説明

養液栽培装置

【目的】常時培養液に浸した親水性不織布の上に防根シートを介して育苗ポットを載置し、毛細管作用によってその育苗ポットに培養液を植物の種類、栽培季節に応じて適温に調節して供給することにより最終的に消費者が消費し易いような量の植物を一括育成でき、育成中の根腐れを防止でき、かつ空気中から酸素を十分吸収できる養液栽培装置とその育苗ポットを提供すること。
【構成】発泡スチロールその他の適宜材料で形成された装置本体の底部に形成した排水溝部に孔あき排水パネルを載置し、該排水パネル上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布を敷き、該親水性不織布の上にポリエステル製などの防根シートを介して栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポットを載置し、前記親水性不織布によって保持される培養液を毛細管作用により前記育苗ポットに供給されるように構成したことを特徴とする養液栽培装置である。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は本発明は、イチゴ、軟弱野菜、果菜類、その他の植物の養液栽培装置に係り、特に生育後の植物をそのまま流通過程における一単位となるように形成されたポリエステル繊維からなる育苗ポット(キューブ)を使用して養液栽培するに適した植物の養液栽培装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来は、イチゴやホウレン草、小松菜などの軟弱野菜などの植物を生育するための苗を育苗する場合、畑等の苗床に直接播種して育苗するもの、ひらいた育苗箱に土を入れて育成するもの、小さな育苗鉢に土を入れて育てるものなどがある。また、育苗箱の中に砂礫を入れて礫耕とするものや、砂礫の代りにスポンジ体を使用するもの、スポンジ体に入れた切目に種子を保持させて育てるもの、流れる培養液で植物を栽培するNFT水耕システムやその他種々の形式のものが知られているが、こうしたものはいずれも種子から丈夫な苗を一括して育て、この苗を一本又は数本づつに分けて本圃に移植し、例えばナス、キュウリ、トマト、ピーマン、シュンギク、大根、ゴボウその他の葉菜類、果菜類等を育成している。
【0003】
一方、野菜等の種子を発芽させ、未だ生育過程にある幼植物(芽物野菜と云われるものもある)を食用にするものもある。こうしたものは、食用に供する幼植物の1つ1つは未だ小さいから、田畑に作った床に種子を密に播いて早期に摘取るものや、大きな箱に土を入れて育てるものや、これを水耕式で行なうようなものもあるが、いずれも多量の種子を一度に播いて育成することになり、このため密生した幼植物の根がただ雑然とからみ合い、この幼植物を流通過程を経て消費者に販売するためには、このからみ合った根を切り分けて、運搬し、消費し易い適当な大きさにしなければならない。
【0004】
【考案が解決しょうとする課題】
しかしながら、これらは未だ幼植物で、柔らかく、弱いから切り分ける際に傷付き易く、その結果、日持ちも悪くなって商品価値が低下する。特に、群生しているものの切分け、秤量、包装、出荷等に著しい手数を要するという問題があった。
また、前記NFT水耕システムは流下溝内に置かれた定植苗を針金によって一定間隔に保持し、培養液を薄膜状に流下するものであるが、植物の根が常に培養液中に浸されているから根腐れの原因ともなり、また空気中の酸素を吸収しにくいためイチゴなどの空気中から酸素をとる植物の育成に悪影響を及ぼす欠点があった。
【0005】
さらに、薄膜状の培養液は放冷が著しく適温を保つことが困難であった。また、培養液の循環系統に目づまりや故障が発生すると直ちに乾燥して枯渇したり、下流の方まで培養液が回らないなどの問題が多々あった。
また、前記ロックウール栽培においても排水不良からくる裂果や、残った根の腐食、栽培初期におけるPH調整等の問題があった。
【0006】
本考案は上記の事情に鑑みて本考案者等が多年の研究の結果完成されたものであり、常時培養液に浸した親水性不織布の上に防根シートを介して育苗ポット(キューブ)を載置し、毛細管作用によってその育苗ポットに培養液を植物の種類、栽培季節に応じて適温に調節して供給することにより最終的に消費者が消費し易いような量の植物を一括育成でき、育成中の根腐れを防止でき、かつ空気中から酸素を十分吸収できる養液栽培装置と植物が生育した育苗ポットを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案は上記の目的を達成するために、発泡スチロールその他の適宜材料で形成された装置本体の底部に形成した排水溝部に孔あき排水パネルを載置し、該排水パネル上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布を敷き、該親水性不織布の上にポリエステル製などの防根シートを介して栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポット(キューブ)を載置し、前記親水性不織布によって保持される培養液を毛細管作用により前記育苗ポットに供給されるように構成したことを特徴としている。
【0008】
また、発泡スチロールその他の適宜材料で形成された装置本体の中央に培養液の温度を調整する熱交換パイプを配設し、該熱交換パイプの両側に形成した排水溝部に孔あき排水パネルを載置し、該排水パネル上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布を敷き、該親水性不織布の上にポリエステル製などの防根シートを介して栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポット(キューブ)を載置し、該防根シートによって規制された植物の根が伸長できる空間部を該育苗ポットの両側に形成し、前記親水性不織布のみを常に湿潤する程度に培養液を調整して供給する灌水パイプを防根シート上に配設し、該親水性不織布によって保持される灌水パイプからの培養液を毛細管作用により前記育苗ポットに供給されるように構成したことを特徴としている。
【0009】
また、発泡スチロールその他の適宜材料で形成された装置本体の中央に熱交換パイプを配設し、該熱交換パイプの両側に形成した排水溝部に孔あき排水パネルを載置し、該排水パネル上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布を敷き、該親水性不織布の上にポリエステル製などの防根シートを介して栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポット(キューブ)を載置し、該防根シートによって規制された植物の根が伸長できる空間部を該育苗ポットの両側に形成し、前記親水性不織布のみを常に湿潤する程度に培養液を調整して供給する灌水パイプを防根シート上に配設し、該親水性不織布によって保持され、かつその温度が前記熱交換パイプにより調整された培養液を毛細管作用により前記育苗ポットに供給されるように構成したことを特徴としている。
【0010】
さらに、発泡スチロールその他の適宜材料で形成された装置本体の中央に熱交換パイプを配設し、該熱交換パイプの両側に形成した排水溝部に孔あき排水パネルを載置し、該排水パネル上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布を敷き、該親水性不織布の上にポリエステル製などの防根シートを介して栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポット(キューブ)を載置し、該防根シートによって規制された植物の根が伸長できる空間部を該育苗ポットの両側に確保し、該植物の根の伸長方向を前記防根シートによって規制して培養液保持する親水性不織布への進入を阻止し、根の一部を該育苗ポットの側方の空間部に露出させて空気中の酸素を吸収できる構成とし、前記灌水パイプからの培養液が前記親水性不織布によって保持され、かつその温度が前記熱交換パイプにより約10〜20℃に調整された培養液を毛細管作用により前記育苗ポットに供給されるように構成したことを特徴としている。
【0011】
さらにまた、発泡スチロールその他の適宜材料で形成され、互いに連結可能な装置本体の底部に形成した排水溝部に孔あき排水パネルを載置し、該排水パネル上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布を敷き、該親水性不織布の上にポリエステル製などの防根シートを介して栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポット(キューブ)を載置し、該育苗ポットは生育後の植物を育苗ポットのまま流通過程における一単位となるような大きさに形成し、前記親水性不織布によって保持される培養液を毛細管作用により前記育苗ポットに供給されるように構成したことを特徴としている。
【0012】
【作用】
次に、本考案の作用について説明すると、灌水パイプから供給される培養液を保持しているポリエステルマットなどからなる親水性不織布の毛細管作用によってその培養液が防根シートを貫通して育苗ポットに下面から均一に供給され、ロックウールよりも保水性に優れているポリエステル繊維の育苗ポット内の発芽した幼植物を育成する。その際、過剰な培養液は排水パネルを通して下の排水溝に落ち、排水溝を流下し、親水性不織布には常に適量の培養液が常に保持されている。
【0013】
また、植物の根の伸長方向が防根シートによって規制され、培養液を保持している親水性不織布への進入が防止され、このため根の一部が側方の空間部に露出され、空気中の酸素を十分吸収できる状態とすることができ、そのため生育がよくなるとともに、育苗ポットの搬出が容易である。
また、上記熱交換パイプに夏季は地下水を流して親水性不織布内に保持されている培養液を冷却し、冬季は温湯を流して保温することにより、年間を通して常に根圏温度を約10〜20℃に保つことができる。
【0014】
また、上記植物の根は親水性不織布内に入らずに防根シート上にルートマットを形成するため、育苗ポット搬出時の残根処理が容易にでき、しかもこれらの資材には残根がないため、殺菌が容易で半永久的に使用できる。
さらに、灌水についても灌水パイプ(多孔チューブ)で強制灌水しているから上記不織布内の培養液の組成が変化しても、すぐに新しい養液で上から洗い流してしまうため、常に正確な組成値の培養液を植物に供給できる。
【0015】
【実施例】
次に、本考案に係る養液栽培装置および育苗ポットの一実施例について図面を参照して説明すると、図1は本考案の実施例全体の側面図を示しており、図2は排水パネルの斜視図、図3および図4には装置本体である発泡スチロールその他のプラスチック製ベットの側面図と斜視図とを示している。
【0016】
本実施例において、装置本体である発泡スチロールベット1の内部には、図3および図4から明らかなように中央底部に培養液の温度を調整する熱交換パイプ2を支持する凹溝3を長手方向に形成し、その凹溝3の両側に一対の排水溝部4を形成する。そしてこの凹溝3と一対の排水溝部4を形成した発泡スチロールベット1を適宜個数長手方向に連結し、その内部全面にポリシート5を張る。そして、上記凹溝3に熱交換パイプ2を配設し、また排水溝部4にそれぞれ多数の排水孔6を設けた孔あき排水パネル7を載置し、この排水パネル7上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布8を敷き、さらにこの親水性不織布8の上にポリエステル製などの防根シート9を前面に張る。また、上記各発泡スチロールベット1は図4に示すように両端部に形成された凹凸部14,15によって長手方向に連結できるようになっている。
【0017】
さらに、上記防根シート9の上に栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポット(キューブ)10をベット1の長手方向に一定間隔を保って適数個載置し、この六面体をした保水性の良いポリエステル繊維からなる育苗ポット10の載置位置の両方の空間部11に灌水パイプ12(上部に孔をあけたチューブ)を配設する。そして発泡スチロールベット1には育苗ポット10の入る孔のあるパネル13を載置しておく。
【0018】
本実施例によってイチゴ、ホウレン草などの軟弱野菜、その他の植物を育成する場合には、肥料分をその植物に適するように配合した培養液を灌水パイプ12から上向きに供給され、その培養液は反転してポリエステルマットなどからなる親水性不織布8に降り注ぎ、親水性不織布8に保持される。そして親水性不織布8の毛細管作用によってその培養液が防根シート9を通して育苗ポット10の下面から均一に供給され、ロックウールよりも保水性に優れているポリエステル繊維の育苗ポット10内の発芽した幼植物Aを育成する。その際、過剰な培養液は排水パネル7の排水孔6を通して下の排水溝部4に落ち、排水溝4を長手方向に流下し、親水性不織布8には常に適量の培養液が常に保持されている。
【0019】
そして、育苗ポット10の上面の切溝に適数の種子を播種し、発芽後に幼植物Aの根は育苗ポット10のポリエステル繊維の中を伸長していくが、下部のポリエステル製などの防根シート9によって伸長方向を阻止されて横に這い、培養液を保持している親水性不織布8への進入が阻止される。このため根の一部が側方の空間部11に露出され、空気中の酸素を十分吸収できる状態とすることができる。
また、上記本実施例では、熱交換パイプ3に夏季は地下水を流して親水性不織布内に保持されている培養液を冷却し、冬季は温湯を流して保温することにより、年間を通して常に根圏温度を約10〜20℃に保つことができるから、熱交換パイプ3に夏季は地下水を流して親水性不織布8内の培養液を冷却し、冬季は温湯を流し保温でき、ホウレン草のような夏期栽培の難しい作物も栽培可能とした。
【0020】
上記の本実施例によれば、イチゴ、ホウレン草などの軟弱野菜、その他の植物が幼植物Aの状態にあるものを消費、流通に適する一単位の量として栽培することができる大きさの育苗ポット10を使用し、従来のロックウールよりも保水性に優れているポリエステル繊維からなる育苗ポット10に各々適数の種子を播き、これを灌水パイプ12から供給される培養液を常に保持している親水性不織布8上に防根シート9を介して載置し、その親水性不織布8及び育苗ポット10自身の毛細管作用により前記植物に培養液を均一に供給しながら育成するから、多数の育苗ポット10に植えた植物全体の生育がよく、また栽培植物の根の伸長方向を前記防根シート9によって規制して親水性不織布への進入を阻止でき、根の一部を空気中に露出させて空気中の酸素を吸収できる状態で育成させることができる。
【0021】
上記育苗ポット10には上面の切溝にホウレン草、イチゴなどの適数の種子を播種し、幼植物Aが育成して出荷する際には、ホウレン草などの植物は育苗ポット10のまま消費、流通過程における一単位として容易に取り出すことができ、しかもポリエステル繊維からなる育苗ポットは衛生的にもよく、また防根シート9のために根先部は培養液を保持しているマット8には入り込んでいないので、培養液を常に保持している親水性不織布8で腐敗が起ることもなく、そのままの状態で次の栽培を行なうことができる。
【0022】
【考案の効果】
上述した本考案によれば、イチゴ、ホウレン草などの軟弱野菜、その他の植物が幼植物の状態にあるものを消費、流通に適する一単位の量として栽培することができる大きさの育苗ポットを使用し、従来のロックウールよりも保水性に優れているポリエステル繊維からなる育苗ポットに各々適数の種子を播き、これを灌水パイプから供給される培養液を常に保持している親水性不織布上に防根シートを介して載置し、その親水性不織布及び育苗ポット自身の毛細管作用により前記植物に培養液を均一に供給しながら育成するから、多数の育苗ポットに植えた植物全体の生育がよく、また栽培植物の根の伸長方向を前記防根シートによって規制して親水性不織布への進入を阻止でき、根の一部を空気中に露出させて空気中の酸素を吸収できる状態で育成させることができる。
【0023】
さらに、熱交換パイプに夏季は地下水を流して親水性不織布内の培養液を冷却し、冬季は温湯を流して保温することにより、年間を通して常に根圏温度を10〜20℃に保つことができるから、ホウレン草のような夏期栽培の困難な作物も栽培可能とし、また反対にトマトのような冬期栽培の困難な作物も栽培可能となった。
しかも、培養液が灌水パイプから親水性不織布のみを湿潤する程度に調整されて供給されるから、ポリエステル製親水性不織布内の毛細管作用により均一な保水性が保たれ、過湿による根腐れや、ポリエステルマットなどの親水性不織布および育苗ポットの乾燥も完全に防止できるばかりでなく、イチゴなどの空気中から酸素を吸収する植物に好適な栽培装置である。
【0024】
さらに、採取して出荷する場合には栽培植物の根が空間部に酸素を要求して集中し、隣同志の育苗ポットからの根がからみ合うことがないために栽培植物群が育苗ポットのまま簡単に取り出すことができ根を傷つけることがなく、そのまま定植することもでき、さらに消費、流通過程において一単位毎に容易に分離でき、しかもポリエステル繊維からなる育苗ポットは衛生的にもよく、流通過程の搬送や消費において扱いが非常に容易にできる効果がある。
【0025】
また、栽培終了後親水性不織布に根が残らないため根の腐食がなく、次作において病原菌の発生を防止することができる。さらに灌水についても常に灌水パイプで強制灌水しているから上記不織布内の培養液の組成が変化しても、すぐに新しい養液で上から洗い流してしまうため、常に正確な組成値の培養液を植物に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の側面図である。
【図2】本実施例の排水パネルの斜視図である。
【図3】本実施例のベットの横断面図である。
【図4】本実施例のベットの斜視図である。
【符号の説明】
1 発泡スチロールベット
2 熱交換パイプ
3 凹溝
4 排水溝部
5 ポリシート
6 排水孔
7 排水パネル
8 親水性不織布
9 防根シート
10 育苗ポット
11 空間部
12 灌水パイプ
13 パネル

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 発泡スチロールその他の適宜材料で形成された装置本体の底部に形成した排水溝部に孔あき排水パネルを載置し、該排水パネル上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布を敷き、該親水性不織布の上にポリエステル製などの防根シートを介して栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポットを載置し、前記親水性不織布によって保持される培養液を毛細管作用により前記育苗ポットに供給されるように構成したことを特徴とする養液栽培装置。
【請求項2】 発泡スチロールその他の適宜材料で形成された装置本体の中央に培養液の温度を調整する熱交換パイプを配設し、該熱交換パイプの両側に形成した排水溝部に孔あき排水パネルを載置し、該排水パネル上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布を敷き、該親水性不織布の上にポリエステル製などの防根シートを介して栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポットを載置し、該防根シートによって規制された植物の根が伸長できる空間部を該育苗ポットの両側に形成し、前記親水性不織布のみを常に湿潤する程度に培養液を調整して供給する灌水パイプを防根シート上に配設し、該親水性不織布によって保持される灌水パイプからの培養液を毛細管作用により前記育苗ポットに供給されるように構成したことを特徴とする養液栽培装置。
【請求項3】 発泡スチロールその他の適宜材料で形成された装置本体の中央に熱交換パイプを配設し、該熱交換パイプの両側に形成した排水溝部に孔あき排水パネルを載置し、該排水パネル上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布を敷き、該親水性不織布の上にポリエステル製などの防根シートを介して栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポットを載置し、該防根シートによって規制された植物の根が伸長できる空間部を該育苗ポットの両側に形成し、前記親水性不織布のみを常に湿潤する程度に培養液を調整して供給する灌水パイプを防根シート上に配設し、該親水性不織布によって保持され、かつその温度が前記熱交換パイプにより調整された培養液を毛細管作用により前記育苗ポットに供給されるように構成したことを特徴とする養液栽培装置。
【請求項4】 発泡スチロールその他の適宜材料で形成された装置本体の中央に熱交換パイプを配設し、該熱交換パイプの両側に形成した排水溝部に孔あき排水パネルを載置し、該排水パネル上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布を敷き、該親水性不織布の上にポリエステル製などの防根シートを介して栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポットを載置し、該防根シートによって規制された植物の根が伸長できる空間部を該育苗ポットの両側に確保し、該植物の根の伸長方向を前記防根シートによって規制して培養液保持する親水性不織布への進入を阻止し、根の一部を該育苗ポットの側方の空間部に露出させて空気中の酸素を吸収できる構成とし、前記灌水パイプからの培養液が前記親水性不織布によって保持され、かつその温度が前記熱交換パイプにより約10〜20℃に調整された培養液を毛細管作用により前記育苗ポットに供給されるように構成したことを特徴とする養液栽培装置。
【請求項5】 発泡スチロールその他の適宜材料で形成され、互いに連結可能な装置本体の底部に形成した排水溝部に孔あき排水パネルを載置し、該排水パネル上にポリエステルマットなどからなる親水性不織布を敷き、該親水性不織布の上にポリエステル製などの防根シートを介して栽培する植物の播種されたポリエステル繊維からなる育苗ポットを載置し、該育苗ポットは生育後の植物を育苗ポットのまま流通過程における一単位となるような大きさに形成し、前記親水性不織布によって保持される培養液を毛細管作用により前記育苗ポットに供給されるように構成したことを特徴とする養液栽培装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【登録番号】第3001784号
【登録日】平成6年(1994)6月29日
【発行日】平成6年(1994)9月6日
【考案の名称】養液栽培装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−3207
【出願日】平成6年(1994)3月7日
【出願人】(000218362)渡辺パイプ株式会社 (20)