説明

骨壺及び葬送方法

【課題】
水中への遺骨の葬送を簡易にし、さらに漁礁としての役割も果たす骨壷を提供する。
【解決手段】
水中用骨壷1は、容器本体12と蓋11とから構成される。容器本体12は、内部に遺骨を収容する収容部120を有する。蓋11は、容器本体12の上面に接合し、収容部120の空間を閉じる。また、蓋11と容器本体12には、外壁面(上面100、側面104、下面102)から収容部120までを連通させる微小孔を持つように形成され、水中において、遺骨から溶け出したカルシウムなどのミネラルが微小孔を通して、外へ湧出するようになり、漁礁としての機能を有するようになる。また、海へ沈める際、ロープ用開口110にロープを通すことで一方向に水中用骨壷1を沈めることが可能となり、さらに、連結用凹部122によって水中用骨壷1同士が連結し、様々な大きさの漁礁を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、破砕された人骨に珪藻等の藻類の着床を促す硫酸鉄を混合すると共にブロック等の形状に成型して水底に沈める葬送方法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−209183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、水中への葬送を簡易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明に係る骨壺は、遺骨を収容する収容部と、漁礁として機能する外形構成材とを有する。
【0005】
好適には、前記外形構成材は、鉄又はコンクリートである。
【0006】
好適には、前記外形構成材の外壁面から、前記収容部の内部までを連通させる連通口をさらに有する。
【0007】
好適には、前記外形構成材は、他の骨壺と連結するための連結部を有する。
【0008】
また、本発明に係る葬送方法は、骨壺の収容部に、遺骨を収容する収容ステップと、遺骨が収容された骨壺を水中に設置する設置ステップとを有する。
【0009】
好適には、前記設置ステップにおいて、遺骨が収容された骨壺は、他の骨壺に連結させた状態で水中に設置される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水中への葬送を簡易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[骨壺の構成]
まず、本実施形態に係る水中用骨壺1の構成を以下図面に従って説明する。
図1は、本実施形態に係る水中へ遺骨を葬送するための水中用骨壺1の形状を示す斜視図である。水中用骨壺1の形状は、特に限定するものではなく、図1はその一例として、上面100、下面102及び側面104を有する略円錐台を成すものである。また、外壁面(上面100、側面104、下面102)は、鉄もしくはコンクリート等の外形構成材10によって構成される。
【0012】
図2は、水中用骨壺1の断面図である。
図2に例示するように、水中用骨壺1は、容器本体12と蓋11とから構成される。容器器本体12は、内部に遺骨を収容する収容部120を有する。蓋11は、容器本体12の上面に接合し、収容部120の空間を閉じる。
また、蓋11と容器本体12には、中心にロープを通せるように上面100から下面102へ貫通するロープ用開口110が開けられている。
さらに、蓋11及び容器本体12は、外壁面(上面100、側面104、下面102)から収容部120までを連通させる微小孔を持つように形成される。なお、微小孔の大きさは、水、及び骨から溶け出したカルシウムなどのミネラルを通し、粉末状にした遺骨は通さない程度であればよい。
【0013】
[葬送方法]
次に、上記構成を持つ水中用骨壺1によるペットの遺骨の葬送方法について以下図面に従って説明する。
まず、火葬されたペットの遺骨を粉末状にし、収容部120に収容する。なお、収容部120に収容する遺骨の状態としては、粉末状以外に、例えば、ペースト状、固形状であってもよい。それから、蓋11を容器本体12に接合し、収容部120の遺骨が外へ放出されない状態にしてから、水中用骨壺1を海へ沈める。なお、蓋11を容器本体12に接合する方法は、特に限定するものではなく、例えば、溶接、接着、又は捲き締め等によって接合する。
【0014】
図3は水中用骨壺1を海へ沈める方法を示す断面図である。
図3に例示するように、水中用骨壺1は、浮きブイ3とアンカー4を繋ぐロープ5を蓋11と容器本体12に開けられたロープ用開口110に通して、海へ沈められる。これによって、水中用骨壺1は、水中用骨壺1A、1B、1Cに示されるように、ロープ5をガイドとして一方向に沈めることが可能となる。さらに、容器本体12の下面にある連結用凹部122によって、水中用骨壺1A、1Bに示されるように、水中において水中用骨壺1同士を連結させることが可能となる。
また、海へ沈める水中用骨壺1の数によっては、様々な大きさの水中用骨壺1の連結を作成でき、海の深度や流れなどの環境に応じた大きさの漁礁を作成することが可能となる。
【0015】
水中用骨壺1は、海水中においては、外壁面から収容部120までを連通させる微小孔によって、水が外壁面から収容部120に染み出し、水に浸かった遺骨からは次第にカルシウムなどのミネラルが溶け出すようになり、さらには、微小孔を通して、外壁面からカルシウムなどのミネラルが湧出するようになる。
【0016】
その後、外壁面から湧出したカルシウムなどのミネラルは、バクテリア等の水生生物によって分解もしくは栄養素として利用され、水中用骨壺1は、藻類等が着床しやすい環境となり、漁礁としての機能を有するようになる。
【0017】
[変形例1]
次に、上記実施形態に係る水中用骨壺1の構成の変形例1を説明する。
図4は、本変形例における水中用骨壺2の形状を示す斜視図である。
水中用骨壺2の形状は、図4に例示するように、両側面にガイド筒部202A、202Bを有する略円柱形を成すものである。ガイド筒部202A,202Bは、水中用骨壷1のロープ用開口110と同様に、海中において、ロープを通して水中用骨壺2を一方向に沈めるためのものである。また、水中用骨壺2を構成する外形構成材20は、外形構成材10と同様に鉄もしくはコンクリート等であればよい。なお、ガイド筒部202は、他の水中用骨壺2と連結するための連結機構をさらに有するよう構成してもよい。この連結機構によれば、複数の水中用骨壺2を水平方向に連結させることができる。
【0018】
図5は、水中用骨壺2の構成品を展開した状態を示す斜視図である。
図5に例示するように、水中用骨壺2は、蓋21、内容器23、容器本体22とから構成される。内容器23は、水中用骨壺1と同様に遺骨を収容できる収容部を有し、遺骨を収容した後、蓋をしたものである。そのような内容器23を容器本体22に収容し、蓋21で閉じることで、図4の水中用骨壷2の状態となる。
また、内容器23は、そこに収容する遺骨の量に応じた大きさの収容部を有する。具体的には、容器本体22に収容できる一定の大きさで肉厚の異なる内容器23を複数個予め用意し、収容する遺骨の量に応じた容積を持つ内容器23を選択し容器本体22に収容する。なお、内容器23の肉厚を一定にして、外径の大きさを変えていくことで、複数の内容記23を入れ子状にして、容器本体22に収容してもよい。
【0019】
上記水中用骨壷2の構成によって、収容する遺骨の量に関係なく、水中用骨壷2の大きさを一定にすることが可能となる。これによって、水中用骨壷2は一定の大きさの空間に均一に収容できるようになるので、搬送における効率がよくなる。
また、蓋21、内容器23及び容器本体22は、水中用骨壺1と同様に外壁面から、収容部までを連通させる微小孔を持つように形成され、海水中において、収容した遺骨から溶け出したカルシウムなどのミネラルが外壁面から湧出するようになる。
【0020】
[変形例2]
次に、水中用骨壺2の変形例2を説明する。
図6は、変形例2における水中用骨壺2を説明する断面図である。
本変形例の水中用骨壺2は、図6に例示するように、容器本体22と蓋21とに加えて、拡張容器24を有する。なお、本図では、説明の便宜上、容器本体22に設けられたガイド筒部202は図示されていない。
拡張容器24は、容器本体22と略同一径の円筒形状を有し、鉄又はコンクリートで構成されている。拡張容器24の壁面の厚さは、容器本体22と略同一であることが望ましい。また、拡張容器24の上端及び下端には、他の拡張容器24又は容器本体22と連結するための連結機構(例えば、ネジ構造)を有する。これにより、図6に例示するように、蓋21と容器本体22との間に、所望の数の拡張容器24(本例では2つの拡張容器24A及び24B)を挿入し、連結機構で互いに連結させて、所望の容量を有する水中用骨壺2を作成することができる。
このように、本変形例によれば、容器本体22及び拡張容器24などを共用して、種々のサイズの水中用骨壺2を作成することができる。
【0021】
[その他の変形例]
上記実施形態では、遺骨の葬送方法の一例としてペットの遺骨の葬送方法について説明したが、水中用骨壺1の収容部120に収容するものとしては人骨やその他動物の骨を粉末状、ペースト状、又は固形状にしたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】水中用骨壷1の形状を示す斜視図である。
【図2】水中用骨壷1の断面図である。
【図3】水中用骨壷1を海へ沈める方法を示す断面図である。
【図4】水中用骨壷2の形状を示す斜視図である。
【図5】水中用骨壷2の構成品を展開した状態を示す斜視図である。
【図6】変形例2における水中用骨壺2を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1,2・・・水中用骨壷
3・・・浮きブイ
4・・・アンカー
5・・・ロープ
10,20・・・外形構成材
11,21・・・蓋
12,22・・・容器本体
23・・・内容器
24・・・拡張容器
100・・・上面
102・・・下面
104・・・側面
110・・・ロープ用開口
120・・・収容部
122・・・連結用凹部
202・・・ガイド筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺骨を収容する収容部と、
漁礁として機能する外形構成材と
を有する骨壺。
【請求項2】
前記外形構成材は、鉄又はコンクリートである
請求項1に記載の骨壺。
【請求項3】
前記外形構成材の外壁面から、前記収容部の内部までを連通させる連通口
をさらに有する請求項1に記載の骨壺。
【請求項4】
前記外形構成材は、他の骨壺と連結するための連結部を有する
請求項1に記載の骨壺。
【請求項5】
骨壺の収容部に、遺骨を収容する収容ステップと、
遺骨が収容された骨壺を水中に設置する設置ステップと
を有する葬送方法。
【請求項6】
前記設置ステップにおいて、遺骨が収容された骨壺は、他の骨壺に連結させた状態で水中に設置される
請求項5に記載の葬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−104393(P2010−104393A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276261(P2008−276261)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(595016440)株式会社アイセル (3)