説明

高圧放電ランプ

【課題】より小さな熱応力に曝され、ひいてはより長い耐用寿命を有するランプを提供する。
【解決手段】放電ランプは外管1内に軸方向に保持されている。キャップから遠い方の外管の端部6は、標準的な、半径方向で対称的な凸面形状を回避するように構成されている。このことは、放電容器10への戻り反射を実質的に阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部による高圧放電ランプに基づく。本発明は、特に、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ又は高圧水銀ランプの分野を扱う。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4108316号明細書は、放電容器が外管によって包囲されたランプを開示している。放電容器は2つの側においてシールされており、外管は一方の側に被せ嵌められている。このタイプのランプにおいて、放電容器から発せられた放射を凸面ドームが反射するのでランプは高い熱応力に曝されることが判った。このことは特にドーム側シールに高い応力を課す。このことは、特に、毛管におけるはんだガラスの領域において高いレベルの腐食が記録された、セラミック放電容器を備えたランプに当てはまる。このことは高い早期故障率につながる。このような故障は、作動中、すなわちランプが高温の時に生じるので特に決定的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、より小さな熱応力に曝され、ひいてはより長い耐用寿命を有する、請求項1の上位概念部によるランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題は、請求項1の特徴によって達成された。特に有利な構成は従属請求項に示されている。
【0005】
原理的に、本発明による高圧放電ランプは、外管内に軸方向に配置された放電容器を有しており、2つのシールを有しており、一方の側において被せ嵌められた外管が備えられている。キャップから遠い方の外管の端部は、外管の凸面状の、半径方向で対称的に構成された端部と比較して、少なくとも50%少ない放射を放電容器に向かって反射する。
【0006】
特に、キャップから遠い方の端部は、平坦又はプリズム状である。択一的に、キャップから遠い方の端部は一方の側において傾斜させられている。
【0007】
択一的に、キャップから遠い方の端部は、中心から、外管の半径の少なくとも10%、好適には少なくとも15%だけずれて配置された偏心頂点を有する。この場合、キャップから遠い方の端部は、非対称に傾斜させられてよい。別の実施形態において、壁部は、頂点につながる端部において凹面状に湾曲させられている。
【0008】
択一的に、キャップから遠い方の端部は、全体的に凹面状に湾曲させられている。
【0009】
この概念は、放電容器がセラミックから形成されており、かつ特にはんだガラスでシールされた毛管を有するならば特定の利点を生じる。なぜならば、この場合、キャップから遠い方の端部の慣用の形式に関して生じる付加的な熱応力は特に決定的だからである。概して、このことは、20〜40Kに達する、キャップから遠い方の毛管の増大した応力につながる。本発明による概念は、増大した応力を完全に排除するか又はこれらの応力を少なくとも10K未満に抑制することができる。
【0010】
本発明は、成分、主にメタルハライドが、はんだガラスに対して攻撃的であるようなメタルハライドランプのために特に価値がある。特に、Tm等の希土類は、特に攻撃的であり、はんだガラスを効果的に攻撃する。したがって、シールの領域における最小化された熱応力は、良好な耐用寿命を達成するために重要な役割を果たす。
【0011】
これらは特に、自然白色照明色及び昼光照明色のための充填システムである。これらの充填システムはしばしば、Dy、Ho、Tm及びしばしばCs、Tl及びHg等の希土類のヨウ化物とAr等の始動ガスとを含む。特に、希土類を含む充填システムは、耐用寿命に著しい影響を与える。したがって、本発明による構成は、特に合計メタルハライド封入物の少なくとも30モル%の割合における、特に、希土類の、著しい量のハロゲン化物、特にヨウ化物及び臭化物、を含む封入物に当てはまる。
【0012】
外管は、通常、硬質ガラス、例えばアルミノホウケイ酸塩ガラスから形成されている。外管の少なくとも一部には、反射低減層、好適には二色層が設けられていると好適である。
【0013】
ランプの全高が増大されていない、すなわちキャップから遠い方の外管の端部の平坦及び凹面形状であるような設計が特に好適である。
【0014】
以下に多数の典型的な実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、長手方向軸線を有しかつ溶融プレートシール2によって一方の側において閉鎖された、硬質ガラス又は石英ガラスから形成された外管1を有するメタルハライドランプを示している。2つの供給導体3は、溶融プレートシール2を通って導入されている(部分的に図示されていない)。供給導体はキャップ5において終わっている。2つの側においてピンチされた、石英ガラスから形成された、ハロゲン化金属の封入物を有する放電容器10は、外管内に軸方向に配置されている。外管1は円筒形の管であり、そのキャップから遠い方の端部6は、その表面積の少なくとも90%に亘って平坦である。ポンプ先端は排除されないが、好適には偏心に位置決めされるべきである。
【0016】
図2はキャップから遠い方の端部が凸面状のドーム11として成形されたこれまでに使用された従来技術を示している。これまでこの形状に特別な注意は向けられなかった。しかしながら、キャップから遠い方の端部に対して平行な、放電容器、この場合にはセラミック放電容器から出た光線(これらの光線のうちの2つが図示されている)は、この場合には毛管として設計されたシール部に向かって反射する。
【0017】
図3は、外管12を示しており、そのキャップから遠い方の端部13は、プリズムの場合のように一方の側において傾斜させられている。
【0018】
図4は、頂点15を有する、キャップから遠い方の端部14を示している。しかしながら、頂点は、偏心であり、好適には中心軸線から、外管の半径の少なくとも15%だけずれて配置されている。頂点につながる、キャップから遠い方の端部の壁部は直線的に傾斜させられていて、非対称に形成されたテントに似ている。この壁部は、反射を低減する二色層16で被覆されている。
【0019】
図5は、同様に頂点18を有する、キャップから遠い方の端部17を示している。この場合にも、頂点18は偏心であり、この場合に頂点につながる壁部19は、全体的に凹面状である。
【0020】
図6は、キャップから遠い方の端部20が全体的に凹面状、好適には半径方向で対称的に凹面状であるように成形されている典型的な実施形態を示している。このことは、周縁壁部21を形成する。この形状は、平坦な形状と共に、最も低い全高を有する。
【0021】
図7は、慣用のドームとキャップから遠い方の平坦な端部とを用いたランプにおける熱応力の測定を示している。比較は、直立作動位置の場合により強い効果を表している(実線)。なぜならば、この場合、対流によるキャップから遠い方の端部の熱応力はより高いのに対し、動作は、懸吊動作位置(破線)の場合におけるこの動作のレベルの約3分の2でしかない。図は、毛管端部における温度を示しており、放電容器に向かって続いている。もちろん、放電容器自体に近づくほど、温度差がより小さくなる。しかしながら、それは、正確に、はんだガラスがシールを行うゾーンである毛管の端部におけるゾーンである。特定の場合には、それは5mmであり、図示された直線を比較。それは、ここでは正確に発明が生み出すことになる。それは、キャップから遠い方の毛管端部における熱応力を、直立作動位置の場合には約30K、懸吊作動位置の場合には約20Kだけ低下させる。
【0022】
最終的に、自然白色照明色のメタルハライドランプの場合、これは、毛管発生漏れによって生ぜしめられる早期故障をさらに確実に回避することによって耐用寿命を長期化する。
【0023】
ここで使用されたはんだガラスという用語は、特に例えば可溶性セラミック等の材料を含む全てのタイプのシール材料を意味するものとして理解されるべきである。
【0024】
本発明の1つの重要な側面は、キャップから遠い方の外管の端部が、キャップから遠い方の外管の凸状のドーム状の端部と比較して、より少ない放射、特に少なくとも50%少ない放射を放電容器、特にキャップから遠い方のシールに向かって反射するように構成されているということである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】メタルハライドランプの側面図である。
【図2】従来技術における設計を示す図である。
【図3】外管の一実施例を示す側面図である。
【図4】外管の別の実施例を示す側面図である。
【図5】外管の別の実施例を示す側面図である。
【図6】外管の別の実施例を示す側面図である。
【図7】反射回避を行った場合と行わなかった場合とにおける放電容器における温度比較を示すグラフである。
【符号の説明】
【0026】
1 外管、 2 溶融プレートシール、 3 供給導体、 5 キャップ、 6 端部、 10 放電容器、 11 ドーム、 12 外管、 13 端部、 14 端部、 15 頂点、 16 二色層、 17 端部、 18 頂点、 19 壁部、 20 端部、 21 壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧放電ランプであって、外管内に軸方向に配置された放電容器が設けられており、該放電容器が、2つのシールを有しておりかつ、一方の側において被せ嵌められた外管が備えられている形式のものにおいて、
キャップから遠い方の外管の端部が、キャップから遠い方の、外管の凸面状のドーム状の端部と比較してより少ない放射、特に少なくとも50%少ない放射を、放電容器、特にキャップから遠い方のシールに向かって反射するように構成されていることを特徴とする、高圧放電ランプ。
【請求項2】
キャップから遠い方の端部が、平坦又はプリズム状である、請求項1記載のランプ。
【請求項3】
キャップから遠い方の端部が、一方の側において傾斜させられている、請求項1記載のランプ。
【請求項4】
キャップから遠い方の端部が、中心から、外管の半径の少なくとも10%、好適には少なくとも15%だけずれて配置された偏心頂点を有している、請求項1記載のランプ。
【請求項5】
キャップから遠い方の端部が、非対称に傾斜させられている、請求項4記載のランプ。
【請求項6】
頂点につながる端部において壁部が凹面状に湾曲させられている、請求項4記載のランプ。
【請求項7】
キャップから遠い方の端部が、全体的に凹面状に湾曲させられている、請求項1記載のランプ。
【請求項8】
放電容器がセラミックから形成されており、特にはんだガラスでシールされた毛管を有している、請求項1記載のランプ。
【請求項9】
放電容器における封入物が、メタルハライドランプの成分としての希土類を含む、請求項1記載のランプ。
【請求項10】
外管の部分に反射低減層が設けられている、請求項1記載のランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−269434(P2006−269434A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83801(P2006−83801)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(390009472)パテント−トロイハント−ゲゼルシヤフト フユール エレクトリツシエ グリユーラムペン ミツト ベシユレンクテル ハフツング (152)
【氏名又は名称原語表記】Patent−Treuhand−Gesellschaft fuer elektrische Gluehlampen mbH
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Strasse 1, Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】