説明

魚遊泳行動に影響を与えるための装置及び方法

魚の遊泳行動に影響を与えるための囲い、方法、及び装置が開示されている。魚が遊泳できるスペースを画定する囲いであって、前記囲いは通路に沿って配置された一連の光出力部材を備え、前記光出力部材は、前記一連の光出力部材から順々に出力される光により、魚の遊泳行動に影響を与えるために、前記通路に沿って動的な視覚刺激を提供するように操作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚遊泳行動に影響を与えるための装置及び方法に関する。本発明は、魚遊泳行動に影響を与えるために動的な視覚刺激を用いるものであり、特に必ずしもこれに限定されるものではないが、魚養殖分野において適用される。
【背景技術】
【0002】
従来の研究では、魚遊泳行動を制御するために、水流を用いていた。かかる研究は、魚が流れに対向して遊泳するよう仕向けるために、水流が用いられていた。この研究は、最適遊泳速度が長時間にわたり維持された場合に、養殖魚の生産性及び品質が著しく改善されることを示している。(参考文献:Nahhas他, 1982; Leon, 1986; Houlihan 及び Laurent, 1987; East 及び Magnan, 1987; Totland他, 1987; Christiansen他, 1989; Christiansen 及び Jobling, 1990; Christiansen他, 1992; Hinterleitner他, 1992; Jobling他, 1993; Jorgensen 及び Jobling, 1993; Young 及び Cech, 1993b, 1994a, 1994b; Hammer, 1994; Yogata 及び Oku 2000; Azuma, 2001)
【0003】
最適遊泳速度は、魚の種類及び条件(たとえば、水流、及び曲線遊泳の程度)により変化することが知られている。最適遊泳速度は、無活動状態(運動トレーングの積極的な利益が得られない場合)と過度の運動(過度のエネルギーが所定水準の活動により消費される場合)との間の平衡状態である。
【0004】
著しい成長は、最適遊泳速度が長時間わたって維持された場合に達成されることが知られている。これは商業魚養殖においては有益であると考えられる。なぜなら、飼育期間と飼育期間との間の養殖場を休止させ、1年当たり及び/又はそれ以上の時間当たりにより多くの生産サイクルが可能となるからである。(参考文献:Nahhas他, 1982; Leon, 1986; Houlihan 及び Laurent, 1987; East 及び Magnan, 1987; Totland他, 1987; Christiansen他, 1989; Christiansen 及び Jobling, 1990; Christiansen他, 1992; Hinterleitnerら, 1992; Jobling他, 1993; Jorgensen 及び Jobling, 1993; Young 及び Cech, 1993b, 1994a, 1994b; Hammer, 1994; Yogata 及び Oku 2000; Azuma, 2001)。
【0005】
最適遊泳速度が長時間にわたって維持される場合、飼料変換効率は格段に向上することが知られている(代表的には約20%)。商業魚養殖において、飼料は全生産コストの約60%を示すので、最適遊泳速度が持続される場合、魚養殖業により著しい節減が可能となる。(参考文献:Leon, 1986; East 及び Magnan, 1987; Christiansen 及び Jobling, 1990; Christiansen他, 1992; Jobling他, 1993; Jorgensen 及び Jobling, 1993; Yogata 及び Oku 2000)
【0006】
魚の成長は与えられたストックの範囲内で変動することが多いが、体重増加及び体長増大のさらに均一化された割合は、持続された最適遊泳により達成できる。魚の高い割合は、特別価格での販売及び消費に適しているので、より細いサイズの養殖魚が配分されることは好適であることが理解される。従来のサイズの等級分け技術は、時間及び労力を要し、魚に対してストレスを与えるものであった、しかし均一化された成長率が維持されるとき、この処理を最小限にまで低減することができる。(参考文献:East 及び Magnan, 1987; Jobling他, 1993; Jorgensen 及び Jobling, 1993)
【0007】
魚のおろし身の組成、組織、風味は、結局、水産養殖製品の最終値を決定し、これらは全て、最適遊泳速度で長時間にわたり魚が遊泳した場合に改善される。様々な科学報告書では、持続される遊泳が、(筋繊維のサイズ、直径、毛細血管化における変化により)筋肉の発達を、(脂質、グリコーゲン、水などの変化を介して)肉の生化学的・エネルギー組成、並びに肉の味質と官能特性を改善させることが実証されている。(参考文献:Greer Walker 及び Pull, 1973; Davison 及び Goldspink, 1977; Johnston 及び Moon, 1980; Davie他, 1986; Totland他, 1987; Christiansen他, 1989; Hinterleitner他, 1992; Sanger, 1992; Young 及び Cech, 1993b, 1994a, 1994b; Yogata 及び Oku, 2000)
【0008】
高密度飼育及び通常の水産養殖プロセス(たとえば、漁獲量、サイズの等級分け及び運搬)では、養殖魚に「ストレス」を与え、また他の好ましくない結果をもたらす。これは同様に最終製品の食肉品質の劣化につながる。
【0009】
同一方向に向かう一群の魚の持続された最適遊泳は、根本的なストレスレベル及び同種間での衝突の数が低減されることが示されている。(参考文献:Butler他, 1986; East 及び Magnan, 1987; Lackner他, 1988; Christiansen 及び Jobling, 1990; Christiansen他, 1992; Boesgaard他, 1993; Jorgensen 及び Jobling, 1993; Jobling他, 1993; Young 及び Cech他, 1993a, 1994b; Adams他, 1995; Shanghavi 及び Weber, 1999; Milligan他, 2000; Iguchi他, 2002)
【0010】
養殖魚の遊泳行動は、水流の操作により制御することが可能であることが知られている(参考文献:East 及び Magnan, 1987; Totland他, 1987; Christiansen他, 1989: Christiansen 及び Jobling, 1990; Christiansen他, 1992; Jobling他, 1993; Jorgensen 及び Jobling, 1993; Young 及び Cech, 1993b, 1994a, 1994b; Yogata 及び Oku 2000; Azuma, 2001)。 実際、この分野における研究においては、魚の遊泳速度は、水流によってのみ操られていた。しかし、これは、物流及び制御されたポンピングのコストにより、養魚場では実施不可能であり、かつほとんどの商業魚養殖環境においては非経済的であった。かかる理由により、養魚場において大量の商業魚養殖を行い、改善された生産性と品質により、より多くの利益を得られたとしても、ますます大規模となる設備において遊泳する魚を制御するということは不可能であった。
【0011】
また、この適用のために、自然に発生する水流(たとえば、川の流れや潮汐流)を利用することは現実的でない。これらは大規模に制御できるものではなく、必ずしも最適遊泳速度をもたらすものではないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
商業魚養殖のための適切な規模で制御可能な水流を提供することに関する困難性を考慮して、最適遊泳速度で、あるいはそれに近い速度での遊泳を可能にする種々の利点を提供するために、そのような速度で遊泳するように魚を刺激するための更に便利なシステムが必要であることを、本発明者らは認識した。
【0013】
魚には視覚認識に関連して、水中で自らの位置を維持できる能力があることを知られている。これは、視運動反応として知られている。これは位置安定性のための重要な本能的な行動である。この自然発生的な行動の機能本位を示す複数の実証例がある。一つの例では、小川に生息する魚(たとえばサケ)は、水の速い流れの中で、静止位置において自由に遊泳することが可能である。これらの魚は流れの中で自らの位置を保持できる。なぜなら、これらの魚は、静止した背景と関連して、自らの遊泳位置を視覚的に「固定」するからである。この視覚的な安定化の態様がなければ、魚は下流に流されるであろう。他の例では、一部の魚は群れの中で自らの位置を維持するために、視運動反応を利用する。魚は視覚的に自らの位置を推定し、一糸乱れぬ群れ構造を維持するために、遊泳速度を調整する(Shaw 及び Tucker, 1965 を参照。)。
【0014】
実験により、遊泳視運動反応は、魚のそばに動的な視覚刺激を設けることにより誘発されることが知られている(すなわち、魚は動的な視覚背景と並んで遊泳する)。経験主義的な生物学者は、様々な生物学的特性、特に魚の視覚システムを検討するために、視運動反応を利用した。たとえば、光に対する魚眼の最小感度は、静止したガラスシリンダの中の魚の回りに、白黒のストライプの力学的背景を動かすことにより、決定することができる。光源は黒白のストライプを照射し、そして魚が黒白のストライプを「視る」ことができるポイントに光レベルが増加したとき、魚は動的背景により方向性を定めている(すなわち、遊泳する)。視運動反応を始めるために要求される最低のレベルは、スペクトル感度のレベルとしてとらえられる(Pener−Salomon, 1974; Teyssedre 及び Moller, 1982; van der Meer, 1994. Fuiman 及び Delbos, 1998. Hasegawa, 1998)。
【0015】
同様の手順を用いて、以下の魚における生物学的原理及び特性を試験するために、視運動反応は実験用ツールとしても用いられた。
i.波長感度(Anstis他, 1998)
ii.視力(Naeve, 1984; Pankhurst, 1994; van der Meer, 1994; Herbert 及び Wells, 2002; Herbert他, 2002, 2003)
iii.フリッカー融合周波数/動き検出(Schaerer 及び Neumeyer, 1996)
iv.視覚システムの個体発生(Neave, 1984. Kawamura 及び Washiyama, 1989. Pankhurst, 1994. Masuda 及び Tsukamoto, 1998)
v.群泳行動(Shaw 及び Tucker, 1965. Kawamura 及び Hara, 1980. Fuiman 及び Delbos, 1998. Masuda 及び Tsukamoto, 1998. Veselov他 1998)
vi.水流走性行動(Harden−Jones, 1963. Veselov他 1998)
vii.視運動反応を誘発するために必要な環境条件(Takahashi他, 1968. Teyke 及び Schaerer, 1994)
viii.行動変化における汚染物質の効果(Richmonds 及び Dutta, 1992)
ix.トロール網における視運動反応(He 及び Wardle, 1968. Tang 及び Wardle, 1992)
x.酸素消費率(Dabrowski, 1986; Lucas他, 1993; Wardle他, 1996)
【0016】
しかし本発明者らは、魚において視運動反応を誘発するための公知のシステムが、商業魚養殖の適用に適していないと認識した。特に、公知のシステムにより必要とされる可動部分は、水没に適しておらず、商業魚養殖の適用のために必要とされる大きさまで拡大するには適していない。更に、かかるシステムは複雑であり、定期的なメンテナンスが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、一般的な観点において、本発明は、一連の光出力部材を逐次操作することにより、魚に動的な視覚刺激を提供するものである。
【0018】
好ましくは、第1の観点において、本発明は、魚が遊泳可能なスペースを画定する魚用の囲いを提供するものであり、前記囲いは通路に沿って配置された、一連の光出力部材を有し、前記光出力部材は、前記一連の光出力部材から順々に出力される光により、魚の遊泳行動に影響を与えるために、前記通路に沿って動的な視覚刺激を提供するように操作可能である。
【0019】
好ましくは、第2の観点において、本発明は、魚の遊泳行動に影響を与えるための装置を提供するものであり、前記装置は、
それぞれが1又は複数の光出力部材を提供し、通路に沿って連続する前記光出力部材を構成するように並べる複数の光出力モジュールと、
前記光出力部材を制御するための制御手段と、を具備する、魚の遊泳行動に影響を与えるための装置であって、
各光出力モジュールは水の中で少なくとも部分的な水没に適合しており、前記制御手段は前記一連の光出力部材から順々に出力される光により、前記通路に沿って動的な視覚刺激を提供するように前記光出力部材を制御することが可能である。
【0020】
好ましくは、第3の観点において、本発明は、魚が遊泳可能なスペースを画定する魚用の囲いを提供し、前記囲いは前記第2の観点に係る装置を有している。
【0021】
好ましくは、第4の観点において、本発明は、通路に沿って配置された一連の光出力部材を有する囲いにおける、魚の位置を特定する方法を含む、魚の視運動反応を刺激するための方法を提供し、前記光出力部材は一連の光出力部材から順次なされる光の出力により、通路に沿って動的な視覚刺激を提供するように操作可能であり、それにより魚の遊泳行動に影響を与えることができる。
【0022】
好ましくは、第5の観点において、本発明は、第1〜第3の観点に係る囲いにおける魚の位置を特定する方法も含む、魚の視運動反応を刺激するための方法を提供し、更に、一連の光出力部材から順々に出力される光により、魚の遊泳行動に影響を与えるために、前記通路に沿って動的な視覚刺激を提供するための光出力部材を操作する方法を提供する。
【0023】
好ましい及び/又は任意の特徴をここで記載する。特に内容的に反対の要求がされない限り、上記は、独立して、あるいは本発明のいずれかの観点と組み合わせて適用できる。
【0024】
好ましくは、一連の光出力部材は、囲いの外周に設置され、魚遊泳スペースは一連の光出力部材の内部に配置されている。このように、魚は、囲いによってのみではなく、前記一連の光出力部材によって(たとえば全部又は一部)囲まれたスペース内でも、遊泳が可能である。
【0025】
付加的に、又は択一的に、他の一連の光出力部材、又は一連の光出力部材は、囲いの内周に設置されており、魚遊泳スペースは、一連の光出力部材の外部に配置されている。このように、魚は一連の光出力部材の周囲を遊泳可能である。各位置に1又は複数の光出力部材を配置し、それにより、魚が遊泳可能なスペースの大部分から視認できる魚に、1又は複数の動的な視覚刺激を提供することは有益であり得ると、理解されるであろう。
【0026】
光出力部材はそれ自体、囲いに対して、固定されていることが意図されている。このように動的な視覚刺激を達成するために、光出力部材を移動させる必要はない。それに代えて、使用において、一連の光出力部材に沿って、光を順々に出力することにより、動的な視覚刺激の幻覚の生成が可能となる。
【0027】
囲いはいかなる所望の形状であってもよく、魚は囲いにより囲まれたスペース内を自由に遊泳できることが条件となる。たとえば、囲いは魚の閉じた遊泳ルートを画定する、円形、円筒形、楕円形、レーストラック形状、ドーナツ形、その他の平滑又は湾曲形状であってもよい。好ましくは、一連の光出力部材は、実質的に閉じた通路を形成し、実質的に魚の連続的遊泳ルートを画定する。このように一連の光出力部材は、魚遊泳ルートの実質的にあらゆる場所において、有利な遊泳行動の促進を補助することができる。
【0028】
好ましくは、囲い(たとえば、壁)は、境界を有しており、その壁を通して水の流れを可能にしている。たとえば、境界は、海水、又は淡水(たとえば、湖、入り江、海峡、ロッホ(湖)、峡江、沿岸水、その他の大量の水)などの大量の水の中に水没させるためのケージ、メッシュ、又はネットを含むことができる。ケージ、メッシュ、ネットの使用は、所望の位置に魚を保持するために、商業魚養殖環境では知られていることは明白である。魚からの廃棄物を、(重力及び/又は水流により)前記囲い外部に運搬することができるので、境界を通って水が流れることを可能とすることは、魚の清潔な環境を維持するのに有効である。
【0029】
好ましくは、光出力部材は、実質的にケージ、メッシュ、又はネットを照射しないように、ケージ、メッシュ、又はネットの魚遊泳スペース側に配置されている。これは、動的な視覚刺激を持つ魚に幻覚を起こさせるために、重要であり得る。それにより、囲いの境界などの静止した物体の照明は好ましいことに回避される。
【0030】
好ましくは、囲いは横方向の寸法(たとえば、長さ又は幅)を有しており、少なくとも10m、好ましくは少なくとも30m、より好ましくは少なくとも50m、最も好ましくは少なくとも70mである。同様に、一連の光出力部材の通路長さは、好ましくは少なくとも30m、又は少なくとも90m、より好ましくは少なくとも150m、最も好ましくは少なくとも210mである。
【0031】
好ましくは、一連の光出力部材は、一連の動的な視覚刺激、すなわち、調和された方法において移動している1つ以上の動的な視覚刺激を提供するように、操作可能である。これは動的な視覚刺激を可能な限り多くの魚に提供するために有益である。たとえば、光出力部材は、囲いの周囲の一連の動的な視覚刺激において、あらゆる瞬間において、約半分は光を出力し、約半分は光を出力しないように操作してもよい。
【0032】
好ましくは、光出力部材は、魚の平均体長など、魚の体長に依存した距離により間隔が空けられている。たとえば、光出力部材は、魚の体長の1〜2倍(全長の1.5倍)の最低距離間隔を有していても良い。
【0033】
好ましくは、囲いは、複数の光出力モジュールを備えており、各モジュールは1又は複数の光出力部材を有している。モジュールは個々の光出力部材の接続を可能にする構造を備えている。使用において、光出力モジュールは、水の中の少なくとも部分的な水没に適合している。これは表面上の光源から供給される照明が適切でない状況の深い海において、光出力の供給を補助することが可能である。
【0034】
好ましくは、個々の光出力モジュールは、互いに独立して操作可能である。個々の光出力モジュールの独立した操作により、囲いの周囲で複数の動的な視覚刺激を制御することが可能になる。
【0035】
付加的に、又は択一的に、光出力モジュールの個々の光出力部材は、光出力モジュールの他の光出力部材とは独立して操作可能である。各光出力部材の個々の制御により、動的な視覚刺激が通路に沿った光出力モジュールにより提供される。更に、各光出力モジュールの個々の制御により、動的な視覚刺激が、種々の光出力モジュールの光出力部材の組合せにより提供される。
【0036】
好ましくは、光出力モジュールは細長く、かつ通路に沿って配置されている。好ましくは、光出力モジュールは実質的に直立した細長い軸で配置されており、その結果、横方向の範囲よりも広い、直立の範囲の光出力が提供される。これにより、必要であれば即座に、1つを超える数の光出力モジュールにより、動的な視覚刺激が提供され、その一方で動的な視覚刺激の横方向の範囲を限定する。更に、光出力モジュールの細長い特徴により、動的な視覚刺激も細長いものとなり得る。動的な視覚刺激の係る垂直範囲は囲いの中のできる限り多くの魚に、動的な視覚刺激を与えることに有益である。
【0037】
択一的に、光出力モジュールは、前記通路に沿って細長である。動的な視覚光刺激は、光出力モジュールに沿った光出力部材の一連の操作により提供され得る。更に、より広い垂直範囲の動的な光刺激は、様々の光出力モジュール上の光出力部材の一連の操作により、光出力モジュールの組合せから得られても良い。一連の光出力モジュールは、モジュールの実質的に縦方向の積層であり、各モジュールは前記通路に沿って延長されている。
【0038】
好ましくは、光出力モジュールの高さは少なくとも1mである。全高は10mまでであってもよい。必要であれば、複数(たとえば3以上)の光出力モジュールは、この高さを持つように組み立てられてもよい。代表的には、高さは、最低約1.5〜2mであり、最高約3〜6mである。
【0039】
サケ科魚類については、最適遊泳速度は、1.0BL/s(1秒当たりの体長)の範囲である。(Houlihan 及び Laurent, 1987; East 及び Magnan, 1987; Totland他, 1987; Christiansen他, 1989; Christiansen 及び Jobling, 1990; Christiansen他, 1992; Jobling他, 1993; Jorgensen 及び Jobling, 1993)。アジ科魚類(たとえばブリ属)については、最適遊泳速度は、1.6BL/sの範囲である(Yogata 及び Oku, 2000)。これらの最適速度(単位BL/s)は、代表的には、(囲いが制限されて小さい場合や、余分な旋回損失がかからないのであれば)、囲いの寸法に関わりなく同一である。たとえば、30cmのサケ科については、絶対速度は、約30cm/sに等しく、30cmの日本のキングフィッシュ(ブリ属)については、絶対速度は、48cm/sの範囲である。視覚刺激速度は、好ましくは最適遊泳速度(たとえば、少なくとも1BL/s)に一致する。
【0040】
好ましくは、視覚刺激は、少なくとも10,000ミリカンデラ(mCd)の光度を有しており、少なくとも50,000mCdであってもよい。たとえば光度は、72,000mCd(約70ルーメン)であってもよい。
【0041】
好ましくは、光出力部材は、1又は複数(好ましくは、複数)のLEDなどの光源である。LEDは比較的安価で信頼性のある光源である。
【0042】
択一的に各光出力モジュールは、少なくとも一つの光源、及び少なくとも一つの光ガイドを有しており、光ガイドは、魚に向かって光を方向付けるために、光源からの光を導くように操作可能である。光ガイドは、反射(たとえば全反射)により光源からの光を導いても良い。最も好ましくは、光ガイドは、全長に沿って実質的に均一に光を出力するように操作可能である。好ましくは、光ガイドは細長である。
【0043】
好ましくは、光源は光ガイド上に配置されており、使用の際に光源は水位より上に配置されている。これは電気接点の腐食を防止するのを助けることができ、より長期の耐用年数を光源に提供することが可能である。好ましくは、光源は1又は複数(好ましくは複数)のLEDである。
【0044】
発明者は、緑色の光(約525nm波長)が使用するのに最適な色彩である、と考えている。これは水の光学的特性に基づいている。黄緑の光は、濁った海岸の水ではほとんど吸収されず、青緑の光はより深度の高い所に浸透する。サケ科の魚類の網膜色素は、緑色の光に対して最も敏感であることも、証拠は示唆している。
【0045】
好ましくは、制御手段は、1又は複数の動的な視覚刺激の数、及び/又は速度、及び/又は光度、及び/又は横方向の範囲を変化させるように操作可能である。このようにして、動的な視覚刺激の性質は、囲いの中の魚に最も適したように適合させることができる。たとえば、魚が成長し、かつ平均体長が増加するにつれ、魚の当該集団の最適絶対遊泳速度は変化する。かかる場合、制御手段は、好ましくは同一の割合で、動的な視覚刺激の速度が速くなるように動作してもよい。
【0046】
本発明者らは、本発明が、単に最適遊泳速度における魚の遊泳を促進するよりも、広い適用分野を有していることを認識した。本発明は、魚を所定の通路に沿って導くのにも利用可能である。これは、所定の通路が、それに沿って適切な一連の光出力手段を備えている場合に可能である。この方法において魚を導くことは、魚のサイズの等級分けにおいて有益な適用を有することになる。これはまた、魚にかかるストレスを低減する手法における、魚の捕獲、又は魚の他の取扱いにおいても、有益な適用を有することになる。これにより、魚類製品の品質の向上をもたらすこととなる。
【0047】
従って、好ましくは、方法は、所定の分岐路に沿って分岐した一連の光出力部材を介して生成される動的な視覚刺激を用いて、所定の分岐路に沿って魚を導くためのステップを更に備えている。
【0048】
好ましくは、囲いは、水流の起こっている大量の水の中に配置されており、水流は、囲いを通して流れる。代表的には、囲いは魚のための実質的に連続し、かつ閉じたループの遊泳ルートを画定する。かかる状況では、一連の光出力部材は、好ましくは、囲いに対する速度で移動する視覚刺激を提供するように操作される。速度は、囲いに対する水流の局所的速度により、閉じたループの周囲で変化する。更に好ましくは、動的な視覚刺激の速度は、閉じたループに沿った水流の速度に対して、実質的に均一に制御される。このようにして、水に対する魚の最適遊泳速度は、魚の遊泳ルートの周囲で維持することができる。
【0049】
疑問を回避するために、好ましくは、本発明は治療による動物体の処置方法ではないという点を、ここで注意しておく。好ましくは、本発明により提供される効果は、商業的水産養殖を改善し、当該産業における産品の魚肉品質を向上させることにその本質がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明の実施形態を添付図面を参照して、具体例を挙げて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る装置の概略図であり、魚を保持するための囲い12上で使用するために設置されている。本図面においては、装置10は、一連18の光出力モジュールに接続された適切な制御導線16を備えた制御コンピュータ14を含んでいる。各光出力モジュール20は、その上端部に光源22を有し、光源の下方に懸架された光ガイド24を備えており、光源と光通信を行っている。
【0051】
本図では、8つの光出力モジュールのみが示されている。しかし、以下に記載したように設置された試験においては、24個の光出力モジュールが囲い12の周囲に配置されていた。
【0052】
光源22は、LED光源である。好ましくは、これらは、ハウジング内に収納された複数のLEDを有している。このような配置は、LEDが比較的低コストで利用でき、これらが比較的頑丈な光源であるという事実を利用できるからである。
【0053】
適切な光源は、3.5v、20mAにおいて、通常、約12000mCdに発光する5mmの超高輝度LEDである。これらは、円筒形、かつプラスチックのモジュール化されたLEDユニットに収納されている。複数の光源は、光ガイドと直接的に下方で対向している同心円内に配置され、光ガイドの長さを通過するよう配置されている。
【0054】
各光ガイド24は、60cmの高さ、14mmの幅の透明のアクリルポリマー製ロッド(たとえば、円筒形)であり、ロッド内に配置された8mm幅の反射片とともに同時に押し出し成型されており、ロッドの主軸と平行に配置されている。光ガイドの頂部における光入力は、ロッドの長さに沿って導かれる。反射片は光の一部をロッドから外部に反射させる。光出力モジュールは、反射片が囲い12の中心に対向するように、配向されている。光出力モジュールからの光出力が光ガイドの長さに沿って徐々に多少減少するように、反射片はロッド内に配置されている。理想的には、光出力は、光ガイドの長さに沿って実質的に均一である。他の実施形態では、光出力モジュールにより提供される照明の均一性を向上させるために、光ガイドは各端部に配置された光源を有している。
【0055】
使用において、光出力モジュールは、PCIボード(メジャメント・コンピューティング社(Measurement Computing)のDIO24H)により、ラブテック(Labtech社)・ノートブック・プログラムを用いたコンピュータ14により制御される。各光出力モジュールは、光源22のLEDを駆動することにより、発光される。この駆動は列に沿って順次行われる。図1において、発光しない光出力モジュールは、ハッチングされた光ガイドで示されている。
【0056】
各光出力モジュールが発光する時間は制御されており、本実施例においては、動的な視覚刺激が3つの隣接する光出力モジュールで構成されて提供される。3つの光出力モジュールの一群の一端で、光出力モジュールの一つの駆動を停止し、他端で当該群の次の光出力モジュールを駆動することにより、動的な視覚刺激が誘発される。このようにして視覚刺激を図1の矢印Aの方向に移動させる。
【0057】
動的な視覚刺激を生成するために、1つを超える光出力モジュールを一度に使用することは、刺激の速度:幅の割合が低減される。これは、刺激の外観上のぎくしゃくした動きを低減する。
【0058】
様々な要因(たとえば、流動の形態、魚の経歴など)により、1又は複数の刺激は、時計回り、又は反時計回りのいずれかに動く。
【0059】
当業者にとって明らかなように、制御ソフトの適切な変更は、動的な視覚刺激の速度、方向、幅を変化させることを可能とする。更に、適切な制御は、一連の動的な視覚刺激の生成を可能とする。これらのパラメータは、囲いの中に収納される魚に応じて設定される。
【0060】
図1に記載された囲い12は、水(図示されていない)で満たされた円筒形状のタンクである。光ガイド24は水の中に沈められるが、光源22は光ガイド上に設置されて、水の外である。しかしながら、囲いは、その外周のためにネット、ケージ、又はメッシュを用いてもよい。
【0061】
商業魚養殖では、囲いは適切な寸法、形状であり、魚が(過度に急旋回の角度ではない)最適遊泳速度を維持できるようにする必要がある。発明者らは、魚が環状の囲い(たとえば、環状のシーケージ、又はタンク)内に保持され、そして複雑で効率の悪い異なる遊泳行動を起こすような物理的な如何なる物体によっても妨害されない場合には、最良の結果が得られることを発見した。
【0062】
光出力モジュールは、隣接する光ガイドの間隔が、魚の体の1.5倍以下になるように、配置されている。たとえば、魚の体長が30cmである場合、光出力モジュールは、好ましくは、動的な視覚刺激の動きの方向に45cm以下の間隔が空けられている。光出力モジュールは、図1に示されているように配置されても良いし、2以上の光出力モジュールは、一つを超える一連の光出力モジュールを提供するように、動的な視覚刺激の高さを増加させるために、他の光出力モジュールの上部に配置してもよい。
【0063】
養殖魚における最適遊泳速度を発生させるために、発明者らは、視運動刺激の回転速度を設定するに先立ち、複数の要因が考慮されることを認識した。これらを以下に述べる。
【0064】
湾曲した遊泳路
直線路に沿って遊泳しない魚は、湾曲した遊泳軌道を維持するために必要とされる求心力の結果として、余分な損失を被っている(Weihs, 1981)。従って、最適遊泳速度は、1)魚の体長、2)保持している設備の半径(あるいは、魚の遊泳半径)、3)視覚刺激の回転速度に依存している。湾曲した遊泳路を維持するのに必要とされる、余分な遊泳損失を算出することにより(Weihs, 1981)、所定の大きさの設備における、(既知の長さの)魚の最適遊泳速度は、視覚刺激の回転速度を調整することにより制御可能である。
【0065】
たとえば、比較的大きな魚類が比較的小さなケージに入れられ、曲線の遊泳の結果として、15%の損失を被る場合には、視運動刺激の速度は、その魚類の既知の「直線」最適遊泳速度から15%減らさなければならない。
【0066】
20%を超える曲線の損失は、魚が定期的に鋭く旋回していることを示しており、直線(すなわち、有酸素「低コスト」遊泳)はもはや維持されない。このような状況下では、持続された遊泳の利益は得られない。従って、あらゆる保持施設の大きさは、そこに収納されている魚の寸法に応じて適切に決められるべきである。
【0067】
水流
水流は、遊泳の余分な損失を受けるかもしれず、最適遊泳速度との関連で考慮される必要がある。たとえば、30cmの魚が、1体長/秒(BL/s)の最適遊泳速度を有しており、(たとえば、シーケージにおいて)当該時間の50%の間に、一方向水流の30cm/sの影響を受けている場合には、「直線」の最適視運動速度は、0.5BL/sに近似した速度に低減されるべきである。
【0068】
あるいは、視運動刺激の速度を、光出力部材に対する局所的な水流速度に相当させるために、囲いの周囲で変化させてもよい。
【0069】
起動速度
装置が最初に起動されたとき又は光の速度が調節されるとき、設定速度に数時間にわたって(すなわち段階的に)、直ちにではなく、確実に到達できるようにすることが重要である。魚が動的刺激におけるあらゆる変化にゆっくり適応できるようにすることが必要であり、そうでない場合は混乱を引き起こし、そして魚は刺激の後に立ち後れることとなる(すなわち、最適遊泳速度で遊泳しなくなる)。
【0070】
光の波長及び強度
動的な視覚刺激の光の強度は、静的な視覚刺激(たとえば、シーケージの網目)を無効とし、背景の濁りを貫くように、十分に強くするべきであり、更に光の波長は、所定の養殖魚の魚眼の視細胞波長感受性に適合させるべきである。最適な光波長及び強度は、魚の行動の視運動反応を向上させる。
【実施例】
【0071】
行動学的試験は、マアジ(学名:Trachurus trachurus)及び大西洋サケ(学名:Salmon sarar L.)について行われ、魚遊泳行動(すなわち、速度及び方向)が、図1に示し、そして上記で説明した本発明の実施形態を用いて、制御可能であるかを判定した。
【0072】
マアジの行動学的観測
CCDビデオカメラが、環状タンクから1.3m上方に取り付けられ、1ビデオフレーム256×256画素の解像度で、1秒当たり10フレームでディジタル化及び解析が可能な、フレームグラッパ(Visionetics VFG−512 BC)を備えたコンピュータに接続されている。平面、黒色、長円形(1.5cm×3cm)のターゲットの幾何学的中心線が、一群の中の一匹の魚の鼻背部に、Vetbond(商標)により接着され、これがカスタマイズされたソフトウエア・プログラムを用いて判定され、そのx,y座標がRS−232ポートを介して、データ収集パッケージ(Labtech ノート)に送信される。魚の位置(x, y)データは、後で遊泳速度(すなわち、1秒当たりの体長における、遊泳累積距離)を算出するために、ハードドライブに格納される。
【0073】
マアジの実験 1
一匹のアジ(フォーク長(FL)=18cm)が、魚遊泳速度の制御において、視運動反応装置の効率を最初に判定するために、7時間にわたり探知された。
【0074】
図2は、視運動刺激が固定されているときは、一匹の魚が約1BL/sで通常遊泳しているが、その遊泳速度は、視運動速度において比較的大きな段階的変化を利用して、増減方向に制御可能であった。このサイズの魚は、刺激を続けるように継続的に旋回しなければならないため、使用された囲いの中で最高視運動速度(1.6BL/s)で、もがきながら遊泳していた。このため、発明者らは今後の実験は、FL<18cmの魚の行動学的(および生理学的)の反応のみを調査すべきであると決定した。
【0075】
マアジの実験 2
(3匹(13〜15cm)の群内における)、一匹の体長13.5cmマアジが、以下の点を判定するために、6日間にわたり探知された。
1)光視運動刺激に対する、魚の時間的な反応
2)非機械的視運動装置を用いた、魚の遊泳速度を制御するための、最適プロトコルに対する当初の洞察
【0076】
結果は図3に示されている。図3は、マアジ(FL=13.5cm)の遊泳速度(図3の(A))及び向き(図3の(B))における動的な視覚(すなわち視運動)刺激の効果を示している。太い線は、視運動刺激の相対速度を示している。
【0077】
方向性のバイアス(図3の(B))は、Herbert 及び Wells(2002)によって定義されており、好適な遊泳方向を示している点に留意。0%の領域における方向性のバイアスの値は、遊泳方向の好みがないこと(そして、この試験では、視運動反応がないこと)を示している。+25%以上の方向性のバイアスの値は、積極的な視運動反応を示しており、なぜなら動的な視覚刺激と同じ方向に魚が泳いでいるからである。消極的な方向性のバイアスの値は、魚が動的な視覚刺激とは反対方向に遊泳していることを示している。
【0078】
図3は、非機械的な視運動反応装置が、一群のマアジの遊泳速度を制御するのに、かなり功を奏していることを示している。視運動装置は、維持された通常の遊泳速度を0.25BL/sから1.5BL/sに上昇させた。また、グラフは、群の遊泳速度が、長時間にわたり、視運動速度における(「大きい」に対して)小さな段階的増加がされた場合にのみ、制御可能であることを例証している。視運動速度における小さい段階的増加が、遊泳速度(図3の(A))及び積極的な視運動反応(すなわち、方向性のバイアス>25%)(図3の(B))における着実な増加をもたらした。魚が群に留まっている場合には、視運動速度における大きなかつ突然の増加は、乏しい視運動反応、及び無方向性反応しかもたらさないことが明白である。
【0079】
サケの行動学的監視
サケの実験 1
魚の遊泳行動に影響を与える照明装置は、直径1.2mの魚用タンクに設置されていた。照明装置は、48の個々の発光ユニット、及び導光部材から構成されており、水平に等間隔にタンクの外周に配置されている。
【0080】
個々の発光ユニットは、超高輝度緑、3mm発光ダイオード(LED)を1つ収納した、円筒形プラスチックユニットで構成されている。発光ユニットは、Luxaura(登録商標)の円筒状の導光部材(長さ20cm×直径13mm)(www.luxaura.com)の頂部に配置されていた。各導光部材は、円筒形の主軸と平行に配置された、反射帯を備えている。光ガイドの頂部で発光ユニットから入力された光は、円筒形の全長に沿って導かれ、反射帯が光の一部を円筒形から外方に反射させていた。反射帯がタンクの中心に対向するように、導光部材は配向されていた。
【0081】
各発光ユニットは、PCI DIO−96Hインタフェースボード(米国メジャメント・コンピューティング社)を介してコンピュータに接続され、ユニットの順次行われる点灯パターンは、コンピュータ上で動作するように、カスタマイズされたLabtechプログラムにより制御された。実験は他の光源なしで行われ、発光ユニットは、可視・非赤外線光の唯一の光源であった。
【0082】
タンクは、光ガイドの最上位まで淡水で満たされていた(すなわち、発光ユニットは水没していない)。水温は冷却ユニットにより10.0℃に保たれており、水流は最小限かつ無方向であった。
【0083】
実験タンクは、CCDビデオカメラ(Monacor)、4つの赤外線投光機、比較的暗い環境下での魚の行動の直接的な定量化を行うための、トラッキングシステム(Lolitrack、Loligo、デンマーク国)を備えている。このトラッキングシステムは10Hzで動作し、次に行う魚遊泳速度及び方向性の算出のために、単独魚の位置(x,y座標)を記憶した。
【0084】
光刺激は、タンク周囲の4つの等間隔ブロックの光(各ブロックは、「ON」の状態の4つの発光ユニット及び導光部材より成る)より構成された。動的光刺激は、照明ブロックを、1秒当たり0(固定制御)、0.5、1.0、及び1.5体長の速度(BL/s)で、順次点灯することにより、タンク周囲で発生された。
【0085】
一匹の太平洋サケのパー(稚魚)(体重=21.3±6.6g、フォーク長=12.4±1.2cm)が4日間(4つの光速度、0、0.5、1.0、1.5BL/sごとに24時間)にわたり探知され、サケの遊泳速度及び向きを制御する視運動反応装置の効果が判定された。
【0086】
図4は、動的光刺激が、水流がない場合に、遊泳速度及び向きの双方の点で、単独の太平洋サケの遊泳行動に影響を与えたことが示されている。単独のマアジの反応に反して(図2参照)、単独のサケは、常に光と共に遊泳しているわけではない。単独のサケは長時間にわたり、しばしば無活動の状態を続けるが、動的光刺激は活動時間中の太平洋サケの行動に影響を与えるように示されている。
【0087】
図4は、1BL/sで移動する光が、単独のサケを活動時間中により高速で遊泳させることを示している。0.5及び1.0BL/sで移動する光は、活動時間中に移動する光の方向に単独のサケを遊泳させるよう誘起する。単独のサケは、固定の光、又は1.5BL/sで移動する光のいずれにも反応せず、方向性も示さなかった。
【0088】
サケの実験 2
4つの大規模な照明装置が、(スコットランド国)Agryll, Machrihanish所在の海洋環境研究所にある、4つの直径3mタンクに設置され、低水流環境下で大西洋サケのスモルト(2年サケ)を用いた成長実験が行われた。
【0089】
各タンク内のカスタマイズされた照明装置は、電源、単一のシーケンサボックス、4つの接続ボックス(タンク外部に等間隔で配置されている)で構成され、(タンクの外周内に等間隔に敷かれ、垂直に整列されている)72個の発光ユニット及び導光部材の配列から発光した方法を制御した。
【0090】
各発光ユニットは、円筒形プラスチックシェルに入れられた、4つの超高輝度緑LEDで構成されている。各タンクは4つの接続箱を備え、タンク及びシーケンスボックスの間を通る個々のケーブルの数を最小限にした。実際、18個の発光ユニットは、タンクの側面にある接続箱に、個々のケーブルにより接続されているが、唯一のコンパクト(18コア)ケーブルが、各接続箱からシーケンサに通されていた。各発光ユニットは、アクリル製導光ロッド(長さ1m×直径22mm)の頂部に接続された。LEDの下向きの角度に応じて、光はアクリル性ロッドの長さ方向に導かれるが、5cm間隔で勾配付き溝により、外方向に向かってそしてタンクの中心部に向かって反射された。
【0091】
PC上のソフトウエアは、動的な光刺激の速度、並びに各照明ブロックにおける「ON」の照明の数を制御するために用いられたが、各照明用のコンピュータプログラムが一旦、信号シーケンサにダウンロードされると、PCは切断され、そして照明装置はスタンドアロン型で動作した。
【0092】
タンクは、厚みのある黒色プラスチックで被覆され、試験は他の光源なく行われた。発光ユニットは、可視光源のみであった。淡塩水が35(L/min)の最小速度で提供されていたため、タンクには、無視できる程度の方向付けされた水流があった。
【0093】
35(L/min)の速度は、良好な水質(たとえば、高水準の酸素レベル)を維持するのに十分であった。
【0094】
魚遊泳行動を観察し、定量化するには、4つの水中ビデオカメラがタンク内に設置され、ビデオシーケンスが、ビデオクアッドプロセッサに接続されたDVDレコーダにより記憶された。
【0095】
28日間の成長実験が、4つのタンクのうち各タンク内で、500匹の大西洋サケのスモルト(密度=7.23〜7.39kg/m)を用いて行われ、光刺激速度は、各々、0(固定制御)、0.5、1.0又は1.5BL/sのいずれかに設定された。成長の評価は、実験の最初と最後において、タグ付けされた225匹の魚の体重及び体長の相違から得られた。飼料変換効率は、28日間の魚バイオマスにおける増加分ごとにもたらされる食料を監視することにより得られた。条件因子[(重量/長さ)×100]の変化は、体型における変化を示すのに用いられた。
【0096】
結果は図5、6及び7に示されている。図5は、28日間の成長実験にわたり明らかとなった、大西洋サケのスモルトの特定体重における成長率、及び特定体長における成長率により、異なる光刺激速度の効果を示している。データは中間の±95%の信頼区間となっている。アスタリスク「*」は、0BL/sの制御グループ(P<0.05)との著し相違を示している。
【0097】
図5の(A)及び図5の(B)は、動的光刺激により、体重(図5の(A))及び体長(図5の(B))の双方の点における、サケ成長率が改善されたことを示している。特定の体重における成長は、9〜14%、特定の体長における成長率は、12〜25%である。1BL/sは、特定の体重における成長率(13.8%改善)が設定された最適速度であり、0.5BL/sは、特定の体長における成長率(24.7%改善)が設定された最適速度であると考えられる。
【0098】
図6は、28日間の実験に置かれた大西洋サケのスモルトの飼料変換効率(FCR)による、種々の光刺激速度の効果を示している。低いFCR値で飼養効率が改善された(すなわち、1単位の体重増加につき、少量の飼料しか消費されていない)ことに留意。図6は、動的な視覚刺激が、太平洋サケの飼料変換効率を改善したことを示している。光速度が増加するにつれ、FCRは減少した(すなわち、飼養効率が向上した)。通常、光刺激速度が0.5、1.0、及び1.5BL/sとなるにつれ、飼料変換は各々、2、9、及び11%増加した。移動している光は、スモルトの条件因子(すなわち体型)を調整された。スモルトは通常、0BL/s制御に比して、細長くかつ流線型となった。
【0099】
図7は、28日間の成長実験に置かれた、大西洋サケのスモルトの平均遊泳速度による、種々の光刺激速度の効果を示している。データは中間の±95%の信頼区間となっている。図7は、移動している光が魚の遊泳速度を上昇させ、それゆえに商業的飼育環境下で、大西洋サケのスモルトの遊泳行動に影響を与えたことを示している。スモルトは常に活動しているわけではないが、光刺激速度が0.5、1.0、及び1.5BL/sとなるにつれ、平均遊泳速度は、2、32、及び9%増加した。
【0100】
これら実施形態の変形、更なる実施形態及びそれらの変形は、本開示を目にする当業者にとっては明白であり、それら自体が本発明の範囲内に属する。
【0101】
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【0147】
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「魚の視運動反応の研究、
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【0148】
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【0149】
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「ブラインドメキシカンケーブフィッシュ(Astyanax hubbsi)は、動的な視覚刺激に応答する。」
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【0156】
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【0157】
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「養殖された及び野生のストライプドバス(Morone saxatilis)当歳魚における、ストレス反応及び回復における運動状態の効果」
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【0158】
Young, P.S. 及び Cech, J.J. (1993b)
「運動状態の調整されたストライプドバス(Morone saxatilis)当歳魚における成長増進、遊泳動作、筋肉発達」
Can. J. Fish. Aquat. Sci., 50:703−707.
【0159】
Young, P.S. 及び Cech, J.J. (1994a)
「ストライプドバス(Morone saxatilis)当歳魚における成長、筋肉発達、遊泳動作における最適運動条件速度」
Can. J. Fish. Aquat. Sci., 51: 1519−1527.
【0160】
Young, P.S. 及び Cech, J.J. (1994b)
「ストライプドバス(Morone saxatilis)当歳魚におけるエネルギー保持及び遊泳ストレス反応における、異なる運動条件速度の効果」
Can. J. Fish. Aquat. Sci., 51: 1528−1534.
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明の一実施形態に係る装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態を用いて得られた試験結果を表したグラフである。
【図3】(A)は本発明の一実施形態を用いて得られた試験結果を表した他のグラフである。(B)は本発明の一実施形態を用いて得られた試験結果を表した他のグラフである。
【図4】本発明の一実施形態を用いて得られた試験結果を表したグラフである。
【図5】(A)は本発明の一実施形態を用いて得られた試験結果を表した他のグラフである。(B)は本発明の一実施形態を用いて得られた試験結果を表した他のグラフである。
【図6】本発明の一実施形態を用いて得られた試験結果を表したグラフである。
【図7】本発明の一実施形態を用いて得られた試験結果を表したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚が遊泳可能なスペースを画定する魚用の囲いであって、前記囲いは通路に沿って配置された一連の光出力部材を有し、前記光出力部材は、前記一連の光出力部材から順々に出力される光により、魚の遊泳行動に影響を与えるために、前記通路に沿って動的な視覚刺激を提供するよう操作可能である囲い。
【請求項2】
前記一連の光出力部材は、前記囲いの外周に設置され、前記魚遊泳スペースは前記一連の光出力部材の内部に配置されている請求項1に記載の囲い。
【請求項3】
前記一連の光出力部材は、前記囲いの内周に設置され、前記魚遊泳スペースは、前記一連の光出力部材の外部に配置されている請求項1に記載の囲い。
【請求項4】
前記一連の光出力部材は、魚のための実質的に連続する遊泳ルートを画定するように、実質的に閉じた通路を形成する請求項1から3のいずれか一項に記載の囲い。
【請求項5】
海水、淡水の中に水没させるためのケージ、メッシュ、又はネットを有する請求項1から4のいずれか一項に記載の囲い。
【請求項6】
前記光出力部材は、実質的に前記ケージ、メッシュ、又はネットを照射しないように、前記ケージ、メッシュ、又はネットの前記魚遊泳スペース側に配置された請求項5に記載の囲い。
【請求項7】
複数の光出力モジュールを有し、各モジュールは、1又は複数の前記光出力部材を提供する請求項1から6のいずれか一項に記載の囲い。
【請求項8】
個々の光出力モジュールは、互いに独立して操作可能である請求項7に記載の囲い。
【請求項9】
光出力モジュールの個々の光出力部材は、前記光出力モジュールの他の光出力部材とは独立して操作可能である請求項7に記載の囲い。
【請求項10】
各光出力モジュールは、横方向の範囲よりも縦方向の範囲に大きな光出力を提供するように、細長く形成され、実質的に縦の細長い軸に配置されている請求項7又は請求項8に記載の囲い。
【請求項11】
各光出力モジュールは、前記通路に沿って細長い請求項7又は請求項8に記載の囲い。
【請求項12】
前記一連の光出力部材は、一連の動的な視覚刺激を提供するように操作可能である請求項1から11のいずれか一項に記載の囲い。
【請求項13】
それぞれが1又は複数の光出力部材を提供し、通路に沿って連続する前記光出力部材を構成するために、並べられている複数の光出力モジュールと、
前記光出力部材を制御するための制御手段と、を具備する、魚の遊泳行動に影響を与えるための装置であって、
各光出力モジュールは水の中で少なくとも部分的な水没に適合しており、
前記制御手段は前記一連の光出力部材から順々に出力される光により、前記通路に沿って動的な視覚刺激を提供するように、前記光出力部材を制御することが可能な装置。
【請求項14】
各光出力モジュールは、少なくとも一つの光源及び少なくとも一つの光ガイドを有し、前記光ガイドは、魚に向かって光を方向付けるために前記光源からの光を導くよう操作可能である請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記光ガイドは細長く、長さ方向に沿って実質的に均一に光を出力するように操作可能である請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記光源は、前記光ガイド上に配置されており、使用において前記光源が水位より上に配置されている請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
前記制御手段は、1又は複数の動的な視覚刺激の数、及び/又は速度、及び/又は光度、及び/又は横方向の範囲を変化させるように操作可能である請求項13乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記光出力モジュールは、細長く、前記通路に沿って配置されている請求項13に記載の装置。
【請求項19】
個々の光出力モジュールは、互いに独立して操作可能である請求項18に記載の装置。
【請求項20】
光出力モジュールの個々の光出力部材は、前記光出力モジュールの他の光出力部材とは独立して、前記制御手段により操作可能である請求項18に記載の装置。
【請求項21】
魚の視運動反応を刺激するための方法であって、通路に沿って配置された一連の光出力部材を有する囲い中の魚の位置を特定することを含み、前記光出力部材は、前記一連の光出力部材から順々に出力される光により、魚の遊泳行動に影響を与えるために、前記通路に沿って動的な視覚刺激を提供するように操作される方法。
【請求項22】
魚をサイズで等級分けする又は漁を捕獲するために、所定の分岐路に沿って分岐した一連の光出力部材によって生成された動的な視覚刺激を用いて、前記所定の分岐路に沿って魚を導くステップを更に含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記囲いは、実質的に連続し、魚のための閉じたループの遊泳ルートを画定し、前記囲いは、水流を受ける大量の水の中に配置されており、前記水流は前記囲いを通して流れ、前記一連の光出力部材は前記囲いに対する速度で移動する視覚刺激を提供するように駆動され、前記速度は前記囲いに対する前記水流の局所的速度に従って前記閉じたループの周囲で変化する請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記動的な視覚刺激の速度は、前記閉じたループに沿った前記水流の速度に対して、実質的に均一に制御される請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−536509(P2008−536509A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507160(P2008−507160)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001424
【国際公開番号】WO2006/111739
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(301008419)ザ ユニバーシティー コート オブ ザ ユニバーシティー オブ グラスゴー (8)
【Fターム(参考)】