説明

食肉移送用スクリューコンベヤ

【課題】水平スクリューコンベヤの出口部に、垂直スクリューコンベヤが両コンベヤの軸心線を交差させた状態で直交して連結された食肉移送用スクリューコンベヤであって、水平スクリューが出口部において自由状態であってもシリンダーの内壁と干渉することのない清掃、洗浄が容易な食肉移送用スクリューコンベヤを提供する。
【解決手段】水平スクリュー3は先端部を垂直スクリュー18付近に臨ませ、他端部に形成された第一フランジ6を駆動軸9の先端に形成されて機壁に開けられた孔に外周面を緩く嵌合させた第二フランジ11に締結ボルト10により着脱可能に連結されており、駆動軸9には第二フランジ11に当接して第一ベアリング12が、適宜間隔を隔てて第二ベアリング13が嵌め込まれ、両ベアリング12,13を保持する支持メタル15が機体に取着された食肉移送用スクリューコンベヤとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍肉切削機などで切削された食肉をチョッパーへ、あるいは、チョッパーで粗挽きされたミンチを次工程のミキサー又は仕上用チョッパーなどへ移送する食肉移送用スクリューコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術には、本出願人による実公昭62−7105号公報(特許文献1)および実開平6−76222号公報(特許文献2)に開示されたものがある。
これらの公報に記載されたスクリューコンベヤを用いた移送装置においては、水平スクリューコンベヤの出口部に垂直スクリューコンベヤを直交させ連結している。
【0003】
上記何れの公報に記載された移送装置においても、水平スクリューコンベヤのスクリューは、出口部において自由状態とされている。従って、運転中においてスクリューがシリンダー内を遊動してスクリューの外周がシリンダーの内壁と干渉するおそれがあった。
そこで本出願人は水平スクリューの先端を支承する軸受具を着脱可能に設ける構成に関して特開2009−51663号(特許文献3)で提案した。
これにより、上述した問題は解消できたものの、作業終了後における清掃、洗浄に際しては軸受具を取り外さなければならず面倒であるという問題が残った。
【特許文献1】実公昭62−7105号公報
【特許文献2】実開平6−76222号公報
【特許文献3】特開2009−51663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述した従来技術における問題点に対応して、水平スクリューが出口部において自由状態であってもシリンダーの内壁と干渉することのなく、しかも清掃、洗浄が容易な食肉移送用スクリューコンベヤを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上部にホッパーが設けられた水平スクリューコンベヤの出口部に、垂直スクリューコンベヤが両コンベヤの軸心線を交差させた状態で直交して連結され、前記垂直スクリューコンベヤのシリンダーは、軸線方向に分割された一対の部材により構成されていて、該部材の一方を水平スクリューコンベヤ側に固着し、他方を反水平コンベヤ方向に向けて回動可能に前記一方の部材に支承させた食肉移送用スクリューコンベヤであって、前記水平スクリューは先端部を垂直スクリュー付近に臨ませ、他端部に形成された第一フランジを駆動軸の先端に形成されて機壁に開けられた孔に外周面を緩く嵌合させた第二フランジに締結ボルトによって着脱可能に連結されており、駆動軸には第二フランジに当接して第一ベアリングが、適宜間隔を隔てて第二ベアリングが嵌め込まれ、該両ベアリングを保持する支持メタルが機体に取着された食肉移送用スクリューコンベヤとすることで目的を達成する。
【発明の効果】
【0006】
駆動軸端に形成された第二フランジと水平スクリューの端部に形成された第一フランジとを締結ボルトで連結して一体化された水平スクリューは、機体に取着されている支持メタルに保持される第一ベアリングと適宜間隔を隔てて第二ベアリング2との両ベアリングにより支持されるので水平スクリューを遊動させないで回転させることができる。
【0007】
垂直シリンダーは、軸線方向に分割された一対の部材により構成され一方の部材が反水平スクリュー側に向けて回動されるように構成されているので、垂直スクリューと水平スクリューとを回動された部材側から機外に抜き取ることが可能であり、清掃時には水平スクリューに形成された第一フランジと駆動軸に形成された第二フランジとを連結する締結ボルトを緩め、駆動軸側を残して水平スクリューのみを取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明を実施するための最良の形態について図面を対照して説明する。
【0009】
図1は本発明装置の実施例における要部の側面図で、図2は同図におけるA−A断面の要部のみを示す。
【0010】
図1に示すように、水平スクリューコンベヤ2には、上部にホッパー1が開口され、底部に水平スクリュー3が横置きされる。水平スクリュー3は、螺旋状のスクリュー4が軸5に巻き掛けられ一体的に形成されていて、軸5は運転中における材料肉の移送時においても撓みによって内壁と接触することのない剛性を有する材質と大きさのものが選定されるが、本例に置いては螺旋状スクリュー4の外径寸法が180mmに対して外径寸法76,3mm厚み5mmのステンレス鋼管を使用している。
【0011】
水平スクリュー3の先端部は垂直スクリューコンベヤ近くまで延設され、始端部(図1では右側)における軸5の端部には第一フランジ6が形成される。
第一フランジ6の外径寸法は、螺旋状のスクリュー4の外径寸法とほぼ等しくすることが好ましいが、脱着を容易にするには、少なくとも垂直スクリューコンベヤに至る食肉の移送路の内径寸法以内とすることが望ましい。
【0012】
第一フランジ6には、複数個のボルト孔7.7・・と、芯合わせのためのインロー突起が形成される。ボルト孔7,7・・は図3に示すように同一円上に複数個開けられるがこの孔の形状はひょうたん状であって、後述する締結ボルト10の頭部が通過可能の大きさの大孔部とネジ部が通過可能な大きさの小孔部とで形成されるが、これは締結ボルト10を抜き取らなくとも緩めるだけで第一フランジ6を回動させて位相を合わせ大孔部から締結ボルト10の頭部を通過させて着脱可能とするためである。
【0013】
このように構成された水平スクリュー3の第一フランジ6が連結される駆動軸9の構成について説明すると、駆動軸9には、第一フランジ6と連結される第二フランジ11が先端に形成される。
第二フランジ11は、第一フランジ6に形成されたインロー突起に嵌合される穴部を有して両者を嵌め合わせることで芯あわせをして複数の締結ボルト10によって連結されるので、第一フランジ6に開けられたボルト孔7,7・に対応する位置にねじが穿設される。
【0014】
第二フランジ11に当接して駆動軸9には、第一ベアリング12と適宜間隔を隔てて第二ベアリング13が嵌め込まれる。第一ベアリング12は、第二フランジ11に当接することで水平スクリュー3が食肉を圧送するときの反力を受け止める。これらベアリング12、13は、転がり軸受けが望ましくスラスト荷重に対しても限度内であれば対応可能なラジアルボールベアリングが適する。
両ベアリングの間隔は特定されるものではないが、水平スクリュー3が遊動しないよう安定良く支持するためには可能な範囲で大きくすることが望ましい。
【0015】
14は、オイルシールであって、機壁に開けられた孔に緩く嵌合して回転している第二フランジ11の外周面から滲み出る肉汁などのベアリング部への侵入を防止する。
このオイルシール14の下方位置の後述する支持メタル15には詳細表示は省略するが阻止された肉汁の機外への排出溝8が設けられている。
【0016】
上述した第一、第二ベアリング12,13を保持する支持メタル15は、機壁に図示しないボルトなどで適宜取り付けられるが、機壁との取り付け面にはインロー突起が形成されて、機壁に開けられたインロー穴に嵌合されている。
したがって、水平スクリュー3は、第一フランジ6と、支持メタル15によって第一、第二ベアリング12,13を介して支持された駆動軸9に形成された第二フランジ11とが複数の締結ボルト10で一体となるよう連結されて、駆動軸9の反フランジ側に固着されたスプロケット16が図示しないモーターなどにより駆動されることで回転可能とされる。
【0017】
このように構成された水平スクリューコンベヤ2の出口部には、垂直スクリューコンベヤ17が水平スクリューコンベヤ2との軸心線を交差させて突き合わされた状態で連結される。
垂直スクリューコンベヤ17を構成する垂直スクリュー18は、下端部が底部に設けられた駆動装置19から突設された垂直駆動軸20に挿脱可能とされ、図示しないが上端部も排出口付近において係脱可能とされた状態で回転可能に支承されている。
垂直シリンダー21は、既に知られているように軸線方向に分割された一対の部材により構成されていて、部材の一方を水平スクリューコンベヤ2側に固着し、他方を反水平スクリュー3方向に向けて回動可能に一方の部材に支承する構成とされている。
【0018】
上述のように構成された食肉移送用スクリューコンベヤにおける作業終了後の清掃要領について述べると、先ず、図2に示すように反水平スクリュー3方向にむけて垂直シリンダー21の回動側部材21aを回動させて垂直シリンダー21を開放状態とし、垂直スクリュー18を取り外す。
ついで、水平スクリュー3と駆動軸6とを連結している締結ボルト10を緩め、第一フランジ6に開けられたボルト孔7の大径部と位相を合わせて水平スクリュー3を垂直シリンダー21の開放された一方の部材21a側から引き出す。
ただし、ホッパー1の横方向長さ寸法が比較的大きい場合など、水平スクリュー3をホッパー1側から取り出すことが可能な場合には、必ずしも垂直シリンダー21側から引き抜かなくても良いが、ホッパー1の底部から持ち上げなくてはならないので労力を要する。このようにして機外に取り出した各部品および空洞状態となったホッパー1の底部など食肉が接触しながら通過した部分を圧力水などで洗浄し清掃する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明装置の実施例における要部の側面図。
【図2】図1におけるA−A断面の要部のみを示す図。
【図3】第一フランジに開けられたボルト孔の形状を示す側面図。
【符号の説明】
【0020】
2 水平スクリューコンベヤ
3 水平スクリュー
6 第一フランジ
9 駆動軸
11 第二フランジ
12 第一ベアリング
13 第二ベアリング
15 支持メタル
17 垂直スクリューコンベヤ
18 垂直スクリュー
21 垂直シリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にホッパーが設けられた水平スクリューコンベヤの出口部に、垂直スクリューコンベヤが両コンベヤの軸心線を交差させた状態で直交して連結され、前記垂直スクリューコンベヤのシリンダーは、軸線方向に分割された一対の部材により構成されていて、該部材の一方を水平スクリューコンベヤ側に固着し、他方を反水平コンベヤ方向に向けて回動可能に前記一方の部材に支承させた食肉移送用スクリューコンベヤであって、前記水平スクリューは先端部を垂直スクリュー付近に臨ませ、他端部に形成された第一フランジを駆動軸の先端に形成されて機壁に開けられた孔に外周面を緩く嵌合させた第二フランジに締結ボルトによって着脱可能に連結されており、駆動軸には第二フランジに当接して第一ベアリングが、適宜間隔を隔てて第二ベアリングが嵌め込まれ、該両ベアリングを保持する支持メタルが機体に取着された食肉移送用スクリューコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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