説明

骨髄イメージング剤としての99mTc−ペプチド系化合物の応用

本発明は、骨髄イメージングにおけるペプチド系化合物の使用に関係する方法及び材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、血管新生に関連するレセプター、特にインテグリンレセプター(例えば、αvβ3インテグリンレセプター)と結合するターゲティングベクターとしての99mTc−ペプチド系化合物の使用に関する。このように、かかる造影剤は、溶血性貧血、骨髄増殖性疾患又は骨髄線維症の診断、生検部位の選定及び骨格転移の早期検出、並びに大腿骨頭の虚血壊死の検出のために使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨髄イメージングにおけるペプチド系化合物の使用に関係する方法及び材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、血管新生に関連するレセプター、特にインテグリンレセプター(例えば、αvβ3インテグリンレセプター)と結合するターゲティングベクターとしての99mTc−ペプチド系化合物の使用に関する。このように、かかる造影剤は、溶血性貧血、骨髄増殖性疾患又は骨髄線維症の診断、生検部位の選定及び骨格転移の早期検出、並びに大腿骨頭の虚血壊死の検出のために使用できる。
【背景技術】
【0002】
新しい血管は、脈管形成(vasculogenesis)及び血管新生(angiogenesis)という2つの異なる機構によって形成され得る。血管新生とは、既存の血管からの枝分れによる新しい血管の形成である。このような過程をもたらす主な刺激は、組織中の細胞への栄養素及び酸素の供給不足(低酸素症)であり得る。細胞は数多くの血管新生因子を分泌することで応答し得るが、その一例としてしばしば言及されるのが血管内皮増殖因子(VEGF)である。これらの因子は、基底膜のタンパク質を分解するタンパク分解酵素並びにこれらの潜在的に有害な酵素の作用を制限する阻害物質の分泌を開始させる。血管新生因子の他の顕著な作用は、内皮細胞の移動及び分裂を引き起こすことである。管腔の反対側で血管の周囲に連続シートを形成している基底膜に付着した内皮細胞は、有糸分裂を起こさない。付着の喪失及び血管新生因子に対するレセプターからのシグナルの総合効果により、内皮細胞の移動、増殖及び再配列が起こり、最終的に新しい血管の周囲に基底膜が合成される。
【0003】
血管新生は、創傷治癒及び炎症の過程をはじめとする組織の増殖及び再構築に際して顕著である。腫瘍がミリメートルサイズに達したとき、その増殖速度を維持するために血管新生を開始しなければならない。血管新生は、内皮細胞及びその環境の特徴的な変化を伴う。これらの細胞の表面は移動に備えて再構築され、基底膜が分解されたところには、タンパク質分解の実行及び制御に関与する各種のタンパク質に加えて潜在的な構造が露出される。腫瘍の場合、結果として生じる血管ネットワークは通常は組織化されておらず、急激なねじれ及び動静脈シャントを形成している。血管新生の阻害はまた、抗腫瘍療法のための有望な方策であると考えられている。血管新生を伴う変態はまた診断のためにも非常に有望であり、明らかな例としては悪性疾患がある。この概念はまた、炎症及びアテローム性動脈硬化症(初期アテローム性動脈硬化症病変部のマクロファージは血管新生因子の潜在的な発生源である)を含む様々な炎症関連疾患でも大きな有望性を示す。これらの因子はまた、短時間のうちに狭窄が開放された場合に起こる心筋の梗塞部の血管再生にも関与している。
【0004】
新脈管形成又は血管新生、即ち新しい血管の発生又は増殖に関連した望ましくない状態のさらなる例を以下に示す。これに関しては、国際公開第98/47541号も参照されたい。
【0005】
血管新生に関連した疾患及び適応症は、例えば、乳癌、皮膚癌、結腸直腸癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌又は卵巣癌などの様々な形態の癌及び転移である。
【0006】
その他の疾患及び適応症には、炎症(例えば、慢性炎症)、アテローム性動脈硬化症、慢性関節リウマチ及び歯肉炎がある。
【0007】
血管新生に関連したさらに他の疾患及び適応症は、動静脈奇形、星細胞腫、絨毛癌、グリア芽細胞種、神経膠腫、血管腫(小児性、毛細血管性)、肝細胞腫、過形成性子宮内膜症、虚血性心筋症、子宮内膜症、カポジ肉腫、黄斑変性症、黒色腫、神経芽細胞腫、閉塞性末梢動脈疾患、骨関節炎、乾癬、網膜症(糖尿病性、増殖性)、強皮症、精上皮腫及び潰瘍性大腸炎である。
【0008】
血管新生には、内皮細胞及び周囲組織に特有のレセプターが関与する。これらのマーカーには、VEGFのような増殖因子レセプター及びインテグリンファミリーのレセプターがある。免疫組織化学的研究により、各種のインテグリン(最も重要なのはおそらくαvクラス)が血管の頂端面で発現され[Conforti,G.,et al.(1992)Blood 80:37−446]、循環リガンドによるターゲティングのために利用できる[Pasqualini,R.,et al.(1997)Nature Biotechnology 15:542−546]ことが実証されている。α5β1もまた、フィブロネクチンマトリックスの構築を促進し、フィブロネクチンへの細胞付着を開始させる重要なインテグリンである。それはまた、細胞移動[Bauer,J.S.,(1992)J.Cell Biol.116:477−487]並びに腫瘍の浸潤及び転移[Gehlsen,K.R.,(1988)J.Cell Biol.106:925−930]にも重要な役割を果たす。
【0009】
インテグリンαvβ3は、血管新生に関連することが知られているレセプターの1つである。αvβ3インテグリンレセプター/リガンド相互作用の拮抗剤がアポトーシスを誘起して血管増殖を阻害するので、刺激を受けた内皮細胞が血管新生過程の臨界期に生存することはこのレセプターに依存していると考えられる。
【0010】
インテグリンはヘテロ二量体分子であり、αサブユニットとβサブユニットは細胞膜脂質二重層を貫通している。αサブユニットはその細胞外鎖に4つのCa2+結合ドメインを有し、βサブユニットはシステインリッチな細胞外ドメインを多数有している。
【0011】
細胞接着に関与する多くのリガンド(例えば、フィブロネクチン)は、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)のトリペプチド配列を含んでいる。RGD配列は、この配列を示すリガンドと細胞表面上のレセプターとの間の一次認識部位として作用するように思われる。一般に、リガンドとレセプターとの二次相互作用が相互作用の特異性を高めると考えられている。これらの二次相互作用は、リガンド及びレセプターのうちでRGD配列にすぐ隣接した部分の間又はRGD配列から遠く離れた部位で起こり得る。
【0012】
RGDペプチドは一定範囲のインテグリンレセプターに結合することが知られており、臨床的状況で重要な用途をもつ数多くの細胞イベントを調節できる可能性を有する(Ruoslahti,J.Clin.Invest.,87:1−5(1991))。おそらく最も広く研究されたRGDペプチド及びその模倣体の作用は抗血栓剤としての使用に関するものであり、これらは血小板インテグリンGpIIbIIIaを標的としている。
【0013】
αvβ3又はαvβ5拮抗剤の投与による組織内での血管新生の阻害は、例えば国際公開第97/06791号及び同第95/25543号に記載されており、抗体又はRGD含有ペプチドが用いられている。欧州特許出願公開第578083号には、一連の単環式RGD含有ペプチドが記載されており、国際公開第90/14103号の特許請求の範囲には、RGD抗体が記載されている。Haubner et al.,J.Nucl.Med.(1999);40:1061−1071には、腫瘍を標的とする新種の単環式RGD含有ペプチド系トレーサーが記載されている。ただし、全身オートラジオグラフィーイメージングを用いた生体分布試験では、125I標識ペプチドは血中クリアランスが非常に速く、肝胆道排泄経路が主であるので、高いバックグラウンドを生じることが判明した。
【0014】
複数の架橋を含む環状RGDペプチドもまた、国際公開第98/54347号及び同第95/14714号に記載されている。インビボバイオパニングで得られたペプチド(国際公開第97/10507号)が様々なターゲティング用途に使用されている。CDCRGDCFC(RGD−4C)配列が、細胞へのドキソルビシン(国際公開第98/10795号)、核酸及びアデノウイルス(国際公開第99/40214号、同第99/39734号、同第98/54347号、同第98/54346号、米国特許第5846782号参照)のような薬物のターゲティングに使用されている。しかし、複数のシステイン残基を含むペプチドには、複数のジスルフィド異性体を生じかねないという欠点がある。RGD−4Cのような4つのシステイン残基を有するペプチドは、3種類の異なるジスルフィド折り畳み構造を形成する可能性がある。RGDファルマコフォアは3つの異なる高次構造になるので、これらの異性体はインテグリンレセプターに対して様々に異なる親和性を有する。
【0015】
RGD含有ペプチド系化合物のさらに他の例は、国際特許出願PCT/NO01/00146号及び同PCT/NO01/00390号に見出される。
【0016】
しかし、機能している骨髄の全身図を与えることで骨髄サンプリングエラーを解消する骨髄評価方法に対するニーズが存在している。骨髄の吸引及び生検は骨髄を評価するための公知技法であるが、この評価は全造血器官の小部分に限定される。放射性核種骨髄イメージングは、機能している骨髄の全身図を与えることで骨髄サンプリングエラーを解消する簡単な技法である。
【0017】
血管新生に関連するレセプター、特にインテグリンレセプター(例えば、αvβ3インテグリンレセプター)と結合するターゲティングベクターとして99mTc−ペプチド系化合物を使用することで、本発明は骨髄を評価する必要性を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
米国特許出願公開第2002/006607号明細書
【発明の概要】
【0019】
本文書は、骨髄イメージングにおけるペプチド系化合物の使用に関係する方法及び材料を提供する。本明細書に記載される通り、骨髄におけるαvβ3インテグリンポリペプチドの発現は、機能している骨髄の完全な全身図を与えることで骨髄サンプリングエラーを解消するために役立ち得る。
【0020】
骨髄の吸引及び生検は骨髄を評価するための優れた技法であるが、この評価は全造血器官の小部分に限定される。放射性核種骨髄イメージングは、機能している骨髄の全身図を与えることで骨髄サンプリングエラーを解消する簡単な技法である。さらに、この方法は非侵襲的であると共に、骨髄の組織学的所見と臨床状態との不一致(おそらくは骨髄サンプリングエラー)、放射線療法及び化学療法後にさらなる治療が検討されている場合における活性骨髄量の測定、骨髄外造血部位の検出、骨髄生検のための最適部位の位置決定、び漫性血液学的疾患の診断及びステージング、転移の検出、溶血性貧血における骨髄梗塞の診断、並びに大腿骨頭の虚血壊死の検出を含む多数の臨床的問題を評価するための非外傷的方法を提供する。
【0021】
大別して2種の骨髄イメージング剤、即ち放射性鉄のような赤血球前駆体に組み込まれるもの及び網状内皮系(RES)によって取り込まれるコロイドが存在する。本発明は、放射性鉄のような赤血球前駆体に関するものである。99mTc−ペプチド系化合物はアルブミンを基剤としておらず、したがってこの生成物は99mTc−アルブミンナノコロイドに比べて広範囲の用途を有している。さらに、99mTc−NC100692のインビボ特性は、現行の骨髄イメージング放射性医薬品より優れたイメージング特性を与える。
【0022】
特記しない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
骨髄の放射性核種イメージングは、溶血性貧血、骨髄増殖性疾患又は骨髄線維症で起こる、骨髄分布の欠陥、不均一な骨髄分布又は長骨への活性骨髄の拡張を可視化するために有用である。骨髄イメージングはまた、生検部位の選定並びに骨格転移の早期検出も支援する。
【0024】
本文書は、骨髄イメージングにおけるペプチド系化合物の使用に関係する方法及び材料を提供する。本明細書に記載される通り、骨髄におけるαvβ3インテグリンポリペプチドの発現は、機能している骨髄の完全な全身図を与えることで骨髄サンプリングエラーを解消するために役立ち得る。
【0025】
本発明は、血管新生に関連するレセプター、特にインテグリンレセプター(例えば、αvβ3インテグリンレセプター)と結合するターゲティングベクターとしての99mTc−ペプチド系化合物の使用に関する。このように、かかる造影剤は、溶血性貧血、骨髄増殖性疾患又は骨髄線維症の診断、生検部位の選定及び骨格転移の早期検出、並びに大腿骨頭の虚血壊死の検出のために使用できる。
【0026】
骨髄においてαvβ3インテグリンポリペプチドが発現されているか否かを判定するためには、任意の方法が使用できる。例えば、αvβ3インテグリンポリペプチドを発現している細胞と結合する分子に骨髄組織を接触させればよい。骨髄組織に対するかかる分子の結合レベルを検出すればよい。組織に結合した分子の存在は、組織がαvβ3インテグリンポリペプチドを有することを表し得る。組織に結合した分子の不存在、又は組織に結合した分子の僅かに検出可能なレベルの存在は、組織がαvβ3インテグリンポリペプチドを発現していないか、或いは低レベルのαvβ3インテグリンポリペプチドを発現していることを表し得る。
【0027】
αvβ3インテグリンポリペプチドは、αv及びβ3ポリペプチドサブユニットを有する任意のインテグリンポリペプチドであり得る。インテグリンαvポリペプチドの例には、ヒトインテグリンαvポリペプチド(例えば、GenBank(登録商標)GI nos.gi4504763及びgi466372に示されたヒトインテグリンαvポリペプチド)がある。インテグリンβ3ポリペプチドの例には、ヒトインテグリンαvポリペプチド(例えば、GenBank(登録商標)GI nos.gi54124349及びgi386833に示されたヒトインテグリンβ3ポリペプチド)がある。インテグリンαv及びβ3ポリペプチドの例にはまた、インテグリンαv及びβ3ポリペプチドの変異体並びにインテグリンαv及びβ3ポリペプチドの相同体及びオルソログもある。
【0028】
αvβ3インテグリンポリペプチドを有する細胞に結合し、細胞上のαvβ3インテグリンポリペプチドと結合した場合に検出できる任意の分子は、骨髄におけるαvβ3インテグリンポリペプチドの存在、不存在又は低レベルを評価するために使用できる。例えば、RGDペプチド、小分子のαvβ3インテグリン拮抗剤、レクチン又は抗αvβ3インテグリン抗体は、骨髄によってαvβ3インテグリンポリペプチドが発現されているか否かを判定するために使用できる。
【0029】
RGDペプチドは、アルギニン、グリシン、アスパラギン酸アミノ酸配列を含む任意のポリペプチドであり得る。RGDペプチドの例には、特に限定されないが、99mTc−NC100692(Mousa,J.Cardiovasc.Pharmacol.45:462(2005))がある。RGDペプチドは、単量体ペプチド又は多量体(例えば、二量体)ペプチドであってよい。RGDペプチドはまた、環状であってもよく、(例えば、ジスルフィド結合によって)安定化されていてもよい。さらに、RGDペプチドは、PEG化又はオリゴマー(例えば、コンジュゲート化RGDペプチドの経口投与或いはその薬物動態学的又は薬力学的プロファイルの改善を可能にする短い両親和性オリゴマー)への共有結合によって修飾することができる。オリゴマーとしては、水溶性ポリエチレングリコール(PEG)及び脂溶性アルキルが挙げられる。
【0030】
抗体は、特に限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化キメラ抗体又は単鎖抗体、或いは結合活性を有する抗体フラグメントであり得る。抗体は、任意のタイプ(IgG、IgM、IgD又はIgY)、クラス(IgG4又はIgA2)或いはサブクラスのものであり得る。さらに、抗体はヒト、ウサギ、ヒツジ又はヤギ由来のものであり得る。抗体は、天然品、組換え体又は合成品であり得る。抗体は、当技術分野で公知の任意適宜の方法を用いて生成しかつ精製することができる。
【0031】
αvβ3インテグリンポリペプチドを有する細胞と結合する分子は、検出のために標識することができる。αvβ3インテグリンポリペプチドを有する細胞と結合し得る分子はまた、αvβ3インテグリンポリペプチドを有する細胞と結合する標識分子を用いて間接的に検出することもできる。
【0032】
分子がαvβ3インテグリンポリペプチドを発現する細胞と結合するか否かを判定するための任意の方法が使用できる。さらに、骨髄細胞又は組織を対象としてαvβ3インテグリンポリペプチドの発現レベルを決定するための方法が使用できる。
【0033】
本文書は、医学又は研究の専門家が骨髄組織の欠陥の有無を判定することを支援するための方法及び材料を提供する。医学の専門家とは、特に限定されないが、医師、看護師、医学実験技術者及び薬剤師であり得る。研究の専門家とは、特に限定されないが、研究者、研究技術者、博士課程修了後の実習生及び大学院学生であり得る。
【0034】
別の人間(専門家)に情報を伝達するための任意適宜の方法が使用できる。
【0035】
αvβ3インテグリンポリペプチドが被験体の骨髄に見出される場合、これは異常の指標である。或いは、被験体の骨髄中のαvβ3の量が痕跡量を超えている場合、これは異常である。骨髄組織又は細胞でのαvβ3インテグリンポリペプチドの発現が取るに足らない値を有する場合、これは正常と考えられる。
【0036】
本発明の一実施形態は、骨髄組織の異常を評価するための方法であって、当該方法は前記骨髄組織又は細胞がαvβ3インテグリンポリペプチドを発現しているか否かを判定する段階を含んでなり、前記αvβ3インテグリンポリペプチドを発現していることは前記骨髄が異常であることを表し、前記αvβ3インテグリンポリペプチドをほとんど又は全く発現していないことは前記骨髄が正常であることを表す方法を示している。
【0037】
本発明の別の方法は、前記骨髄組織がヒトの骨髄組織であることを示している。本明細書の目的では、「組織」という用語は哺乳動物又はヒトの細胞を包含する。
【0038】
本発明はさらに、前記判定段階が、前記αvβ3インテグリンポリペプチドとの結合能力を有する標識分子に骨髄組織を接触させることを含む方法を開示している。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態は、前記標的分子が抗体である方法を含んでいる。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態は、前記標識分子がRGDペプチドであり、さらには前記標識分子が99mTc−NC−100692である方法を含んでいる。
【0041】
別の実施形態は、前記標識分子が骨髄組織を有する哺乳動物に投与される方法を含んでいる。
【0042】
本発明のさらに別の実施形態は、骨髄組織を評価するための方法であって、当該方法は前記骨髄組織にαvβ3インテグリンポリペプチドの発現が欠如しているか否かを判定する段階を含んでなり、前記αvβ3インテグリンポリペプチドの発現の欠如は前記骨髄が正常であることを表す方法を示している。
【0043】
別の実施形態は、前記骨髄組織がヒトの骨髄組織である方法を含んでいる。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態は、前記判定段階が、前記αvβ3インテグリンポリペプチドとの結合能力を有する標識分子に前記骨髄組織を接触させることを含む方法を示している。
【0045】
本発明のさらに他の実施形態は、前記標的分子が抗体であることを開示し、さらに前記標識分子がRGDペプチドであり、さらにはRGDペプチドが99mTc−NC−100692であることを開示している。
【0046】
本発明の別の実施形態は、前記標識分子が骨髄組織を有する哺乳動物に投与される方法である。
【実施例】
【0047】
次に、以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに例示する。
【0048】
実施例1
臨床試験における欠陥骨髄組織の検出
以下の臨床試験は、正常骨髄と欠陥骨髄とを識別するためにαvβ3インテグリンの発現を使用することの改善された感度及び特異性を立証するために実施される。主たる最終目標は診断の正確さである。患者は積極的な患者集団から採用される。管理アルゴリズムは、通例、臨床経験、放射線学的外観、外観の変化速度、及び患者の好みに基づいている。管理の誘導を支援するために使用される他の試験としては、CTコントラスト増強、骨髄吸引、生検及び放射性核種骨髄イメージングをはじめとしていくつかの方法が存在している。
【0049】
被験体は、異常骨髄の評価を受けに来た患者である。同意後、被験体は2つの試験群のいずれかに無作為に分類される。第1群にはいかなる介入(医師の通常の医療)も行わず、第2群にはαvβ3インテグリン発現の試験に加えて通常の臨床的処置が施される。αvβ3インテグリン発現試験による診断の正確さは、骨髄の診断が行われるまでこれらの群を追跡することで判定される。3名の熟練した放射線専門医のうちの1名によって画像解析が実施される。彼らには、被験体の臨床履歴及び他の試験結果は知らされない。診断の正確さは、通常の医療によって処置された骨髄の最終診断と比較して評価される。感度、特異性並びに陽性及び陰性の予測価が算出される。
【0050】
特定の実施形態及び参考文献の引用
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態によって技術的範囲が限定されるべきでない。実際、本明細書に記載されたものに加えて、当業者には本発明の様々な変更態様が上述の説明及び添付の図面から明らかとなろう。かかる変更態様は添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0051】
様々な刊行物及び特許出願を本明細書で引用したが、それらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄組織の異常を評価するための方法であって、当該方法は前記骨髄組織又は細胞がαvβ3インテグリンポリペプチドを発現しているか否かを判定する段階を含んでなり、前記αvβ3インテグリンポリペプチドを発現していることは前記骨髄が異常であることを表し、前記αvβ3インテグリンポリペプチドをほとんど又は全く発現していないことは前記骨髄が正常であることを表す、方法。
【請求項2】
前記骨髄組織がヒトの骨髄組織である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記判定段階が、前記αvβ3インテグリンポリペプチドとの結合能力を有する標識分子に骨髄組織を接触させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記標的分子が抗体である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記標識分子がRGDペプチドである、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記標識分子が99mTc−NC−100692である、請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記標識分子が骨髄組織を有する哺乳動物に投与される、請求項3記載の方法。
【請求項8】
骨髄組織を評価するための方法であって、当該方法は前記骨髄組織にαvβ3インテグリンポリペプチドの発現が欠如しているか否かを判定する段階を含んでなり、前記αvβ3インテグリンポリペプチドの発現の欠如は前記骨髄が正常であることを表す、方法。
【請求項9】
前記骨髄組織がヒトの骨髄組織である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記判定段階が、前記αvβ3インテグリンポリペプチドとの結合能力を有する標識分子に前記骨髄組織を接触させることを含む、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記標的分子が抗体である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記標識分子がRGDペプチドである、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記標識分子が99mTc−NC−100692である、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記標識分子が骨髄組織を有する哺乳動物に投与される、請求項10記載の方法。

【公表番号】特表2012−513589(P2012−513589A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542321(P2011−542321)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/067987
【国際公開番号】WO2010/075058
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(305040710)ジーイー・ヘルスケア・リミテッド (99)
【Fターム(参考)】