説明

飲料を真空抽出する機械及び真空抽出方法

所望の量のコーヒー粉末、茶葉、ハーブ、又は他の飲料製造原料が、下げられた位置にある可動テーブル台の上に配置されたガラス容器のチャンバ内に配置される。次に、容器の上縁部が上部シールに対して密封するまでテーブル台が上昇される。上部が密封されると、約85から約100℃(約185から212°F)の所望の量の水が上部のポートを通してチャンバ内に導入される。その後、チャンバ内に真空が引かれ、約−16.9から−67.7kPa(約−5から−20Hg in)の範囲内に保持される。外部熱源を使用して、抽出液体は約85から100℃(約185から212°F)に維持される。所望の時間にわたり飲料が抽出された後、熱及び真空が除去され、チャンバが大気圧に戻り、テーブル台が下げられて容器が解放される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を真空中で抽出する飲料抽出機械に関し、より詳細には、飲料が内部で抽出されるチャンバを、真空を作るために排気する機械に関する。また、本発明は、真空中で抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー又は茶など、抽出された飲料は、世界中の様々な文化及び多数の国々の多くの種類の人々に大変人気があり、普及している。最も効果的に最高の品質の抽出物を得ることが、長年にわたって多くのコーヒー及び茶の抽出者の目標であった。
【0003】
ここ20年にわたり、コーヒー及び茶の産業は、日用品ベースの産業から特殊製品の1つに発展し、小売店及び消費者が、品質の向上及び価格上昇を推進してきた。Starbucks Corporationは、アメリカ合衆国において本産業の発展の口火を切り、結果として、小売の概念及び飲料の概念の革新、すなわち、米国スタイルの「カフェ文化」の誕生、及びより高品質のコーヒー製品への消費者の要求が生じた。しかし、コーヒー産業のこの発展全体は、80年以上前に開発された方法及び技術によって成り立っていた。
【0004】
1850年代にフレンチプレスが発明された。1822年にエスプレッソマシンが作られた。1922年にEmersonの真空抽出機が発明された。1908年にMelitta Bentzのコーヒーフィルタが発明された。何年にもわたって、これらのプロセス及び装置に対する多数の修正、改良、及び自動化があった。しかし、ここ20年にわたる飲料の急増及び小売革新にもかかわらず、重要な新しい抽出/浸出プロセスは1つも出現していない。
【0005】
2006年、コーヒー機器会社が「the Clover」を発売した。これは、自動化されたフレンチプレスであり、熱い飲料を60秒足らずで作ることができる。この装置によって、1人分で素早い回転に対するニーズがあることが明らかとなり、この装置により、許容可能な小売の回転率で、極上コーヒーがすぐに抽出され、カップで給仕されるという隙間市場がコーヒー産業に作られた。2008年、コーヒー機器会社は、すぐにStarbucksにこの「Clover」を認められ、買収された。この買収によって、60秒未満で極上の飲み物を作ることができる1人分の抽出機を受け入れる余地が市場に作られた。
【0006】
「低温抽出」コーヒー及び茶も、数え切れない程の年月にわたり世界中の国々で実施されている。このプロセスは、12から24時間、容器の中において室温の水にコーヒー又は茶を浸す、及び/又は抽出する/浸出させるというものである。このプロセスは、適正な固形物を乾燥媒体から抽出する最適な方法であると多くの人々に考えられていた。しかし、このプロセスは、一般の消費者には多くの時間がかかり過ぎる。
【0007】
「Clover」及び「低温抽出」方法によって作られた隙間市場が、本明細書に記載された本発明プロセス及び装置の開発への刺激となった。目指していたのは、コーヒー及び茶の両方を抽出し、また、熱水及び冷水の両方を使用して抽出するのにために使用するのに十分多用途であり得るプロセスを作ることであった。本発明は、これまで存在した何らかの制限又は方法のいずれにも固執しない全く新しい独自のプロセスである。本プロセスは、真空環境下で抽出するものであり、すべてのパラメータにおいて幅広い範囲を有し、そして、従来の方法で許容された時間よりも少ない時間で、素早くでもゆっくりでも、高温でも低温でも望むように抽出するために使用することができる。
【0008】
用語「真空」は、過去において、コーヒーを抽出することに関連して使用されたことがある。例えば、1922年、Emersonに、「真空」抽出プロセスに関して米国特許第1,674,857号が発行された。この従来のプロセスは、上側容器及び下側容器を必要とする。下側容器は水を保持し、熱源の上に配置される。上側容器は、乾燥媒体又はコーヒーを保持する。上側容器は、首部の長い漏斗に似ており、下側容器の上に着座している。上側容器からの長いステムが、下方へ下側容器の中の水面レベルの下へ進入する。この2つが、下側容器の上部及び上側容器の首部の始まりのところにおける気密シールを介して連結されている。
【0009】
水は加熱されると、管を通って上側容器へ上昇し、上側容器の漏斗の中の乾燥媒体に浸み込む。熱が除去されると、水蒸気が冷えるにしたがって収縮するので、下側容器において「真空」が発生する。結果として生じた真空により、液体を上側容器から下側容器へ下方に引っ張って戻す吸引が生じる。したがって、2つを分離するためにコーヒー及びフィルタを通して液体を引き出す又は吸い込む機構として「真空」が機能する。Emersonによって規定されたプロセスの間、コーヒー又は乾燥媒体が真空中で抽出されるという提案はない。同様のシステムが、Bardenらによる米国特許第6,295,920号、及びDietzによる米国特許第2,467,817号に示されている。
【0010】
Starbucksの「Clover」などの自動化「真空」抽出機は、固形物から液体を分離する機構としてフィルタ下方の吸引/真空圧力を使用するが、通常の大気圧条件下、抽出原理で動作する。負圧が発生している間、完全に真空チャンバの中で水及び乾燥媒体を抽出するという提案はない。
【0011】
1935年、Davisは、コーヒーメーカーについて記載する米国特許第2,079,603号を与えられた。そのコーヒーメーカーにおいては、「真空」が、部分的に作られ、抽出装置内部で移動を生じさせる機構として助力する。抽出プロセスの間、水を加熱することにより蒸気圧が作られ、この蒸気圧が、蒸気を出している鍋の水の上方に上側容器を熱気球のように実際に浮かせる。熱が除去されると、蒸気圧が冷えて、したがって真空を作ることで、乾燥媒体(コーヒー)が入った上側容器を熱水の中へ下降させることが可能である。真空によって容器内の利用可能なすべての水が引っ張られると、外気が開口部を通して引き込まれ、コーヒー全体に泡立ち作用が生じる。
【0012】
Davisシステムの液体は、表面圧力がないことによって沸騰する又は泡立っているのではなく、利用可能な通気口を通してプロセスチャンバの中に引き込まれる空気によって泡立っている。装置全体は密封されていないので、安定した真空で抽出が生じることはない。また、真空の中で生じる抽出プロセスに関する記載もない。
【0013】
コーヒー、茶、及び他の飲料が真空中で抽出されるということはこれまでなかったが、他の食料品を調理するのに真空を使うということが提案されている。例えば、1940年、Smaltzは、パイの詰め物、保存果物、又は類似の食料品を加工する「真空調理及び冷却」プロセスに関して、米国特許第2,203,638号を与えられた。この特許によれば、すべての蒸発が完了するまで真空が引かれる。これは、真空ポンプを連続的に運転し、本プロセスの真空部品が適用されている状態で退出させられた蒸気及び空気を追い出すことによって達成される。−98.2kPa(−29Hg in)であるポンプの最大容量以外の任意の圧力で真空が調節されることを可能にする一方向弁又は手動弁は全くない。
【0014】
Smaltzによる特許に記載されているように、98.2kPa(29水銀柱インチ)の真空によって、パイの詰め物が急速に冷却され、それによって、生成物が分離することなく急速に冷却されることを可能にしながら調理プロセスが停止される。真空/冷却プロセスは、最終完成生成物に到達するためのプロセスの一部であると彼は述べているが、水蒸気及び温度の除去は、「調理」及び「冷却」プロセスの一部として定義されている。調理は、熱を加えた状態での調製として定義されている。したがって、Smaltzは、真空を使用して冷却しているのみであって調理しているのではなく、その中には、彼のプロセスがコーヒー、又は茶、又は他の飲料を抽出するために使用できるという提案は全くない。
【0015】
1959年には、Larsonに対して、「オーブン及び食べ物を調製する方法」という名称の発明に関して米国特許第2,885,294号が発行された。この特許は、超大気圧サイクル又は「下方向移動」方法が周囲空気を除去するために使用される調理プロセスの始まりについて記載しており、汚染物質なしに、及び食品の内部に水分子を「含浸する」又は浸み込ませることなく、食品を素早く調理するために周囲空気は蒸気圧によって置換される。周囲空気は、調理プロセスの間、食品に水分子を「含浸する」及び/又は浸み込ませることを避けるためだけでなく、ビタミン又は栄養成分を損なうことを防ぐために、周囲空気が除去される。
【0016】
Larsonは、周囲空気を除去するという唯一の理由で調理プロセスの始めに真空ポンプを使用することについて述べている。そして、この空間は、膨張する蒸気のガスによって満たされ、蒸気のガスは、オーブンの加熱された壁によってさらに加熱され、したがって、正圧の大気を生じさせる。したがって、実際に、調理は真空中では行われていない。さらに、Larsonには、彼のプロセスがコーヒー又は茶を抽出するために使用できるという提案は全くない。
【0017】
高品質の飲料を抽出する素早く効果的な方法を提供することができる飲料抽出機械及びプロセスに対するニーズは明らかに存在する。真空を適切に使用することによってこれが達成され得るということが分かった。本出願人の知る限りでは、飲料がその中で抽出されるチャンバの中の真空を使用することでコーヒー若しくは茶、又は他の飲料を抽出するということは誰も試みていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上述の先行技術の欠点を克服するよう設計されている。本発明の目的は、コーヒー又は茶などの飲料、又は他の乾燥媒体を冷水又は熱水の中で抽出するために使用することができる飲料抽出機械及び方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、真空チャンバの中で飲料を抽出することができる飲料抽出機械及び方法を提供することである。
さらに、本発明の目的は、素早く簡単に飲料を抽出することができる飲料抽出機械及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の特徴及び利点を示す例示的実施形態によれば、所望の量の挽いたコーヒー、茶、ハーブ、又は他の原料が、ガラス容器のチャンバ内に配置される。次に、可動テーブル台が下げられた位置にある間に、容器が可動テーブル台の上に配置される。次に、容器の上縁部が上部シールに対して密封状態となるまでテーブル台が上昇される。上部が密封されると、約85から100℃(約185から212°F)の温度範囲の所望の量の熱水が上部のポートを通してチャンバ内に導入される。その後、バルブを駆動することによって、又は追加ポートを通してチャンバにも連通する真空ポンプを作動させることによって、チャンバ内に真空が引かれる。チャンバ内の真空は、約−16.9から−67.7キロパスカル(約−5から−20水銀柱インチ)の範囲内に保持され、外部熱源を使用して、チャンバ内の液体は約85から100°(約185から212°F)に維持される。別法として、真空をパルスで発生させることができる。すなわち、抽出サイクルの間、真空を数回入れたり切ったりすることができる。所望の時間にわたり飲料が抽出された後、熱及び真空が切られ、チャンバが大気圧に戻り、テーブル台が下げられて容器が解放される。次に、チャンバの内容物が濾されて、飲料から固形物が除去される。
【0021】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、図面とともに挙げられる本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から容易に明確となるであろう。
本発明を説明する目的で、現時点で好ましい一形態が添付の図面に示されている。本発明は、図示された正確な配置及び手段に限定されることは意図されていないということが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の特徴を示す飲料抽出機械の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで図面を参照すると、図1には、本発明の原理によって構成された飲料抽出機械の概略図が示されている。本発明によれば、コーヒー、茶、又はハーブなどの乾燥媒体を抽出/浸出させる全体のプロセスは、密封された真空チャンバ3の内部で起こる。このチャンバ3は、それに限定されないが、真空チャンバの本体として容器を含むことができ、熱水又は冷水及び乾燥媒体19が、プロセス全体を通してとどまることになる。上部すなわち蓋15によって、シリコーン又は同様の材料のガスケットを用いて密封が作られて、容器3と蓋15との間に気密シールを作る。蓋15は、20及び21で示されているような1つ又は複数のポートを有することができ、ポートは、大気の排気、圧力変換器/センサ/スイッチ、計器のために、及び/又はチャンバ内に水を導くために使用することができる。
【0024】
ガスケットが適切なシールを確実に作るように蓋15と容器又はチャンバ3との間に圧力を加える手段も提供されている。これは、テーブル表面24を有し容器3がテーブル表面24上に配置される昇降テーブルを使用することによって実現される。テーブル表面24は、アングルブラケット23a及び垂直ブラケット23bからなるフレームによって支持される。垂直ブラケット23bは、固定された直線状のスライドサポート22内をスライドし、調整可能アーム25a、25b及び25cの移動によって上下に移動できる。図1に示される通り、押し下げクランプ26が、容器3が配置されたテーブル表面24を上方の密封された位置に保持する。もちろん、上記は、単なる一例である。適切なシールを実現するための昇降又は圧力は、当技術分野で知られた油圧ピストン若しくは空気圧ピストン、ガススプリング、ねじ、プーリ、ラッチ、クランプ、又はツイストロックシステムなどの他の多くの利用可能な昇降機構を使用して作られることが可能である。また、当業者には容易に理解できるように、蓋15を静止した状態で保持し容器3を移動させる代わりに、容器を固定して保持し、蓋を下方へ移動させて密封することが可能であり、又は双方を互いの方向へ移動させてもよい。
【0025】
容器又は抽出チャンバ3は、ガラス容器18の形態とすることができる。商標PYREXで販売されているような性質の高温強化ガラスは、耐温度性、透明度及び耐化学性のために本発明に最も適している。ガラスが透明であることによって、抽出/浸出サイクルの間、プロセスを視覚的に検査することができるとともに、また、操作者だけでなく観客/顧客にプロセスが完了することを見る機会を与えるという視覚的/劇場的な要素を可能にする。ガラスの耐化学性は、前の抽出サイクルからの油や香りを留めることなく容器を使用の度に洗浄して、飲料を汚染しないということを確実にするために必要である。このように前のサイクルから残留する香りがないということによって、本プロセスは、飲料の風味を汚染することなくコーヒー及び茶の両方を抽出することができる。
【0026】
本プロセス及び装置は、抽出/浸出サイクルの間、光若しくは熱又はその両方を発生させ得るエネルギー源27を使用することができる。抽出の間、上方、下方、又は背面に光を加えると、容器の内容物が照明される。光によって、抽出/浸出プロセスの間、操作者が検査することが可能となり、観客が液体及び乾燥媒体の移動を観察することが可能となる。また、この光は、抽出/浸出プロセスの間、液体の温度を維持するのを助けるために必要な熱も提供することができる。初期真空が排気されるときの液体の温度損失を補うために、熱がガラス18及び液体19に伝達され得る。本プロセスの間、液体を適切な温度範囲に維持するために、この熱が必要とされ得る。
【0027】
高温抽出/浸出の場合加熱された水が約85から100℃(約185から212°F)の範囲内であるとき、本プロセスは最良に機能する。乾燥媒体を適切に抽出及び/又は浸出させるために、この温度が必要である。温度がこの範囲を超えると、乾燥媒体の中の所望の固形物を「焼く」又は「焦がす」可能性があり、また、乾燥媒体から固形物を「過剰抽出」する可能性があり、したがって、結果として、望ましくない香り又は飲料となる可能性がある。もし高温抽出/浸出サイクルの間、所望の範囲を下回る温度が使用されれば、本プロセスは所望の固形物の抽出を完全に実現することはできず、したがって、未熟な香り又は飲料となる。しかし、「低温抽出/浸出」プロセスは、制御された真空圧力下における、0.5から5時間の長時間にわたる抽出/浸出時間によって固形物の適切な抽出を実現する。
【0028】
所望の固形物を適切に抽出するために、熱水プロセスでは、抽出/浸出プロセス全体を通して、温度範囲が必要な範囲内に維持されることが要求される。水が低い温度で沸騰し始めて水蒸気が除去された際、チャンバ3内に真空が作られると、高温液体の温度損失が生じ得る。標準的な大気圧では、水は100℃(212°F)で沸騰する。しかし、液体の上の空気圧力が真空によって低下し、したがって、水が不安定になり、100℃(212°F)より低い温度でも「沸騰」するとき、「沸騰」効果が生じる。
【0029】
水の温度が冷たくなればなるほど、「沸騰」作用を実現するためにはより高真空にする必要がある。上述のSmaltz及びLarsonのプロセスで行われたように、冷却して「食品」から素早く水蒸気を除去するために、連続的に高真空を引いてプロセス全体を通して液体の「沸騰」作用を維持するというよりも、本発明の熱水プロセスは、抽出/浸出プロセス全体を通して、所定の負圧を約−16.9から−67.7kPa(約−5から−20Hg in(水銀柱インチ))の最適な真空圧力範囲内で調節するように設計される。抽出/浸出プロセスの開始時に、熱水を低い温度で沸騰させて乾燥媒体内からガスの解放が開始されるようにするために、この調節は必要である。真空が所望の範囲に入ると「沸騰」作用が生じ、真空が調節されるようになる。この「沸騰」作用は、温度損失が原因で遅くなり、又は停止する。調節された真空下において乾燥媒体の細孔が開いて水分子が乾燥媒体の細孔の中のガスと置き換えられ、表面に浮上する結果、このガスが作られる。この現象によって、抽出/浸出サイクルの残り全体を通して、液体及び乾燥媒体の撹拌及び移動が持続され、これは、抽出/浸出プロセスにとって必須である。
【0030】
たった今説明されたガスの解放によって、抽出/浸出サイクル全体を通して、水の移動を維持するために高真空圧力を使用する必要がなくなり、したがって、温度損失及び水蒸気損失が最小限となることで、液体及び乾燥媒体が必要な温度範囲内にとどまることが可能となる。また、上記に指摘されたように、エネルギー源27を使用することができ、エネルギー源27により、抽出/浸出プロセスの間の温度損失を補う又は最小限にするために、且つ光を提供して本プロセスに対して視覚的な支援及び/又は劇場的な要素を加えるため、或いはその両方のために熱を提供することができる。
【0031】
熱水プロセスのための液体の温度は、数多くの利用可能な方法によって実現され、維持されることが可能である。所望の温度に水を加熱する方法は、それに限定されないが、熱水保持タンクのような利用可能な機構を含むことができ、このような機構は、従来の市販の抽出機器又はオンデマンド熱水熱交換システムに見られるようなものであり、伝統的な熱水ヒータに取って代わる商業用及び家庭用に使用されるものと同様である。熱交換器/ブロック全体を通過する間の液体の接触時間を増加又は減少させるために、「オンデマンド熱水」システム5の修正版は、(omega.comの#FLV400と同様の)容量可変調節弁9とともに使用することができる。接触時間をそのように制御することによって、操作者は、特定の各抽出サイクルの正確な温度を、茶又はコーヒーが最良の最終生成物を作るのに必要であり得る特定の理想温度に変化させることができる。サーミスタ8が使用されて熱交換器を出る液体の温度を読み取り、その情報を「PLC」16又はデジタル制御システムに送ることができ、デジタル制御装置は、所望の温度に調節するために熱交換器を通る液体流量を増加又は減少させることができる。一方、より伝統的な熱水保持/加熱タンク5は、それに限定されないが、制御装置16と連通するガス機械式サーモスタット又は熱電対6などの利用可能な手段を使用して温度調節を実現することができる。
【0032】
また、本発明の方法には、抽出/浸出チャンバ3から大気を排気する手段があることが必要である。本プロセスでは、大気の排気を素早く実現する必要があり、したがって、真空ポンプ1及びベンチュリ真空などのような利用可能な機構を使用して必要な時間内に排気を完了してもよい。好ましい装置は、KNFから購入される真空ポンプ1である。このポンプは、機械的構成によってこの機械のハウジングの内部又は外部に配置することができる。
【0033】
真空システムは、PLC16などの中央制御装置によって制御してもよく、又はタイマ及びリレーなどのより従来の方法によって制御してもよい。負圧は、それに限定されないが、機械式真空スイッチ12を使用して調節されてもよく、機械式真空スイッチ12は、所望の負圧の設定点が得られると、ポンプの駆動を停止するか又は弁を閉めることによって、排気を停止する手段を駆動する。リークがある場合には、チャンバ内の圧力が設定制限値を超えて上昇する。サイクルの間、適切な圧力を維持する必要があるなら、真空ポンプは、電気式制御弁10と連動して動作して、ポンプの起動停止を避けることができる。真空計14は、操作者に見え、容器3内の圧力を示すために使用され得る。
【0034】
すべてのプロセスパラメータの基本的な機械的機能は、タイマ、サーモスタット、リレー、並びに、機械式スイッチ及びボタンなどの低い技術レベルの利用可能な機構によって個別に制御されることが可能である。しかし、外部視覚的表示装置17及びボタンを備えたPLC16(プログラマブル論理制御装置)などの中央制御装置を使用してプロセスパラメータを制御することによって、システムを自動化することもできる。中央制御装置は、各プロセスパラメータによって精度を向上させることができる。プロセスパラメータの基本的な制御に加えて、中央制御装置は、個々のコーヒー、茶、又はハーブに対して特定の抽出パラメータ又は「レシピ」を作成することを可能にする機能を加えることができる。このことによって、使用者は、抽出される生成物の特定の名称、及びそれに限定されないが、水温、真空圧力、抽出時間、保持時間、及び液体量などの正確なパラメータのプログラムを作ることが可能となる。
【0035】
また、中央制御装置は、装置をイーサネット(登録商標)又は無線LANを介してネットワークにつなげることができる。この接続性によって、標準的なシステムプロセスパラメータを修正又は変更し、「レシピ」を追加又は編集することができるだけでなく、様々な会計情報、エラーコード、サービス警報などのデータにローカルネットワークを介してアクセスする、又は遠隔アクセスすることが可能である。
【0036】
上記から容易に理解できるように、上述の装置は以下のようにして使用される。所望の量の挽いたコーヒー、茶、ハーブ、又は他の原料が、ガラス容器18のチャンバ3内に配置される。次に、可動テーブル台24が下げられた位置にある間に、容器が可動テーブル台24の上に配置される。次に、容器18の上縁部が上部15に対して密封状態となるまでテーブル台が上昇される。上部が密封されると、約85から100℃(約185から212°F)の温度範囲の所望の量の熱水がポート20を通してチャンバ3内に導入される。(チャンバ内に熱水を導入する代わりに、冷水又は水道水を使用し、次いで組み合わされた水と抽出原料とを所望の温度へ加熱する装置を備えることも可能である。)その後、バルブ10を駆動することによって、及び/又はポート20を通してチャンバ3にも連通する真空ポンプ1を作動させることによって、チャンバ3内に真空が引かれる。
【0037】
チャンバ3内の真空は、約−16.9から−67.7kPa(約−5から−20Hg in)の最適範囲内に保持されることが好ましい。エネルギー源27又は他の何らかの外部熱源を使用して、チャンバ3内の液体は約85から100℃(約185から212°F)の所望の温度に維持される。別法として、真空がパルスで発生すると良い結果が得られることが分かっている。すなわち、乾燥媒体が水と混合された後、約5秒間真空下に置かれ、次に約30から60秒間大気圧に戻される。次に、さらに5秒間真空が再び加えられる。本プロセスは、各抽出サイクルの間に適用され得るこれらのオン/オフ時間又はパルス数に限定されないので、もちろん、これは単なる一例である。容易に理解できるように、中央制御装置が使用されて抽出サイクル並びにパルス数及び持続時間を所望どおりに制御することができる。
【0038】
所望の時間、コーヒー、茶、又は他の飲料が抽出された後、熱及び真空が切られ、チャンバが大気圧に戻る。次に、テーブル台24が下げられて容器18が解放される。次に、フレンチプレススクリーン又は紙フィルタを使用する等の任意の伝統的な手段によってチャンバの内容物が濾されることが可能である。
【0039】
液体と媒体を分離することは、本プロセスの自動化されたステップとして発生することも可能である。抽出が完了し、真空が解放されると、このプロセスが発生する。そして、ポンプ1が駆動され、適切な弁操作によって抽出チャンバを加圧して、コーヒー粉末又は他の媒体の下にあるスクリーンを通して液体を押し出し、チャンバの底部にある一方向弁から排出することができる。もちろん、排水プロセスの間、液体から固形媒体を分離するために、ベースの中央にある一方向弁及び容器の底部内面を覆うスクリーンを含む修正された抽出チャンバが、このようなステップには必要である。
【0040】
本発明は、本発明の精神又は必須の属性から逸脱することなしに、他の特定の形態で実施されることが可能であり、したがって、上述の明細書よりも添付の特許請求の範囲が、本発明の範囲を示すものとして参照されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を抽出する方法において、
所望の量の固形の飲料抽出原料をチャンバ内に配置するステップと、
所望の量の水を前記チャンバ内に配置するステップと、
前記チャンバを周囲大気から密封するステップと、
前記チャンバ内に真空を作るステップと、
前記チャンバ内で前記真空の影響下で所望の時間にわたり前記抽出原料及び水を抽出するステップと、
前記真空を前記チャンバから除去するステップと、
前記飲料を作るために前記抽出された液体を前記固形物から分離するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記抽出するステップの間、前記チャンバ内の前記真空は、約−16.9から約−67.7キロパスカル(約−5から約−20水銀柱インチ)の範囲に維持される、請求項1に記載の飲料を抽出する方法。
【請求項3】
前記抽出するステップの間、前記チャンバ内で、前記真空が加えられ、除去され、及び再び加えられる、請求項2に記載の飲料を抽出する方法。
【請求項4】
前記水が前記チャンバ内に配置されるとき、前記水の温度は、約85から約100℃(約185から約212°F)の範囲にある、請求項1に記載の飲料を抽出する方法。
【請求項5】
前記抽出するステップの間、前記水の温度は、約85から約100℃(約185から約212°F)の範囲に維持される、請求項1に記載の飲料を抽出する方法。
【請求項6】
前記飲料を作るために前記抽出された液体を前記固形物から分離するステップは、フィルタを用いて行われる、請求項1に記載の飲料を抽出する方法。
【請求項7】
前記チャンバは開放された上部を有し、前記チャンバを密封する前記ステップは、前記開放された上部にカバーを配置することを含む、請求項1に記載の飲料を抽出する方法。
【請求項8】
前記カバーに対して密封状態にするために前記チャンバを上方へ移動させることによって、前記カバーが前記開放された上部に配置される、請求項7に記載の飲料を抽出する方法。
【請求項9】
前記チャンバはガラス容器からなる、請求項1に記載の飲料を抽出する方法。
【請求項10】
前記飲料抽出原料は挽いたコーヒーからなる、請求項1に記載の飲料を抽出する方法。
【請求項11】
前記飲料抽出原料は茶葉からなる、請求項1に記載の飲料を抽出する方法。
【請求項12】
一定量の固形の飲料抽出原料を保持するチャンバを有する容器と、
水の供給部及び前記水を前記チャンバ内に導入する手段と、
前記チャンバを大気から密封する手段と、
前記チャンバ内に真空を作り、前記飲料抽出原料が前記水の中で抽出されている間、前記チャンバ内に前記真空を維持する手段とを含む、飲料を抽出する装置。
【請求項13】
抽出されている間、前記チャンバの内容物が見えるように、前記容器がガラスからなる、請求項12に記載の飲料を抽出する装置。
【請求項14】
前記容器は開放された上部を有し、前記密封する手段は、前記上部のための蓋を含む、請求項12に記載の飲料を抽出する装置。
【請求項15】
前記容器の前記上部に前記蓋を密封するために、前記容器及び前記蓋を互いの方向に移動させる手段をさらに含む、請求項14に記載の飲料を抽出する装置。
【請求項16】
前記移動させる手段は、前記容器を前記蓋に向けて上方に移動させる、請求項15に記載の飲料を抽出する装置。
【請求項17】
前記蓋は中にポートを含み、前記ポートを通って前記水が前記チャンバへ供給されることが可能な、請求項14に記載の飲料を抽出する装置。
【請求項18】
前記蓋は中にポートを含み、前記ポートを通って前記真空が前記チャンバへもたらされることが可能な、請求項14に記載の飲料を抽出する装置。
【請求項19】
前記水の供給部は熱水供給部である、請求項12に記載の飲料を抽出する装置。
【請求項20】
前記熱水は、約85から約100℃(約185から約212°F)の範囲にある、請求項19に記載の飲料を抽出する装置。
【請求項21】
前記水が前記容器に供給された後、前記容器の前記内容物を加熱する熱源をさらに含む、請求項19に記載の飲料を抽出する装置。

【図1】
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【公表番号】特表2013−509236(P2013−509236A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536783(P2012−536783)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/002750
【国際公開番号】WO2011/053343
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512104948)
【Fターム(参考)】