説明

駐車スペースに駐車するときに車両の運転者を支援する方法

【課題】
【解決手段】車両(02,12)の運転者を、駐車スペース(03,13)に駐車するときに支援する方法であって、
−利用可能な駐車スペース(03,13)を測定し、
−駐車軌跡(04,14)を、駐車スペース(03,13)の前記測定から把握される駐車スペースの形状に基づいて、かつ前記駐車スペース(03,13)に対する車両位置に基づいて算出し、
−駐車プロセスを次に実行し、前記駐車プロセス中に、前記車両を駐車軌跡(01,11)に沿って操舵して駐車スペース(03,13)に入車させ、
かつ前記駐車スペースの形状を、前記駐車プロセス中に把握し続け、前記駐車プロセス開始前に把握される駐車スペース形状と比較し、2つの駐車スペースの形状が互いに異なる場合、生じている変位を見積もり、かつ前記駐車軌跡(01,11;05,15)を、必要に応じて補正し、及び/又は算出し直す。前記方法を実行する運転者支援装置、及び関連保存手段を有するマイクロプロセッサに指示して前記方法を実行させるコンピュータプログラム製品をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の序文に記載の車両の運転者を駐車スペースに駐車するときに支援する方法、請求項19の序文に記載の運転者支援装置、及び請求項21の序文に記載のコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車スペースに駐車するときに、車両の運転者を支援する公知の運転者支援装置であって、以下駐車システムと略記する運転者支援装置は、駐車プロセスの開始時または開始前に、駐車軌跡と呼ばれる車両の駐車経路を決定する。この経路は、駐車スペースの形状に基づいて、かつこの駐車スペースに対する車両位置に基づいて決定される。これに関連して、駐車システムは、駐車スペースデータ、及び駐車スペースデータから得られる駐車スペースの形状に基づいて求められる利用可能な駐車スペース、すなわち駐車軌跡を、例えば車両の前部及び/又は後部に、及び/又は車両の側部に取り付けられている超音波センサ(超音波駐車支援センサすなわちUPAセンサ)であるセンサ群を備える測定装置を用いて測定し、続いて、駐車プロセスを、車両を駐車軌跡に沿って操舵して、駐車スペースに入車させることにより実行するが、この入車は、例えば能動的な操舵の介入により、または運転者への運転指令により行なわれる。駐車プロセス中は、駐車スペースに隣接する物体からの距離が、センサ群によってモニタリングされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在の駐車システムは、算出経路の使用を、駐車プロセス開始前に、そして駐車プロセス開始時に禁止している。また、駐車スペースの形状を求めるために現在利用されている測定装置では、駐車プロセスの最後に達成される駐車結果、すなわち、車両の入車に不利に作用し得るバラツキが、駐車スペースにおける目標位置、または目標方位において見られる。
【0004】
本発明の目的は、車両の運転者を、駐車スペースに駐車するときに支援する方法を提供することにあり、この方法によると、使用する測定装置のバラツキの影響を受けることなく、かつ検出が不正確になる可能性のある駐車スペースの形状の影響を受けることなく、満足できる駐車を行うことができる。
【0005】
この目的は、車両の運転者を、駐車スペースに駐車するときに車両の運転者を支援する本発明の方法により達成される。本発明の方法は、
−利用可能な駐車スペースを測定し、かつこの駐車スペースに対する車両位置を同時に把握し、
−駐車軌跡を、前記駐車スペースの前記測定から把握される駐車スペース形状に基づいて、かつ前記駐車スペースに対する車両位置に基づいて算出し、次に
−駐車プロセスを実行し、この駐車プロセス中に、前記車両を駐車軌跡に沿って操舵して、前記駐車スペースに入車させるものである。
【0006】
本発明によれば、駐車スペースの形状を、駐車プロセス中に、駐車スペースを測定する適切なセンサシステムにより取得される現在のセンサデータに基づいて把握し続け、かつ駐車スペース形状を、駐車プロセス開始前に把握される駐車スペースの形状と比較し、2つの前記駐車スペース形状が互いに異なる場合、生じている変位を見積り、かつ前記駐車軌跡を、必要に応じて補正し、及び/又は算出し直す。
【0007】
本発明によれば、駐車プロセス中に、かつ高い精度で最初に把握される情報は、使用可能な形式に変換することができるので、駐車結果を、困難な状況においても良好にすることができ、従って最終的に、駐車システムの利便性及び顧客満足度を高めることができる。
【0008】
本発明による方法は、センサデータを駐車プロセス中に提供することによって、車両を駐車スペースに、目標位置/目標方位に良好に入車させる場合に、駐車軌跡をそれに応じて補正することができるので、従来技術よりも優れた利点を有する。従って、本発明による方法によると、現在のセンサデータに基づく、従って更に正確なセンサデータに基づく駐車時における経路補正、または駐車プロセス中の駐車軌跡の補正が可能である。
【0009】
前記駐車軌跡に沿う車両の操舵は、誘導駐車、または半自動駐車、或いは全自動駐車として行なうことができる。
【0010】
本発明の1つの有利な形態では、駐車プロセス前に把握される駐車スペースの形状と、駐車プロセス中に把握される駐車スペースの形状との差が小さくて、例えばシステムの調整バラツキに収まる場合に、最初の駐車スペースの形状、従って駐車プロセス開始前に算出された駐車軌跡をそのまま保持し、駐車プロセス中に把握される駐車スペースの形状が、最初に把握される駐車スペースの形状とは大きく異なり、かつこの差が、駐車結果に影響する場合に、駐車軌跡を、駐車プロセス中に把握される駐車スペースの形状に基づいて定め、及び/又は補正することができる。
【0011】
本発明の別の有利な改良形態では、駐車スペースに隣接する物体からの距離を、例えば適切なセンサシステムにより、または適切なセンサ群により、駐車プロセス中にモニタリングすることができる。
【0012】
本発明の特に有利なある改良形態では、駐車プロセス前に把握される駐車スペースの形状と、駐車プロセス中に把握される駐車スペースの形状との比較を、駐車スペースに入車している間に、駐車スペースに隣接する物体からの車両の左側及び右側までの側方距離を検出することにより、かつ前記側方距離、最初に検出された駐車スペースの形状、及び現時点の車両位置に基づいて予測される距離と比較することにより行なうことができる。
【0013】
駐車プロセス前に把握される駐車スペース形状と、駐車プロセス中に把握される駐車スペース形状との比較を、駐車スペースに入車している間に、駐車スペースに隣接する物体の形状であって、車両の左側及び右側における形状を検出することにより行ない、前記形状に基づいて、駐車スペースが、駐車プロセス前に把握される駐車スペースの形状とは異なるか、または最初の定義とは異なる向きを有していることを検出することができる場合に、駐車軌跡を、それに応じて補正するようにすることもできる。
【0014】
駐車スペースの向きを把握するために、2つの前記側方物体の形状を、それぞれ、直線として表現することが好ましい。両方の直線がほぼ平行をなしている場合、2つの前記直線の平均値を、駐車スペースの向きとして用いることができる。
【0015】
測定された前記直線群の形状が、実際の直線群から変位している場合、側方距離データを使用して、駐車軌跡を駐車プロセス中に、例えば後部バンパーの側方に取り付けられている超音波センサ群を利用して補正することができる。前記直線群が平行に変位している場合、駐車軌跡は、これらの超音波センサを分析することにより、対応する平行変位量だけ、補正することができる。これとは異なり、前記直線群に方向ずれがある場合、駐車軌跡の目標角度を、後部バンパーの側方に取り付けられる超音波センサ群を利用して補正することができる。
【0016】
両方の直線が完全に平行ではなく、かつ最初の目標方位と同じ方位をしていない場合、前記最初の目標方位との差異が最も小さい前記直線を、駐車スペースの向きとして用いることが好ましい。両方の直線が、完全に平行ではなく、かつ最初の目標方位とは異なる方位を向いている場合、2つの直線の平均値を、駐車スペースの向きとして用いることが好ましい。両方の直線が、平行ではなく、かつ最初の目標方位とは異なる方向を向いている場合、最初の目標方位をそのまま保持することが好ましい。本発明による方法のこれらの改良形態の利点は、車道に対してほぼ直交している駐車スペースに駐車するだけでなく、斜め駐車のスペースにも、駐車することができることである。
【0017】
本発明のある有利な改良形態では、駐車スペースの形状を、駐車プロセス中に把握するために、車両の運転者を、駐車プロセス中の状況以外の状況において支援するための測定装置が設けられる。
【0018】
別の構成として、駐車スペースの形状を、駐車プロセス中に把握するために、車両の運転者を、駐車プロセス中に支援するための特別の測定装置を設けることができる。
【0019】
前記測定装置は、車両に搭載される超音波センサ群、例えば車両の後部に搭載される更に別の側方超音波センサ群、及び/又は前記車両に配設されるカメラ、例えばリバーシングカメラ、及び/又はレーダセンサ群、例えばブラインドスポットをモニタリングするセンサシステムを備えることができる。
【0020】
本発明の特に有利なある改良形態では、駐車スペースの形状を、駐車プロセス前、及び/又は駐車プロセス中に把握するために、駐車スペースマーク群を、例えばリバーシングカメラにより撮影し、例えば適切な画像処理により検出して、駐車スペースマーク群の位置及び向きを求める。駐車スペースマークは、普通、駐車プロセス開始前には、カメラ画像のエッジ領域に位置しているので、その把握は、駐車プロセス中にのみ適切に行なわれ、かつ把握の精度は、駐車スペースマークが、画像の中心の方向に駐車プロセス中に移動する場合に向上する。これは、特に逆光状態、及び/又は低コントラスト状態に当てはまる。
【0021】
本発明の別の特に有利な実施形態では、駐車スペースの形状を、駐車プロセス前、及び/又は駐車プロセス中に把握するために、縁石の形状を、例えばカメラを利用して、例えば距離データに基づいて、及び/又は視覚的に検出し、及び/又は求めることができる。
【0022】
本発明の更に別の特に有利な改良形態では、駐車スペースにおける目標駐車位置、及び/又は目標駐車方位を運転者が、例えば駐車状態をディスプレイに表示することにより検証し、確認するか、または補正するようにすることができる。この操作は、例えばリバーシングカメラの画像に、システムにより把握される目標駐車位置を重ね合わせることにより行なうことができる。
【0023】
本発明は特に、車両の運転者を、駐車スペースに駐車するときに支援する運転者支援装置と組み合わせて適用することができるので有利である。このような運転者支援装置は、好ましくは
−駐車スペースを駐車プロセス前、及び駐車プロセス中に測定する手段と、
−前記手段に接続され、かつ駐車軌跡を、前記駐車プロセス前及び駐車プロセス中の前記駐車スペースの測定から把握される駐車スペースの形状に基づいて、かつ前記駐車スペースに対する車両位置に基づいて算出し、及び/又は補正する関連保存手段を有するマイクロプロセッサであって、前記関連保存手段を有するマイクロプロセッサにより、駐車プロセス中に把握される駐車スペースの形状を、駐車プロセス開始前に把握される駐車スペースの形状と比較し、これらの2つの駐車スペースの形状が互いに異なる場合に、生じている差を見積もり、かつ前記駐車軌跡を、必要に応じて補正し、及び/又は算出し直す、前記マイクロプロセッサと、
−前記駐車プロセスを実行する手段であって、駐車プロセス中に、車両を駐車軌跡に沿って操舵して、駐車スペースに入車させる手段とを備えている。
【0024】
本発明による方法の1つの有利な形態は、運転者支援装置と組み合わせることにより得られ、この運転者支援装置によって、駐車スペースに入車させるための駐車軌跡に沿った車両の誘導駐車、または半自動駐車、或いは全自動駐車が可能になる。
【0025】
本発明の1つの特に有利な改良形態は、コンピュータ用媒体に保存されるコンピュータプログラム製品に関するものであり、このコンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読プログラム手段を備え、前記コンピュータ可読プログラム手段は、コンピュータプログラム製品が、関連保存手段を有するマイクロプロセッサ、またはコンピュータで実行されると、マイクロプロセッサまたはコンピュータに指示して、上に説明した本発明による方法を実行させる。
【0026】
図は、本発明の例示的な実施形態を示し、以下これに基いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の駐車プロセスの模式図である。
【図2】第2の駐車プロセスの模式図である。
【図3】側方物体が、測定物体から平行に変位している状態における第3の駐車プロセスの模式図である。
【図4】一方の側方物体または両方の側方物体に方向ずれがある状態における第4の駐車プロセスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明による方法の第1の例示的な実施形態について、図1を参照しながら説明する。図1は、駐車軌跡01に対する本発明による補正の様子を、従って、車両02を直角駐車操作時の駐車スペース03において、車両02の後部バンパーに設置した別の側方超音波センサ群に基づいて、横方向に位置決めする際の補正の様子を示している。
【0029】
測定誤差が、駐車プロセス開始前の最初の駐車スペース測定中に生じることに起因して、駐車スペース03に右側で隣接する物体07、この場合は別の駐車車両07が、車両07の実際の位置ではなく、間違った位置08に位置しているシステム図になっている。駐車プロセス開始前の駐車スペース03の測定から把握され、かつシステム図に対応する間違った駐車スペース形状に基づいて、かつ駐車スペース03に対する車両位置に基づいて、駐車軌跡04が最初に算出される。この場合、車両02は、駐車軌跡04に沿って操舵されて駐車スペース03に入車すると、所望通りに中心に位置するということがなくなり、測定誤差に起因して、駐車スペース03の中心からずれてしまう。
【0030】
この状態を補正するために、車両02の左側及び右側の物体09,07からの側方距離06を、図1に示すように、駐車スペース03に入車している間に検出し、前記側方距離06を、最初に検出された形状、及び現在の車両位置に基づいて予測される距離と比較する。
【0031】
ずれを検出し、駐車軌跡01をそれに応じて補正して、測定誤差に基づいて得られ、かつ駐車プロセス開始前の間違ったシステム図を表わす駐車軌跡04ではなく、実際の状況に適合させた駐車軌跡05を、この時点で設定し、かつ車両02をこの時点で、駐車軌跡05に沿って移動させて、駐車スペース03の最終目標位置に入車させる。
【0032】
別の構成として、側方距離06を、駐車プロセス中に、ブラインドスポットをモニタリングするために設置されるレーダセンサ群を利用して検出することができる。これにより、追加コストが、特定のセンサ群に関連して、または特定のセンサシステムに関連して発生することはない。
【0033】
本発明による方法の第2の例示的な実施形態を、図2を参照しながら説明する。図2は、駐車軌跡11に対する本発明による補正の様子を、従って直角ではない駐車操作が行なわれる場合の駐車スペース13における車両12の目標方位を、車両12の後部バンパーに設置した別の側方超音波センサ群に基づいて補正する様子を示している。
【0034】
この場合、駐車軌跡14も、駐車スペースの測定に基づいて、駐車プロセス開始前に最初に算出され、前記駐車軌跡14によって、直角ではない駐車操作により、駐車スペース13の測定が不十分となるため、満足できない駐車結果となってしまう。
【0035】
矢印Fで模式的に示す道路に対して直交していない駐車スペース13における車両12の目標方位を把握するのは難しいが、その理由は、通例、例えば駐車スペースに側方で隣接する物体17,19の影になるため、駐車スペースの形状を把握することにより、十分な情報を得ることができないからである。従来目標方位は、通常、車両12が駐車スペース13を通り過ぎるときに、車両12が道路Fとなす角度として定義されている。
【0036】
このような理由により、本発明によれば、車両12の左側及び右側の物体19,17の形状を、駐車スペース13に入車する前に検出する。この形状に基づいて、駐車スペース13が、最初の定義からずれた向き、または形状を有することを検出することができる場合、駐車軌跡11をそれに応じて補正して、最初の駐車軌跡14ではなく、実際の状況に適合させた駐車軌跡15をこの時点で設定し、車両12を、前記駐車軌跡15に沿って移動させて、駐車スペース13における車両の最終目標位置に入車させる。
【0037】
駐車スペース13の向きを検出する1つの可能な方法として、この場合、2つの側方物体17,19の形状を、直線として表現することができる。
【0038】
両方の直線がほぼ平行に延在している場合、これらの2つの直線の平均値を、駐車スペース13の向きとして用いる。
【0039】
両方の直線が十分平行に延在しておらず、かつ最初の目標方位と同じ方位を有していない場合、最初の目標方位との差異が最も小さい直線を、駐車スペース13の向きとして用いる。
【0040】
両方の直線が十分平行に延在している訳ではなく、かつ最初の目標方位とは異なる方位に向いている場合、両方の直線の平均値を、駐車スペース13の向きとして用いることができ、また最初の目標方位を、そのまま保持することができる。
【0041】
この第2の例示的な実施形態の大きな利点は、車道に対して、または道路Fに対して、ほぼ直交している駐車スペース13にだけでなく、斜め駐車スペースと呼ばれる駐車スペースにも、駐車させることができることである。
【0042】
本発明による方法の例示的な実施形態では、駐車軌跡の補正を、リバーシングカメラにより検出される駐車スペースマークに基づいて行うことができる。
【0043】
駐車スペースマークは、リバーシングカメラにより検出することができ、かつ適切な画像処理を利用して検出することができる。このような状況で、駐車スペースマークの位置及び向きが把握される。
【0044】
この駐車スペースマークは、普通、駐車プロセス開始前に、カメラ画像のエッジ領域に位置するので、把握は、駐車プロセス中にのみ適切に行なわれるようになり、かつ少なくとも把握の精度が、駐車スペースマークが画像の中心の方向に駐車プロセス中に移動する場合に向上する。これは特に、逆光状態及び/又は低コントラスト状態に当てはまる。
【0045】
駐車スペースマークではなく、縁石の形状を把握する構成を想到することもできる。
【0046】
本発明による方法の第3の例示的な実施形態について、図3を参照しながら説明する。この図は、駐車軌跡21に対する本発明による補正の様子を、従って、車両29bの実際の位置が測定位置(車両29a)から平行移動してずれている駐車状態において、車両22を運転して駐車スペース23に入車させるために補正する様子を示している。車両22の後部バンパーの側方に取り付けた超音波センサ群の距離データを分析した結果、測定値に基づいて最初に把握される駐車軌跡21をこの場合は、新規の駐車軌跡24の方向(破線で示す)に、車両29bの実際の位置からの側方距離値を考慮に入れて算出し直すことができ、前記側方距離値は駐車プロセス中に測定されている。
【0047】
本発明による方法の第4の例示的な実施形態では、車両39b(または、車両37b)に関して最初に測定した直線に、実際の車両39a(または、車両37a)の直線に対して方向ずれがある場合に、駐車軌跡31の目標角度が、どのようにして新規の駐車軌跡34(破線で示す)に対して、駐車車両33の後部バンパーの側方超音波センサ群の距離値を使用して補正されるかについての説明を、図4に基づいて行なう。
【0048】
要約すると、本発明では、駐車スペースの形状を、適切なセンサシステムを利用して、駐車プロセス中に把握し、かつ駐車プロセス開始前に把握した形状と比較することができる。これらの2つの形状が互いに異なる場合、生じているずれを見積もる。これにより、駐車軌跡を、現在のセンサデータに基づいて、駐車プロセス中に補正することができる。
【0049】
この差が小さく、かつ例えばシステムの調整バラツキに起因する場合、最初の形状をそのまま保持する。
【0050】
駐車プロセス中に把握される形状が、最初の形状とは大きく異なり、かつこの差が、駐車結果に関わってくる場合、駐車軌跡を、現時点で把握している形状に基づいて定義し直すか、または補正する。
【0051】
本発明を利用して、駐車プロセス中に最初に把握され、かつ高い精度で把握される情報は、使用可能な形式に変換することができるので、駐車結果を、特に困難な状況において向上させることができ、従って最終的に、駐車システムの使い勝手及び顧客満足度を高めることができる。
【0052】
本明細書における適切なセンサシステムとは、車両に既に設置されている超音波センサ群以外には、既存のカメラ、例えばリバーシングカメラ、またはレーダセンサ、例えばブラインドスポットをモニタリングするセンサシステムである。特に、駐車スペースの形状を駐車プロセス中に把握し直すために設けられるセンサシステムを、例えば更に別の側方超音波センサ群を車両の後部領域に設置する構成を想到することもできる。
【0053】
上に詳述した測定の他に、運転者に、駐車スペースにおける目標駐車位置及び/又は目標方位の検証及び確認または補正を、例えば駐車状態をディスプレイに表示することにより行なわせる構成を想到することができる。これは、例えばシステムにより把握される目標駐車位置を、例えばリバーシングカメラの画像に重ね合わせることにより行なうことができる。
【符号の説明】
【0054】
01,04,05,11,14,15,21,24,31,34駐車軌跡
02,12,22,29a,29b,37a,37b,39a,39b車両
03,13,23駐車スペース

06側方距離
07,17側方物体、別の駐車車両
08間違った位置
09,19側方物体
33駐車車両
F道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車スペース(03,13)に駐車するときに車両(02,12)の運転者を支援する方法であって、
−利用可能な駐車スペース(03,13)が測定され、
−駐車軌跡(04,14)が、前記駐車スペース(03,13)の測定から探知された駐車スペースの形状に基づいて、かつ前記駐車スペース(03,13)に対する車両位置に基づいて算出され
−駐車プロセスが続いて実行され、駐車プロセス中に、前記車両が、駐車軌跡(01,11)に沿って操舵されて前記駐車スペース(03,13)に入車され、
前記駐車スペースの形状は、駐車プロセス中に探知され続け、駐車プロセス開始前に探知された前記駐車スペースの形状と比較され、2つの前記駐車スペースの形状が互いに異なる場合、生じている偏差が評価され、必要であれば、前記駐車軌跡(01,11;05,15)が補正され、および/または算出し直されることを特徴とする方法。
【請求項2】
駐車プロセス前に探知された前記駐車スペースの形状と、駐車プロセス中に探知された前記駐車スペースの形状との差が小さい場合、最初の前記駐車軌跡(04,14)がそのまま保持され、駐車プロセス中に探知された前記駐車スペースの形状が、最初に探知された前記駐車スペースの形状とは大きく異なり、かつこの差が、駐車結果に関わってくる場合、前記駐車軌跡(05,15)を、駐車プロセス中に現時点で探知された前記駐車スペースの形状に基づいて定義し直され、および/または補正されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記駐車スペースに隣接する物体(07,09;17,19)からの距離が、駐車プロセス中にモニタリングされることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
駐車プロセス前に探知された前記駐車スペースの形状と、駐車プロセス中に探知された前記駐車スペースの形状との比較は、前記駐車スペース(03)に入車している間に、前記駐車スペース(03)に隣接する物体(09,07)からの前記車両(02)の左側及び右側までの側方距離(06)を検出することにより、そして前記側方距離(06)を、最初に検出された前記駐車スペースの形状、及び現時点の車両位置に基づいて予測された距離と比較することにより行なわれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
駐車プロセス前に探知された前記駐車スペースの形状と、駐車プロセス中に探知された前記駐車スペースの形状との比較は、前記駐車スペース(13)に入車している間に、前記駐車スペース(13)に隣接する前記車両(12)の左側及び右側の物体(19,17)の形状を検出することにより行なわれ、前記形状に基づいて、前記駐車スペース(13)が、駐車プロセス前に探知された前記駐車スペースの形状とは異なる向きを有していることを検出することができる場合に、前記駐車軌跡(11,15)がそれに応じて補正されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記駐車スペース(13)の向きを検出するために、2つの前記側方物体(17,19)の形状が、それぞれ直線として表現されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
両方の直線がほぼ平行に延在する場合、2つの前記直線の平均値が、前記駐車スペース(13)の向きとして用いられることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
両方の直線が、十分に平行に延在していないが、当初の目標の向きと同じ向きを有する場合、当初の目標の向きとの差異が最も小さい直線が、前記駐車スペース(13)の向きとして用いられることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
測定された前記直線の形状が、実際の直線から逸脱している場合、側方距離データが使用され、前記駐車軌跡(21,24;31,34)が駐車プロセス中に補正されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記直線が平行に変位している場合、前記駐車軌跡(21,24)が、対応する平行変位により補正されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記直線に方向オフセットがある場合、前記駐車軌跡(31,34)の目標角度が補正されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
両方の直線が、十分に平行に延在せず、かつ当初の目標の向きとは異なって向いている場合、2つの前記直線の平均値が、前記駐車スペース(13)の向きとして用いられることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
両方の直線が、十分に平行に延在せず、かつ当初の目標の向きとは異なって向いている場合、当初の目標の向きが維持されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
駐車プロセス中に駐車スペースの形状を探知するために、車両(02,12)の運転者を駐車プロセス中の状況以外の状況において支援するための測定装置が設けられていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
駐車プロセス中に駐車スペースの形状を探知するために、車両(02,12)の運転者を駐車プロセス中に支援するための測定装置が設けられていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記測定装置は、超音波センサを備えていることを特徴とする、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記測定装置は、カメラを備えることを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記測定装置はレーダセンサを備えていることを特徴とする、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
駐車スペースの形状を、駐車プロセス前、および/または駐車プロセス中に探知するために、駐車スペースマークが検出され、前記駐車スペースマークの位置及び向きが求められることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
駐車スペースの形状を、駐車プロセス前、および/または駐車プロセス中に探知するために、縁石の形状が、検出され、および/または求められることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記駐車スペース(03,13)における目標駐車位置及び/又は目標駐車方位を運転者が検証し、そして確認するか、または補正することを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法を実行するための運転者支援装置であって、
−駐車スペース(03,13)を、駐車プロセス前及び駐車プロセス中に測定する手段と、
−前記手段に接続され、かつ駐車軌跡(01,11;04,14;05,15)を、駐車プロセス前及び駐車プロセス中の前記駐車スペース(03,13)の測定から探知される前記駐車スペースの形状に基づいて、かつ前記駐車スペース(03,13)に対する車両位置に基づいて算出し、および/または補正する関連保存手段を有するマイクロプロセッサであって、前記関連保存手段を有する前記マイクロプロセッサが、駐車プロセス中に探知された前記駐車スペースの形状を駐車プロセス開始前に探知された前記駐車スペースの形状と比較し、そしてこれらの2つの前記駐車スペースの形状が互いに異なる場合に、生じている差を評価し、前記駐車軌跡(01,11;05,15)を、必要であれば、補正し、および/または算出し直す、前記マイクロプロセッサと、
−駐車プロセスを実行する手段であって、駐車プロセス中に、前記車両を前記駐車軌跡(01,11;05,15)に沿って操舵して、前記駐車スペース(03,13)に入車させる前記手段と、
を備えることを特徴とする運転者支援装置。
【請求項23】
前記運転者支援装置によって、前記駐車スペース(03,13)に入車させるための前記駐車軌跡(01,11;04,14;05,15)に沿った車両(02,12)の誘導駐車、または半自動駐車、或いは全自動駐車が可能になることを特徴とする、請求項22に記載の運転者支援装置。
【請求項24】
コンピュータ適合媒体に保存されるコンピュータプログラム製品であって、コンピュータ可読プログラム手段を備え、前記コンピュータ可読プログラム手段は、前記コンピュータプログラム製品が、関連保存手段を有するマイクロプロセッサまたはコンピュータで実行されると、前記マイクロプロセッサまたはコンピュータに、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−522737(P2011−522737A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512866(P2011−512866)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003943
【国際公開番号】WO2009/149847
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(508108903)ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー (22)