説明

香るチラシの作成方法

【課題】本発明は、精油の香りを、媒体を通して他人に伝えることを目的とし、他人にその媒体が届いた際に新鮮な精油の香りを新鮮な状態のままで届けることを課題とする。
【解決手段】以下の工程を有する香りのする媒体の作成方法。
(1)精油を滴下し染み込ませた和紙からなる香りの素を、香りを移したい媒体に固定する工程
(2)香りの素が固定された媒体を香りのパッケージに入れ、12時間以上おき、媒体全体に香りを移す工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香りをチラシ等の媒体に移し、その香りを長持ちさせる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
香りは人の気持ちの緊張をほぐしたり、疲れを癒したり、また心を楽しませたり、豊かにするなど優れた効果を有している。古来より、人は着物に香をたきしめたり、手紙を送る際に文香とともに封筒に入れたりしていた。また、近年は精油(以下、エッセンシャルオイルということもある)を使った各種のリラクゼーションが人をなごませてくれる。しかし、香りは本来揮発性の成分であるため、その香りを発生させ、その場で楽しむことはできても、香りを他の媒体に封じ込め、長時間香りを維持し、他人にその媒体を通して香りを伝えるのは非常に困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、精油の香りを、媒体を通して他人に伝えることを目的とし、他人にその媒体が届いた際に新鮮な精油の香りを新鮮な状態のままで届けることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決するためのものであって、以下の構成を有する。
〔1〕以下の工程を有する香りのする媒体の作成方法。
(1)精油を滴下し染み込ませた和紙からなる香りの素を、香りを移したい媒体に固定する工程
(2)香りの素が固定された媒体を香りのパッケージに入れ、12時間以上おき、媒体全体に香りを移す工程
〔2〕(2)の工程後、香りの素が固定された媒体を1個ずつビニール袋に入れて封をした後使用時まで保存する工程をさらに有する前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕香りの素が和紙からなるものである、〔1〕に記載の方法。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、精油(エッセンシャルオイル香りのする媒体、例えば、手紙、広告宣伝チラシ、)を受け取った人は、媒体の入っていたパッケージを開けた瞬間にアロマの香りも一緒に受け取ることができ、媒体が強く印象付けられることになる。したがって、媒体が広告宣伝チラシであれば宣伝効果はよりいっそう高まるであろうし、手紙やプレゼントの場合には、喜びやその他の感情もより深まり、送り手の心象が受け手により伝わることになろう。
【発明を実施するための形態】
【0006】
「精油」
精油(エッセンシャルオイル)とは、植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹皮などから抽出した天然素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質である。精油(エッセンシャルオイル)は各植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマテラピーの基本となる。[(社)日本アロマ環境協会の「精油」の定義より]
【0007】
「媒体」
本発明でいう媒体とは、精油(エッセンシャルオイル)の香りを受け手に伝えるための媒体をいい、材質では、紙、が該当し、具体的には、紙の場合、手紙、広告宣伝チラシ、紙のパッケージ、カレンダー、手帳、書籍、など紙製品であればいずれでもよい。
【0008】
「香りの素」
本発明でいう香りの素とは、精油の香りを媒体に直接付与できない場合に用いるものであって、精油を滴下して乾燥した、一定の大きさの紙をいう。一定の大きさは、なるべく小さい方が精油の使用量を抑えることができて経済的である。また、材質は精油を吸収し、その中にとどめておけることができるものであればいずれでもよく、特に和紙が好ましい。また、厚みは使用する精油の滴下量にもよるが、0.1〜0.5mm位が望ましく、和紙の場合は2〜3数枚張り合わせたくらいが望ましい。大きさも、精油の滴下量と材質によるが、和紙であれば、1〜3cm四方、直径1〜3cmくらいが望ましい。香りの素の形状は、三角形、四角形、円形等のいずれでもよいが、季節や香りを表現するような花や葉の色や形状でもよいし、あるいは媒体を受け取る人の好みに合わせて食べ物や動物の形であってもよい。また、香りの素は媒体に香りを移すために媒体に固定化することが望ましく、クリップやテープで固定化したり、香りの素それ自体がシールになっていて、媒体に貼付することも望ましい。
【0009】
「香りのパッケージ」
本発明でいう香りのパッケージとは、香りの素から媒体に十分に香りが移り媒体全体に香りをなじませるために用いるものであって、香りを封じ込めることができる密封できるものがよく、金属製、プラスチック製の箱が挙げられる。また、紙製であれば、内面が樹脂コートされているものであって、全体をチャックのついた袋で被覆できるものが望ましい。また、作業性から箱が望ましいが、ジッパー付のビニール製の袋であってもよい。また、香りのパッケージの内部には、さらに精油を含ませたコットンを入れ、パッケージ内部全体があらかじめ香る状態にしておくことが望ましい。また、香りのパッケージに入れる時間は、6時間以上が望ましく、12時間以上がさらに望ましく、12時間から24時間が適切な範囲である。
【0010】
「香るチラシの作成方法」
以下、香りの素を媒体に移して、香りのする媒体(例:チラシ)を作成する手順について説明する。
(1)精油を滴下し染み込ませて香りの素を作成し、香りの素を、香りを移したい媒体であるチラシに固定する工程
(2)香りの素が固定された媒体を香りのパッケージに入れ、12時間以上おき、チラシ全体に香りを移す工程
このように(1)と(2)の工程を経ることで香るチラシを作成することができる。また、(2)の工程後、香りの素が固定されたチラシを透明なビニール袋に入れて封をすることにより、さらにいっそうチラシへの香り付けが確実に行われる。また、ビニール袋への封入は、チラシ1枚毎に行うことが望ましく、そのまま発送できる状態にしておくとさらに望ましい。
【実施例1】
【0011】
1.試験方法
1−1.試験材料
精油(エッセンシャルオイル):ブレンドオイルひとひら(ゼラニウム、クラリセージ、ベルガモット)(発売元:カリス成城)
和紙:越前和紙・うえやま
媒体:A4サイズの紙のチラシ
1−2.試験手順
(1)和紙を1.5センチ四方に切りとり三枚重ねて、中央部に精油をスポイトで1滴(0.025ml)垂らし、自然乾燥したもの(「香りの素」)を4個作成した。
(2)25cm×35cm×7cmの紙製の密封できる箱を用意し、中に精油を含ませたコットンを8枚入れ、「香りのパッケージ」を作成した。
(3)(1)で作成した香りの素を3つ折りにしたチラシ端にクリップで固定し、以下の4種類の試験水準でトータル24時間経過後の香りの状態を調べた。香りの検査は2人が行い、結果はいずれも一致した。
(a)香りのパッケージにもビニールの封筒にも入れずに24時間置く
(b)香りのパッケージには入れずに、個々にビニールの封筒に入れて密封して24時間置く
(c)香りのパッケージに入れて12時間経過後、取り出し、個々にビニールの封筒に入れて密封し、12時間置く
(d)香りのパッケージに入れて12時間経過後、ビニールの袋に入れずに12時間置く
2.試験結果

【実施例2】
【0012】
1.試験方法
実施例1の香りの素を和紙から和紙を数枚重ね、裏面がシールになっているもの(桜吹雪シール18枚入・寿工藝)を用いた以外は、実施例1と同様に試験を行った。
2.試験結果

【実施例3】
【0013】
実施例2の試験水準(c)について、さらに1ヶ月以上香りの箱に保管した。その結果、1ヶ月後も大変香っており、香りが一カ月以上も持続することがわかった。また、実施例2の試験水準(b)について、ビニールに密封して6日間置いたものも香りの検査結果は「香る」だった。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明によれば、精油(エッセンシャルオイル)の香りが長時間にわたって維持されるチラシ等の媒体を作成することができ、受け取った人が媒体のみならずその香りも楽しむことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を有する香りのする媒体の作成方法。
(1)精油を滴下し染み込ませた香りの素を、香りを移したい媒体に固定する工程
(2)香りの素が固定された媒体を香りのパッケージに入れ、12時間以上おき、媒体全体に香りを移す工程
【請求項2】
(2)の工程後、香りの素が固定された媒体を1つずつビニール袋に入れて封をした後使用時まで保存する工程をさらに有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
香りの素が和紙からなるものである、請求項1又は2に記載の方法。

【公開番号】特開2011−186366(P2011−186366A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54116(P2010−54116)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(510044486)
【Fターム(参考)】