説明

食器

【課題】食器の提供。
【解決手段】食器は、プラスチック類食器の長所を備え、断熱性と保温性に優れ、プラスチック類食器の自然に分解されにくいという欠点を排除でき、また食物が有害物質(プラスチック類物質或いは他の化学合成物質など)に汚染される恐れを払拭でき、食器は、「バイオプラスチック」より優れた物質(バイオプラスチックが微生物により分解される速度は理想的でなく、しかも熱に弱く変形し易く、製造工程が煩雑であるため製造コストが高い)により製造し、食器は、本体3、及び本体3内部に分布する多数の空隙4を備え、本体3の成分は、自然の植物(でんぷん類物質、或いはあらゆる淡水化合物など)由来で、多数の空隙4により、食器は最適な断熱性と保温性を備え、これにより高温或いは低温の食物を収納する時、人の手が持つ、握る、或いは提げる際の便が良く、環境に優しく、コストパフォーマンスが高いため、幅広い応用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器に関し、特に食物の包装、或いは支持、或いは収容、或いは入れるために用い、最適な断熱性或いは保温性を備え、環境にも優しい食器に関する。
【背景技術】
【0002】
コストが適当で、使用の便が高く、量産が容易で、消費者に傷害を与える可能性が低いという理由から、プラスチック(ポリスチレンなど)類食器は、金属、木製の食器に代わり、広く使用されている。この現象、トレンドが変化する様子は見られず、さらに明確になって来ているとさえ言え、全世界の環境に極めて深刻な脅威となっている。なぜなら、プラスチック類食器は、自然に分解せず、たとえ外力を加え強制的に分解させても、100%の分解を達成することは困難だからである。さらには、強制的な分解のために外力を加えることが、環境を破壊する物質の発生に繋がらないとも限らない。またもし、プラスチック類食器を長期間埋めれば、それが消失するとしても、その分解物が土壌に滲み出し、やはり環境汚染を引き起こすことになるだろう。上記したようなプラスチック類食器の普及に加え、商品のライフサイクルが短くなったことで、処理を必要とする使用後に廃棄されたプラスチック類食器の量が激増し、それが環境に及ぼす傷害は計り知れない。廃棄物を回収し再生するのも一種の解決方法であるが、回収比率、コスト、リサイクル製品の応用分野に限界があるなどの問題があり、本当に環境保護に役立っているのか、リサイクルの効果について考えざるを得ない。本発明は、従来の食器の上記した欠点に鑑みてなされたものである。
【0003】
一方、高温の食物(固体或いは液体)の包装、或いは収容、或いは入れるために用いるプラスチック類食器に対しては、有害物質を生じる恐れを払拭することはできない。
【0004】
多くの応用分野において、食器の断熱性は高ければ高いほど良い。一例として、食器を用い、熱い食物を支持、或いは入れ、或いは収容し、人の使用に供する時、もし断熱性が悪ければ、人が手で触れることができず、実用に適さない。また、冬季に低温の環境中において、人の食事に用いるには、保温などの機能が必要であるため、保温作用を備える食器を使用する必要がある。現在広く使用されている使い捨て食器は、内部に気泡を含み(いわゆる発泡スチロール)、断熱作用を備えるが、やはりプラスチック類食器の一種であるため、当然環境に悪影響を及ぼすものである。
【0005】
すなわち市場には、3つのニーズが存在する。一つは、環境保護に有利なプラスチック類食器の代用品に対するニーズで、もう一つは、より良い断熱性、保温性を備え(つまり、熱エネルギーの伝導性が低い)たプラスチック類食器の代用品に対するニーズ、さらに最後の一つは、食物が有害物質により汚染される恐れがないプラスチック類食器の代用品に対するニーズである。
【0006】
PLAなどの「バイオプラスチック」と呼ばれる物質は、とうもろこしなどの物質を原料とし、転化、発酵、重合などのプロセスを経て、透明のポリ乳酸(PLA)などのプラスチック粒を生成するものである。これにより、生物によって分解されない化学プラスチックに置換する。しかし、信頼性の高い、ある研究機関が行なった論評によれば、この種の「バイオプラスチック」は、成分上、化学プラスチックと同様であるため、分解速度は理想的でなく、しかも熱で変形し易すく、耐熱性が劣るという。さらに、製造過程が煩雑であるため、製造コストが高く、一般の石油化学プラスチックの代用とするのは困難で、食器への応用には適していない、としている。
【0007】
すなわち市場には、3つのニーズが存在する。一つは、環境保護に有利なプラスチック類食器の代用品に対するニーズで、もう一つは、より良い断熱性、保温性を備えた(つまり、熱エネルギーの伝導性が低い)プラスチック類食器の代用品に対するニーズ、さらに最後の一つは、食物が有害物質により汚染される恐れがないプラスチック類食器の代用品に対するニーズである。
【0008】
上記したような市場ニーズの存在に鑑み、本発明はプラスチック類物質を含まない食器を提供する。これにより、環境保護に利するばかりか、内部に空隙を含むため、断熱効果が高く、食物の包装、或いは支持、或いは収容、或いは入れるために用いることができる。さらに、プラスチック類食器の長所を備えながら、プラスチック類食器のように環境負荷を掛けることがない。
【0009】
よって、環境保護と実用の利点を兼ね備え、さらに食物の包装、或いは支持、或いは収容、或いは入れるために用いることができ、食物が有害物質を含む恐れを払拭することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする第一の課題は、プラスチック類食器に置換し、環境保護に利する食器を提供することである。
本発明が解決しようとする第二の課題は、プラスチック類食器に置換し、より良い断熱性、保温性を備えた(つまり、応用に不利な熱エネルギーの伝導性を低下させた)食器を提供することである。
本発明が解決しようとする第三の課題は、プラスチック類食器に置換し、物品(食物、飲料など)が有害成分に汚染される恐れを払拭する食器を提供することである。
本発明が解決しようとする第四の課題は、コストパフォーマンスが高く、環境保護に利するプラスチック類食器の代用とする食器を製造することができる食器の製造工程を提供することである。
本発明が解決しようとする第五の課題は、コストパフォーマンスが高く、プラスチック類食器に置換し、より良い断熱性、保温性を備えた(つまり、応用に不利な熱エネルギーの伝導性を低下させた)食器の製造工程を提供することである。
本発明が解決しようとする第六の課題は、コストパフォーマンスが高く、プラスチック類食器に置換し、物品(食物、飲料など)が有害成分に汚染される恐れを払拭する食器の製造工程を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は下記の食器を提供する。
本発明の第一実施例(食器)は、本体を備え、該本体内部には多数の空隙が分布し、
該本体は、でんぷん類物質を含み、
該でんぷん類物質は、該本体重量の45%以上を占め、
該多数空隙の体積の総和と、食器の体積の総和との割合は、5%以上50%以下で、
上記した「食器の体積の総和」とは、該本体のすべての表面が取り囲む体積で、当然該本体とその内部すべての空隙の体積の総和で、
でんぷん類物質は自然分解が可能であり、しかも分解後に汚染を生じず、また該本体内部の多数の空隙は、該本体に最適な断熱性と保温性(つまり、熱エネルギーの伝導性が低い)を備えさせることができるため、本発明の第一実施例(食器)は、発泡プラスチック類食器の長所を備えながら、プラスチック類食器に存在する環境に危害を及ぼすという欠点を排除することができ、また食物の包装、或いは支持、或いは収容、或いは入れるために用いる際に、その食物が汚染されているかもしれないという恐れを払拭することができ、
本発明の第一実施例(食器)は、本体を備え、該本体内部には多数の空隙が分布し、
該本体は、キシロース質植物繊維を含み、或いはさらに別の植物繊維を含み、
該別の植物繊維の長さは、該キシロース質植物繊維より長く、
該別の植物繊維と該キシロース質植物繊維との総和が、該本体の重量の5%以上25%以下を占めていれば、該食器は優良な品質、性能を確実にすることができ、
本発明の第一実施例(食器)は、本体を備え、該本体内部には多数の空隙が分布し、
該本体は、さらにパルプ型繊維を含み、
該パルプ型繊維は、紙を構成する成分と同様に、フレキシブルで湾曲抵抗性を備えた繊維で、
該パルプ型繊維は、上記した別の植物繊維として使用することができ、
本発明の第一実施例(食器)は、本体を備え、該本体内部には多数の空隙が分布し、
該本体の形状は固定し、或いは湾曲及び伸縮が可能で、該3種中の内の1種で、
本発明の第一実施例(食器)は、本体を備え、該本体内部には多数の空隙が分布し、
該本体はさらに、タルク粉を含み、
該タルク粉が、該本体の重量の5%以上50%以下を占めていれば、該食器は品質をさらに優良とすることができ、
タルク粉は、環境に無害な物質で、パルプ型繊維も天然物質であり、プラスチックなどの類の物質によって製造したものでないため、本発明第一実施例(食器)中の本体は、タルク粉、パルプ型繊維などを含むとしても、食器の品質、性能の優良性を確実にすることができ、プラスチック類食器の長所を備えながら、プラスチック類食器の欠点を排除することができ、
本発明の第二実施例(食器)は、本体を備え、該本体内部には多数の空隙が分布し、
該本体は、炭水化物を含み、
該炭水化物は、該本体重量の45%以上を占め、
該多数空隙の体積の総和と、食器の体積の総和との割合は、5%以上50%以下で、
上記した「食器の体積の総和」とは、該本体のすべての表面が取り囲む体積で、当然該本体とその内部すべての空隙の体積の総和で、
炭水化物は自然分解が可能であり、しかも分解後に汚染を生じず、また該本体内部の多数の空隙は、該本体に最適な断熱性と保温性(つまり、熱エネルギーの伝導性が低い)を備えさせることができるため、本発明の第二実施例(食器)は、発泡プラスチック類食器の長所を備えながら、プラスチック類食器に存在する環境に危害を及ぼすという欠点を排除することができ、また食物の包装、或いは支持、或いは収容、或いは入れるために用いる際に、その食物が汚染されているかもしれないという恐れを払拭することができ、
本発明の第二実施例(食器)は、本体を備え、該本体内部には多数の空隙が分布し、
該本体はさらに、タルク粉を含み、
該タルク粉が、該本体の重量の5%以上50%以下を占めていれば、該食器は品質をさらに優良とすることができ、
タルク粉は、環境に無害な物質であるため、本発明第二実施例(食器)中の本体は、タルク粉を含むことで、食器の品質、性能の優良性を確実にすることができ、プラスチック類食器の長所を備えながら、プラスチック類食器の欠点を排除することができ、
本発明の食器の第一種製造工程は、以下のステップを含み、
原料を提供し、
該原料は、でんぷん類物質と成型補助剤を含み、
該原料を攪拌し(該原料の各成分を均一に混合する。均一度が高ければ高いほど良い)、
該原料を加熱し、該原料をゲル体(糊化状物体など)とし、
金型の温度を150℃以上とし(該金型の温度が180℃以上220℃以下であれば、最適である)、
該金型を利用し、ゲル体を成型し、固体物質とし、
同時に加温作業を利用し、発泡反応を生じさせ、密集した空隙を形成し、該固体の内部に分布させ、
本発明の食器である該固体を完成し、
上記した食器の製造工程において、該ゲル体は、該金型の構造に従い成型し、同時に該ゲル体の水分は、加温作業により蒸発し、該ゲル体内の密集空隙を形成し、
該成型補助剤の用量は、該原料の重量の0.2%以上2%以下で、
該原料をゲル体とするステップにおいてさらに、液体物質を該原料に加え、或いは該原料を加温(高温の水を該原料に加えるなど)する工程を含み、80℃以上の成型補助水溶液を該原料に加え、十分に攪拌して混合後にゲル体原料とすることが最も望ましく、
該金型を利用するステップにおいて、該ゲル体を該金型のキャビティに注入し、該金型のキャビティは、該固体の形状を制限する作用を備え、
該原料の最適なものは、キシロース質植物繊維、或いはパルプ型繊維を含み、さらに最適な原料は、キシロース質植物繊維とパルプ型繊維を同時に含み、
該キシロース質植物繊維と該パルプ型繊維の総和は、該原料の重量の、5%以上25%以下で、
該パルプ型繊維は、紙の成分と同類で、紙を構成する、フレキシブルで湾曲抵抗性を備えた繊維で、生産された食器の表面の疎水性を強化する作用を備え、
該成型補助剤の最適なものは、生物酵素類物質で、活性菌酵素がさらに最適で、
該でんぷん類の最適なものは、水分解性でんぷんを含み、該水分解性でんぷんは、結合を促進し、該固体表面の硬度を向上させる作用を備え、
本発明の食器の第二種製造工程は、以下のステップを含み、
原料を提供し、
該原料は、炭水化物と成型補助剤を含み、
該原料を攪拌し(該原料の各成分を均一に混合する。均一度が高ければ高いほど良い)、
該原料を加熱し、該原料をゲル体(糊化状物体など)とし、
金型の温度が180℃以上220℃以下であれば、該ゲル体の水分は自然に蒸発し、同時に、該金型は該ゲル体を固体とし、該固体の内部には、自然に多数の空隙を形成し、
本発明のでんぷん類物質、或いは炭水化物は、チェーン切断型とチェーン型の2種を含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明食器は、食物の包装、或いは支持、或いは収容、或いは入れるために用い、最適な断熱性或いは保温性を備え、環境にも優しい食器である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明食器の第一代表例であるカップと第二代表例である碗の外形を示す模式図である。
【図2】本発明第一代表例であるカップの断面模式図である。
【図3】本発明第一代表例であるカップ本体の一部分の断面拡大模式図である。
【図4】本発明第二代表例である碗の断面模式図である。
【図5】本発明第二代表例である碗本体の一部分の断面拡大模式図である。
【図6】本発明食器の第一種製造工程フローチャートである。
【図7】本発明食器の第二種製造工程フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明食器の第一代表例であるカップ1と第二代表例である碗2の外形を示す模式図、図2は、本発明第一代表例であるカップ1の断面模式図、図3は、本発明第一代表例であるカップ1の本体3の一部分の断面拡大模式図である。図2、3に示すように、カップ1は、本体3を備え、本体3内部には多数の空隙4(図3中の各空白部分)が分布する。図3において、相対的に暗い部分は、本体3中において空隙4が占める割合が比較的少ない場所であることを示している。カップ1中の空隙4体積の総和(本体3内部すべての空隙4体積の総和)と、カップ1体積の総和との比率は、5%以上50%以下である。上記した「カップ1体積の総和」とは、本体3のすべての表面が取り囲む体積で、本体3とその内部のすべての空隙4(図3中参照)の体積の総和である。本体3の形状と大きさは、必要に応じて変えることができ、図に示す形状と大きさに限定するものではない。図3に示す各空隙4の形状、大きさ、分布方式なども、説明の便のために提示するだけである。通常生産される実物(カップ1)が含む各空隙4の形状、大きさ、分布方式などには、規則性がなく、事実通常は、ランダム(random)である。よって、生産される実物(カップ1)が、その度に含む空隙4は、図2に示す本体3内部の各空隙4(図3参照)の形状、大きさ、分布方式と同一である必要はない。同一ロット生産の各実物(カップ1)であっても、それぞれに異なる形状、大きさ、分布方式の空隙4を含む。
【0016】
カップ1本体3成分の第一実施例について、以下に説明する。本体3は、でんぷん類物質を含む。でんぷん類物質は、本体3重量の45%以上を占める。カップ1本体3は、キシロース質植物繊維を含み、或いはさらに別の植物繊維を含む。別の植物繊維の長さは、キシロース質植物繊維より長い。別の植物繊維とキシロース質植物繊維との総和が、本体3の重量の5%以上25%以下を占めていれば、カップ1は優良な品質、性能を確実にすることができる。紙を構成する、フレキシブルで湾曲抵抗性を備えた繊維(俗にいう、「パルプ型繊維」)を、上記した別の植物繊維として使用することができる。本体3がタルク粉を含む場合には、カップ1の優良な品質をより確実にすることができる。タルク粉が、本体3の重量の5%以上50%以下を占めていれば、カップ1は品質をさらに優良とすることができる。
【0017】
カップ1本体3成分の第二実施例について、以下に説明する。本体3は、炭水化物(でんぷん類物質、植物繊維、或いは他の天然物質など)を含む。炭水化物は、本体3の重量の50%以上を占める。本体3の成分中にタルク粉を含む場合には、カップ1の優良な品質をより確実にすることができる。タルク粉が、本体3の重量の適当な比率(5%以上50%以下など)を占めていれば、カップ1は品質をさらに優良とすることができる。
【0018】
図4は、本発明第二代表例である碗の断面模式図、図5は、本発明第二代表例である碗本体の一部分の断面拡大模式図である。図4、5に示すように、碗2は、本体5を備え、本体5内部には多数の空隙6(図5中の各空白部分)が分布する。図5において、相対的に暗い部分は、本体5中において空隙6が占める割合が比較的少ない場所であることを示している。碗2中の空隙6体積の総和(本体5内部すべての空隙6体積の総和)と、碗2体積の総和との比率は、5%以上50%以下である。上記した「碗2体積の総和」とは、本体5のすべての表面が取り囲む体積で、本体5とその内部のすべての空隙6(図5中参照)の体積の総和である。本体5の形状と大きさは、必要に応じて変えることができ、図に示す形状と大きさに限定するものではない。図5に示す本体5内部の各空隙4の形状、大きさ、分布方式なども、説明の便のために提示するだけである。通常生産される実物(碗2)が含む各空隙6の形状、大きさ、分布方式などには、規則性がなく、事実通常は、ランダム(random)である。よって、生産される実物(碗2)が、その度に含む空隙6は、図4に示す本体5内部の各空隙6(図5参照)の形状、大きさ、分布方式と同一である必要はない。同一ロット生産の各実物(碗2)であっても、それぞれに異なる形状、大きさ、分布方式の空隙6を含む。
【0019】
碗2本体5成分の第一実施例について、以下に説明する。本体5は、でんぷん類物質を含む。でんぷん類物質は、本体5重量の45%以上を占める。碗2本体5は、キシロース質植物繊維を含み、或いはさらに別の植物繊維を含む。別の植物繊維の長さは、キシロース質植物繊維より長い。別の植物繊維とキシロース質植物繊維との総和が、本体5の重量の5%以上25%以下を占めていれば、碗2は優良な品質、性能を確実にすることができる。紙を構成する、フレキシブルで湾曲抵抗性を備えた繊維(俗にいう、「パルプ型繊維」)を、上記した別の植物繊維として使用することができる。本体5がタルク粉を含む場合には、碗2の優良な品質をより確実にすることができる。タルク粉が、本体5の重量の5%以上50%以下を占めていれば、碗2は品質をさらに優良とすることができる。
【0020】
碗2本体5成分の第二実施例について、以下に説明する。本体5は、炭水化物(でんぷん類物質、植物繊維、或いは他の天然物質など)を含む。炭水化物は、本体5の重量の50%以上を占める。本体5の成分中にタルク粉を含む場合には、碗2の優良な品質をより確実にすることができる。タルク粉が、本体5の重量の適当な比率(5%以上50%以下など)を占めていれば、碗2は品質をさらに優良とすることができる。
【0021】
図6は、本発明食器の第一種製造工程フローチャート、図7は、本発明食器の第二種製造工程フローチャートである。その具体的なステップは、上記した「課題を解決するための手段」において既に説明した。
【0022】
上記の本発明名称と内容は、本発明技術内容の説明に用いたのみで、その実施例は最適、あるいは現時点で準備が完了した実施例で、本発明を限定するものではない。本発明の精神に基づく等価応用或いは部品(構造)の転換、置換、数量の増減はすべて、本発明の保護範囲に含むものとする。なお、本発明がいう「食器」とは、「食物、飲料の包装、或いは支持、或いは収容、或いは入れるために用いる、碗、カップ、深皿、皿など」を指す。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は特許請求の要件である新規性を備え、従来の同類製品に比べ十分な進歩を有し、実用性が高く、社会のニーズに合致しており、産業上の利用価値は非常に大きい。
【符号の説明】
【0024】
1 カップ
2 碗
3 カップ本体
4 カップ本体内部の空隙
5 碗本体
6 碗本体内部の空隙
11、12、13、14 食器の第一種製造工程の主要ステップ
21、22、23、24 食器の第二種製造工程の主要ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体、多数の空隙を備え、
前記本体は、でんぷん類物質を含み、
前記でんぷん類物質は、前記本体重量の45%以上を占め、
前記多数の空隙は、前記本体内部に分布し、
前記多数空隙の体積の総和と、食器の体積の総和との割合は、5%以上50%以下であることを特徴とする食器。
【請求項2】
前記本体はさらに、キシロース質植物繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の食器。
【請求項3】
前記本体はさらに、別の植物繊維を含み、
前記別の植物繊維の長さは、前記キシロース質植物繊維より長いことを特徴とする請求項2に記載の食器。
【請求項4】
前記別の植物繊維と前記キシロース質植物繊維との総和は、前記本体の重量の5%以上25%以下を占めることを特徴とする請求項3に記載の食器。
【請求項5】
前記本体はさらに、パルプ型繊維を含み、
前記パルプ型繊維は、紙を構成する成分と同様に、フレキシブルで湾曲抵抗性を備えた繊維であることを特徴とする請求項1に記載の食器。
【請求項6】
前記本体の形状は固定し、或いは湾曲及び伸縮が可能で、前記3種中の内の1種であることを特徴とする請求項1に記載の食器。
【請求項7】
前記食器はさらに、タルク粉を含むことを特徴とする請求項1に記載の食器。
【請求項8】
前記タルク粉は、前記本体の重量の5%以上50%以下を占めることを特徴とする請求項7に記載の食器。
【請求項9】
本体、多数の空隙を備え、
前記本体は、炭水化物を含み、
前記炭水化物は、前記本体重量の45%以上を占め、
前記多数の空隙は、前記本体内部に分布し、
前記多数空隙の体積の総和と、食器の体積の総和との割合は、5%以上50%以下であることを特徴とする食器。
【請求項10】
前記本体はさらに、タルク粉を含み、
前記タルク粉は、前記本体の重量の5%以上50%以下を占めることを特徴とする請求項9に記載の食器。
【請求項11】
食器の製造工程は、以下のステップを含み、
原料を提供し、
前記原料は、でんぷん類物質と成型補助剤を含み、
前記原料を攪拌し、前記原料を加熱し、前記原料をゲル体とし、
金型の温度を150℃以上とし、前記金型を利用し、ゲル体を固体とし、前記固体内部には多数の空隙を分布させることを特徴とする食器。
【請求項12】
前記成型補助剤の用量は、前記原料の重量の0.2%以上2%以下であることを特徴とする請求項11に記載の食器。
【請求項13】
前記原料をゲル体とするステップにおいて、液体物質を前記原料に加えることを特徴とする請求項11に記載の食器。
【請求項14】
前記原料を加熱するステップにおいて、高温の水を前記原料に加え、
前記高温の水の温度は前記原料の温度よりも高いことを特徴とする請求項11に記載の食器。
【請求項15】
前記原料を加熱するステップにおいて、80℃以上の水を前記原料に加えることを特徴とする請求項11に記載の食器。
【請求項16】
前記金型を利用するステップにおいて、前記ゲル体を前記金型のキャビティに注入し、前記金型のキャビティは、前記固体の形状を制限する作用を備えることを特徴とする請求項11に記載の食器。
【請求項17】
前記原料はさらに、キシロース質植物繊維を含むことを特徴とする請求項11に記載の食器。
【請求項18】
前記原料はさらに、パルプ型繊維を含み、
前記パルプ型繊維は、紙の成分と同類で、紙を構成する、フレキシブル性を備える一種の繊維であることを特徴とする請求項17に記載の食器。
【請求項19】
前記キシロース質植物繊維と前記パルプ型繊維の総和は、前記原料の重量の、5%以上25%以下であることを特徴とする請求項18に記載の食器。
【請求項20】
前記成型補助剤は、生物酵素類物質であることを特徴とする請求項11に記載の食器。
【請求項21】
前記成型補助剤は、活性菌酵素であることを特徴とする請求項11に記載の食器。
【請求項22】
前記でんぷん類物質は、水分解性でんぷんを含み、
前記水分解性でんぷんは、結合を促進し、前記固体表面の硬度を向上させる作用を備えることを特徴とする請求項14に記載の食器。
【請求項23】
食器の製造工程は、以下のステップを含み、
原料を提供し、
前記原料は、炭水化物と成型補助剤を含み、
前記原料を攪拌し、前記原料を加熱し、前記原料をゲル体とし、
金型の温度を、180℃以上220℃以下とし、前記金型を利用し、ゲル体を固体とし、前記固体内部には多数の空隙を分布させることを特徴とする食器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−51799(P2010−51799A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194656(P2009−194656)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(509239716)方衛良品股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】