説明

高気圧酸素供給装置およびそれに用いられるシール部材

【課題】容器本体の開口部分と蓋体との間を流体密に封止する構造が、比較的に簡単な構造で、且つ低コストに実現される高気圧酸素供給装置と、その高気圧酸素供給装置に用いられるシール部材を提供する。
【解決手段】容器本体12の開口部分が蓋体24によって閉じられた状態で、シール部材64が開口部分の縁部と蓋体24との間に挟み込まれて圧縮変形し、また、加圧制御手段72が容器本体12の内圧が大気圧よりも高くなるように制御すると、シール部材64は、容器本体12の内部と外部との圧力差により径方向外方に拡開変形して、シール受け部に当接することにより、容器本体12の開口部分と蓋体24との間を流体密に封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や動物に対して高気圧の環境で酸素を供給する高気圧酸素供給装置と、この高気圧酸素供給装置における容器本体の開口部分と蓋体との間を流体密に封止するシール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、人や動物においては、大気圧よりも圧力の高い環境で酸素をとり入れると、ヘンリーの法則に基づいて、血液や体液に多くの酸素が溶解することにより、疲労回復効果やリラクゼーション効果などが得られる。このような高気圧の環境で酸素を人や動物に供給するものとしては、例えば、特許文献1(特開2007−202995号公報)や特許文献2(特開2010−230136号公報)に示される高気圧酸素供給装置がある。
【0003】
高気圧酸素供給装置は、人や動物を内部に収容する容器本体や、容器本体の内部に加圧した空気を供給するなどして容器本体の内圧を高くする加圧制御手段を備えている。加圧制御手段が容器本体の内圧を大気圧よりも高くすると、容器本体の内部にいる人や動物には、高気圧の環境で酸素が供給されることとなる。
【0004】
ところで、高気圧酸素供給装置の容器本体には、人や動物が出入りするための開口部分が設けられ、蓋体が開口部分に対して開閉可能に配設されている。この容器本体の開口部分を蓋体で閉じて、容器本体の内部の圧力を加圧制御手段によって高める場合に、容器本体の内部の空気が開口部分と蓋体との間から外部に漏れると、容器本体の内圧が高気圧に保ち難くなる問題があった。
【0005】
そこで、上記問題に対処するための方策として、特許文献1や特許文献2には、容器本体の開口部分と蓋体との間を流体密に封止するシール部材が提案されている。
【0006】
特許文献1に記載の高気圧酸素供給装置では、容器本体の開口部分の縁部に嵌合凹部が設けられて、嵌合凹部に弾性変形可能なシール部材が収容されていると共に、蓋体の縁部に嵌合凹部に対応した形状の嵌合凸部が設けられている。容器本体の開口部分が蓋体で閉じられた際に、シール部材が嵌合凸部と嵌合凹部との間に挟まれて圧縮変形することによって、容器本体の開口部分と蓋体との間がシール部材でシールされる。
【0007】
また、特許文献2に記載の高気圧酸素供給装置では、容器本体の内部において蓋体(引戸)を挟んだ一方の側に弾性変形可能なシール部材が設けられていると共に、蓋体を挟んだ他方の側に流体の注入によって膨出変形する袋体が設けられている。容器本体の開口部分が蓋体で閉じられた際に、袋体が流体の注入による膨出変形によって蓋体を押すことに伴い、蓋体がシール部材を介して容器本体の開口部分の縁部に押し付けられることによって、容器本体の開口部分と蓋体との間がシール部材でシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−202995号公報
【特許文献2】特開2010−230136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に記載の高気圧酸素供給装置では、容器本体の内圧が大きくなると、蓋体が容器本体の開口部分を開く方向の力が蓋体に及ぼされる。この際、蓋体が容器本体の開口部分を開く方向に変位すると、蓋体と容器本体の開口部分との間の離隔距離が大きくなって、シール部材がそれらの間で十分に圧縮変形され難くなり、蓋体と容器本体の開口部分との間を確実にシールでき難くなる可能性があった。
【0010】
上述の問題に対処するため、例えば、容器本体の内圧が大きくなっても、蓋体が容易に変位しないように、大きな剛性の材料を用いて蓋体を形成したり、蓋体を容器本体に対して強固に固定する特別な固定構造を採用したりすることが考えられる。しかしながら、大きな剛性の材料や特別な固定構造を用いると、構造が複雑になったり、製造コストが高くなったりする問題があった。
【0011】
また、特許文献2に記載の高気圧酸素供給装置では、シール部材の他に袋体が別途設けられていることによって、部品点数が増え、しかも蓋体の開閉に際して、袋体への流体の注入及び排出を速やかに行う必要があることから、流体の注入及び排出構造が複雑になる。このため、高気圧酸素供給装置の製造コストが高くなる問題があった。
【0012】
本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、容器本体の開口部分と蓋体との間を流体密に封止する構造が、比較的に簡単な構造で、且つ低コストに実現される高気圧酸素供給装置と、その高気圧酸素供給装置に用いられるシール部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するために為された本発明に関する請求項1に記載の高気圧酸素供給装置では、(イ)人又は動物が出入りする開口部分を備え、該開口部分を通じて人又は動物を内部に収容する容器本体と、(ロ)前記容器本体の開口部分を外部から覆うようにして開閉可能に配設される蓋体と、(ハ)前記容器本体の内圧が大気圧よりも高くなるように制御する加圧制御手段と、(二)前記容器本体の開口部分の縁部よりも一回り大きな環状を呈しており、該開口部分が前記蓋体によって閉じられた状態で、該開口部分の縁部の径方向外方に配されるシール受け部と、(ホ)環状を呈し、弾性変形可能な材料からなり、前記容器本体の開口部分が前記蓋体によって閉じられた状態で、該開口部分の縁部と該蓋体との間に挟み込まれて圧縮変形し、また、前記加圧制御手段が該容器本体の内圧が大気圧よりも高くなるように制御すると、該容器本体の内部と外部との圧力差により径方向外方に拡開変形して、前記シール受け部に当接することにより、該容器本体の開口部分と該蓋体との間を流体密に封止するシール部材と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の高気圧酸素供給装置においては、人又は動物が容器本体の開口部分から内部に入って、容器本体の開口部分が蓋体で閉じられる。そして、加圧制御手段が容器本体の内圧を大気圧よりも高く制御すると、シール部材が、容器本体の内部と外部との圧力差に基づいて径方向外方に拡開変形し、シール受け部に当接する。その結果、蓋体と容器本体の開口部分との間がシール部材で流体密に封止されて、容器本体の内圧が高気圧に保持されることとなり、高気圧の環境で酸素が容器本体の内部にいる人や動物に供給される。
【0015】
ここで、容器本体の開口部分が蓋体で閉じられて、容器本体の内圧が大きくなった際に、蓋体が、容器本体の内部と外部との圧力差の影響を受けて、容器本体の開口部分から離れる方向に変位したとしても、シール部材は、径方向外方に拡開変形してシール受け部に当接し、蓋体と容器本体の開口部分との間をシールする。
【0016】
つまり、蓋体と容器本体の開口部分との間のシールに際して、蓋体が容器本体の開口部分から離れる可能性のある方向が、シール部材がシール受け部から離れる方向と異ならされている。これにより、シール部材がシール受け部に当接するための変形が蓋体の変位に起因して損なわれることが、防止される。
【0017】
それ故、本発明の高気圧酸素供給装置によれば、シール部材が容器本体の開口部分と蓋体との間をシールするための変形が安定してなされることから、それら容器本体の開口部分と蓋体との間を確実にシールすることができる。
【0018】
しかも、シール部材における容器本体の内部と外部との圧力差を利用した拡開変形によって、容器本体の開口部分と蓋体との間のシール構造が比較的に簡単な構造で実現されることにより、高気圧酸素供給装置の低コスト化が図られる。
【0019】
また、本発明の高気圧酸素供給装置では、例えば請求項2に記載されているように、前記加圧制御手段は、(イ)前記容器本体の内部に加圧した空気を供給する給気手段と、(ロ)前記容器本体の内部の空気を外部に排出する排気手段と、(ハ)前記給気手段が前記容器本体の内部に空気を供給する給気量と前記排気手段が該容器本体の内部から空気を排出する排気量とをそれぞれ制御する給排制御手段と、を含んで構成されており、前記給排制御手段が、前記給気量が前記排気量よりも所定量だけ大きくなるように前記給気手段及び前記排気手段を制御することによって、前記加圧制御手段は、前記容器本体の内圧を大気圧よりも所定量だけ高い圧力に制御する構成を採用することも可能である。
【0020】
このような高気圧酸素供給装置では、容器本体の内圧を高くする加圧制御手段が、給気手段と排気手段と給排制御手段の3つの部品点数で簡単に実現される。
【0021】
しかも、給排制御手段は、給気手段の給気量と排気手段の排気量とを制御可能であることから、例えば、容器本体の内部を加圧し始める運転初期の段階で、容器本体の内圧がゆっくりと立ち上がるように給気量や排気量を制御したり、容器本体の内部を減圧する運転終了に近い際に、容器本体の内圧がゆっくりと下がるように給気量や排気量を制御したりすることも可能である。それによって、容器本体の内圧が急激に変化した場合の人又は動物にかかる負担が軽減される。
【0022】
また、本発明の高気圧酸素供給装置では、例えば請求項3に記載されているように、前記加圧制御手段は、(イ)前記容器本体の内圧を検出する内圧検出手段と、(ロ)前記内圧検出手段にて検出された前記容器本体の内圧が所定時間で所定圧力の基準値よりも大きいか小さいかを判定する圧力判定手段と、(ハ)前記圧力判定手段が前記容器本体の内圧が前記基準値よりも小さいと判定した場合に、前記給気手段による該容器本体への前記給気量を確保させつつ、前記排気手段による該容器本体からの前記排気量を制限するように前記給排制御手段を制御することで、該容器本体の内圧を過大にして該容器本体の内部と外部との圧力差を大きくすることによって、前記シール部材を径方向外方に強制的に拡開変形させて前記シール受け部に当接させるシールアシスト手段と、を含んで構成されるものが採用されても良い。
【0023】
このような高気圧酸素供給装置では、内圧検出手段が容器本体の内圧を検出して、圧力判定手段はこの内圧が基準値よりも小さいと判定すると、シールアシスト手段は、給気量を確保させつつ、排気量を制限するように給排制御手段を制御することで、容器本体の内圧を過大にして容器本体の内部と外部との圧力差を大きくする。これにより、シールアシスト手段が、シール部材を径方向外方に強制的に拡開変形させてシール受け部に当接させる。
【0024】
つまり、上述のようなシールアシスト手段が設けられていることから、例えば、容器本体の大きさや形状、給気手段の給気性能などに応じて容器本体の内圧がそれ程高くならないような場合(換言すれば、シール部材を径方向外方に拡開変形させる程に容器本体の内圧と外圧の差が大きくならない場合)でも、シール部材をシール受け部に強制的に当接させるように変形させて、容器本体の開口部分と蓋体との間をシールすることができる。それ故、シール性能の更なる向上が図られる。
【0025】
また、本発明の高気圧酸素供給装置では、例えば請求項4に記載されているように、前記加圧制御手段は、前記圧力判定手段が前記容器本体の内圧が前記基準値よりも大きいと判定した場合に、前記排気手段による前記容器本体からの前記排気量を確保させつつ、前記給気手段による該容器本体への前記給気量を制限するように前記給排制御手段を制御することで、該容器本体の内圧が過大になるのを抑制する過圧抑制手段を含んで構成されるものが採用されても良い。
【0026】
このような高気圧酸素供給装置では、内圧検出手段が容器本体の内圧を検出して、圧力判定手段はこの内圧が基準値よりも大きいと判定すると、過圧抑制手段は、排気量を確保させつつ、給気量を制限するように給排制御手段を制御することで、容器本体の内圧が過大になるのを抑制する。これにより、容器本体の内圧が過大になった場合の人又は動物にかかる負担が軽減されることに加え、容器本体や蓋体の耐久性の低下が防止される。
【0027】
また、本発明の高気圧酸素供給装置では、例えば請求項5に記載されているように、前記容器本体の開口部分の縁部と前記蓋体との何れか一方には、環状の溝形状を呈して、前記シール部材の底部を収容する底側凹溝が設けられ、前記容器本体の開口部分の縁部と前記蓋体との他方には、環状の溝形状を呈して、前記シール部材の先端部を収容する先端側凹溝が設けられており、前記容器本体の開口部分が前記蓋体によって閉じられた状態で、前記シール部材が前記底側凹溝と前記先端側凹溝との間で該シール部材の厚さ方向に圧縮変形し、前記加圧制御手段が該容器本体の内圧が大気圧よりも高くなるように制御すると、該シール部材の先端部が径方向外方に拡開変形して該先端側凹溝の径方向外方の側壁部に当接することによって、該容器本体の開口部分と該蓋体とが該シール部材で流体密に封止されるようになっており、前記シール受け部がこの先端側凹溝の径方向外方の側壁部を含んで構成されているものが採用されても良い。
【0028】
このような高気圧酸素供給装置では、シール部材の底部が底側凹溝に収容されることから、シール部材の底部を容器本体又は蓋体に固定する際に、底側凹溝を利用して容易に固定することが出来、それによって、製造効率が向上される。
【0029】
また、容器本体の内圧が過大になって、シール部材に径方向外方に変形する力が大きくかかったとしても、シール部材の底部と先端部が底側凹溝と先端側凹溝にそれぞれ収容されていることから、シール部材がシール受け部を乗り越えて径方向外方にめくれ上がり難い構造となっている。このため、シール部材がシール受け部に安定して当接し、シール性能が向上される。
【0030】
また、本発明の高気圧酸素供給装置では、例えば請求項6に記載されているように、前記先端側凹溝における底部と径方向外方の側壁部との間には、該先端側凹溝の上部開口側から底部側に向かって径寸法が次第に小さくなるテーパ状溝部が設けられており、前記容器本体の開口部分が前記蓋体によって閉じられた状態で、前記シール部材の径方向外方の先端部が該テーパ状溝部に当接している構成を採用することも可能である。
【0031】
このような高気圧酸素供給装置では、特に合成樹脂などのような金属に比べて強度が弱い材料を用いて蓋体が形成されて、シール部材の底部がその蓋体の縁部に固定された場合にも、蓋体と容器本体の開口部分との間のシール性能の向上が図られる。
【0032】
つまり、比較的に強度の弱い材料で蓋体が形成されると、容器本体の加圧に際して蓋体の中央部分が容器本体の内側から外側に向かって膨らむように変形する場合がある。このように蓋体の中央部分が変形すると、蓋体の縁部が蓋体の径方向内方に巻き込むように変形することに伴い、シール部材が、蓋体の径方向内方に巻き込むように変位する可能性がある。
【0033】
そこで、本発明の高気圧酸素供給装置のように、先端側凹溝にテーパ状溝部が設けられ、容器本体の開口部分が蓋体で閉じられた状態で、シール部材の径方向外方の先端部とテーパ状溝部とが当接していることにより、シール部材に蓋体の径方向内方に巻き込むような力が及ぼされても、シール部材のテーパ状溝部に対する当接が抗力となって、シール部材が蓋体の径方向内方に巻き込むように変位することが抑制される。
【0034】
それ故、シール部材が蓋体の径方向内方に巻き込むように変位することに起因して、シール部材とシール受け部との間に隙間ができることが抑制されることとなり、それによって、シール性能が向上される。
【0035】
また、本発明の高気圧酸素供給装置では、例えば請求項7に記載されているように、前記容器本体の開口部分が前記蓋体によって閉じられた状態で、且つ前記加圧制御手段が該容器本体の内圧が大気圧よりも高くなるように制御する前の状態で、前記シール部材の径方向外方の先端部が前記先端側凹溝の前記テーパ状溝部に当接していると共に、該シール部材の径方向内方の先端部が前記先端側凹溝の底部と離隔している構成を採用することも可能である。
【0036】
このような高気圧酸素供給装置では、容器本体の開口部分が蓋体によって閉じられた状態で、シール部材の径方向外方の先端部が先端側凹溝のテーパ状溝部に当接していることから、請求項6に記載の高気圧酸素供給装置と同様に、容器本体の内部を加圧した際に、シール部材が蓋体の径方向内方に巻き込むように変位することが抑制されて、シール性能が向上される。
【0037】
また、容器本体の開口部分が蓋体によって閉じられた状態で、シール部材の径方向内方の先端部が先端側凹溝の底部と離隔していることから、シール部材の先端部の全体が先端側凹溝の底部と当接しているものと比べて、シール部材の永久歪み(所謂、型崩れ)の発生が抑えられる。それによって、シール部材の型崩れに起因するシール性能の低下が抑えられる。
【0038】
しかも、加圧制御手段が容器本体の内圧が大気圧よりも高くなるように制御する前の状態で、シール部材の径方向内方の先端部が先端側凹溝の底部と離隔していることから、シール部材の先端部が容器本体の内圧を受けやすくなり、加圧制御手段が容器本体の内部を加圧した際に、シール部材の先端部が容易に径方向外方に拡開変形する。それ故、シール部材がシール受け部に容易に当接することによって、シール性能が向上される。
【0039】
加えて、本発明の高気圧酸素供給装置では、シール部材の径方向外方の先端部とテーパ状溝部との当接を利用して、シール部材の径方向内方の先端部を先端側凹溝の底部から離隔する手段が実現されることとなり、その結果、構造が簡略になる。
【0040】
また、本発明の高気圧酸素供給装置では、例えば請求項8に記載されているように、前記シール部材において前記先端側凹溝の前記テーパ状溝部と当接する径方向外方の先端部が、該シール部材の底部側から先端部側に向かって径寸法が次第に小さくなる形状のテーパ状シール部とされている構成を採用することも可能である。
【0041】
このような高気圧酸素供給装置では、テーパ状シール部とテーパ状溝部とのテーパ状同士の当接によって、シール部材の先端部と先端側凹溝との当接面積が大きく確保される。これにより、容器本体を加圧した際にシール部材に蓋体の径方向内方に巻き込むような力が及ぼされても、シール部材とテーパ状溝部との当接に基づく抗力が一層大きく発揮されることとなって、シール性能の更なる向上が図られる。
【0042】
しかも、シール部材の径方向外方の先端部がテーパ状とされていることから、当該先端部がテーパ状とされていないものと比べて、シール部材が先端側凹溝に当接した際にシール部材の永久歪みの発生が抑えられる。それによって、シール部材の永久歪みに起因するシール性能の低下が抑えられる。
【0043】
また、本発明の高気圧酸素供給装置では、例えば請求項9に記載されているように、前記先端側凹溝と前記シール部材の先端部との間には潤滑剤が設けられ、該先端側凹溝と該シール部材の先端部とが該潤滑剤を介して当接している構成を採用することも可能である。
【0044】
このような高気圧酸素供給装置では、容器本体の開口部分が蓋体によって閉じられる際に、シール部材の先端部が潤滑剤を介して先端側凹溝に嵌め込み易くなる。これにより、例えば、蓋体と容器本体との組み付け誤差やシール部材の経年変化などによって、シール部材の先端部と先端側凹溝とが多少、同心円上に位置していなくても、シール部材の先端部を先端側凹溝に収容してシールすることが可能となる。それ故、製作容易性やシール性能の向上が図られる。
【0045】
また、本発明に関する請求項10に記載のシール部材では、請求項1乃至9の何れか一項に記載の高気圧酸素供給装置に用いられることを特徴とする。
【0046】
本発明のシール部材においては、上述のような高気圧酸素供給装置に用いられることから、容器本体の開口部分と蓋体との間をシールする際に、容器本体の内圧と外圧との差を利用して、径方向外方に拡開変形してシール受け部に当接するようになっている。
【0047】
したがって、シールする対象の空間を充填するために圧縮変形して配されるだけの従来のシール部材と比べて、シール部材の永久歪みが抑えられることとなり、シール部材の耐久性、延いては容器本体の開口部分と蓋体との間のシール性能が向上される。
【0048】
また、本発明の高気圧酸素供給装置では、例えば請求項11に記載されているように、前記高気圧酸素供給装置における前記容器本体の開口部分が前記蓋体によって閉じられる前に、弾性変形可能な棒状の弾性材料を丸めて、該弾性材料の両端部分を互いに重ね合わせることで環状を呈していると共に、該弾性材料の上端部又は下端部を該容器本体の開口部分の縁部又は該蓋体に固着している構成を採用することも可能である。
【0049】
このようなシール部材では、棒状の弾性材料を丸めて環状としていることから、例えば、円板状の弾性材料の中央部分を刳り貫いて環状のシール部材を形成する場合と比べて、中央部分の端材を出すことがなくなる。それ故、端材の省略に基づいて、低コスト化が図られる。
【0050】
また、本発明の高気圧酸素供給装置では、例えば請求項12に記載されているように、前記弾性材料が前記容器本体の開口部分の縁部又は前記蓋体に固着されて環状を呈している状態で、該弾性材料において互いに重ね合わされた両端部分の重ね合わせ面が、該容器本体の開口部分の半径方向に対して傾斜している構成を採用することも可能である。
【0051】
このようなシール部材では、弾性材料の両端部分の重ね合わせ面が容器本体の開口部分の半径方向に対して傾斜していることから、当該重ね合わせ面が当該半径方向と平行なシール部材と比べて、重ね合わせられた面積が大きくなる。また、シール部材の径方向の動きに対して、両端部分が互いに係止される構造となる。それ故、容器本体の内圧と外圧の差に基づいて、シール部材が径方向に変位乃至は変形しても、シール部材の両端部分が外れ難くされており、それによって、容器本体の開口部分と蓋体との間のシール性能が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態としての動物用酸素カプセルの構成を示すブロック図。
【図2】動物用酸素カプセルの一部を構成するカプセル本体に開閉蓋とコントロールボックスを取り付けた状態を示す正面図。
【図3】カプセル本体に開閉蓋とコントロールボックスを取り付けた状態を示す右側面図。
【図4】カプセル本体に開閉蓋とコントロールボックスを取り付けた状態を示す背面図。
【図5】動物用酸素カプセルの一部を構成するフランジ状部材を示す正面図。
【図6】動物用酸素カプセルの一部を構成する開閉蓋を示す背面図。
【図7】動物用酸素カプセルの要部を拡大して概略的に示す縦断面図であって、(a)はカプセル本体の開口部分を開閉蓋で閉じた状態を示す図であり、(b)はカプセル本体の開口部分を開閉蓋で閉じて、カプセル本体の内圧をコントロールボックス及びエアポンプによって上昇させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の内容を分かりやすく説明するため、本発明と関連性の低い部材及び部位については、必要に応じて図示や説明を省略する。
【0054】
図1には、本発明の高気圧酸素供給装置に関する一実施形態としての動物用酸素カプセル10の全体構成が示されている。動物用酸素カプセル10は、カプセル本体12や開閉蓋24、コントロールボックス14、エアーポンプ16などを含んで構成されている。
【0055】
カプセル本体12は、図2,図3,図4に示されるように、全体として有底の略円筒形状を呈しており、円形パイプ18やフランジ状部材20、固定板22、複数の固定シャフト26などを含んで構成されている。また、円形パイプ18やフランジ状部材20、固定板22、開閉蓋24は、例えば、ポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル(PMMA)などの硬質の合成樹脂材料を用いて形成されている。なお、カプセル本体12や開閉蓋24の一部又は全部は、光透過性を有していても良いし、有していなくても良い。円形パイプ18は、円筒形状を呈している。
【0056】
フランジ状部材20は、図5に示されるように、フランジ状を呈しており、表側(図5の紙面表側)の面に円環状の先端側凹溝28が形成されていると共に、裏側(図5の紙面裏側)の面に円環状のパイプ嵌合溝30が形成されている。また、フランジ状部材20には、一対の脚部32,32が一体形成されている。更に、フランジ状部材20の表側には、周方向に離隔して複数の固定ピン33が突設されている。固定ピン33は、基端部から先端部分にかけて円形ロッド状を呈しており、その先端部分が大径の円板形状を呈している。
【0057】
固定板22は、略円板形状を呈しており(図4参照)、その裏側(図4の紙面裏側)の面に円環状のパイプ嵌合溝34が形成されている。また、固定板22には、一対の脚部36,36が一体形成されている。更に、固定板22には、安全弁(図示せず)を取り付けるための安全弁装着孔38と、給気管路39を取り付けるための給気孔40と、排気管路41を取り付けるための排気孔42と、内圧検出管路43を取り付けるための検出孔44とが、ぞれぞれ貫設されている。
【0058】
円形パイプ18の一方の端部と他方の端部とは、ぞれぞれ図示しないパッキンを介してフランジ状部材20のパイプ嵌合溝30と固定板22のパイプ嵌合溝34に嵌め込まれている。そして、円形パイプ18の周囲には、円形ロッド状の固定シャフト26が周方向に離隔して複数設けられており、各固定シャフト26の両端部分がフランジ状部材20と固定板22に螺着されている。これにより、円形パイプ18の両端にフランジ状部材20と固定板22とが固定されて、円形パイプ18の一方の端部が開口した有底円筒形状のカプセル本体12が構成されている。このカプセル本体12の開口部分には、開閉蓋24が取り付けられている。
【0059】
開閉蓋24は、図6に示されるように、全体として略円板形状を呈しており、円板形状の蓋本体46と、円環形状の固定リング48とを含んで構成されている。固定リング48には、周方向に離隔して複数の固定用孔50が貫設されている。固定用孔50は、大径の円形孔と周方向に長い長孔とが組み合わされてなるひょうたん型を呈している。また、固定用孔50の周りには、固定リング48の強度を補うための補強金具52が設けられている。更に、固定リング48には、複数の長孔54が貫設されている。更にまた、固定リング48には、突起状の把持部56が設けられている。
【0060】
蓋本体46には、周方向に離隔して複数の係止ピン58が突設されている。係止ピン58は、基端部から先端部分にかけて円形ロッド状を呈しており、その先端部分が大径の円板形状を呈している。また、蓋本体46には、複数の挿通孔60が貫設されている。挿通孔60は、固定リング48の固定用孔50の大径の円形孔の大きさや形状と略同じとされている。
【0061】
蓋本体46の表側(図5の紙面表側)の面に円環状の底側凹溝62が形成されている。底側凹溝62には、パッキン64が取り付けられている。パッキン64は、弾性変形可能な棒状のスポンジゴム(空隙は不連続)を丸めて、スポンジゴムの両端部分を互いに重ね合わせることで環状を呈している。パッキン64の底部が底側凹溝62に収容されて、パッキン64の底面が底側凹溝62の底面に接着剤等を介して固着されている。
【0062】
特に本実施形態では、パッキン64において互いに重ね合わされた両端部分の重ね合わせ面66が、開閉蓋24の半径方向(カプセル本体12の開口部分の半径方向)に対して所定の角度αで傾斜している。
【0063】
このような固定リング48が蓋本体46の表側(図2の紙面表側、図6の紙面裏側)に重ね合わされて、固定リング48の長孔54に係止ピン58の円形ロッド状の部分が挿通されていると共に、係止ピン58の大径の円板形状の部分が長孔54に係止されている。これにより、固定リング48が蓋本体46に対して長孔54の長さの分だけ回動可能に係止されている。これら蓋本体46及び固定リング48からなる開閉蓋24は、兆番金具を介してカプセル本体12のフランジ状部材20に開閉可能に取り付けられている。
【0064】
つまり、開閉蓋24が、カプセル本体12の開口部分に対して開閉可能に取り付けられている。人が開閉蓋24を開いて、カプセル本体12の開口部分から犬や猫などの動物をカプセル本体12の内側に収容することが出来る。
【0065】
また、開閉蓋24でカプセル本体12の開口部分を閉じるには、先ず把持部56を手で持って固定リング48を回動させるなどして、蓋本体46の挿通孔60と固定リング48の固定用孔50の大径の円形孔とを同心円状に位置合わせする。そして、開閉蓋24をカプセル本体12の開口部分を閉じる方向に移動させると共に、フランジ状部材20の固定ピン33を挿通孔60及び固定用孔50の大径の円形孔に挿通する。そして、把持部56を手で持って固定リング48を図2中の時計方向に回動させて、フランジ状部材20の固定ピン33の大径の円板状部分を固定用孔50の長孔部分に係止させる。
【0066】
これにより、図7(a)にも示されるように、開閉蓋24に固着されたパッキン64の先端部分がフランジ状部材20の先端側凹溝に収容されて、カプセル本体12の開口部分が開閉蓋24で覆蓋されている。 また、パッキン64は、カプセル本体12の開口部分が開閉蓋24によって閉じられた状態で、カプセル本体12の開口部分の縁部と開閉蓋24との間に挟み込まれて圧縮変形している。
【0067】
なお、本実施形態では、開閉蓋24とフランジ状部材20との間に周知のパッチン錠68が設けられており、カプセル本体12の開口部分を開閉蓋24で閉じる際に、パッチン錠68が閉められるようになっている。また、蓋本体46にはプッシュロック70が設けられており、カプセル本体12の開口部分が開閉蓋24で閉じられた際に、固定リング48の把持部56に設けられた任意の穴にプッシュロック70が挿通されている。それによって、開閉蓋24と固定リング48との相対的な回動が阻止されている。このようなカプセル本体12に対してコントロールボックス14とエアポンプ16が取り付けられている。
【0068】
コントロールボックス14は、CPUやROM、RAM等を含むマイクロコンピュータからなるECU72やデジタル式の圧力センサ74、電磁弁(本実施形態では電磁式の開閉弁であるが、電磁式の調圧弁でも良い。)76を内蔵している。
【0069】
圧力センサ74は、内圧検出管路43を介してカプセル本体12の検出孔44に接続されていると共に、ECU72に電気的に接続されている。電磁弁76は、ECU72に電気的に接続されており、電磁弁76の一端が排気管路41を介してカプセル本体12の排気孔42に接続されていると共に、電磁弁76の他端がサイレンサ78を介して大気に開放されている。
【0070】
エアポンプ16は、ECU72からの指令によって制御されるモータ80によって駆動される構成であり、エアポンプ16の空気を吐出する吐出孔が、給気管路39を介してカプセル本体12の給気孔40に接続されている。また、ECU72には、エアポンプ16の運転の開始/停止をするための運転スイッチや、運転中に点灯する運転ランプなどが設けられている。
【0071】
ECU72は、エアポンプ16のカプセル本体12への給気量が、カプセル本体12から電磁弁76、サイレンサ78を通じて外部に排出される排気量よりも所定量だけ大きくなるようにエアポンプ16のモータ80及び電磁弁76を制御する。それによって、ECU72は、カプセル本体12の内圧を大気圧よりも所定量だけ高い圧力に制御する。
【0072】
このようにカプセル本体12の内圧が大気圧よりも高くなるように制御すると、パッキン64は、図7(b)にも示されるように、カプセル本体12の内部と外部との圧力差により径方向外方に拡開変形して、先端側凹溝28の径方向外方の側壁部に当接することにより、カプセル本体12の開口部分と開閉蓋24との間を流体密に封止する。
【0073】
特に本実施形態では、ECU72は、圧力センサ74にて検出されたカプセル本体12の内圧が所定時間で所定圧力の基準値よりも大きいか小さいかを判定する。そして、ECU72は、カプセル本体12の内圧が基準値よりも小さいと判定した場合に、エアポンプ16によるカプセル本体12への給気量を確保させつつ、電磁弁76によるカプセル本体12からの排気量を制限するようにエアポンプ16及び電磁弁76を制御することで、カプセル本体12の内圧を過大にしてカプセル本体12の内部と外部との圧力差を大きくすることによって、パッキン64を径方向外方に強制的に拡開変形させて先端側凹溝28の径方向外方の側壁部に当接させている。
【0074】
一方、ECU72は、カプセル本体12の内圧が基準値よりも大きいと判定した場合に、電磁弁76によるカプセル本体12からの排気量を確保させつつ、エアポンプ16によるカプセル本体12への給気量を制限するようにエアポンプ16及び電磁弁76を制御することで、カプセル本体12の内圧が過大になるのを抑制している。
【0075】
また、図7(a),(b)にも示されるように、先端側凹溝28における底部と径方向外方の側壁部との間には、先端側凹溝28の上部開口側から底部側に向かって径寸法が次第に小さくなるテーパ状溝部82が設けられており、カプセル本体12の開口部分が開閉蓋24によって閉じられた状態で、パッキン64の径方向外方の先端部がテーパ状溝部82に当接している。特に、パッキン64において先端側凹溝28のテーパ状溝部82と当接する径方向外方の先端部が、パッキン64の底部側から先端部側に向かって径寸法が次第に小さくなる形状のテーパ状シール部84とされている。
【0076】
本実施形態では、カプセル本体12の開口部分が開閉蓋24によって閉じられた状態で、且つECU72がカプセル本体12の内圧が大気圧よりも高くなるように制御する前の状態で、パッキン64の径方向外方の先端部が先端側凹溝28のテーパ状溝部82に当接していると共に、パッキン64の径方向内方の先端部が先端側凹溝28の底部と離隔している。
【0077】
ちなみに、本実施形態の先端側凹溝28には、パッキン64に過大な圧力がかかった際に、パッキン64の先端部に食い込むことによって、パッキン64の先端部が先端側凹溝28を乗り越える変形を拘束する拘束リブ86が設けられている。
【0078】
また、本実施形態では、先端側凹溝28とパッキン64の先端部との間には潤滑剤が設けられ、先端側凹溝28とパッキン64の先端部とが潤滑剤を介して当接している。
【0079】
以上説明したように、本実施形態の動物用酸素カプセル10によれば、カプセル本体12の開口部分が開閉蓋24で閉じられて、カプセル本体12の内圧が大きくなった際に、開閉蓋24が、カプセル本体12の内部と外部との圧力差の影響を受けて、カプセル本体12の開口部分から離れる方向に変位したとしても、パッキン64は、径方向外方に拡開変形して先端側凹溝28の径方向外方の側壁部に当接し、開閉蓋24とカプセル本体12の開口部分との間をシールする。このことから明らかなように、本発明のシール受け部は、先端側凹溝28の径方向外方の側壁部によって構成されている。
【0080】
つまり、開閉蓋24とカプセル本体12の開口部分との間のシールに際して、開閉蓋24がカプセル本体12の開口部分から離れる可能性のある方向(図7中、左方)が、パッキン64が先端側凹溝28の径方向外方の側壁部から離れる方向(図7中、下方)と異ならされている。これにより、パッキン64が先端側凹溝28の径方向外方の側壁部に当接するための変形が開閉蓋24の変位に起因して損なわれることが、防止される。
【0081】
それ故、本発明の動物用酸素カプセル10によれば、パッキン64がカプセル本体12の開口部分と開閉蓋24との間をシールするための変形が安定してなされることから、それらカプセル本体12の開口部分と開閉蓋24との間を確実にシールすることができる。
【0082】
しかも、パッキン64におけるカプセル本体12の内部と外部との圧力差を利用した拡開変形によって、カプセル本体12の開口部分と開閉蓋24との間のシール構造が比較的に簡単な構造で実現されることにより、動物用酸素カプセルの低コスト化が図られる。
【0083】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものでなく、実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能である。
【0084】
例えば、カプセル本体12の開口部分が開閉蓋24によって閉じられた状態で、パッキン64においてカプセル本体12の内部に露出する面には、周溝が形成されても良い。それによって、パッキン64においてカプセル本体12の内圧を受ける面積を大きくして、パッキン64が径方向外方に一層変形しやすくすることも可能である。
【符号の説明】
【0085】
10…動物用酸素カプセル、12…カプセル本体、24…開閉蓋、64…パッキン、72…ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人又は動物が出入りする開口部分を備え、該開口部分を通じて人又は動物を内部に収容する容器本体と、
前記容器本体の開口部分を外部から覆うようにして開閉可能に配設される蓋体と、
前記容器本体の内圧が大気圧よりも高くなるように制御する加圧制御手段と、
前記容器本体の開口部分の縁部よりも一回り大きな環状を呈しており、該開口部分が前記蓋体によって閉じられた状態で、該開口部分の縁部の径方向外方に配されるシール受け部と、
環状を呈し、弾性変形可能な材料からなり、前記容器本体の開口部分が前記蓋体によって閉じられた状態で、該開口部分の縁部と該蓋体との間に挟み込まれて圧縮変形し、また、前記加圧制御手段が該容器本体の内圧が大気圧よりも高くなるように制御すると、該容器本体の内部と外部との圧力差により径方向外方に拡開変形して、前記シール受け部に当接することにより、該容器本体の開口部分と該蓋体との間を流体密に封止するシール部材と、
を備えたことを特徴とする高気圧酸素供給装置。
【請求項2】
前記加圧制御手段は、
前記容器本体の内部に加圧した空気を供給する給気手段と、
前記容器本体の内部の空気を外部に排出する排気手段と、
前記給気手段が前記容器本体の内部に空気を供給する給気量と前記排気手段が該容器本体の内部から空気を排出する排気量とをそれぞれ制御する給排制御手段と、
を含んで構成されており、
前記給排制御手段が、前記給気量が前記排気量よりも所定量だけ大きくなるように前記給気手段及び前記排気手段を制御することによって、前記加圧制御手段は、前記容器本体の内圧を大気圧よりも所定量だけ高い圧力に制御する請求項1に記載の高気圧酸素供給装置。
【請求項3】
前記加圧制御手段は、
前記容器本体の内圧を検出する内圧検出手段と、
前記内圧検出手段にて検出された前記容器本体の内圧が所定時間で所定圧力の基準値よりも大きいか小さいかを判定する圧力判定手段と、
前記圧力判定手段が前記容器本体の内圧が前記基準値よりも小さいと判定した場合に、前記給気手段による該容器本体への前記給気量を確保させつつ、前記排気手段による該容器本体からの前記排気量を制限するように前記給排制御手段を制御することで、該容器本体の内圧を過大にして該容器本体の内部と外部との圧力差を大きくすることによって、前記シール部材を径方向外方に強制的に拡開変形させて前記シール受け部に当接させるシールアシスト手段と、
を含んで構成される請求項2に記載の高気圧酸素供給装置。
【請求項4】
前記加圧制御手段は、前記圧力判定手段が前記容器本体の内圧が前記基準値よりも大きいと判定した場合に、前記排気手段による前記容器本体からの前記排気量を確保させつつ、前記給気手段による該容器本体への前記給気量を制限するように前記給排制御手段を制御することで、該容器本体の内圧が過大になるのを抑制する過圧抑制手段を含んで構成される請求項3に記載の高気圧酸素供給装置。
【請求項5】
前記容器本体の開口部分の縁部と前記蓋体との何れか一方には、環状の溝形状を呈して、前記シール部材の底部を収容する底側凹溝が設けられ、
前記容器本体の開口部分の縁部と前記蓋体との他方には、環状の溝形状を呈して、前記シール部材の先端部を収容する先端側凹溝が設けられており、
前記容器本体の開口部分が前記蓋体によって閉じられた状態で、前記シール部材が前記底側凹溝と前記先端側凹溝との間で該シール部材の厚さ方向に圧縮変形し、前記加圧制御手段が該容器本体の内圧が大気圧よりも高くなるように制御すると、該シール部材の先端部が径方向外方に拡開変形して該先端側凹溝の径方向外方の側壁部に当接することによって、該容器本体の開口部分と該蓋体とが該シール部材で流体密に封止されるようになっており、前記シール受け部がこの先端側凹溝の径方向外方の側壁部を含んで構成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の高気圧酸素供給装置。
【請求項6】
前記先端側凹溝における底部と径方向外方の側壁部との間には、該先端側凹溝の上部開口側から底部側に向かって径寸法が次第に小さくなるテーパ状溝部が設けられており、前記容器本体の開口部分が前記蓋体によって閉じられた状態で、前記シール部材の径方向外方の先端部が該テーパ状溝部に当接している請求項5に記載の高気圧酸素供給装置。
【請求項7】
前記容器本体の開口部分が前記蓋体によって閉じられた状態で、且つ前記加圧制御手段が該容器本体の内圧が大気圧よりも高くなるように制御する前の状態で、前記シール部材の径方向外方の先端部が前記先端側凹溝の前記テーパ状溝部に当接していると共に、該シール部材の径方向内方の先端部が前記先端側凹溝の底部と離隔している請求項6に記載の高気圧酸素供給装置。
【請求項8】
前記シール部材において前記先端側凹溝の前記テーパ状溝部と当接する径方向外方の先端部が、該シール部材の底部側から先端部側に向かって径寸法が次第に小さくなる形状のテーパ状シール部とされている請求項6又は7に記載の高気圧酸素供給装置。
【請求項9】
前記先端側凹溝と前記シール部材の先端部との間には潤滑剤が設けられ、該先端側凹溝と該シール部材の先端部とが該潤滑剤を介して当接している請求項5乃至8の何れか一項に記載の高気圧酸素供給装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の高気圧酸素供給装置に用いられることを特徴とするシール部材。
【請求項11】
前記高気圧酸素供給装置における前記容器本体の開口部分が前記蓋体によって閉じられる前に、弾性変形可能な棒状の弾性材料を丸めて、該弾性材料の両端部分を互いに重ね合わせることで環状を呈していると共に、該弾性材料の上端部又は下端部を該容器本体の開口部分の縁部又は該蓋体に固着している請求項10に記載のシール部材。
【請求項12】
前記弾性材料が前記容器本体の開口部分の縁部又は前記蓋体に固着されて環状を呈している状態で、該弾性材料において互いに重ね合わされた両端部分の重ね合わせ面が、該容器本体の開口部分の半径方向に対して傾斜している請求項11に記載のシール部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−34635(P2013−34635A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172571(P2011−172571)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(710009771)
【Fターム(参考)】