、他方のフィルム壁3の他方の端縁を波形状又は鋸刃状に形成して該端縁でエッジ部7を構成してもよい。このようにすれば、他方のフィルム壁3の他方の端縁における両側端部に溶着線WLから一端縁側に向けて延びる誘導エッジ部8を形成することができるため、食品Bを収容する際に溶着線WLに沿って大きく裂けてしまうことを防止することができる。
【0055】
上記実施形態において、食品B用包装袋1を製袋するに際し、長尺フィルムFを二つ折りにした後に稜線の両側を外側に折り返すようにしてフィルム壁2になる部分F1,F2とガゼット部6になる部分F3を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、長尺フィルムFを短手方向に二つ折りにした後、その二つ折りによって形成される稜線の両側にある所定幅を反対側に折り込んでガゼット部6となる部分F3を形成するようにしてもよい。すなわち、フィルム壁2になる部分とガゼット部6になる部分とを形成することができれば、長尺フィルムFの曲げ加工(工程)は適宜変更可能である。
【0056】
また、上記実施形態において、長尺フィルムFを曲げ加工するとともに、その曲げ加工した長尺フィルムFを所定サイズに溶断することで、両側端縁同士が溶着した状態の一対のフィルム壁2,3を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、重ね合わせた二枚のフィルムの両側端縁同士をヒートシールで線状に溶着するようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、ガゼット部6を介してフィルム壁2の一方の端部同士を接続するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、フィルム壁2の一方の端部同士を直接溶着するようにしてもよい。すなわち、フィルム壁2の他方の端縁側から食品Bを収容できれば、フィルム壁2の一方の端部同士の接続形態は適宜選択可能である。
【0058】
上記実施形態において、フィルム壁2の両側端縁同士を線状に溶着するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、稜線を形成するようにフィルムを二つ折りにした上で、折り返しによって対向する端縁同士を線状に溶着し、その稜線及び線状に溶着した端縁をフィルム壁2の両側端縁になるように製袋してもよい。この場合、一対のフィルム壁2,3は、一方の側端縁同士だけが線状に溶着されるため、その溶着によって形成される溶着線WL上に始点のあるエッジ部7を形成すればよい。
【0059】
上記実施形態において、他方のフィルム壁3の他方の端部に穴4及び切断補助線5を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示す如く、他方のフィルム壁3の他方の端部にフック等を挿通する穴4aを設けるとともに、一方のフィルム壁2に対して他方のフィルム壁3の他方の端縁近傍で両側端縁間に延びる切断補助線5aを設け、包装時(取り出し時)に他方のフィルム壁3を切断補助線5aで切断し、穴4aの設けられた部分を切除できるようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態において、一方のフィルム壁2の他方の端部が他方のフィルム壁3の他方の端縁から外側に延出するよう両フィルム壁2,3のサイズを設定したが、これに限定されるものではなく、一対のフィルム壁2,3を同サイズに設定しても勿論よい。従って、フック等を挿通するための穴4,4aは必須の構成ではなく、一方のフィルム壁2の他方の端部を他方のフィルム壁3の他方の端縁よりも外側に延出させたときに、必要に応じて設ければよい。
【符号の説明】
【0061】
1…食品用包装袋、2,3…フィルム壁、4…穴、5…切断補助線、6…ガゼット部、6a…第一延出部、6b…第二延出部、7…エッジ部、8…誘導エッジ部、B…食パン(食品)、F…長尺フィルム、F1,F2…フィルム壁となる部分、F3…ガゼット部となる部分、WL…溶着線、C…結束手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対のフィルム壁を備え、該一対のフィルム壁は、幅方向の両側端縁同士が接続されるとともに、幅方向と直交する縦方向の一方の端部同士が直接的又は間接的に接続され、少なくとも何れか一方の側端縁同士が線状の溶着線を形成するように溶着することで接続され、縦方向の他方の端縁側からフィルム壁間に食品を収容可能に構成された食品包装袋において、一対のフィルム壁のうちの少なくとも何れか一方は、溶着線上に始点のあるエッジ部が他方の端縁側に形成され、該エッジ部は、溶着線上の始点から一方の端縁側に向けて延びる誘導エッジ部を備えていることを特徴とする食品用包装袋。
【請求項2】
少なくとも何れか一方のフィルム壁は、縦方向の他方の端縁側に前記溶着線上を始点にして縦方向の一方の端縁側に凸をなす円弧状の切り込みが設けられ、前記エッジ部は、前記切り込みによってフィルム壁に形成される端縁で構成されている請求項1記載の食品用包装袋。
【請求項3】
少なくとも何れか一方のフィルム壁は、縦方向の他方の端縁側に前記溶着線に接近するように円形状の穴が設けられ、前記エッジ部は、前記穴を画定する内周縁で構成されていている請求項1記載の食品用包装袋。
【請求項4】
一方のフィルム壁は、他方の端縁が他方のフィルム壁の他方の端縁から外側に延出するように形成され、他方のフィルム壁は、他方の端縁が波形状又は鋸刃状に形成され、前記エッジ部は、他方のフィルム壁の他方の端縁で構成されている請求項1に記載の食品用包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−254328(P2010−254328A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105197(P2009−105197)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000241186)朋和産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】