説明

飲料注出コック

【課題】分解が容易で、且つ操作性の優れた飲料注出コックを提供すること。
【解決手段】注出口3の上方に設けた開口部6にキャップ7を着脱自在に取付け、弁機能部4の上部に設けた鉤状部9をキャップ7から突出させ、操作レバー5の下部に、対向する側壁12,12と、側壁間に架設した水平軸13とからなる連結部11を設け、鉤状部9を水平軸13に引っ掛けて弁機能部4と連結する。連結部側壁12は、水平な先端面14と、側壁の一方側縁部に設けてあり且つ先端面14と角部18を介して連続する拘束当接部16と、側壁12の他方側縁部15と先端面14とのコーナー部に設けた円弧状面の非拘束当接部17と有し、操作レバー5が起立した状態で注出口3が塞がれ、操作レバー5を水平軸13を支点として一方側に倒すと、注出口3が開放すると共に、倒伏状態に拘束され、操作レバー5を他方側に倒すと、注出口3が開放すると共に、起立復帰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールやジュース等の飲料容器に取付けられ、レバー操作により弁を開閉し、コップ等に飲料を注ぐための飲料注出コックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料注出コックとして特許文献1及び2には、コック本体25の上部にキャップ38がネジで着脱自在に取付けてあり、コック本体内に注出口を開閉する弁体39を上下動可能に且つバネで下方に付勢して設け、弁体39の上方に突き出して設けた注出棒40に作動部材42をキャップ38の上方で回動可能に連結し、作動部材42の後部からレバーアーム27を下方に垂下して設けてあり、コップ等の容器15でレバーアーム27を後方に押すことで作動部材42が回動して注出棒40及び弁体39が引き上げられ、容器15に飲料が流出するものが記載されている。
この飲料注出コックは、キャップ38をコック本体25から取り外すことで、注出棒40及び弁体39をコック本体25から取り外せるようにしているが、その際にこれらをまっすぐ上方に取り外そうとするとレバーアーム27がコック本体の後方にのびる注出管30に引っ掛かるため、取り外しが容易に行えない。またこの飲料注出コックは、作動部材42に収納して連注用レバー28が設けてあり、連注用レバー28を指先で手前側に起こすことで、飲料を連続的に注げるようにしている。しかしこの連注用レバー28は、非常に小さく且つ作動部材42に収納して設けてあるために、操作が大変しづらいものとなっており、また初めて使う人がその操作方法を理解するのは困難である。
【0003】
また、特許文献2の図9と図10には、キャップ13の上面に当接して楕円形状の開閉カム14を回動可能に設け、開閉カム14に線材を正面視矩形状に折り曲げたレバーアーム11が取付けてあり、コップ等の容器15でレバーアーム11を後方に押すことで容器15に飲料を注出できるとともに、図10に示すように、レバーアーム11を手前側に大きく傾動することで、楕円形の開閉カム14の長軸側がキャップ13上面に当接して弁機能部12が引き上げられ、飲料を連続的に容器15に注げるようにしたものが記載されている。
この飲料注出コックは、キャップ13を外して分解する際にレバーアーム11が邪魔になる欠点がある。また、飲料を連続的に注ぐ際にレバーアーム11を前方に大きく傾動させなければならず、操作が面倒であると共に、開閉カム14が楕円形に形成してあるために連続注出時にレバーアーム11が安定して保持されず、レバーアーム11に作業者の手や衣服が少しでも触れるとレバーアーム11が勝手に下方に回動し、飲料の注出がストップするばかりか、レバーアーム11によりコップ等の容器を破損するおそれもある。
【特許文献1】特許2003−12094号公報
【特許文献2】特許2003−12095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、分解が容易で簡単に洗浄することができ、尚且つ操作性の優れた飲料注出コックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による飲料注出コックは、飲料容器に接続するコック本体と、コック本体の注出口を開閉する弁機能部と、弁機能部を開閉操作するための操作レバーとを備え、コック本体は、注出口に連通する上向き開口部を有し、開口部にキャップを着脱自在に取付けてあり、弁機能部は、上部に鉤状部を、下部にコック本体の注出口を塞ぐ塞ぎ部を有し、鉤状部をキャップから上方に突出し、下向きに付勢して上下動可能に設けてあり、操作レバーは、対向する側壁間に水平軸を架設した連結部を下側に有しており、水平軸に弁機能部の鉤状部を引っ掛けて起倒回動自在に連結してあり、連結部側壁は、操作レバーの起立時にキャップ上面に当接する先端面と、操作レバーを一方側に倒したときにキャップ上面に当接して倒伏状態に拘束する拘束当接部と、操作レバーを他方側に倒したときにキャップ上面に当接して弁機能部の付勢力による操作レバーの起立復帰を許容する非拘束当接部とを有し、操作レバーの起立時に弁機能部の塞ぎ部によって注出口を塞ぎ、操作レバーを一方側または他方側に倒した時に弁機能部が付勢力に抗して上方に移動して注出口を開放することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明による飲料注出コックは、請求項1記載の発明の構成に加え、拘束当接部は連結部側壁の一方側縁部に設けてあり、先端面と角部を介して略直角に連続しており、非拘束当接部は連結部側壁の他方側縁部と先端面とのコーナー部に設けた円弧状面であることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明による飲料注出コックは、請求項1又は2記載の発明の構成に加え、操作レバーが垂直軸回りに回転自在であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明の飲料注出コックは、操作レバーがキャップ上に起立して設けられるので、キャップをコック本体から取り外す際に操作レバーが邪魔になることがなく、まっすぐ上方に取り外すことができ、しかも操作レバーは、弁機能部の上部に設けた鉤状部を水平軸に引っ掛けて連結してあるので、キャップをコック本体から取り外した状態で弁機能部を上方に押し上げ、水平軸を鉤状部から抜くことで操作レバーを容易に取り外すことができ、操作レバーを取り外すと弁機能部を下方に引き抜いてキャップと分離できる。このように各部品に分解して洗浄することで、衛生的に使用できる。
また本発明の飲料注出コックは、一つの操作レバーを水平軸を支点として一方側に倒すか他方側に倒すだけで、操作レバーを倒伏状態に拘束して飲料を連続的に注出する状態と、操作レバーを手で押えながら飲料を任意に注出する状態とに切り替えることができるので、誰にでも簡単にしかも確実に二通りの状態で飲料の注出が行える。
【0009】
請求項2記載の発明による飲料注出コックは、連結部側壁を単純な形にでき、しかも拘束当接部による操作レバーの拘束作用、非拘束当接部による操作レバーの起立復帰作用が確実に発揮される。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、操作レバーの倒れる向きを自由に変更することができ、操作性が一層向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1(a)は本発明の飲料注出コックの側面図であり、図1(b)は同コックの正面図であり、図2は図1(b)のA−A断面図であり、図3は同コックの分解した状態の縦断面図である。
この飲料注出コックは、飲料容器1に突出して設けた注出管19に取付ネジ20を介して着脱自在に取付けられるコック本体2と、コック本体2に形成された注出口3を開閉する弁機能部4と、弁機能部4を開閉操作するための操作レバー5とを備えている。
【0012】
コック本体2は、図2に示すように、飲料容器1の注出管19と連続する継口22と、継口22と連続して下方にのびるパイプ状の注出口3とで飲料の流路21がL形に形成してある。注出口3の上部は、円筒状で上方に突出しており、その上端面が中心側に向かうにつれて低くなる擦り鉢状のテーパー面33に形成してある。注出口3の上方には、弁機能部4の収容部23を有している。弁機能部4の収容部23は、図3に示すように、上面側を開放する形で形成し、その上向き開口部6にキャップ7を雄ネジ24aと雌ネジ24bを介して着脱自在に取付けている。キャップ7は、中心に弁機能部4を挿通する円筒状のガイド部25を設けてある。
【0013】
弁機能部4は、硬質樹脂で形成した丸棒状の弁体26と、シリコンゴムで有底筒状に形成した栓体27の2部材で形成してあり、図2に示すように、弁体26の下端部に形成した弁先部28を栓体27の底部に形成した弁先受部29に嵌め込んで両者を結合している。栓体27は、図3に示すように、下面の外周部に注出口3の入口側を塞ぐ塞ぎ部8がフラット面に形成してあり、塞ぎ部8の外周の径は注出口3の入口側の筒状部の径よりも若干大きくなっている。弁体26の上部には鉤状部9を設けてあり、鉤状部9がキャップ7のガイド部25に挿通されてキャップ7から突出している。弁体26の中間部には鍔部30を設けてあり、鍔部30とキャップ7の上壁との間に、コイルバネ31が圧縮した状態で配設してある。
弁機能部4は、コイルバネ31により常時下向きに付勢され、栓体27の塞ぎ部8がコイルバネ31の力で注出口3の上端面に圧接して注出口3を塞いでいる。このとき、注出口3の上端面が擦り鉢状のテーパー面33にしてあることで、図2に示すように、栓体27の塞ぎ部8が変形してテーパー面33に密着するとともに、塞ぎ部8が潰れて拡がってテーパー面33の外周を囲むようになるため、注出口3の入口が栓体27で確実に塞がれ、弁体26の軸が多少傾いても、飲料が注出口3から漏れ出ることがない。栓体27の上縁には外周側に向けてリング状の鍔縁部32を設けてあり、鍔縁部32をコック本体2の上縁とキャップ7とで挟んでいる。
【0014】
操作レバー5は、図1に示すように、上部に操作部10を、下部に弁機能部4との連結部11を有している。連結部11は、対向する2つの側壁12,12と、側壁間に架設した水平軸13を備え、側壁12,12間に弁機能部4の鉤状部9を挿入し、鉤状部9を水平軸13に引っ掛けて弁機能部4と操作レバー5とを連結してある。
側壁12は、操作レバー5の起立時にキャップ7上面に当接する水平な先端面14と、操作レバー5を水平軸13を支点として後側に倒したときにキャップ7上面に当接して操作レバー5を倒伏状態に拘束する拘束当接部16と、操作レバー5を前側に倒したときにキャップ7上面に当接し且つ操作レバー5が弁機能部4の付勢力により起立状態に復帰するのを許容する非拘束当接部17とを設けてある。非拘束当接部17は、側壁12の前側の縁部15と先端面14とのコーナー部に設けた円弧状面となっており、非拘束当接部17は側壁12の前側の縁部15よりも僅かに前側に突出し且つ水平軸13よりも高い位置まで連続して形成してある。拘束当接部16は、側壁12の後側の縁部に設けてあり、先端面14と角部18を介して直角に連続している。図4に示すように、拘束当接部16と水平軸13との距離X1及び非拘束当接部17と水平軸13との距離X2は、先端面14と水平軸13との距離Yよりも長くしてある。
側壁12の先端面14と拘束当接部16との角部18は、小さいRで面取りしてもよく、そうすることで操作レバー5を後側に倒す際に角部18での引っ掛かりが小さくなって、スムーズに倒せるようになるが、操作レバー5を倒伏状態で拘束するためには、Rの大きさは側壁12の先端面14と水平軸13との距離Yよりも小さくする必要がある。また、側壁12の先端面14と拘束当接部16との角は、90°よりも若干大きい角度や小さい角度で形成してもよい。
【0015】
操作レバー5は、図2に示すように、コイルバネ31の付勢力により下方に引っ張られ、側壁12の先端面14がキャップ7上面に当接し、キャップ7上に起立する。この状態では、注出口3が弁機能部4の栓体27の塞ぎ部8により塞がれている。
【0016】
図5に示すように、操作レバー5を後側に向けて90°倒すと、拘束当接部16と水平軸13との距離X1を先端面14と水平軸13との距離Yよりも長くしてあるために、弁機能部4がコイルバネ31による付勢力に抗して上方に引き上げられて注出口3が開き、また、先端面14と直角に形成した拘束当接部16がキャップ7上面に当接することで操作レバー5が倒伏状態で拘束され、操作レバー5から手を離した状態で飲料を連続的にコップCに注ぐことができる。
一方、図6に示すように、操作部10を手で押えながら操作レバー5を前側に倒すと、非拘束当接部17がキャップ7上面に当接し、非拘束当接部17と水平軸13との距離X2を先端面14と水平軸13との距離Yよりも長くしてあるために、同じように弁機能部4がコイルバネ31による付勢力に抗して上方に引き上げられて注出口3が開き、飲料がコップCに注がれる。このとき、操作レバー5の倒す角度を大きくするほど弁機能部4の引き上げ量が大きくなるので、流量を調節しながら飲料を注出できる。操作レバー5から手を離すと、円弧状面に形成した非拘束当接部17がキャップ7上面に当接していることで、操作レバー5がコイルバネ31の力で起立復帰し、飲料の注出がストップする。
【0017】
操作レバー5と弁機能部4は、垂直軸(弁体26の中心軸)回りに自由に回転するので、操作レバー5の倒す方向は飲料容器1の形状等に応じて操作がしやすい方向に自由に変更することができる。例えば、操作レバー5を左右方向や斜め前後方向に倒して飲料を注出することもできる。
【0018】
本飲料注出コックは、キャップ7を回してネジ24a,24bを外してから、上方にまっすぐ引き上げることで、キャップ7と弁機能部4と操作レバー5とが一体になった状態でコック本体2から外れ、さらに図7に示すように、弁機能部4を上方に押し上げた状態で弁機能部4の鉤状部9を操作レバー5の水平軸13から抜くことで、操作レバー5を簡単に取り外すことができる。その後、弁機能部4をキャップ7の下方に引き抜き、栓体27を下方に引き抜いて弁体26と分離することで、図3に示すように、各部品ごとに極めて容易に分解することができる。コック本体2も、飲料容器1から取り外すことができる。組み立ては、分解したときと逆の手順で行えばよい。毎日の使用後に、このように分解して洗浄することで、常に衛生的な状態で使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の飲料注出コックの側面図(a)と正面図(b)である。
【図2】図1(b)のA−A断面図である。
【図3】本発明の飲料注出コックの分解状態における縦断面図である。
【図4】操作レバーの一部を切除した拡大側面図である。
【図5】操作レバーを倒伏し、飲料を連続的に注出する状態を示す縦断面図である。
【図6】操作レバーを他方側に倒しながら飲料を注出する状態を示す縦断面図である。
【図7】本発明の飲料注出コックの要部分解状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 飲料容器
2 コック本体
3 注出口
4 弁機能部
5 操作レバー
6 開口部
7 キャップ
8 塞ぎ部
9 鉤状部
10 操作部
11 連結部
12 側壁
13 水平軸
14 先端面
15 側壁の前側の縁部
16 拘束当接部
17 非拘束当接部
18 角部
19 注出管
20 取付ネジ
21 流路
22 継口
23 収容部
24a 雄ネジ、24b 雌ネジ
25 ガイド部
26 弁体
27 栓体
28 弁先部
29 弁先受部
30 鍔部
31 コイルバネ
32 鍔縁部
33 テーパー面
C コップ
X1 拘束当接部と水平軸との距離
X2 非拘束当接部と水平軸との距離
Y 先端面と水平軸との距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器(1)に接続するコック本体(2)と、コック本体(2)の注出口(3)を開閉する弁機能部(4)と、弁機能部(4)を開閉操作するための操作レバー(5)とを備え、コック本体(2)は、注出口(3)に連通する上向き開口部(6)を有し、開口部(6)にキャップ(7)を着脱自在に取付けてあり、弁機能部(4)は、上部に鉤状部(9)を、下部にコック本体(2)の注出口(3)を塞ぐ塞ぎ部(8)を有し、鉤状部(9)をキャップ(7)から上方に突出し、下向きに付勢して上下動可能に設けてあり、操作レバー(5)は、対向する側壁(12,12)間に水平軸(13)を架設した連結部(11)を下側に有しており、水平軸(13)に弁機能部(4)の鉤状部(9)を引っ掛けて起倒回動自在に連結してあり、連結部側壁(12,12)は、操作レバー(5)の起立時にキャップ(7)上面に当接する先端面(14)と、操作レバー(5)を一方側に倒したときにキャップ(7)上面に当接して倒伏状態に拘束する拘束当接部(16)と、操作レバー(5)を他方側に倒したときにキャップ(7)上面に当接して弁機能部(4)の付勢力による操作レバー(5)の起立復帰を許容する非拘束当接部(17)とを有し、操作レバー(5)の起立時に弁機能部(4)の塞ぎ部(8)によって注出口(3)を塞ぎ、操作レバー(5)を一方側または他方側に倒した時に弁機能部(4)が付勢力に抗して上方に移動して注出口(3)を開放することを特徴とする飲料注出コック。
【請求項2】
拘束当接部(16)は連結部側壁(12)の一方側縁部に設けてあり、先端面(14)と角部(18)を介して略直角に連続しており、非拘束当接部(17)は連結部側壁(12)の他方側縁部(15)と先端面(14)とのコーナー部に設けた円弧状面であることを特徴とする請求項1記載の飲料注出コック。
【請求項3】
操作レバー(5)が垂直軸回りに回転自在であることを特徴とする請求項1又は2記載の飲料注出コック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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