説明

魚の神経締め処理経路確保用挿入管

【課題】[0011]
魚の脊髄を破壊することにより鮮度を保持することができる神経締め処理に際して、魚の外観を損ねず、脊柱を切断しないことにより魚が調理された際の美観を損ねず、骨を加工しないことにより力を要せず、魚体の内部に在る脊髄への到達経路を確保する。
【解決手段】[0012]
曲がり9を設けた管18を用いて、眼窩2において平素は外観上死角となる結膜の奥まった部分3を貫き、眼球4と頭蓋骨5の隙間6を通し、脳の前方付近に在って脊柱の神経弓門7へとつながる頭蓋骨の孔8を通し、管の曲がり9を利用して、先端部10が脊髄11の方向を向くように、脊髄11の前端部12まで差し込む。曲がり9を設けた管18の内部の穴13により、脊髄11への到達経路が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚の脊髄を破壊することにより鮮度を保持することができる神経締め処理に際して、魚体の内部に在る脊髄への到達経路を確保する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、魚の脊髄を破壊することにより鮮度を保持することができる神経締め処理が行われていた。神経締め処理の方法として、
(ア)形状記憶合金線を脊髄に刺し通す方法
(イ)脊髄を吸引する方法
があった。
【0003】
脊髄は魚体の内部に在るため、神経締め処理を行う際には、予め脊髄への到達経路を確保する必要があった。神経締め処理に際して脊髄への到達経路を確保する方法として、
(ウ)ナイフなどの刃物を用いて、尾を切断する、もしくは尾に切り込みを入れ、脊髄を 露出させる方法
(エ)ナイフなどの刃物を用いて、背や鰓口などから刃を入れ、脊柱の頭蓋骨との境目付 近を切断し、脊髄を露出させる方法
(オ)アイスピックなどの突き刺し用具を用いて、頭蓋骨の眉間部付近を貫いて誘導穴を 作る方法
があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、神経締め処理に際して脊髄への到達経路を確保するこれらの方法は、
(カ)魚の外観を損ねる。
(キ)脊柱を切断することにより魚が調理された際の美観を損ねる。
(ク)骨を加工することにより力を要する。
のうち少なくとも一つの欠点があった。
本発明は、以上の欠点をすべて除くものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
魚の神経締め処理に際しての脊髄への到達経路の確保において、眼窩から脊髄への到達経路を確保するための挿入管であって、曲がりを設けた管であることを特徴とする魚の神経締め処理経路確保用挿入管。
【0006】
本発明の使用方法を、図面を用いて説明する。
本発明1を用いて、
(ケ)眼窩2において平素は外観上死角となる結膜の奥まった部分3を貫き、
(コ)眼球4と頭蓋骨5の隙間6を通し、
(サ)脳の前方付近に在って脊柱の神経弓門7へとつながる頭蓋骨の孔8を通し、
(シ)管の曲がり9を利用して、先端部10が脊髄11の方向を向くように、脊髄11の 前端部12まで差し込む。
(ス)本発明1の内部の穴13により、眼窩2から脊髄11への到達経路を確保する。
というものである。こうしておいて、穴13を眼窩2から脊髄11への到達経路として神経締め処理を行えばよい。
【発明の効果】
【0007】
従って本発明によれば、
(セ)魚の外観を損ねず、
(ソ)脊柱を切断しないことにより魚が調理された際の美観を損ねず、
(タ)骨を加工しないことにより力を要せず、
神経締め処理に際して脊髄への到達経路を確保することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】形状記憶合金線を脊髄に刺し通す神経締め処理方法に本発明を用いた状態を、模式的に説明した側面図。
【図2】形状記憶合金線を脊髄に刺し通す神経締め処理方法に本発明を用いた状態を、模式的に説明した平面図。
【図3】脊髄を吸引する神経締め処理方法に本発明を用いた状態を、模式的に説明した側面図。
【図4】脊髄を吸引する神経締め処理方法に本発明を用いた状態を、模式的に説明した平面図。
【図5】平素の魚を示す側面図。
【図6】図5に示す平素の魚のA−A線に沿う断面を模式的に説明した断面図。
【図7】眼窩周辺の骨格と脊髄の構造を模式的に説明した斜視図。
【図8】本発明の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
先端部10が斜めに切断された、例えばステンレス鋼で作られた管18に、曲げ加工を施して曲がり9を設ければよい。曲がり9は、少なくとも本発明の使用方法を満足するなら、多点曲げや三次元曲げでもよい。
【符号の説明】
【0010】
1 本発明
2 眼窩
3 結膜の奥まった部分
4 眼球
5 頭蓋骨
6 隙間
7 神経弓門
8 頭蓋骨の孔
9 曲がり
10 先端部
11 脊髄
12 前端部
13 穴
14a,14b,14c,14d,14e,14f 骨格の内壁
15 形状記憶合金線
16 吸引装置
17 ホース
18 管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚の神経締め処理に際しての脊髄への到達経路の確保において、眼窩から脊髄への到達経路を確保するための挿入管であって、曲がりを設けた管であることを特徴とする魚の神経締め処理経路確保用挿入管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−94165(P2013−94165A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255514(P2011−255514)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(511284579)