説明

飲み口用の弁構造体。

【課題】
乳幼児が授乳の際に行っている舌の蠕動様運動から、飲料の摂取時の吸引運動への移行期をスムーズに行うことができる飲み口用の弁構造体を提供するものである。
【解決手段】
弁構造と弁構造との間に中空部を設け、飲料で満たされた中空部を舌や唇、歯や歯茎で押圧し、飲料を送出する蠕動様運動を可能とした飲み口用の弁構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児が飲料摂取するための蠕動様運動や吸引運動の両運動を可能とする飲み口用の弁構造体。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料の摂取にはコップやストローなどを用い、吸うという吸引運動のより行われている。しかし、乳幼児の授乳は、乳幼児の上顎に乳首が位置した状態で乳幼児の舌の蠕動様運動により行われているものであり、乳幼児は当初から吸引運動を行ってはいない。このために、授乳から飲料の摂取への移行期において乳幼児は飲料を摂取することに大変な困難を伴い人口乳首などを手ばなせないなどの問題があり、トレーニング用の飲み口が多種使用されている。
【0003】
これらの飲み口の改良がなされている。吸引力が低下した幼児などが使用するもので、飲料の逆流を防止でき、飲料を使用者の口元で保持し、2度目からの吸引をしやすくする弁構造体が提案されている。(特許文献1参照)
【0004】
また、本発明者は、飲料を摂取する際に、吸引力が低下した使用者が吸引しやすいように使用者の口元部分に接合して使用する弁構造体を提案した。この弁構造体は柔らかい弁部材を用いた簡易構造で、舌や歯による押圧により吸引運動を助ける能力を持つものである。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−301
【特許文献2】特開2009−159445
【0006】
特許文献1において提案された弁構造体は、ストローなどに接続して使用されるものであり、飲料が使用者の口元近くに保持することで吸引力が低下した使用者が吸引しやすい改良である。しかし、吸引運度を前提としたことには何ら変わりはない。
【0007】
また、本発明者の提案である特許文献2であるが、弁部材が柔らかいなどの特徴は、吸引力が低下した使用者が舌や歯などを使用しての押圧による飲料の流れ圧力を加える効果はあるが、あくまでも吸引運動を前提とした改良の範囲を超えるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
乳幼児は授乳期において、反射運動である舌の蠕動様運動を行い乳首や人工乳首から母乳やミルクを摂取している。この運動は、口を開けたまま舌を前後に動かして乳首か乳を圧出し飲み込んでいる。吸引はしていないのである。個人差はあるが月齢が5カ月から6カ月頃からこの無意識の舌の蠕動様運動から、意識した唇や舌、歯茎や歯、顎や頬などを総合した吸引運動へと徐々に移行していく。吸引運動は、乳幼児が自分自身で獲得しなければならず、ムセたりこぼしたりなど大変な困難を伴う。しかし、現在のトレーニング用の各種の製品では十分とはいえない。舌の運動をとっても、前後運動から上下運動が加わり、さらに左右の運動を加わる。さらに呼吸とも連動した唇や歯、顎や頬なども伴った複雑でデリケートな動作が求められる。
【0009】
本発明は、前記に鑑みなされたもので、本発明者が提案した、吸引力が弱い使用者が使用する弁構造体を発展させ、蠕動様運動から吸引運動への移行をスムーズに行うことができる乳幼児が使用する飲み口用の弁構造体を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、係る飲み口用の弁構造体であって、内部が中空である楕円球状体の一端に突起部を設け、該突起部に弁構造2aを形成し、他の一端に飲料導入管を設け、該飲料導入管に弁構造2bを形成したことを特徴とする。
【0011】
また、前記弁構造体は、飲料導出口3a、飲料流路口3b、飲料流路口3c、飲料流路口3dの面積が、弁構造2a、弁構造2bの断面の面積の5%から50%であることを特徴とする。
【0012】
また、前記弁構造体は、飲料導出口3a、飲料流路口3b、飲料流路口3c、飲料流路口3dの面積が飲料導出口3a≧飲料流路口3b≧飲料流路口3c≧飲料流路口3dであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を得ることができる。本発明の飲み口用の弁構造体は、内部が中空の楕円球状体の両端部に弁構造を設け、流入した飲料を楕円球状体内に留めることができるようにしたので、使用者は舌や唇、歯や歯茎などを用いて、押圧する蠕動用運動による飲料の摂取ができるようになった。
【0014】
また、この楕円球状体は使用者の上顎の窪みに密着することができる形状にしたので、蠕動様運動を確実に行うことができるようになった。
【0015】
また、本発明は、飲み口用の弁構造体であり、飲料の逆流を防止できることは当然であり、さらに蠕動様運動による飲料の摂取を可能としただけではなく、吸引運動を妨げるものではなく、蠕動様運動と吸引運動とを同時に行うことができる特徴は、乳幼児期から幼児期の移行期における飲料の摂取におけるトレーニング用の飲み口としての能力を獲得した。
【0016】
また、本発明の飲み口用の弁構造体は、飲料が通過する飲料導出口3a、飲料流路口3b、飲料流路口3c、飲料流路口3dの断面の面積を、弁構造体2a、弁構造体3aの断面の面積の5%から20%にし、その断面の面積を、飲料導出口3a≧飲料流路口3b≧飲料流路口3c≧飲料流路口3dにしたので、飲料の流れをスムーズにすることができた。さらには、飲料の逆流の防止効果を向上することができた。
【0017】
また、本発明の飲み口用の弁構造体は、乳幼児が蠕動様運動による飲料の摂取を可能としたものであり、さらには、乳幼児が人口乳首などを使用する様における飲料容器を持ち上げる必要はなく、乳幼児のどのような姿勢にも対応しうる弁構造体にできた。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の形態を示す実施例であるが、本発明の技術的思想を損なうものでなければよく、本実施例に特定も限定もするものではない。
【0019】
本発明者は、特願2009−159445において、飲料を吸引するための弁構造体を提案した。その特徴は、弁部材としてセルロース糸繊維成形材を使用するもので、セルロース糸繊維成形材と飲料とが一体となり弁部材としての機能を獲得したものである。弁部材が柔らかい素材あり、使用者の舌や唇、歯や歯茎の押圧にも対応できる新しい弁構造を創り出すことができた。しかし、弁部材内の飲料を舌や唇、歯や歯茎の押圧だけで移動させ口腔内へ移動させることは可能であるが、十分な飲料の移動はできず、吸引運動があって初めてその機能を十分に発揮するものであり、蠕動用運動を前提とした弁構造体とはいえない。
【0020】
本発明は本発明者の特願2009−159445である吸引運動に対応した弁構造体を発展させ、乳幼児の飲料摂取時に行っている蠕動様運動を可能とする飲み口用の弁構造を完成させたものである。
【実施例】
【0021】
本発明の実施例の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の飲み口用の弁構造体1を示す斜視図である。図2は、図1のx−x線上の断面図である。図3は、図1の頂上図である。図4は飲料導出口3aの正面図である。図5は、飲料流路口3b、飲料流路口3c、飲料流路口3cの形状を示す正面図である。
【0022】
本発明の飲み口用の弁構造体1は、ゴム、シリコーンゴムやスティレソエラストマ、ポリエステルエラストマ等の可燃性プラスチック素材からなる。素材としては、乳幼児が口にするものであり、その安全性を特に考慮しなければならないが特に特定はしない。また、弁構造2a、弁構造体2bを構成する弁部材7a、弁部材7bはセルロース糸繊維成形材を使用する。また、飲み口用の弁構造体1は、厚さや強度などここで特定も限定もするものではないが、歯などによる押圧時には十分に対応する厚さや強度を有することは当然である。
【0023】
本発明の飲み口用の弁構造体1は、次のように構成されている。中部に中空部5を有する楕円球状体4の端部に弁構造2aを設け、他の端部に弁構造2bを設けている。弁構造2aは、飲料導出口3a、弁部材7a、飲料流路3bからなり、飲料流路3aは楕円球状体4の中空部5へ向けて形成している。楕円球状体4は外側表面が波状の凹凸に形成したものを示しているが、該楕円球状体4の一方の端部に弁構造2bが設けられている。弁構造2bは、飲料流路口3c、弁部材7b、飲料流路口3dからなり、飲料流路口3cは楕円球状体4の中空部5へ向けて形成している。弁構造2bの飲料流路口3dは飲料導入口6へ続いている。弁構造2bの外側表面に止部8を設けている。飲料導入口6はストロー9を接続したものを示した。
【0024】
飲料の移動について説明する。飲料はストロー9から飲料導入口6を通り飲料流路口3dから、弁構造2bへ流入し弁部材7bを満たし、さらに、飲料流路口3cから中空部5を満たし、次に飲料流路口3bから弁構造3aへ流入し弁部材7aを満たし、飲料導出口3aから送出する。
【0025】
飲料の移動をスムーズに行えるように、飲料導出口3a、飲料流路口3b、飲料流路口3c、飲料流路口3dの断面の面積を弁構造2a、弁構造2bの断面の面積の5%から20%にしたものである。この断面の面積を飲料導出口3a≧飲料流路口3b≧飲料流路口3c≧飲料流路口3dにしたのでさらに飲料の移動をスムーズにし、逆流を防止する能力も高めることができる。
【0026】
飲料導出口3aの形状は、図3に示したように楕円形の形状であるが、図4にその形状の例を示した。41は円形状を、42は三角形状を43はメッシュ形状を示したが、特に特定するものではない。乳幼児の月齢によっても形や大きさなど考慮しながら決定することが好ましい。また、飲料導出口3aは、弁部材7aを流出させない形状や口径であることは当然である。
【0027】
飲料流路口3b、飲料流路口3c、飲料流路口3dの形状は、図5に示した。円形状を51、四角形状を52、長方形状を53、メッシュ形状を54、多孔形状を55などの形状を示したが、特に特定はしない。また、飲料の移動を妨げない形状であり、弁部材27a、弁部材3bの流出を防止する形状や口径であることは当然である。
【0028】
楕円形状4は、外側面を波状の凹凸状のものを示したが、波の幅や高さなど限定も特定もしない。この波状の凹凸は、使用者の舌や唇、歯や歯茎にひっかかることを通してフィットしやすい効果を生じさせるものであり、また、使用者の上顎に密着することを防ぐ効果を生んでいる。また、この波状のものを示したがこの形状や、幅や高さなど限定も特定もするものではなく、凹凸状を形成しなくてもよい。この波状の凹凸状は、楕円球状体4の内側面に形成してもよく、内側面や外側面の両側面に形成してもかまわない。
【0029】
止部6は、図3に示したように角を取ったなめらかな四角形状のものを示した。この止部は、使用者が誤って飲み込むことを防止するために設けたものである。この面積は、3.75cm3以上が好ましく、使用者の使用上の安全には不可欠である。
【0030】
飲料導入口6は、ストロー9を接続したものを示した。飲料導入口6の口径をここで特定するものではなく、接続するストローなどの口径に対応できる口径のものを多種用意することが好ましい。飲料導入口6は、ストローなどを接続することを目的とするものであり、ストローなどが脱落することがないように、飲料流路口3dへ向って徐々に細くなるように形成することが好ましく、ティバー処理を行うことは当然であるが特定はしない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の飲み口用の弁構造体は、乳幼児が人工乳首からコップやストローを使用して飲料を摂取する際の吸引運動を学習するためのトレーニング用の飲み口に蠕動様運動が出来る機能を持たせたものである。また、弁構造は逆流を防止し、多種飲料容器に接続して使用するもので、極めて簡素の構造は安価の製造が可能で、使い捨てすることで 性を確定できる全く新しいトレーニング用の飲み口を提供するものである。





















【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】弁構造体と接続したストローの斜視図。
【図2】図1のx−x線上の断面図。
【図3】図1の頂上図。
【図4】飲料導出口の正面図。
【図5】飲料流路口の正面図。
【符号の説明】
【0033】
1、 弁構造体
2a、弁構造
2b、弁構造
3a、飲料導出口
3b、飲料流路口
3c、飲料流路口
3d、飲料流路口
4、 楕円球状体
5、 中空部
6、 飲料導入口
7a、弁部材
7b、弁部材
8、 止部
9、ストロー
10、飲料導入管
41、42、43、飲料導出口の形
51、52、53、54、55、飲料流路口の形






















【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲み口用の弁構造体であって、内部が中空である楕円球状体の一端に突起部を設け、該突起部に弁構造2aを形成し、他の一端に飲料導入管を設け、該飲料導入管に弁構造2bを形成したことを特徴とする飲み口用の弁構造体。
【請求項2】
前記弁構造体は、飲料導出口3a、飲料流路口3b、飲料流路口3c、飲料流路口3dの面積が、弁構造2a、弁構造2bの断面の面積の5%から50%であることを特徴とする請求項1に記載の飲み口用の弁構造体。
【請求項3】
前記弁構造体は、飲料導出口3a、飲料流路口3b、飲料流路口3c、飲料流路口3dの面積が、飲料導出口3a≧飲料流路口3b≧飲料流路口3c≧飲料流路口3dであることを特徴とする請求項2に記載の飲み口用の弁構造体。





































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−206093(P2011−206093A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73992(P2010−73992)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(309019028)
【Fターム(参考)】