説明

高圧放電ランプ及び高圧放電ランプ装置

【課題】 電源装置におけるトランスのコアサイズ等を小さくすることができる高圧放電ランプを提供する。
【解決手段】 固定陽極12の先端部と第一設定距離を開けるように、先端部が配置された固定陰極12とを備え、固定陽極12と固定陰極13との間に出力電圧を印加することにより、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間で放電を発生させることで、管球体11の内部から照射光を出射する高圧放電ランプ10であって、補助陰極14の先端部が、第二設定距離を開ける位置から、管球体11の外周面に沿いながら固定陰極13の先端部に近づくように移動可能とする補助陰極移動機構16を備え、固定陽極12と補助陰極14との間に始動電圧を印加することにより、固定陽極12と補助陰極14の先端部との間で放電を発生させた後、補助陰極14を移動させることで、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間で放電を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧放電ランプ及び高圧放電ランプ装置に関し、特に高圧放電ランプである水銀ランプやキセノンランプやメタルハライドランプ及びそれを用いた高圧放電ランプ装置に関する。そして、このような高圧放電ランプ及び高圧放電ランプ装置は、液体クロマトグラフや、紫外線照射装置等に利用される。
【背景技術】
【0002】
一般的な液体クロマトグラフでは、カラムで分離された検出成分の流出液(測定試料)を分析するために、流出液に照射光を照射するキセノンランプが使用されている。図3は、液体クロマトグラフの一部の一例を示す概略構成図である。
液体クロマトグラフ100は、照射光を出射するキセノンランプ110と、レンズとスリットと回折格子と有する光学系(図示せず)と、カラム(図示せず)で分離された検出成分の流出液が通過するフローセル6と、照射光の強度を検出するホトダイオード5と、キセノンランプ110に出力電圧を印加する電源とスタータと放電電流監視機構とを有する高電圧モジュール(電源装置)130と、液体クロマトグラフ100全体を制御する制御部120とを備える。
【0003】
キセノンランプ110は、厚さ1mm等のガラス製の管球体11と、金属製の固定陽極12と、金属製の固定陰極13とを備える(例えば、特許文献1参照)。
管球体11は、中央部が膨らんだ円筒形状であり、密閉された空間を有する。空間にはガスが封入されている。
固定陽極12と固定陰極13とは、一端面の先端部が尖った円柱形状となっている。そして、管球体11の内部の中央部で、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部とが対向するように配置される。このとき、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間の距離は、第一設定距離D(例えば、3〜4mm等)となっている。また、固定陽極12の他端部は、管球体11の一端部で高電圧モジュール130の陽極と電気的に接続されるとともに、固定陰極13の他端部は、管球体11の他端部で高電圧モジュール130の陰極と電気的に接続される。
【0004】
このような液体クロマトグラフ100において、高電圧モジュール130によって固定陽極12と固定陰極13との間に出力電圧を印加することにより、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間で放電を発生させる。すると、管球体11の内部の中央部から照射光が出射される。キセノンランプ110から出射される照射光は、レンズで集光され、スリットを経て回折格子に入射する。そして、回折格子によって分光され、さらに集光され、フローセル6に入射する。このとき、フローセル6には、カラムで分離された検出成分の流出液が流れている。フローセル6を通過した照射光の強度は、ホトダイオード5で検出されることになる。
【0005】
ところで、キセノンランプ110において、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間を絶縁破壊させて放電を開始させるために、始動電圧(トリガ電圧)として固定陽極12と固定陰極13との間に約30kVの高電圧を印加する必要がある。よって、制御部120と、高電圧モジュール130では、電源から印加された電圧をスタータのトランスに蓄積することにより、約30kVの高電圧を間欠的に発生させ、放電が持続していることを放電電流監視機構で確認した後に、固定陽極12と固定陰極13との間に約20Vの定常的(直流)なランプ電圧を印加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−59455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、高電圧モジュール130において、約30kVの高電圧を発生させるためには、トランスのコアサイズがある程度必要である。そのため、高電圧モジュール130自体の大きさを小さくすることが難しいという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本件発明者らは、上記課題を解決するために、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間に放電を発生させる方法について検討を行った。固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間の距離である第一設定距離D(例えば、3〜4mm等)が大きいため、約30kVの高電圧を発生させる必要があり、放電を発生させる距離を小さくすれば約30kVの高電圧を発生させる必要がない。そして、一度、放電を発生させてしまえば発熱による熱電子の発生によって、距離を大きくしても放電を維持することができることに着目した。
そこで、第一設定距離Dより短い第二設定距離D(例えば、1〜2mm等)である固定陽極12と補助陰極との間で放電を開始させた後、補助陰極を固定陰極13の先端部に向かって移動させることで、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間で放電を発生させることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明の高圧放電ランプは、密閉された空間を有する透光性の管球体と、前記管球体の内部に、先端部が配置された固定陽極と、前記管球体の内部に、前記固定陽極の先端部と第一設定距離を開けるように、先端部が配置された固定陰極とを備え、前記固定陽極と固定陰極との間に出力電圧を印加することにより、前記固定陽極の先端部と固定陰極の先端部との間で放電を発生させることで、前記管球体の内部から照射光を出射する高圧放電ランプであって、補助陰極の先端部が、前記管球体の外部で固定陽極と第一設定距離より短い第二設定距離を開ける位置から、前記管球体の外周面に沿いながら固定陰極の先端部に近づくように移動可能とする補助陰極移動機構を備え、前記固定陽極と補助陰極との間に始動電圧を間欠的に印加することにより、前記固定陽極と補助陰極の先端部との間で放電を発生させた後、前記補助陰極を移動させることで、前記固定陽極の先端部と固定陰極の先端部との間で放電を発生させるようにしている。
【0010】
本発明の高圧放電ランプによれば、補助陰極の先端部は、管球体の外部で固定陽極と第一設定距離より短い第二設定距離を開ける位置から、管球体の外周面に沿いながら固定陽極の先端部に近づくように移動可能となっている。そこで、補助陰極の先端部を、まず、固定陽極と第一設定距離より短い第二設定距離を開ける位置に配置させる。そして、固定陽極と補助陰極の先端部との間で放電を開始させる。このとき、第二設定距離であるので、低い始動電圧で固定陽極と補助陰極の先端部との間を絶縁破壊させて放電を開始させることができる。固定陽極と補助陰極の先端部との間で放電を発生させると、固定陽極の先端部に近づくように、補助陰極を移動させる。その結果、固定陽極の先端部と固定陰極の先端部との間で放電を発生させる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の高圧放電ランプによれば、低い始動電圧で固定陽極と補助陰極の先端部との間で放電を開始させた後、補助陰極を固定陰極の先端部に向かって移動させることで、固定陽極の先端部と固定陰極の先端部との間で放電を発生させるので、電源装置におけるトランスのコアサイズ等を小さくすることができる。
【0012】
(他の課題を解決するための手段および効果)
また、上記の発明において、前記管球体の外周面における補助陰極の先端部が通過する箇所には、前記管球体の外周面が補助陰極の先端部によって傷つくことを防止する保護シートが形成されているようにしてもよい。
さらに、上記の発明において、前記補助陰極の先端部は、第二設定距離を開ける位置から、前記管球体の外周面に沿いながら固定陰極の先端部に近づくように移動し、そして、前記管球体の外部で固定陽極と第一設定距離より長い第三設定距離を開ける位置に移動可能となるようにしてもよい。
そして、本発明の高圧放電ランプ装置は、上述した高圧放電ランプと、前記固定陽極と固定陰極との間と、前記固定陽極と補助陰極との間とに、間欠的に始動電圧を印加するか、あるいは、定常的にランプ電圧を印加するかのいずれに切替可能な電源装置と、前記電源装置と補助陰極移動機構とを制御する制御部とを備えるようにしてもよい。
【0013】
また、上記の発明において、前記電源装置は、前記固定陽極と、補助陰極あるいは固定陰極との間に、間欠的な放電が持続していることを把握するために放電電流を検出、監視する放電電流監視機構を備え、前記制御部は、放電が持続していなければ、ランプ点灯シーケンスを始めからやり直す制御を行い、一方、放電が持続していれば、前記補助陰極が第三設定距離を開ける位置に移動完了したことを確認した後、前記電源装置の出力電圧をランプ電圧に切り替えるようにしてもよい。
本発明の高圧放電ランプ装置によれば、定常的なランプ電圧に切り替えるまでは、間欠的に高電圧である始動電圧を印加するが、この間、放電が間欠的ながら持続しているかどうかは、放電電流監視機構で放電電流を監視することで確認することができる。これにより、放電が失敗していれば、放電電流が流れないので、補助陰極の移動を始めからやり直す。このように間欠的に放電が持続していることを監視しながら、補助陰極を第三設定距離を開ける位置まで移動する。その結果、第三設定距離を開ける位置まで移動させた時点で既に放電は固定陽極と固定陰極との間での放電に移行するが、制御部で、補助陰極が第三設定距離を開ける位置に移動し終わって、かつ、間欠的に放電が持続していることを確認した上で、電源装置からの出力電圧を、定常的(直流)なランプ電圧に切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る液体クロマトグラフの一例を示す概略構成図である。
【図2】図1に示すキセノンランプの構成の一部を示す図である。
【図3】従来の液体クロマトグラフの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0016】
図1は、実施形態に係る液体クロマトグラフの一例を示す概略構成図である。また、図2は、図1に示すキセノンランプの構成の一部を示す図である。なお、液体クロマトグラフ100と同様のものについては、同じ符号を付している。
液体クロマトグラフ1は、照射光を出射するキセノンランプ10と、レンズとスリットと回折格子と有する光学系(図示せず)と、カラム(図示せず)で分離された検出成分の流出液が通過するフローセル6と、照射光の強度を検出するホトダイオード5と、キセノンランプ10に出力電圧を印加する電源とスタータと放電電流監視機構とを有する高電圧モジュール(電源装置)30と、液体クロマトグラフ1全体を制御する制御部20とを備える。
高電圧モジュール30は、制御部20からの命令信号によって、電源から印加された出力電圧をスタータのトランスに蓄積することにより、間欠的に約20kVの始動電圧を発生させる。そして、キセノンランプ10で間欠的な放電が持続しているかどうかを、高電圧モジュール30の内部の放電電流監視機構において放電電流を監視することによって判別する。これにより、制御部20で放電が持続していることを監視しながら、補助陰極14を第三設定距離を開ける位置まで移動することができるようになっている。また、高電圧モジュール30は、補助陰極14が第三設定距離を開ける位置に到達し、かつ、放電が持続していれば、制御部20からの命令信号によって、固定陽極12と固定陰極13との間とに約20Vの定常的(直流)なランプ電圧を印加する。
つまり、高電圧モジュール30は、約20kVの始動電圧を発生させるだけでいいので、高電圧モジュール130と比べてトランスのコアサイズが小さくなっている。
【0017】
キセノンランプ10は、例えば、厚さ1mm等のガラス製の管球体11と、金属製の固定陽極12と、金属製の固定陰極13と、金属製の補助陰極14と、樹脂製の保護シート15と、補助陰極14を移動させる補助陰極移動機構16とを備える。
管球体11は、中央部が膨らんだ円筒形状であり、密閉された空間を有する。空間にはガスが封入されている。
固定陽極12と固定陰極13とは、一端面の先端部が尖った円柱形状となっている。そして、管球体11の内部の中央部で、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部とが対向するように配置される。このとき、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間の距離は、第一設定距離D(例えば、3〜4mm等)となっている。また、固定陽極12の他端部は、管球体11の一端部で高電圧モジュール30の陽極と電気的に接続されるとともに、固定陰極13の他端部は、管球体11の他端部で高電圧モジュール30の陰極と電気的に接続される。
【0018】
補助陰極移動機構16は、例えば、一端面の先端部が尖った円柱形状の補助陰極14と、補助陰極14の先端部を管球体11の外周面に押し付けるバネ16aを有する補助陰極取付部16fと、補助陰極取付部16fを管球体11の軸方向と平行となる方向に移動させるガイド棒16bとネジ棒16cとモータ16dと、補助陰極取付部16fの位置を検出する位置センサ16eとを備える。
このような補助陰極移動機構16は、モータ16bによってネジ16cを軸方向を中心軸として右回転又は左回転させることで、管球体11の軸方向と平行となる方向であるガイド棒16bに沿って補助陰極取付部16fを移動させることができるようになっている。これにより、補助陰極14の先端部は、固定陽極12と第二設定距離D(例えば、 1〜2mm等)を開ける位置Aから、管球体11の外周面に沿いながら位置Bと位置Cとなるように固定陰極13の先端部に近づくように移動し、そして、固定陽極12と第三設定距離(例えば、10mm以上等)を開ける位置Dに移動可能となっている。
なお、補助陰極14の他端部は、高電圧モジュール30の陰極と電気的に接続される。
【0019】
保護シート15は、管球体11の外周面における補助陰極14の先端部が通過する箇所、かつ、フローセル6に向かって照射光を出射する方向と反対側となる箇所に、例えば、厚さ0.1〜0.2mm等で形成されている。これにより、管球体11の外周面が、バネ16aで押し付けられる補助陰極14の先端部によって傷つくことを防止することができる。
上記保護シートの材料としては、例えば、照射光を反射する素材(反射板の役割を果たす)や、熱抵抗が小さい素材(放熱板の役割を果たす)等が挙げられる。
【0020】
制御部20は、CPU21とメモリ22とを備え、さらにモニタ画面等を有する表示装置(図示せず)と、キーボードやマウス等を有する入力装置(図示せず)とが連結されている。
また、CPU21が処理する機能をブロック化して説明すると、補助陰極移動機構16を制御する補助陰極移動機構制御部21aと、高電圧モジュール30によって出力電圧を印加する電源制御部21bと、ホトダイオード5で検出された照射光の強度(データ)を取得するデータ取得部21cとを有する。
【0021】
電源制御部21bは、高電圧モジュール30によって出力電圧を印加する制御を行う。これにより、電源から印加された出力電圧をスタータのトランスに蓄積することにより、約20kVの高電圧を間欠的に発生させたり、電源から印加された出力電圧をスタータのトランスに蓄積せずに、約20Vのランプ電圧を定常的に発生させたりする。
補助陰極移動機構制御部21aは、位置センサ16eからの検出信号と放電電流監視機構からの検出信号とに基づいて、補助陰極移動機構16を制御する。電源制御部21bによって固定陽極12と固定陰極13との間と、固定陽極12と補助陰極14との間とに約20kVの高電圧が間欠的に印加されるが、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間の距離は第一設定距離Dであるので、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間を絶縁破壊させて放電を開始させるには、約30kVの高電圧が印加される必要があるため、固定陽極12と固定陰極13との間では放電が発生しない。
そこで、固定陽極12と補助陰極14との間の距離を、第二設定距離Dにしておくことで、約20kVの高電圧が印加されることにより固定陽極12と補助陰極14との間で放電が発生する。このとき、固定陽極12と補助陰極14との間で放電が発生すると、固定陽極12や補助陰極14や管球体11の内部のガスが熱せられる。この熱によって熱電子が放出されやすくなる。そして、放電が間欠的に持続していることを高電圧モジュール30の内部の放電電流監視機構で放電電流を監視しながら、補助陰極14の先端部を、管球体11の外周面に沿いながら固定陰極13の先端部に近づくように移動させるランプ点灯シーケンスを実行する。このとき、固定陽極12や補助陰極14や管球体11の内部のガスが熱せられているので、約20kVの高電圧が間欠的に印加されても、固定陽極11と補助陰極14との間で放電が維持されることになる。そのうち、固定陽極12と固定陰極13との間で放電が発生することになる。
しかし、補助陰極14の先端部を、固定陰極13の先端部に近づくように移動させているうちに、放電が持続しないことがある。このときには、放電電流監視機構で検出することができるので、補助陰極14の先端部を位置Aに戻すことになる。つまり、ランプ点灯シーケンスを始めからやり直すことになる。
そして、放電電流監視機構で放電電流を監視しながら、補助陰極14を第三設定距離を開ける位置に移動し終われば、補助陰極移動機構制御部21aが、補助陰極14を第三設定距離を開ける位置に移動し終わったことを電源制御部21bに伝達する。これにより、電源制御部21bは、その時点でも放電が持続されていることを確認した上で、高電圧モジュール30の出力電圧を定常的(直流)なランプ電圧(約20V)に切り換えるようになっている。
その結果、管球体11の内部の中央部から照射光が出射されるようになる。
【0022】
データ取得部21cは、ホトダイオード5で検出された照射光の強度(データ)を取得する制御を行う。
以上のように、本発明の液体クロマトグラフ1によれば、低い始動電圧(約20kV)で固定陽極12と補助陰極14の先端部との間で放電を開始させた後、補助陰極14を固定陰極13の先端部に向かって移動させることで、固定陽極12の先端部と固定陰極13の先端部との間で放電を発生させるので、高電圧モジュール30におけるトランスのコアサイズ等を小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、高圧放電ランプを用いた液体クロマトグラフや、紫外線照射装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
10、110 高圧放電ランプ
11 管球体
12 固定陽極
13 固定陰極
14 補助陰極
16 補助陰極移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された空間を有する透光性の管球体と、
前記管球体の内部に、先端部が配置された固定陽極と、
前記管球体の内部に、前記固定陽極の先端部と第一設定距離を開けるように、先端部が配置された固定陰極とを備え、
前記固定陽極と固定陰極との間に出力電圧を印加することにより、前記固定陽極の先端部と固定陰極の先端部との間で放電を発生させることで、前記管球体の内部から照射光を出射する高圧放電ランプであって、
補助陰極の先端部が、前記管球体の外部で固定陽極と第一設定距離より短い第二設定距離を開ける位置から、前記管球体の外周面に沿いながら固定陰極の先端部に近づくように移動可能とする補助陰極移動機構を備え、
前記固定陽極と補助陰極との間に間欠的に始動電圧を印加することにより、前記固定陽極と補助陰極の先端部との間で放電を発生させた後、前記補助陰極を移動させることで、前記固定陽極の先端部と固定陰極の先端部との間で放電を発生させることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
前記管球体の外周面における補助陰極の先端部が通過する箇所には、前記管球体の外周面が補助陰極の先端部によって傷つくことを防止する保護シートが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
前記補助陰極の先端部は、第二設定距離を開ける位置から、前記管球体の外周面に沿いながら固定陰極の先端部に近づくように移動し、そして、前記管球体の外部で固定陽極と第一設定距離より長い第三設定距離を開ける位置に移動可能となることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の高圧放電ランプと、
前記固定陽極と固定陰極との間と、前記固定陽極と補助陰極との間とに、間欠的に始動電圧を印加するか、あるいは、定常的にランプ電圧を印加するかのいずれに切替可能な電源装置と、
前記電源装置と補助陰極移動機構とを制御する制御部とを備えることを特徴とする高圧放電ランプ装置。
【請求項5】
前記電源装置は、前記固定陽極と、補助陰極あるいは固定陰極との間に、間欠的な放電が持続していることを把握するために放電電流を検出、監視する放電電流監視機構を備え、
前記制御部は、放電が持続していなければ、前記補助陰極の先端部が、前記固定陽極と第二設定距離を開ける位置から固定陰極の先端部に近づくように移動するランプ点灯シーケンスを始めからやり直す制御を行い、一方、放電が持続していれば、前記補助陰極が第三設定距離を開ける位置に移動完了したことを確認した後、前記電源装置の出力電圧をランプ電圧に切り替えることを特徴とする請求項4に記載の高圧放電ランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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