説明

首振り具を備えたマッサージ器

【課題】 従来のような円周に沿うような方向への刺激ではなく、これとは略直角方向へのリニアな刺激、すなわち腟などの内壁を擦る(あるいは掻く)ようなサスリ刺激を与えることが出来るマッサージ器を提供する。
【解決手段】 ケースの内部に納められたモータの回転軸に、回転運動をリニアな往復運動に変換する変換機が取り付けられており、この変換機の出力部に首振り具が設けられており、この首振り具が前記ケースの外部に突出するように設けられている、首振り具を備えたマッサージ器とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、今までにないリニアな往復運動による新感覚の擦りを行なうことが出来る首振り具を備え、特に腟のような器官に挿入してこれを内側から擦ったり叩いたりするためのマッサージ器(感覚鍛練具である)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内部にバイブレータを内蔵するものや単なる棒状のものなど様々なタイプの、陰茎を模した形状の腟内に挿入するマッサージ器が提案されている。この内、腟内に挿入する柔軟な素材から成る挿入部と、モータや電池やスイッチを納めたハンドル部とから成るものでは、前記モータの回転軸に延設された緩やかなカーブを有する回転杆が前記挿入部内にあり、前記モータの回転に伴なって首を振るような回転を行ない、これが挿入部にも首振り運動を生じさせるように構成されている。
【0003】
なお前記バイブレータは一般的に偏心重錘を有するモータによって構成されているものであり、このモータに電池とスイッチとが接続されている。またあるものでは更に前記モータの動きを細かく制御するためのコントローラが接続されている。
【特許文献1】特表2003−514608
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した単なる棒状のものでは挿入感しか与えることが出来ない。また内部にバイブレータを内蔵するものでは振動刺激しか与えることが出来ない。また上述の腟内に挿入する柔軟な素材から成る挿入部とモータや電池やスイッチを納めたハンドル部とから成るマッサージ器では、前記モータの回転方向への刺激を挿入部を通して腟内壁に伝えることが出来るのであるが、腟内壁に加えられる恰かも円周に沿うような方向のみの刺激だけでは単調なものになりやすく、マッサージの効果も限定的なものに止まると言う問題がある。
【0005】
そこでこの発明は、上述した円周に沿うような方向への刺激ではなく、これとは略直角方向へのリニアな刺激、すなわち腟などの内壁を擦る、掻く、叩くと言うような刺激を与えることが出来るマッサージ器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、ケースの内部に納められたモータの回転軸に、回転運動をリニアな往復運動に変換する変換機が取り付けられており、この変換機の出力部に首振り具が設けられており、この首振り具が前記ケースの外部に突出するように設けられていることを特徴とする、首振り具を備えたマッサージ器とすることにより達成される。なお上述した柔軟な素材から成る挿入部とモータや電池やスイッチを納めたハンドル部とから成るマッサージ器にこの発明を適用する場合で、回転杆を備えたものでは、この回転杆を変換機の入力部としてそのまま利用することができる。従って上述した円周に沿うような方向への刺激を、この発明の擦る、掻く、叩くと言うような刺激と併用することが出来る。
【0007】
前記モータの回転軸から出力される回転は円運動であるが、これを前記変換機に通すことによりリニアな往復運動を出力させることができる。従ってこの往復運動を利用するようにすれば、首振り具に往復運動(首振り運動)を起こさせることが出来、前記ケースの外部に突出するようにして設けられている首振り具が腟などの内壁に対して擦ったり叩いたりするような刺激を与えることが可能となり、効果的なマッサージ効果が得られるのである。
【0008】
次に、前記変換機が、モータの回転軸に取り付けられた回転円板の偏心軸にその一端部が軸止された往復杆であり、この往復杆の他端部が出力部であるものとすることが出来る。往復杆は回転円板の偏心軸に軸止されているため、モータを駆動すると往復杆が往復運動を行なう。従ってこの往復杆の運動を前記首振り具に伝達するようにしているのである。
【0009】
なお前記変換機が、モータの回転軸に取り付けられたカムとこのカムにその一端部で接する往復杆とから成り、この往復杆の他端部が出力部であるものとすることが出来る。往復杆の一端部でカムの外周縁部をなぞることになるため、カムの回転に連れて往復杆が往復運動を行なう。従ってこの往復杆の運動を前記首振り具に伝える。なおカムに接する往復杆の端部にコロを取り付けるようにすることにより、このコロ部でカムの外周縁部をさらに円滑になぞることが出来るようになる。
【0010】
次に、前記首振り具が舌状体であるものとすることが出来る。舌状体は腟などの内壁を擦る、掻く、叩くなどのリニアな刺激を与えるのに適した形状の形状物であるということが出来る。
【0011】
なお前記首振り具がドーム状体であるものとすることが出来る。従来からあるマッサージ器はその形状が腟などへの挿入に適した棒状を呈するものが殆どであり、その先端形状は円形屋根のようなドーム状である。従って前記ケースの外部に突出する首振り具もドーム状であると内壁への当たりなどの点でさらに都合がよい。
【0012】
次に、前記首振り具の先端部に略円柱状体または略球状体が、首振り具の往復運動方向に回転するように設けられているものとすることが出来る。略円柱状体は言わばコロであり、略球状体は言わばボールである。腟などの内壁に直接的にまたは間接的に当たる首振り具が湾曲した形状のものであると、当たりがソフトになって心地良い。しかしながら特にこのような略円柱状体や略球状体によって擦られると、当たりが益々ソフトなものになる。なお前記変換機の出力部分が、例えば円柱状体や球状体のような形状のものであれば、このような指圧部もまた首振り具であるものと考える。
【0013】
次に、前記首振り具に柔軟な素材から成るカバーが掛けられているものとすることが出来る。カバーにはゴム素材のもの、プラスチック素材のもの、布素材のものなどで柔軟なものが任意に利用可能である。腟などの内壁に触れる首振り具が前記カバーで覆われているため当たりがソフトなものと成り、効果的なマッサージ作用が得られる。或いは好みのカバーに交換し得るように、カバーを首振り具に対して着脱自在とするなどもよい。
【0014】
なおこのマッサージ器に柔軟な素材から成るカバーが掛けられているものとすることが出来る。上記同様このようなカバーにはゴム素材のもの、プラスチック素材のもの、布素材のものなどで柔軟なものが任意に利用可能である。前述のような首振り具のみがカバーで覆われているものとは異なり、このマッサージ器の全体がカバーで覆われている。あるいは防水にも効果を発揮し得るように構成することが可能である。
【0015】
このような構成であるため腟などの内壁に対してはこのカバーの裏側から擦る(掻く、叩く)ようになる。従ってこのようなカバーを介しての当たりはソフトなものであり、やはり心地が良いものである。なお例えばマッサージ器が、腟内に挿入する柔軟な素材から成る挿入部と、モータや電池やスイッチを納めたハンドル部とから成り、モータの回転軸に延設された緩やかなカーブを有する回転杆が前記挿入部内にあり、前記モータの回転に伴なって首を振るような回転を行なう構成のものでは、この挿入部を前記カバーとする構成が可能である。すなわちこのカバーは前記回転杆と前記首振り具との双方を覆うものであり、前記回転杆の回転運動に伴なって前記カバー(挿入部)に首振り運動を生じて腟などの内壁をすりこぎのようにマッサージし、またこのカバーの内側でリニアな往復運動を行なう前記首振り具の作用が前記カバーを介して腟などの内壁をマッサージすることに成るのである。
【0016】
次に、このマッサージ器にバイブレータが設けられているものとすることが出来る。前記バイブレータとしては、偏心重錘を有するモータに電池とスイッチとが接続されているものなどを例に上げることが出来る。この場合モータの回転によって偏心重錘が回転するが、偏心重錘であるが故に振動を発生するのである。これによれば、バイブレーション(振動刺激)を加えつつ、この発明の往復運動(首振り運動)によるマッサージ効果を与えることが可能であり、相乗効果を上げることが出来るのである。
【0017】
なおこのマッサージ器本体から分岐する突出部を設けて、そこにバイブレータを納めた構成とすることが可能である。またこの突出部はこのマッサージ器本体とは別の身体部位をマッサージする目的に使用し得るように構成することが可能である。
【0018】
次に、前記首振り具の周りに首振り方向の少なくとも一方向側を開放した覆い部が設けられているものとすることが出来る。使用状況によっては腟などの内壁が首振り具を圧迫して、首振り具の往復運動(首振り運動)が阻害される場合がある。或いは上述したような首振り具に柔軟な素材から成るカバーが掛けられているものに於いて、前記カバーが首振り具を圧迫するようなことが起こる場合がある。しかしながら首振り具の周りに覆い部が設けられているものでは、腟などの内壁が首振り具を圧迫して来たとしても、この覆い部が圧迫を防いで首振り具の首振り運動を助けるのである。また少なくともこの覆い部の空間内では首振り具が往復運動を行ない得るわけであり、首振り具が首振り方向の腟などの内壁をヒットすることが出来るのである。
【0019】
なお首振り方向の両方向側が開放されている覆い部としては、トンネル形状の覆い部を上げることが出来る。また首振り方向の一方向側が開放されているものとしては、スプーン形状の覆い部を上げることが出来る。後者の場合では首振り具が覆い部を打たないように構成することが騒音防止などの点からより好ましくある。
【発明の効果】
【0020】
この発明は、腟のような器官に挿入してこれを内側から擦るためのマッサージ器(感覚鍛練具である)のケースに、ケースの外部に突出するようにして首振り具が設けられているものとした。これによって従来のような腟の内壁円周に沿うような方向への刺激ではなく、これとは略直角方向へのリニアな刺激、すなわち腟などの内壁を擦る、掻く、あるいは叩くと言うような刺激を与えることが可能となり、新感覚を与えることに成功している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
第1実施形態
図1乃至図4はこの発明の第1実施形態のマッサージ器を表したものである。腟のようなトンネル状の器官に挿入可能な形状のケース1の先端部から突出する首振り部としての舌状体2が、往復回動運動が可能であるように取り付けられて成るものである(図1)。
【0022】
このケース1は、その底部に、図示しないコントローラ兼電池ボックスを取り付けることが出来る接続部10が設けられている。この接続部10より先方にはモータ5が納められている。このモータ5のシャフトにはピニオンギア50が取り付けられており、このピニオンギア50に噛合させてクラウンギア4が納められている(図1)。なおケース1は縦2分割に成型されて成るものであり、これ等を合わせネジ孔12を以て筐体が組み立てられている。またモータ5のリード線51は、接続部10の壁面に開孔された通孔11から引き出されて、上述したコントローラ兼電池ボックスに接続されている。電池ボックスには乾電池が収納されている。またコントローラはモータ5の回転数を制御するための、すなわち後述するように首振り部の往復回動運動数を制御するためのスライダックを備えている(図示せず)。
【0023】
前記ピニオンギア50は特殊な形状のものである。すなわち回転軸40の周りに軸をずらすようにして偏心環41が形成されている(図3)。一方、先端部に軸孔32が開孔された往復杆3の後端部には箱体30が設けられており、この側面部に縦長の円形の開孔部31が設けられている(図2)。そしてこの箱体30が偏心環41にはめ込まれており、また開孔部31に前記回転軸(ピン)40が収まるように、往復杆3とクラウンギア4とが組み付けられている。
【0024】
従ってモータ5の回転に伴ってクラウンギア4が回転すると、偏心環41が回転軸40の周りを回転してこれに填っている箱体30を往復運動させる。この時に開孔部31とこれに納められた回転軸40とがガイドとなって、箱体30すなわち往復杆3をぶれることなく往復運動させるのである。
【0025】
さてケース1の先端部には首振り部としての舌状体2が取り付けられている。舌状体2は軸孔20を以てケース1の回動軸に回動自在に取り付けられている。また舌状体2の別の軸孔21と前記往復杆3の先端部の軸孔32とが、回動軸を以て互いに回動自在に組み付けられている。更に詳しくは往復杆3の先端部はコ字状体33を呈しており、この中に前記舌状体2の一部が挿入されて軸孔32と軸孔21とで回動自在とされている(図4)。
【0026】
従って前記往復杆3が往復運動を始めると、この軸孔32の回動軸が舌状体2の軸孔21を押したり引いたりするが、舌状体2は軸孔20を以てケース1の回動軸に回動自在に取り付けられているため、舌状体2は軸孔20を中心とした首振り運動を行うのである(図1)。この結果このケース1が腟などの器官の内にあれば、首振り運動を行う舌状体2によって、腟の内壁を擦る、あるいは掻く、叩くと言うような刺激が与えられることになり、今までにない感覚のマッサージ効果を与えることが出来るのである。なおこの実施形態の縦方向の往復運動ではなく、横方向の往復運動を行うものとして首振り機構を構成することが可能である。
【0027】
第2実施形態
図5はこの実施形態を説明する図であるが、このものは上述した第1実施形態のマッサージ器の舌状体2をケース1ごと、シリコン製のカバー6で覆ってなるものである。このカバー6内部の舌状体2が首振り運動を行うと、それに連れてカバー6が運動することが分かる。従って腟などの器官はこのカバー6を介して舌状体2によるマッサージを受けることになる。
【0028】
第3実施形態
図6はこの実施形態を説明する図であるが、このものは上述した第1実施形態のマッサージ器の舌状体2と同様の舌状体7の先端部の中央部が切り欠かれており、この部分に円筒形状のコロ70が回転軸71を以て回動自在に取り付けられて成るものである点に特徴を有する。従って腟などの器官はコロ70によるより円滑なマッサージ効果が得られる。
【0029】
第4実施形態
次に図7はこの実施形態のマッサージ器を図示した模式図である。このものは上述した第1実施形態のマッサージ器の側面部に、ここから分岐する突出部8が設けられている点に特徴を有する。この突出部8はこのマッサージ器本体とは別の身体部位をマッサージするために設けられている。
【0030】
更に前記突出部8にはバイブレータが設けられている。すなわち突出部8内にはモータ52が納められており、このモータ52のシャフト53に偏心重錘54が取り付けられている。このモータ52の配線先並びにスイッチなどの制御部には、例えば上述したコントローラ兼電池ボックスを利用するなどすればよい。
【0031】
こうしてモータ52をON状態にすると、偏心重錘54が回転するシャフト53に偏って固定されているために振動を発する。この振動は直接的には突出部8を震えさせるが、ケース1側に及ぶこともある。なおこのようなバイブレータはケース1側に設けることも、更には首振り具に設けることも可能である。
【0032】
第5実施形態
さて図8及び図9はこの実施形態を説明する図であるが、このものは上述した第2実施形態のマッサージ器に於いて、舌状体2の上をトンネル状に覆っているところの覆い部13がケース1に設けられている点に特徴を有する。覆い部13はトンネル状であるから、舌状体2の首振り方向の両方向側が開放されたものであると言うことが出来る。
【0033】
従って前記シリコン製のカバー6はこの覆い部13の上を(周りを)覆っていることになり、カバー6による舌状体2の圧迫と言うような問題は生ぜず、少なくともこの覆い部13が形成する空間内では舌状体2の自由が確保されていることになる。往復運動を行なう舌状体2は覆い部13の開放された両方向側に当たるカバー6を叩くため、この刺激はそのまま腟などのトンネル状の器官の内壁をヒットすることになるのである。
【0034】
なお図8に於いて、覆い部13の左側を開放することなく、この部位に例えばスプーンのような形状の壁面を設けた場合には、舌状体2は右側の開放されている側のカバー6を叩くことになる。このような構成もまた可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明のマッサージ器の首振り具は、腟などのトンネル状の器官の内壁以外にも、例えば背中などの皮膚表面を擦る(あるいは掻く、叩く)目的のものとして使用したり構成することが可能である。また首振り具は縦と横との2つの往復運動を組み合わせたより複雑な運動を行うものとする構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】 第1実施形態の分解側面図である。
【図2】 往復杆3の側面図である。
【図3】 クラウンギア4と往復杆3との組み付け状態を表す説明図である。
【図4】 舌状体2と往復杆3との組み付け状態を表す説明図である。
【図5】 第2実施形態の側面図である。
【図6】 第3実施形態の首振り具の正面図である。
【図7】 第4実施形態の模式図である。
【図8】 第5実施形態の側面図である。
【図9】 舌状体2と覆い部13の正面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ケース
10 接続部
11 通孔
12 ネジ孔
13 覆い部
2 舌状体
20 軸孔
21 軸孔
3 往復杆
30 箱体
31 開口部
32 軸孔
33 コ字状体
4 クラウンギア
40 回転軸(ピン)
41 偏心環
5 モータ
50 ピニオンギア
51 リード線
52 モータ
53 シャフト
54 偏心重錘
6 カバー
7 舌状体
70 コロ
71 回転軸
8 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの内部に納められたモータの回転軸に、回転運動をリニアな往復運動に変換する変換機が取り付けられており、この変換機の出力部に首振り具が設けられており、この首振り具が前記ケースの外部に突出するように設けられていることを特徴とする、首振り具を備えたマッサージ器。
【請求項2】
前記変換機が、モータの回転軸に取り付けられた回転円板の偏心軸にその一端部が係止された往復杆であり、この往復杆の他端部が出力部である、請求項1に記載の首振り具を備えたマッサージ器。
【請求項3】
前記首振り具が舌状体である、請求項1に記載の首振り具を備えたマッサージ器。
【請求項4】
前記首振り具の先端部に略円柱状体または略球状体が、首振り具の往復運動方向に回転するように設けられている、請求項1に記載の首振り具を備えたマッサージ器。
【請求項5】
前記首振り具に柔軟な素材から成るカバーが掛けられている、請求項1に記載の首振り具を備えたマッサージ器。
【請求項6】
このマッサージ器にバイブレータが設けられている、請求項1に記載の首振り具を備えたマッサージ器。
【請求項7】
前記首振り具の周りに、首振り方向の少なくとも一方向側を開放した覆い部が設けられている、請求項1に記載の首振り具を備えたマッサージ器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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