説明

食品用皿

【課題】 皿の上に載置された食品を箸で容易にすくうことができ、且つ、皿の上のあらゆる部分で水分や油分を有効に除去して、他の食品へ水分や油分が移行することも防止できる食品用皿を提供する。
【解決手段】 略平面状の食品の載置面を有する食品用皿であって、食品と前記載置面との間に箸先を挿入できる程度の細い溝部を、前記載置面に直線状に連続して形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、特に、蕎麦やうどんの麺類等、箸ですくいにくい形状の食品を載置して提供するための食品用皿に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向の高まりにより、低カロリーでヘルシーな和食が国内のみならず海外でも人気となっている。しかし、蕎麦やうどんなども一例であるが、箸の扱いに不慣れな者にとって、皿上に載置された食品を手際よくすくうことは困難を伴う。
【0003】
ところで、食品を載置する皿には、簡易な形状で特別な機能を付与した皿も提案されている(例えば、特許文献1又は2を参照)。例えば、特許文献1に開示された皿は、中央部を周辺部より盛り上げた形状とすることにより食品の余分な油分を除去する。また、特許文献2に開示された電子レンジ用の平皿は、皿の上に同心円状の突起を形成することにより、同様に食品の余分な油分を除去する。
【0004】
特許文献1又は2に開示された形状の皿を用いて、蕎麦やうどんの麺類、水分や油分を多量に含有する食品などを載置すれば、水分や油分が有効に除去できることは容易に推察される。しかしながら、特許文献1又は2に開示された皿は、一つの皿の上に多くの食品を載置する場合、載置する位置によっては水分や油分を適切且つ十分に除去できないという欠陥があった。即ち、皿の中央部や突起が形成された部分に載置された食品はよいが、皿の外周付近や突起の形成されていない部分に載置された食品は流れてきた水分や油分が付着して、かえって水や油に浸ってしまうというような問題が生じる。
【0005】
更に、特許文献1又は2に開示された皿は、蕎麦やうどんの麺類など、箸ですくいにくい形状の食品についての課題の解決を目的としたものではなかった。
【0006】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−108086号公報(第2−3頁、第2図)
【特許文献2】特開2006−20982号公報(第2−3頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、皿の上に載置された食品を箸で容易にすくうことができ、且つ、皿の上のあらゆる部分で水分や油分を有効に除去して、他の食品へ水分や油分が移行することも防止できる食品用皿を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の食品用皿は、略平面状の食品の載置面を有する食品用皿であって、食品と前記載置面との間に箸先を挿入できる程度の細い溝部を、前記載置面に直線状に連続して形成したことを特徴とする。
上記構成によれば、溝部は箸先が挿入できる程度の大きさ(深さ)であるため、溝部に沿って箸を動かすことにより、箸を真下にくぐらせて食品を容易にすくうことができる。また、水分や油分が溝部に落下するので食品からそれらを有効に除去することができる。更に、落下した水分や油分は溝部に滞留するため、その他の食品に移行することがない。
【0010】
また、本発明の食品用皿は、請求項1に記載の食品用皿であって、前記溝部は、その断面が略V字の波型形状であることを特徴とする。
上記構成によれば、落下した油分や食品が溝部に付着しにくく、また除去が容易であり、簡単に洗浄することができる。
【0011】
また、本発明の傘は、請求項1又は2に記載の食品用皿であって、前記溝部は、長さ方向に関して、両端が屹立するように皿の外周が形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、落下した水分や油分が皿の外にこぼれるのが防止されるため、水分や油分を多く含む食品でも安心して載置することができる。
【0012】
また、本発明の食品用皿は、請求項1から3のいずれか一項記載の食品用皿であって、前記溝部は、長さ方向に関して、中央部が両端部より高い略円弧状となるように形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、皿の中央部分に落下した水分や油分が溝部を通って周辺部へ流れるため、水分や油分を多く含む食品でも安心して載置することができる。
【0013】
また、本発明の食品用皿は、請求項1から4のいずれか一項記載の食品用皿であって、矩形、楕円形、円形などの皿の形状にかかわらず、その周縁部が、皿の中央の前記載置面に比較して高くなるように形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、たとえ落下した水分や油分が溝部から溢れ出したとしても、皿の外にこぼれるのが防止されるため、水分や油分を多く含む食品でも安心して載置することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の食品用皿によれば、皿の上に載置された食品を箸で容易にすくうことができる。また、皿の上のあらゆる部分で、載置した食品の水分や油分が有効に除去される。更に、落下した水分や油分が他の食品に移行することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明の実施の形態1における食品用皿の外観を示す斜視図
【図2】 本発明の実施の形態1における食品用皿の断面形状を説明するための図
【図3】 本発明の実施の形態1における食品用皿の断面形状と箸先の大きさとの関係を説明するための図
【図4】 本発明の実施の形態2における食品用皿の外観を示す斜視図
【図5】 本発明の実施の形態2における食品用皿の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態における食品用皿について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
[実施の形態1]図1は、本発明の実施の形態1における食品用皿の外観を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態1における食品用皿の断面形状を説明するための図である。実施の形態1の食品用皿100は、略矩形で平面状の食品載置面を有する食品用皿であって、この載置面上には、食品と載置面との間に箸先を挿入できる程度の細い溝部10が、直線状に連続して形成されている。
【0018】
本実施の形態では、溝部10は、その断面が略V字の波型形状となっており、波型の頂点11を結んで構成される線で載置した食品が支持される。一方、波型の谷12を結んで構成される線が溝の最深部となり、食品から落下した水分や油分が滞留する。
【0019】
また、本実施の形態では、溝部10の長さ方向の両端にあたる側の辺を屹立させ、傾斜21および22を形成している。これにより、溝部10に落下し両端へ向かって流れる水分や油分が皿100の外側へ溢れ出すことがない。
【0020】
図3は、本発明の実施の形態1における食品用皿の断面形状と箸先の大きさとの関係を説明するための図である。図に示すように、食品用皿100の溝部10が形成する空隙は、一般的な箸の箸先200が挿入できる程度の大きさであることが好ましい。従って、巾、深さともに凡そ3mmから5mmくらいが適切であると考えられる。これより細すぎる場合、落下した水分や油分を保持する十分な空間が確保できないために、水分や油分が頂点11より上に溢れて食品が浸ったり、柔らかい材質の食品が溝部に詰まりやすくなったりするからである。また、溝部10が細すぎると洗浄後の水切れが悪く、水分が溝部に残ってしまうという問題も生じる。
【0021】
適切な巾と深さの溝部を形成すれば、図2に示すように、例えば、蕎麦のような細長い形状の食品が載置されても、溝部10の中に落ち込むことなく蕎麦が適切に支持される。したがって、溝部に沿って箸を動かすことにより、箸を真下にくぐらせて蕎麦を容易にすくうことができる。一方、水分は溝部10へ落下するので余分な水分が蕎麦から除去される。
【0022】
尚、図1において、A−A’で示す近傍の載置面の高さをその周辺部よりも高くなるような形状(例えば、A−A’方向から皿の側面を見た場合に、中央が盛り上がるように溝部10が円弧状に形成された形状)としてもよい。このような形状とすることで、載置した食品から落下した水分や油分は、落下したところに留まることなく、傾斜に沿って周辺部(詳しくは、傾斜21または22との境界付近)へ適切に誘導される。
【0023】
[実施の形態2]図4は、本発明の実施の形態2における食品用皿の外観を示す斜視図である。また、図5は、本発明の実施の形態2における食品用皿の断面図である。実施の形態2の食品用皿101は、外形が略円形で、実施の形態1と同様に食品と載置面との間に箸先を挿入できる程度の細い溝部10が、直線状に連続して形成されている。
【0024】
本実施の形態では、溝部10は、実施の形態1と同様にその断面が略V字の波型形状となっており、波型の頂点11を結んで構成される線で載置した食品が支持される。一方、波型の谷12を結んで構成される線12が溝の最深部となり、食品から落下した水分や油分が滞留する。
【0025】
本実施の形態では、溝部10の両端にあたる側の外周を屹立させ、傾斜21および22を形成している。これにより、溝部10に落下し両端へ向かって流れる水分や油分が皿101の外側へ溢れ出すことがない。更に、本実施の形態では、溝部10の長さ方向と直角をなす方向(図中のA−A’方向)の外周も屹立させ、傾斜31および32を形成している。これにより、たとえ落下した水分や油分が溝部10から溢れ出す程度の多量になったとしてもそれらが皿101の外側へ溢れ出すことがない。
【0026】
また、図5に示すように、食品用皿101の溝部10が形成する空隙は、実施の形態1と同様に一般的な箸の箸先200が挿入できる程度の大きさに形成されている。
【0027】
以上のように、本発明の実施の形態における食品用皿は、皿の上に載置された食品を箸で容易にすくうことができる。また、皿の上のあらゆる部分で水分や油分を有効に除去することができる。更に、落下した水分や油分が他の食品に移行することを防止できる。
【0028】
尚、上記の実施の形態では、溝部を略V字の波型形状としたが、これに限定されるものではなく、箸先が入り込む程度の深さであれば、略U字などあらゆる断面形状を有する凹状の溝であってかまわない。また、落下した水分や油分が他の食品に移行することがないので、蕎麦やうどんなどの麺類に限らず、水分を多く含む野菜や料理などを載置してもよいことは言うまでもない。
【0029】
また、皿の周縁部の屹立の程度や形状も上記実施の形態に限定されるものではなく、水分や油分を皿の外へこぼさないようにするものであればどのような形態であってもかまわない。更に、本発明の食品用皿は、陶器や磁器、合成樹脂をベースとして漆を塗装したものなど、あらゆる材質を選択してよい。材質が異なっても上述した機能を十分に発揮できるので、装飾性の高い皿を作製することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明にかかわる食品用皿は、皿の上に載置した食品を箸で容易にすくうことができるという効果を有し、箸ですくいにくい形状の食品や水分や油分を多く含有する食品などの提供において有用である。
【符号の説明】
【0031】
10 溝部
11 頂点
12 谷
21,22 傾斜
31,32 傾斜
100,101 食品用皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平面状の食品の載置面を有する食品用皿であって、
食品と前記載置面との間に箸先を挿入できる程度の細い溝部を、前記載置面上に直線状に連続して形成したことを特徴とする食品用皿。
【請求項2】
前記溝部は、その断面が略V字の波型形状であることを特徴とする請求項1に記載の食品用皿。
【請求項3】
前記溝部は、長さ方向に関して、両端が屹立するように皿の外周が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用皿。
【請求項4】
前記溝部は、長さ方向に関して、中央部が両端部より高い略円弧状となるように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の食品用皿。
【請求項5】
矩形、楕円形、円形などの皿の形状にかかわらず、その周縁部が、皿の中央の前記載置面に比較して高くなるように形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の食品用皿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−259731(P2010−259731A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124670(P2009−124670)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(504204384)有限会社ユイット (32)
【Fターム(参考)】