説明

高耐熱性ポリイミド繊維およびその製造方法

【課題】 ポリイミドを非プロトン性極性有機溶媒に溶解したポリイミド溶液のドープ液を用いた溶液紡糸法によって、溶液安定性及び曳糸性よくポリイミド繊維を製造することが可能であり、且つ従来公知のものに較べてより高い耐熱性(例えばガラス転移温度(Tg))を有する高耐熱性ポリイミド繊維、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 ポリイミドの繰り返し単位中に、所定の割合で2,3,3’4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とトルエンジイソシアネート(或いはジアミノトルエン)とからなる化学構造を導入することによって、非プロトン性極性有機溶媒への溶解性及び曳糸性を良好に保ちながら、且つ耐熱性を大幅に向上したポリイミド繊維を得ることに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性が特に優れたポリイミド繊維、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られているポリイミド繊維の製造法は大別して二つに分けることができる。すなわち、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液のドープ液を紡糸して繊維状としたのち、これをイミド化してポリイミド繊維とする方法と、ポリイミド溶液のドープ液を紡糸してポリイミド繊維とする方法である。
【0003】
ポリアミック酸溶液のドープ液を用いる製造方法は、例えば特許文献1などに記載されている。この方法は、前述のようにポリアミック酸溶液を繊維状に紡糸したものをイミド化する追加の工程が必要となるが、このイミド化工程において水が発生するために繊維に気孔ができやすく、安定した品質を持つポリイミド繊維を再現性よく製造することが難しいという問題があった。
【0004】
これに対して、ポリイミド溶液のドープ液を用いる製造方法が、例えば特許文献2に開示されている。ここでは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下s−BPDAと略記することがある。)または2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下a−BPDAと略記することがある。)を、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのような2つのベンゼン環を有するジアミン類やジアミノピリジン類などの芳香族ジアミンと反応させることによりフェノール系溶媒に溶解可能なポリイミドとし、このポリイミドをフェノール系溶媒に溶解したポリイミド溶液からなるドープ液を用いて湿式紡糸法によって繊維化している。しかし、この方法は、ポリイミドを溶解する溶媒に特殊なフェノール系溶媒を用いており、臭気や環境負荷を考慮すると実用上の製造方法として改良の余地があった。さらに、この方法で得られるポリイミド繊維は、高弾性率を達成しているが、耐熱性においては改良の余地があった。
【0005】
さらに、ポリイミド溶液のドープ液を用いる製造方法が、特許文献3に開示されている。ここでは、ポリイミドが、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物と、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)および2,4−及び/または2,6−トルエンジイソシアネートとを反応させることで得られている。このポリイミドは非プロトン性有機溶媒に溶解するので、繊維は、ポリイミドを非プロトン性有機溶媒に溶解したポリイミド溶液のドープ液を用いて湿式紡糸によって製造されている。また、前記と同じ化学組成のポリイミド溶液のドープ液を用いた乾式紡糸法によるポリイミド繊維の製造方法が、特許文献4や特許文献5に開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの従来公知のポリイミド繊維は、いずれもガラス転移温度(Tg)がせいぜい315℃程度であり、耐熱性が十分に高いものではなく、更に耐熱性が改良されたポリイミド繊維が求められていた。
【0007】
一般に、ポリイミドの耐熱性を向上させるためには、複数の芳香環が直接結合した化学構造をポリイミド分子により多く導入することが有効と考えられる。しかし多くの場合、複数の芳香環が直接結合した化学構造のポリイミドへの導入は、得られるポリイミド分子に剛直性を与えて溶媒への溶解性を低下させた。このために、複数の芳香環が直接結合した化学構造が導入されたポリイミドは、通常非プロトン性極性有機溶媒に溶解し難くなり、ポリイミド溶液のドープ液を用いた製造方法によってポリイミド繊維を製造することは困難であった。一方、ポリイミドの溶解性を改善するためには、ポリイミド分子の主鎖へカルボニル基、エーテル基など柔軟な構造を導入することが有効である。しかし、その結果得られるポリイミドの耐熱性(例えばガラス転移温度(Tg))は低下した。
【0008】
さらに、ポリイミド溶液のドープ液を用いてポリイミド繊維を製造する場合には、ポリイミド溶液のドープ液に対して良好な溶液安定性及び曳糸性が求められる。溶液安定性及び曳糸性が十分でない場合には、ゲル化や糸切れなどが生じるために、連続して紡糸することはできない。このため工業的にポリイミド繊維を製造することはできなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公昭42−2936号公報
【特許文献2】特開昭56−159314号公報
【特許文献3】米国特許第3985934号公報
【特許文献4】米国特許第4801502号公報
【特許文献5】特開平4−257315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ポリイミドを非プロトン性極性有機溶媒に溶解したポリイミド溶液(組成物)のドープ液を用いた溶液紡糸法によって、溶液安定性及び曳糸性よくポリイミド繊維を製造することが可能であり、且つ従来公知のものに較べてより高い耐熱性(例えばガラス転移温度(Tg))を有する高耐熱性ポリイミド繊維、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリイミドを構成する繰り返し単位中に、所定の割合で2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とトルエンジイソシアネート(或いはジアミノトルエン)とからなる化学構造を導入することによって、非プロトン性極性有機溶媒への溶解性及び曳糸性を良好に保ちながら、且つ耐熱性が大幅に向上した高耐熱性ポリイミド繊維を得ることができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は以下の各項に関する。
(1) 下記化学式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドからなることを特徴とする高耐熱性ポリイミド繊維。
【0013】
【化1】

化学式(1)において、Aの15モル%以上が下記化学式(2)であり、且つRの45モル%以上が下記化学式(3)のいずれか或いはそれらの混合物である。但し、Aの90モル%以上が下記化学式(2)であり、且つRの90モル%以上が下記化学式(3)のいずれか或いはそれらの混合物からなるものは除く。
【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
(2) 化学式(1)において、Aの15モル%以上が前記化学式(2)であり、残りが下記化学式(4)のいずれか或いはそれらの混合物であることを特徴とする前記項1に記載の高耐熱性ポリイミド繊維。
【0017】
【化4】

化学式(4)において、XはCH、CO、O、S、またはSOのいずれかで表される2価の基である。
【0018】
(3) 化学式(1)において、Aの50モル%以上が前記化学式(2)であり、残りが前記化学式(4)のいずれか或いはそれらの混合物であることを特徴とする前記項1〜2のいずれかに記載の高耐熱性ポリイミド繊維。
【0019】
(4) 化学式(1)において、Rの45モル%以上が前記化学式(3)のいずれか或いはそれらの混合物であり、残りが下記化学式(5)のいずれか或いはそれらの混合物であることを特徴とする前記項1〜3のいずれかに記載の高耐熱性ポリイミド繊維。
【0020】
【化5】

化学式(5)において、XはCH、CO、O、S、SO、C(CHまたはC(CFのいずれかの2価の基である。
【0021】
(5) ガラス転移温度(Tg)が350℃以上であることを特徴とする前記項1〜4のいずれかに記載の耐熱性ポリイミド繊維。
【0022】
(6) 下記化学式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを非プロトン性極性溶媒に溶解したポリイミド溶液組成物を製造し、前記ポリイミド溶液組成物を用いて溶液紡糸法によりポリイミド繊維を得ることを特徴とする高耐熱性ポリイミド繊維の製造方法。
【0023】
【化6】

化学式(1)において、Aの15モル%以上が下記化学式(2)であり、且つRの45モル%以上が下記化学式(3)のいずれか或いはそれらの混合物である。但し、Aの90モル%以上が下記化学式(2)であり、且つRの90モル%以上が下記化学式(3)のいずれか或いはそれらの混合物であるものは除く。
【0024】
【化7】

【0025】
【化8】

【0026】
(7) 溶液紡糸法が湿式紡糸法であることを特徴とする前記項6に記載の高耐熱性ポリイミド繊維の製造方法。
【0027】
(8) 溶液紡糸法が乾式紡糸法であることを特徴とする前記項6に記載の高耐熱性ポリイミド繊維の製造方法。
【0028】
(9) 前記項1〜5に記載の高耐熱性ポリイミド繊維からなることを特徴とする高耐熱性ポリイミド織布。
【0029】
(10) 前記項1〜5に記載の高耐熱性ポリイミド繊維からなることを特徴とする高耐熱性ポリイミド不織布。
【発明の効果】
【0030】
本発明によって、ポリイミドを非プロトン性極性有機溶媒に溶解したポリイミド溶液(組成物)のドープ液を用いた溶液紡糸法によって、溶液安定性及び曳糸性よくポリイミド繊維を製造することが可能であり、且つ従来公知のものに較べてより高い耐熱性(例えばガラス転移温度(Tg))を有する高耐熱性ポリイミド繊維、及びその製造方法を得ることができる。
本発明の高耐熱性ポリイミド繊維は、より高い温度域でより長時間連続使用が可能(長寿命)である。このため、本発明の高耐熱性ポリイミド繊維は、耐熱性、難燃性が要求される分野において、織布、不織布、及びその加工製品、例えば消防用防護服、パッキン材、バグフィルター、航空機用シートカバー、カーテン、寝具、その他フェルト等として好適に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明のポリイミド繊維に用いられるポリイミドは、所定のテトラカルボン酸成分(例えば、テトラカルボン酸二無水物)とジアミン成分(例えば、ジイソシアネート或いはジアミン)から公知の方法を用いて好適に製造することができる。
反応に用いる溶媒としては、特に限定するものではないが、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することがある。)、N,N’−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記することがある。)、N,N’−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略記することがある。)、N,N’−ジエチルアセトアミド、N,N’−ジメチルメトキシアセトアミド、Nメチルホルムアミド、ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下、DMIと略記することがある。)、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記することがある。)等の非プロトン性極性有機溶媒が好適であり、必要に応じてこれらの非プロトン性極性有機溶媒の混合物を用いることができる。特にNMP、DMIはポリイミドの溶解性が高く有用である。使用する溶媒量は、好ましくは、得られるボリマー溶液のポリイミド含量が5〜50質量%、より好ましくは15〜30質量%となるように選択される。
【0032】
テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネートとの重合反応によってポリイミドを製造する場合には、重合を促進するための触媒として種々の3級アミン、ホスホレン、ホスホランもしくはホスフェタン誘導体などを、ジイソシアネート1モル当たり0.0001〜0.1モルの割合で反応混合液に添加するのが好適である。また、この重合反応の重合度を上げるために、テトラカルボン酸二無水物に対して0.1〜2当量、好ましくは0.5〜1.5当量の水を反応混合液に添加するのが好適である。水の機能の詳細は定かではないが、酸無水物基の一部を加水分解することで反応の活性化エネルギーを低下させているものと考えられる。
【0033】
重合反応に際して、ジイソシアネートは、テトラカルボン酸二無水物(及び場合により触媒や水)の溶液に、20〜150℃好ましくは60〜130℃の反応温度で逐次添加するのが好適である。また、この温度で1〜3時間程度反応後、反応温度を150〜220℃まで上げてさらに反応させることにより、好適に反応を完結させることができる。水を反応系中に加えた場合、最終的に水を共沸により反応系外に除くために、トルエンなどの共沸溶媒を用いるのがよい。反応の進行の程度は、例えばIR分光分析により、遊離NCO基に相当する吸収が消失すことを確認することによって追跡することができる。テトラカルボン酸二無水物に対して略等モル量のジイソシアネートの添加後、CO発生の終了によって、この反応が完了したことを確認することができる。また反応終了後のポリイミド溶液中では、IR分光分析による遊離NCOまたは無水物基が検出できなくなる。
【0034】
本発明で用いるポリイミドは、ジアミン成分としてジイソシアネートの代わりに対応するジアミンを用いても製造することもできる。この場合、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて直接ポリイミドを製造してもよいし、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとからポリアミック酸を製造し次いでイミド化しても構わない。ジアミンは、テトラカルボン酸二無水物の非プロトン性極性有機溶媒溶液に、室温から175℃の温度で添加するのが好適である。アミンの酸化を防ぐためにはより低温好ましくは室温で添加することがより好ましい。この混合物を反応して得られたポリアミック酸を含有する反応混合物を150〜220℃に加熱し、生じた水を系外に除去することによりイミド化することができる。ポリアミック酸をイミド化する場合、例えば3級アミンの存在下に無水酢酸を添加することにより化学的に行うこともできる。
【0035】
また、これらの方法を組み合わせてポリイミドを重合することも可能である。ジイソシアネートとジアミンの両方を用いる場合、ジイソシアネートとジアミンとが反応することを避けるために、先にジイソシアネートに対して過剰量のテトラカルボン酸二無水物を反応させ、次いで反応液を一度室温に戻してジアミンを加え、さらに加熱して反応を完結させることが好ましい。
【0036】
本発明のポリイミド繊維を構成するポリイミドのテトラカルボン酸成分の15モル%以上、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上がa−BPDAからなる。a−BPDAと併用が可能なテトラカルボン酸成分としては、s−BPDA、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAと略記することもある。)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAと略記することもある。)、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2、2‐ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。
【0037】
これらの併用するテトラカルボン酸成分は、溶液安定性及び曳糸性、更に必要な耐熱性を保つ範囲で好適に用いることができるが、併用することによって、得られるポリイミド繊維の溶液安定性及び曳糸性、耐熱性、分子量、繊維強度、伸度などをより向上させることができる。特にs−BPDA、PMDA、BTDAのいずれか或いはそれらの混合物を併用すると、溶液安定性及び曳糸性を良好に保ちながら、得られるポリイミド繊維の耐熱性、分子量、繊維強度、伸度などをより向上させることができるので好適である。
【0038】
本発明のポリイミド繊維を構成するジアミン酸成分の45モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%が、2,4−トルエンジイソシアネート(以下、2,4−TDIと略記することがある。)、2,5−トルエンジイソシアネート(以下、2,5−TDIと略記することがある。)、2,6−トルエンジイソシアネート(以下、2,6−TDIと略記することがある。)、2,4−トルエンジアミン(以下、2,4−TDAと略記することがある。)、2,5−トルエンジアミン(以下、2,5−TDAと略記することがある。)、又は2,6−トルエンジアミン(以下、2,6−TDAと略記することがある。)のいずれか或いはそれらの混合物からなる。これらのジアミン成分と併用が可能なジアミン成分(ジイソシアネート及び/又はジアミン)としては、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(以下MDIと略記する。)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、MDAと略記することがある。)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、4,4’−DADEと略記することがある。)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、3,4’−DADEと略記することがある。)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0039】
これらの併用するジアミン成分は、溶媒への溶解性、曳糸性及び必要な耐熱性を保つ範囲で用いることができるが、併用することによって、得られるポリイミド繊維の溶液安定性及び曳糸性、耐熱性、分子量、繊維強度、伸度などをより向上させることができる。特に4,4’−DADE、3,4’−DADEなどを併用すると、溶媒への溶解性や曳糸性を良好に保ちながら、得られるポリイミド繊維の耐熱性、分子量、繊維強度、伸度などをより向上させることができるので好適である。
【0040】
なお、本発明のポリイミド繊維を構成するポリイミドにおいて、テトラカルボン酸成分の90モル%以上がa−BPDAからなり、且つジアミン成分の90モル%以上が2,4−TDI、2,6−TDI、2,4−TDA、2,5−TDA、又は2,6−TDAのいずれか或いはそれらの混合物からなる場合には、溶液安定性及び曳糸性が良好ではなくなるので好適ではない。
【0041】
本発明のポリイミド繊維の製造方法において、紡糸用のドープ液としては、好ましくは非プロトン性極性有機溶媒中でポリイミドを製造したポリイミド溶液をそのまま用いてもよく、一旦製造したポリイミド溶液から分離・精製したポリイミドを好ましくは非プロトン性極性有機溶媒に再溶解して得られるポリイミド溶液を用いてもよい。
なお、紡糸ドープを調製する際には、紡糸ドープの均一性、溶液安定性及び曳糸性などを改良する目的や、得られるポリイミド繊維の耐熱性や熱安定性などの特性を改善する目的のために、種々の有機又は無機化合物を添加してもよい。また、紡糸ドープは、調製後少なくとも数時間は所定温度に保持し、溶解を均一にするのが好ましい。更に、減圧下で脱泡を行い、気泡を完全に除去するのがより好ましい。
【0042】
紡糸用のドープ液の溶液粘度は、紡糸法等によって大きく異なるが、好ましくは室温で100〜10000ポイズ程度であるのが好適である。また、限定されないが通常は、固形分濃度が、10〜40質量%程度のものを好適に用いることができる。
【0043】
本発明のポリイミド繊維の紡糸は、前記ポリイミド溶液のドープ液を使用し、そのドープ液を例えば紡糸口金から吐出してフィラメント状体を形成し、ドープ液のフィラメント状体を凝固液中で凝固する湿式法および/またはドープ液のフィラメント状体から直接溶媒を蒸発し、固化する乾式法を好適に採用することができる。
【0044】
この湿式法および/または乾式法による紡糸は、既に公知の方法であってよいが、湿式法においては、前記ドープ液を紡糸口金から気体層を介して凝固浴中に押出す、半乾湿式紡糸法であることがより好ましい。半乾湿式紡糸法の利点は、紡糸ドラフトを一般的な湿式紡糸よりもかけやすいことで、これにより繊維の繊度を小さくでき、また高強度の繊維を得ることが可能となる。
【0045】
湿式法の凝固浴には、水、有機極性溶媒の水溶液、有機溶媒等が用いることができる。例えば、NMP、DMF、DMAc、N,N’−ジエチルアセトアミド、N,N’−ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチルホルムアミド、DMI、DMSO等の非プロトン性極性有機溶媒の水溶液やアルコール、アルカン、脂肪酸、グリセリンおよびその混合液等を挙げることができる。より好ましくはエタノール、2−プロパノール、1−オクタノール、イソオクタン、プロピレングリコール、グリセリンとその混合液が用いられる。特に水や低級アルコール等のポリイミドと相溶性の悪い溶媒を用いた場合、ドープは速やかに固化し、わずかに白濁した断面形状が円型または楕円型の繊維が得られる。これに対して、オクタノール等の高級アルコールやグリセリン、ポリイミドドープに用いた溶媒の水溶液等を用いてドープの凝固速度を遅くした場合、断面形状がドッグボーン型、星型等に歪んだ異形断面繊維が得られる。凝固浴の温度は、−20〜80℃、好ましくは0〜30℃である。
【0046】
フィラメント状体の凝固浴中での滞留時間は、用いる凝固浴組成、凝固浴温度により決定され、少なくとも凝固糸条が引取れる程度に凝固させる時間が必要である。次いで、成形された繊維を水等で洗浄し、繊維内部に残存する溶媒や凝固液を除き、更に加熱空気等で乾燥して未延伸糸を得る。減圧又は真空乾燥を用いても良い。得られた未延伸糸は、用途によってはそのまま使用可能であるが、力学特性を改良するためには熱延伸を施すのが好適である。熱延伸時の加熱手段としては、加熱板、加熱炉、加熱ローラー等の通常用いられる装置を使用することができる。加熱温度は300℃以上、450℃以下にすることが好ましい。このようにして本発明のポリイミド繊維を好適に得ることができる。
【0047】
乾式法を用いる場合は、紡糸口金から紡糸炉内に押し出されたドープ液からなるフィラメント状体が、熱風により乾燥され、自己支持性のフィラメント状体が得られる。フィラメント状体が残留溶媒を含んでいる場合は水等で洗浄し、繊維内部に残存する溶媒や凝固液を除き、更に加熱空気等で乾燥して未延伸糸を得る。得られた未延伸糸は用途によってはそのまま使用可能であるが、力学特性を改良するためには湿式法の場合と同様の熱延伸を施すことが好適である。このようにして本発明のポリイミド繊維を好適に得ることができる。乾式紡糸法では熱風によりフィラメント状体の表面が急速に乾燥して固化後、内部の溶媒が乾燥するため、断面形状がドッグボーン型、星型等に歪んだ異形断面繊維が得られる。
【0048】
ポリイミド繊維は、長繊維として用いる場合はそのまま巻き取られ、短繊維として用いる場合は、例えばけん縮機によりクリンプ加工され、目的の長さに切断される。得られた長繊維及び短繊維は、公知の方法で織布或いは不織布などの加工品に加工され、各種用途に用いる事が可能となる。
【0049】
本発明のポリイミド繊維の断面形状は、前記のとおり種々の形態を取り得る。繊度は、特に限定されるのもではないが0.5〜10000dtex程度のものが好適である。この繊維はいわゆる長繊維又は短繊維として好適に用いることができる。
【0050】
本発明のポリイミド繊維の特徴は、ポリイミドを非プロトン性極性有機溶媒に溶解したポリイミド溶液(組成物)をドープ液として用いた溶液紡糸法によって、溶液安定性及び曳糸性よくポリイミド繊維を製造することが可能であり、且つ従来公知のものに較べてより高い耐熱性(高いガラス転移温度(Tg)や高温での高い重量保持率)を有することである。
一方、本発明の化学組成の範囲から外れたポリイミドでは、溶液安定性及び曳糸性などが劣るために工業的に紡糸することが難しくなったり、得られるポリイミド繊維のガラス転移温度(Tg)などの耐熱性が低下したりするので好適ではない。
【0051】
さらに、本発明のポリイミド繊維のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは350℃以上、より好ましくは370℃以上、さらに好ましくは400℃以上であり、耐燃性、高温耐久性などの特性も極めて優れたものである。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
特定や物性の評価方法は以下の方法に従って行った。
【0053】
ポリイミドのガラス転移温度(Tg)測定、熱重量分析、機械特性評価は、以下のとおり、ポリイミドフィルムを作成して評価した。
(1)物性測定用ポリイミドフィルムの作成
ポリイミドドープを得られるフィルムの膜厚が30μmになるようにガラス上に流延し、140℃で5分加熱した。得られたフィルムをガラスから剥離後、ピンテンターに固定し、350℃で30分加熱してガラス転移温度測定、熱重量分析、機械特性評価用フィルムを作成した。
【0054】
(2)ポリイミドのTg測定
フィルムを2cm×2mmの短冊状に切り取って試験片とし、ティー・エイ・インスツルメント社製RSAIIIを用いて、引張モードで固体粘弾性測定を行った。窒素気流下、室温から限界温度まで3℃/stepで昇温しながら、10Hzで測定し、E’’曲線の極大をガラス転移温度(Tg)と定義した。
【0055】
(3)熱重量分析
島津製作所製TGA−50を用いて、フィルムを窒素雰囲気中、10℃/minで昇温した。得られた熱重量減少曲線から、5%重量減少温度(Td5)および10%重量減少温度(Td10)を求めた。
【0056】
(4)ポリイミドフィルムの機械特性評価(初期弾性率、破断強度、破断伸び)
フィルムをIEC450規格のダンベル形状に打ち抜いて試験片とし、ORIENTEC社製TENSILONを用いて、チャック間30mm、引張速度2mm/minで、初期弾性率、破断強度、破断伸びを測定した。
【0057】
[ポリイミド繊維の長期耐熱性測定]
得られたポリイミド繊維を熱風オーブン中において280℃で1000時間加熱し、重量保持率を求めた。
【0058】
[曳糸性及び溶液安定性の評価]
紡糸中の目視観察により溶液安定性及び曳糸性を評価した。連続紡糸中にノズルから押し出したドープの太さの揺らぎや糸切れが無く、1000m以上紡糸可能であった場合は○、連続紡糸中にノズルから押し出したドープの太さの揺らぎが大きかった場合や途中で糸切れが生じた場合は×と評価した。また、ドープ液として室温で10日放置時にゲル化や析出が生じているものについても×と評価した。
【0059】
〔参考例1〕
撹拌機を備えた反応容器中に32.00g(0.8モル部)の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び8.00g(0.2モル部)の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、200gのNMP、2.4gの水、0.25gの1,2−ジメチルイミダゾールを加え、120℃で1時間撹拌した。次いで11.84g(0.5モル部)のトルエンジイソシアネート(2,4−トルエンジイソシアネート:2,6−トルエンジイソシアネート=8:2の混合物)を滴下し、120℃で2時間撹拌した。溶液を室温に戻してから4,4−オキシジアニリン13.61g、トルエン20gを加え、水をトルエンとの共沸により系外に除去しながら180℃で6時間撹拌して、粘調なポリイミド紡糸ドープを調製した。得られた紡糸ドープを減圧下で脱泡し、気泡を完全に除去した。
【0060】
〔参考例2〜6〕
表1に示したモル部の酸二無水物及びジイソシアネート及び/またはジアミンを用いた以外は合成例1と同様の方法でポリイミドを合成し、20重量%濃度のポリイミド紡糸ドープを調製した。ただし、ジイソシアネートを用いない場合は、水は加えなかった。得られた紡糸ドープを減圧下で脱泡し、気泡を完全に除去した。
【0061】
〔参考例11〜17〕
表1に示したモル部の酸二無水物及びジイソシアネート及び/またはジアミンを用いた以外は合成例1と同様の方法でポリイミドを合成し、20重量%濃度のポリイミド紡糸ドープを調製した。ただし、ジイソシアネートを用いない場合は、水は加えなかった。得られた紡糸ドープを減圧下で脱泡し、気泡を完全に除去した。
【0062】
参考例で得られたポリイミド紡糸ドープを用いて、前記(1)〜(4)によってポリイミドの特性を評価した。結果を表1に示した。
【0063】
〔実施例1−a−1〕
参考例1で得られた紡糸ドープを用いて湿式紡糸法によりポリイミド繊維を製造した。参考例1で得られた紡糸ドープを0.25mmの細孔を6本有する紡糸口金より空気中に押し出し、オクタノール中に導入して固化後、エタノール、水で洗浄した。得られた未延伸粗繊維を連続加熱炉中350℃で2分間加熱しながら1.0倍、3.0倍、4.0倍に延伸してポリイミド繊維を得た。得られた繊維は光沢があり、断面形状はドッグボーン型であった。
溶液安定性及び曳糸性の評価結果を表1に、ポリイミド繊維の特性を表2に示した。
【0064】
〔実施例1−a−2〕
参考例1で得られた紡糸ドープを用いて湿式紡糸法によりポリイミド繊維を製造した。参考例1で得られた紡糸ドープを0.25mmの細孔を6本有する紡糸口金より空気中に押し出し、水中に導入して固化後、さらに水で洗浄した。得られた未延伸粗繊維を連続加熱炉中350℃で2分間加熱してポリイミド繊維を得た。得られた繊維はわずかに白濁しており、断面形状は円型であった。
【0065】
〔実施例1−a−3〕
参考例1で得られた紡糸ドープを用いて湿式紡糸法によりポリイミド繊維を製造した。参考例1で得られた紡糸ドープを0.25mmの細孔を6本有する紡糸口金より空気中に押し出し、エタノール中に導入して固化後、さらに水で洗浄した。得られた未延伸粗繊維を連続加熱炉中350℃で2分間加熱してポリイミド繊維を得た。得られた繊維はわずかに白濁しており、断面形状は楕円型であった。
溶液安定性及び曳糸性の評価結果を表1に、ポリイミド繊維の特性を表2に示した。
【0066】
〔実施例2−a〜実施例6−a〕
参考例2〜6で得られた紡糸ドープを用いて、実施例1−a−1と同様にして湿式紡糸法によりポリイミド繊維を製造した。紡糸ドープを0.25mmの細孔を6本有する紡糸口金より空気中に押し出し、オクタノール中に導入して固化後、エタノール、水で洗浄した。得られた未延伸粗繊維を連続加熱炉中350℃で2分間加熱してポリイミド繊維を得た。得られた繊維は光沢があり、断面形状はドッグボーン型であった。
溶液安定性及び曳糸性の評価結果を表1に、ポリイミド繊維の特性を表2に示した。
【0067】
〔実施例1−b〕
参考例1で得られた紡糸ドープから乾式紡糸法によりポリイミド繊維を製造した。参考例1で得られた紡糸ドープを0.25mmの細孔を6本有する紡糸口金より2m乾式紡糸塔の上部へ押しだし、加熱空気により乾燥させながら30m/分で紡糸した。乾式紡糸塔内部の温度は上部175℃、中部120℃、下部100℃に設定した。次いで残留溶媒を除く為に水で洗浄後、繊維を枠に固定し、熱風オーブン中350℃で30分乾燥させてポリイミド繊維を得た。得られたポリイミド繊維は光沢があり、断面形状はドッグボーン型または星型であった。
溶液安定性及び曳糸性の評価結果を表1に示した。
【0068】
〔実施例2−b〜実施例6−b〕
参考例2〜6で得られた紡糸ドープを用いて、実施例1−bと同様にして乾式紡糸法によりポリイミド繊維を製造した。参考例2〜6で得られた紡糸ドープを0.25mmの細孔を6本有する紡糸口金より2m乾式紡糸塔の上部へ押しだし、加熱空気により乾燥させながら30m/分で紡糸した。乾式紡糸塔内部の温度は上部175℃、中部120℃、下部100℃に設定した。次いで残留溶媒を除く為に水で洗浄後、繊維を枠に固定し、熱風オーブン中350℃で30分乾燥させてポリイミド繊維を得た。得られたポリイミド繊維は光沢があり、断面形状はドッグボーン型または星型であった。
溶液安定性及び曳糸性の評価結果を表1に示した。
【0069】
〔比較例1−a〜比較例7−a〕
参考例11〜17で得られた紡糸ドープを用いて、実施例1−a−1と同様にして湿式紡糸法によりポリイミド繊維を製造した。
溶液安定性及び曳糸性の評価結果を表1に示した。
【0070】
〔比較例1−b〜比較例7−b〕
参考例11〜17で得られた紡糸ドープを用いて、実施例1−bと同様にして乾式紡糸法によりポリイミド繊維を製造した。
溶液安定性及び曳糸性の評価結果を表1に示した。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0073】
ポリイミドを非プロトン性極性有機溶媒に溶解したポリイミド溶液(組成物)のドープ液を用いた溶液紡糸法によって、溶液安定性及び曳糸性よくポリイミド繊維を製造することが可能であり、且つ従来公知のものに較べてより高い耐熱性(例えばガラス転移温度(Tg))を有する高耐熱性ポリイミド繊維、及びその製造方法を得ることができる。
本発明の高耐熱性ポリイミド繊維は、より高い温度域でより長時間連続使用が可能(長寿命)である。このため、本発明の高耐熱性ポリイミド繊維は、耐熱性、難燃性が要求される分野において、織布、不織布、及びその加工製品、例えば消防用防護服、パッキン材、バグフィルター、航空機用シートカバー、カーテン、寝具、その他フェルト等として好適に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドからなることを特徴とする高耐熱性ポリイミド繊維。
【化1】

化学式(1)において、Aの15モル%以上が下記化学式(2)であり、且つRの45モル%以上が下記化学式(3)のいずれか或いはそれらの混合物である。但し、Aの90モル%以上が下記化学式(2)であり、且つRの90モル%以上が下記化学式(3)のいずれか或いはそれらの混合物であるものは除く。
【化2】

【化3】

【請求項2】
化学式(1)において、Aの15モル%以上が前記化学式(2)であり、残りが下記化学式(4)のいずれか或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の高耐熱性ポリイミド繊維。
【化4】

化学式(4)において、XはCH、CO、O、S、またはSOのいずれかで表される2価の基である。
【請求項3】
化学式(1)において、Aの50モル%以上が前記化学式(2)であり、残りが前記化学式(4)のいずれか或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の高耐熱性ポリイミド繊維。
【請求項4】
化学式(1)において、Rの45モル%以上が前記化学式(3)のいずれか或いはそれらの混合物であり、残りが下記化学式(5)のいずれか或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高耐熱性ポリイミド繊維。
【化5】

化学式(5)において、XはCH、CO、O、S、SO、C(CHまたはC(CFのいずれかの2価の基である。
【請求項5】
ガラス転移温度(Tg)が350℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性ポリイミド繊維。
【請求項6】
下記化学式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを非プロトン性極性溶媒に溶解したポリイミド溶液組成物を製造し、前記ポリイミド溶液組成物を用いて溶液紡糸法によりポリイミド繊維を得ることを特徴とする高耐熱性ポリイミド繊維の製造方法。
【化6】

化学式(1)において、Aの15モル%以上が下記化学式(2)であり、且つRの45モル%以上が下記化学式(3)のいずれか或いはそれらの混合物である。但し、Aの90モル%以上が下記化学式(2)であり、且つRの90モル%以上が下記化学式(3)のいずれか或いはそれらの混合物であるものは除く。
【化7】

【化8】

【請求項7】
溶液紡糸法が湿式紡糸法であることを特徴とする請求項6に記載の高耐熱性ポリイミド繊維の製造方法。
【請求項8】
溶液紡糸法が乾式紡糸法であることを特徴とする請求項6に記載の高耐熱性ポリイミド繊維の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5に記載の高耐熱性ポリイミド繊維からなることを特徴とする高耐熱性ポリイミド織布。
【請求項10】
請求項1〜5に記載の高耐熱性ポリイミド繊維からなることを特徴とする高耐熱性ポリイミド不織布。

【公開番号】特開2010−180494(P2010−180494A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23962(P2009−23962)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】