説明

食器乾燥機

【課題】乾燥物の除菌を好適に行う食器乾燥機を提供する。
【解決手段】本体10と、本体10を覆い本体10とともに乾燥室21を形成する蓋体11と、乾燥室21に設置され被乾燥物を収納する食器カゴと、乾燥室21に向けて空気を送風する送風機と、空気を加熱するヒータと、静電ミストを発生させ乾燥室21内に供給する静電ミスト発生装置43とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、食器乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、食器乾燥機は洗浄後の食器を乾燥する機能に限らず、種々の付加機能を有するものが知られている。例えば、食器乾燥室内に供給可能なミストを発生させる電解ミスト発生装置を有するものが知られている。この電解ミスト発生装置を備えた食器乾燥機は、食器乾燥室内にカビなどの雑菌が繁殖することを防ぐとともに、被乾燥物の除菌効果を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−239200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電解ミスト発生装置を備えた食器乾燥機は、電気分解により気泡を発生させるための気泡発生部材や貯水タンク、空気を供給するためのポンプが必要であった。このため、ミスト発生装置を備えたことによる大型化、構成の複雑化が避けられなかった。具体的には、ミスト発生装置を収納するスペース確保により食器乾燥室の容量が小さくなったり、食器乾燥室の容量を確保しようとすると食器乾燥機のコンパクト化が困難になったりするという課題があった。
【0005】
また、電解ミスト発生装置への給水などのメンテナンスの面においても、使用者の使用性などに対する十分な配慮がなされていないという課題があった。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、乾燥物の除菌を好適に行う食器乾燥機を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明に係る食器乾燥機の他の目的は、使用者の使用性を向上させ、また機体のコンパクト化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の食器乾燥機によれば、本体と、前記本体を覆い前記本体とともに乾燥室を形成する蓋体と、前記乾燥室に設置され被乾燥物を収納する食器カゴと、前記乾燥室に向けて空気を送風する送風機と、前記空気を加熱するヒータと、静電ミストを発生させ前記乾燥室内に供給する静電ミスト発生装置とを備えた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る食器乾燥機の一実施形態を示す外観斜視図。
【図2】図1の食器乾燥機に対して食器カゴが未設置である場合の外観斜視図。
【図3】食器乾燥機の乾燥室内における排水の様子を特に示す正面の断面図。
【図4】食器乾燥機の本体内部を示す平面図。
【図5】本発明に係る食器乾燥機の一実施形態を示す機能ブロック図。
【図6】食器乾燥機に設けられた操作部の一例を示す図。
【図7】引出および静電ミスト発生装置の外観を示す斜視図。
【図8】静電ミスト発生装置の分解斜視図。
【図9】本体内部と静電ミスト発生装置との関係を説明する食器乾燥機の側面の断面図。
【図10】本実施形態における食器乾燥機の各運転コースの一例を説明するチャート図。
【図11】本実施形態における食器乾燥機により実行される電源投入(ON)後処理を説明するフローチャート。
【図12】本実施形態における食器乾燥機により実行される乾燥運転処理を説明するフローチャート。
【図13】本実施形態における食器乾燥機により実行される除菌運転処理を説明するフローチャート。
【図14】図13に続く除菌運転処理を説明するフローチャート。
【図15】本実施形態における食器乾燥機により実行される静電ミスト発生装置設置通知処理を説明するフローチャート。
【図16】静電ミスト発生装置の給水構造の変形例を示す正面縦断面図。
【図17】静電ミスト発生装置の給水構造の変形例を示す側面縦断面図。
【図18】静電ミスト発生装置を乾燥室に設けた場合の食器乾燥機の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る食器乾燥機の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る食器乾燥機の一実施形態を示す外観斜視図である。
【0012】
図2は、図1の食器乾燥機に対して食器カゴが未設置である場合の外観斜視図である。
【0013】
図3は、食器乾燥機の乾燥室内における排水の様子を特に示す正面の断面図である。
【0014】
図4は、食器乾燥機の本体内部を示す平面図である。
【0015】
図5は、本発明に係る食器乾燥機の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【0016】
なお、図1は蓋体11が閉じた状態、図2は蓋体11が開いた状態を示す。
【0017】
本実施形態における食器乾燥機1は、主に本体10、蓋体11、食器カゴ12および操作部14を備える。本体10と蓋体11とは乾燥室21を形成する。食器カゴ12は、この乾燥室21に配置され、食器などの被乾燥物を収納する。
【0018】
蓋体11は、ヒンジ22により本体10に支持された透明合成樹脂製の固定蓋体11aと前面蓋体11bと中間蓋体11cとからなる。固定蓋体11aは本体10に固定される。一方、前面蓋体11bと中間蓋体11cとはヒンジ22を軸に順次回転する。図2に示すように、蓋体11は、開いた状態においては重なり合って収納される。また、図1に示すように、蓋体11は閉じた状態においては前面蓋体11bと中間蓋体11cとが食器乾燥機1手前に順次回転し、乾燥室21を密閉する。
【0019】
なお、本実施形態においては、蓋体11の開口部側を手前(正面)側、蓋体11の固定部側を奥側という。また、手前側および奥側と直交する面を、それぞれ側面という。
【0020】
食器カゴ12は、例えばステンレス製であり、乾燥室21に取り外し自在に配置される。また、食器カゴ12内には、箸やスプーンなどの食器を立てて収納するスタンド13が配置される。
【0021】
本体10は、例えば合成樹脂製の矩形の容器状をなし、乾燥室21底面を形成する仕切板32によって本体10内部と乾燥室21とが仕切られている。なお、本体10内部は、乾燥室21以外の空間であり、仕切板32より下部をいう。図3に示すように、仕切板32は、乾燥室21で発生した水分(被乾燥物に付着した水分)を本体10内部に排水する排水孔33を有する。仕切板32は、排水孔33に水分を流れ込ませるため、排水孔33が設けられた位置が最も低くなる(本体10の底面に近くなる)ような傾斜を有する。排水孔33から排水された水分は、本体10内部に配置された水受カップ34に回収される。
【0022】
図2に示すように、本体10は、食器乾燥機1の図示右手前側に引出41を有する。引出41には、静電ミスト発生装置43を収納する収納室41aおよび送風機44の吸気口41bが設けられる。静電ミスト発生装置43は、被乾燥物および乾燥室21の除菌作用を有する静電ミストを発生させる装置である。この静電ミスト発生装置43および引出41の構成については後述する。
【0023】
なお、食器乾燥機1は、引出41に静電ミスト発生装置43の収納室41aと吸気口41bとを一体に備えるため、部品点数を削減できる。また、静電ミスト発生装置43(引出41)は、本体10内部において送風機44およびヒータ45を介して排水孔33(水受カップ34)と対向する位置に配置されるのが好ましい。例えば、図4に示すように、静電ミスト発生装置43が本体10内部の右側、排水孔33が左側に設けられる。静電ミスト発生装置43を設けたこと、および他の本体10の内部構成物との関係により、排水孔33近傍に設置される水受カップ34の容量を減少させないためである。
【0024】
図4に示すように、本体10内部には送風機44、ヒータ45、静電ミスト発生装置43が主に設けられる。
【0025】
送風機44は、モータ44aとこのモータ44aにより回転するファン44bを備える。送風機44は、引出41に設けられた吸気口41bより吸気された空気をヒータ用風路47および静電ミスト用風路48に送風する。ヒータ用風路47および静電ミスト用風路48は、本体10内部に設けられる。ヒータ用風路47は、ヒータ45に空気を送風するための風路である。静電ミスト用風路48は、静電ミスト発生装置43に空気を送風するための風路である。静電ミスト用風路48は、静電ミストを乾燥室21に運ぶために十分な量の送風を行うことができればよいため、ヒータ用風路47よりも風量が小さくなるように構成される。
【0026】
ヒータ45により加熱された空気は、ヒータ用風路47から送風された空気によって温風吹出口49(図2参照)より吹き出され、乾燥室21の被乾燥物を乾燥させる。また、静電ミスト発生装置43で発生した静電ミストは静電ミスト用風路48から送風された空気とともに静電ミスト吹出口50(図2参照)より吹き出される。この静電ミストは、乾燥室21内に供給されて被乾燥物および乾燥室21を除菌する。
【0027】
なお、静電ミスト用風路48は、風路幅を可変式にし、風路幅の調整により風量を調整するようにしてもよい。ヒータ用風路47と静電ミスト用風路48は、ヒータ45の下流で分岐してもよい。ヒータ用風路47と静電ミスト用風路48は、独立ではなく共通の風路であってもよい。この場合、静電ミスト発生装置43をヒータ45よりも下流側に配置させることが好ましい。
【0028】
図2に示すように、本体10は、温風吹出口49を乾燥室21の奥壁面10aに、静電ミスト吹出口50を右側壁面10bに有する。静電ミスト吹出口50は、温風吹出口49(温風吹出口49が設けられた奥壁面10a)の近傍に設けられるのが好ましい。静電ミスト吹出口50から吹き出された静電ミストが温風吹出口49から吹き出された温風によって運ばれるため、静電ミストを乾燥室21内に充満させることができ、除菌性能を高く保つことができる。なお、温風吹出口49と静電ミスト吹出口50とは、同一平面(例えば乾燥室21の奥壁面10a)に設けてもよい。
【0029】
また、温風吹出口49と静電ミスト吹出口50は、本体10における食器カゴ12の食器載置面より下方位置であって、食器カゴ12底面と仕切板32との間に配置される。被乾燥物などの障害物が存在しないため、温風吹出口49と静電ミスト吹出口50は、温風および静電ミストを効率よく乾燥室21内全体に充満させることができる。
【0030】
本体10には使用者が各種指示入力を行うための操作部14が設けられる。
【0031】
図6は、食器乾燥機に設けられた操作部の一例を示す図である。
【0032】
操作部14は、入/切ボタン51、乾燥時間設定ボタン53aおよび除菌乾燥ボタン53bを備える。入/切ボタン51は、食器乾燥機1の電源を入れたり切ったりする指示を受け付ける。乾燥時間設定ボタン53aは、乾燥運転の運転時間の設定を受け付ける。乾燥時間設定ボタン53aは、入力を受け付けるごとに例えば20分、40分、60分と設定値が変化する。除菌乾燥ボタン53bは、温風による乾燥のみを行う「乾燥運転コース」と、温風による乾燥と静電ミストによる除菌とを行う「乾燥・除菌運転コース」との2つの運転コースを切り替える指示を受け付ける。各運転コースの詳細な説明は後述する。
【0033】
操作部14は、給水確認ランプ54、乾燥運転ランプ55および除菌運転ランプ56を有する。給水確認ランプ54は、静電ミスト発生装置43のタンク61に対する給水を通知するランプである。乾燥運転ランプ55は、乾燥運転の運転時間を通知するランプである。乾燥運転ランプ55は、設定された運転時間が20分であることを示す20分ランプ55a、40分であることを示す40分ランプ55b、60分であることを示す60分ランプ55cを有する。除菌運転ランプ56は、乾燥運転とともに除菌運転が行われる旨を示すランプである。各ランプの点灯制御は、制御部31により行われる。
【0034】
図5に示すように、食器乾燥機1は、タイマ58、メモリ59および電源投入検知部60を有する。タイマ58は、後述する乾燥運転および除菌運転を行う際に必要な時間などの計測を行う。メモリ59は、前回の運転コースや静電ミスト発生装置43が設置されてからの経過期間を記憶する。電源投入検知部60は、電源プラグ(図示せず)が家庭用コンセントに差し込まれ、食器乾燥機1に電源が投入されたか否かを検知する。
【0035】
次に、引出41およびこの引出41に収納された静電ミスト発生装置43について説明する。
【0036】
図7は、引出および静電ミスト発生装置の外観を示す斜視図である。
【0037】
送風機44の吸気口41bは、引出41の手前側に設けられる。吸気口41bには、吸気フィルタ42が取り外し可能に配置される。静電ミスト発生装置43を収納する収納室41aは、引出の奥側に設けられる。静電ミスト発生装置43は、収納室41aから取り外し可能に配置される。
【0038】
図8は、静電ミスト発生装置の分解斜視図である。
【0039】
静電ミスト発生装置43は、主にタンク61、汲水芯62、保水体63、接続電極64、ミスト発生電極65を備える。
【0040】
タンク61は、水道水などの水を所定量貯水する。タンク61は、パッキン66を介してタンク蓋67により密閉される。タンク蓋67は、タンク61に対して取り外し可能になっており、使用者により適宜給水が可能である。タンク蓋67には、挿通孔67aが設けられる。ミスト発生電極ケース68に保持された汲水芯62は、この挿通孔67aからタンク61内の水に浸される。ミスト発生電極ケース68には、吸水性および保水性を有する保水体63が配置される。保水体63は汲水芯62と接しており、汲水芯62によりタンク61から汲まれた水を保持する。保水体63は、例えばセラミックス材料、合成樹脂材料もしくは金属材料の多孔体、または繊維体により形成される。
【0041】
ミスト発生電極65は、保水体63に対して上部に突出するように配置される。ミスト発生電極65は、ミスト発生電極台69に保持された状態で配置される。ミスト発生電極65は、棒状体に形成され、例えばセラミックス繊維、有機繊維、金属繊維により形成される。ミスト発生電極65は、静電ミストの放出量に応じて複数本設けられる。なお、食器乾燥機1の高さ方向に伸びたミスト発生電極65および汲水芯62の高さは、食器乾燥機1機体の寸法に影響を及ぼす。このため、ミスト発生電極65および汲水芯62の高さをできる限り抑制することにより、食器乾燥機1機体の高さを抑制できコンパクト化を実現することができる。ミスト発生電極65は、例えば14mm以下の高さであることが好ましい。汲水芯62は、例えば35mm以下の高さであることが好ましい。
【0042】
ミスト発生電極ケース68には、高電圧電源71の負極と接続可能な接続電極64が保持される。接続電極64は保水体63に接続され、保水体63を負に帯電させる。高電圧電源71は、例えば4〜10kV程度のDCマイナス電圧を発生させる電源であり、食器乾燥機1の本体10内部の所定位置に配置される。
【0043】
静電ミスト発生装置43のタンク蓋67より上部の構成(ミスト発生電極ケース68、汲水芯62、保水体63、ミスト発生電極台69、ミスト発生電極65および接続電極64)は、電極カバー70により覆われる。電極カバー70は、引出41の挿入方向に伸びた接続電極64をカバーする突起部70aを有する。この突起部70aは、本体10内に設けられた静電ミスト発生装置検知スイッチ74(後述)と接触し、静電ミスト発生装置43の設置の有無を検知させる構造(機能)を有する。電極カバー70に静電ミスト発生装置検知スイッチ74と接触する構造を持たせることで、構造の簡素化を図ることができる。
【0044】
なお、静電ミスト発生装置43の構成については、例えば特開2006−212156号公報(機能性成分含有ミストの発生装置)および特開2008−212887号公報(静電霧化装置)に記載された技術を適用することができる。
【0045】
図9は、本体内部と静電ミスト発生装置との関係を説明する食器乾燥機の側面の断面図である。
【0046】
本体10内部には、高電圧電源71の負極と接続された接続端子72が接続電極64に対応する位置に配置される。接続端子72は、安全上の観点から接続端子ケース75に覆われている。また、接続端子ケース75よりさらに本体10内部の奥側には、静電ミスト発生装置43が引出41とともに本体10に設置されたことを検知する静電ミスト発生装置検知スイッチ74(検知部)が設けられる。
【0047】
静電ミスト発生装置検知スイッチ74は、スイッチシャフト76およびマイクロスイッチ77を備える。スイッチシャフト76は、引出41の出し入れ方向(図9の矢印A方向)に移動可能となっている。スイッチシャフト76は、静電ミスト発生装置43が設置されて電極カバー70の突起部70aにより本体10奥方向(図示右方向)に押し出されると、マイクロスイッチ77のレバーに接触する。これによりマイクロスイッチ77はオンし、静電ミスト発生装置43の装着を検知する。
【0048】
静電ミスト発生装置43は、引出41とともに本体10に設置されると、接続電極64が接続端子72と接触する。また、電極カバー70の突起部70aがスイッチシャフト76と接触しマイクロスイッチ77により静電ミスト発生装置43の設置が検知される。すると、高電圧電源71の負極に接続された接続電極64に電圧が印加される。接続電極64に接続された保水体63が負に帯電されると、電流は最も放電しやすい場所を求めて流れる。通常、電子は先端がとがっている場所や金属など通電性に優れた場所に集まる性質を有する。このため、電子はミスト発生電極65へと集まる。すると、ミスト発生電極65において自然放電現象が起こり、その放電作用でイオン風が発生する。このイオン風を利用し、水はピコサイズまたはナノサイズ(500pm〜5000pm程度)の目に見えない微細なミストとしてミスト発生電極65から空気中に放出される。
【0049】
次に、食器乾燥機1の運転コースについて説明する。
【0050】
図10は、本実施形態における食器乾燥機の各運転コースの一例を説明するチャート図である。
【0051】
乾燥運転コースは、ヒータ45により加熱されて送風機44より送風された空気(温風)により被乾燥物を乾燥させる温風運転と、送風機44より送風された空気で乾燥物を冷却させる冷却運転とからなるコースである。例えば、乾燥運転コースは、運転開始からヒータ45および送風機44がONされて温風運転が50分間継続され、その後(運転終了10分前)ヒータ45がOFFされて冷却運転が10分間継続される(全体で60分)。乾燥運転コースにおいては、静電ミスト発生装置43はOFFされたままである。
【0052】
乾燥・除菌運転コースは、温風運転と冷却運転に加え静電ミストを吹き出す除菌運転を行うコースである。例えば、乾燥・除菌運転コースは、乾燥運転から10分後に静電ミスト発生装置43がONされて除菌運転が40分間継続され、その後(運転終了10分前)静電ミスト発生装置43がOFFされる。乾燥・除菌運転コースにおけるヒータ45および送風機44の動作は、乾燥運転コースと同様である。
【0053】
ここで、制御部31は、各ボタンに対する使用者からの指示に基づいて、乾燥運転コースと乾燥・除菌運転コースとの切り替えや各ランプの点灯制御を行う。食器乾燥機1に電源が供給された後、制御部31の制御に基づいて行われる食器乾燥機1の詳細な動作について説明する。
【0054】
図11は、本実施形態における食器乾燥機により実行される電源投入(ON)後処理を説明するフローチャートである。
【0055】
ステップS1において、制御部31は、食器乾燥機に電源が投入されたか否かの判定を行う。具体的には、制御部31は、電源投入検知部60により電源が投入されたことを検知したか否かの判定を行う。制御部31は、電源が投入されていないと判定した場合(ステップS1のNO)、電源が投入されるまで待機する。
【0056】
一方、制御部31は、電源が投入されたと判定した場合(ステップS1のYES)、ステップS2において、食器乾燥機1を待機状態にする。待機状態は、送風機44、ヒータ45がONであり、各ランプ(給水確認ランプ54、乾燥運転ランプ55、除菌運転ランプ56)が消灯の状態である。ステップS3において、制御部31は、入/切ボタン51がONされたか否かの判定を行う。制御部31は、入/切ボタン51が依然としてOFF状態であると判定した場合(ステップS3のNO)、電源判定ステップS1に戻り以降の処理を繰り返す。
【0057】
一方、制御部31は、入/切ボタン51がONされたと判定した場合(ステップS3のYES)、ステップS4において、静電ミスト発生装置43が設置されたか否かの判定を行う。具体的には、制御部31は、静電ミスト発生装置検知スイッチ74が静電ミスト発生装置43の設置を検知したか否かの判定を行う。制御部31は、静電ミスト発生装置43が設置されたと判定した場合(ステップS4のYES)、乾燥運転処理(図12)へ進む。一方、制御部31は、静電ミスト発生装置が設置されていないと判定した場合(ステップS4のNO)、正常に乾燥・除菌運転コースを行うことができないため、静電ミスト発生装置設置43の設置を促す静電ミスト発生装置設置通知処理(図15)へ進む。
【0058】
図12は、本実施形態における食器乾燥機により実行される乾燥運転処理を説明するフローチャートである。
【0059】
使用者は前回と同様の運転コースを選択することが多いため、食器乾燥機1は、利便性を良くするために入/切ボタン51がONされると前回の運転コースを自動的に運転するようにしている。具体的には、ステップS11において、制御部31は、前回の運転コースがメモリ59に記憶されているか否かの判定を行う。制御部31は、前回の運転コースがメモリ59に記憶されていると判定した場合(ステップS11のYES)、ステップS12において、記憶されているコースは乾燥運転コースであるか否かの判定を行う。制御部31は、記憶されているコースが乾燥運転コースではない、すなわち除菌運転コースであると判定した場合(ステップS12のNO)、除菌運転処理(図13)へ進む。制御部31は、記憶されているコースが乾燥運転コースであると判定した場合(ステップS12のYES)、ステップS13において、ヒータ45、送風機44をONにする。また、制御部31は、前回の乾燥コースの運転時間に対応する乾燥運転ランプ55を点灯させる。その後、処理はステップS16に進む。
【0060】
制御部31は、ステップS11において前回の運転コースがメモリ59に記憶されていないと判定した場合(ステップS11のNO)、ステップS14において、ヒータ45、送風機44をONにして温風運転を開始する。また、制御部31は、ここでは初期設定として運転時間20分を示す20分ランプ55aを点灯させる。
【0061】
ステップS15において、制御部31は、運転時間などの時間を計測するためのタイマ58をリセットする。ステップS16において、制御部31は、温風運転に設定された運転時間が経過したか否かの判定を行う。温風運転に設定された時間は、例えば運転開始から運転終了10分前までの時間である。制御部31は、温風運転に設定された運転時間が経過したと判定した場合(ステップS16のYES)、加温された食器等を冷却させるために、ステップS17において、送風機44をONに維持し、ヒータ45をOFFにして冷却運転を開始する。また、制御部31は、点灯中の乾燥運転ランプ55を点滅させる。使用者に冷却運転中である旨を通知するためである。
【0062】
ステップS18において、制御部31は、今回の運転コースをメモリ59に記憶する。制御部31は、冷却運転に設定された時間(例えば10分)が経過すると、電源ON後処理(図11)の待機ステップ2へ戻り、乾燥運転を終了する。
【0063】
一方、使用者は、食器の量等に応じて運転開始直後や運転途中に乾燥時間の変更を望むことがあるため、適宜、乾燥時間を変更できるようになっている。具体的には以下のステップ(S16、S19、S20〜S23)により行う。
【0064】
制御部31は、温風運転に設定された運転時間が経過していないと判定した場合(ステップS16のNO)、ステップS19において、乾燥時間設定ボタン53aにより乾燥運転時間を設定する操作が行われたか否かの判定を行う。
【0065】
制御部31は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われたと判定した場合(ステップS19のYES)、ステップS20において、乾燥運転時間が40分に設定されたか否かの判定を行う。制御部31は、乾燥運転時間が40分に設定されたと判定した場合(ステップS20のYES)、ステップS23に進む。制御部31は、乾燥運転時間が40分に設定されていないと判定した場合(ステップS20のNO)、ステップS21において、乾燥運転時間が60分に設定されたか否かの判定を行う。制御部31は、乾燥運転時間が60分に設定されたと判定した場合(ステップS21のYES)、ステップS23に進む。制御部31は、乾燥運転時間が60分に設定されていないと判定した場合(ステップS21のNO)、ステップS22において、乾燥運転時間が20分に設定されたか否かの判定を行う。制御部31は、乾燥運転時間が20分に設定されていないと判定した場合(ステップS22のNO)、ステップS20に戻り乾燥時間が設定されるまでステップS20〜ステップS22を繰り返す。
【0066】
制御部31は、乾燥運転時間が設定されたと判定した場合(ステップS20〜S22のYES)、ステップS23において、ヒータ45および送風機44をONに維持する。また、制御部31は、設定された乾燥時間に応じた乾燥運転ランプ55を点灯させる。その後、処理はステップS16に戻る。
【0067】
一方、使用者は、乾燥・運転コースの運転開始直後や運転途中に、除菌・乾燥運転コースに運転の切替えを望むことがあるため、適宜、運転コースの変更をできるようにするために、制御部31はステップS19において乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われていないと判定した場合(ステップS19のNO)、ステップS24において、除菌乾燥ボタン53bがONされたか否かの判定を行う。制御部31は、除菌乾燥ボタン53bがONされたと判定した場合(ステップS24のYES)、除菌運転処理(図13)へ進む。
【0068】
このとき、制御部31は、除菌乾燥ボタン53bがONされていないと判定した場合(ステップS24のNO)、ステップS25において、静電ミスト発生装置43が外されたか否かの判定を行う。制御部31は、静電ミスト発生装置43が外されていないと判定した場合(ステップS25のNO)、ステップS16に戻り以降の処理を繰り返す。制御部31は、静電ミスト発生装置43が外されたと判定した場合(ステップS25のYES)、正常に除菌・乾燥運転コースを行なうことができないため、静電ミスト発生装置設置通知処理(図15)に進む。
【0069】
図13は、本実施形態における食器乾燥機により実行される除菌運転処理を説明するフローチャートである。
【0070】
図14は、図13に続く除菌運転処理を説明するフローチャートである。
【0071】
ステップS31において、制御部31は、電源投入後(電源ON後処理(図11)のステップS1のYES)、静電ミスト発生装置43が外された後、再度設置されたか否かの判定を行う。このステップS31は、食器乾燥機1が水量センサーや重量センサーを有していない形態の場合、静電ミスト発生装置43のタンク61に貯水されていることを直接的に検知することができないため、静電ミスト発生装置43が外されたか否かで、間接的にタンク61に給水が行われたか否かを判定するための処理である。すなわち、静電ミスト発生装置43が外された後設置されなければタンク61に給水されることは無く、正常な運転を行なうことができない。このため、制御部31は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されていないと判定した場合(ステップS31のNO)、ステップS33に進む。
【0072】
一方、制御部31は、電源投入後静電ミスト発生装置43が外された後設置されたと判定した場合(ステップS31のYES)、ステップS32において、静電ミスト発生装置43が設置されてから所定期間(ここでは1週間)経過したか否かの判定を行う。このステップS32は、水量センサーや重量センサーを有していない形態の場合、静電ミスト発生装置43のタンク61に貯水されていることを直接的に検知することができないため、所定期間を経過したことで、間接的にタンク61内の水が空になったか否かを判定するための処理である。このため、この所定期間は、例えば通常の使用(例えば1日3回運転)を行った場合に、タンク61内の水が完全に空にならない期間に設定していることが好ましい。
【0073】
ここで、制御部31は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されると、設置されてからの経過時間をタイマ58により計測し、所定期間経過すると使用者に通知を行う。この通知により、タンク61内の水が空になる前に給水の必要を使用者に知らせることができるとともに、除菌乾燥運転コースの未実施期間が長くなった場合などにおいても、定期的に給水を促すことで、タンク61内の水の交換が行われ、タンク61内を清潔に保つことができる。この通知は、具体的には、制御部31により、静電ミスト発生装置43が設置されてから1週間経過したと判定した場合(ステップS32のYES)、ステップS33において、給水確認ランプ54を点滅させて行う。
【0074】
次に、ステップS34において、制御部31は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されたか否かの判定を行う。制御部31は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されたと判定した場合(ステップS34のYES)、タンク61内に給水がなされたとみなして電源ON後処理(図11)の待機ステップS2に戻り、制御部31は、送風機44およびヒータ45をOFFにし、各ランプを消灯する。
【0075】
制御部31は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されていないと判定した場合(ステップS34のNO)、タンク61内に給水されることはないため、ステップS35において、乾燥時間設定ボタン53aにより乾燥運転時間を設定する操作が行われたか否かの判定を行う。制御部31は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われたと判定した場合(ステップS35のYES)、除菌・乾燥運転コースは正常に行うことはできないかもしれないが、タンク61内に貯水されていなくても乾燥運転コースは正常に行うことができるため、乾燥運転処理(図12)の運転時間設定ステップS20へ進む。制御部31は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われた場合には、使用者は乾燥・除菌運転コースをキャンセルし、乾燥運転コースを行うことを意図しているとみなす。
【0076】
一方、制御部31は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われていないと判定した場合(ステップS35のNO)、ステップS36において、給水確認ランプ54の点滅から所定時間T1(例えば10分)が経過したか否かの判定を行う。制御部31は、時間T1が経過していないと判定した場合(ステップS36のNO)、使用者に給水が必要であることを継続して知らせるために、ステップS34に戻り以降の処理を繰り返す。一方、制御部31は、時間T1が経過したと判定した場合には(ステップS36のYES)、使用者がその場を離れているなどこれ以上通知を継続する必要がないと判断して、電源ON後処理(図11)の待機ステップ2に戻り、給水確認ランプ54の点滅を停止する。
【0077】
制御部31は、ステップS32において電源投入後、静電ミスト発生装置43が設置されてから1週間経過していないと判定した場合(ステップS32のNO)、ステップS37において、ヒータ45および送風機44をONに維持し、除菌運転ランプ56を点灯して乾燥・除菌運転コースをスタートする。ステップS38において、制御部31は、静電ミスト発生装置43が外されたか否かの判定を行う。制御部31は、静電ミスト発生装置43が外されたと判定した場合(ステップS38のYES)、正常な運転を行なうことができないため、ステップS39において、ヒータ45および送風機44をOFFにする。また、制御部31は、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は静電ミスト発生装置設置通知処理(図15)に進む。
【0078】
制御部31は、ステップS38において静電ミスト発生装置43が外されていないと判定した場合(ステップS38のNO)、ステップS40において、乾燥時間設定ボタン53aにより乾燥運転時間を設定する操作が行われたか否かの判定を行う。制御部31は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われたと判定した場合(ステップS40のYES)、ステップS41において、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は乾燥運転処理(図12)の運転時間設定ステップS20へ進む。
【0079】
一方、制御部31は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われていないと判定した場合(ステップS40のNO)、ステップS42において、温風運転開始から(ヒータ45および送風機44がONされてから)所定時間T2が経過したか否かの判定を行う。この所定時間T2は、温風運転を開始してから(乾燥運転処理(図12)のタイマリセットステップS15から)除菌運転を開始するまでの予め設定された時間であり(図10においては10分)、除菌運転の開始を判定するための時間である。制御部31は、時間T2が経過していないと判定した場合(ステップS42のNO)、ステップS38に戻る。
【0080】
一方、制御部31は、時間T2が経過したと判定した場合(ステップS42のYES)、図14に示すように、ステップS43において、静電ミスト発生装置43をONにする。すなわち、制御部31は、乾燥運転と並行して除菌運転を開始する。ここで、除菌・乾燥運転コースを開始してから時間T2後に静電ミスト発生装置43を開始する理由は、静電ミストは金属製の食器類や食器カゴ12に帯電するが、高湿の状態ではその帯電量が少なくなることを出願人は発見したため、除菌運転前に温風運転により乾燥室21内を高湿の状態にするためである。ステップS44において、制御部31は、静電ミスト発生装置43が外されたか否かの判定を行う。制御部31は、静電ミスト発生装置43が外されたと判定した場合(ステップS44のYES)、正常な運転を行なうことができないため、ステップS39(図13)においてヒータ45、送風機44および静電ミスト発生装置43をOFFにする。また、制御部31は、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は静電ミスト発生装置設置通知処理(図15)に進む。
【0081】
一方、制御部31は、静電ミスト発生装置43が外されていないと判定した場合、(ステップS44のNO)、ステップS45において、乾燥時間設定ボタン53aにより乾燥運転時間を設定する操作が行われたか否かの判定を行う。制御部31は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われたと判定した場合(ステップS45のYES)、ステップS41(図13)において、静電ミスト発生装置43をOFFにする。また、制御部31は、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は乾燥運転処理(図12)の運転時間設定ステップS20へ進み、乾燥運転へ移行する。食器乾燥機1は乾燥時間設定ボタン53aの操作が行なわれた場合、使用者は乾燥・除菌運転コースをキャンセルして乾燥運転コースで運転させることを意図しているとみなすためである。
【0082】
制御部31は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われていないと判定した場合(ステップS45のNO)、ステップS46において、除菌運転が開始されてから(静電ミスト発生装置43がONされてから)所定時間T3が経過したか否かの判定を行う。この所定時間T3は、除菌運転の終了を判定するための予め設定された時間である(図10においては40分)。制御部31は、除菌運転が開始されてから時間T3が経過していないと判定した場合(ステップS46のNO)、ステップS44に戻る。
【0083】
制御部31は、除菌運転が開始されてから時間T3が経過したと判定した場合(ステップS46のYES)、ステップS47において、ヒータ45および静電ミスト発生装置43をOFFにする。すなわち、制御部31は、冷却運転を開始する。ここで、出願人は、予め乾燥室21内を高温・高湿にすることで金属製の食器類や食器カゴ12などの帯電量が小さくなる現象を発見した。しかし、高湿の状態でイオンを発生させたとしても、金属製の食器類や食器カゴ12などには人には感じない程度の微量な帯電が残留している可能性がある。そこで、この冷却運転は加温された食器などを冷却するためのものであるが、イオン発生装置43もOFFすることにより冷却運転と並行してこの帯電を自然放電させ、使用者に対する安全性を高めるためている。
【0084】
ステップS48において、制御部31は、静電ミスト発生装置43が外されたか否かの判定を行う。制御部31は、静電ミスト発生装置43が外されたと判定した場合(ステップS48のYES)、正常な運転が行なえないため、ステップS39(図13)において送風機44をOFFにする。また、制御部31は、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は静電ミスト発生装置設置通知処理(図15)に進む。
【0085】
一方、制御部31は、静電ミスト発生装置43が外されていないと判定した(ステップS48のNO)、ステップS49において、乾燥時間設定ボタン53aにより乾燥運転時間を設定する操作が行われたか否かの判定を行う。制御部31は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われたと判定した場合(ステップS49のYES)、ステップS41(図13)において、除菌運転ランプ56を消灯する。その後、処理は乾燥運転処理(図12)の運転時間設定ステップS20へ進む。
【0086】
制御部31は、乾燥時間設定ボタン53aの操作が行われていないと判定した場合(ステップS49のNO)、ステップS50において、冷却運転開始から(ヒータ45および静電ミスト発生装置43がOFFされてから)所定時間T4が経過したか否かの判定を行う。この所定時間T4は、冷却運転の終了を判定するための予め設定された時間である(図10においては10分)。制御部31は、冷却運転が開始されてから時間T4が経過していないと判定した場合(ステップS50のNO)、ステップS48に戻る。
【0087】
一方、制御部31は、時間T4が経過したと判定した場合、ステップS51において、今回の運転コースをメモリ59に記憶する。その後、処理は電源ON後処理(図11)の待機ステップS2に戻り、乾燥・除菌運転コースを終了する。
【0088】
図15は、本実施形態における食器乾燥機により実行される静電ミスト発生装置設置通知処理を説明するフローチャートである。
【0089】
ステップS61において、制御部31は、給水確認ランプ54を点滅させる。制御部31は、静電ミスト発生装置検知スイッチ74の検知に基づき静電ミスト発生装置43が設置されていないと判断した場合、例えば操作部14の除菌運転ランプ56を点滅させることにより使用者に通知する。これにより使用者は、乾燥・除菌運転コースが行い得ない状況であることを目視で容易に確認することができる。なお、静電ミスト発生装置43が設置されていない場合は、静電ミスト発生装置43が収納されていない引出41が本体に挿入された場合や、引出41そのものが挿入されていない場合を含む。また、給水確認ランプ54の点滅は、電源が供給された状態で開始すればよく、上記のように入/切ボタン51がONされてからだけでなく、電源が投入されていれば静電ミスト装置43の設置状態に応じて(ステップS1、S4)点滅を開始してもよい。
【0090】
ステップS62において、静電ミスト発生装置43が外された後設置されたか否かの判定を行う。制御部31は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されていないと判定した場合(ステップS62のNO)、ステップS63において、給水確認ランプ54の点滅から所定時間T5(例えば10分)が経過したか否かの判定を行う。この所定時間T5は、使用者がその場を離れているなどこれ以上通知を継続する必要がないかどうかの判定を行なうためのものである。制御部31は、時間T5が経過していないと判定した場合(ステップS63のNO)、ステップS62に戻る。
【0091】
制御部31は、静電ミスト発生装置43が外された後設置されたと判定した場合(ステップS62のYES)、および時間T5が経過したと判定した場合(ステップS63のYES)、電源ON後処理(図11)の待機ステップS2に戻り、給水確認ランプ54の点滅を消灯する。
【0092】
制御部31は、図11〜15において特に図示しないが、ステップ3において入/切ボタン51がON状態の際は、どのステップにおいても、入/切ボタン51がOFFされたか否かを検知しており、乾燥運転コースや除菌・乾燥運転コースの運転中であっても、入/切ボタン51がOFFされた場合には、電源ON後処理(図11)の待機ステップS2に戻るようになっている。
【0093】
このような本実施形態における食器乾燥機1によれば、被乾燥物の乾燥のみならず、静電ミストにより被乾燥物および乾燥室21内の除菌をも行うことができる。また、静電ミスト発生装置43は、タンク61および電極カバー70に収納された接続電極64、保水体63やミスト発生電極65を主とする簡素な構成となっているため、食器乾燥機1の構成自体を簡素化することができる。その結果、乾燥室21の容量が制限されたり、食器乾燥機1自体の大型化を回避したりすることができる。
【0094】
また、静電ミスト発生装置43は、タンク61の給水を行うのみでメンテナンスも簡易であり、使用者に対する使用性にも優れている。さらに静電ミスト発生装置43を引出41に収納し出し入れを容易にしたことにより、乾燥室21内の状態にかかわらず給水などのメンテナンスを行うことができる。また、食器乾燥機1の性質上常に解放されている本体10の手前側に引出41を設けた。これにより、例えば食器乾燥機1を設置する際に、背面、左右側面を給水などのために解放する必要がなく、食器乾燥機1の設置を制限することがない。
【0095】
さらに、引出41は静電ミスト発生装置43の収納室41aと吸気口41bとを一体に備えたため、引出41を取り出す1つの動作で静電ミスト発生装置43と吸気口41bの吸気フィルタ42との取り出しおよび確認を同時に行うことができる。使用者はメンテナンスに煩雑な動作を要することがないため、使用者に対してメンテナンスの頻度を維持させることができる。吸気フィルタ42の目詰まりが予防できる結果、送風機44から送風される風量が減少することなく、乾燥および除菌性能の劣化を防止することができる。
【0096】
さらにまた、静電ミスト吹出口50は、食器カゴ12より下側の、食器カゴ12底面と仕切板32との間に配置されたことにより、静電ミストを含む送風が食器などの被乾燥物に遮られることなく乾燥室21全体に充満させることができる。また、温風吹出口49との位置関係も考慮することにより、静電ミスト吹出口50から吹き出した温風に乗せて静電ミストを効率よく充満させることができる。
【0097】
なお、上述した本実施形態における食器乾燥機1は、静電ミスト発生装置43のタンク61の水は引出41を引き出し、使用者が給水する例を説明した。しかし、これに限らず以下に示す変形例のように構成してもよい。なお、以下の変形例においては、上述した食器乾燥機1と対応する構成および部分については同一の符号を付した。
【0098】
図16は、静電ミスト発生装置の給水構造の変形例を示す正面縦断面図である。
【0099】
本体110の仕切板132の排水孔33は、静電ミスト発生装置143のタンク161と接続されている。乾燥室21で発生し排水孔33から排水された水分はタンク161に貯水され、静電ミスト発生用の水にこの水分を再利用することができる。このため、使用者による給水の手間がなくなり、使用者はよりメンテナンスを容易に行うことができる。
【0100】
図17は、静電ミスト発生装置の給水構造の変形例を示す側面縦断面図である。
【0101】
静電ミスト発生装置243は、食器乾燥機201手前(図示左側)の本体210内部に配置される。また、本体210手前側には、静電ミスト発生装置243(タンク261)を本体210内部に収納したまま本体210外部からの給水を可能とする給水口283が設けられる。このため、本体210内部からの静電ミスト発生装置243の出し入れや定位置に設置する作業を低減することができる。なお、静電ミスト発生装置は引出に収納されていてもよいし、単独で本体内部に配置されてもよい。
【0102】
また、本実施形態においては、静電ミスト発生装置43が本体10内部に設けられた例を説明した。しかし、静電ミスト発生装置43は、乾燥室21内の所定位置に配置してもよい。
【0103】
図18は、静電ミスト発生装置を乾燥室に設けた場合の食器乾燥機の変形例を示す図である。
【0104】
静電ミスト発生装置343は、本体310の仕切板332上に設けられたミスト発生装置収納部384に収納されることで、乾燥室21内に配置される。静電ミスト発生装置343には、接続電極64の水濡れを防止するため、上部を覆うガード蓋385が取り付けられる。発生した静電ミストは、温風吹出口49から吹き出される温風に乗って乾燥室21内に充満する。静電ミストが乾燥室21内で発生することに伴い、静電ミスト発生位置から被乾燥物までの距離が短くなる。このため、静電ミストが被乾燥物に届きやすくなり、除菌を効果的に行うことができる。また、静電ミスト発生装置343が使用者の目にとまりやすくなるため、静電ミスト発生装置343の設置状況を容易に判断することができる点でも有効である。
【0105】
なお、静電ミストの帯電量が多い場合などには、除菌運転中において使用者が蓋体11を開けて帯電した食器類や食器カゴ12等を不用意に触れないように、除菌運転中に蓋体11をロックするロック機能を有してもよい。
【0106】
本実施形態においては、主に食器などの乾燥物を乾燥させる機能を有する食器乾燥機1について説明した。しかし、食器を洗浄する機能を備えた洗浄機能付食器乾燥機に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1、101、201、301 食器乾燥機
10、110、210、310 本体
11 蓋体
12 食器カゴ
14 操作部
21 乾燥室
31 制御部
32、132、332 仕切板
33 排水孔
34 水受カップ
41 引出
41a 収納室
41b 吸気口
43、143、243、343 静電ミスト発生装置
44 送風機
44a モータ
44b ファン
45 ヒータ
47 ヒータ用風路
48 静電ミスト用風路
49 温風吹出口
50 静電ミスト吹出口
61、161、261 タンク
62 汲水芯
63 保水体
64 接続電極
65 ミスト発生電極
67a 挿通孔
68 ミスト発生電極ケース
70 電極カバー
74 静電ミスト発生装置検知スイッチ
283 給水口
384 ミスト発生装置収納部
385 ガード蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体を覆い前記本体とともに乾燥室を形成する蓋体と、
前記乾燥室に設置され被乾燥物を収納する食器カゴと、
前記乾燥室に向けて空気を送風する送風機と、
前記空気を加熱するヒータと、
静電ミストを発生させ前記乾燥室内に供給する静電ミスト発生装置とを備えたことを特徴とする食器乾燥機。
【請求項2】
前記本体内部から出し入れ可能であり、前記静電ミスト発生装置を収納する収納部を有する引出をさらに備えた請求項1記載の食器乾燥機。
【請求項3】
前記引出は、前記送風機の吸気口をさらに有する請求項2記載の食器乾燥機。
【請求項4】
前記本体は、前記送風機により吸気口から吸い込まれた空気を前記ヒータへ送るヒータ用風路と、前記送風機から供給された空気を前記静電ミスト発生装置へ送る静電ミスト用風路とを内部に有する請求項1〜3のいずれか一項記載の食器乾燥機。
【請求項5】
前記本体は、前記ヒータにより加熱された空気を前記乾燥室へ供給する温風吹出口と、前記静電ミストを前記乾燥室へ供給する静電ミスト用吹出口とをさらに有し、
前記温風吹出し口は、前記温風吹出口と同一の前記本体壁面または前記温風吹出口と異なる前記本体側面であって前記温風吹出口の近傍に設けられた請求項1記載の食器乾燥機。
【請求項6】
前記静電ミスト吹出口は、前記本体における前記食器カゴの食器載置面より下方位置に設けられた請求項5記載の食器乾燥機。
【請求項7】
前記乾燥室と前記本体内部とを仕切り、前記乾燥室で発生した水分を前記本体内部に排水する排水孔を有する仕切板と、
前記排水孔から排水された水分を回収する水受カップとをさらに備え、
前記静電ミスト発生装置は、前記本体内部において前記ヒータまたは前記送風機を介して前記水受カップと対向する位置に配置された請求項1記載の食器乾燥機。
【請求項8】
前記ヒータにより加熱された空気により前記被乾燥物を乾燥させる乾燥運転を行う乾燥運転コースと、前記乾燥運転に加え前記静電ミストによる除菌運転を行う乾燥・除菌運転コースとを切り替える制御部をさらに備えた請求項1記載の食器乾燥機。
【請求項9】
前記静電ミスト発生装置の設置の有無を検知する検知部と、
前記静電ミスト発生装置が設置されていないと検知された場合、前記静電ミスト発生装置の設置を促す通知を行う通知部とをさらに備えた請求項1記載の食器乾燥機。
【請求項10】
前記静電ミスト発生装置が前記静電ミストを発生させるための水を貯水するタンクと、
前記静電ミスト発生装置の設置の有無を検出する検知部と、
前記静電ミスト発生装置が設置されてから所定期間経過した場合、前記タンクに給水を促す通知を行う通知部とをさらに備えた請求項1記載の食器乾燥機。
【請求項11】
前記食器乾燥機に動作電圧を供給する電源部と、
前記静電ミスト発生装置が前記静電ミストを発生させるための水を貯水するタンクと、
前記電源が供給された場合、前記タンクに給水を促す通知を行う通知部とをさらに備えた請求項1記載の食器乾燥機。
【請求項12】
前記静電ミスト発生装置は、前記乾燥室で発生した水分により前記静電ミストを発生させる請求項1記載の食器乾燥機。
【請求項13】
前記本体内部に設けられ、前記静電ミスト発生装置が前記静電ミストを発生させるための水を貯水するタンクをさらに備え、
前記本体は、外部から前記タンクへ前記水を給水する給水口をさらに有する請求項1記載の食器乾燥機。
【請求項14】
前記静電ミスト発生装置は、前記乾燥室に設けられた請求項1記載の食器乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−5711(P2012−5711A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145596(P2010−145596)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【出願人】(000164140)金澤工業株式会社 (54)
【Fターム(参考)】