説明

食器洗浄機の食器かご

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、食器洗浄機の食器かごに関するものである。
【0002】
【従来の技術】食器洗浄機の洗浄部に食器かご収納部が設けられ、その食器かご収納部に食器かごが出し入れ自在に収納される。この食器かごは金属杆よりなるかご枠に、同じく金属杆でなる支持杆を縦横に配列固着すると共に、その支持杆に多数の食器支持ピンを突設した構造である。
【0003】このような食器かごにおいて、食器の種類による深さの相違に対処するため、1つの食器を支持する一対の食器支持ピンを支持杆の長さ方向にスライド可能に取付けたものが知られている(特開平4−314415号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記一対の食器支持ピンはピンの間隔が一定であるため、食器の種類による深さの相違には対処できるが、食器の直径の大小の相違には対処できず、特に複数の大形食器を収納するとデッドスペースが多くなる不都合がある。また深さの異なる食器ごとに食器支持ピンをスライドさせその位置を決めなければならないので、かえって煩わしいという問題や、不要な場合に取外しができないという不便がある。
【0005】そこで、この発明は食器の直径の大小や深さの相違に対して、好都合に対処できるようにした食器洗浄機の食器かごを提供することを課題とする。
【0006】
【0007】

【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決する手段として、かご枠を小物食器収納部と皿等の食器類収納部に分けて設け、上記かご枠に設けた2本一組の支持杆と、各支持杆に設けた多数の食器支持ピンとで食器を支持し、上記の一組の支持杆のうち少なくとも1本をその長さ方向に対して直角かつ水平方向に移動可能に設け、上記の食器支持ピンの先端部に上記支持杆の長さ方向と同一向きの屈曲部を形成し、上記の支持杆と直交する複数の補助支持杆を上記の各食器支持ピン間に設けることによって前記の小物食器収納部を構成し、前記かご枠に2本のガイド杆を設け、そのガイド杆の間に全体としてU字形に屈曲された屈曲杆をほぼ皿の高さの間隔で所要数固着した可動支持部を上記ガイド杆に対しスライド可能かつ取外し可能に取付けて前記の皿等の食器類収納部を構成するようにしたものである。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】図1から図6に示した第1実施形態の食器かご1は、図1に示すように食器洗浄機の内部に設けられた上面開放の食器収納部2に出し入れ自在に収納される。食器かご1は金属線からなる杆状部材を組み合わせて構成されており、必要に応じてディッピング塗装等の表面処理が施される。
【0013】最も外側に2本の短辺3a,3bと、2本の長辺4a,4bとからなる矩形のかご枠5が配置され、一方の短辺3a側の半分強の範囲を小物食器類収納部6とし、残りの半分弱を皿等の食器類収納部7とし、両者の境界部分に境界杆8を配置し、その両端部を両長辺4a,4bに固着している。
【0014】上記のかご枠5の短辺3a,3b相互間に、3本の固定支持杆9a,9b,9cが固着され、3本目の固定支持杆9cと一方の長辺4bとの間に可動支持杆9dが設けられる。
【0015】可動支持杆9dは、境界杆8と一方の短辺3aとの間に設けられ、後述する構成によりその長さ方向と直角かつ水平方向に移動可能である。
【0016】各固定支持杆9a〜9cはその中間部が上記の境界杆8に固着され、その境界杆8と短辺3aとの間において、各固定支持杆9a〜9cに一定の間隔で多数の食器支持ピン10が上向きに突設されている。
【0017】各食器支持ピン10の上端部には、各固定支持杆9a〜9c,可動支持杆9dの長さ方向と同一向きに直角に屈曲されて屈曲部11が形成されている。
【0018】また、上記の小物食器類収納容部6において、上記の固定支持杆9a〜9c,及び可動支持杆9dと直交して補助支持杆12が各食器支持ピン10間に配置され、その両端部を両長辺4a,4bと各固定支持杆9a〜9cに固着している。補助支持杆12は、可動支持杆9dに対しては単に直交しているだけであり、固着されていない。
【0019】上記の1番目の固定支持杆9aと、2番目の固定支持杆9bが一組の固定支持部13aを構成し、その間隔L(図2(a)参照)と、食器支持ピン10間の長さ方向の間隔P1 、及び補助支持杆12間の間隔P2 (P2 は実質的にP1 に等しい。)は、茶碗14等の中形食器を安定よく支持できる大きさに適宜選定される。
【0020】上記の茶碗14は、図2(a)(b)に示すように、その外周面が補助支持杆12上に載り、左右一対の食器支持ピン10が茶碗14の開口縁の2ヵ所に当たると共に、各屈曲部11が開口縁の内側に係合して倒れを防止する。皿15の場合は、その周縁の一部を補助支持杆12に係合させると共に、底面の糸尻側をその補助支持杆12より後方の一対の食器支持ピン10により支持させる。
【0021】一方、可動支持杆9dは、図3(a)に示すように、その両端部にT字状に固着したスライド部材16の両端部を屈曲して逆L形に内向きに立ち上がった係合部17を設け、一方のスライド部材16の係合部17を短辺3aに係合すると共に、他方のスライド部材16の係合部17を境界杆8の手前の補助支持杆12に各々着脱自在に係合した構成であり、スライド部材16により可動支持杆9dが該可動支持杆9dと直角かつ水平方向に移動可能となっている。
【0022】前記の3番目の固定支持杆9cと、上記の可動支持杆9dとにより一組の可動支持部13b(図1参照)が構成され、この部分にも上記の固定支持部13aにおけると同様に、茶碗14や皿15を収納できるが、この場合は茶碗14より径の小さい小形食器18を収納するときは、図3(b)において2点鎖線で示すように、可動支持杆9dをスライド部材16により固定支持杆9cに接近するように移動させる。反対に径の大きい食器の場合は、可動支持杆9dを反対方向に移動させる(図3(a)2点鎖線参照)。
【0023】次に、皿等の食器収納部7においては、図1R>1及び図4に示すように、短辺3bと境界杆8との間に所要間隔の2本のガイド杆21a,21bを設け、そのガイド杆21a,21bに食器類の可動支持部22を水平方向にスライド可能、かつ取外し可能に取付けている。
【0024】上記の可動支持部22は、図示の場合複数枚の皿15(図5参照)を収納できるようにしたものであり、前記のガイド杆21a,21bの間隔より小さい間隔の平行2本一組の可動支持杆23,23の間に、全体としてU字形に屈曲した屈曲杆24をほぼ皿15の高さの間隔で所要数固着している。
【0025】各屈曲杆24は、図5(b)に示すように、両方の可動支持杆23、23間にわたる連結部24aと、その連結部24aの両端から立ち上がり、途中で屈曲した食器支持ピン部24bとからなる。
【0026】また、上記の2本の可動支持杆23,23相互の両端部の間に、これらと直角方向のスライド部材25、25を固着し、各スライド部材25の一端部を横U字形に湾曲して湾曲係合部26を設け、これを一方のガイド杆21aに係合している。また、各スライド部材25の他端に下向きL形の屈曲係合部27を設け、これを他方のガイド杆21bに係合している(図5(b)参照)。
【0027】上記の可動支持部22はガイド杆21a,21bに沿って可動支持杆23,23の長さ方向に一定距離だけ移動可能であり、その最も短辺3bに近い最外端の屈曲杆24は、食器収納部2に対面しており(図5(a)参照)、境界杆8側へ最も大きく移動した場合に、食器収納部2の内面と、最外端の屈曲杆24との間に幅Sの間隔が生じる。この間隔Sを丼鉢等の大形食器28を立て向きに収納できる大きさに選定している。
【0028】上記の可動支持部22は、皿15を支持するのに使用されるが、不要の場合はスライド部材25をガイド杆21a,21bから外すことにより取り除き、固定支持杆9a,9b,9c及びガイド杆21a,21bの上部を他の食器類の収納部として利用することができる。
【0029】なお、上記の実施形態においては、各食器支持ピン10間に補助支持杆12を配列した構成になっているが、固定支持部13aにおいても、また可動支持部13bにおいても、それぞれ固定支持杆9a,9b及び固定支持杆9cと可動支持杆9dの間隔を相対的に小さくすれば、補助支持杆12を省略しても食器を支持することができる。
【0030】図6(a)から(c)は、補助支持杆12を省略した場合の可動支持部13bを示すものであり、可動支持杆9dを食器の大きさに応じて移動させると、小形茶碗29等を固定支持杆9cと可動支持杆9d及び前後4本の食器支持ピン10によって支持することができる。
【0031】なお、上記の可動支持部13bを構成する2本の支持杆は、2本ともその長さ方向に対して直角かつ水平方向に移動可能に設けてもよい。
【0032】次に、図7から図10に基づいて第2実施形態の食器かごについて説明する。図7に示すように、この場合の食器かごも前述のものと同様に、金属線からなる杆状部材を組み合わせて構成されており、短辺3a,3bと長辺4a,4bとからなる矩形のかご枠5の一方の短辺3a側の半分強を小物食器類収納部6とし、残りの半分弱を皿等の食器類収納部7としている。両方の収納部6、7の境界部分に境界杆8を配置し、その両端部を両長辺4a,4bに固着している。
【0033】上記の小物食器類収納部6は、一方の短辺3aと境界杆8との間において、長辺4a側から順に、5本の固定支持杆31a〜31eが固着され、そのうち固定支持杆31a,31bにはその長さ方向に所定の間隔で多数の食器支持ピン10が,その先端をリング状に曲げ加工された状態で上向きに突設されている。また、これらの各食器支持ピン10の中間位置において、長辺4aから固定支持杆31a,31b,31cにわたり補助支持杆32が固着される。
【0034】固定支持杆31d,31e及び長辺4bの上には、四角の開閉枠33が載っており、その開閉枠33の両側の側杆33a,33bの一端部が固定支持杆31dに回動自在に取付けられる。上記の両側杆33a,33bの間には、固定支持杆31dに並んで支持杆33cが固着され、その支持杆33cには前記の食器支持ピン10と同じ間隔で食器支持ピン10が上向きに突設される。またこれらの食器支持ピン10の中間位置から開閉枠33の端杆33dにわたり補助支持杆35が設けられる。
【0035】更に、上記の支持杆33cと端杆33dとの間において、上記の両側杆33a,33bに着脱自在に嵌合したスライド部材34、34を介して可動支持杆33eがその長さ方向と直角かつ水平方向にスライド自在に取付けられる。この可動支持杆33eにも前記と同様の食器支持ピン10が突設される。上記の可動支持杆33eは、食器の大きさに応じて適宜スライドさせて使用される。
【0036】また、上記の開閉枠33は、その両側枠33a,33bを固定支持杆31dを中心に回動させて開放させると、食器かご1の底面を部分的に開放させることができ、これによりその下方の残滓フィルター(図示せず)の掃除をすることができる。
【0037】また、上記の短辺3aに門形の支持枠37が設けられ、その支持枠37に上記の小物食器類収納部6の上に迫り出した補助かご38が設けられる。この補助かご38は水平状態に支持されるが、必要に応じて上方に回動できるようになっている。前述の開閉枠33を回動させるときは、該補助かご38を上方に回動させておくことにより、開閉枠33との干渉を防ぐことができる。
【0038】一方、皿等の食器収納部7は、長辺4aと4bの間に所要数の補助支持杆39が一定間隔で設けられ、これらの補助支持杆39と直交する方向に、長辺4a側から可動支持杆41a,41b、固定支持杆41c,41dが配置される。2本の可動支持杆41a,41bは、所定の間隔をおいてその両端においてスライド部材42、42により連結される。各スライド部材42はそれぞれ両端の補助支持杆39にスライド自在に取付けられる。また2本の固定支持杆41c,41dは短辺3bと境界杆8との間において、所定の間隔をおいて固着される。
【0039】上記の各可動支持杆41a,41b及び固定支持杆41c,41dにはそれぞれ一定間隔をおいて食器支持ピン10が突設され、前記の補助支持杆39はこれらの食器支持ピン10の間に配置される。
【0040】上記の2本の可動支持杆41a,41b、及びこれらに設けられた食器支持ピン10はスライド部材42、42により連結されて一体となって可動支持部40aを構成し、該可動支持杆41a,41bの長さ方向に対し直角方向にスライドすることができる(図8の2点鎖線参照)。
【0041】なお、固定支持杆41c,41dと、これらに設けられた食器支持ピン10が固定支持部40bを構成する。
【0042】図9は、上記の皿等の食器類収納部7の可動支持部40aに中皿43を収納し、固定支持部40bに小皿44を収納した状態を示している。食器洗浄機のケース45の天面が中皿44の上に迫り出しており、開口部46が前壁47側に片寄って形成されている。
【0043】上記の開口部46は、図10に示すように、大皿48を丁度通過させ得る開口幅を有する。同図の(イ)の状態が開口部46を通過する状態を示し、(ロ)の状態が可動支持部40aに載った状態を示す。また(ハ)の状態が可動支持部40aとともに大皿48がケース45の内方にスライドした状態を示す。
【0044】可動支持部40aが内方にスライドすることにより、大皿48と前壁47との間に比較的大きな収納空所49が生ずるため、この部分にコップ50等の小形の食器類を収納することができ、収納効率を上げることができる。
【0045】
【発明の効果】以上のように、この発明はかご枠に設けた2本一組の支持杆のうち少なくとも1本の支持杆を、その長さ方向に対して直角かつ水平方向に移動可能に設けたことにより、食器の径の大きさが異なるものには、その径の大きさに応じて支持杆を移動することで対処でき、しかも多数の食器支持ピンを一斉に移動させることができる便利さがある。
【0046】また、皿等の食器収納部を構成する可動支持部を水平方向に移動可能に設けたことにより、食器かご収納部の内面との間に大形食器を収納でき、さらに、上記の可動支持部を必要に応じて取り外すことにより、かごの内部を食器の種類に応じて有効に利用することができる。
【0047】なお、可動支持部を可動支持杆の長さ方向にスイライド可能に設けることにより、食器の大きさに応じてその位置を移動させることができ、食器の収納効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の斜視図
【図2】(a)図1の使用状態の一部斜視図
(b)(a)図の部分の側面図
【図3】(a)図1の一部斜視図
(b)(a)図の部分の使用状態の側面図
【図4】図1の一部斜視図
【図5】(a)図4の部分の正面図
(b)同上の側面図
【図6】(a)図1の変形例の一部斜視図
(b)(a)図の側面図
(c)(a)図の正面図
【図7】第2実施形態の斜視図
【図8】図7の一部平面図
【図9】図7の使用状態の一部側面図
【図10】図7の使用状態の一部側面図
【符号の説明】
1 食器かご
2 食器収納部
3a,3b 短辺
4a,4b 長辺
5 かご枠
6 小物食器類収納部
7 皿等の食器類収納部
8 境界杆
9a〜9c 固定支持杆
9d 可動支持杆
10 食器支持ピン
11 屈曲部
12 補助支持杆
13a 固定支持部
13b 可動支持部
14 茶碗
15 皿
16 スライド部材
17 係合部
18 小形食器
21a,21b ガイド杆
22 可動支持部
23 可動支持杆
24 屈曲杆
24a 連結部
24b 食器支持ピン部
25 スライド部材
26 湾曲係合部
27 屈曲係合部
28 大形食器
29 小形茶碗
31a〜31e 固定支持杆
32 補助支持杆
33 開閉枠
33a,33b 側杆
33c 支持杆
33d 端杆
33e 可動支持杆
34 スライド部材
35 補助支持杆
37 支持枠
38 補助かご
39 補助支持杆
40a 可動支持部
40b 固定支持部
41a,41b 可動支持杆
41c,41d 固定支持杆
42 スライド部材
43 中皿
44 小皿
45 ケース
46 開口部
47 前壁
48 大皿
49 収納空所
50 コップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】ご枠を小物食器収納部と皿等の食器類収納部に分けて設け、上記かご枠に設けた2本一組の支持杆と、各支持杆に設けた多数の食器支持ピンとで食器を支持し、上記の一組の支持杆のうち少なくとも1本をその長さ方向に対して直角かつ水平方向に移動可能に設け、上記の食器支持ピンの先端部に上記支持杆の長さ方向と同一向きの屈曲部を形成し、上記の支持杆と直交する複数の補助支持杆を上記の各食器支持ピン間に設けることによって前記の小物食器収納部を構成し、前記かご枠に2本のガイド杆を設け、そのガイド杆の間に全体としてU字形に屈曲された屈曲杆をほぼ皿の高さの間隔で所要数固着した可動支持部を上記ガイド杆に対しスライド可能かつ取外し可能に取付けて前記の皿等の食器類収納部を構成した食器洗浄機の食器かご。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図9】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図8】
image rotate


【図7】
image rotate


【図10】
image rotate


【特許番号】特許第3481480号(P3481480)
【登録日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【発行日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−363045
【出願日】平成10年12月21日(1998.12.21)
【公開番号】特開2000−139809(P2000−139809A)
【公開日】平成12年5月23日(2000.5.23)
【審査請求日】平成13年3月13日(2001.3.13)
【前置審査】 前置審査
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【参考文献】
【文献】特開 平3−30748(JP,A)
【文献】特開 平10−117998(JP,A)
【文献】実開 昭59−31372(JP,U)