説明

高効率の低電力放電ランプ

例えば20乃至30Wのような低減された公称電力下で動作するのに適した放電ランプを実現するため、アーク放電を生成するための放電容器20、120において、或る距離をおいて配置された2つの電極24を備えたランプが提案される。放電容器20、120は、略水銀のない、メタルハライド及び希ガスを有する充填物を持つ。ランプ10、110は更に、前記放電容器から距離dをおいて該放電容器の周囲に配置された外部電球18を有する。外部電球18は密閉され、且つ熱伝導率λを持つガス充填物を持つ。前記放電容器の内径dは好適には、2乃至2.7mmの範囲内である。壁厚wは、1.4乃至2mmの範囲内である。熱遷移係数λ/dが、距離dにより除算された、前記外部電球の充填物の800℃における熱伝導率λとして算出される。斯くして定義される熱遷移係数は、150W/(mK)より低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプに関する。更に詳細には、本発明は、放電容器と、該放電容器の周囲に配置された外部電球とを備えた、高輝度放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
放電ランプ、特にHID(高輝度放電)ランプは、エネルギー効率及び高い光の輝度が必要とされる広範な用途に利用される。特に自動車の分野においては、HIDランプは、車両ヘッドライトとして利用される。
【0003】
放電ランプは、放電容器内に、或る距離をおいて配置された2つの電極を有する。該電極間に、アーク放電が生成される。放電容器内の種々のタイプの充填物が知られており、水銀蒸気ランプ、メタルハライドランプ、及びその他のタイプのランプを区別する。
【0004】
車両ヘッドライトにおける利用のための市販されているランプは、放電容器から或る距離をおいて該放電容器の周囲に配置された外部電球を持つ。既知のタイプの斯かる電球は、35Wの公称電力のために設計され、80乃至90lm/Wの高い効率を達成する。斯かる電球を始動した後、例えば2.7乃至3.2Aの起動電流が必要とされ、75乃至80Wの起動電力が利用される。斯くして、電球、安定器及び点火器を有する完全なHIDシステムは、これらの値として動作することが可能である必要がある。
【0005】
特に自動車分野については、例えば20乃至30Wの範囲のような低い公称電力を持ち、それに応じて完全なHIDシステムに対するより少ない要求を持つ放電ランプを持つことが望ましいものとなり得る。しかしながら、既知のランプ設計は単に低電力で利用され、ランプ効率は劇的に低くなることとなる。
【0006】
米国特許出願公開US-A-2005/0248278は、30Wの電力の自動車ヘッドライト用放電ランプの例を示している。該ランプは、外部電球により囲まれる、電極を有するセラミックの放電容器を持つ。電極チップ間の距離は、5mmである。放電容器は、1.2mmの内径を持つ円筒形を持つ。放電容器の壁厚は、0.4mmである。該放電容器は、水銀のない、NaPrI及びZnI並びにXeを有する充填物を有し、充満圧は16barである。外部電球は石英ガラスから作られ、放電容器から0.5mmの距離に配置される。該外部電球は、室温で1.5barの充満圧を持つNで満たされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高いランプ効率を持つ、比較的低電力のHIDランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、請求項1による高輝度放電ランプにより達成される。従属請求項は、本発明の好適な実施例を参照する。
【0009】
本発明者は、高い効率を維持するためには、ランプの熱設計が、低電力に適応される必要があることを認識した。優れたランプ効率を達成するために、「最低温度点(coldest spot)」の温度が、高いレベルで維持される必要がある。しかしながら、優れた耐久性を実現するためには、「高温点(hot spot)」における熱負荷が制約される必要がある。このことは、本発明者を、比較的小さな放電容器を持ち、低減された熱放射に導きつつ、放電容器の十分に厚い壁を依然として保ち、高い内圧に耐えるのみならず、特に温度の高い上部側(「高温点」)から温度の低い下部側への熱伝導を可能とするランプを提案することに導いた。
【0010】
本発明によれば、ランプの熱設計を考慮して、具体的な形状が提供される。放電容器は、1.4乃至2mmの実質的な壁厚を維持され、好適には2乃至2.7mmの比較的小さな内径をも維持される。
【0011】
外部電球は、放電容器の周りに配置される。外部電球は密閉され、熱伝導率λを持つガス充填物を持つ。外部電球充填物の熱伝導率λは、800℃でとられるものである。
【0012】
外部電球の形状(ここでは具体的には、放電容器と外部電球との間の距離d)及びガス充填物は、放電容器から外部への、特定の制限された熱流を達成するように選択される。ガス充填物の熱伝導率λ及び距離dは、距離dによって除算された熱伝導率λとして算出される、望ましい熱遷移係数λ/dを得るように選択される。本発明によれば、該係数は、150W/(mK)より低い。ここで、測定の目的のため、距離dは、電極間の中間位置においてとられるランプの断面において測定される。
【0013】
外部電球はそれ故、ランプの熱設計における重要な役を果たす。一方で熱放射は放電容器の限られたサイズのために制限されるが、ランプの放射方向における熱伝導は、外部電球の形状及び充填物により更に制限される。好適な実施例に関連して更に説明されるように、共に一定の動作温度における、放電容器と外部電球との間で単位時間当たりに輸送される熱の量は、定義される熱遷移係数におよそ比例する。斯くして、熱遷移係数を150W/(mK)より低く選択することにより、冷却が制限され、十分な高い最低温度点の温度、及び従って高い効率が維持されることとなる。望ましい高い十分な最低温度点の温度を達成するため、熱遷移係数は好適には130W/(mK)以下であり、更に好適には100W/(mK)よりも低い。熱遷移係数は、少なくとも10W/(mK)であることが更に好適であり、更に少なくとも15W/(mK)であることが好適である。
【0014】
本発明によるランプは、20乃至30Wの公称電力に特に適している。放電容器の充填物は好適には水銀のないものであり、1つ以上のメタルハライド及び希ガスを有しても良い。好適には、放電容器の充填物は、NaI、ScI及びZnIのうち1つ以上を有する。
【0015】
本発明の好適な実施例は、外部電球に関する。外部電球は好適には石英ガラスから作られ、例えば円筒形、全体的に楕円形、又はその他のような、いずれの形状のものであっても良い。外部電球が大きくとも10mmの外径を持つことが好適である。外部電球は密閉され、10mbar乃至1bar(好適には1bar以下、最も好適には50mbar乃至300mbar)の圧力のガス充填物を持つ。該ガス充填物は基本的に、Xe、Ar、N及びOのうちの1つ以上から成る(即ち、50%より多く、好適には90%より多く)。外部電球と放電容器との間の距離dは、好適には0.1乃至1.4mmであり、更に好適には0.3乃至0.8mmである。当業者には理解されるように、充填ガス、圧力及び距離dは、所望の熱遷移係数を得るために互いに依存して選択されても良い。
【0016】
本発明の他の好適な実施例は、放電容器に関する。好適には、放電容器は石英ガラスから作られる。電極間の距離は、好適には2.5乃至5.5mmである。最も好適には、光学距離(即ち、レンズとして働く放電容器の壁による拡大を考慮に入れた、外部から見た距離)は、4.2±0.6mmである。放電容器は、電極間の中間位置においてとられた断面において、放電容器の壁が少なくとも略円形となるような形状を持つ。
【0017】
好適な実施例においては、放電容器は、縦断面において見たときに、少なくとも略楕円形の外部形状を持ち、楕円形又は円筒形の内部形状を持っていても良い。この場合には、壁厚wが、1.55乃至1.85mmの範囲内であることが好適である。
【0018】
代替実施例によれば、放電容器は、縦断面において見たときに、楕円形又は円筒形の内部形状を持ち、凹型の外部形状を持つ。即ち、電極間の中間位置から、放電容器の外径が、両側に向けて増大する。この場合には、壁厚wが、1.4乃至2mmの範囲内であることが好適である。
【0019】
本発明の以上の及びその他の目的、特徴及び利点は、以下の好適な実施例の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施例によるランプの側面図を示す。
【図2】図1に示されたランプの中心部の拡大図を示す。
【図2(a)】図2における線Aに沿った断面図を示す。
【図3】本発明の第2の実施例によるランプの側面図を示す。
【図4】本発明の第3の実施例によるランプの側面図を示す。
【図5】図4に示されたランプの中心部の拡大図を示す。
【図5(a)】図5における線Aに沿った断面図を示す。
【図6】本発明の第4の実施例によるランプの側面図を示す。
【図7】種々の充填物及び距離dについての熱遷移係数λ/dを表すグラフを示す。
【図8】本発明によるランプについての時間(起動時)に対するルーメン出力の測定値を表すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
示される全ての実施例は、ECE R99及びECE R98に準拠する車両ヘッドライトのための自動車ランプとして利用されることを意図したものである。このことは特に、自動車用途ではないランプ、又は他の基準によるランプを除外することを意図したものではない。斯かる自動車用HIDランプはそれ自体が知られており、以下の好適な実施例の説明は、本発明の特別な特徴に主に焦点を当てる。
【0022】
図1は、放電ランプの第1の実施例10の側面図を示す。該ランプは、バーナ16に内部接続された2つの電気接点14を持つソケット12を有する。
【0023】
バーナ16は、放電容器20を囲む石英ガラスで出来た外部電球18を有する。放電容器20もまた石英ガラスから作られ、投射電極24を持つ内部放電空間22を定義する。該放電容器からのガラス物質は更にランプ10の縦方向に延在し、平坦なモリブデンのホイル26を有する電極24への電気的接続を密閉する。
【0024】
外部電球18は、或る距離をおいて放電容器20の周りに配置され、斯くして外部電球空間28を定義する。外部電球空間28は、密閉される。
【0025】
図2に更に詳細に示されるように、放電容器20は、放電空間22の周囲に配置された外壁30を持つ。放電空間22は、楕円形のものである。また、壁30の外部形状も楕円形である。
【0026】
放電容器20は、電極距離d、放電容器20の内径d、該放電容器の壁厚w、放電容器20と外部電球18との間の距離d、及び外部電球18の壁厚wにより特徴付けられる。ここで、値d、w、d、wは、図2aに示されるように、放電容器20の中心の垂直平面において測定される。
【0027】
放電ランプにおいては一般であるように、ランプ10は、電極24の間のアーク放電を点火することにより動作させられる。光生成は、水銀のない、メタルハライド及び希ガスを含む、放電空間22内に含まれる充填物により影響を受ける。
【0028】
以下の例においては、放電空間22の充填物は、約17barの、36重量%のNaI、24重量%のScI及び40重量%のZnIから成るメタルハライドとしての、低温キセノン圧を有する。
【0029】
以下において、ランプの種々の実施例が議論され、それぞれが種々の(安定状態)レベルの動作電力において利用されることを意図される。これら実施例の動作電力は、25乃至30Wの間隔内である。各実施例について、高いランプ効率を達成するため、ランプの熱特性に関して特定の設計が選択される。
【0030】
示された放電ランプ10の熱挙動に関して、自動車用ランプは水平に動作させられることが意図されることを留意すべきである。電極24の間のアーク放電はこのとき、該アークの上の放電容器20の壁30における高温点に導く。同様に、放電空間22を囲む壁30の反対部分は、比較的低い温度のまま留まることとなる(最低温度点)。
【0031】
優れた効率を達成し、且つ、後に明らかとなるように、好適な起動時の挙動を達成するため、ランプ10の熱設計は、熱的な考慮により選択される。高い効率を達成するため、「最低温度点」の温度は高く保たれるべきである。壁30の厚さは、限られた起動時電流による迅速な起動を可能とするのに十分なほど小さいべきであるが、熱負荷を低減するように「高温点」からの優れた熱伝導を依然として実現するために、小さ過ぎるべきではない。内径dは、「高温点」における過度の熱負荷を低減するため、小さ過ぎるべきではない。
【0032】
放電容器20から外部への熱輸送を低減するため、及び、優れた効率のため必要な高い温度を維持するため、壁30の厚さwの著しい削減の代わりに、外部電球18を利用することが好適である。放電容器20の単純な小型化(減少させられた内径、減少させられた壁厚、減少させられた外径)とは対照的に、このことは優れたランプ寿命を維持する役をも果たすことが分かっている。
【0033】
外部からの冷却を制限するため、外部電球18は密閉され、低減された熱伝導性を持つ充填ガスで満たされる。ここでは特にアルゴン及びキセノンが好適であるが、O又はNも利用され得る。外部電球の充填物は、低減された圧力(20℃におけるランプの低温状態で測定された値)で提供される。以下に更に詳細に説明されるように、適切な熱遷移係数λ/dにより放電容器20から外部電球18への望ましい熱伝導を実現するために、適切な充填ガスの選択は、幾何学的な構成に関連して為される必要がある。
【0034】
以下の表においては、種々の外部電球の充填物について、内径d=2.2mm、1.65mmの壁厚w(従って5.5mmの放電容器の外径)、及び25Wの安定状態動作電力を持つ、図1乃至2aに示されたようなランプについての、ランプ効率の測定結果が示される。
【表1】

【0035】
斯くして、外部への低減された熱伝導が、どのようにして、より高い最低温度点の温度へ、及びより高いランプ効率へと導くかが、明らかに分かる。
【0036】
外部への熱伝導は、放電容器20と外部電球18との間の距離dにより除算された、外部電球の充填物の熱伝導率λとして計算される、熱伝導係数λ/dにより粗く特徴付けられることができる。
【0037】
放電容器20と外部電球18との間の比較的短い距離のため、これら2つの間の熱伝導は基本的に広がり易く、従って
【数1】

として計算されることとなり、ここで
【数2】

は熱流束密度、即ち放電容器と外部電球との間で時間当たりに輸送される熱の量である。λは熱伝導率であり、gradθはここでは、前記距離により除算された放電容器と外部電球との間の温度差
【数3】

として、粗く算出され得る。斯くして、冷却はλ/dに比例する。
【0038】
図7は、種々の外部電球の充填物について、距離dに対する、熱遷移係数λ/dの依存性を示す。アルゴン及び特にキセノン(ここでは200mbarの低減された圧力で提供される)が、どのように空気よりも著しく低い熱伝導率を持つか、及び、熱遷移係数λ/dが距離dを増大させると更に低減させられることが、明らかに分かる。熱遷移係数はガスの組成によって大きく異なること、及び、圧力が約10mbar乃至約1barの範囲にある場合には、圧力とともに低下することが分かった。
【0039】
25乃至30Wの定格電力の以下のランプの例が提案される。
例1:25Wランプ
放電容器:楕円形の内部及び外部形状
電極距離d=4.2mm(光学距離)
内径d=2.2mm
壁厚w=1.65mm
外径=5.5mm
外部電球距離d=0.6mm
外部電球充填物=100mbarのXe
(800℃においてλ=0.014W(m*K))
熱遷移係数λ/d=800℃において23.3W(mK)
外部電球の壁厚w=1mm
例2:30Wランプ
放電容器:楕円形の内部及び外部形状
電極距離d=4.2mm(光学距離)
内径d=2.3mm
壁厚w=1.75mm
外径=5.8mm
外部電球距離d=0.45mm
外部電球充填物=100mbarのXe
(800℃においてλ=0.014W(m*K))
熱遷移係数λ/d=800℃において31.1W(mK)
外部電球の壁厚w=1mm
【0040】
図3は、本発明の第2の実施例を示す。第2の実施例によるランプ110は、異なる内部形状の放電容器120を有する。ランプの残りの部分は、第1の実施例によるランプ10に対応する。同様の要素は同様の参照番号により示され、更に詳細には説明されない。
【0041】
ランプ110の放電容器120は、第1の実施例による放電容器20と同一の、楕円形の外部形状を持つ。しかしながら、内部放電空間22は円筒形である。しかしながら、内部放電空間22の長さ及び直径は共に、上述の第1の実施例と同様である。「円筒形」なる語はここでは、放電空間22の中央の最大部分を指すために利用され、図示されたような円錐形の端部を除外するものではない点は、留意されるべきである。
【0042】
放電空間22を囲む壁130は従って変化する厚さのものであり、該厚さは、電極24間の中心に対応する位置において最大となり、両側に向けて減少する。
【0043】
以下において、本発明の第3の実施例が、図3乃至4aを参照しながら説明される。第2の実施例によるランプ110はここでも大部分が、上述した第1及び第2の実施例によるランプ10に対応する。同様の要素は同様の参照番号により示され、更に詳細には説明されない。
【0044】
ランプ210は、放電容器120の凹型の外部形状により、ランプ10とは異なる。内部放電空間22は、第1の実施例におけるように、およそ楕円形のままである。しかしながら、放電空間22を囲む壁230は、外部形状が凹型となるような、変化する壁厚を持つ。
【0045】
ここでもまた、幾何学的なパラメータd、w、d、wは、放電容器220の中央部の面において測定される。
【0046】
図6は、本発明の第4の実施例を示し、大部分は図4乃至5aによる第3の実施例に対応する。ここでもまた、同様の要素は同様の参照番号により示され、更に詳細には説明されない。
【0047】
本発明の第4の実施例によれば、ランプ310は凹型の外部形状を持つ放電容器320を持つが、内部放電空間22は円筒形である。
【0048】
第3及び第4の実施例においては共に、放電空間22を囲む壁230及び330の厚さは、電極24間の中心に対応する位置において最小となり、両側に向けて増大するように変化する。このことは、電極距離dが、外部には実際よりも小さく見えるような、レンズ効果をもたらす。斯くして、4.2mmの望ましい光学的な電極距離dを実現するためには、第3及び第4の実施例においては、実際の電極距離が例えば4.8mmとなり得る。このように実際の電極距離dを増大させつつ光学的を保つ可能性は、ランプ設計者に更なる自由度をもたらす。電極距離に応じて動作電圧が増大するため、より高い電圧を得ることが可能となる。
【0049】
このことは、ECE R99形状(光学距離4.2mm)に準拠しつつ、水銀のないランプとして、D2ランプの電気的要件(68Vを超える電圧)を満たすランプを提供するために利用され得る。
【0050】
一方で、第1及び第2の実施例(楕円形の外部形状)については、ECE R99に従うものではないが、より高い電圧で動作させられ得るランプを得るため、より大きな電極距離を備えることも可能である。
【0051】
25乃至30Wの範囲における第3の実施例による以下のランプの例が提案される。
例3:25Wランプ
放電容器:凹型の外部形状、楕円形の内部形状
電極距離d=4.2mm(光学距離)
内径d=2.2mm
壁厚w=1.5mm
外径=5.2mm
外部電球距離d=0.75mm
外部電球充填物=100mbarのAr
(800℃においてλ=0.045W(m*K))
熱遷移係数λ/d=800℃において60W(mK)
外部電球の壁厚w=1mm
例4:28Wランプ
放電容器:凹型の外部形状、楕円形の内部形状
電極距離d=4.2mm(光学距離)
内径d=2.2mm
壁厚w=1.7mm
外径=5.6mm
外部電球距離d=0.55mm
外部電球充填物=100mbarの、50%のArと50%のXe
(800℃においてλ=0.025W(m*K))
熱遷移係数λ/d=800℃において45.5W(mK)
外部電球の壁厚w=1mm
例5:30Wランプ
放電容器:凹型の外部形状、楕円形の内部形状
電極距離d=4.2mm(光学距離)
内径d=2.2mm
壁厚w=1.9mm
外径=6.0mm
外部電球距離d=0.35mm
外部電球充填物=100mbarの、50%のArと50%のXe
(800℃においてλ=0.025W(m*K))
熱遷移係数λ/d=800℃において71.4W(mK)
外部電球の壁厚w=1mm
【0052】
以上の例においては、楕円形の内部形状の放電容器のみが利用された。しかしながら、円筒形の内部形状についても、同様の値が利用され得る。
【0053】
図8は、起動テストの測定結果を示し、以上の例1による25Wランプが、基準ランプ(35Wランプ)と比較された。ルーメン出力が測定され、ランプの点火からの時間に対して図8に示されている。ランプの起動について知られているように、第1のフェーズにおいては、電流が最大値に限定され、第2のフェーズにおいては、電力が制御される。
【0054】
図8に示されるように、4秒後に、基準ランプは総ルーメン出力の約50%に達する。しかしながら、3.2Aの最大起動電流又は約75Wの最大電力を必要とする。例1による25Wランプは、第1のフェーズにおける電流制限1.1Aにより、最初は駆動される。ここで、該結果(4秒後に30%よりも低い)は満足できるものではない。しかしながら、1.5Aの起動電流制限(約50Wの最大電力)により、例1によるランプは、前記基準に対して極めて同等の挙動を示しつつ、起動電流は半分よりも小さく、最大起動電力は約30%低減される。
【0055】
残りの例も、基準ランプのために必要なものよりもかなり小さな起動電流によって、満足できる挙動を示すことが分かった。このことは、より小さな放電容器が、アーク放電によって迅速に加熱されるという事実による。
【0056】
寿命テストが示したように、上述した実施例によるランプについては、最初の1500時間の動作内での寿命性能が、前記基準(35Wランプ)に対応する。
【0057】
斯くして、上述の実施例が、より低い要求起動電流及びより低い安定状態電力で、全て基準ランプに相当する優れた寿命、優れた効率及び優れた起動時挙動を持つランプ提供することが示された。
【0058】
本発明は、図面及び以上の説明において、詳細に図示され説明された。斯かる図示及び説明は説明又は例示とみなされるべきであり、限定するものではなく、本発明は開示された実施例に限定されるものではない。
【0059】
請求項において、「有する(comprising)」なる語は他の要素を除外するものではなく、「1つの(a又はan)」なる不定冠詞は複数を除外するものではい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高輝度放電ランプであって、前記ランプは、
アーク放電を生成するための放電空間を定義する放電容器において、或る距離をおいて配置された2つの電極を有し、
前記放電空間は、少なくともメタルハライド及び希ガスを有する充填物を持ち、
前記放電容器は、少なくとも、前記電極の間の中央の位置に、或る内径及び壁厚を持つ略円形の断面の壁を持ち、
前記ランプは更に、前記放電容器の周囲に配置された外部電球を有し、前記外部電球は、前記放電容器から或る距離をおいて配置され、該距離は前記中央の位置において測定されたものであり、前記外部電球は密閉され且つ800℃において或る熱伝導率を持つガス充填物を持ち、
前記壁厚は1.4乃至2mmの範囲内にあり、
前記外部電球と前記放電容器との前記距離により除算された前記熱伝導率として算出される熱遷移係数が、150W/(mK)より低い、ランプ。
【請求項2】
前記内径は2乃至2.7mmの範囲内である、請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
20乃至30Wの公称電力を持つ、請求項1又は2に記載のランプ。
【請求項4】
前記外部電球の前記ガス充填物は、Xe、Ar、N及びOのうちの1つ以上から略成る、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のランプ。
【請求項5】
前記外部電球の前記ガス充填物は、10mbar乃至1barの圧力を持つ、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のランプ。
【請求項6】
前記外部電球と前記放電容器との前記距離は、0.1乃至1.4mmである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のランプ。
【請求項7】
前記放電空間の縦断面は、楕円形又は円筒形の形状を持ち、
前記放電空間を囲む前記壁は、楕円形の外部形状を持つ、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のランプ。
【請求項8】
前記壁厚は1.55乃至1.85mmの範囲内である、請求項7に記載のランプ。
【請求項9】
前記放電空間の縦断面は、楕円形又は円筒形の形状を持ち、
前記放電空間を囲む前記壁は、凹型の外部形状を持つ、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のランプ。
【請求項10】
前記放電容器の前記充填物は本質的に水銀のないものであり、希ガス及びメタルハライドを有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のランプ。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5a】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−521771(P2010−521771A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553248(P2009−553248)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050832
【国際公開番号】WO2008/110967
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】