説明

食品陳列用冷凍冷蔵オ−プンショ−ケスの保冷シャッタ装置

【課題】 食品陳列用のショーケースの保冷シャッタ装置であって、単一及び連装型のショーケースにおいて、その開口部の閉止がほぼ完全に行われ、保冷性に優れ、結露防止ができ構造簡単で操作性,取扱性がよく、静粛で電力が大幅に節減できるショ−ケスの保冷シャッタ装置を提供する。
【解決手段】 ショーケース100の前面の開口部27には保冷膜2が設けられ、保冷膜2は駆動部4(電動式)により駆動される巻軸3に巻回されて配置されると共に連装型の場合には隣接するショーケース100,100間の隙間を閉止する封止膜10がローラ軸11に巻回されて配置される。保冷膜2と封止膜10とは保冷膜2の下端に横架されているウエイトバー5に固定される。以上により駆動部の操作により保冷膜2と封止膜10が同時に昇降して開口部27を閉止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デパートやスーパマーケット等に設けられる食品陳列用冷凍冷蔵ショーケース(以下、ショーケースという)の開口部を閉止して食品を保冷する保冷シャッタ装置に係り、特に、構造簡便で操作性がよく、静粛で省エネルギー効果のあるショ−ケスの保冷シャッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デパートやスーパマーケット等には多くの冷凍冷蔵品を陳列するためのショーケースが設けられている。このショーケースとしては単一のものや連装型のものがある。ショーケースは買物客が頻繁に出入している時間帯には内部に陳列してある食品が取り易いように開口部は開放状態になっている。しかしながら、買物客がいなくなる夜間や休日等においてはショーケース内の冷気が漏れることを防止し省電力を図る必要がある。このためにショーケースの開口部を閉止することが必要であり、種々のシャッタが従来より用いられている。
【0003】
このシャッタとしては従来ではナイトカバー式や樹脂スラット式のものが使用されている。ナイトカバー式のものは安価で軽便であり、従来の殆どのショーケースに装備されているが、省電力効果が低く、かつ破損し易い問題点がある。また、樹脂スラット式のものは省電力効果は大きいが冷気が漏洩し易く、かつ重量も大で操作性が悪く、価格も高く、減価償却期間が長い問題点がある。更に、樹脂スラット式のものは円滑作動のため両端にスラットを案内するガイドが必要となり、その取扱いの煩雑さと保守の難しさがあり、かつスラットが破損し易いという問題点があり、市場であまり歓迎されていない。また、本発明と同一出願人による「特許文献1」に示す保冷シャッタ装置があるが、このものは前記のものに較べて多くの利点を有するものであるが、封止膜の操作性や保冷膜の円滑、かつ静粛な上下動について問題があった。
【特許文献1】実用新案登録第3092740号(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の各種の問題点を解決するもので、構造簡単で、取扱性や操作性がよく、静粛で省電力の効果が高いショ−ケスの保冷シャッタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、食品陳列用冷凍冷蔵オープンショーケース(以下、ショーケースと略称する)の前面開口面を閉止する保冷シャッタ装置であって、該保冷シャッタ装置は、昇降して前記開口面を開放及び閉止する保冷膜と、前記ショーケースの前面上部に横架され前記保冷膜が巻回される巻軸と、該巻軸を駆動して前記保冷膜の昇降を行う駆動部とを備えるものからなることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の発明は、前記ショーケースが、連装型ショーケースにおいて、前記巻軸が単一のもの、又は複数個のものを互いに連結し、駆動部により一体的に駆動することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の発明は、前記ショーケースの左右両側端の側板に前記保冷膜を摺動可能に案内するガイド部が形成されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4の発明は、前記連装型ショーケースにおいて、隣接するショーケースの前記保冷膜間に生ずる隙間を閉止する封止膜が設けられ、該封止膜は、前記巻軸の近傍に配置されるローラ軸に巻回されて配置され、前記保冷膜と封止膜とは保冷膜の下端に横架されるウエイトバーを介して連結され、前記ローラ軸には前記封止膜を巻上げ方向に付勢するスプリングが設けられることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5の発明は、前記ウエイトバーの下端にはシール部材が設けられることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6の発明は、前記ショーケースの上部及び下部には前記保冷膜の巻上げ位置及び巻下げ位置を検出しその検出信号により前記駆動部を停止させる検出部が設けられることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7の発明は、前記保冷膜が、その下方側が厚肉のものからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1のショ−ケスの保冷シャッタ装置によれば、ショーケースの開口部を閉止するための保冷膜が駆動部(電動式)により操作される巻軸に巻回されて昇降する構造からなり、取扱性や操作性の大幅な向上が図れる。また、全体構造がコンパクト、かつ簡単になる。
【0013】
また、本発明の請求項2のショ−ケスの保冷シャッタ装置によれば、ショーケースが連装型の場合において、前記駆動部(電動式)に連結される巻軸が単一又は複数個のものを連結して一体として駆動されるので構造が簡単になり、操作が簡便でコストが安くなる。
【0014】
また、本発明の請求項3のショ−ケスの保冷シャッタ装置によれば、保冷膜の両端と側板との間に保冷膜を案内するガイド部が設けられるため、保冷膜の円滑な昇降が行われると共に保冷膜の両端からの冷気漏洩が防止される。
【0015】
また、本発明の請求項4のショ−ケスの保冷シャッタ装置によれば、連装型のショーケースの保冷膜間に生ずる隙間が封止膜により閉止され、この隙間からの冷気の漏洩が防止されると共にこの封止膜と保冷膜とがウエイトバーを介して互いに連結されているため、このウエイトバーの重量と駆動部の操作により封止膜が保冷膜と同時に円滑に下降し、かつ封止膜のローラ軸に封止膜を巻上げ方向に付勢するスプリングが設けられているため保冷膜と封止膜とは同時に上昇する。
【0016】
また、本発明の請求項5のショ−ケスの保冷シャッタ装置によれば、前記のウエイトバーの下端にシール部材が設けられているため、下降端においてシール部材がショーケースの手摺に接し、この部位からの冷気の漏れを防ぎ、かつウエイトバーの下端位置における衝撃が緩和され、更に静粛な作動が確保される。
【0017】
また、本発明の請求項6のショ−ケスの保冷シャッタ装置によれば、保冷膜の巻上げ位置や巻下げ位置に位置検出の検出部を設け、その検出信号により、上下位置における駆動部の駆動停止が確実に行われ、装置の安全性の向上が図れる。
【0018】
また、本発明の請求項7のショ−ケスの保冷シャッタ装置によれば、保冷膜の下方側を厚肉のものにするため、保冷膜の保冷性の向上と結露の防止が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のショ−ケスの保冷シャッタ装置の実施の形態を図面を参照して詳述する。図1は本発明のショ−ケスの保冷シャッタ装置1を設けたショーケース100を示す。ショーケース100は後板14、側板15(図2)、上板16、下板17で上下左右及び後面を囲み内部に冷凍冷蔵空間18を有するショーケース本体19からなる。このショーケース本体19には、冷気の流通する冷気流通路20と食品を陳列する陳列棚21等が設けられ、冷気流通路20と冷凍冷蔵空間18とを連通させる冷気吹出口22や冷気吸込口23が設けられている。また、冷気流通路20にはファン24やエバポレータ25が設けられている。また、上板16の前面には照明ランプ26が保持される。なお、ショーケース本体19の前面側には開口部27が形成され、下板17の前面側には手摺28が形成されている。
【0020】
本発明のショ−ケスの保冷シャッタ装置1は、ショーケース本体19の前面の開口部27に配置され、この開口部27の閉止や開放を行うものであり、閉止時においては冷凍冷蔵空間18内と外気側とを遮断して冷気の漏洩を防止し、内部の陳列食品の保冷を行うためのものである。
【0021】
ショ−ケスの保冷シャッタ装置1は図1乃至図3に示すようにショーケース本体19の開口部27を閉止するための保冷膜2と、これを巻回するためにショーケース本体19の上板16の前方の近傍に横架される巻軸3と、巻軸3を回転するための駆動部4(電動式)と、保冷膜2の下端に横架されるウエイトバー5等とからなる。なお、図2に示すように、ショーケース本体19の側板15には保冷膜2の端部が挿入されて案内されるガイド6が設けられている。また、ウエイトバー5の下面にはシール部材7が設けられている。また、ショーケース本体19の上部及び下部には保冷膜2の上降位置や下降位置を検出する位置検出部8,9が設けられている。また、図3に示すように隣接する保冷膜2,2間には封止膜10とローラ軸11が設けられている。なお、ローラ軸11には封止膜10を巻上げ方向に付勢するスプリング(図略)が設けられている
【実施例】
【0022】
以上の構造により、駆動部4を操作することにより巻軸3が回転し保冷膜2の昇降が行われる。保冷膜2はガイド6に案内されて円滑に、かつ静粛に昇降し、その昇降位置や下降位置が位置検出部8,9により検出され、その検出信号により駆動部4の作動停止が円滑に行われ、装置の安全性が確保される。また、保冷膜2が下端まで下降した場合、ウエイトバー5のシール部材7が手摺28に接し、下端における冷気の漏洩が防止され、かつ衝撃が緩和される。これにより保冷性の向上と作動の安全性、静粛性が保持される。
【0023】
図2に示したショ−ケスの保冷シャッタ装置1は単一のショーケース100の場合である。図3は連装型のショ−ケスの保冷シャッタ装置1aを示すものである。この場合は、隣接するショーケース100,100との間に隙間29が生じ、そのままではここから内部の冷気が漏洩する。この防止のため、図示のように封止膜10が設けられ、隙間29を閉止すべく機能する。この封止膜10は巻軸3の近傍に配置されている封止膜用のローラ軸11に巻回される。なお、連装型ショーケースの場合、巻軸3は一本のものでもよいが、夫々のショーケースの巻軸3,3を連結手段12(例えば、ユニバーサルジョイント)で連結してもよい。また、図1に示すように、封止膜10のローラ軸11は、図示では巻軸3の後方の下部に配置されているが、これに限定するものではなく、前方に配置されていてもよい。また、保冷膜2は前記のようにその下端をウエイトバー5に固定されているが、図3及び図4に示すように封止膜10もその下軸をウエイトバー5に固定されている。
【0024】
以上の構造により、駆動部4を操作することにより、夫々の巻軸3が回転し保冷膜2及びウエイトバー5が上昇下降することによりウエイトバー5にその下端を固定されている封止膜10も一緒に昇降することになる。即ち、駆動部4の操作により保冷膜2と封止膜10とは同時に昇降し、全自動化が可能になり、操作性、取扱性が大幅に向上する。以上により、ショーケース100の内部からの冷気の漏洩が防止され電力が大幅に節減できる。
【0025】
以上の説明において、保冷膜2や封止膜10については特に記載していないが、極力軽量なものが望ましく、その機能としては保冷性,断熱性,結露防止性が求められ、例えば、合成樹脂系,天然系の繊維,布材等が採用されているが、これに限定するものではない。また、保冷膜2については全体が均一の厚みのものでもよいが、図5に示すようにその下方側が上方側よりも厚肉のものがよい。一般に保冷膜2の結露は上方側に少なく下方側に多い。よって、保冷膜2の下方側を厚肉のものにし、その保冷性を向上させ、結露を防止することが望ましい。
【0026】
ショ−ケスの保冷シャッタ装置を以上の構造のものとしたが、これに限定するものではなく、同一技術範疇のものが採用されることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、食品保冷用のショーケースについて適用したが、それに限定されるものではなく、保冷を必要とする他のショーケースにも適用され、その利用範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のショ−ケスの保冷シャッタ装置を設けたショーケースを示す側断面図。
【図2】単一のショーケースの場合の正面図。
【図3】連装型ショーケースの保冷膜及び封止膜の配置構造を説明するための部分正面図。
【図4】保冷膜とこれを巻回する巻軸と封止膜を巻回するローラ軸との配置を示す模式図。
【図5】下方側を厚肉とする保冷膜を示す模式的斜視図。
【符号の説明】
【0029】
1 単一のショ−ケスの保冷シャッタ装置
1a 連装型のショ−ケスの保冷シャッタ装置
2 保冷膜
3 巻軸
4 駆動部
5 ウエイトバー
6 ガイド
7 シール部材
8 位置検出部
9 位置検出部
10 封止膜
11 ローラ軸
12 連結手段
14 後板
15 側板
16 上板
17 下板
18 冷凍冷蔵空間
19 ショーケース本体
20 冷気流通通路
21 陳列棚
22 冷気吹出口
23 冷気吸入口
27 開口部
28 手摺
29 隙間
100 ショーケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品陳列用冷凍冷蔵オープンショーケース(以下、ショーケースと略称する)の前面開口面を閉止する保冷シャッタ装置であって、該保冷シャッタ装置は、昇降して前記開口面を開放及び閉止する保冷膜と、前記ショーケースの前面上部に横架され前記保冷膜が巻回される巻軸と、該巻軸を駆動して前記保冷膜の昇降を行う駆動部とを備えるものからなることを特徴とするショ−ケスの保冷シャッタ装置。
【請求項2】
前記ショーケースが、複数個のものを並設する連装型ショーケースにおいて、前記巻軸が単一のもの、又は複数個のものを互いに連結し、駆動部により一体的に駆動することを特徴とする請求項1に記載のショ−ケスの保冷シャッタ装置。
【請求項3】
前記ショーケースの左右両側端の側板に前記保冷膜を摺動可能に案内するガイド部が形成されることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のショ−ケスの保冷シャッタ装置。
【請求項4】
前記連装型ショーケースにおいて、隣接するショーケースの前記保冷膜間に生ずる隙間を閉止する封止膜が設けられ、該封止膜は、前記巻軸の近傍に配置されるローラ軸に巻回されて配置され、前記保冷膜と封止膜とは保冷膜の下端に横架されるウエイトバーを介して連結され、前記ローラ軸には前記封止膜を巻上げ方向に付勢するスプリングが設けられることを特徴とする請求項2に記載のショ−ケスの保冷シャッタ装置。
【請求項5】
前記ウエイトバーの下端にはシール部材が設けられることを特徴とする請求項4に記載のショ−ケスの保冷シャッタ装置。
【請求項6】
前記ショーケースの上部及び下部には前記保冷膜の巻上げ位置及び巻下げ位置を検出しその検出信号により前記駆動部を停止させる検出部が設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のショ−ケスの保冷シャッタ装置。
【請求項7】
前記保冷膜が、その下方側が厚肉のものからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のショ−ケスの保冷シャッタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−149589(P2006−149589A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343343(P2004−343343)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(301080921)
【出願人】(504439687)
【Fターム(参考)】