説明

駐輪装置

【課題】駐輪装置の製造を容易とすると共に、施錠動作の精度を向上させること。
【解決手段】
駐輪装置10は、一端に被施錠部24を有する帯状の錠本体と、錠本体の他端が取り付けられると共に、被施錠部24が差し込みおよび引き抜き可能な差込口44cを有し、被施錠部24が差込口44cに差し込まれることで、錠本体との間で駐輪物体を挟み込んだ状態を形成するための筐体と、筐体内に配置され、差込口44cに差し込まれた被施錠部24に係合することで、被施錠部24を施錠する施錠体65と、被施錠部24を施錠体65と係合可能な位置に位置決めする位置決め手段と、施錠体65を被施錠部24に対して係脱可能にかつ被施錠部24の引き抜き方向に対し略直交する平面内を動くように駆動させる駆動部56と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車等の車輌を駐車位置に保持する駐輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二輪車を有料で駐輪させる二輪車用有料駐車装置としての二輪車係留装置が開示されている。この二輪車係留装置は、先端にロック棒が備えられた係留チェーンを車輪内に通し、ロック棒を係留装置の差込口に差し込むと、ロック棒の頭部がプランジャーによって係止されて施錠状態となる。また、ソレノイドを動作させることでプランジャーとロック棒の頭部との係止状態を解き、開錠状態となる。この二輪車係留装置におけるロック棒の係止は、以下のように行われる。すなわち、特許文献1に記載される従来の二輪車係留装置では、ロック棒を差込口に差し込み、ロック棒を押し込んで、当該ロック棒の頭部でプランジャーを押し上げた後、押圧棒を移動させてマイクロスイッチを動作させている。そして、このマイクロスイッチの動作をCPUが認識することで閉錠動作を完了させている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−304479号公報(図1〜図3、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1記載の二輪車係留装置では、差し込まれるロック棒によって動作するマイクロスイッチを採用することで、プランジャーの係止動作の開始時点を決めると共に、CPUに閉錠動作の完了を認識させている。このため、マイクロスイッチの動作点の調節が重要となり、その調節に時間がかかると共にマイクロスイッチを押し込む等、係留動作を行う係留機構に多数の接点が必要とされる。したがって、装置の製造に時間がかかり、係留機構の構造が複雑化すると共に制御精度が低下しがちとなる。
【0005】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、製造が容易で、精度良く施錠動作を行うことが可能な駐輪装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の駐輪装置は、一端に被施錠部を有する帯状の錠本体と、錠本体の他端が取り付けられると共に、被施錠部が差し込みおよび引き抜き可能な差込口を有し、被施錠部が差込口に差し込まれることで、錠本体との間で駐輪物体を挟み込んだ状態を形成するための筐体と、筐体内に配置され、差込口に差し込まれた被施錠部に係合することで、被施錠部を施錠する施錠体と、被施錠部を施錠体と係合可能な位置に位置決めする位置決め手段と、施錠体を被施錠部に対して係脱可能にかつ被施錠部の引き抜き方向に対し略直交する平面内を動くように駆動させる駆動源と、を有するものである。
【0007】
このように構成した場合には、被施錠部を差込口に差し込むと、位置決め手段により、被施錠部が施錠可能な位置に位置決めされ、その状態で施錠体が被施錠部を施錠する。したがって、微妙な調整が少なくなり、製造が容易となると共に精度よく施錠動作を行うことが可能となる。また、利用者は被施錠部を差込口に差し込むという容易な作業により二輪車等の施錠を行うことができる。さらに、施錠体が被施錠部の引き抜き方向に対して略直交する方向に係合するため、施錠強度が向上することとなる。
【0008】
また、他の発明の駐輪装置は、一端に被施錠部を有する帯状の錠本体と、被施錠部が差し込みおよび引き抜き可能な差込口を有する筐体と、筐体内に配置され、差込口に差し込まれた被施錠部に係合することで、被施錠部を施錠する施錠体と、被施錠部を施錠体と係合可能な位置に位置決めする位置決め手段と、施錠体を被施錠部に対して係脱可能に駆動させる駆動源と、を有するものである。
【0009】
このように構成した場合には、被施錠部を差込口に差し込むと、位置決め手段により、被施錠部が施錠可能な位置に位置決めされ、その状態で施錠体が被施錠部を施錠する。したがって、微妙な調整が少なくなり、製造が容易となると共に精度よく施錠動作を行うことが可能となる。
【0010】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、位置決め手段は、被施錠部の外面に形成された係止溝と、この係止溝に嵌まり込む係止軸と、係止軸を被施錠部の差し込み方向に対して略垂直方向に付勢する付勢バネと、を有するものである。
【0011】
このように構成した場合には、付勢バネが常に被施錠部の差込方向に対して略垂直方向に付勢している。したがって、被施錠部を差し込み口に差し込んで行くと、付勢バネの付勢力により係止軸が係止溝に嵌まり込む。このように、被施錠部を差込口に差し込んで行くと自動的に位置決めがなされるので位置決めが容易となる。また、付勢バネが被施錠部の差込方向に対して略垂直方向に付勢しているのでより強い力で位置決めがなされることとなる。
【0012】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、位置決め手段は、円柱状に形成された被施錠部の外面に軸方向と直交するように形成された係止溝と、筐体内に設けられた、対向する2つの面を有するフレームと、フレームに、被施錠部の差し込みおよび引き抜き方向に回動可能に取り付けられた回動板と、フレームの対向する2面に対向するように設けられた2つの長孔に挿通された係止軸と、回動板を被施錠部の引き抜き方向に回動させるように付勢すると共に、係止軸を被施錠部の差し込み方向に対して略垂直方向に付勢する付勢バネと、を有するものである。
【0013】
このように構成した場合には、付勢バネが常に被施錠部の差込方向に対して略垂直方向に付勢している。したがって、被施錠部を差し込み口に差し込んで行くと、被施錠部が回動板と当接し、回動板が回動する。すると、付勢バネの付勢力が増し、係止軸が係止溝に嵌まり込む。そのため、被施錠部の位置決めがより強固に行われる。また、係止軸は長孔の内部を上下方向に移動するのみであるため、所定の位置で精度良く位置決めを行うことが可能となる。
【0014】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、被施錠部を差込口に差し込むと、当該被施錠部が回動板を回動させ、その回動力により、係止軸が付勢される。したがって、回動板の回動力を利用して被施錠部の位置決めがなされる。
【0015】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、被施錠部の外面には係合溝が形成されると共に、施錠体には被施錠部が挿通可能な大径の挿通穴部と、係合溝に嵌まり被施錠部を引き抜き不能とする係止穴部とを有する長穴が形成されており、被施錠部が位置決め手段により位置決めされた状態で、施錠体が駆動源により回動されることで、長穴の係止穴部が係合溝と係合し、被施錠部が施錠体により施錠されるものである。このように構成した場合には、被施錠部が位置決めされた状態で、長穴の係止穴部が被施錠部の係合溝に係合することで施錠がなされる。したがって、正確に位置決めされた状態で、強固に施錠を行うことが可能となる。
【0016】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、位置決め手段はセンサを有しており、センサにより被施錠部の位置決めされた状態が感知され、当該位置決めされた状態において施錠部が施錠動作を開始するものである。このように構成した場合には、非接触により位置決めされた状態が感知されるため、部材同士の接点を減少させることができ、装置の寿命を伸ばすことが可能となる。
【0017】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、回動板の先端には爪部が設けられており、センサによる被施錠部の位置決めされた状態の感知は、センサが爪部の位置を感知することによって行われるものである。このように構成した場合には、被施錠部が回動板を押して回動板を回動させると、被施錠部の位置決めがなされ、その位置決めされた状態で自動的に施錠動作を開始させることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、駐輪装置の製造が容易になると共に、精度良く施錠動作を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態に係る駐輪装置10について、図1から図9に基づいて説明する。なお、駐輪装置10は、駐輪システムの一部として説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る駐輪システムを示す図である。図2は、図1中の筐体30の構成を示す分解斜視図であり、図3は、図1中の駐輪装置10の内部に配置される施錠機構45の構成を示す分解斜視図である。図4は、図1中の駐輪装置10において、被施錠部24を差込孔44aに回動板76と当接するまで差し込んだ状態の位置決め手段70の構成を示す図であり、施錠機構45を側方から一部透視した状態で示す図である。図5は、図1中の駐輪装置10において、被施錠部24を差込孔44aに差し込んだ後、回動板76を途中まで押し込んだ状態の位置決め手段70の構成を示す図であり、施錠機構45を側方から一部透視した状態で示す図である。図6は、図1中の駐輪装置10において、被施錠部24を差込孔44aに差し込んだ後、回動板76が筐体12と当接するまで押し込んだ状態の位置決め手段70の構成を示す図であり、施錠機構45を側方から一部透視した状態で示す図である。図7は、図1の駐輪装置10の施錠機構45を前方から一部透視した状態で見た図で、施錠体65が開錠状態となっている図である。また、図8は、図1の駐輪装置10の施錠機構45を前方から一部透視した状態で見た図で、施錠体65が閉錠状態となっている図である。なお、図1から図3において、一端側とは左斜め上方を指し、他端側とは右斜め下方を指すものとする。また、前方とは左斜め下方を指し、後方とは右斜め上方を指すものとする。また、図4から図6において、一端側とは左側を指し、他端側とは右側を指すものとする。また、図4から図6において、保持バネ75の下方部分は省略されているが存在するものとする。
【0021】
本実施の形態に係る駐輪システムは、1台または複数台の駐輪装置10と集金ユニット11と、を有する。図1に示すように、駐輪装置10は、駐輪場の地上に備え付けられた四角柱の形状をした装置本体12と、帯状の錠本体20とから主に構成されている。集金ユニット11は、駐輪装置10の利用者の料金を利用時間に応じて精算する装置である。錠本体20は、チェーン22と錠本体20の一端側に配置された被施錠部24とから構成されている。また、チェーン22の一端には、被施錠部24が取り付けられており、チェーン22の他端は、後述する蓋部34の一端側に取り付けられている。駐輪装置10は、錠本体20の被施錠部24を当該駐輪装置10の前方に駐輪された二輪車1の前輪2に通し、当該被施錠部24を後述する差込孔44cに差し込むと、被施錠部24が施錠されることにより二輪車1の前輪2を拘束する装置である。
【0022】
被施錠部24は、図4から図6に示すように、先端側の円錐部24aと、円錐部24aの大径部に繋がる円柱状の円柱部24bと、後述する係止軸74が嵌まり込むために円周状に形成された溝からなる係止溝部24cと、その後端側に設けられた円柱部24bと同径の円盤部24dと、後述する施錠体65の係止穴部65bが係合するために円周状に形成された係合溝部24eと、手で把持する部分であり円柱部24bと同径となる円柱状の把持部24fと、を有している。
【0023】
装置本体12は、筐体30と、筐体30内に配置される施錠機構45とから主に構成されている。また、施錠機構45は、施錠動作を行う施錠手段50と、被施錠部24を所定の位置まで差し込むよう位置決めを行う位置決め部70とから主に構成されている。
【0024】
筐体30は、筐体本体32と蓋部34とから構成されている。筐体本体32は断面が略正方形の筒状部材であり、その一端の周縁からは外側に向かって外形が略正方形の形状となる底板35が形成されている。底板35は筐体30を地上に固定するための部分であり、その四隅には、ボルト等が挿通できる4つの断面円形状の円孔36が形成されている。また、図2における筐体本体32を形成する前方の側面は、図2において上方から下方に向かって並ぶように長方形の孔である長孔37と円形の孔である円形孔38が設けられている。また、長孔37の一端側と他端側には2つのネジ穴39が形成され、その上方にも2つのネジ穴40が形成されている。また、円形孔38の一端側と他端側にも2つのネジ穴41が形成されている。さらに、筐体本体32の一端側と他端側の側面の上方にも2つのネジ穴42が形成されている。
【0025】
蓋部34は、上面が塞がれた有底の箱型形状をしている。すなわち、蓋部34は、略正方形形状の上面部34aと、この上面部34aの周縁に沿って立設する4つの側面部34b〜34eとから形成されている。前方に位置する側面部34bは、後方に位置する側面部34cよりも高い側面となっている。したがって、側面34d,34eは台形の形状をした側面となっている。側面34bには、横長の円形孔となる長穴34fが形成され、側面34d,34eのそれぞれには、円形孔となる円孔34g,34gが形成されている。
【0026】
筐体本体32における長孔37の前方には、長方形をした赤色の透過性のプラスチック部材からなる板状部材43が配置され、ネジ穴39にネジ止めすることにより固定される。そして、板状部材43が取り付けられた状態で、蓋部43を筐体本体32の上方から被せる形で筐体本体32に取り付ける。さらに、ネジ34hを2つの円孔34g,34gに挿通させて、ネジ穴42に螺入することで蓋部34が筐体本体32に対して固定される。このようにして筐体30は完成する。なお、この作業は、施錠手段50および位置決め手段70を筐体本体32の内部に配置した後に行われる。
【0027】
筐体30の円形孔38には、被施錠部24を差し込むための被差込部材44が挿入される。被差込部材44は、円盤状の円盤部44aの中心から円柱状の円柱部44bが円盤部44aに対して垂直方向に突出して形成されている。また、円盤部44aから円柱部44bを貫通するように断面円形状の差込孔44cが形成されている。さらに、円盤部44bの一端側と他端側には2つの断面円形状のネジ孔44dが形成されている。被差込部材44は、後述するように、その円柱部44bが円形孔38に挿入され、ネジ孔44dにネジを挿通させてネジ穴41においてネジ止めすることにより筐体30に固定される。
【0028】
施錠手段50は、2つの枠部材52,54と、駆動源等が配置される駆動部56と、開錠および閉錠の位置を検出するセンサ部59と、閉錠時および開錠時に点灯するランプ部66と、施錠体65の回転中心となる回転軸61と、施錠動作を行う施錠体65とから主に構成されている。
【0029】
枠部材52は、平板状の基板部52aと、基板部52aの一端側、他端側および上方の端面から、図3において前方に立ち上がる側板部52b、側板部52c、上板部52dと、基板部52aの下方の端面から後方に延出する底板部52eとから構成されている。また、上板部52dの一端と他端は、側板部52bおよび側板部52cからそれぞれ水平方向に突出している。また、上板部52dの前方の先端からは下方に向かって下方板部52fが延出している。さらに、底板部52eの先端からは上方向かって上方板部52gが延出している。
【0030】
基板部52aの一端と他端の中心には、上方から下方に向かって並ぶように円形の円孔52h,52i,52j,52kが形成されている。円孔52h〜52kの形の大きさは、円孔52iの径の大きさが最も小さく、円孔52kの径の大きさが最も大きくなっており、残りの円孔52h,52jの径はほぼ同径となっている。なお、枠部材52には、部材を取り付けるための複数のネジ穴が形成されている。
【0031】
枠部材54は、基板となる平板状の平板部54aとその一端側と他端側から前方に向かって延出する側方板部54b,54cと側方板部54b,54cの先端からさらに一端側と他端側に延出する垂板部54d,54eとから構成されている。平板部52aの一端と他端の中心には、上下に並ぶように2つの円形の円孔54f,54gが形成されている。また、円孔54gの下方には長孔54hが形成されている。なお、枠部材54の平板部54aの上端部近傍には4つのネジ穴が形成され、また、垂板部54d,54eの上端部および下端部近傍にはそれぞれ1つずつのネジ穴が形成されている。枠部材54は、後述する、ギア体57を出力軸56cに、回転軸61をセンサ基板59dにそれぞれ取り付けた後、枠部材52の後方に固定される。この固定方法は、垂板部54d,54eに設けられたネジ穴にネジを通して枠部材52の基板部52aに形成されたネジ穴にネジ止めすることにより行われる。この際、円孔52hの中心軸線と円孔54fの中心軸線がそれぞれ一致すると共に、円孔52iの中心軸線と円孔54gの中心軸線もそれぞれ一致するように、枠部材54は枠部材52に固定される。
【0032】
駆動部56は、直方体の箱型形状のユニットケース56aにモータ56bと出力軸56cと不図示の減速ユニットが配置されている。図3において、モータ56bは、ユニットケース56aの下方において当該ユニットケース56aから後方に突出するように配置されている。また、出力軸56cは、ユニットケース56aの上方において当該ユニットケース56aから後方に突出するように配置されている。すなわち、モータ56bと出力軸56cは、ユニットケース56aから後方に向かって互いが平行となるように突出している。モータ56bは、出力軸56cに減速ギア輪列を介して連結される図示外のロータと、図示外のステータと、を有する。そして、通電によって、ステータの磁界とロータの磁界との磁気的な吸引力あるいは反発力が発生し、それによってロータが回転し、その回転によって出力軸56cが回転する。通電がなくなると、ロータおよび出力軸56cの回転は停止する。また、モータ56bは、閉錠動作を完了させた後、逆回転して開錠動作を行わせる正逆両方向に回転するモータ56bが使用されている。
【0033】
駆動部56では、モータ56bの動力は不図示の減速ユニットによって減速されて出力軸56cに伝達される。不図示の減速ユニットは、ユニットケース56a内の図示外のギア群を有する。ギア群は、複数のギアで構成されるものであり、少なくともモータ56bの出力軸56cとともに回転するギアと、モータ56bの不図示の出力軸とともに回転するギアとを有する。そして、この減速ユニットによる減速率は、1/1000〜1/50程度であればよい。たとえば減速率が1/100である場合、モータ56bの不図示の出力軸が100回転することで、駆動部56の出力軸56cは1回転する。なお、ギア群に替えて、複数のプーリで構成されるプーリ群などで所望の減速率を得るようにすることもできる。ただし、プーリを使用する場合には、プーリとそのプーリに掛け渡すベルトとの間にすべりが必然的に発生してしまうので、ギア群を使用する方が好ましい。駆動部56は、出力軸56cが枠部材52の円孔52jに挿通されると共に、モータ56bが円孔52kに嵌め込まれる形で枠部材52に取り付けられる。
【0034】
駆動部56の出力軸56cには、出力ギア57aを有するギア体57が取り付けられる。ギア体57は円柱形状をしており、円柱の中心には長手方向に向かって円形穴57bが形成されている。駆動部56が枠部材52に取り付けられた状態で、出力軸56cをギア体57の円形穴57bに差し込むとギア体57の前方は円孔52jの内側に嵌まり込む。このため、ギア体57も枠部材52に固定された状態となる。
【0035】
センサ部59は、閉位置検出センサ59aと、開位置検出センサ59bと、センサ基板59dとから構成されており、閉位置検出センサ59aおよび開位置検出センサ59bはセンサ基板59d上に配設されている。センサ基板59dは、その中心に断面円形状の円孔59eが形成された略長方形の形状をした平板である。閉位置検出センサ59aと開位置検出センサ59bは、センサ基板59dにおいて円孔59eの一端側と他端側にそれぞれ配置されている。また、センサ基板59dが、枠部材52の前方に固定されることで、センサ部59は枠部材52に取り付けられる。この際、センサ基板59dの円孔59eの中心軸線と枠部材52の円孔52iの中心軸線とがそれぞれ一致するように、センサ部59は枠部材52に取り付けられる。
【0036】
閉位置検出センサ59aおよび開位置検出センサ59bは、後述する、検出板62の位置を光学的に検出する光センサである。光センサは、発光素子と受光素子を有し、発光素子からの光の受光素子における受光状態の変化を検出するセンサである。また、光センサには、発光素子と受光素子との相対位置に応じて反射型と透過型の2種類が存在しており、いずれを採用しても良い。
【0037】
枠部材52の円孔52iとセンサ基板59dの円孔59eの双方には、回転軸61が挿通される。そして、当該回転軸61においてセンサ基板59dから他端側に突出した部分に検出板62が取り付けられる。回転軸61は、大径部61aと、大径部より小径となる中径部61bと、中径部よりさらに小径となる小径部61cと、から構成される3つの異なる大きさの径を有する断面円形状の軸である。上述したように、回転軸61は、基板部52aの後方から円孔52i、59eの双方に挿通される。回転軸61は、小径部61cから円孔52i,59eに挿入され、大径部61aと中径部61bとの境界となる中径境界部61dが基板部52aの後方側の面と当接する。このため、中径部61bと小径部61cのみがセンサ基板59dの前方に突出する。そして、検出板62が、円筒形状の円筒部材63を介して小径部61cに取り付けられる。したがって、検出部62は回転軸61と一体として回転することとなる。検出板62は、小径部61cに取り付けられる中心部を有すると共に、その中心部からハの字状に延出した板状の2つの脚部62aを有し、さらにその先端は脚部62aに対して直角に折り曲げられた爪部62bとなっている。
【0038】
ランプ部66は、発光素子を有する点灯ランプ66aと、ランプ基板66bとから構成されている。点灯ランプ66aの発光素子としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)が採用される。ランプ基板66bは略長方形の形状をした平板であり、当該ランプ基板66b上に2つの点灯ランプ66aが一端側から他端側に向かって2つ並べて配置されている。そして、ランプ部66は、ランプ基板66bにおいて点灯ランプ66aが配置されていない面を、基板部52aの前方側の面に接触させる形で、枠部材52の上方に取り付けられる。また、枠部材52aの上板部52dの他端側には略長方形状の角孔52mが形成されており、当該角孔52mには、点灯ランプ66aの点灯を制御するランプ制御部材66dが嵌め込まれる。ランプ制御部材66dは、角孔52mに嵌め込まれると、ランプ基板66bと導電可能に接触する。
【0039】
上述したように、枠部材52に対してギア体57および回転軸61が固定された状態で、枠部材54が、枠部材52の後方に固定される。固定する際、円孔54gには回転軸61が挿通される。したがって、枠部材54が枠部材52に固定された状態では、回転軸61の大径部61aが水平板部54aより後方に突出していることとなる。また、ギア体57は枠部材54の下方に位置しており、出力ギア57aは水平板部54aより後方側に突出している。
【0040】
施錠体65は、略楕円形状をした板状の部材であり、図3における下端面には、出力ギア57aと噛み合うためのギア溝部65aが形成されている。また、施錠体65の上方には、係止穴部65bと係止穴部65bより大径となる円形の挿通穴部65cとから構成される長穴65dが設けられている。さらに、施錠体65の中心よりやや下方には回転軸61に嵌め込まれるための断面略円形状の軸孔65eが形成されている。具体的には、軸孔65eは回転軸61への回転伝達を確かなものとするために、円形の一部が切り欠かれた形状、すなわち満月の直前の月のように一部が切り欠かれた状態となっている。施錠体65は、軸孔65eが水平板部54aから突出している大径部61aに嵌め込まれることによって回転軸61に対して回転方向に関して固定される。したがって、施錠体65は、回転軸61(軸孔65e)を中心として一体に回転することとなる。また、施錠体65の回転軸61への固定に伴い、ギア溝部65aが出力ギア57aと噛み合う。したがって、ギア体57が回転すると、出力ギア57aの動力がギア溝部65aに伝達され、施錠体65は回転軸61を中心として回転する。
【0041】
位置決め手段70は、フレーム72と、係止軸74と、付勢バネ79と、回動板76と、センサ体80とから主に構成されている。
【0042】
フレーム72は、長方形の形状をした長板部72aと、その長板部72aの長辺の一端から当該長辺に対して直角方向に突出した突板部72bとから構成される2つの対向する平行板72cを有している。そして、その平行板72cにおける突板部72bの端面同士を長方形の平板である四角平板72dによって繋がれることにより一体化されている。また、フレーム72における一端側に位置する平行板72cの前方かつ下端から一端側に向かって引っ掛け部72eが突出して形成されている。また、フレーム72における他端側に位置する平行板72cの前方かつ下端からも引っ掛け部72eと同様の引っ掛け部72fが他端側に向かって突出して形成されている。また、長板部72aにおいて突板部72bに対して右下方の位置には、上下方向に縦長の円形孔となる長孔72gが形成されており、また、長孔72gの右上方には円形の軸挿入孔72hが形成されている。当該長孔72gと軸挿入孔72hのそれぞれは、2つの平行板72cの間で互いに対向するように形成されている。さらに、他端側の平行板72cにおける軸挿入孔72hの上方には、略長方形の四角孔72iが形成されている。
【0043】
対向する2つの長孔72gには、断面円形状の係止軸74が挿通され、当該係止軸74の一端および他端は、それぞれ平行板72cから一端側および他端側に突出している。また、当該平行板72cから突出している係止軸74の一端側と他端側のそれぞれには、弾性部材となる保持バネ75の一端が取り付けられている。また、当該2つの保持バネ75の他端は、それぞれ引っ掛け部72e,72fに取り付けられている。すなわち、係止軸74は、フレーム72の長孔72gに挿通された状態で、保持バネ75により、図3における下方に付勢される。
【0044】
回動板76は、図3において、長方形の板状部材となる回動板部76aにおいて他端側と一端側の端面の上方から前方に向かって軸板部76cが対向するように延出している。各軸板部76cには円形の軸孔76bが設けられている。また、一端側の軸板部76cからは上方に側板部76dが延出し、その先端からは他端側に折れ曲がった爪部76eが形成されている。
【0045】
回動板76は、フレーム72の対向する平行板72cの間に配置される。また、巻バネである付勢バネ79が、対向する軸板部76cの間に配置される。そして、2つの軸挿入孔72h、回動板76に形成される2つの軸孔76bおよび付勢バネ79の巻き中心には、断面円形状の回動軸78が挿通される。すなわち、回動板76は、平行板72cの間に回動軸78を中心に回動可能に配置されることとなる。また、回動板76がフレーム72に取り付けられた状態では、図4に示すように、付勢バネ79の一端は回動板部76aの上端面76fに当接しており、付勢バネ79の他端は、係止軸74の上方に当接している。
【0046】
また、四角孔72iには、被施錠部24の位置決めされた状態を検出するための位置決め検出センサ80aを備えたセンサ体80が取り付けられる。
【0047】
以上のように構成され組み立てられた位置決め手段70は、フレーム72の四角平板72dを枠部材54の平板部54aの上方にネジ止めにより固定される。このように、位置決め手段70が施錠手段50に固定されることにより構成される施錠機構45では、施錠体65は、対向する2つの突板部72bの下方に形成される空間に位置するため、施錠体65は、位置決め手段70と接触することなく回転可能である。
【0048】
施錠機構45は、筐体30内の上方に配置される。施錠機構45の筐体30への固定は、ネジ穴40にネジを挿通させ、当該挿通されたネジを、枠部材52の下方板部52fにネジ止めすることによって行われる。
【0049】
図9は、図1中の集金ユニット11および駐輪システムの制御系を示すブロック図である。
【0050】
集金ユニット11は、時刻情報を出力するタイマ81と、データを記憶する記録部82と、入力キー83と、表示部84と、紙幣や貨幣が投入される料金回収部85と、駐輪装置10の駆動部56に通電する駆動通電部86と、マイクロコンピュータと、を有する。マイクロコンピュータは、図示外の駐輪制御プログラムを実行することで、駐車検出部91と、通電制御手段としての施錠制御部92と、料金計算部93と、入金計量部94と、通電制御手段としての開錠制御部95と、を実現する。駐輪制御プログラムは、たとえば図示外のコンパクトディスクなどのコンピュータ読取可能な記録媒体や電気通信回線などの伝送媒体を媒体として、記録部82に記憶することができる。
【0051】
駐車検出部91は、位置決め検出センサ80aから検出信号が入力されると、その検出信号の入力タイミングにおける時刻情報をタイマ81から読み取り、その読み取った時刻情報を駐車開始時刻として記録部82に記録させるものである。
【0052】
施錠制御部92は、駐車検出部91に検出信号が入力した後に、駆動通電部86に通電を開始させる。また、施錠制御部92は、閉位置検出センサ59aから検出信号が入力されると、駆動通電部86による通電を停止させる。
【0053】
なお、駐車検出部91に検出信号が入力してから施錠制御部92が駆動通電部86に通電を開始させるまでの期間は、任意の時間に設定することができる。つまり、駐車検出部91に検出信号が入力したら直ちに施錠制御部92が駆動通電部86に通電を開始させるように設定しても良いし、駐車検出部91に検出信号が入力してからたとえば20分などの所定の時間が経過してから、施錠制御部92が駆動通電部86に通電を開始させるように設定してもよい。
【0054】
料金計算部93は、入力キー83において清算の対象となる駐輪装置10が、例えば固有の識別番号によって指定されると、記録部82からその駐輪装置10の駐車開始時刻を読み取るとともに、タイマ81から現在の時刻情報を読み取り、それらの時間差に基づいて料金を計算するものである。また、料金計算部93は、計算した料金を表示部84に表示させる。
【0055】
入金計量部94は、料金回収部85に投入された料金を計算するものである。そして、入金計量部94は、投入された料金が料金計算部93によって計算された料金以上になったら、開錠制御部95へ通知を行う。
【0056】
開錠制御部95は、入金計量部94からの通知があったら駆動通電部86に通電を開始させる。また、開錠制御部95は、開位置検出センサ59bからの検出信号が入力されると、駆動通電部86による通電を停止させる。
【0057】
次に、本実施の形態に係る駐輪システムの全体の動作について説明する。
【0058】
二輪車1に乗ってきた人は、駐輪装置10の前方に二輪車1を止める。そして、駐輪装置10に備え付けられた錠本体20の被施錠部24を、二輪車1の前輪2に通し、当該被施錠部24を差込孔44cに差し込む。そして、差し込まれた被施錠部24が施錠されて、駐車した二輪車1の前輪2は、錠本体20によって拘束される。
【0059】
施錠動作を行う前の施錠体65は、図7に示すように開位置にあるため、被施錠部24は、施錠体65の挿通穴部65cに差し込み可能となっている。差込孔44cに被施錠部24が差し込まれると、図4に示すように、被施錠部24の円錐部24aが回動板76の回動板部76aと当接する。さらに、回動板76を押し込むと、回動板76の回動力により付勢バネ79の一端が付勢されて、付勢バネ79の他端が係止軸74を下方に付勢する(図5参照)。さらに被施錠部24を、回動板76が筐体30の側面と当接するまで差し込むと、係止軸74が係止溝部24cに嵌まり込み、被施錠部24は係止軸74により係止され位置決めされる(図6参照)。この状態となると、爪部76eは位置決め検出センサ80aから外れる。センサ板となる爪部76eが位置決め検出センサ80aの発光素子と受光素子との間から外れると、位置決め検出センサ80aは、検出信号を出力する。
【0060】
係止軸74の係止溝部24cへの落ち込みは、付勢バネ79の付勢力により確実に行われる。しかも、その落ち込みは急激であり、爪部76eの位置も急激に変化するので、位置決め検出センサ80aの検出も確実なものとなる。この位置決め検出センサ80aからの検出信号が駐車検出部91に入力されると、駐車検出部91は、その検出信号の入力タイミングにおける時刻情報をタイマ81から読み取り、その読み取った時刻情報を駐車開始時刻として記録部82に記録させる。
【0061】
また、施錠制御部92は、駐車検出部91に位置決め検出センサ80aからの検出信号が入力された後に、駆動通電部86に駆動部56への通電を開始させる。駆動通電部86による通電によって駆動部56に配置されるモータ56bの不図示の出力軸が回転を開始する。そして、不図示の減速ユニットに減速されて出力軸56cが回転する。すると、出力軸56cがギア体57を回転させ、当該ギア体57の出力ギア57aがギア溝部65aと噛み合い、施錠体65を回転させる。この回転に伴って施錠体65は閉方向に回動していく。施錠体65が閉方向に回動していくと、被施錠部24の係合溝部24eが、長穴65dの係止穴部65bと係合する。この際、施錠体65は被施錠部24の差し込みおよび引き抜き方向に対して略直交する方向に移動する。そして係合動作(施錠動作)が完了すると(図8参照)、検出板62の爪部62bが閉位置検出センサ59aの発光素子と受光素子との間に位置し、閉位置検出センサ59aから検出信号が入力される。検出信号が出力されると、施錠制御部92は、駆動通電部86による通電を停止させる。
【0062】
閉位置検出センサ59aからの検出信号が出力される状態では、施錠体65の係止穴部65bが被施錠部24の係合溝部24eと係合した状態となっている。したがって、被施錠部24は、施錠体65により施錠された状態となっているため、被施錠体24を差込孔44cから引き抜くことは不可能である。その結果、二輪車1の前輪2は錠本体20によって拘束された状態となっているので、二輪車1を引き出そうとしても、二輪車1を引き出すことはできない。
【0063】
次に、二輪車1の出車動作について説明する。被施錠体24を引き抜くことにより二輪車1を出車させたい人は、入力キー83を操作して、駐輪装置10指定する。料金計算部93は、この入力キー83によって駐輪装置10の駐車開始時刻を記録部82から読み取るとともに、タイマ81から現在の時刻情報を読み取る。このときの現在時刻は、駐車終了時刻となる。そして、料金計算部93は、それら駐車開始時刻と駐車終了時刻との時間差に基づいて駐車料金を計算し、計算した駐車料金を表示部84に表示させる。
【0064】
二輪車1を出車させたい人は、表示部84に表示された駐車料金を料金回収部85に投入する。入金計量部94は、料金回収部85に投入された料金が料金計算部93によって計算された料金以上になったら、開錠制御部95への通知を行う。なお、投入された料金が駐車料金を超えている場合には、入金計量部94は、その差額を料金回収部85に返金させればよい。
【0065】
開錠制御部95は、入金計量部94からの通知があったら直ちに駆動通電部86に通電を開始させる。駆動通電部86による通電によって駆動部56の出力軸56cは施錠時と逆方向に回転を開始し、ギア体57の回転によって施錠体65は開方向へと回転を開始する。そして、開位置検出センサ59bからの検出信号が入力されると、開錠制御部95は、駆動通電部86による通電を停止させる
【0066】
開位置検出センサ59bから検出信号が出力されている状態では、施錠体65は係止穴部65bとの係合から開放され、挿通穴部65cから引き抜き可能な状態になっている。したがって、二輪車1を出車させたい人は、差込孔44cから被施錠部24を引き抜き、二輪車1を出車させることができる。
【0067】
なお、施錠状態において駐輪装置10の制御機構や集金ユニット11等が故障し、二輪車1が駐輪装置10から脱出不可能となった場合は、筐体30から蓋部34を外し、ドライバー等の治具を筐体本体32の内部に挿入し、当該ドライバー等の先端を、図8における施錠体65の他端側の側面に当接させる。そして、当該ドライバー等を押しやり、てこの原理によって、施錠体65を閉錠状態から開錠状態に回転させる。このようにして、被施錠部24を差込孔44cから引き抜き可能な状態とする。
【0068】
以上のように構成された、駐輪装置10では、被施錠部24を差込孔44cに差し込むと、位置決め手段70により、被施錠部24が施錠可能な位置に位置決めされ、その状態で被施錠体24が施錠体65により施錠される。したがって、被施錠部24を差込孔44cに差し込んでゆくと、位置決め手段70により位置決めがなされ、駆動部56により施錠動作が開始される。このため、利用者は被施錠部24を差込孔44cに差し込むという容易な作業により二輪車1等の施錠を行うことができる。また、施錠体65が被施錠部24の引き抜き方向に対して略直交する平面内を移動し、係合するため、施錠強度は大きなものとなる。
【0069】
また、駐輪装置10では、被施錠部24を差込孔44cに差し込むと、被施錠部24が回動板76と当接し、回動板76が回動する。このため、回動板76の回動力により付勢バネ79が付勢され、係止軸74が被施錠部24の差し込み方向に対して略垂直方向に付勢される。したがって、回動板76の回動力を利用して被施錠部24の位置決めが自動的にかつ瞬時になされる。また、被施錠部24を差込孔44cに差し込んで行くと、付勢バネ79の付勢力が増し、係止軸74が係止溝部72cに急激に嵌まり込む。そのため、被施錠部24の位置決めがより確実に行われる。また、係止軸74は長孔72gの内部を上下方向に移動するのみであるため、所定の位置で精度良く位置決めがなされる。
【0070】
また、駐輪装置10では、被施錠部24が位置決め手段70により位置決めされた状態では、施錠体65が駆動部56により回動されることで、長穴65dの係止穴部65bが係合溝部24eと係合し、被施錠部24が施錠体65により施錠される。したがって、被施錠部24が位置決め手段70により位置決めされた状態で、長穴65dの係止穴部65bが被施錠部24の係合溝部24eに係合し施錠がなされる。したがって、正確に位置決めされた状態で、強固に施錠がなされる。
【0071】
また、駐輪装置10では、位置決め手段70は位置決めセンサ80aを有しており、位置決めセンサ80aにより被施錠部24の位置決めされた状態が感知され、当該位置決めされた状態において施錠体65が施錠動作を開始する。このため、非接触により位置決めされた状態を感知することができ、部材同士の接点を減少させることができる。したがって、施錠機構45の寿命を伸ばすことが可能となる。しかも、爪部76eの位置が急激に変化するので、検知信号は正確に出力される。
【0072】
また、駐輪装置10では、被施錠部24が位置決めされた状態は、位置決めセンサ80aが爪部76eの位置を感知することによって行われる。このため、被施錠部24が回動板76を押して回動板76を回動させると、被施錠部24の位置決めがなされ、当該位置を位置決めセンサ80aが感知する。したがって、被施錠部24を差し込んで回動板76を回動させることにより、位置決めされた状態を位置決めセンサ80aで検出することができる。そして、この位置決めセンサ80aの検出信号に基づいて駆動部56を制御し、施錠動作を開始させることが可能となる。
【0073】
また、駐輪装置10では、施錠状態において駐輪装置10の制御機構や集金ユニット11等が故障し、二輪車1が駐輪装置10から脱出不可能となった場合でも、筐体30から蓋部34を外し、ドライバー等の治具により、施錠体65を閉錠状態から開錠状態に回転させて、被施錠部24を差込孔44cから引き抜くことが可能となる。したがって、施錠状態において駐輪装置10が故障した場合でも、二輪車1を脱出させることが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態に係る駐輪システムでは、駐輪装置10の前方に駐車された二輪車1を施錠し、かつ、駐車料金の支払いに応じてそれを開錠することができる。また、本実施の形態に係る駐輪システムは、各駐輪装置10に駐輪された二輪車1を一括管理することができる。
【0075】
また、駐輪装置10では、出力軸56cの回転によってギア体57を回転させ、ギア体57の回転に伴って施錠体65を回転させることができる。したがって、通電によってモータ65bを回転させることができる単純な機構を使用して、施錠体65を開閉することができる。
【0076】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0077】
上述の実施の形態では、モータ56bを有する駆動部56によって施錠体65を回転させているが、その回転をモータ56bではなく、従来のようにソレノイド機構を利用して回転させるようにしてもよい。またまた、位置決め手段70を、ソレノイド機構で位置決めする構造としても良い。
【0078】
また、上述の実施の形態では、係止溝部24cは被施錠部24の全周に亘って形成されているが、全周ではなく係止軸74が当接する部分のみに形成するようにしてもよい。このようにした場合でも、係止軸74によって、被施錠部24の位置決めはなされることとなる。
【0079】
また、上述の実施の形態では、点灯ランプ66aの発光素子としては、LEDを採用しているが、これに限られることなく、蛍光ランプや水銀ランプ等他の素子を用いても良い。
【0080】
また、上述の実施の形態では、錠本体20の帯状部の主要部分として、チェーンを採用しているが、太い針金等、容易に切断することが不可能な他の帯状の部材を用いるようにしても良い。
【0081】
また、上述の実施の形態では、駆動部56の出力軸56cにギア体57を取り付け、ギア体57と施錠体65とを噛み合わせて施錠体65を回転させているが、出力軸56cを施錠体65の中心に固定して直接施錠体65を回転させるようにしても良い。
【0082】
また、上述の実施の形態では、錠本体20の一端は、筐体30に固定されているが、これに限られることなく、例えば、地上や、他に柱を設けてそれら他の部分に錠本体20の一端を固定するようにしても良い。
【0083】
また、上述の実施の形態では、駐輪装置10の施錠機構45は、二輪車1の前輪2を拘束させるために用いられているが、これに限られることなく、例えば、家屋の門柱や特定の者のみ立ち入り可能なフェンスの扉を施錠するのにこの施錠機構45を用いても良い。
【0084】
また、上述の実施の形態では、駐輪装置10は、柱上の筐体30に被施錠部24を差し込む構成となっているが、筐体30を柱状なものに限らず、壁面状の筐体に複数の錠本体20と差込孔44cを設けるようにしても良い。
【0085】
また、上述の実施の形態では、料金の支払いに応じて開錠している。この他にもたとえば、マンションなどの住居家屋にあっては、暗証番号の入力や、キー操作などに応じてロックを解除するように構成してもよい。また、一定時間は無料にして、一定時間経過後を有料としたり、料金の支払いの代わりにプリペイドカードなどの磁気カードを挿入することで清算されるようにしてもよい。
【0086】
さらに、上述の実施の形態では、二輪車1の前輪2等の車輪をロックする場合を例に説明している。この他にもたとえば、駐輪装置10および駐輪システムは、一輪車、車椅子、スーパーやゴルフ場のカート、その他の車両の車輪をロックするために用いることができる。
【0087】
また、上述の実施の形態では、集金ユニット11は、二輪車1の車輪をロックする複数の駐輪装置10の料金を清算している。この他にもたとえば、集金ユニット11は、二輪車1の車輪を施錠する複数の駐輪装置10と、自動車をロックする他の車輪ロック装置の料金を清算するようにしてもよい。さらに他にもたとえば、複数の駐輪装置10に対して、複数の集金ユニット11を設けてもよい。特に、このように複数の集金ユニット11で複数の駐輪装置10を管理する場合、各駐輪装置10の清算がその複数の集金ユニット11のどれであっても清算を可能とすることで、複数の出入口を有する駐輪場などにおいて好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態に係る駐輪システムを示す図である。
【図2】図1中の筐体の構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1中の駐輪装置の内部に配置される施錠機構の構成を示す分解斜視図である。
【図4】図1中の駐輪装置において、被施錠部を差込孔に回動板と当接するまで差し込んだ状態の位置決め手段の構成を示す図であり、施錠機構を側方から一部透視した状態で示す図である。
【図5】図1中の駐輪装置において、被施錠部を差込孔に差し込んだ後、回動板を途中まで押し込んだ状態の位置決め手段の構成を示す図であり、施錠機構を側方から一部透視した状態で示す図である。
【図6】図1中の駐輪装置において、被施錠部を差込孔に差し込んだ後、回動板が筐体と当接するまで押し込んだ状態の位置決め手段の構成を示す図であり、施錠機構を側方から一部透視した状態で示す図である。
【図7】図1の駐輪装置の施錠機構を前方から一部透視した状態で見た図で、施錠体が開錠状態となっている図である。
【図8】図1の駐輪装置の施錠機構を前方から一部透視した状態で見た図で、施錠体が閉錠状態となっている図である。
【図9】図1中の集金ユニットおよび駐輪システムの制御系を示すブロック図である
【符号の説明】
【0089】
10…駐輪装置
20…錠本体
24…被施錠部
24c…係止溝部(係止溝)
24e…係合溝部(係合溝)
30…筐体
44c…差込孔(差込口)
56…駆動部(駆動源)
65…施錠体
65b…係止穴部
65c…挿通穴部
65d…長穴
70…位置決め手段
72…フレーム
72g…長孔
74…係止軸
76…回動板
79…付勢バネ
80…センサ体(センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に被施錠部を有する帯状の錠本体と、
上記錠本体の他端が取り付けられると共に、上記被施錠部が差し込みおよび引き抜き可能な差込口を有し、上記被施錠部が上記差込口に差し込まれることで、上記錠本体との間で駐輪物体を挟み込んだ状態を形成するための筐体と、
上記筐体内に配置され、上記差込口に差し込まれた上記被施錠部に係合することで、上記被施錠部を施錠する施錠体と、
上記被施錠部を上記施錠体と係合可能な位置に位置決めする位置決め手段と、
上記施錠体を上記被施錠部に対して係脱可能にかつ被施錠部の引き抜き方向に対し略直交する平面内を動くように駆動させる駆動源と、
を有することを特徴とする駐輪装置。
【請求項2】
一端に被施錠部を有する帯状の錠本体と、
上記被施錠部が差し込みおよび引き抜き可能な差込口を有する筐体と、
上記筐体内に配置され、上記差込口に差し込まれた上記被施錠部に係合することで、上記被施錠部を施錠する施錠体と、
上記被施錠部を上記施錠体と係合可能な位置に位置決めする位置決め手段と、
上記施錠体を上記被施錠部に対して係脱可能に駆動させる駆動源と、
を有することを特徴とする駐輪装置。
【請求項3】
前記位置決め手段は、
前記被施錠部の外面に形成された係止溝と、
この係止溝に嵌まり込む係止軸と、
上記係止軸を前記被施錠部の差し込み方向に対して略垂直方向に付勢する付勢バネと、
を有することを特徴とする請求項1または2記載の駐輪装置。
【請求項4】
前記位置決め手段は、
円柱状に形成された前記被施錠部の外面に軸方向と直交するように形成された係止溝と、
前記筐体内に設けられた、対向する2つの面を有するフレームと、
上記フレームに、前記被施錠部の差し込みおよび引き抜き方向に回動可能に取り付けられた回動板と、
上記フレームの対向する2面に対向するように設けられた2つの長孔に挿通された係止軸と、
上記回動板を前記被施錠部の引き抜き方向に回動させるように付勢すると共に、上記係止軸を前記被施錠部の差し込み方向に対して略垂直方向に付勢する付勢バネと、
を有することを特徴とする請求項1または2記載の駐輪装置。
【請求項5】
前記被施錠部を前記差込口に差し込むと、当該被施錠部が前記回動板を回動させ、その回動力により、係止軸が付勢されることを特徴とする請求項4記載の駐輪装置。
【請求項6】
前記被施錠部の外面には係合溝が形成されると共に、前記施錠体には前記被施錠部が挿通可能な大径の挿通穴部と、上記係合溝に嵌まり前記被施錠部を引き抜き不能とする係止穴部とを有する長穴が形成されており、前記被施錠部が前記位置決め手段により位置決めされた状態で、前記施錠体が前記駆動源により回動されることで、上記長穴の上記係止穴部が上記係合溝と係合し、前記被施錠部が前記施錠体により施錠されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の駐輪装置。
【請求項7】
前記位置決め手段はセンサを有しており、上記センサにより前記被施錠部の位置決めされた状態が感知され、当該位置決めされた状態において前記施錠部が施錠動作を開始することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の駐輪装置。
【請求項8】
前記回動板の先端には爪部が設けられており、前記センサによる前記被施錠部の位置決めされた状態の感知は、前記センサが上記爪部の位置を感知することによって行われることを特徴とする請求項7記載の駐輪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−22332(P2007−22332A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207546(P2005−207546)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(503253079)株式会社サニカ (20)