説明

鬢を切り揃えるための補助具

【課題】 本発明は、簡単且つ円滑に揉上げなどの鬢を切り揃えることを課題とする。また、切断前に左右の鬢の切断位置を同時に定めて、左右の鬢をバランスよく切断することを課題とする。
【解決手段】 鬢を切り揃えるための補助具であって、鬢の揃え線を指示する指示構造を有し、且つ指示構造を人の頭部の所定位置に支持する手段を有する。また、補助具は一対の指示構造を有し、且つ指示構造が頭部の両側の位置に支持される。さらに好ましくは、指示構造が補助具に対して揃え線の位置を変更できる手段を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揉上げなどの鬢を切り揃えるための補助具に関する。特に、自ら自分自身の鬢を切り揃えるために有用な補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、揉上げなどの鬢を切り揃えるときは櫛が使用され、揉上げを切り揃えるときに櫛が耳に当たらないように櫛の一部をく字形に曲げた櫛が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】登録実用新案第3024810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、簡単且つ円滑に揉上げなどの鬢を切り揃えることを課題とする。また、切断前に左右の鬢の切断位置を同時に定めて、左右の鬢をバランスよく切断することを課題とする。
【0004】
従来は特許文献1のように揉上げなどの鬢に櫛を宛がって揉上げを切り揃えていた。理美容師など自分以外の者が櫛を使用して鬢を切るのであれば作業に支障を来たすことはない。しかし、自分自身で櫛を使用して鬢を切るときは、まず、櫛を持った手が邪魔になる。邪魔になるから、鬢の位置から手を遠ざけようとして櫛の端を持って切断すると櫛が不安定になって円滑に切り揃えることができない。また、鬢を単に切り揃えるのではなく梳くようにして切り揃えるときはその作業に時間がかかり櫛を持つ手が疲れてしまう。また、頭部の一方の側の鬢を切り揃えた後で他方の側の鬢を切るので左右のバランスをとることがむずかしい。そこで、本発明は、鬢に宛がう補助具を手で持つ必要がなく切断時に手が邪魔にならない補助具を提供することを目的とする。また、左右の鬢の切断位置を同時に定めてあらかじめバランスをとって切断することができる補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1は、鬢を切り揃えるための補助具であって、鬢の揃え線を指示する指示構造を有し、且つ指示構造を人の頭部の所定位置に支持する手段を有する構成である。
【0006】
請求項2は、指示構造が補助具に対して揃え線の位置を変更できる手段を有している要素が請求項1に付加された構成である。
【0007】
請求項3は、指示構造が補助具本体と別体に形成され、且つ補助具本体に対して可動に取り付けられている要素が請求項2に付加された構成である。
【0008】
請求項4は、一対の指示構造を有し、且つ指示構造が頭部の両側の位置に支持される要素が請求項1乃至請求項3に付加された構成である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1は、鬢の揃え線を指示する指示構造を有し、且つ指示構造を人の頭部の所定位置に支持する手段を有している。したがって、指示構造は手で持たなくても頭部の所定の位置に支持されるので、鬢の切断時に手が邪魔にならない。指示構造を手で持たないの手が疲れない。指示構造を手で持って使用すると手の動きで指示構造がぶれる虞があるが、指示構造を頭部の所定の位置に支持する手段を有しているので支持構造がぶれる虞がない。
【0010】
請求項2は、指示構造が補助具に対して揃え線の位置を変更できる手段を有している。したがって、補助具を頭部などに装着したままで指示構造を適切な位置に変更して、鬢を切り揃えることができる。
【0011】
請求項3は、指示構造が補助具本体と別体に形成され、且つ補助具本体に対して可動に取り付けられている。したがって、補助具を頭部などに装着したままで指示構造を種々の状態に支持することが可能となる。例えば、指示構造を上下方向に移動できる。鬢の揃え線を水平でなく斜めにしたいときは、指示構造を斜めの状態にすることができる。
【0012】
請求項4は、一対の指示構造を有し、且つ指示構造が頭部の両側の位置に支持される構成である。したがって、自分自身で鬢を切り揃えるときに切断前に指示構造を頭部の両側に支持すれば、鏡を見ながら指示構造を移動し、左右のバランスを考慮して揃え線の位置を決めることができる。これにより、左右のバランスが整った鬢を切り揃えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1に示すように、補助具1は可撓性を有する合成樹脂で形成されたフレーム2を有する。フレーム2を人の頭部に宛がい、フレーム2に設けられた耳掛部3,3を耳に掛けて補助具1を頭部に取り付けることができる。フレーム2が可撓性を有するから、頭部の小さい人から大きい人まで対応できる。フレーム2はその後端で軸4により結合されており、フレーム2は軸4を中心に折って畳むことができる。
【0014】
図1に示すように、フレーム2と耳掛部3は一体に形成され、両先端に支柱5,5が嵌め込まれている。図2に示すように、支柱5の外周面に多数の溝6が形成されている。溝6のピッチは3mmである。ピッチはこれに限定されないが好ましくは1〜9mmである。図2は支柱5を外側から見た図であって、支柱5の外側面に1から11までの目盛が印刷により付されている。目盛は支柱5の前側面に付してもよい。前側面に目盛を付したときは、顔の正面を鏡に写したときに目盛を見ることができて便利である。支柱5の下端にフランジ7が嵌め込まれている。フランジ7は指示部材8を支柱に取り付けた後で嵌め込む。支柱5の内部に錘をいれてもよい。これにより、耳掛部3は耳に確実に掛けられ、補助具1が浮き上がることを防止できる。
【0015】
支柱5,5には指示構造である指示部材8,8が上下に移動可能に取り付けられている。前述したように支柱5に目盛があるので指示部材8の高さを容易に知ることができる。指示部材8は定規部9と基部10とから成る。定規部9は軸11によって基部10に結合されている。基部10は挿通孔14を有しており、この中に支柱5を挿通することにより基部10が上下に移動可能となるように補助具1に取り付けられる。さらに、断面が円形である挿通孔14内に支柱5が挿通されることから、指示部材8は支柱5を中心に水平に回動可能である。これにより、定規部9を鬢に宛がったまま切るか、宛がわずに切るかを選択できる。また、後頭部の幅より顔の幅が小さい人や、あるいは逆に大きい人などすべてに対応できる。
【0016】
定規部9は軸11を中心に基部10に対して上下に回動可能である。したがって、定規部9は斜めの状態でもセットできる。これにより、鬢を水平に切り揃えるほかに前下がりの斜め線に切り揃えたり、後下がりの斜め線に切り揃えたりすることができる。また、定規部9を支柱5に沿うように畳むことができて補助具1の保管に便利である。
【0017】
図2に示すように、基部10の外側面にスリット12,12が形成され、その間に係止片13が形成されている。この係止片13の下端内面に係止突起(図示せず。)が設けられ、この係止突起が溝6に係止して指示部材8は支柱5上に固定される。固定されるので指示部材8は下方に滑り落ちない。これらのスリット12,12と係止片13は同じ基部10の内側面にも形成されている。
【0018】
図3に示すように、定規部9の断面は逆T字形をなしている。そして、定規部9の底面15が外側に行くに従って上昇する傾斜面に形成されている。これにより、鋏で切り揃えるときに鋏が底面15に全面的に当たることがない。底面15を水平面とすれば、切り揃えているときに鋏が底面15に当たって円滑に切断できないからである。
【0019】
補助具1の重さは支柱5に錘を用いない状態で約10gである。補助具1を使用する前の状態で両支柱5,5間の距離は約120mmである。支柱5の長さは約68mmである。補助具1の材料は、基部10がポリアセタール樹脂であり、軸4と軸11は金属であり、それ以外はABS樹脂である。しかし、これに限定されるものではない。
【0020】
次に本発明の使用法について説明する。図4は揉上げを切り揃える状態を示している。まず、補助具1のフレーム2を後頭部に宛がい、耳掛部3を耳に掛ける。次いで、鏡を見ながら指示部材8の高さを調節し定規部9の回動角を調節する。そして、定規部9に沿って鋏で揉上げを切り揃える。鋏のかわりにかみそりを使用できることは勿論である。フレーム2を後頭部に宛がって補助具1を支持する構造が好ましいが、後頭部以外の頭部で支持できるようにフレーム2の構造を変えてもよい。例えば、ヘッドホンのヘッドバンドと同じ構造にして頭部の上に宛がってもよい。あるいは、補助具1をキャップ状にしてそれに指示部材を設けてもよい。また、頭部以外で支持する構造であってもよい。なお、図4の鋏は理解しやすいように正面を向いているが、この場合は鋏を水平にして使用することが一般的あることは言うまでもない。
【0021】
図5は、揉上げを梳いて切り揃える状態を示している。図4のように定規部9よりも下側の揉上げを全部切り取るのではなく、鋏の刃を揉上げの方向に合わせて梳くのである。したがって、定規部9の下側の揉上げは梳かれて密度が薄くなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の斜視図
【図2】補助具の先端部分の側面図
【図3】図2におけるA−A断面図
【図4】使用状態を示す図
【図5】他の使用状態を示す図
【符号の説明】
【0023】
1 補助具
2 フレーム
3 耳掛部
4 軸
5 支柱
6 溝
7 フランジ
8 指示部材
9 定規部
10 基部
11 軸
12 スリット
13 係止片
14 挿通孔
15 底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鬢を切り揃えるための補助具であって、鬢の揃え線を指示する指示構造を有し、且つ指示構造を人の頭部の所定位置に支持する手段を有することを特徴とする補助具。
【請求項2】
指示構造は、補助具に対して揃え線の位置を変更できる手段を有している請求項1記載の補助具。
【請求項3】
指示構造は、補助具本体と別体に形成され、且つ補助具本体に対して可動に取り付けられている請求項2記載の補助具。
【請求項4】
一対の指示構造を有し、且つ指示構造が頭部の両側の位置に支持される請求項1乃至請求項3記載の補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−215753(P2007−215753A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39549(P2006−39549)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)