説明

高炉水砕スラグ又はその粒度調整物の固結防止剤

【課題】長期間に亘り高炉水砕スラグ又はその粒度調整物の固結を充分に防止し、またこれらの使用対象物に悪影響を与えない、高炉水砕スラグ又はその粒度調整物の固結防止剤を提供する。
【解決手段】固結防止剤として、下記の式1で示される構成単位を主構成単位とするアクリル酸系重合体から選ばれる一つ又は二つ以上を用いた。
【化1】


(化1において、
M:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミン)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高炉水砕スラグ又はその粒度調整物の固結防止剤に関する。近年、天然砂が枯渇しつつあるなかで資源保護の観点から、土木工事用材料やコンクリート用細骨材等に使用される天然砂の代替として、高炉水砕スラグやこれを粉砕して粒度調整した粒度調整物(以下、これらを単に高炉水砕スラグ等という)を使用する機会が増えてきている。ところで、高炉水砕スラグ等は、出荷待ちや使用待ちのために野積み状態で長期間貯蔵されたり、また船舶等で長期間輸送されることが多いが、これをそのまま長期間に亘って貯蔵したり、輸送すると、固結して遂には岩塊のようになってしまう。かかる固結は、気温の高い夏季において著しい。固結したものは前記のような天然砂の代替として使えず、それを敢えて天然砂の代替として使おうとすると、膨大な労力を要する。高炉水砕スラグ等を天然砂の代替として使用する場合には、その長期間に亘る貯蔵や輸送中に、それが固結しないようにすることが要求されるのである。本発明はかかる要求に応える高炉水砕スラグ等の固結防止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高炉水砕スラグ等の固結防止剤として、脂肪族オキシカルボン酸やその塩(例えば特許文献1参照)、リグニンスルホン酸やその塩(例えば特許文献2参照)、糖類(例えば特許文献3参照)、脂肪族オキシカルボン酸やその塩のアルキレンオキサイド付加物(例えば特許文献4参照)等が提案されている。これらの固結防止剤は通常、水で希釈したその水性液を高炉水砕スラグ等へ例えばスプレーすることにより使用されている。ところが、かかる従来の固結防止剤には、程度の差はあるものの、それらが発揮する固結防止効果が不充分で、とりわけそれらを使用した高炉水砕スラグ等を長期間に亘り貯蔵や輸送すると、もともと高炉水砕スラグ等の保水性が低く、これに使用した固結防止剤が希釈水や雨水により流れ落ちるためと推察されるが、所期の固結防止効果が発揮されなくなるという問題がある。また固結防止剤によってはそれらを使用した高炉水砕スラグ等をコンクリート用細骨材として用いると、得られる硬化体の強度を低下させるものもあるという問題がある。
【特許文献1】特開昭54−130496号公報
【特許文献2】特開昭57−95857号公報
【特許文献3】特開昭58−104050号公報
【特許文献4】特開2001−58855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、長期間に亘り高炉水砕スラグ等の固結を充分に防止し、またかかる高炉水砕スラグ等の使用対象物に悪影響を与えない、高炉水砕スラグ等の固結防止剤を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題を解決する本発明は、下記の化1で示される構成単位を主構成単位とするアクリル酸系重合体から選ばれる一つ又は二つ以上から成ることを特徴とする高炉水砕スラグ等の固結防止剤に係る。




【0005】
【化1】

【0006】
化1において、
M:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミン
【0007】
本発明に係る高炉水砕スラグ等の固結防止剤(以下、単に本発明の固結防止剤という)は、化1で示される構成単位を主構成単位とするアクリル酸系重合体から選ばれる一つ又は二つ以上から成るものであり、好ましくは、全構成単位中に、化1で示される構成単位を60モル%以上有するアクリル酸系重合体から選ばれる一つ又は二つ以上から成るものである。かかるアクリル酸系重合体には、アクリル酸の重合体、アクリル酸塩の重合体、アクリル酸の重合体の塩、アクリル酸の共重合体、アクリル酸塩の共重合体、アクリル酸の共重合体の塩等が含まれる。
【0008】
本発明の固結防止剤として用いるアクリル酸系重合体が、化1で示される構成単位以外の他の構成単位を有するものである場合、そのようなアクリル酸系重合体は、化1で示される構成単位を形成することとなる単量体と他の構成単位を形成することとなる単量体とを共重合したものである。かかる他の構成単位を形成することとなる単量体としては、メタクリル酸、メタクリル酸の塩、クロトン酸、クロトン酸の塩、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、アクリル酸アミド、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸の塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸の塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸の塩、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、イソプレン、イソアミレン等が挙げられる。
【0009】
化1で示される構成単位を主構成単位とするアクリル酸系重合体において、化1中のMとしては、1)ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、2)カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、3)アンモニウム、4)トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機アミンが挙げられる。
【0010】
本発明の固結防止剤としては、化1で示される構成単位以外の他の構成単位を有するアクリル酸系重合体から選ばれる一つ又は二つ以上から成るものが好ましい。またかかるアクリル酸系重合体としては、全構成単位中に、化1で示される構成単位以外の他の構成単位を5〜30モル%有するものが好ましい。更にかかるアクリル酸系共重合体において、化1で示される構成単位以外の他の構成単位を形成することとなる単量体としては、メタクリル酸、メタクリル酸の塩、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、アクリル酸アミド、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸の塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸の塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸の塩が好ましく、メタクリル酸、メタクリル酸の塩、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、スチレンスルホン酸の塩がより好ましい。いずれも、長期間に亘り高炉水砕スラグ等の固結をより良く防止するからである。
【0011】
前記したように、化1中のMは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンであるが、本発明の固結防止剤としては、Mがナトリウムである場合の化1で示される構成単位を主構成単位とするアクリル酸系重合体が好ましい。また本発明の固結防止剤として用いるアクリル酸系重合体は、その数平均分子量が3000〜100000のものが好ましい。ともに、長期間に亘り高炉水砕スラグ等の固結をより良く防止するからである。
【0012】
本発明の固結防止剤として用いる以上説明したアクリル酸系重合体それ自体は、いずれも公知の方法で合成できる。
【0013】
本発明の固結防止剤は、高炉水砕スラグ等100重量部当たり0.002〜0.3重量部の割合となるよう用いる。高炉水砕スラグ等100重量部当たり、本発明の固結防止剤の使用量が0.002重量部未満であると、固結防止効果が充分に発揮されず、逆に0.3重量部超としても、その割には固結防止効果が発揮されず、非経済的になるからである。高炉水砕スラグ等に本発明の固結防止剤を用いる場合、通常は本発明の固結防止剤又はこれを水で希釈した水性液を高炉水砕スラグ等にスプレーしつつ混合する。
【0014】
本発明の固結防止剤は、高炉水砕スラグ等100重量部当たり0.005〜0.1重量部の割合となるよう用いるのが好ましい。また本発明の固結防止剤は、これを水で希釈して1.5〜10重量%の水性液となし、かかる水性液を高炉水砕スラグ等に用いるのが好ましい。ともに、長期間に亘り高炉水砕スラグ等の固結をより良く防止するからである。
【発明の効果】
【0015】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、長期間に亘り高炉水砕スラグ等の固結を充分に防止し、またかかる高炉水砕スラグ等の使用対象物に悪影響を与えないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の固結防止剤の実施形態としては、次の1)〜11)が挙げられる。
1)数平均分子量3200の、アクリル酸ナトリウムの重合体から成る固結防止剤。
【0017】
2)数平均分子量5800の、アクリル酸ナトリウムの重合体から成る固結防止剤。
【0018】
3)数平均分子量7400の、アクリル酸ナトリウムの重合体から成る固結防止剤。
【0019】
4)数平均分子量48000の、アクリル酸ナトリウムの重合体から成る固結防止剤。
【0020】
5)数平均分子量23000の、アクリル酸の重合体のナトリウム塩から成る固結防止剤。
【0021】
6)数平均分子量3200の、アクリル酸−メタクリル酸の共重合体{アクリル酸から形成された構成単位/メタクリル酸から形成された構成単位=90/10(モル比)}から成る固結防止剤。
【0022】
7)数平均分子量5100の、アクリル酸ナトリウム−メタクリル酸ナトリウムの共重合体{アクリル酸ナトリウムから形成された構成単位/メタクリル酸ナトリウムから形成された構成単位=75/25(モル比)}から成る固結防止剤。
【0023】
8)数平均分子量7300の、アクリル酸ナトリウム−メタクリル酸2−ヒドキシエチルの共重合体{アクリル酸ナトリウムから形成された構成単位/メタクリル酸2−ヒドキシエチルから形成された構成単位=80/20(モル比)}から成る固結防止剤。
【0024】
9)数平均分子量6600の、アクリル酸ナトリウム−メタクリル酸2−ヒドロキシエチル−スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合体{アクリル酸ナトリウムから形成された構成単位/メタクリル酸2−ヒドロキシエチルから形成された構成単位/スチレンスルホン酸ナトリウムから形成された構成単位=75/15/10(モル比)}から成る固結防止剤。
【0025】
10)数平均分子量17000の、アクリル酸ナトリウム−スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合体{アクリル酸ナトリウムから形成された構成単位/スチレンスルホン酸ナトリウムから形成された構成単位=90/10(モル比)}から成る固結防止剤。
【0026】
11)数平均分子量6700の、アクリル酸−メタクリル酸の共重合体{アクリル酸から形成された構成単位/メタクリル酸から形成された構成単位=75/25(モル比)}のナトリウム塩から成る固結防止剤。
【0027】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り、部は重量部を、また%は重量%を意味する。
【実施例】
【0028】
試験区分1(固結防止剤の調製)
実施例1(固結防止剤P−1の調製)
反応容器にアクリル酸ナトリウムの30%水性液313g{アクリル酸ナトリウムとして94g(1モル)を含有する水性液}、3−メルカプトプロピオン酸3g及び水70gを仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下に、反応系の温度を温水浴にて80℃に保ち、過硫酸ナトリウムの20%水溶液8gを滴下して重合を開始し、5時間重合反応を継続して重合を完結した。数平均分子量1100の、アクリル酸ナトリウムの重合体(実施例1)の25%水性液を調製した。これを固結防止剤P−1の25%水性液とした。
【0029】
実施例2〜8(固結防止剤P−2〜P−8の調製)
実施例1の固結防止剤P−1の25%水性液と同様にして、実施例2〜8の固結防止剤P−2〜P−8の25%水性液を調製した。
【0030】
実施例9(固結防止剤P−9の調製)
反応容器にアクリル酸の25%水性液288g{アクリル酸として72g(1モル)を含有する水性液}、3−メルカプトプロピオン酸2.5g及び水54.3gを仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下に、反応系の温度を温水浴にて80℃に保ち、過硫酸ナトリウムの20%水溶液6gを滴下して重合を開始し、6時間重合反応を継続して、アクリル酸の重合体を得た。次に反応系を20℃まで冷却した後、反応系を20〜30℃に保ちながら、顆粒状の水酸化ナトリウム40gを徐々に添加して、数平均分子量23000の、アクリル酸の重合体のナトリウム塩(実施例9)の25%水性液を調製した。これを固結防止剤P−9の25%水性液とした。
【0031】
実施例10(固結防止剤P−10の調製)
反応容器にアクリル酸ナトリウムの30%水性液313g{アクリル酸ナトリウムとして94g(1モル)}、スチレン10.4g(0.1モル)、3−メルカプトプロピオン酸4.5g及び水106gを仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後,雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下に、反応系の温度を温水浴にて80℃に保ち、過硫酸ナトリウムの20%水溶液5gを滴下して重合を開始し、5時間重合反応を継続して重合を完結し、数平均分子量1800の、アクリル酸ナトリウム−スチレンの共重合体(実施例10)の25%水溶液を調製した。これを固結防止剤P−10の25%水溶液とした。
【0032】
実施例11〜16(固結防止剤P−11〜P−16の調製)
実施例10の固結防止剤P−10の25%水性液と同様にして、実施例11〜16の固結防止剤P−11〜P−16の25%水性液を調製した。
【0033】
実施例17(固結防止剤P−17の調製)
反応容器にアクリル酸の25%水性液216g{アクリル酸として54g(0.75モル)}、メタクリル酸の25%水性液86g{メタクリル酸として21.5g(0.25)}、3−メルカプトプロピオン酸4g及び水58.8gを仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下に、反応系の温度を温水浴にて80℃に保ち、過硫酸ナトリウムの20%水溶液6gを滴下して重合を開始し、5時間重合反応を継続して、アクリル酸−メタクリル酸の共重合体を得た。次に反応系を20℃まで冷却した後、反応系を20〜30℃に保ちながら、顆粒状の水酸化ナトリウム40gを徐々に添加して、数平均分子量6700の、アクリル酸−メタクリル酸共重合体のナトリウム塩(実施例17)の25%水性液を調製した。これを固結防止剤P−17の25%水性液とした。
【0034】
実施例18〜20
実施例12と同じ固結防止剤P−12の25%水性液を調製した。以上で調製した各例の内容を表1にまとめて示した。
【0035】
試験区分2(固結防止剤の評価その1)
鋼管鉱業社製福山産の高炉水砕スラグ{JIS−A5011(コンクリート用スラグ骨材)に準じて5mm高炉スラグ細骨材の粒度分布に調整した粒度調整物}50kgをバットに広げた。別に、試験区分1で調製した固結防止剤の25%水性液等を更に水で希釈し、表1記載の使用濃度の水性液を調製した。バットに広げた水砕スラグにかかる使用濃度の水性液を固結防止剤として表1記載の添加量となるようスプレーしながらハンドスコップで混合し、更に高炉水砕スラグが含水率10%となるように水を加え、ミキサーで5分間混合して、固結防止剤を添加した高炉水砕スラグを得た。かくして固結防止剤を添加した高炉水砕スラグを内径100mmの円筒状容器に高さ125mmまで充填し、これに高炉水砕スラグの貯蔵高さ10mに相当する1.5kg/cmの圧力を載荷して供試体とした。供試体は、水分の蒸発を防ぐため円筒状容器を密封し、80℃の恒温室で最長10週間まで養生した。所定期間養生終了後、供試体を脱枠し、粒度測定を行なった。粒度測定は、5mm篩いを用いて行ない、篩いを通過しないで篩上に残存したものの量を測定し、その割合を求めた(表1中の5mm篩上割合)。結果を表1にまとめて示した。表1において、5mm篩上割合(%)の数値が低いほど、高炉水砕スラグの固結が防止されていることを意味する。














【0036】
【表1】

【0037】
表1において、
*1:アクリル酸系重合体の構成単位に相当する単量体で表示
添加量:高炉水砕スラグ100重量部当たりの固結防止剤の添加重量部
GS:グルコン酸ナトリウム
GS−4:グルコン酸ナトリウムのエチレンオキサイド4モル付加物
これらは以下同じ
【0038】
試験区分3(固結防止剤の評価その2)
試験区分1で調製した固結防止剤の25%水性液等を更に水で希釈し、表2記載の使用濃度の水性液を調製した。高炉水砕スラグをクラッシャで破砕し、その破砕物にかかる使用濃度の水性液を固結防止剤として表2記載の添加量となるようスプレーした後、スクリーンで篩分けして、5mm高炉水砕スラグ細骨材粒度に調整した高炉水砕スラグ80トンを得た。得られた固結防止剤を添加した高炉水砕スラグを屋外に高さ3mの小山状にして14週間にわたり野積みし、野積み期間中に表2記載の時点で、下記の方法により貫入抵抗係数を求め、固結防止性を評価した。ここで貫入抵抗係数が0.45以下の場合、固結による問題なしと判断されている。結果を表2にまとめて示した。
・貫入抵抗係数
高炉スラグ骨材コンクリート施工指針に記載の貫入抵抗測定器を野積みの小山に貫入し、下記の計算式により貫入抵抗係数を算出した。(コンクリート・ライブラリー第76号 高炉スラグ骨材コンクリート施工指針 P.21 土木学会1993)
貫入抵抗係数=100cm貫入時のばねばかりの荷重(kgf)/貫入長さ100(cm)
又は、貫入抵抗係数=ばねばかり最大荷重20kgf/ばねばかり最大荷重20kgf時の貫入長さ(cm)
【0039】
【表2】

【0040】
試験区分3(固結防止剤の評価その3)
表3に記載の調合条件で、各例のコンクリートを次のように調製した。50Lのパン型強制練りミキサーに、普通ポルトランドセメント(比重3.16、ブレーン値3300)、細骨材として大井川水系砂(比重2.63)及び試験区分2と同様に固結防止剤の水性液をスプレーして混合した高炉水砕スラグ(鋼管鉱業社製福山産の高炉水砕スラグ、比重2.74)並びに粗骨材(岡崎産砕石、比重2.68)を順次投入して15秒間空練りした。次いで、各例いずれも目標スランプが18±1cmの範囲内に入るように、AE減水剤(竹本油脂社製の商品名チューポールEX20)をセメント重量に対し0.2重量%となるよう練り混ぜ水と共に添加して2分間練り混ぜた。この際、目標空気量が4〜5%となるよう空気量調整剤(竹本油脂社製の商品名AE200)を添加した。調製した各試験例のコンクリートについて、その物性を次のように測定した。結果を表4にまとめて示した。
スランプ:JIS−A1101に準拠して測定した
空気量:JIS−A1128に準拠して測定した
圧縮強度:JIS−A1108に準拠して測定した
【0041】
【表3】

【0042】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉水砕スラグ又はその粒度調整物の固結防止剤であって、下記の化1で示される構成単位を主構成単位とするアクリル酸系重合体から選ばれる一つ又は二つ以上から成ることを特徴とする固結防止剤。
【化1】

(化1において、
M:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミン)
【請求項2】
アクリル酸系重合体が、全構成単位中に、化1で示される構成単位を60モル%以上有するものである請求項1記載の固結防止剤。
【請求項3】
アクリル酸系重合体が、化1で示される構成単位以外の他の構成単位を有するものである請求項2記載の固結防止剤。
【請求項4】
アクリル酸系重合体が、全構成単位中に、化1で示される構成単位以外の他の構成単位を5〜30モル%有するものである請求項3記載の固結防止剤。
【請求項5】
他の構成単位を形成することとなる単量体が、メタクリル酸、メタクリル酸の塩、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、アクリル酸アミド、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸の塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸の塩、スチレンスルホン酸及びスチレンスルホン酸の塩から選ばれる一つ又は二つ以上である請求項3又は4記載の固結防止剤。
【請求項6】
アクリル酸系重合体が、Mがナトリウムである場合の化1で示される構成単位を有するものである請求項1〜5のいずれか一つの項記載の固結防止剤。
【請求項7】
アクリル酸系重合体が、数平均分子量3000〜100000のものである請求項1〜6のいずれか一つの項記載の固結防止剤。

【公開番号】特開2007−77020(P2007−77020A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345447(P2006−345447)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【分割の表示】特願2002−219869(P2002−219869)の分割
【原出願日】平成14年7月29日(2002.7.29)
【出願人】(000200301)JFEミネラル株式会社 (79)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】