説明

馬用血行促進装置、馬用血行促進施設、馬用血行促進方法及び包囲体

【課題】馬の血行を促進させることで新陳代謝を促すと共に治癒効果を高め、疲労回復やケガの予防、ケガの治療の促進を図る。
【解決手段】本発明の馬用血行促進装置3は、馬の経皮表面に付着させる吸収材64、65に炭酸ガスを吸収させるために、炭酸ガスを供給する供給装置60とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、馬の血行を促進する馬用血行促進装置、馬用血行促進施設、馬用血行促進方法及び包囲体に関するものである。なお、本発明は馬の免疫力を増強させる馬用免疫力増強装置としても使用することができる。
【背景技術】
【0002】
競争馬や乗用馬等は生涯で多数のレースに出走する。また、出走するレースで上位の成績を収めるためにトレーニング装置を用いたトレーニングが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平07−289108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような過酷な環境では競争馬や乗用馬等の疲労が蓄積し、ケガを引き起こす要因になってしまう。例えば、屈腱が炎症を起こして腫れあがる屈腱炎(エビハラともいう)という病気が知られている。この屈腱炎は、長期間の運動負荷による脚の酷使が原因といわれ、多数の競走馬が発症している。さらには、競走馬の骨折率は、出走延べ頭数の略1パーセントにまで達しているというデータも報告されている。
【0005】
したがって、このような過酷な環境におかれる競争馬や乗用馬等に対して早期に疲労回復を行うことによるケガの予防は、非常に有益である。また、ケガをした競争馬や乗用馬等に対しては、治療の促進を図ることで早期に競走馬や乗用馬等として復帰することが望まれる。
本発明は上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、馬の血行を促進させることで新陳代謝を促すと共に治癒効果を高め、疲労回復やケガの予防、ケガの治療の促進を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の馬用血行促進装置は、馬の経皮表面に付着させる吸収材に炭酸ガスを吸収させるために、炭酸ガスを供給する供給装置を有することを特徴とする。
また、本発明の馬用血行促進施設は、馬の経皮表面に吸収材を吹き付ける吹付装置と、炭酸ガスが充填され、前記吸収材が付着された馬の部位の少なくとも一部が入り込む隔離空間とを有することを特徴とする。
また、本発明の馬用血行促進方法は、馬の経皮表面に吸収材を付着させる工程と、前記付着させた吸収材に炭酸ガスを吸収させる工程と、前記炭酸ガスを吸収させた吸収材を介して炭酸ガスを馬の体内に吸収させる工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の包囲体は、馬の経皮表面の少なくとも一部を包囲する包囲体であって、内部に炭酸ガスが供給される供給空間を有し、経皮表面と接触する接合部に密着性を有し、前記内部に供給された炭酸ガスに加えられる圧力に対して耐久性を有する材質により構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、馬の血行を促進させることで新陳代謝を促すと共に治癒効果を高め、疲労回復やケガの予防、ケガの治療の促進を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る馬用血行促進装置の構成について説明する。なお、炭酸ガスとして二酸化炭素を例にして説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、馬の経皮表面に付着させる吸収材として泡状のムースを直接、塗布して用いる場合の実施形態である。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係る血行促進装置の構成の一例を示す図である。第1の実施形態に係る血行促進装置は、供給装置を含んで構成されている。図1に示す供給装置は、二酸化炭素を気泡状にしてムースを生成するムース生成装置(スプレーガン)10である。
ムース生成装置10は、容器体11と、噴射口12と、取手部13と、噴射スイッチ14と、差込口15とを含んで構成されている。容器体11には、馬の経皮表面に付着させる吸収材として、発泡性ジェルが収容されている。ここで、吸収材としての発泡性ジェルは、泡の生成に適した成分を含み二酸化炭素を溶融させることができる液体である。なお、吸収材にDDS(Drug Delivery System)効果があるナノ化された薬剤等(以下、ナノ化薬剤等という)を混合させてもよい。
【0010】
差込口15には、図1に示すように、カートリッジ16又はボンベ17のノズルが接続できるように構成されている。ここで、カートリッジ16は、二酸化炭素が圧縮されて収容されているものである。また、ボンベ17は、二酸化炭素が高圧縮されて液化状態で収容されているものである。ボンベ17には、減圧器、目盛部、コック部等が設けられていて、所望の圧力に減圧して気体状の二酸化炭素を放出することができる。
使用者はカートリッジ16又はボンベ17のノズルを差込口15に装着させた後、取手部13に設けられた噴射スイッチ14を押下することで、ムース生成装置10が発泡性ジェルを発泡させ、気泡状の二酸化炭素を含んだムース20を生成し、生成したムース20を噴射口12から噴射する。噴射されたムースのうち、気泡が二酸化炭素であり、それ以外は吸収材である。
【0011】
次に、馬の経皮表面にムースを直接、塗布する方法について図2を参照して説明する。ここでは、馬の経皮表面として馬の前脚1の経皮表面を例にして説明する。
使用者は、図2に示すようにムース生成装置10の噴射口12を馬の前脚1に近接させた状態で、噴射スイッチ14を押下することで、ムースを前脚1の経皮表面に塗布することができる。また、使用者は、塗布したムースを前脚1の経皮表面の全体を覆うようにしてムースの形状を整える。なお、使用者は、一度ムースを自身の手に噴射させた後、馬の経皮表面に直接、塗布してもよい。また、使用者はムースを直接、馬体に噴射させることで、簡単に塗布することができる。
【0012】
次に、経皮表面に塗布したムースに含まれる気泡状の二酸化炭素の作用について図3を参照して説明する。図3は、ムースを塗布した馬の前脚の断面を示す図である。図3(a)は、ムースを塗布した直後の状態を示す図である。図3(a)に示すように、ムース20中には多数の気泡状の二酸化炭素18が満遍なく含まれている。なお、気泡状の二酸化炭素18はムース20内で包囲された状態であるために、ムース20内から外部に逃げることがない。
【0013】
馬の経皮表面に付着されたムース20内では、二酸化炭素18が徐々に吸収材に溶融していく。二酸化炭素が溶融した吸収材は、馬の経皮表面から体内に吸収される。したがって、吸収材を介して二酸化炭素を体内に吸収させることができる。なお、二酸化炭素を体内に吸収させることで、二酸化炭素は体内の組織を通して血液中の赤血球内に入り込み、赤血球内において化学反応が生じ、赤血球は酸素を放出する。赤血球から放出された酸素が、体内の細胞に行き渡ることで、各細胞は活性化する。各細胞が、活性化すことで、血管が拡張したり、血行が促進されたり、血圧が低下したりする等の効果をもたらすことができる。二酸化炭素を体内に吸収させることにより生じる効果を以下では、血行促進等効果という。
【0014】
次に、時間が経過することにより、経皮表面近くに位置するムース20は、経皮温度によって温められることで徐々に液化する。したがって、経皮表面近くで液化した吸収材は、重力にしたがって下方に垂れることにより、図3(b)に示すように塗布されたムース20が少なくなってくる。しかしながら、図3(b)に示すムース20は、経皮表面近くに位置するムースが消滅し、それに伴い外側に位置していたムース20が経皮表面側に移動してきたものである。ここで、外側に位置していたムース20にも満遍なく気泡状の二酸化炭素が含まれていることから、図3(b)に示すようにムース20が少なくなったとしても、図3(a)に示す状態と同様に、新鮮な二酸化炭素を吸収材に溶融させることができる。
【0015】
ここで、ムース生成装置10が生成するムース20は、発泡性ジェルの成分を変化させることによりムース形状を維持させておく時間を調整することができる。例えば、粘性を有する材質を混合させた発泡性ジェルにすることで、例えば12時間後であってもムース形状を維持させることができる。
なお、上述した実施形態では、馬の前脚1にムースを塗布する場合についてのみ説明したが、この場合に限られることはない。例えば、図4に示すように、前脚の他、肩、背中、腰、後脚にムース20を塗布してもよい。
【0016】
このように、第1の実施形態によれば、気泡状の二酸化炭素をムースに含ませて馬の経皮表面に塗布することにより、吸収材を介して二酸化炭素を体内に吸収させることができる。ムースを吸収材として用いることで、ムースを塗布した後、ムースは自然に消滅するので、二酸化炭素を体内に吸収させる使用勝手を向上させることができる。
【0017】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、泡状のムースを充填させた包囲体を、馬の経皮表面の一部に包囲する場合の実施形態である。
図5は、第2の実施形態に係る血行促進装置の構成の一例を示す図である。第2の実施形態に係る血行促進装置2は、ムース生成装置10と包囲体30とを含んで構成されている。
図5(a)に示す包囲体30は、馬の前脚又は後脚に巻き付けて前脚又は後脚を包囲することができるように形成されている。包囲体30は、包囲材31と、透過部材32と、充填部33と、係止部材34(34a、34b)とを有している。包囲材31は、馬の前脚又は後脚を包囲できるような形状で、例えば柔軟性を有するポリ塩化ビニルやナイロン、合成樹脂、布、ゴム、クロロプレーンラバー等で形成されている。包囲材31は、ムースを外部に透過しない材質であることが好ましい。
【0018】
包囲材31の内周面には、メッシュ状の透過部材32が包囲材31の略全面に亘って取り付けられている。透過部材32と包囲材31との間には、ムースを充填できるポケット状の充填部33がムース収容部として複数、形成されている。充填部33に充填されたムースは、メッシュ状の透過部材32を透過することができる。包囲材31の外周面には、係止部材34(34a、34b)が設けられている。係止部材34(34a、34b)は、いわゆる面ファスナーであり、包囲材31の一方の係止部材34aと対向する他方の係止部材34bとの一対で構成されている。
【0019】
次に、泡状のムースを充填させた包囲体30を、馬の経皮表面の一部に包囲する方法について図5(a)及び図5(b)を参照して説明する。
まず、使用者は、図5(a)に示すようにムース生成装置10の噴射口12をポケット状の充填部33に向けた状態で、噴射スイッチ14を押下し、充填部33にムースを充填させる。使用者は、全ての充填部33にムースを満遍なく充填させた後、図5(b)に示すように包囲体30の内周面を馬の前脚1の経皮表面に対向させるようにして巻き付ける。このとき、使用者は、包囲体30に設けられた一方の係止部材34aを他方の係止部材34bに係止させる。このように包囲体30を馬の前脚1に巻き付けて、包囲することにより、メッシュ状の透過部材32から透過したムースが馬の前脚1の経皮表面の全体に亘って付着する。
【0020】
その後、第1の実施形態で説明したように、馬の経皮表面に付着されたムース内では、二酸化炭素が徐々に吸収材に溶融していく。二酸化炭素が溶融した吸収材は、馬の経皮表面から体内に吸収される。したがって、吸収材を介して二酸化炭素を体内に吸収させることができ、血行促進等効果をもたらすことができる。
【0021】
なお、上述した第2の実施形態の説明では、馬の前脚1を包囲する包囲体についてのみ説明したが、この場合に限られない。図6(a)では、肩用包囲体36及び腰用包囲体37の一例を示す。肩用包囲体36は、肩の上部から肩全体を覆うようにして巻き付けることで包囲するものである。肩用包囲体36には、首の根元及び腹部を掛け渡すようにして係止する面ファスナー等の係止部材34が設けられている。また、腰用包囲体37は、腰の上部から腰全体を覆うようにして巻きつけることで包囲するものである。腰用包囲体37には、腹部及び後脚の根元を掛け渡すようにして係止する面ファスナー等の係止部材34が設けられている。
【0022】
図6(b)では、馬着型包囲体38の一例を示す。馬着型包囲体38は、肩、背中、腰及び腹等を包囲するものである。馬着型包囲体38には、首の根元、腹部及び臀部を掛け渡すようにして係止する面ファスナー等の係止部材34が設けられている。
これら肩用包囲体36、腰用包囲体37及び馬着型包囲体38の内周面には、上述した包囲体30と同様にムースが充填されていることから、馬の肩、腰及び全身を通し、吸収材を介して二酸化炭素を体内に吸収させることができる。このように、馬の部位に合わせた包囲体にすることで、馬の疲労箇所の疲労度や症状の進行度合に応じて包囲体を使い分けることができる。
【0023】
なお、上述した第2の実施形態の説明では、透過部材32と包囲材31との間でポケット状に形成した充填部33についてのみ説明したが、この場合に限られない。図7は、他の形態の充填部を有する包囲体の一例を示す図である。なお、図5において上述した包囲体30と同様な構成については同一符号を付して説明を省略する。
包囲体40は、包囲材31と、充填部41と、係止部材34(34a、34b)とを有している。充填部41は、ムースとの間で摩擦が生じやすく、重力で垂れないような、例えば布等の材質で形成されている。使用者は、図7に示すようにムースを充填部41上に直接、充填させた後、包囲体40の内周面を馬の前脚1の経皮表面に対向させるようにして巻き付ける。このように、包囲体40を馬の前脚1に巻き付けて、包囲することにより、充填部41上に直接、充填したムースが馬の前脚1の経皮表面の全体に亘って付着する。
【0024】
また、上述した説明では、馬の各部位に合わせて形成された包囲体を用いる場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、サポータ、布、不織布等の上にムースを充填し、充填した側を馬の経皮表面に対向させるようにして巻きつけるようにしてもよい。
【0025】
このように、第2の実施形態によれば、気泡状の二酸化炭素を含ませたムースを包囲体に充填させ、ムースを充填させた包囲体を馬の経皮表面に巻き付けた。したがって、充填したムースを馬の経皮表面に付着させることができるので、ムースを介して二酸化炭素を体内に吸収させることができる。このとき、ムースは包囲体によって覆われた状態であり、馬によってムースが拭い取られることがないため、確実に二酸化炭素を体内に吸収させることができる。
【0026】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、包囲体で馬の経皮表面の少なくとも一部を密閉状態で包囲した後、包囲体内に二酸化炭素を供給する場合の実施形態である。
図8は、第3の実施形態に係る血行促進装置の構成の一例を示す図である。第3の実施形態に係る血行促進装置3は、包囲体50と供給装置60とを含んで構成されている。
図8(a)に示す包囲体50は、馬の前脚1又は後脚に巻き付けて包囲するように形成されている。包囲体50は、包囲材51と、接合部52と、吸入口53と、係止部54(54a、54b)とを有している。
【0027】
包囲材51は、シート状であり、例えば材質をクロロプレーンラバーにして形成されている。クロロプレーンラバーは、伸縮性、密着性、柔軟性、耐久性及び密閉性がある。なお、包囲材51は、クロロプレーンラバーに限られず、クロロプレーンラバーに似た材質であるラテックス、柔らかいウレタン、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、シリコンラバー等を用いてもよい。
【0028】
接合部52は、馬の経皮表面と接触する部分であり、包囲材51の内周面であって、包囲材51の外縁に沿って設けられている。接合部52は、柔軟性及び密閉性がある材質によって形成されている。また、接合部52は、後述する図9(a)に示すように断面が矩形状であって、内部が中空状に形成されている。このように、中空状に形成することにより、馬の前脚1の経皮表面の形状に倣って変形し易い上、経皮表面への圧迫を防止することができる。包囲体50を前脚1の経皮表面の少なくとも一部に巻き付けるようにして包囲することで、包囲材51と接合部52と経皮表面とによって囲まれる空間が、二酸化炭素を供給する供給空間として形成される。
【0029】
吸入口53は、上述した供給空間と挿通する孔を有し、孔を通して二酸化炭素を供給空間に供給することができる。吸入口53は、供給空間に供給された二酸化炭素が逆流しないように、逆止弁になっている。
係止部54は、包囲材51の一方の係止部54aと、他方の係止部54bとにより構成されている。図8に示す包囲体50には、一対の係止部54が6つ設けられている。
【0030】
また、図8(a)に示す供給装置60は、包囲体50によって形成された供給空間に二酸化炭素を供給する。供給装置60は、容器体61と、減圧器62とを有している。容器体61は、いわゆるハンディボンベであり、二酸化炭素が非常に高圧縮された状態で収容されている。減圧器62は、容器体61に高圧縮された二酸化炭素を減圧させて、放出させるものである。使用者は、減圧器62により所望する圧力及び流量に調整した上、減圧器62の栓を開口することで、容器体61に収容された二酸化炭素を減圧器62に接続したチューブの吹き出し口63から放出させることができる。
【0031】
次に、包囲体を馬の経皮表面の一部に包囲する方法及び二酸化炭素の供給方法について図8(a)及び図8(b)を参照して説明する。
まず、使用者は、図8(a)に示すように、馬の前脚1のうち包囲体50を取り付ける経皮表面に吸収材64を塗布する。ここで、吸収材64は、二酸化炭素を溶融させることができる液体(媒体)であり、例えば、水、アルコール類、油脂類等である。また、経皮表面に塗布させたときに、塗布した吸収材64が塗布した位置に留まり易くするように増粘剤が含まれていることが好ましい。また、吸収材64は、経皮表面の影響を少なくするためにPH4.0〜6.5の弱酸性とし、経皮表面の保湿と保護のためにグリセリンやワセリンが添加されていてもよい。使用者は、吸収材64を経皮表面に生えている毛の上から塗布して、経皮表面にまで浸透させる。特に、吸収材64は、経皮表面から体内に吸収しやすいナノ化された水等のナノ化された吸収材であることが好ましい。
さらに、使用者は、図8(a)に示すように、経皮表面のうち包囲体50の接合部52と接する部分には、増粘剤をより含ませた中粘度又は高粘度のジェル状の吸収材65を塗布する。このとき、使用者は、吸収材65を上述した吸収材64より厚めに塗布することが好ましい。特に、馬の前脚1の経皮表面には凹みがあり、その凹みには厚く塗布する。
【0032】
次に、使用者は、図8(b)に示すように、包囲体50の内周面を馬の前脚1の経皮表面に対向させるようにして巻き付ける。使用者は、包囲体50に設けられた一方の係止部54aを他方の係止部54bに係止する。このとき、馬の経皮表面と接合部52との間には、粘度が高い吸収材65を塗布されていることから、包囲体50の接合部52と経皮表面との間から気体が漏洩することを防止できる。また、粘度が高い吸収材65を塗布することで、馬が動いて包囲体50がズレたとしても、その密着性は保たれる。このように、包囲体50を馬の前脚1の経皮表面に取り付けることで、供給空間内を密閉構造にすることができる。
【0033】
次に、使用者は、供給装置60の吹き出し口63を包囲体50の吸入口53に接続した状態で、供給装置60から二酸化炭素を放出させる。ここで、使用者は必要があれば、減圧器62により所望の二酸化炭素の圧力及び流量に調整する。使用者は、しばらく供給装置60から二酸化炭素を放出させることにより、供給空間に二酸化炭素を満遍なく充填させることができる。
さらに、使用者は、継続して二酸化炭素を放出させると、供給空間に供給された二酸化炭素は、継続して供給された二酸化炭素により圧縮される。圧縮された二酸化炭素は、包囲体50を膨張させる。なお、包囲体50に二酸化炭素を供給した後、使用者は、供給装置60を包囲体50の外周面に設けられた収容部55に収容しておく。
【0034】
ここで、供給空間に二酸化炭素を供給する前と供給した後との包囲体50について、図9を参照して説明する。図9は、馬の前脚1のうち包囲体50により包囲された部分の断面を示す図である。図9(a)は、供給空間に二酸化炭素を供給する前の状態を示す図である。図9(a)に示すように、馬の前脚1は先端が細く後方にいくにしたがい太くなる形状である。また、図9(a)に示すように、係止部54に近接する接合部52は、対向する接合部52同士を重合させた上、係止部54aに係止部54bを係止させることで、供給空間の密閉性が保持されている。
図9(b)は、供給空間に二酸化炭素を供給した後の状態を示す図である。図9(b)に示すように、圧縮された二酸化炭素は、包囲体50の内周面を押圧していることから、包囲体50は膨張する。同様に、圧縮された二酸化炭素は、馬の経皮表面に対しても押圧する。
【0035】
ここで、供給空間に充填されて、加圧された二酸化炭素は、馬の経皮表面に付着した吸収材64、65に効率よく、多量に溶融する。二酸化炭素が多量に溶融した吸収材64、65が体内に吸収されることで、より多くの二酸化炭素を体内に吸収させることができる。また、経皮表面に付着した吸収材64、65は供給空間内で加圧された二酸化炭素によって経皮表面に押し付けられる。従って、この押し付ける力が吸収材64、65と経皮表面とを密着させるので、さらに経皮表面から二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。このように、吸収材を介して二酸化炭素を体内に吸収させることができ、血行促進等効果をもたらすことができる。
【0036】
なお、上述した第3の実施形態の説明では、包囲体50の接合部52として内部を中空とする矩形状のものを用いる場合についてのみ説明したが、この場合に限られない。図10は、他の包囲体の一例を示す図である。なお、図10に示す包囲体は、係止部を省略して図示している。
図10(a)に示す包囲体70の接合部71(71a、71b、71a´、71b´)は、包囲材51の内周面であって、外縁に沿って二重に設けられている。図10(a)では、接合部71及び包囲材51の一部を切断にした状態で図示している。ここで、接合部71aと接合部71a´とは同一の接合部であり、接合部71bと接合部71b´とは同一の接合部である。また、接合部71は、中空の円筒状に形成されている。
【0037】
使用者が、前脚1を包囲するために上述した図9(a)に示すように接合部を重合するとき、図10(a)に示す包囲体70では、接合部71aと接合部71bとの間に、対向する側の接合部71a´又は71b´を嵌め合わせて重合した上、係止部で係止する。このように、接合部71を構成することで、接合部71が何重にも重合されることから、供給空間で加圧された二酸化炭素により押圧されたとして、二酸化炭素の漏洩を防止することができる。
【0038】
図10(b)に示す包囲体72の接合部73は、馬の前脚1の経皮表面に合致した立体的な形状を有して形成されている。すなわち、接合部73は、先端73aが細く後方部73bでは太くなる形状である。このように、接合部73を構成することで、馬の前脚1と密着することから、供給空間で加圧された二酸化炭素により押圧されたとして、二酸化炭素の漏洩を防止することができる。
【0039】
図10(c)に示す包囲体74の接合部75は、気体が充填された風船が包囲材51の内周面であって、外縁に沿って設けられている。風船で形成された接合部75は、変形自在であることから、馬の前脚1の経皮表面の形状に合わせて自由に変形する。また、風船で形成された接合部75は気体を透過しないことから、供給空間で加圧された二酸化炭素により押圧されたとして、二酸化炭素の漏洩を防止することができる。
【0040】
なお、上述した第3の実施形態の説明では、馬の前脚1を包囲する包囲体についてのみ説明したが、この場合に限られない。図11(a)では、肩用包囲体80の一例を示す。肩用包囲体80は、肩の上部から肩全体を覆うようにして巻き付けることで包囲するものである。包囲体80は、包囲材81と、接合部82と、吸入口83と、係止部材84(84a、84b)とを有している。
【0041】
包囲材81は、シート状で肩全体を覆うことができる大きさに形成されている。また、接合部82は、包囲材81の内周面であって、包囲材81の外縁に沿って設けられている。包囲材81を肩全体に巻き付けるようにして包囲することで、包囲材81と接合部82と経皮表面とによって囲まれる空間が、二酸化炭素を供給する供給空間として形成される。吸入口83は、上述した供給空間と挿通する孔を有し、孔を通して二酸化炭素を供給空間に供給することができる。係止部材84は、包囲材81の一方の係止部材84aと、他方の係止部材84bとにより構成されている。
【0042】
包囲体80を馬の経皮表面の一部に包囲する場合、使用者は、馬の肩の経皮表面に吸収材を塗布する。また、使用者は、経皮表面のうち包囲体80の接合部82と接する部分には、増粘剤をより含ませた中粘度又は高粘度のジェル状の吸収材を塗布する。次に、使用者は、図8(b)に示すように、包囲体80の内周面を馬の肩の経皮表面に対向させるようにして巻き付ける。使用者は、包囲体80に設けられた一方の係止部材84aを他方の係止部材84bに係止することにより、供給空間内を密閉構造にすることができる。なお、ここでは、肩用包囲体80についてのみ説明したが、第2の実施形態に説明したように、腰用包囲体や馬着型包囲体を用いて二酸化炭素を体内に吸収させるようにしてもよい。
【0043】
なお、上述した第3の実施形態の説明では、包囲体を馬の経皮表面に巻き付けることにより包囲する包囲体についてのみ説明したが、この場合に限られない。また、吸収材を塗布させることにより経皮表面に吸収材を付着させる場合について説明したが、この場合に限られない。次に、馬の経皮表面の少なくとも一部を被せるようにすることで包囲する包囲体について図12を参照して説明する。また、二酸化炭素と吸収材とを混合して包囲体内に供給する場合について説明する。
【0044】
図12に示す包囲体90は、包囲材91と、吸入口93と、係止部材94とを有している。包囲材91は、馬の前脚1又は後脚を被せることができるような袋状であり、包囲体90内は二酸化炭素が供給される供給空間が形成される。包囲材91の材質には、例えばクロロプレーンラバー等が用いられる。また、包囲材91には、前脚1又は後脚を挿入することができる挿入口92が形成されている。
【0045】
吸入口93は、上述した供給空間と挿通する孔を有し、孔を通して二酸化炭素を供給空間に供給することができる。
係止部材94は、例えば段階的又は無段階で係止する位置を可変することができるベルトである。係止部材94により、供給空間で圧縮された二酸化炭素による包囲材91の膨張を抑えたり、挿入口92から二酸化炭素が外部に漏洩するのを防止したりする。
【0046】
次に、図12に示す供給装置60には、ミスト生成装置95が設けられている。ミスト生成装置95は、液体の吸収材からミスト、好ましくはナノ化されたミスト(ナノミスト)を生成する。ここで、吸収材は、上述したように二酸化炭素を溶融させることができる液体(媒体)であり、例えば、水、アルコール類、油脂類等である。また、ミスト生成装置95には、生成したミストを供給装置60の減圧器62から放出される二酸化炭素と共に吹き出し口63から放出させるために、接続チューブが供給装置60の減圧器62の先端側に接続されている。したがって、供給装置60から放出される二酸化炭素は、ミスト生成装置95の接続箇所から吹き出し口63に到達するまでに、ミスト状の吸収材と混合される。したがって、供給装置60の吹き出し口63からは、二酸化炭素とミスト状の吸収材とが混合された状態で放出される。なお、接続箇所から吹き出し口63に到達するまでの間に、二酸化炭素は、ある程度ミスト状の吸収材に溶融した状態になっている。なお、ミスト生成装置95では、ミスト状の吸収材にDDS効果があるナノ化薬剤等を混合させてもよい。また、ミスト生成装置95は、最初からナノ化された水等のナノ化された吸収材を噴霧するようにしてもよい。
【0047】
次に、前脚1に被せた包囲体90の内部に供給装置60によって二酸化炭素とミスト状の吸収材とを供給する方法について説明する。まず、使用者は、図12に示すように、包囲体90の吸入口93と供給装置60の吹き出し口63とを接続する。使用者は、減圧器62で所望する圧力及び流量に調整して減圧器62の栓を開口すると共に、ミスト生成装置95を駆動してミスト状の吸収材を生成させる。すると、供給装置60の吹き出し口63から、二酸化炭素及びミスト状の吸収材を放出させることができる。供給装置60の吹き出し口63を介して、包囲体90の吸入口93から供給された二酸化炭素とミスト状の吸収材とは、馬の前脚1の周りに形成された供給空間に満遍なく充填される。このとき、充填されたミスト状の吸収材は、馬の前脚1の経皮表面と接することで、経皮表面に付着し液体の吸収材に変化する。ここで、ミストとしてナノミストを用いる場合、ミストの粒子は非常に細かいことから、経皮表面に生える毛を通過して経皮表面に容易に到達することができる。このように、二酸化炭素が溶融した吸収材が、馬の経皮表面に付着することで、吸収材を介して二酸化炭素を体内に吸収させることができる。なお、ミスト状の吸収材にナノ化薬剤等が混合されている場合、吸収材と共にナノ化薬剤等が体内に吸収されるので、治療したい患部に効率よく到達する。
【0048】
使用者は、継続して二酸化炭素とミスト状の吸収材とを放出させると、供給空間に供給された二酸化炭素とミスト状の吸収材とは、継続して供給された二酸化炭素とミスト状の吸収材により圧縮される。加圧された二酸化炭素は、馬の前脚1の経皮表面に付着された吸収材に効率よく、多量に溶融する。二酸化炭素が多量に溶融した吸収材が体内に吸収されることで、より多くの二酸化炭素を体内に吸収させることができる。また、経皮表面に付着した吸収材は供給空間内で加圧された二酸化炭素によって経皮表面に押し付けられる。従って、この押し付ける力が吸収材と経皮表面とを密着させるので、さらに経皮表面から二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。
【0049】
このように、第3の実施形態によれば、密閉構造に形成された供給空間に二酸化炭素を充填させた。したがって、二酸化炭素が包囲体から漏洩することがないので、確実に二酸化炭素を体内に吸収させることができる。
【0050】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、包囲体で馬の経皮表面の全身を密閉状態に包囲した後、包囲体内に二酸化炭素を供給する場合の実施形態であり、包囲体内に供給された二酸化炭素を、ある程度加圧することができる。
図13は、第4の実施形態に係る血行促進装置の構成の一例を示す図である。第3の実施形態に係る血行促進装置4は、包囲体100と供給装置110とを含んで構成されている。なお、血行促進装置4は、例えば所定の施設に固定されて設置されている。
【0051】
包囲体100は、包囲函101と、包囲材102と、接合部103と、係止部材104(104a〜104d)と、吸入口105とを有している。
包囲函101は、馬の回りを取り囲むように前後左右の4面によって形成されたボックスである。包囲函101の4面は、気体を透過しない材質により形成されている。また、包囲函101の4面のうち背面は、馬が包囲函101内に入り込めるように、例えば上下に開閉することができる扉になっている。なお、包囲函101の4面の内周面は、包囲函101に入り込んだ馬が包囲函101に接触してケガをしないように軟質材が張り付けられている。また、包囲函101の外周面には、係止部材104(104a〜104d)を係止するフック107が複数、設けられている。
【0052】
包囲材102は、馬の肩、背中及び腰を包囲できる形状で、気体を透過せず耐候性に優れた材質、例えばクロロスルホン化ポリエチレン(ハイパロン)等により形成されている。包囲材102の一部には、馬の頭部を挿入することができる挿入口が形成されている。挿入口の開口縁部には、馬の経皮表面と接触する接合部103が設けられている。接合部103の材質には、例えばクロロプレーンラバーが用いられる。ここで、包囲材102の挿入口から馬の頭部を突出させ、包囲材102により包囲函101の4面の外周面を覆って包囲することで、包囲函101と包囲材102とによって囲まれる空間が、二酸化炭素を供給する供給空間として形成される。
【0053】
係止部材104a〜104dは、包囲材102により包囲函101の4面の外周面を覆ったときに、供給空間に供給された二酸化炭素が包囲材102と包囲函101との間から漏洩しないように包囲材102を包囲函101に係止するものである。係止部材104a〜104dは、伸縮できる例えばゴム等によって形成されている。係止部材104a〜104dは、包囲函101のフック107から伸長させて包囲函101の4面の上端にそれぞれ掛け渡すようにすることで包囲材102を包囲函101に係止する。
吸入口105は、上述した供給空間と挿通する孔を有し、孔を通して二酸化炭素を供給空間に供給することができる。
【0054】
次に、図13には、包囲函101によって形成された供給空間に二酸化炭素を供給する供給装置110が示されている。供給装置110は、二酸化炭素供給装置111と、空気供給装置112と、濃度調整装置113とを含んで構成されている。二酸化炭素供給装置111は、二酸化炭素が高圧縮されて収容された容器体と、減圧器と、目盛部と、コック部とが設けられていて、減圧した気体状の二酸化炭素を放出する。
空気供給装置112は、空気が高圧縮されて収容された容器体と、減圧器と、目盛部と、コック部とが設けられていて、減圧した空気を放出する。
【0055】
濃度調整装置113は、包囲体100に供給する二酸化炭素の濃度を調整するものである。濃度調整装置113により二酸化炭素の濃度を調整するのは、馬の体の部位又は馬の固体差によって、二酸化炭素を吸収する速度や量が異なってくるためであり、馬の体の部位又は個体差に応じた二酸化炭素の濃度にすることにより、個体差に応じた血圧促進等効果を引き出すことができる。
【0056】
図14は、濃度調整装置の構成の一例を示す図である。
図14に示すように、濃度調整装置113には、二酸化炭素供給装置111から二酸化炭素が供給されると共に、空気供給装置112から空気が供給される。濃度調整装置113は、二酸化炭素が供給される経路114及び空気が供給される経路124と、圧力調整部115、125と、チェックバルブ116、126と、フローメータ117、127と、流量調整部118、128と、混合器119と、吐出バルブ120と有している。なお、流量調整部118、128と、混合器119とにより切換器121を構成している。
【0057】
圧力調整部115、125では、二酸化炭素供給装置111及び空気供給装置112から流入された二酸化炭素及び空気の圧力を調整する。ここでは、使用者は圧力調整部115、125のそれぞれにおいて、二酸化炭素及び空気の圧力が等しくなるように調整する。次に、チェックバルブ116、126では、流入された二酸化炭素及び空気の逆流を防止する。次に、フローメータ117、127では、流入された二酸化炭素及び空気の流量を使用者が確認することができる。次に、流量調整部118、128は、二酸化炭素及び空気の流量を変更して二酸化炭素の濃度を調整する。次に、混合器119では、流量調整部118、128において流量が変更された二酸化炭素及び空気を混合して、濃度が調整された二酸化炭素を生成する。最後に、吐出バルブ120において、バルブが開放されることで濃度調整された二酸化炭素を吐出する。濃度調整装置113の吐出バルブ120の先には吹き出し口が設けられ、包囲体100の吸入口105に接続されている。したがって、濃度調整装置113により濃度調整された二酸化炭素は、包囲体100内に供給される。
【0058】
なお、使用者は、流量調整部118、128それぞれにおいて、二酸化炭素及び空気の流量を変更して二酸化炭素の濃度を調整する場合に限られず、流量調整部118、128と、混合器119とで構成される切換器121により、二酸化炭素の濃度を調整してもよい。具体的には、使用者が、切換器121に連結されている操作摘みを回転操作等行うことにより、例えば段階的に二酸化炭素の濃度を25、50、75パーセント等に調整したり、無段階的に二酸化炭素の濃度を調整したりすることできる。ここで、無段階に調整するように構成する場合、二酸化炭素の濃度を略1000ppm〜略95パーセントに調整できるように構成する。なお、圧力調整部115、125とチェックバルブ116、126との順番、チェックバルブ116、126とフローメータ117、127との順番等を入れ替えて濃度調整装置113を構成してもよい。なお、濃度調整装置113にPC(パソコン)を接続して、パソコンから濃度調整するように構成してもよい。
【0059】
次に、包囲体を馬の経皮表面の一部に包囲する方法及び二酸化炭素の供給方法について説明する。
まず、使用者は、馬の全身の経皮表面に吸収材を塗布する。ここで、吸収材は、二酸化炭素を溶融させることができる液体(媒体)であり、例えば、水、アルコール類、油脂類等である。また、使用者は、図13に示すように、経皮表面のうち包囲材102の接合部103と接する部分には、増粘剤をより含ませた中粘度又は高粘度のジェル状の吸収材65を塗布する。このとき、使用者は、吸収材65をより厚めに塗布することが好ましい。このように、粘度が高い吸収材65を塗布することにより、馬の経皮表面と接合部103との間から気体が漏洩することを防止することができる。なお、吸収材は、ナノ化された水等、ナノ化された吸収材にすると経皮表面から体内に吸収されやすい。
【0060】
次に、使用者は、包囲材102の内周面を馬の経皮表面に対向させ、包囲材102により馬を覆う。使用者は、包囲材102の挿入口から馬の頭部を突出させ、包囲函101に収容する。次に、使用者は、係止部材104a〜104dを用いて、包囲材102を包囲函101に係止して、包囲函101と包囲材102とにより囲まれる供給空間を形成する。次に、使用者は、供給装置110の吹き出し口を包囲体100の吸入口105に接続した状態で、任意の二酸化炭素の濃度になるように濃度調整装置113を調整して二酸化炭素供給装置111及び空気供給装置112のコックを解放する。
【0061】
すると、供給装置110の吹き出し口を介して、包囲体100の吸入口105から濃度調整された二酸化炭素が、供給空間に満遍なく充填される。使用者は、継続して二酸化炭素を放出することにより、供給空間に供給された二酸化炭素は、継続して供給された二酸化炭素により圧縮される。なお、包囲材102は、加圧された二酸化炭素によって膨張するものの、気体を透過しない材質であると共に、包囲材102は係止部材104により係止されていることから、ある程度の圧力で包囲体100内を加圧しても、供給空間内の二酸化炭素は漏洩することはない。
【0062】
加圧された二酸化炭素は、馬の全身の経皮表面に付着された吸収材に効率よく、多量に溶融する。二酸化炭素が多量に溶融した吸収材が体内に吸収されることで、より多くの二酸化炭素を体内に吸収させることができる。また、経皮表面に付着された吸収材は供給空間内で加圧された二酸化炭素によって経皮表面に押し付けられる。従って、この押し付ける力が吸収材と経皮表面とを密着させるので、さらに経皮表面から二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。
【0063】
なお、上述した第4の実施形態の説明では、馬の全身に吸収材を塗布する場合についてのみ説明したが、この場合に限られない。図13に示すように、濃度調整装置113の噴射口にミスト生成装置95により生成されたミストを供給するように構成してもよい。このようにミスト生成装置95を用いることにより、供給装置110の吹き出し口から二酸化炭素とミストとを混合させて供給空間に供給させることができるため、馬の全身に吸収材を塗布する必要がない。なお、ミスト生成装置95では、DDS効果のあるナノ化薬剤等を混合させてもよい。
【0064】
次に、上述した血行促進装置4を図15に示す血行促進施設5に適用する場合について説明する。血行促進施設5では、吸収材を供給する工程、二酸化炭素を供給する工程及び吸収材を乾燥させる工程が段階的に隔てられた部屋により行われる。
まず、吸収材を供給する工程の部屋では、馬の頭上から吸収材をシャワー状に吹き付ける吹付装置301が設けられている。吹付装置301によって噴射された吸収材は、馬の経皮表面の全体に付着される。なお、吹付装置301は、シャワー状に吹き付ける場合に限られず、例えば、吸収材をミスト状、好ましくはナノミスト状にして供給してもよく、吸収材をスチーム状にして供給してもよい。
【0065】
次に、二酸化炭素を供給する工程の部屋では、上述した包囲体100及び供給装置110を有する血行促進装置4が設置されている。血行促進装置4は、上述したものと同様であるので、説明を省略する。次に、吸収材を乾燥させる工程の部屋では、馬の全身に付着された吸収材を乾燥させる乾燥装置302が設けられている。乾燥装置302は、例えば全身に温風を送風するように構成されている。なお、吸収材を乾燥させる工程の部屋では、馬に付着された吸収材を単に拭き取るようにしてもよい。
このように、血行促進施設5では、多数の馬を効率よく体内に二酸化炭素を吸収させることができる。
【0066】
また、上述した第4の実施形態の説明では、血行促進装置4を所定の施設に設置して使用する場合についてのみ説明したが、この場合に限られることはない。図16では、血行促進装置4を運搬車内に設置する場合について説明する。図16(a)は、運搬車の斜視図である。図16(b)は、運搬車の内部構成を示す図である。
図16(a)及び図16(b)に示すように運搬車130は、上述した血行促進装置4を格納する密閉構造の格納庫135が設けられた車体本体131を有している。格納庫135には、包囲体100と供給装置110とが格納されている。
【0067】
車体本体131の後方扉132は、上下方向に開閉することができるように構成されている。後方扉132を開放することで、馬を車体本体131内に導入するためのスロープが形成される。また、車体本体131には、外気を車体本体131内に取り入れるファン133と、車体本体131内の気体を外部に排出するファン134とが設けられている。すなわち、二酸化炭素を包囲体100の供給空間に供給した後、包囲体100を馬から取り外す場合、車体本体131内には二酸化炭素が充満してしまう。このとき、ファン133とファン134とを駆動させることにより、車体本体131内に充満された二酸化炭素を外部に排出することができる。血行促進装置4を運搬車に適用することで、血行促進装置4を容易に搬送することができる。
【0068】
このように、第4の実施形態によれば、馬の全身を包囲することができる包囲体を用いて包囲体内を加圧させた状態で二酸化炭素を充填させるので、二酸化炭素は、馬の経皮表面に付着した吸収材に効率よく、多量に溶融する。したがって、二酸化炭素が多量に溶融した吸収材が体内に吸収されることで、より多くの二酸化炭素を体内に吸収させることができる。また、供給装置が供給する二酸化炭素の濃度を調整する濃度調整装置を付加したので、馬の体の部位又は固定差に応じた二酸化炭素の濃度にすることで、個体差に応じた血行促進等効果を引き出すことができる。
【0069】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、包囲体で馬の経皮表面の全身を密閉状態に包囲した後、包囲体内に二酸化炭素を供給する場合の実施形態であり、包囲体内に供給された二酸化炭素を高圧で加圧することができる。
図17は、第5の実施形態に係る血行促進装置の構成の一例を示す図である。第5の実施形態に係る血行促進装置6は、包囲体150と供給装置160とリバースタンク190とを含んで構成されている。なお、血行促進装置6は、例えば所定の施設に固定されて設置されている。
【0070】
包囲体150は、包囲函151と、包囲材152と、接合部153と、係止部材154と、吸入口155と、挿通口156とを有している。
包囲函151は、馬の周りを取り囲むように前後左右及び上面によって形成されたボックスである。包囲函151の一部には、馬の頭部が突出できるように開口部を有している。包囲函151の5面は、気体を透過しない素材により形成されている。また、包囲函151の5面のうち背面は、馬が包囲函151内に入り込めるように、例えば中央から左右に開閉することができる扉(観音式扉)になっている。また、包囲函151の5面のうち上面は、馬が包囲函151内に入り込めるように、例えば中央から左右に開閉することができる扉になっている(後述する図19(a)参照)。包囲函151によって囲まれる空間が、二酸化炭素を供給する供給空間として形成される。包囲函151は、供給空間内が高圧に加圧されても耐久できるように構成されている。
【0071】
包囲材152は、馬の首を包囲できる形状で、気体を透過しない材質、例えば合成樹脂等によって形成されている。包囲材152は、上述した包囲函151の上面と一体的に取り付けられており、包囲函151の上面と同様に左右に開閉することができる。また、包囲材152と馬の経皮表面と接触する部分には、伸縮性、密着性、柔軟性、耐久性及び密閉性を有する材質で形成された接合部153が設けられている。
係止部材154は、供給空間に供給された二酸化炭素が接合部153と馬の経皮表面との間から漏洩しないように、接合部153を係止するものである。
【0072】
吸入口155は、上述した供給空間と挿通する孔を有し、孔を通して二酸化炭素を供給空間に供給することができる。
挿通口156は、リバースタンク190と挿通する孔を有し、孔を通して供給空間に供給された二酸化炭素をリバースタンク190に移送したり、リバースタンク190から供給空間に二酸化炭素を移送したりすることができる。
【0073】
次に、図17には、包囲体150によって形成された供給空間に二酸化炭素を供給する供給装置160が示されている。供給装置160は、二酸化炭素供給装置161と、空気供給装置162と、濃度調整装置163とを含んで構成されている。二酸化炭素供給装置161は、二酸化炭素が高圧縮されて収容された容器体と、減圧器と、目盛部と、コック部とが設けられていて、減圧した気体状の二酸化炭素を放出する。
空気供給装置162は、空気が高圧縮されて収容された容器体と、減圧器と、目盛部と、コック部とが設けられていて、減圧した空気を放出する。
【0074】
濃度調整装置163は、包囲体150に供給する二酸化炭素の濃度を調整するものである。濃度調整装置163により二酸化炭素の濃度を調整するのは、馬の体の部位又は馬の固体差によって、二酸化炭素を吸収する速度や量が異なってくるためであり、馬の体の部位又は個体差に応じた二酸化炭素の濃度にすることにより、個体差に応じた血圧促進等効果を引き出すことができる。濃度調整装置163には、パソコンが接続されている。
【0075】
図18は、濃度調整装置の構成の一例を示す図である。
図18に示すように、濃度調整装置163には、二酸化炭素供給装置161から二酸化炭素が供給されると共に、空気供給装置162から空気が供給される。濃度調整装置163は、二酸化炭素が供給される経路164及び空気が供給される経路174と、圧力調整部165、175と、チェックバルブ166、176と、残圧センサ167、177と、流量調整部168、178と、電磁弁169、179と、混合器170と、吐出電磁弁171とを有している。さらに、濃度調整装置163には、残圧警報装置172と、制御回路180と、タイマー181と、記憶装置182と、電源回路183と、通信装置184と、操作パネル185とを有している。
【0076】
圧力調整部165、175では、使用者が二酸化炭素供給装置161及び空気供給装置162から流入された二酸化炭素及び空気の圧力が等しくなるように調整しておく。次に、チェックバルブ166、176では、流入された二酸化炭素及び空気の逆流を防止する。次に、残圧センサ167、177では、流入された二酸化炭素及び空気の圧力を計測する。残圧センサ167、177が計測した圧力値は、残圧警報装置172に送信される。残圧警報装置172は、送信されてきた圧力値が所定の圧力値以下になった場合、二酸化炭素供給装置161及び空気供給装置162に二酸化炭素又空気の残量がないものとして警報を行う。次に、流量調整部168、178は、二酸化炭素及び空気の流量を変更して二酸化炭素の濃度を調整する。また、電磁弁169、179も同様に、二酸化炭素及び空気の流量を変更して二酸化炭素の濃度を調整する。なお、本実施形態の濃度調整は、専ら電磁弁169、179にて行い、流量調整部168、178では、補足的に調整する。本実施形態の濃度調整装置163は、二酸化炭素の濃度を略1000ppm〜略95パーセントに調整できるように構成されている。
【0077】
次に、混合器170では、電磁弁169、179において流量が変更された二酸化炭素及び空気を混合して、濃度が調整された二酸化炭素を生成する。最後に、吐出電磁弁171において、弁を開放することで濃度調整された二酸化炭素が吐出する。
ここで、電磁弁169、179及び吐出電磁弁171は、制御回路180に接続されている。すなわち、制御回路180が電磁弁169、179を制御することで、二酸化炭素及び空気の流量を変更して、二酸化炭素の濃度を調整する。また、制御回路180が吐出電磁弁171の開閉を制御することで、濃度が調整された二酸化炭素を吐出したり、吐出の停止をしたりすることができる。
【0078】
また、制御回路180には、タイマー181及び操作パネル185が接続されている。したがって、使用者が操作パネル185を用いて、二酸化炭素を継続して吐出させる時間や、二酸化炭素の濃度を設定することで、制御回路180は、設定された時間及び濃度に基づいて、電磁弁169、179を制御して、設定された濃度になるように制御すると共に、タイマー181を用いて、設定した時間が経過したら吐出電磁弁171を閉鎖して二酸化炭素の吐出を停止することができる。
【0079】
さらに、制御回路180には記憶装置182が接続されている。この記憶装置182には、制御回路180に実行させるプログラムを複数、記憶させることができる。ここで、プログラムとは、例えば、最初の数分間を二酸化炭素の濃度を薄くして吐出させ、その後、数分間を徐々に二酸化炭素の濃度を濃くして吐出させ、一定時間経過した後、二酸化炭素の吐出を停止する等のメニューを制御回路180に実行させるためのものである。上述したように、体の部位によって又は固体差によって、二酸化炭素を吸収する速度や量が異なってくるため、二酸化炭素を吸収させたい体の部位及び個体差に応じたプログラムを記憶装置182に記憶しておき、使用者が操作パネル185を操作して、記憶装置182に記憶された複数のプログラムから該当するプログラムを選択して、制御回路180が実行することにより、体の部位又は固体差に応じた血行促進等効果を引き出すことができる。
また、上述した体の部位又は個体差に応じたプログラムは記憶装置182に記憶しておく場合に限らず、通信装置184に接続されたパソコンから濃度調整装置163に送信するように構成してもよい。また、通信装置184に接続されたパソコンから直接、濃度調整装置163を制御できるように構成してもよい。
【0080】
なお、濃度調整装置163において、圧力調整部165、175に電磁弁を用いて、制御回路180が圧力調整の制御も行うことができるように構成してもよい。例えば、二酸化炭素及び空気の圧力調整を変化させるようなプログラムを作成することで、経皮表面に対して加わる二酸化炭素の圧力を変更できるため、経皮表面に対するマッサージ効果を期待することができる。さらに、制御回路180が圧力調整を行うことにより二酸化炭素及び空気の温度の制御も行うように構成してもよい。例えば、二酸化炭素及び空気の圧力調整を変化させるようなプログラムを作成することで、濃度調整装置163から吐出される濃度調整された二酸化炭素の温度を変更できるため、経皮表面をクールダウン等させるような効果を期待することができる。
【0081】
次に、図17に示すリバースタンク190には、コンプレッサ191が接続されている。コンプレッサ191は、供給空間に供給した二酸化炭素をリバースタンク190に移送する。リバースタンク190は、二酸化炭素を一時的に保管する。コンプレッサ191は、リバースタンク190に戻した二酸化炭素を再利用するために、供給空間に移送する。なお、リバースタンク190には、二酸化炭素の濃度計測装置が設けられており、二酸化炭素が所定の濃度を満たしているかを計測している。
【0082】
次に、包囲体に二酸化炭素を供給する供給方法について説明する。なお、包囲体150を馬の経皮表面の一部に包囲する方法は第4の実施形態と同様であり、その説明を省略する。使用者は、包囲体150により囲まれる供給空間を形成した後、供給装置160の吹き出し口を包囲体150の吸入口155に接続した状態で、所定のプログラムに基づいて所定の二酸化炭素の濃度になるように濃度調整装置113を実行させる。すると供給装置160からは、所定の濃度に調整された二酸化炭素が、供給空間に満遍なく充填される。
【0083】
プログラムに基づいて継続して二酸化炭素を放出することにより、供給空間に供給された二酸化炭素は、継続して供給された二酸化炭素により圧縮される。なお、包囲体150は、高圧に対する耐久性を有するように構成されているため、高圧で包囲体150内を加圧しても包囲体150は破損することがなく、また供給空間内の二酸化炭素は漏洩することはない。加圧された二酸化炭素は、馬の全身の経皮表面に付着された吸収材に効率よく、多量に溶融する。二酸化炭素が多量に溶融した吸収材が体内に吸収されることで、より多くの二酸化炭素を体内に吸収させることができる。また、経皮表面に付着された吸収材は供給空間内で加圧された二酸化炭素によって経皮表面に押し付けられる。従って、この押し付ける力が吸収材と経皮表面とを密着させるので、さらに、経皮表面から二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。
【0084】
次に、所定時間が経過して、包囲体150を取り外したとき、使用者はコンプレッサ191を用いて、供給空間に供給された二酸化炭素をリバースタンク190に移送させる。したがって、包囲体150を開放したときに、二酸化炭素を外部に排出することがない。次回、供給空間に二酸化炭素を供給するとき、使用者は、コンプレッサ191を用いて、リバースタンクに収容されている二酸化炭素を供給空間に戻すことで、二酸化炭素を再利用することができる。このとき、リバースタンク190に設けられた濃度測定装置によりリバースタンク190の濃度を測定しておくことにより、必要に応じて供給装置160から所定の濃度に調整した二酸化炭素を供給空間に補給することにより、供給空間内を所望する二酸化炭素にすることができる。
【0085】
なお、上述した第5の実施形態の説明では、馬の全身に吸収材を塗布する場合についてのみ説明したが、この場合に限られない。図17に示すように、濃度調整装置163の噴射口にミスト生成装置95により生成されたミストを供給するように構成してもよい。このようにミスト生成装置95を用いることにより、供給装置160の吹き出し口から二酸化炭素とミストとを混合させて供給空間に供給させることができるため、馬の全身に吸収材を塗布する作業を省略することができる。なお、ミスト生成装置95では、DDS効果のあるナノ化薬剤等を混合させてもよい。
【0086】
また、上述した第5の実施形態の説明では、血行促進装置6を所定の施設に設置して使用する場合についてのみ説明したが、この場合に限られることはない。図19では、血行促進装置6を運搬車内に設置する場合について説明する。図19(a)は、運搬車の斜視図である。図19(b)は、運搬車の内部構成の一例を示す図である。
図19(a)及び図19(b)に示すように運搬車200は、上述した血行促進装置6を格納する密閉構造の格納庫207が設けられた車体本体201を有している。また、車体本体201には、リバースタンク190が格納されている。
【0087】
車体本体201の後方扉202は、左右方向に開閉することができるように構成されている。包囲体150の後方には、馬を車体本体201内に導入するためのスロープ203が形成されている。また、車体本体201には、外気を車体本体201内に取り入れるファン204と、車体本体201内の気体を外部に排出するファン205とが設けられている。また、車体本体201内には、使用者が濃度調整装置163を操作するためのPCが設置されたオペレーションルーム206が、血行促進装置6を格納した格納庫207とは異なる部屋に設けられている。また、車体本体201内には、リバースタンク190を有している。血行促進装置6を運搬車に適用することで、血行促進装置6を容易に搬送することができる。
【0088】
このように、第5の実施形態によれば、高圧力に対して耐久性がある包囲体を用いて二酸化炭素を充填させた。したがって、供給空間内を高圧にすることができるため、より吸収材に二酸化炭素を溶融することができる。したがって、吸収材を介して二酸化炭素を体内に吸収させる効率を向上させることができる。また、供給装置が供給する二酸化炭素の濃度を自動的に調整する濃度調整装置を付加したので、体の部位又は個体差に応じた二酸化炭素の濃度にすることで、個体差に応じた血行促進等効果を引き出すことができる。
【0089】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、馬の経皮表面に吸収材を吹き付ける吹付装置と馬の部位の少なくとも一部が入り込める隔離空間とを有する実施形態である。
図20は、第6の実施形態に係る血行促進施設の構成の一例を示す図である。図20(a)は、血行促進施設の全体構成の一例を示す図である。図20(b)は、隔離空間の斜視図である。第6の実施形態に係る血行促進施設7は、吹付装置311と、隔離空間312とを含んで構成されている。
【0090】
吹付装置311は、馬の頭上から吸収材をシャワー状に吹き付ける。
隔離空間312は、床面に凹状に形成された空間である。隔離空間312の長手方向の両端には、馬が隔離空間312に容易に進入したり、隔離空間312から容易に出られるように、スロープ313が形成されている。また、隔離空間312は、馬が隔離空間312に進入したときに少なくとも馬の頭部が隔離空間312の上端から突出できる程の深さに形成されている。この隔離空間312には、二酸化炭素供給装置により気体状の二酸化炭素を充填することで、二酸化炭素のプールが形成される。なお、二酸化炭素は、空気と比較して比重が重いために隔離空間312から上昇して浮遊せず、隔離空間312に留まった状態となる。また、二酸化炭素と同じ比重の気体を着色して混合させておくことで、隔離空間312に充填された二酸化炭素の高さを容易に識別することができる。
【0091】
次に、馬の体内に二酸化炭素を吸収させる方法について説明する。
まず、使用者は、吹付装置311により馬の全身の経皮表面に吸収材を付着させる。
次に、使用者は、全身の経皮表面に吸収材を付着させた馬を二酸化炭素が充満された隔離空間312に進入させる。使用者は、所定時間の間、隔離空間312に馬を待機させる。このとき、隔離空間312内では、隔離空間312に充満した二酸化炭素が馬の経皮表面に付着した吸収材に溶融するために、吸収材を介して二酸化炭素を体内に吸収させることができる。所定時間経過した後、使用者は隔離空間312から馬を出す。ここで、隔離空間312に馬を待機させる時間は、体内に二酸化炭素を吸収させたい量によって異なる。例えば、多量の二酸化炭素を吸収させたい場合は長時間待機させ、少量の二酸化炭素を吸収させたい場合は短時間待機させる。
【0092】
なお、上述した第6の実施形態では二酸化炭素を隔離空間に供給する場合についてのみ説明したが、この場合に限られるものではない。例えば、隔離空間内で二酸化炭素を生成してもよい。例えば、図21(a)に示すように、隔離空間312の底部内にドライアイス316を格納する。ドライアイス316を常温常圧下にしておくことで、昇華して気体状の二酸化炭素が生成される。したがって、隔離空間312を二酸化炭素で充填させることができる。また、ドライアイスが格納された底部内に常温又は高温の水を付加して二酸化炭素を生成してもよい。このとき、隔離空間312内は、昇華された二酸化炭素と生成された白煙とが隔離空間312内にスモーク状に充填される。
【0093】
また、隔離空間312は、馬の脚部の長さに合うような深さであってもよい。図21(b)に示すように、隔離空間314の深さは、馬の脚部が隠れる程の深さである。隔離空間314の底部内に格納されたドライアイス316に常温又は高温の水を付加して昇華されることにより隔離空間314に昇華された二酸化炭素と生成された白煙とがスモーク状に充填される。馬が隔離空間314に待機することで、吸収材を介して二酸化炭素を体内に吸収させることができる。また、隔離空間314内は冷却されていることから、クールダウンの効果がある。
【0094】
また、隔離空間を連続的に形成してもよい。図22に示すように、サークル状の隔離空間315を形成する。サークル状の隔離空間315には、上述したように気体状の二酸化炭素を充填する。馬に吸収材を付着させ、隔離空間315内を移動させることで、移動中に吸収材を介して二酸化炭素を体内に吸収させることができる。したがって、複数の馬を連続して隔離空間315内に、進入させることができるので、二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。
【0095】
このように、第6の実施形態によれば、二酸化炭素に供給された隔離空間内に馬を進入させるのみで、二酸化炭素を体内に吸収させることができるので、二酸化炭素を効率が向上する。
【0096】
上述したように、本発明によれば、二酸化炭素を体内に吸収させることができるので、体内の細胞が活性化され、血行促進等効果をもたらすことができる。このような血行促進等の効果により、新陳代謝を促すと共に治癒効果を高め、疲労回復やケガの予防、ケガの治療の促進を図ることができる。
【0097】
なお、第4の実施形態及び第5の実施形態では、二酸化炭素と混合する気体を空気にする場合について説明したが、この場合に限られず、例えば、窒素ガスやヘリウムガス等であってもよい。また、空気を供給する空気供給装置は、コンプレッサであってもよい。
また、第4の実施形態及び第5の実施形態に係る濃度調整装置は、上述した第1〜第3の実施形態及び第6の実施形態に適用することができる。
また、二酸化炭素を生成するときに、重曹とクエン酸とを化学反応させて二酸化炭素を発生させるようにしてもよい。例えば、第3の実施形態の包囲体に化学反応で発生された二酸化炭素で充填し、さらに継続して化学反応させることにより、包囲体内に充填した二酸化炭素は加圧される。
また、上述した第1〜第6の実施形態では、馬の体内に二酸化炭素を吸収させる場合についてのみ説明したが、馬以外の他の動物であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第1の実施形態に係る血行促進装置の構成の一例を示す図である。
【図2】馬の経皮表面にムースを塗布する方法について説明するための図である。
【図3】ムースに含まれる気泡状の二酸化炭素の作用について説明するための図である。
【図4】馬の全身にムースを塗布した状態を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係る血行促進装置の構成の一例を示す図である。
【図6】第2の実施形態に用いられる他の形態の包囲体を示す図である。
【図7】第2の実施形態に用いられる他の形態の包囲体の充填部を示す図である。
【図8】第3の実施形態に係る血行促進装置の構成の一例を示す図である。
【図9】供給空間に二酸化炭素を供給する方法について説明するための図である。
【図10】第3の実施形態に用いられる他の形態の包囲体を示す図である。
【図11】第3の実施形態に用いられる他の形態の包囲体を示す図である。
【図12】第3の実施形態に係る他の血行促進装置の構成の一例を示す図である。
【図13】第4の実施形態に係る血行促進装置の構成の一例を示す図である。
【図14】濃度調整装置の構成の一例を示す図である。
【図15】血行促進装置を血行促進施設に適用した場合の構成の一例を示す図である。
【図16】血行促進装置を運搬車内に設置する場合の構成の一例を示す図である。
【図17】第5の実施形態に係る血行促進装置の構成の一例を示す図である。
【図18】濃度調整装置の構成の一例を示す図である。
【図19】血行促進装置を運搬車内に設置する場合の構成の一例を示す図である。
【図20】第6の実施形態に係る血行促進施設の構成の一例を示す図である。
【図21】他の形態の血行促進施設を示す図である。
【図22】他の形態の血行促進施設を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
2 血行促進装置
3 血行促進装置
4 血行促進装置
5 血行促進施設
6 血行促進装置
7 血行促進施設
10 ムース生成装置
20 ムース
30 包囲体
33 充填部
41 充填部
50 包囲体
52 接合部
60 供給装置
64 吸収材
65 吸収材
90 包囲体
95 ミスト生成装置
100 包囲体
110 供給装置
113 濃度調整装置
301 吹付装置
135 格納庫
150 包囲体
160 供給装置
163 濃度調整装置
207 格納庫
312 隔離空間
312 隔離空間
314 隔離空間
315 隔離空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
馬の経皮表面に付着させる吸収材に炭酸ガスを吸収させるために、炭酸ガスを供給する供給装置を有することを特徴とする馬用血行促進装置。
【請求項2】
前記吸収材は、泡状のムースであり、
前記供給装置は、気泡状の炭酸ガスを前記ムースに含ませて供給することを特徴とする請求項1に記載の馬用血行促進装置。
【請求項3】
馬の経皮表面の少なくとも一部を包囲する包囲体を更に有し、
前記包囲体のうち経皮表面に対向する部位には、前記供給装置から供給されるムースを充填させる充填部を有することを特徴とする請求項2に記載の馬用血行促進装置。
【請求項4】
前記充填部は、前記ムースを経皮表面側に透過できる材質で構成されたムース収容部であることを特徴とする請求項3に記載の馬用血行促進装置。
【請求項5】
馬の経皮表面の少なくとも一部を包囲する包囲体を更に有し、
前記供給装置は、前記包囲体内に炭酸ガスを供給することを特徴とする請求項1に記載の馬用血行促進装置。
【請求項6】
前記包囲体は、供給された炭酸ガスを外部に排出しないように密閉構造を有していることを特徴とする請求項5に記載の馬用血行促進装置。
【請求項7】
前記供給装置は、炭酸ガスと共に前記吸収材を供給することを特徴とする請求項5又は6に記載の馬用血行促進装置。
【請求項8】
前記包囲体に供給された炭酸ガスを一時的に保管するリバースタンクを更に有することを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の馬用血行促進装置。
【請求項9】
前記供給装置が供給する炭酸ガスに対して、炭酸ガスの濃度を調整する濃度調整装置を更に有することを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項に記載の馬用血行促進装置。
【請求項10】
前記包囲体及び馬を格納する格納庫を更に有し、
前記格納庫は、密閉構造を有していることを特徴とする請求項5乃至9の何れか1項に記載の馬用血行促進装置。
【請求項11】
前記包囲体は、馬の経皮表面のうち、全身、肩、背中、腰、前脚及び後脚の何れかを包囲することを特徴とする請求項3乃至10の何れか1項に記載の馬用血行促進装置。
【請求項12】
馬の経皮表面に吸収材を吹き付ける吹付装置と、
炭酸ガスが充填され、前記吸収材が付着された馬の部位の少なくとも一部が入り込む隔離空間とを有することを特徴とする馬用血行促進施設。
【請求項13】
前記隔離空間は、スロープを介して床面に対して凹状に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の馬用血行促進施設。
【請求項14】
馬の経皮表面に吸収材を付着させる工程と、
前記付着させた吸収材に炭酸ガスを吸収させる工程と、
前記炭酸ガスを吸収させた吸収材を介して炭酸ガスを馬の体内に吸収させる工程とを有することを特徴とする馬用血行促進方法。
【請求項15】
馬の経皮表面に包囲体を包囲する工程と、
前記包囲体内に炭酸ガスを供給する工程とを更に有することを特徴とする請求項14に記載の馬用血行促進方法。
【請求項16】
前記包囲体内に供給された炭酸ガスを加圧する工程を更に有することを特徴とする請求項15に記載の馬用血行促進方法。
【請求項17】
前記包囲体内に供給する炭酸ガスに対して、炭酸ガスの濃度を調整する工程を更に有することを特徴とする請求項15又は16に記載の馬用血行促進方法。
【請求項18】
馬の経皮表面の少なくとも一部を包囲する包囲体であって、
内部に炭酸ガスが供給される供給空間を有し、
経皮表面と接触する接合部に密着性を有し、前記内部に供給された炭酸ガスに加えられる圧力に対して耐久性を有する材質により構成されていることを特徴とする包囲体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−268396(P2009−268396A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120667(P2008−120667)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(508015106)有限会社アミューズカンパニー (3)
【Fターム(参考)】