説明

高いジルコニア含有量を有する耐火物

【課題】高いジルコニア含有量を有する耐火物を提供する。
【解決手段】酸化物に基づく重量%で、合計を100%として、
ZrO:100%の残余、
HfO:<5%、
SiO:2%〜10%、
0.9%<Y+CeO+CaO+MgO≦4.0%、
:≦4.5%、
:≧0.09×(Y+1/3(CeO+CaO+MgO))×SiO
Al:0.3%〜2.0%、
NaO+KO:≦0.5%、
:<0.05%、
Fe+TiO:<0.55%、
他の種:<1.0%、
を含む、ただしY含有量が0.5%以上であるまたはCeO+CaO+MgOの含有量が2%以上である、溶融されそしてキャスト成形された耐火物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高いジルコニア含有量を有する新規な溶融されそしてキャスト成形された(fused and cast)耐火物に関する。
【背景技術】
【0002】
耐火物のうち、ガラス溶融炉の構成のために周知である溶融されそしてキャスト成形された物と、焼結された物とは区別される。
【0003】
焼結された物と対照的に、溶融されそしてキャスト成形された物は一般に、結晶粒子を互いに結合する粒間ガラス質相を含む。したがって、焼結された物が有する問題と溶融されそしてキャスト成形された物が有する問題、およびそれらを解決するために採用される技術的解決法は、一般に異なる。したがって、焼結された物を製造するために開発された組成物は、経験的に、溶融されそしてキャスト成形された物を製造するためには使用できない。その逆もそうである。
【0004】
溶融されそしてキャスト成形された物は、しばしば電鋳物と呼ばれ、適する原料の混合物を電気アーク炉において溶融することによって、またはこれらの物に適する任意の他の技術によって得られる。溶融された材料は次いで型に注入され、次いで、得られた物が、亀裂を生じることなく環境温度になるように、制御された冷却サイクルを受ける。この操作を、当業者は「アニーリング」と言う。
【0005】
溶融されそしてキャスト成形された物のうち、高いジルコニア含有量を有する電鋳物は、製造されたガラスの着色や欠陥の発生を伴わないで非常に高い腐食耐性を有するという品質のために有名である。
【0006】
従来、高いジルコニア含有量を有する溶融されそしてキャスト成形された物はまた、その物の中に存在するジルコニアおよびシリカからのジルコンの形成を防ぐために酸化ナトリウム(NaO)を含む。ジルコンの形成は、20%のオーダーの体積低下を伴い、したがって、亀裂をもたらす機械的応力を生じるので、実際、有害である。
【0007】
フランス特許第2701022号明細書は、7.0〜11.2重量%のSiO、0.05〜1.0重量%のP、0.05〜1.0重量%の酸化ホウ素Bおよび0.01〜0.12重量%のNaO+KOを含む、高いジルコニア含有量を有する溶融されそしてキャスト成形された物を記載している。
【0008】
フランス特許第2723583号明細書は、3〜8重量%のSiO、0.1〜2.0重量%のAl、0.05〜3.0重量%の酸化ホウ素B、0.05〜3重量%のBaO+SrO+MgO、および0.05〜0.6重量%のNaO+KOならびに0.3重量%未満のFe+TiOを含む、高いジルコニア含有量を有する溶融されそしてキャスト成形された物を記載している。
【0009】
フランス特許第2836682号明細書は、2〜8重量%のSiO、0.2〜2.0重量%のAl、0.12〜1.0重量%のNaO、および0.5〜2.6重量%のY+CaOを含む、高いジルコニア含有量を有する溶融されそしてキャスト成形された物を記載している。
【0010】
Societe Europeenne des Produits Refractaires (“European Refractory Products Company”)によって製造され市販され、欧州特許第403387号明細書によってカバーされている製品ER−1195は、ガラス溶融炉において現在広く使用されている。その化学組成は、約94%のジルコニア、4〜5%のシリカ、約1%のアルミナ、0.3%の酸化ナトリウムおよび0.05重量%未満のPを含む。それは、ガラス製造炉のために使用される高いジルコニア含有量を有する物の典型である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】フランス特許第2701022号明細書
【特許文献2】フランス特許第2723583号明細書
【特許文献3】フランス特許第2836682号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの物は良好な性能を有するが、良好な実現可能性(feasibility)および長い寿命を提供する、高いジルコニア含有量を有する溶融された物のための要求がなおもあり、ガラス製造炉タンクにおいて使用されるときは特にそうである。
【0013】
本発明は、この要求を満たすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、酸化物に基づく重量%で、合計を100%として、
ZrO:100%の残余、
HfO:<5%、
SiO:2%〜10%、
+CeO+CaO+MgO:0.8%〜4.0%、
:≦4.5%、
:≧0.09×(Y+1/3(CeO+CaO+MgO))×SiO
Al:0.3%〜2.0%、
NaO+KO:≦0.5%、
:<0.05%、
Fe+TiO:<0.55%、
他の種:<1.5%、
を含む、ただしY含有量が0.5%以上または0.7%以上であり、またはCeO+CaO+MgOの含有量が2%以上である、溶融されそしてキャスト成形された耐火物を提案する。
【0015】
ガラス製造炉のタンクのブロックは、使用時に、溶融ガラスと接触する面(「熱い面」)からタンクの外側の露出面(「冷たい面」)へと低下する温度にさらされる。現在、高ジルコニア含有量を有する物は一般的に、これら2つの面の温度の間に最大膨張温度を有する。2つの隣接したブロックは従って、それらが少なくとも、この最大膨張温度にさらされる領域では常に接触したままであるように組み立てられる。これは、少なくともこの臨界領域では、それらがタンクの不浸透性を付与することができるであろうことを確実にする。この臨界領域における腐食を制限することが重要である。
【0016】
しかし、溶融ガラスによる腐食は一般に、温度と共に増加する。したがって、本発明者らは、上記臨界領域をブロックの冷たい面の方へ移すために、ブロックの材料の最大膨張温度を低くすることを試すのが有利であろうと考えた。このようにして、この臨界領域は、従来よりも粘性が高くかつ腐食性が小さい溶融ガラスと接触し得る。
【発明の効果】
【0017】
明細書の下記においてより詳細に示されるように、本発明者らは、研究の結果、本発明の物が、顕著な膨張挙動を有し、特に、低下された最大膨張温度を有することを見出した。さらに、この物は、高い工業的実現可能性を保持する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1実施態様では、本発明に従う物が、酸化物CeO、CaOおよびMgOの各々を0.5%未満、0.3%未満、または0.1%未満すらを含み、またはこれらの酸化物を全く含まない。上記酸化物は、不純物として存在し得るのみであり得る。本発明者らは、実際、Yが最良の結果をもたらすことを観察した。
【0019】
本発明に従う物は、下記の任意的な特性の1以上をさらに含み得、後述する特定の実施態様に従う場合を包含し、これらの任意的な特徴は、上記特定の実施態様と矛盾しない。
好ましくはB≧0.095×(Y+1/3(CeO+CaO+MgO))×SiOである、
好ましくはB≧0.1×(Y+1/3(CeO+CaO+MgO))×SiOである、
ZrO+HfOの重量による含有量が97.0%未満または96.5%未満ですらあり、および/または85.0%超または86.0%超である、
SiOの重量による含有量が2.5%超または3.0%超ですらあり、および/または9.0%未満または8.0%未満または7.0%未満、または6.0%未満ですらある、
MgOの重量による含有量が0.7%未満、0.5%未満、0.3%未満であり、および/または0.1%超である、
CeOの重量による含有量が0.7%未満、0.5%未満、0.3%未満であり、および/または0.1%超である、
CaOの重量による含有量が0.7%未満、0.5%未満、0.3%未満であり、および/または0.1%超である、
酸化物MgO、CeOおよびCaOの各々の重量による含有量が0.5%未満、0.3%未満、または0.2%未満ですらある、
O+CeO+CaO+MgOの重量による含有量が0.9%超であり、および/または3.5%未満、または3.0%未満ですらある、
Oの重量による含有量が0.5%超、または0.6%超、または0.7%超、または0.8%超、または0.85%超、または0.9%超ですらあり、および/または3.0%未満、または2.5%未満、または2.0%未満、または1.5%未満、または1.3%未満ですらある、
酸化ホウ素Bの重量による含有量が0.2%超、または0.3%超、または0.4%超ですらあり、および/または3.5%未満、3%未満、2.5%未満、2.0%未満、1.5%未満、または1.0%未満ですらある、
アルミナAlの重量による含有量が1.5%未満、または1.2%未満、または1.0%未満ですらある、
アルミナAlの重量による含有量が0.4%超、または0.6%超、または0.7%超ですらある、
酸化ナトリウムNaOおよび酸化カリウムKOの重量による含有量の合計が0.4%未満、または0.3%未満、または0.2%である、
酸化ナトリウムNaOが不純物としてのみ存在し、その重量による含有量が0.2%未満、または0.1%未満ですらある、
酸化カリウムKOが不純物としてのみ存在し、その重量による含有量が0.2%未満、または0.1%未満ですらある、
酸化鉄および/または酸化チタン、Fe+TiO、の重量による含有量が0.4%未満、好ましくは0.3%未満、好ましくは0.2%未満である、
BaOの重量による含有量が0.1%未満、または0.05%未満ですらある、
他の種の重量による合計含有量が1.0%未満、0.6%未満、0.5%未満、または0.3%未満ですらある、
他の種が不純物のみからなる、
任意の他の種の重量による含有量が0.4%未満、または0.3%未満、または0.2%未満ですらある、
酸化物が、上記物の質量(mass)の98%超、99%超、またはほぼ100%を占める。
【0020】
特定の実施態様によれば、本発明は、酸化物に基づく重量%で下記を含む溶融されそしてキャスト成形された耐火物を提供する。
SiO:<8%
O:<2.5%
:0.3%〜2.5%
Al:<1.5%
【0021】
特定の実施態様によれば、本発明は、酸化物に基づく重量%で下記を含む溶融されそしてキャスト成形された耐火物を提供する。
SiO:3〜6%
O:<1.5%
:0.4%〜1.0%
Al:<1.2%
【0022】
本発明はまた、下記の相次ぐ工程:
a)原料を混合して最初の投入材料を形成すること、
b)上記最初の投入材料を溶融物が得られるまで溶融すること、
c)耐火物が得られるように、上記溶融物をキャスト成形し、そして冷却によって固化すること、
を含む、本発明に従う耐火物を製造する方法に関する。この方法は、上記原料が、上記耐火物が本発明に従うように選択される点において注目すべきである。
【0023】
好ましくは、ある最小含有量が必要である酸化物またはこれらの酸化物の前駆体が、計画的におよび組織的に(systematically and methodically)添加される。好ましくは、従来不純物とみなされている他の酸化物の源において、これらの酸化物の含有量が考慮される。
【0024】
好ましくは冷却が制御され、好ましくは20℃未満/時の速度で、好ましくは約10℃/時の速度で行われるように制御される。
【0025】
本発明はまた、本発明に従う耐火物または本発明に従う方法によって製造されたもしくは製造され得る耐火物を、溶融ガラスと接触することが意図される領域において特に有するガラス溶融炉に関する。本発明に従う炉では、上記耐火物が、溶融ガラスと1200℃より上の温度で接触され得るところの、溶融によって、特に電気溶融によって、ガラスを製造するためのタンクの一部を有利に形成することができる。
【0026】
本発明はまた、ガラス製造炉のタンクの2つのブロックが、タンクが溶融ガラスを含むときにのみ接触するところの領域における腐食を制限する方法に関する。本発明によれば、本発明に従う物のブロックが使用される。
【0027】
定義
酸化物の重量%は、当該産業における通常の取り決めに従って、最も安定な酸化物の形態で表わされる対応する化学元素の各々の合計含有量を意味する。従って、亜酸化物が包含され、任意的に、上記元素の窒化物、オキシ窒化物、炭化物、オキシ炭化物、カルボニトリド(carbonitride)、または上記元素の金属種さえも包含される。
【0028】
「Y+CeO+CaO+MgO」は、慣用的に、Yおよび/またはCeOおよび/またはCaOおよび/またはMgOを意味する。
【0029】
「溶融材料」は、その形状を維持するために容器に入れられなければならない液体の塊である。それは、いくらかの固体粒子を含み得るが、上記塊を構成できるように、不十分な量で含み得る。
【0030】
「不純物」は回避できない構成成分を意味し、これは、原料とともに意図せずにやむを得ず導入され、またはこれらの構成成分との反応により生じる。不純物は、必要な構成成分ではなく、単に許容される。例えば、鉄、チタンおよびクロムの酸化物、窒化物、オキシ窒化物、炭化物、オキシ炭化物、カルボニトリド、および金属種が不純物である。
【0031】
特に断らない限り、明細書および特許請求の範囲に記載された物における酸化物の量は全て、酸化物に基づく重量%である。
【0032】
本発明に従う溶融されそしてキャスト成形された物では、ジルコニアZrOの高い含有量が、製造されたガラスの着色や上記ガラスの品質を悪くする欠陥の発生を伴うことなく、高い腐食耐性という要件を満たすことを可能にする。
【0033】
本発明に従う物に存在する酸化ハフニウムHfOは、ジルコニア源に天然に存在する酸化ハフニウムである。本発明に従う物におけるその含有量は、したがって、5%未満、一般に2%未満である。
【0034】
シリカSiOの存在は特に、その可逆的同素体変換の間、すなわち単斜晶系の相から正方晶系(tetragonal)の相への遷移の間のジルコニアの体積変化を効率的に調整することができる粒間ガラス質相の形成を可能にする。シリカの重量による含有量は、2%より多くなければならない。逆に、シリカの添加は、当該添加が、ジルコニアを犠牲にしてなされ、したがって腐食耐性を悪くし得るので、10%を超えてはいけない。
【0035】
の存在は特に、上記物の実現可能性(feasibility)を改善することを可能にする。逆に、酸化ホウ素の添加は、ジルコニア含有量を犠牲にして行われ、したがって腐食耐性を減じ得るので、4.5%を超えてはいけない。
【0036】
アルミナAlの存在は、安定なガラス質相の形成および金型における溶融材料の良好なキャスト成形性(castability)のために特に必要である。しかし、アルミナの添加は、2%を超えてはいけない。より高い含有量(重量による)は、ガラス質相の不安定性(ムライト結晶の形成)を、特に酸化ホウ素の存在故に、招き得るからである。
【0037】
NaO+KOの重量による含有量は、原料、特に酸化ホウ素、の蒸発散を制限するために、0.50%を超えてはいけない。本発明に従う物では、酸化物NaOおよびKOが同様の効果を有すると考えられる。
【0038】
本発明によれば、Feの+TiOの重量による含有量は、0.55%未満であり、Pの重量による含有量は0.05%未満である。実際、これらの酸化物は有害であり、それらの含有量は、原料とともに不純物として導入される微量に制限されなければならない。
【0039】
他の種は、上記で挙げられていない種、すなわち、ZrO、HfO、SiO、YO、CeO、CaO、MgO、B、Al、NaO、KO、P、TiOおよびFe以外の種である。1実施態様では、他の種が、その存在が特に望ましくなくかつ原料における不純物として一般に存在するところの種に制限される。
【0040】
慣用的に、上記で挙げた酸化物の源は、TaOを含まない。本発明に従う物のTaO含有量は、0.9%未満、または0.5%未満、または0.2%未満であり得る。
【0041】
別の実施態様では、他の種がまた、その存在が有利であるところの種を含み得る。すなわち、1実施態様では、本発明に従う物が有利には、少なくとも0.05%の酸化バリウムBaOを含む。この酸化物は、不純物であり得、または必要ならば、最初の充填物中に故意に添加され得る。好ましくは、その含有量が、酸化物に基づく重量%として、0.5%未満である。
【0042】
本発明に従う物は慣用的に以下に記載された工程a)〜c)に従って製造され得る。
a)原料を混合して最初の充填物を形成する、
b)上記最初の充填物を、溶融物質が得られるまで溶融する、
c)本発明に従う耐火物が得られるように、上記溶融された物質を冷却によって固化する。
【0043】
工程a)では、原料が、完成した物における酸化物の含有量を保証するように選択される。
【0044】
工程b)では、溶融が、好ましくは、還元を生じないかなり長い電気アークおよび攪拌の組み合わされた作用によって行われ、物の再酸化を促進する。
【0045】
金属外観の小さい節の形成を最少にし、最終物におけるスリットや割れ目の形成を回避するために、溶融操作を酸化条件で行うことが好ましい。
【0046】
フランス特許第1208577号明細書およびその追加第75893号および同第82310号明細書に記載された長アーク溶融法が好ましくは使用される。
【0047】
この方法は、充填物とこの充填物から離れた少なくとも1の電極との間にアークが打たれるところの電気アーク炉を使用し、アークの長さをその還元作用が最少にされるように制御するとともに、溶融浴の上に酸化雰囲気を保持し、上記浴を、アーク自体の作用によって、または酸化ガス(例えば、空気または酸素)を浴中に泡立たせることによって、または酸素を放出する物質、例えばパーオキシドまたはナイトレート、を浴に添加することによって、混合することから成る。
【0048】
工程c)では、冷却が好ましくは、20℃未満/時の速度、好ましくは約10℃/時の速度で行われる。
【0049】
ガラス溶融炉での用途のための、ジルコニアに基づく溶融された物を製造する任意の慣用の方法が用いられ得る。ただし、最初の充填物の組成が、本発明に従う物の組成に従う組成を有する物が得られるのを可能にする。
【実施例】
【0050】
下記の非制限的例が、本発明を説明する目的のために示される。
これらの実施例では、下記原料が使用された。
重量平均で98.5%のZrO+HfO、0.2%のSiOおよび0.02%のNaOを主として含有するジルコニア、
33%シリカのジルコン砂、
99%より上の純度の酸化イットリウムおよび酸化ホウ素、
Pechiney社によって販売されており、平均で99.4%のアルミナAlを含有する、AC44型のアルミナ。
【0051】
物は、アーク炉溶融の慣用的方法にしたがって調製され、次いで、220mm×450mm×150mmの大きさのブロックが得られるようにキャスト成形された。
【0052】
得られた物の化学分析を表1に示す。これは、平均化学分析であり、重量%で示される。
【0053】
実現可能性
これらの実施例の各々について、物の実現可能性が、実現可能性指標FI(feasibility index)を使用して評価される。1に等しいFIの値は、優れた実現可能性(最適な製造収率、得られた部品に欠陥がない)に対応し、0(ゼロ)に等しいFIの値は、工業的製造に許容できない実現可能性(貫通亀裂、部品破損、など)に対応する。
【0054】
試験を行うためのサンプルは、種々の実施例の製造されたブロックから取られた。
【0055】
相変化の前の最大膨張の温度の測定
温度の関数としての膨張曲線が作成され、ジルコニアの(単斜晶系から正方晶系(quadratic)への)変化の前の最大膨張に対応する温度が記録され、これは、表1中で「T」と称される。
【0056】
実施例1は製品ER1195に対応し、参照である。
【0057】
【表1】

【0058】
上記結果は、酸化イットリウムの正の役割を示す。物における酸化イットリウムの0.8%という最少含有量が、相変化の前の最大膨張の温度を、特にこの温度が1050℃より下であるように、有意に低下させるために必要であると考えられる。すなわち、臨界領域と接触する溶融ガラスの温度を低下させ、したがってその粘度を増加させ、従ってそれが生じる腐食を低下させることが有利に可能になる。したがって、有利に、ガラスの漏れの危険が制限される。
【0059】
実施例3と4、または9と10の比較は、酸化イットリウムの存在下で最適の実現可能性を得るために最少量の酸化ホウ素の存在が重要であることを示す。しかし、実施例4と7の比較は、この最少量が、酸化イットリウムおよびシリカの含有量に依存することを示す。
【0060】
さらに、他の試験はまた、本発明に従う物が、高いジルコニア含有量を有する材料に関して認められる他の特性、特に溶融ガラスによる腐食耐性、をも示すことを立証している。
【0061】
もちろん、本発明は、説明のための非制限的例として示された上記実施態様に制限されない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物に基づく重量%で、合計を100%として、
ZrO:100%の残余、
HfO:<5%、
SiO:2%〜10%、
0.9%<Y+CeO+CaO+MgO≦4.0%、
:≦4.5%、
:≧0.09×(Y+1/3(CeO+CaO+MgO))×SiO
Al:0.3%〜2.0%、
NaO+KO:≦0.5%、
:<0.05%、
Fe+TiO:<0.55%、
他の種:<1.0%、
を含む、ただしY含有量が0.5%以上であるまたはCeO+CaO+MgOの含有量が2%以上である、溶融されそしてキャスト成形された耐火物。
【請求項2】
≧0.095×(Y+1/3(CeO+CaO+MgO))×SiOである、請求項1記載の耐火物。
【請求項3】
≧0.1×(Y+1/3(CeO+CaO+MgO))×SiOである、請求項2記載の耐火物。
【請求項4】
酸化ホウ素の含有量が0.4%超である、請求項1〜3のいずれか1項記載の耐火物。
【請求項5】
酸化ホウ素の含有量が2.5%未満である、請求項1〜4のいずれか1項記載の耐火物。
【請求項6】
酸化イットリウムYの含有量が0.7%以上である、請求項1〜5のいずれか1項記載の耐火物。
【請求項7】
酸化イットリウムYの含有量が2.5%未満である、請求項1〜6のいずれか1項記載の耐火物。
【請求項8】
シリカの含有量が8.0%未満である、請求項1〜7のいずれか1項記載の耐火物。
【請求項9】
アルミナの含有量が1.5%未満である、請求項1〜8のいずれか1項記載の耐火物。
【請求項10】
アルミナの含有量が0.7%超である、請求項1〜9のいずれか1項記載の耐火物。
【請求項11】
(NaO+KO)<0.3%である、請求項1〜10のいずれか1項記載の耐火物。
【請求項12】
他の種の重量による合計含有量が0.5%未満である、請求項1〜11のいずれか1項記載の耐火物。
【請求項13】
酸化物CeO、CaOおよびMgOの各々を0.5%未満の量で含む、請求項1〜12のいずれか1項記載の耐火物。
【請求項14】
溶融ガラスと接触される領域に請求項1〜13のいずれか1項記載の耐火物を含むガラス溶融炉。

【公表番号】特表2013−514254(P2013−514254A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543983(P2012−543983)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055887
【国際公開番号】WO2011/073945
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(511104875)