説明

駐車支援装置

【課題】自車両の進行方向に並んだ駐車車両の駐車形態に応じた適切な駐車スペースを早期に特定することで、駐車開始位置といった段階から有益な駐車支援を行う。
【解決手段】また、空間寸法算出部14は、並列する三台の駐車車両の間の車間距離のそれぞれを合算した車間合計値を算出する。駐車形態判断部18は、車間合計値と、駐車車両の駐車形態を判断するために設定された判定値とを比較することにより、駐車車両の駐車形態が縦列駐車であるのか、それとも並列駐車であるのかを判断する。そして、駐車支援部19は、駐車形態判断部18により判断された駐車形態に応じて、自車両Caが駐車可能な駐車スペースEを特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の駐車スペースへの車両の駐車を支援する駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動制御などを用いて車両を目標位置へと誘導するといった走行支援装置が知られている。例えば特許文献1には、縦列駐車および並列駐車のうちいずれかに応じた駐車支援動作を適切に選択し、駐車形態に応じた駐車支援動作を行う駐車支援装置が開示されている。この駐車支援装置は、車両側方撮影カメラにより取得された車両側方画像を画像解析して自車両の駐車車両に対する偏向角度を検出し、その検出した自車両の駐車車両に対する偏向角度に基づいて駐車シーンが縦列駐車であるか並列駐車であるかを検出する。そして、駐車支援装置は、その検出結果に基づいて縦列駐車時の駐車支援画面および並列駐車時の駐車支援画面のうちいずれかを選択して表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−290433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された手法によれば、駐車車両が縦列駐車であるのか、それとも並列駐車であるのかを判別した後は、ドライバーが駐車スペースを判断して当該駐車スペースに向けて自車両を後退操作させる行為をトリガーとして、当該駐車形態に応じた支援動作を行うのみである。したがって、駐車スペースに対して後退を開始するための目標後退位置、さらには、当該目標後退位置へと導くための経路の起点となる駐車開始位置といった情報を提供することができず、ドライバーにとって有益な駐車支援が行われているとは言い難かった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、自車両の進行方向に並んだ駐車車両の駐車形態に応じた適切な駐車スペースを早期に特定することで、駐車開始位置といった段階から有益な駐車支援を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明は、空間寸法算出手段が、自車両の進行方向に並んだ三台の駐車車両に関する車間距離のそれぞれを合算した車間合計値を算出し、駐車形態判断手段が、車間合計値と、所定の判定値とを比較することにより、駐車車両の駐車形態が縦列駐車であるのか、それとも並列駐車であるのかを判断する。そして、駐車支援手段は、判断された駐車形態に応じて、自車両が駐車可能な駐車スペースを特定する。また、駐車支援手段は、この駐車スペースに対して車両の後退を開始するための目標後退位置へと車両を導く経路の起点となる駐車開始位置を表示装置に表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、三台の駐車車両同士の間隔の合計である車間合計値に応じて、駐車形態が縦列駐車か、それとも並列駐車かを判断することができる。また、この駐車形態の判断は、駐車車両が自車両の進行方向に沿って並んだ状態、すなわち、自車両が駐車車両の側方を通過するに際して行うことができるので、駐車車両の駐車形態に応じた適切な駐車スペースを早期に特定することを可能としている。これにより、後退操作を行うよりも前の段階である駐車開始位置といった段階から有益な駐車支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】駐車支援装置の構成を模式的に示すブロック図
【図2】駐車支援動作の概念を示す説明図
【図3】コントローラの構成を機能的に示すブロック図
【図4】駐車スペースの特定手順を示すフローチャート
【図5】縦列駐車の駐車車両を模式的に示す説明図
【図6】並列駐車の駐車車両を模式的に示す説明図
【図7】縦列駐車の駐車車両の傾きを示す説明図
【図8】並列駐車の駐車車両の傾きを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態にかかる駐車支援装置の構成を模式的に示すブロック図である。この走行支援装置は、自車両の自己位置を逐次推定し、この推定結果を利用して所定の駐車スペースへの車両の駐車を支援する装置である。
【0010】
駐車支援装置は、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース等で構成されたコントローラ10を備えている。コントローラ10は、システム全体を統合的に制御する機能を担っており、ROMに記憶された制御プログラムに従い、駐車支援に必要な各種の演算を行う。このコントローラ10には、カメラ1、測距センサ2、車輪速センサ3、操舵角センサ4からの情報が入力される。
【0011】
カメラ(撮像手段)1は、車両の周囲に複数箇所、例えば、前後左右の4箇所に設置されている。個々のカメラ1は、自車両の周囲、例えば、自車両から5m程度の範囲の路面を撮像して、撮像画像をコントローラ10へ出力する。測距センサ2は、車両の左右前端部に設けられており、自車両周辺に存在する対象物の位置を検出するセンサである。測距センサ2としては、例えば、レーザレーダ、ミリ波レーダといった電磁波または音波を放射して対象物の位置を検出するアクティブセンサを利用することができる。車輪速センサ3は、例えば、前後左右の車輪にそれぞれ設けられており、車輪の回転速度を検出する。この車輪速センサ3は、各車輪の回転速度を通じて、車速を等価的に検出することができる。操舵角センサ4は、ステアリングコラムもしくはステアリングホイール付近に取り付けられた角度センサ等であり、ステアリングシャフトの回転角を操舵角として検出する。
【0012】
ディスプレイ5は、車室内のインストルメントパネルに設置されており、コントローラ10からの出力に応じて、駐車支援に必要な種々の情報を表示する。ディスプレイ5としては、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの周知の表示装置を利用することができる。また、ディスプレイ5は、表示画面上にタッチパネルを備えることで、表示情報に従い入力操作を行うことが可能な入力部としての機能を備えることもできる。スピーカ6は、コントローラ10からの出力に応じて、駐車支援に必要な種々の音声メッセージや警報音を出力する。
【0013】
図2は、駐車支援動作の概念を示す説明図である。まず、本実施形態にかかる車両走行支援装置の具体的なシステム構成および動作の説明に先立ち、駐車支援の基本的な動作について簡略的に説明する。
【0014】
コントローラ10は、自車両を駐車可能な所定の駐車スペースを特定すると、俯瞰画像をディスプレイ5に表示する。俯瞰画像は、車両の直上を仮想視点として車両の全周囲を見下ろした画像であり、各カメラ1から出力される撮像画像を視点変換し、視点変換された各撮像画像を繋ぎ合わせることにより、コントローラ10が作成する。
【0015】
コントローラ10は、後述するような手法を通じて駐車スペースを特定すると、この駐車スペースに対応する目標駐車位置Pを設定する。そして、コントローラ10は、車両の位置と、駐車スペースに応じた目標駐車位置Pとの位置関係を演算し、駐車スペース(具体的には目標駐車位置P)に駐車するための目標駐車経路を演算し、これを俯瞰画像に重畳的に表示することにより、駐車支援を行う。この場合、コントローラ10は、車両の位置と、目標駐車位置Pとに基づいて、目標駐車位置Pに対して車両を後進駐車するために目標駐車位置Pに対して車両の後退を開始するための目標後退位置R、及び、この目標後退位置Rへと車両を導く経路の起点となる駐車開始位置(車両の初期位置)Oを決定する。そして、コントローラ10は、各位置O,R,Pに基づいて目標駐車経路を演算する。
【0016】
具体的には、コントローラ10は、駐車開始位置Oから目標後退位置Rに至るまで経路(目標駐車経路)を算出し、この目標駐車経路に沿って車両を誘導する。また、コントローラ10は、目標後退位置Rに車両が到達したと判断した場合、目標後退位置Rから目標駐車位置Pへと至る経路(目標誘導経路)に算出し、この目標誘導経路に沿って車両を誘導する。そして、コントローラ10は、目標駐車位置Pに到達したと判断されるまで、上述した一連の動作を繰り返す。
【0017】
コントローラ10は、車輪速センサ3および操舵角センサ4から得られるセンサ情報を用いて自己位置を逐次推定する。そして、コントローラ10は、目標駐車経路と推定した自己位置との差に基づいてフィードバック制御を行うことにより、目標駐車経路に対する誘導を行う。なお、本明細書において、駐車開始位置O、目標駐車位置Pおよび目標後退位置Rに関する「位置」という用語は、車両の位置とともの車両の姿勢(向き)も含むこととする。
【0018】
このような駐車支援を行う駐車支援装置において、本実施形態の特徴の一つは、コントローラ10が、駐車している他車両(以下「駐車車両」という)の駐車形態、すなわち、駐車車両の列が車両縦方向に沿って並ぶ縦列駐車であるのか、それとも駐車車両の列が車両横方向に沿って並ぶ並列駐車であるのかを判断し、この駐車形態に応じて、自車両を駐車可能な駐車スペースを特定することにある。駐車形態の判断および駐車スペースの特定は、自車両の側方に駐車車両を望みながら、自車両の進行方向に沿って並ぶ三台の駐車車両を通過するに際して実行される。以下、駐車形態の判断を含む駐車スペースの特定手法について説明する。
【0019】
図3は、本実施形態にかかるコントローラ10の構成を機能的に示すブロック図である。コントローラ10は、これを機能的に捉えた場合、駐車車両検出部11と、空間寸法算出部14と、駐車形態判断部18と、駐車支援部19とで構成されている。
【0020】
駐車車両検出部11は、測距センサ2からの検出情報(以下「測距情報」という)Drに基づいて、駐車車両の寸法等を検出する。この駐車車両検出部11は、車両・寸法検出部12と、車間距離検出部13とを有する。
【0021】
車両・寸法検出部12は、測距情報Drを参照し、自車両の進行方向に沿って並ぶ三台の駐車車両を検出する(車両検出手段)。測距情報Drの基礎となる測距センサ2は、駐車車両における前後左右の4つの頂点(端部)のうち、自車両側に存在する2つの頂点(以下「基準頂点」という)の位置を検出する。具体的には、車両・寸法検出部12は、測距情報Drに基づく駐車車両の検出を通じて、個々の駐車車両毎に、駐車車両の寸法や、所定の駐車姿勢に対する駐車車両の傾きを検出することができる。駐車車両の駐車形態が縦列駐車である場合、駐車車両の寸法は、駐車車両の全長(車両前後方向の長さ)に相当し、駐車車両の駐車形態が並列駐車の場合、駐車車両の寸法は、駐車車両の全幅(車両左右方向の長さ)に相当する。
【0022】
車間距離検出部13は、三台の駐車車両を対象として、互いに隣接する一対の駐車車両の間の距離(以下「車間距離」という)をそれぞれ検出する。
【0023】
空間寸法算出部14は、三台の駐車車両に関する車間距離の合計値を算出する。この空間寸法算出部14は、寸法補正部15と、車間距離記憶部16と、合計算出部17とを有する。
【0024】
寸法補正部15は、所定の駐車姿勢に対して駐車車両が傾いて駐車されている場合、当該所定の駐車姿勢、すなわち、駐車車両に傾きがない状態と比較して突出する寸法を考慮して、駐車車両の寸法を補正する。そして、寸法補正部15は、補正した駐車車両の寸法に基づいて、車間距離を補正する。なお、寸法補正部15は、駐車車両に傾きがない場合には、車間距離検出部13により検出された車間距離をそのまま出力する。
【0025】
車間距離記憶部16は、寸法補正部15から出力される車間距離を記憶する。車間距離記憶部16が記憶する車間距離は、車間距離検出部13または寸法補正部15により新たに車間距離が演算され、かつ、後述する合計算出部22により、記憶されている値が読み出されたことを条件に、新たに演算された車間距離によって更新される。
【0026】
合計算出部17は、寸法補正部15から車両寸法が出力されると、車間距離記憶部16に記憶される車間距離を読み出す。そして、合計算出部17は、両者の値を合算することにより、隣接する三台の駐車車両の車間距離の合計値(以下「車間合計値」という)を算出する。
【0027】
駐車形態判断部18は、空間寸法算出部14により算出された車間合計値が、駐車車両の駐車形態を判別するために設定された判定値以上であるか否かを判断することにより、駐車車両の駐車形態、すなわち、縦列駐車であるのか、それとも並列駐車であるのかを判断する。
【0028】
駐車支援部19は、駐車形態判断部18により判断された駐車形態に応じて、自車両を駐車可能な駐車スペースを特定する。具体的には、駐車支援部19は、駐車形態に基づいて、三台目の駐車車両について自車両Caの進行方向側に広がるスペースが、自車両を駐車可能な駐車スペースであるか否かを判断する。これにより、自車両を駐車可能な駐車スペースが特定されると、駐車支援部19は、俯瞰画像とともに、駐車開始位置O、目標駐車位置Pおよび目標後退位置Rに応じた目標駐車経路をディスプレイ5に表示し、これにより、駐車操作を支援する。
【0029】
図4は、駐車スペースの特定手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、所定の実行条件を具備することにより、コントローラ10によって実行される。実行条件は、自車両が駐車スペースを探していると判断できる状況を指すが、例えば、自車両が駐車場内を走行していることであったり、車速が所定範囲(10〜30km/h)となっている時間が所定時間以上継続していることであったりする。
【0030】
まず、ステップ1(S1)において、測距センサ2による測距が開始される。このステップ1により測距が開始されると、測距情報Drが駐車車両検出部11に出力される。ドライバーが駐車スペースを探しながら運転を行うことで、図5,6に示すように、自車両Caが、自車両Caの側方に駐車車両を望みながら、三台の駐車車両Cb1〜Cb3を通過することとなる。
【0031】
ステップ2(S2)において、車両・寸法検出部12は、測距情報Drに基づいて、駐
車車両の寸法(自車両Caの走行方向FDと対応する駐車車両の寸法)L1〜L3を検出する。図5に示すように、駐車車両Cb1〜Cb3の駐車形態が縦列駐車の場合、各駐車車両の寸法L1〜L3は駐車車両Cb1〜Cb3の全長に相当し、図6に示すように、駐車車両Cb1〜Cb3の駐車形態が並列駐車の場合、各駐車車両の寸法L1〜L3は駐車車両Cb1〜Cb3の全幅に相当する。また、車間距離検出部13は、測距情報Drに基づいて、車間距離B1,B2を検出する。
【0032】
ステップ3(S3)において、車両・寸法検出部12は、測距情報Drに基づいて、自車両Caを基準とする車両左右方向における自車両Caと駐車車両Cb1〜Cb3との間の距離に相当する側方方向寸法Dを検出する。
【0033】
図7,8は、駐車車両Cb1〜Cb3の傾きを示す説明図であり、駐車車両Cb1を例示している。ステップ4(S4)において、車両・寸法検出部12は、側方方向寸法Dと、駐車車両の寸法L1〜L3に相当する区間における自車両Caの移動距離Lとに基づいて、所定の駐車姿勢に対する駐車車両Cb1〜Cb3の傾き(以下「車両傾き」という)φを算出する。所定の駐車姿勢は、駐車車両Cb1〜Cb3の駐車形態が縦列駐車である場合には、自車両Caの全長方向に対して駐車車両Cb1〜Cb3の全長方向が平行となる関係をいい、駐車車両Cb1〜Cb3の駐車形態が並列駐車である場合には、自車両Caの全長方向に対して駐車車両の全長方向が直行となる関係をいう。車両・寸法検出部12は、駐車車両Cb1〜Cb3の2つの基準頂点に対応する各側方方向寸法Dの差D’を算出する。そして、車両・寸法検出部12は、各側方方向寸法Dの差D’と、移動距離Lとに基づいて、車両傾きφを算出する。
【0034】
ステップ5(S5)において、寸法補正部15は、車間距離を補正する。具体的には、寸法補正部15は、図7に示すように、駐車車両Cb1〜Cb3の駐車形態が縦列駐車で、かつ、車両傾きφが所定値以上の場合、駐車車両Cb1〜Cb3の全長Laと、この全長Laに準じた所定の全幅La’とに基づいて、下式により、補正した駐車車両の寸法L’を演算する。
(数式1)
L’=La×cosφ+La’×sinφ
【0035】
ここで、Laは、測距情報Drより得られる駐車車両の寸法L1〜L3に対応する。また、La’は、全長である寸法L1〜L3に応じて設定される駐車車両Cb1〜Cb3の全幅に相当する値であり、マップや演算式により寸法L1〜L3に応じて一義的に設定される。
【0036】
一方、寸法補正部15は、図8に示すように、駐車車両Cb1〜Cb3の駐車形態が並列駐車で、かつ、車両傾きφが所定値以上の場合、駐車車両Cb1〜Cb3の全幅Lbと、この全幅Lbに準じた所定の全長Lb’とに基づいて、下式により、補正した駐車車両の寸法L’を演算する。
(数式2)
L’=Lb×cosφ+Lb’×sinφ
【0037】
ここで、Lbは、測距情報Drより得られる駐車車両の寸法L1〜L3に対応する。また、Lb’は、全幅である寸法L1〜L3に応じて設定される駐車車両Cb1〜Cb3の全長に相当する値であり、マップや演算式により寸法L1〜L3に応じて一義的に設定される。
【0038】
すなわち、車両傾きφが所定値以上であった場合、寸法補正部15による補正の効果により、駐車車両の寸法は、測距情報Drに応じた2つの基準頂点によって規定される寸法
L1とはならず、車両傾きφをマージンとして含めた寸法が、補正された駐車車両の寸法L’として設定されることとなる。
【0039】
なお、本ステップを実行する前提として、過去の演算処理において駐車車両Cb1〜Cb3の駐車形態が特定されている場合には、これに応じて、上記の演算式を使い分ければよい。一方、駐車車両の駐車形態が未だに特定されていない場合には、駐車車両の寸法L1〜L3を所定の判定値と比較することで、縦列駐車であるのか、それとも並列駐車であるのかを暫定的に判定してもよい。
【0040】
補正後の駐車車両の車両寸法L’が演算されると、寸法補正部15は、車間距離を補正する。図7,8(a)に示すように、寸法補正部15は、駐車車両Cb1〜Cb3の2つの基準頂点のうち自車両Caから遠い基準頂点が、自車両Ca側に傾いて駐車している場合、自車両Caに近い方の基準頂点を基準位置Pとする。そして、寸法補正部15は、基準位置Pを起点として、自車両Caの進行方向の前方へと補正後の駐車車両の寸法L’を定義し、これに応じて、測距情報Drに基づく車間距離B1,B2を補正する。一方、図7,8(b)に示すように、寸法補正部15は、駐車車両Cb1〜Cb3の2つの基準頂点のうち自車両Caから近い基準頂点が、自車両Ca側に傾いて駐車している場合、自車両Caから遠い方の基準頂点を基準位置Pとする。そして、寸法補正部15は、基準位置Pを起点として、自車両Caの進行方向の後方へと補正後の駐車車両の寸法L’を定義し、これに応じて、測距情報Drに応じた車間距離B1,B2を補正する。
【0041】
寸法補正部15は、車両傾きφが所定値以上であった場合には、補正後の車間距離B1,B2を出力し、車両傾きφが所定値よりも小さい場合には、測距情報Drに応じた車両間隔B1,B2を出力とする。
【0042】
ステップ6(S6)において、合計算出部17は、車間距離記憶部16に記憶される車間距離B1を読み出し、この車間距離B1と、現在検出された車間距離B2とを加算し、車間合計値を算出する。なお、寸法補正部15により車間距離の補正が行われた場合には、補正後の車間距離B1,B2により、車間合計値の算出が行われる。
【0043】
ステップ7(S7)において、駐車形態判断部18は、車間合計値が、駐車形態を判断するために設定された判定値以上であるか否かを判断する。縦列駐車の場合、道路脇の駐車位置から走行車線に復帰するためのスペースが必要となるため、前後に隣り合う一対の駐車車両Cb1〜Cb3の間には、約1.5mのスペースが存在することが予想される。また、並列駐車の場合、駐車場の幅が約2.5mに設定されることが多いため、駐車車両Cb1〜Cb3の全幅を考慮すると、左右に隣り合う一対の駐車車両Cb1〜Cb3の間には、最大で約1mのスペースが存在する。このような知得に基づき、縦列駐車であるか、それとも並列駐車であるかの判断は、前述の判定値を1.5mに設定することで可能となる。
【0044】
このステップ7で肯定判定された場合、すなわち、車間合計値が判定値以上である場合には、ステップ8(S8)に進む。そして、ステップ8において、駐車形態判断部18は、駐車形態を縦列駐車と判断する。一方、ステップ7で否定判定された場合、すなわち、車間合計値が判定値よりも小さい場合には、ステップ9(S9)に進む。そして、ステップ9において、駐車形態判断部18は、駐車形態を並列駐車と判断する。
【0045】
ステップ10(S10)において、駐車支援部19は、図5,6(c)に示すように、自車両Caが駐車可能な駐車スペースEを発見したか否かを判断する。駐車形態が縦列駐車である場合、三台目の駐車車両Cb3の前方に存在するスペースEが、自車両Caの全長に所定値(1.5m)を加算した値以上であり、かつ、ひとつ前の車間距離b2と、自車両Caが駐車した場合に作る車間距離との合計が、前述の判定値以上であれば、自車両C
aが駐車可能となる。一方、駐車形態が並列駐車である場合、三台目の駐車車両Cb3の前方に存在するスペースEが自車両Caの全幅に所定値(例えば0.5m)を加算した値以上であれば、自車両Caが駐車可能となる。
【0046】
ステップ10において肯定判定された場合、すなわち、有効な駐車スペースEを発見した場合には、ステップ11(S11)に進む。一方、ステップ10において否定判定された場合、すなわち、有効な駐車スペースEを発見できない場合には、ステップ2の処理に戻り、前述の処理を繰り返す。すなわち、空間寸法算出部14は、新たに検出された駐車車両と、この駐車車両に対して順を追って並んだ、従前に検出された二台の駐車車両Cb2,Cb3とを対象として、車間合計値を新たに算出する。
【0047】
ステップ11(S11)において、駐車支援部19は、特定した駐車スペースに基づいて、ディスプレイ5に俯瞰画像を表示するとともに、駐車開始位置O、目標駐車位置Pおよび目標後退位置Rと、さらには目標駐車経路を表示する。
【0048】
ステップ12(S12)において、駐車支援部19は、ドライバーが駐車を開始したか否かを判断する。この判断は、自車両Caの走行軌跡と、目標駐車経路との乖離度合いを通じて判断することができる。このステップ12において肯定判定された場合、すなわち、駐車を開始した場合には、本ルーチンを終了する。一方、ステップ12において否定判定された場合、すなわち、駐車を開始していない場合には、ステップ2の処理に戻り、前述の処理を繰り返す。すなわち、空間寸法算出部14は、新たに検出された駐車車両と、この駐車車両から順を追って並んだ、従前に検出された二台の駐車車両Cb2,Cb3とを対象として、車間合計値を新たに算出する。
【0049】
このように本実施形態にかかる駐車支援装置において、車両・寸法検出部12は、自車両Caの進行方向に沿って並ぶ三台の駐車車両Cb1〜Cb3を検出する(車両検出手段)。また、車間距離検出部13は、検出された三台の駐車車両を対象として、互いに隣り合う一対の駐車車両の間の距離を車間距離としてそれぞれ検出する(車間距離検出手段)。また、空間寸法算出部14は、車間距離検出部13によって検出された車間距離のそれぞれを合算した車間合計値を算出する(空間寸法算出手段)。駐車形態判断部18は、車間合計値と、駐車車両の駐車形態を判断するために設定された判定値とを比較することにより、駐車車両の駐車形態が縦列駐車であるのか、それとも並列駐車であるのかを判断する(駐車形態判断手段)。そして、駐車支援部19は、駐車形態判断部18により判断された駐車形態に応じて、自車両Caが駐車可能な駐車スペースEを特定し、駐車開始位置Oをディスプレイ5に表示する(支援手段)。
【0050】
かかる構成によれば、三台の駐車車両同士の間隔を検出し、その間隔の合計である車間合計値に応じて、駐車形態が縦列駐車か、それとも並列駐車かを判断することができる。そして、この駐車形態に応じて、自車両Caが駐車可能な駐車スペースを特定することができる。この駐車形態の判断は、駐車車両が自車両Caの進行方向に沿って並んだ状態、すなわち、自車両Caが駐車車両の側方を通過するに際して行うことができるので、駐車車両の駐車形態に応じた適切な駐車スペースを早期に特定することを可能としている。これにより、後退操作を行うよりも前の段階である駐車開始位置といった段階から有益な駐車支援を行うことができる。
【0051】
なお、本実施形態によれば、三台の駐車車両に着目しているが、車間距離に応じて駐車形態を判断するのであれば、自車両の進行方向に沿って並ぶ二台の駐車車両に着目するのみでも実現可能とも考えられる。しかしながら、縦列駐車の場合、駐車車両の前方および後方の一方のみに、走行車線への復帰のためのスペースを確保することが通常であるため、二台の駐車車両に着目するのみでは、並列駐車と縦列駐車とを適切に切り分けることが
できないという問題がある。その点、本実施形態によれば、三台の駐車車両に着目して処理を行うことで、走行車線への復帰のためのスペースを適切に車間合計値に含むことができ、駐車形態を適切に判断することができる。
【0052】
また、本実施形態は、測距センサ2として、電磁波または音波を放射して対象物を検出するアクティブセンサを利用している。これにより、車両・寸法検出部12および車間距離検出部13は、当該アクティブセンサの検出結果に基づいて検出を行っている。
【0053】
画像処理により駐車形態を判断する手法では、夜間や立体駐車場などの暗い環境において、画像処理が困難となり、駐車形態を判断することができない状況が発生し得る。この点、本実施形態によれば、測距センサ2を利用することにより、環境に左右されず、駐車形態を適切に判断することができる。
【0054】
また、本実施形態において、空間寸法算出部14は、所定の駐車姿勢に対して駐車車両が傾いて駐車されている場合には、この駐車車両の傾きに応じて、車間距離検出手段により検出された車間距離を補正し、この補正した車間距離に応じて車間合計値を算出する。
【0055】
かかる構成によれば、駐車車両の傾きに応じて、車間距離を補正して車間合計値を算出することにより、駐車形態を適切に判断することができる。
【0056】
さらに、本実施形態において、空間寸法算出部14は、駐車支援部19により自車両の駐車開始位置を提示しても、ドライバーが駐車操作を行わない場合には、新たに検出された駐車車両と、この駐車車両から順を追って並んだ、従前に検出された二台の駐車車両とを対象として、車間合計値を新たに算出する。
【0057】
自車両Caが駐車可能な駐車スペースがあるにもかかわらず、ドライバーが駐車操作をすることなく通過した場合、新たに存在する駐車車両に入れ替えて、車間合計値を演算することにより、駐車形態および新たな駐車スペースを判断することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態にかかる駐車支援装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 カメラ
2 測距センサ
3 車輪速センサ
4 操舵角センサ
5 ディスプレイ
6 スピーカ
10 コントローラ
11 駐車車両検出部
12 車両・寸法検出部
13 車間距離検出部
14 空間寸法算出部
15 寸法補正部
16 車間距離記憶部
17 合計算出部
18 駐車形態判断部
19 駐車支援部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の駐車スペースへの車両の駐車を支援する駐車支援装置において、
自車両の進行方向に沿って並ぶ三台の駐車車両を検出する車両検出手段と、
前記検出された三台の駐車車両を対象として、互いに隣り合う一対の駐車車両の間の距離を車間距離としてそれぞれ検出する車間距離検出手段と、
前記車間距離検出手段によって検出された車間距離のそれぞれを合算した車間合計値を算出する空間寸法算出手段と、
前記車間合計値と、駐車車両の駐車形態を判断するために設定された判定値とを比較することにより、駐車車両の駐車形態が縦列駐車であるのか、それとも並列駐車であるのかを判断する駐車形態判断手段と、
前記駐車形態判断手段により判断された駐車形態に応じて、自車両が駐車可能な駐車スペースを特定し、当該駐車スペースに対して車両の後退を開始するための目標後退位置へと車両を導く経路の起点となる駐車開始位置を表示装置に表示する支援手段と
を有することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記車両検出手段および前記車間距離検出手段は、電磁波または音波を放射して対象物を検出するアクティブセンサの検出結果に基づいて検出を行うことを特徴とする請求項1に記載された駐車支援装置。
【請求項3】
前記車両検出手段は、検出された駐車車両毎に、所定の駐車姿勢に対する駐車車両の傾きを検出しており、
前記空間寸法算出手段は、前記所定の駐車姿勢に対して前記駐車車両が傾いて駐車されている場合には、当該駐車車両の傾きに応じて、前記車間距離検出手段により検出された車間距離を補正し、当該補正した車間距離に応じて前記車間合計値を算出することを特徴とする請求項1または2に記載された駐車支援装置。
【請求項4】
前記空間寸法算出手段は、前記支援手段により自車両の駐車開始位置を提示しても、ドライバーが駐車操作を行わない場合には、新たに検出された駐車車両と、当該駐車車両から順を追って並んだ、従前に検出された二台の駐車車両とを対象として、前記車間合計値を新たに算出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された駐車支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−52754(P2013−52754A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192226(P2011−192226)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】