説明

骨盤位置矯正運動機器

【課題】 骨盤の歪みを矯正するのに要する十分な運動即ち腰部の中央部自体をも立体的に動かす運動を行うことができる骨盤位置矯正運動機器を提供する。
【解決手段】 利用者の上半身部、腰部及び下半身部が、それぞれ載せられる第1台部11、第2台部12及び第3台部13を設け、第2台部12は、そのテーブル14を上記利用者の身長方向、左右方向及び上下方向へ、駆動機構部15からの駆動力により平行移動される3次元稼動テーブル装置で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の腰部を強制的に動かして骨盤の位置を矯正する骨盤位置矯正運動機器に係り、特に、腰部の中心部を立体的に動かすものに関する。
【背景技術】
【0002】
骨盤の歪みは健康上の各種不都合をもたらすが、該歪みを矯正して体調回復するためには、腰部一帯を強制的に動かして、この際の運動により骨盤近辺を柔軟化するのが有効といわれている。このような観点から、従来、腰部一帯を強制的に左右に振る金魚運動用運動機器等の提案がなされてきた。
【0003】
【特許文献1】特開平8−57082号
【特許文献2】特開2002−272875号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような従来から提案されてきた骨盤等の歪み矯正用運動機器は、何れも骨盤近くの一帯を、その略中央部を中心にして(即ちこの部分を支点のようにして)一方向にだけ振るものであり、骨盤近辺を柔軟化しその歪みを矯正するという骨盤矯正効果が十分なものではなかった。
本願発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、骨盤近辺を柔軟化してその歪みを矯正できる十分な運動即ち腰部の中央部自体をも立体的に動かす運動をできる骨盤位置矯正運動機器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明では、骨盤位置矯正運動機器を以下のように構成した。
すなわち、それぞれ所定間隔を空けて連設されており、仰向け状態の利用者の上半身部、腰部及び下半身部が、それぞれ載せられる第1台部、第2台部及び第3台部からなる載台部と、
スイッチ入力を受け、後述の3次元稼動テーブル装置を選択された態様(例えば、上記利用者の身長方向に直交する平面内での円運動、当該利用者の左右方向への直線往復運動或いは当該利用者の上下方向への直線往復運動等)で駆動する駆動制御部とを備え、
上記載台部の第2台部は、
上記利用者の腰部の下に敷かれ該腰部を支える腰部台座と、
当該腰部台座が上面に載置されるテーブルを持ち、上記駆動制御部の制御の下に、当該テーブルを、その上面を水平に保ちながら上記利用者の身長方向、左右方向及び上下方向の3軸方向へ選択的に移動していく上記3次元稼動テーブル装置とを有している構成にした。
【0006】
請求項2の発明では、骨盤位置矯正運動機器を以下のように構成した。
すなわち、それぞれ所定間隔を空けて分離されて連設されており、仰向け状態の利用者の上半身部、腰部及び下半身部が、それぞれ載せられる第1台部、第2台部及び第3台部からなる載台部と、
スイッチ入力を受け、後述の2方向稼動テーブル装置を選択された態様(例えば、上記利用者の身長方向に直交する平面内での円運動、当該利用者の左右方向への直線往復運動或いは当該利用者の上下方向への直線往復運動等)で駆動する駆動制御部とを備え、
上記載台部の第2台部は、
上記利用者の腰部の下に敷かれ該腰部を支える腰部台座と、
当該腰部台座が上面に載置されるテーブルを持ち、上記駆動制御部の制御の下に、当該テーブルを、その上面を水平に保ちながら上記利用者の左右方向及び上下方向の2軸方向へ選択的に移動していく上記2方向稼動テーブル装置とを有している構成にした。
【0007】
請求項3の発明では、請求項1又は2記載の骨盤位置矯正運動機器の腰部台座を低反発マット、板状スポンジ又は温感ヒーターからなるようにした。
【0008】
請求項4の発明では、請求項1、2又は3記載の骨盤位置矯正運動機器の第2台部に、利用者の腰部を当該第2台部の上に固定するためのベルトを取付けた。
【0009】
請求項5の発明では、請求項1、2、3又は4記載の骨盤位置矯正運動機器に、
上記第1台部上に載置されて、上記利用者の頭部又は頭部を含む上半身部がその上面に直接的に載せられる板状スライダーと当該板状スライダーの下方にあり、これを支える下側基体部とからなる頭部側スライダー構造盤と、
上記第3台部上に載置されて、上記利用者の足部又は足部を含む下半身部がその上面に直接的に載せられる板状スライダーと当該板状スライダーの下方にあり、これを支える下側基体部とからなる足部側スライダー構造盤とを追加し、
駆動信号を受け、上記頭部側スライダー構造盤及び上記足部側スライダー構造盤の何れの板状スライダーも、それぞれその下側基体部上で、上記3次元稼動テーブル装置又は上記2方向稼動テーブル装置のテーブルの前記左右方向への移動(即ち移動の左右方向成分)に同期して、同一の向きに当該移動の距離の所定割合の距離を水平移動するようにした。
【発明の効果】
【0010】
以上詳述したように、本願発明によると、骨盤の歪みを矯正するのに要する十分な運動即ち腰部の中央部自体をも立体的に動かす運動をできる骨盤位置矯正運動機器の提供を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明を実施するための最良の実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態の構成を利用者と関係付けて示すものである。当該図1において、符号10が付されているのは、利用者がその上に仰向けに横になる載台部である。この載台部10は、当該利用者の上半身部、腰部及び下半身部が、それぞれ載せられる第1台部11、第2台部12及び第3台部13からなり、それぞれ所定間隔を空けて連設されている。第1台部11及び第3台部13は、同図に示すように、それぞれ4本の脚を有する同じ高さの机状のものになっている。
【0012】
第2台部12は、低反発マット14aが上面に貼着されているテーブル14を有し、該テーブル14を、その上面を水平に保ちながら、上記利用者の身長方向(以下、X方向という)、左右方向(以下、Y方向という)及び上下方向(以下、Z方向という)へ内蔵の駆動機構部15からの駆動力により移動される公知の3次元稼動テーブル装置となっている。
上記駆動機構部15は、それぞれモーターにより回転力が与えられ上記X、Y、Z方向に平行な3本の滑りネジ及びそれらに螺合する滑りナットの組合せにより、構成されており、上記各モーターへ順次与えられる駆動信号の組合せによりテーブル14の上記の様な移動が実現される。このようなテーブル14の移動は、ガイドの役目をするレールと、そのレール上を移動するときにその移動方向と直角方向にも移動する車との組合せでも実現される。そのような観点からは、今回の上記駆動機構部15を用いての駆動方式は、上記機械的方法での駆動を電気的制御により仮想的に実現した3次元仮想レール方式での駆動ともいえる。
【0013】
駆動制御部20は、電源コード21を介して電源が与えられ、図示しないスイッチを操作して所定駆動態様(例えば、上記利用者の身長方向に直交する平面内での円運動及びその円の半径)が指示されたときに、その駆動態様での駆動を実現するための駆動信号を、ケーブル22を介して順次上記駆動機構部15の各モーターに送り、それらを駆動する回路部である。
【0014】
次に、以上のように構成された上記実施の形態の動作について説明する。先ず、利用者は図1に示すように、上半身部、腰部及び下半身部を、それぞれ第1台部11、第2台部12及び第3台部13上に載せて仰向けになる。そして、この状態で、電源コード21を介して電源が供給されている駆動制御部20の図示しない特定のスイッチが操作されて、例えば、利用者が、横になっているままで、プラフープ運動をするようにしたときは、次のようになる。即ち駆動制御部20からは、内蔵のプログラムに基づき、テーブル14をY方向及びZ方向に移動するモーターへ所定の駆動信号が順次送られていき、これによりテーブル14は利用者を輪切りにしたときの切断面に平行な面内で円運動をすることになる。この円運動に伴い上記利用者の腰部即ち骨盤部も円運動をし、プラフープをしたときのような運動をすることになる。
また、駆動制御部20からテーブル14をX方向及びZ方向に移動するモーターに所定の駆動信号が内蔵の所定プログラムに基づき順次送られていったときには、テーブル14は利用者の中心線を含む鉛直面に平行な面内で円運動をすることになる。これに伴い上記利用者の腰部即ち骨盤部も上記鉛直面に平行な面内での円運動をすることになる。
なお、本願発明の範囲は、上記実施の形態に限定されず、種々変形応用が可能である。例えば、上記実施の形態では、第2台部12に公知の3次元稼動テーブル装置を用いたが、骨盤矯正運動として上記フラフープ運動のように、利用者を輪切りにしたときの切断面に平行な面内だけでの運動をする場合には、テーブルをY方向、Z方向だけに移動する2方向稼動テーブル装置としても良いことは無論である。
また、第1台部11上に、上記利用者の頭部又は頭部を含む上半身部がその上面に直接的に載せられる板状スライダーと当該板状スライダーの下方にあり、これを支える下側基体部とからなる頭部側スライダー構造盤を載置すると共に、
第3台部13上に、上記利用者の足部又は足部を含む下半身部がその上面に直接的に載せられる板状スライダーと当該板状スライダーの下方にあり、これを支える下側基体部とからなる足部側スライダー構造盤を載置して、
駆動制御部20からの駆動信号を受け、上記頭部側スライダー構造盤及び上記足部側スライダー構造盤の何れの板状スライダーも、それぞれその下側基体部上で、上記3次元稼動テーブル装置又は上記2方向稼動テーブル装置のテーブルの前記左右方向への移動(即ち移動の左右方向成分)に同期して、同一の向きに当該移動の距離の所定割合の距離を水平移動する(例えば、上記所定割合を30パーセントとすると、テーブルの移動の左右方法成分が右側への10センチメートルのときには、両板状スライダーは右側に3センチメートルだけ水平移動する)ようにしてもよい。このようにしたときは、上記両板状スライダーの移動は、上記テーブルの移動をある程度相殺することになり、利用者の腰部に与える影響が軽減されて、多様なレベルでの骨盤矯正運動が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本願発明は、骨盤の歪みを矯正する運動を行う際に用いる骨盤位置矯運動機器を製造する産業において利用される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願発明の一実施の形態の構成を利用者との関係で示す図である。
【符号の説明】
【0017】
10 載台部
11 第1台部
12 第2台部
13 第3台部
14 テーブル
15 駆動機構部
20 駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ所定間隔を空けて連設されており、仰向け状態の利用者の上半身部(腰部に属する部分を除く。以下において同じ)、腰部及び下半身部(腰部に属する部分を除く。以下において同じ)が、それぞれ載せられる第1台部、第2台部及び第3台部からなる載台部と、
スイッチ入力を受け、後述の3次元稼動テーブル装置を、選択された態様で駆動する駆動制御部とを備え、
上記載台部の第2台部は、
上記利用者の腰部の下に敷かれ該腰部を支える腰部台座と、
当該腰部台座が上面に載置されるテーブルを持ち、上記駆動制御部の制御の下に、当該テーブルを、その上面を水平に保ちながら上記利用者の身長方向、左右方向及び上下方向の3軸方向へ選択的に移動していく上記3次元稼動テーブル装置とを有していることを特徴とする骨盤位置矯正運動機器。
【請求項2】
それぞれ所定間隔を空けて連設されており、仰向け状態の利用者の上半身部、腰部及び下半身部が、それぞれ載せられる第1台部、第2台部及び第3台部からなる載台部と、
スイッチ入力を受け、後述の2方向稼動テーブル装置を選択された態様で駆動する駆動制御部とを備え、
上記載台部の第2台部は、
上記利用者の腰部の下に敷かれ該腰部を支える腰部台座と、
当該腰部台座が上面に載置されるテーブルを持ち、上記駆動制御部の制御の下に、当該テーブルを、その上面を水平に保ちながら上記利用者の左右方向及び上下方向の2軸方向へ選択的に移動していく上記2方向稼動テーブル装置とを有していることを特徴とする骨盤位置矯正運動機器。
【請求項3】
上記腰部台座は、低反発マット、板状スポンジ又は温感ヒーターからなることを特徴とする請求項1又は2記載の骨盤位置矯正運動機器。
【請求項4】
上記第2台部には、利用者の腰部を当該第2台部の上に固定するためのベルトが取付けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の骨盤位置矯正運動機器。
【請求項5】
上記第1台部上に載置されて、上記利用者の頭部又は頭部を含む上半身部がその上面に直接的に載せられる板状スライダーと当該板状スライダーの下方にあり、これを支える下側基体部とからなる頭部側スライダー構造盤と、
上記第3台部上に載置されて、上記利用者の足部又は足部を含む下半身部がその上面に直接的に載せられる板状スライダーと当該板状スライダーの下方にあり、これを支える下側基体部とからなる足部側スライダー構造盤とを備え、
駆動信号を受け、上記頭部側スライダー構造盤及び上記足部側スライダー構造盤の何れの板状スライダーも、それぞれその下側基体部上で、上記3次元稼動テーブル装置又は上記2方向稼動テーブル装置のテーブルの前記左右方向の移動に同期して、同一の向きに当該移動の距離の所定割合の距離を移動するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の骨盤位置矯正運動機器。

【図1】
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【公開番号】特開2009−183351(P2009−183351A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24031(P2008−24031)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(506424472)株式会社D.I.D.Y (2)