説明

骨壺

【課題】 樹木葬を容易にする。
【解決手段】 骨壺1の内部には、仕切り部11により仕切られた苗収容部104と骨収容部130とが設けられている。苗収容部104の外壁には、植物の苗を植樹するための植樹用開口100と、植物の根がはい出すための側面開口部102とが設けられており、この苗収容部104には、植物の苗が植樹される。また、苗収容部104と骨収容部130とを仕切る仕切り部11は、木材などの自然分解性の材料で構成されており、骨壺1の埋葬後に、バクテリアなどによって分解され、植物の栄養素となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨壺に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、水溶紙で形成された紙製骨壺が開示されている。
【特許文献1】特開2007−111081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、樹木葬を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明に係る骨壺は、骨灰を入れる骨壺であって、少なくとも骨灰を収めるための骨収容部と、少なくとも苗木を収めるための苗収容部とを有し、前記2つの収容部の仕切り部が自然分解する。
【0005】
好適には、前記苗収容部は、植物の育苗に必要な栄養剤を収容する。
【0006】
好適には、前記骨収容部及び前記苗収容部は、土中に埋設することによって自然分解されて植物の栄養素となる素材から作られてなる。
【0007】
好適には、前記骨収容部及び前記苗収容部は、木材で構成され、これらの収容部の内側は、炭化処理されてなる。
【0008】
好適には、前記苗収容部は、苗木植樹用の開口部を有する。
【0009】
好適には、前記苗収容部は、苗木の根が生育しやすいように孔を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、樹木葬を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本実施形態における骨壺1の斜視図である。
図1に例示するように、骨壺1は、上部構成体10、下部構成体12、及び、引出部13により構成されている。
上部構成体10は、中空となった箱状の形状を有し、その上面には、植樹用開口100が設けられ、その側面には、側面開口102が設けられている。植樹用開口100は、植樹を行うための開口であり、植物の苗などを挿入できる程度の大きさの開口である。
また、側面開口102は、植物の根がはい出すための穴であり、例えば、直径1cm〜10cm程度の開口である。
下部構成体12は、中空となった箱状の形状を有し、その全面には、引出部13を挿入するための開口が設けられている。
引出部13は、下部構成体12に挿入された引出しであり、下部構成体12に対して着脱自在に収容されている。
【0012】
図1では、説明の便宜上、上部構成体10と下部構成体12とを分けて説明しているが、実際には一体である。このように、本例の上部構成体10と下部構成体12とは一体となっているが、これに限定されるものではなく、これらを別体として構成し、互いに連結していてもよい。
【0013】
図2は、骨壺1(図1)の縦断面である。
図2に例示するように、上部構成体10の内部は、苗収容部104が設けられている。
また、下部構成体12の内部には、引出部13が挿入されており、この引出部13に骨収容部130が設けられている。すなわち、引出部13の凹部(受け皿状の部分)が骨収容部130となっている。
苗収容部104と骨収容部130とは、仕切り部11によって仕切られている。本例の仕切り部11は、上部構成体10及び下部構成体12と同じ材質で構成されているが、これに限定されるものではなく、水又はバクテリアなどによって自然分解する材料であれば何でもよい。
【0014】
本例の上部構成体10、仕切り部11、下部構成体12及び引出部13は、木材で構成されている。木材は、バクテリアなどによって分解され、植物の栄養素となる。
また、上部構成体10及び引出部13の内側と、仕切り部11の両面とは、炭化処理によって殺菌されている。木材の炭化処理により、脱臭効果や根腐れ防止が期待できる。
【0015】
次に、図3を参照して、骨壺1を用いた埋葬方法を説明する。
図3は、埋葬された骨壺1を例示する図である。
図3に例示するように、骨灰と元肥料とを混合し、その混合物を引出部13の骨収容部130に納めて、この引出部13を下部構成体12の中に収容する。
次に、苗の育成に必要な栄養剤と土とが収容された苗収容部104に対して、植樹用開口100を介して、所望の苗を植樹する。植樹される苗は、例えば、生前の好みや遺族の希望に合った苗木である。
最後に、苗が植樹された骨壺1を地中に埋める。その際に、図3に例示するように、苗の上部が地表からでるようにする。
なお、骨壺1を地中に埋めた後に植樹を行ってもよい。この場合、骨壺1の上面(植樹用開口100)が地表から現れるように埋めることが望ましい。
【0016】
上記のように骨壺1を用いて埋葬を行えば、植樹された苗が成育して、その根が苗収容部104からはい出してくる。また、仕切り部11なども自然分解されて、苗の根が骨収容部130の骨灰などにも伸びていくことが期待できる。
【0017】
以上説明したように、本実施形態の骨壺1によれば、自然分解する仕切り部11により仕切られた苗収容部104及び骨収容部130に、苗及び遺灰をそれぞれ収容して埋葬することができる。
また、骨壷1の容器の素材と形態の組み合わせにより、樹木葬と苗木活着生によって、自然保護と葬祭とを連動させ、自然界の循環サイクルを蘇生させることが期待できる。
【0018】
[変形例]
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
図4は、骨壺1の第1の変形例を説明する断面図である。
本変形例の骨壺1は、図4に例示するように、上部ユニット120、複数の拡張ユニット122及び下部ユニット124からなる下部構成体12を有する。
上部ユニット120及び下部ユニット124は、図2の下部構成体12を水平面で分断した上部及び下部であり、それらの端部(他のユニットと接続する部分)には、連結機構(例えば、ネジ構造)が設けられている。
また、拡張ユニット122は、図4に例示するように、上部ユニット120又は下部ユニット124と略同一形状の水平断面を有する。したがって、拡張ユニット122は、上部ユニット120の底面、又は、下部ユニット124の天面と連続的に連結できる。また、拡張ユニット122の壁面の厚さは、上部ユニット120又は下部ユニット124の壁面と略同一であることが望ましい。また、拡張ユニット122の上端及び下端には、他の拡張ユニット122、上部ユニット120又は下部ユニット124と連結するための連結機構(例えば、ネジ構造)を有する。これにより、図4に例示するように、上部ユニット120と下部ユニット124との間に、所望の数の拡張ユニット122(本例では2つの拡張ユニット122A及び122B)を挿入し、連結機構で互いに連結させて、所望の容量の下部構成体12を構成することができる。
このように、本変形例によれば、各ユニットを共用して、種々のサイズの下部構成体12を構成することができ、種々の量又はサイズの遺灰を収容可能になる。
【0019】
図5は、骨壺1の第2の変形例を説明する断面図である。
図5に例示するように、引出部13の中に、内箱14を挿入することによって、骨収容部130の大きさ又は形状を調整してもよい。本例では、入れ子状となる複数の内箱14を予め用意しておき、要求される骨収容部130のサイズに応じて、内箱14を順に挿入する。本例の内箱14A〜Bは、互いに相似形状であり、かつ、入れ子状となるようにサイズが異なる。なお、本例では、入れ子状となるように、相似形状の内箱14を用いる形態を説明したが、これに限定されるものではなく、異なる形状の内箱14を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態における骨壺1の斜視図である。
【図2】骨壺1(図1)の縦断面である。
【図3】埋葬された骨壺1を例示する図である。
【図4】骨壺1の第1の変形例を説明する断面図である。
【図5】骨壺1の第2の変形例を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1・・・骨壺
10・・・上部構成体
100・・・植樹用開口
102・・・側面開口
104・・・苗収容部
11・・・仕切り部
12・・・下部構成体
120・・・上部ユニット
122・・・拡張ユニット
124・・・下部ユニット
13・・・引出部
130・・・骨収容部
14・・・内箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨灰を入れる骨壺であって、
少なくとも骨灰を収めるための骨収容部と、
少なくとも苗木を収めるための苗収容部と
を有し、
前記2つの収容部の仕切り部が自然分解する
骨壺。
【請求項2】
前記苗収容部は、植物の育苗に必要な栄養剤を収容する
請求項1に記載の骨壺。
【請求項3】
前記骨収容部及び前記苗収容部は、土中に埋設することによって自然分解されて植物の栄養素となる素材から作られてなる
請求項1に記載の骨壺。
【請求項4】
前記骨収容部及び前記苗収容部は、木材で構成され、
これらの収容部の内側は、炭化処理されてなる
請求項3に記載の骨壺。
【請求項5】
前記苗収容部は、苗木植樹用の開口部を有する
請求項1に記載の骨壺。
【請求項6】
前記苗収容部は、苗木の根が生育しやすいように孔を有する
請求項5に記載の骨壺。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−104458(P2010−104458A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277522(P2008−277522)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(595016440)株式会社アイセル (3)