説明

魚釣用リール

【課題】逆転防止機構の切換レバーが誤作動するのを防止し、切換レバーに釣糸が絡むのを好適に防止する。
【解決手段】リール本体1に設けられ、釣糸の繰り出し方向となる回転体の逆回転を防止する逆転防止機構20と、リール本体1の後部に移動操作可能に設けられ、逆転防止機構20を逆転防止状態と正逆転可能状態とに切り換える切換レバー50を有する切換機構40と、を備え、リール本体1の後部には、切換レバー50を収容可能な凹部1aが設けられており、切換レバー50は、逆転防止状態または正逆転可能状態のいずれかに移動操作された状態で、少なくとも凹部1a内に位置することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、魚釣用リールとしての魚釣用スピニングリールは、リール本体に回転可能に設けられたハンドルの回転操作によって、釣糸案内部を有するロータ等の回転体を連動回転させて釣糸を巻き取り、巻き取った釣糸をスプールに巻回するように構成されている。そして、一般に、リール本体には、ロータの回転状態を、逆転防止状態と正逆転可能状態とに切換える逆転防止機構が設けられている。
このような逆転防止機構を備えた魚釣用リールは、ロータの回転状態を、逆転防止状態と正逆転可能状態との双方の状態に交互に切換える切換機構を備えている。このような切換機構は、逆転防止機構に連結され、リール本体に設けた切換レバーの回転操作を通じて逆転防止状態と正逆転可能状態とに切換操作される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
通常、切換レバーは、リール本体の後部等の釣人が操作し易い位置に設けられている。
そして、実釣時には、逆転防止機構の切換レバーを逆転防止位置に切換えておくのが一般的であり、積極的に釣糸を繰り出す等の必要が生じた場合や、釣糸の垂らし長さを微調整する等の必要が生じた場合に、切換レバーを正逆転可能位置に切換えてロータの釣糸繰り出し方向への逆回転を許容して、ハンドルを正回転および逆回転の双方の方向に必要なだけ回転しつつ最適の釣糸の繰り出し長さとすることが行われている。
【特許文献1】実開昭62−91974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の魚釣用リールでは、前記したように、切換レバーが釣人の操作し易い位置に設けられているため、例えば、実釣時に、釣人の手や衣服等が触れることで、不意に切換レバーが正逆転可能位置に切換わることがあった。このように、正逆転可能位置に切換レバーが切換わると、スプールから釣糸が解けてハンドルやロータに絡まるだけでなく、解けた釣糸が切換レバーに絡む虞があった。また、魚の引きや仕掛けの負荷等によって、ロータおよびこれに連動するハンドルが急激に逆回転する虞もある。
また、実釣時に、潮の流れや風等で釣糸が流されたり、重りが着底したりして釣糸が弛む現象、いわゆる糸ふけを生じた場合にも、切換レバーに釣糸が絡む虞があった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、逆転防止機構の切換レバーが誤作動するのを防止することができ、かつ、切換レバーに釣糸が絡むのを好適に防止することができる魚釣用リールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決する本発明の魚釣用リールは、リール本体に設けられ、釣糸の繰り出し方向となる回転体の逆回転を防止する逆転防止機構と、前記リール本体の後部に移動操作可能に設けられ、前記逆転防止機構を逆転防止状態と正逆転可能状態とに切り換える切換レバーを有する切換機構と、を備え、前記リール本体の後部には、前記切換レバーを収容可能な凹部が設けられており、前記切換レバーは、前記逆転防止状態または前記正逆転可能状態のいずれかに移動操作された状態で、少なくとも前記凹部内に位置することを特徴とする。
【0007】
この魚釣用リールによれば、切換レバーを逆転防止状態または正逆転可能状態のいずれかに移動操作すると、切換レバーがリール本体の後部に設けられた凹部内に位置して凹部内に収容された状態となる。したがって、逆転防止機構の逆転防止状態または正逆転可能状態のいずれかの状態において、切換レバーがリール本体の後部から突出することがなくなり、切換レバーに釣人の手や衣服等が触れ難くなる。また、切換レバーに釣糸が引っ掛かり難くなる。
【0008】
また、前記切換レバーは、前記凹部内に位置するように移動操作された状態で、その長手方向後面が前記脚部の後面部と滑らかに連なる外表面を形成する構成とするのがよい。
【0009】
この魚釣用リールによれば、リール本体の後部における切換レバーの突出が好適に抑えられ、切換レバーに釣人の手や衣服等がより一層触れ難くなり、釣糸がより一層絡まり難くなる。
また、切換レバーの長手方向後面が脚部の後面部と滑らかに連なる外表面を形成するので、リール本体の後部に切換レバーが設けられる構成でありながら、脚部からリール本体の後部へ向けて緩やかに流れるような外形状を有するように構成することができる。
【0010】
前記切換レバーは、前記逆転防止状態に移動操作された状態で、前記凹部内に位置するように構成するのがよい。
【0011】
この魚釣用リールによれば、逆転防止状態において、切換レバーが凹部内に収容されることとなり、切換レバーに釣人の手や衣服等が触れ難く、また、切換レバーに釣糸が絡まり難くなる。
【0012】
また、前記切換レバーは、前記凹部内に位置するように移動操作された状態で、前記リール本体の後部側から見たときに、前記凹部の底面の幅内に収まる大きさに形成される構成とするのがよい。
【0013】
この魚釣用リールによれば、切換レバーは、凹部内に収容された状態で、リール本体の後部の幅方向にも突出することがなくなる。これにより、切換レバーに釣人の手や衣服等が触れ難くなり、また、切換レバーに釣糸が絡まり難くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、逆転防止機構の逆転防止状態または正逆転可能状態のいずれかの状態において、切換レバーがリール本体の後部に設けられた凹部内に収容されて切換レバーに釣人の手や衣服等が触れ難くなるので、切換レバーが誤作動するのを防止することができる。また、切換レバーに釣糸が引っ掛かり難くなるので、釣糸が弛む糸ふけを生じた場合にも、切換レバーに釣糸が絡む虞がない。
【0015】
また、本発明によれば、切換レバーの長手方向後面が脚部の後面部と滑らかに連なる外表面を形成する構成であるので、切換レバーに釣人の手や衣服等がより好適に触れ難くなり、切換レバーが誤作動するのをより好適に防止することができる。また、切換レバーに釣糸が引っ掛かり難くなるので、釣糸が弛む糸ふけを生じた場合にも、切換レバーに釣糸が絡むのを好適に防止することができる。
また、脚部からリール本体の後部へ向けて緩やかに流れるような外形状とすることができるので、意匠性に優れた魚釣用リールが得られる。
【0016】
また、本発明によれば、逆転防止状態において、切換レバーが凹部内に収容されるように構成することで、一般的に、実釣時において多用される逆転防止状態において切換レバーを凹部内に位置させることができ、実釣時に切換レバーに釣人の手や衣服等が触れて切換レバーが誤作動するのをより一層好適に防止することができる。また、釣糸が弛む糸ふけを生じた場合にも、切換レバーに釣糸が引っ掛かり難く、切換レバーに釣糸が絡むのをより一層好適に防止することができる。
【0017】
また、本発明によれば、凹部内に切換レバーが位置するように移動操作された状態で、リール本体の後部側から見たときに、切換レバーが凹部の底面の幅内に収まる大きさに形成される構成とすることで、リール本体の後部の幅方向にも突出することがなくなるので、実釣時に切換レバーに釣人の手や衣服等が触れて切換レバーが誤作動するのをより一層好適に防止することができる。また、釣糸が弛む糸ふけを生じた場合にも、切換レバーに釣糸が引っ掛かり難く、切換レバーに釣糸が絡むのをより一層好適に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る魚釣用リールの実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
参照する図面において、図1は本発明の第1実施形態に係る魚釣用リールとしての魚釣用スピニングリールの内部構成を示す側面図、図2は主要部の構成を拡大して示した斜視図、図3(a)(b)は主要部の構成をリール本体の後方側から見た状態で示した説明図である。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、以下の説明において、「前、後」「左、右」「上、下」の語は、スピニングリールを図示しない釣竿に取り付けた状態を基準として用いている。つまり、例えば、後記するスプール3が設けられる側が「前」側であり、後記する切換レバー50が設けられる側が「後」側である。
【0019】
図1に示すように、主として、魚釣用スピニングリールは、図示しない釣竿に装着するための脚部1Aが形成されたリール本体1と、リール本体1の前方に回転可能に設けられたロータ2(回転体)と、このロータ2の回転運動と同期して前後方向移動可能に設けられたスプール3とを有して構成される。
【0020】
リール本体1には、図示しない軸受を介してハンドル軸4が回転可能に支持されており、その図示しない突出端部には、巻き取り操作されるハンドル5が取り付けられている。ハンドル軸4には、駆動軸筒6aが、回り止めされて固定されている。駆動軸筒6aには、ロータ2を巻き取り駆動するための内歯が形成されたドライブギャ6が一体的に形成されている。このドライブギャ6は、ハンドル軸4と直交する方向に延出するとともに内部に軸方向に延出する空洞部を有する駆動軸筒8のピニオンギャ8aに噛合している。
【0021】
駆動軸筒8は、軸受を介して回転可能に支持されており、その空洞部には、ハンドル軸4と直交する方向に延出し、先端側にスプール3を取り付けたスプール軸9が、軸方向に移動可能に挿通され、支持されている。
【0022】
また、駆動軸筒8には、スプール軸9を前後動させるためのウォームシャフト方式の駆動機構10が係合している。この駆動機構10は、スプール軸9と平行に延出する螺軸11と、この螺軸11の外周面に形成された螺旋溝11aに係合するとともにスプール軸9の後端部にねじ止めして取り付けられた摺動子12とを有している。
螺軸11の前端部には、駆動軸筒8のピニオンギャ8aに噛合する連動歯車13が取り付けられている。これにより、ハンドル5の回転操作により、螺軸11がピニオンギャ8aおよび連動歯車13を介して回転駆動されることで、スプール軸9は、螺旋溝11aに案内される摺動子12を介して前後動される。
【0023】
駆動軸筒8はスプール3側に向けて延出しており、その前端部において、図示しないナットを介してロータ2が取り付けられている。
そして、リール本体1の内部には、このロータ2の釣糸の繰り出し方向への逆回転を防止する逆転防止機構30と、逆転防止機構30を作動状態(逆転防止状態)と非作動状態(正逆転可能状態)とに切り換える切換レバー50を有する切換機構40と、が設けられている。
【0024】
逆転防止機構30は、駆動軸筒8に回止め係合された逆転防止歯車31と、この逆転防止歯車31に係脱可能に設けられた係止部材32と、を備えている。係止部材32は、ドライブギャ6の駆動軸筒6aに装着したフリクションバネ33によって、ハンドル5が巻き取り方向に回動操作されたときに、逆転防止歯車31との係止状態が解除される方向に付勢されるとともに、ハンドル5が繰り出し方向に回動操作されたときに、逆転防止歯車31に係止される方向に付勢されるようになっている。係止部材32の後端部には、切換機構40の後記する操作軸41に形成された半円状の作動部43に当接する係合部34が設けられており、係止部材32は、この係合部34が作動部43に当接して回動移動するときに、逆転防止歯車31から離間するようになっている。
逆転防止機構30は、他の例として、切換レバー50を回転操作することで、公知の例えば、リール本体1の前部に設けた転がり式一方向クラッチからなる逆転防止機構に連結させて、逆転防止状態と正逆転可能状態とに切換可能に構成してもよく、特に限定されるものではない。
【0025】
切換機構40は、操作軸41と、この操作軸41の中間部に設けられ、係止部材32の係合部34が係合する作動部43と、操作軸41の後端に取り付けられた、本願発明の特徴的構成である切換レバー50と、を備えている。操作軸41は、スプール軸9と平行に配置されてリール本体1に回動可能に挿着されており、切換レバー50の回動操作に基づいて回動する。
本実施形態では、切換レバー50が図1に示すように縦向きとなるように操作(回動操作)されたときに、係合部34は作動部43に係合せず、係止部材32が逆転防止歯車31に係止するようになっている。
したがって、切換レバー50が図3(a)に示すように縦向きとなるように操作されたときに、ロータ2の釣糸繰り出し方向の逆回転が防止される、逆転防止状態となるように構成されている。
【0026】
一方、切換レバー50が、図3(b)に示すように、縦向きの状態から約90度回動操作されて横向きとなるようにされたときには、係合部34が作動部43に当接して押し下げられ、係止部材32が図1において時計回り方向に回動して逆転防止歯車31との係止状態が解除される。このように、切換レバー50が、図3(b)に示すように、横向きとなるように操作されたときに、ロータ2の釣糸の巻き取り方向の回転および釣糸の繰り出し方向への逆回転のいずれもが許容される、正逆転可能状態となるように構成されている。
なお、切換レバー50は、横向きにされると、凹部1aから側方へツマミ部52が大きく突出する状態となるため、切換状態の位置関係が一目で容易に視認することができ、正逆転可能状態であることを容易に認識することができる。これによって、実釣時の正逆転可能状態における不意の釣糸の繰り出し等によるトラブルを未然に防止することができる。
【0027】
切換レバー50は、このように、逆転防止機構30を逆転防止状態と正逆転可能状態とに切り換えるためものであり、切換機構40の操作軸41の後端部に固定されて、リール本体の後部に回動操作可能に設けられている。
本実施形態では、リール本体1の後部に切換レバー50を収容可能な凹部1aが設けられており、切換レバー50は、逆転防止状態に回動操作された状態で、凹部1a内に位置するように構成されている。
【0028】
切換レバー50は、図2に示すように、操作軸41に固定される基部51と、この基部51に一体的に連続するツマミ部52とからなり、凹部1a内に位置するように回動操作された状態で、ツマミ部52から基部51にかけての長手方向後面50aが、脚部1Aの後面部1A’と滑らかに連なる外表面を形成するように構成されている。換言すれば、凹部1aは、切換レバー50の長手方向後面50aが脚部1Aの後面部1A’と滑らかに連なるように、切換レバー50を収容することが可能な深さ(収容深さ)を備えて形成されている。つまり、操作しやすいように、リール本体1の後部に切換レバー50が設けられる構成でありながら、リール本体1の後部に切換レバー50が収容されて外部に突出しない構成となっている。
【0029】
また、切換レバー50は、図3(a)に示すように、凹部1a内に位置するように回動操作された状態で、リール本体1の後部側から見たときに、凹部1aの底面1bの幅D内に収まる大きさに形成されている。ここで、底面1bは、図4(a)において斜線で表示したように、略平らに形成されている。本実施形態では、リール本体1が、リールボディ1Bと、このリールボディ1Bに装着される蓋部材1Cとから構成されており、前記した底面1bは、リールボディ1B側に形成されている。この例では、リールボディ1Bと、蓋部材1Cとの境界部分1Dが底面1bの左端部を形成するようにしてある。底面1bには、ボス部1eが設けられており、このボス部1eを介してリール本体1の内部から図示しない操作軸41が延出され、この操作軸41の後端に切換レバー50が固定されるようになっている。
【0030】
ボス部1eの中空部1fには、中空部1fの内径よりも大径とされた半円状の凹部1gが形成されている。一方、切換レバー50の基部51の前部には、操作軸41の後端部が挿入されて係止される円筒部53が設けられており、この円筒部53の外周部には、ボス部1eの半円状の凹部1gに挿入可能な周面を有する扇状の突部54が設けられている。
この突部54は、図4(b)に示すように、切換レバー50を図中矢印X1方向に回動させたときに、その一側部54aが、凹部1gの上端1hに当接可能であり、また、図4(c)に示すように、切換レバー50を図中矢印X2方向に回動させたときに、その他端部54bが、凹部1gの下端1jに当接可能である。
本実施形態では、突部54の一側部54aが凹部1gの上端1hに当接するときに、切換レバー50が縦向きにされてリール本体1の凹部1a内に全体が位置する逆転防止状態となるように設定されており、また、突部54の他端部54bが凹部1gの下端1jに当接するときに、切換レバー50が90度回動して横向きにされて、正逆転可能状態となるように設定されている。
【0031】
また、図1に示すように、リール本体1を側面からみたときに、切換レバー50は、リール本体1の駆動機構10を収容するカバー部材1Eよりも前方に位置しており、カバー部材1Eの後部上端と脚部1Aの後面部1A’とを結ぶ接線(不図示)よりも前方に位置してカバー部材1Eと脚部1Aとの間の窪んだ部位に位置しているので、リール本体1の後部側から仮に障害物等が当っても、衝撃を受け難く、切換機能が損なわれ難いという利点を有している。
【0032】
以上説明した本実施形態の魚釣用リールによれば、図3(a)に示すように、切換レバー50を逆転防止状態に回動操作すると、切換レバー50がリール本体1の後部に設けられた凹部1a内に位置して凹部1a内に収容された状態となる。したがって、一般的に、実釣時において多用される逆転防止状態において切換レバー50を凹部1a内に位置させることができ、実釣時に切換レバー50に釣人の手や衣服等が触れ難くなり、手や衣服等が不意に触れる等して切換レバー50が誤作動するのを防止することができる。また、切換レバー50に釣糸が引っ掛かり難くなるので、釣糸が弛む糸ふけを生じた場合にも、切換レバー50に釣糸が絡む虞がない。
【0033】
また、切換レバー50は、凹部1a内に位置するように回動操作された状態で、その長手方向後面50aが脚部1Aの後面部1A’と滑らかに連なる外表面を形成するので、リール本体1の後部における切換レバー50の突出が好適に抑えられ、切換レバー50に釣人の手や衣服等がより一層触れ難くなり、釣糸がより一層絡まり難くなる。
また、切換レバー50の長手方向後面50aが脚部1Aの後面部1A’と滑らかに連なる外表面を形成するので、脚部1Aからリール本体1の後部へ向けて緩やかに流れるような外形状とすることができ、意匠性に優れた魚釣用リールが得られる。
【0034】
また、切換レバー50は、凹部1a内に位置するように回動操作された状態で、リール本体1の後部側から見たときに、凹部1aの底面1bの幅D内に収まる大きさに形成されているので、リール本体1の後部の幅方向にも突出することがなくなる。これにより、実釣時に切換レバー50に釣人の手や衣服等が触れて切換レバー50が誤作動するのをより一層好適に防止することができる。また、釣糸が弛む糸ふけを生じた場合にも、切換レバー50に釣糸が引っ掛かり難く、切換レバーに釣糸が絡むのをより一層好適に防止することができる。
【0035】
(第2実施形態)
図5(a)は本発明の第2実施形態に係る魚釣用リールとしての魚釣用スピニングリールの要部を示す斜視図、図5(b)は同じく主要部の構成をリール本体の後面側から見た状態で示した説明図である。本実施形態が前記第1実施形態と異なるところは、切換レバー60のツマミ部62を第1実施形態の切換レバー50よりも幅方向(左右方向)に細く形成し、その左右にツマミ凹部62a,62b(図5(b)参照)を形成した点にある。
【0036】
図5(a)(b)に示すように、本実施形態における切換レバー60は、図示しない操作軸41に固定される基部61と、この基部61に一体的に連続するツマミ部62とからなり、前記実施形態と同様に、凹部1a内に位置するように回動操作された状態で、ツマミ部62から基部61にかけての長手方向後面60aが、脚部1Aの後面部1A’と滑らかに連なる外表面を形成するように構成されている。換言すれば、凹部1aは、切換レバー60の長手方向後面60aが脚部1Aの後面部1A’と滑らかに連なるように、切換レバー60を収容することが可能な深さ(収容深さ)を備えて形成されている。つまり、操作しやすいように、リール本体1の後部に切換レバー50が設けられる構成でありながら、リール本体1の後部に切換レバー60が収容されて外部に突出しない構成となっている。
【0037】
切換レバー60の左側部において、基部61とツマミ部62との境界部分には、ツマミ凹部62aが形成されている。このツマミ凹部62aは、切換レバー60を縦向きから横向きに回動操作する際(図6(a)参照)に、指当て部として機能するようになっている。また、切換レバー60の右側部において、ツマミ部62の中ほど下寄りの部分には、凹部62bが形成されている。この凹部62bは、切換レバー60を横向きに回動操作した際に、図6(b)に示すように、ツマミ部62がリールボディ1Bのフランジ部1B’に当接するのを回避する逃げ部として機能するようになっている。また、凹部62bは、切換レバー60を横向きから縦向きに回動操作する際の指掛け部として機能するようになっている。
【0038】
このような切換レバー60を備えた魚釣用リールによれば、切換レバー60の縦向きから横向きへの回動操作が行い易くなるとともに、切換レバー60の横向きから縦向きへの回動操作も行い易くなる。これによって、操作性に優れた魚釣用リールが得られる。
また、ツマミ部62に凹部62bが形成されているので、切換レバー60を横向きに回動操作した際に、ツマミ部62がフランジ部1B’に当接することがなく、切換レバー60の横向き姿勢を好適に得ることができる。したがって、切換レバー60の回動角度(90度)を好適に確保することができ、切換レバー60の回動による逆転防止機構30の確実な作動を実現することができる。これにより、切換レバー60が誤作動するのを防止することができる。
【0039】
なお、前記実施形態では、切換レバー50が凹部1a内に位置するときに、逆転防止状態となるように構成した例を示したが、これに限られることはなく、切換レバー50が凹部1a内に位置するときに、ロータ2が正逆転可能状態となるように構成してもよい。
このように構成することによって、実釣時の魚とのかけひきにおいて、積極的に釣糸を繰り出したり釣糸を巻き取ったりする操作時や、釣糸の垂らし長さを微調整する等の操作時に、切換レバー50をリール本体1の後部の凹部1a内に位置させることができ、切換レバー50に釣糸が引っ掛かり難くなるようにすることができる。したがって、釣糸が弛む糸ふけを生じた場合にも、切換レバー50に釣糸が絡む虞がない。
なお、ツマミ凹部62a,62bの大きさや深さを適宜設定することにより、操作時の指掛かり深さを調節することができ、良好な操作フィーリングを得ることができる。
【0040】
また、前記実施形態では、リールボディ1B側に凹部1aおよび底面1bを設けたが、蓋部材1Cをリールボディ1B側に延設して、蓋部材1Cに凹部1aおよび底面1bを設けてもよく、また、リールボディ1Bと蓋部材1Cとで、凹部1aおよび底面1bを設けてもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、切換レバー50,60を回動操作可能に設けたが、スライド移動により逆転防止状態および正逆転可能状態に切り換るように構成した切換レバーを備えて構成してもよい。
【0042】
また、切換レバー50,60は、凹部1a内に完全に収容されるものに限られることはなく、長手方向後面50a,60aの少なくとも一部が脚部1Aの後面部1A’と略滑らかとなるようにして、凹部1a内から若干突出するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態に係る魚釣用リールとして魚釣用スピニングリールの内部構成を示す側面図である。
【図2】主要部の構成を拡大して示した拡大図である。
【図3】(a)(b)は主要部の構成をリール本体の後方側から見た状態で示した説明図である。
【図4】(a)は切換レバーを外した状態のリール本体の後部を示す斜視図、(b)逆転防止状態におけるボス部内の様子を示した模式図、(c)は正逆転可能状態におけるボス部内の様子を示した模式図である。
【図5】(a)は本発明の第2実施形態に係る魚釣用リールとしての魚釣用スピニングリールの要部を示す斜視図、(b)は同じく主要部の構成をリール本体の後面側から見た状態で示した説明図である。
【図6】(a)は切換レバーの操作の様子を示す斜視図、(b)は切換レバーを横向きにしたときの様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 リール本体
1A 脚部
1A’ 後面部
1B リールボディ
1B’ フランジ部
1C 蓋部材
1a 凹部
1b 底面
4 ハンドル軸
5 ハンドル
30 逆転防止機構
40 切換機構
41 操作軸
50 切換レバー
50a 長手方向後面
51 基部
52 ツマミ部
60 切換レバー
60a 長手方向後面
61 基部
62 ツマミ部
D 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体に設けられ、釣糸の繰り出し方向となる回転体の逆回転を防止する逆転防止機構と、前記リール本体の後部に移動操作可能に設けられ、前記逆転防止機構を逆転防止状態と正逆転可能状態とに切り換える切換レバーを有する切換機構と、を備え、
前記リール本体の後部には、前記切換レバーを収容可能な凹部が設けられており、
前記切換レバーは、前記逆転防止状態または前記正逆転可能状態のいずれかに移動操作された状態で、少なくとも前記凹部内に位置することを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
前記切換レバーは、前記凹部内に位置するように移動操作された状態で、その長手方向後面が前記脚部の後面部と滑らかに連なる外表面を形成することを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記切換レバーは、前記逆転防止状態に移動操作された状態で、前記凹部内に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
前記切換レバーは、前記凹部内に位置するように移動操作された状態で、前記リール本体の後部側から見たときに、前記凹部の底面の幅内に収まる大きさに形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の魚釣用リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−106228(P2009−106228A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283802(P2007−283802)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】