説明

鯉幟用矢車ユニット

【課題】左右管軸と貫通孔との間の隙間が不均一であっても、タイコの回転時に軋み音の発生を抑制することができる鯉幟用矢車ユニットを提供する。
【解決手段】鯉幟用ポールの先端に下端が取り付けられ、上端に上下管軸24を有する上下軸部21と、上下軸部21の途中から左右両側にそれぞれ延び、内部に左右管軸23が挿通された左右軸部22と、上下管軸24の上端に取り付けられた回転球ユニット3と、左右管軸23の両端に取り付けた左右一対の矢車ユニット4とを備える。各矢車ユニット4に、左右管軸23が挿通される貫通孔41aを有するタイコ41と、タイコ41より放射状に延びる複数の矢羽根42と、各矢羽根42の先端同士の間をそれぞれ連結する輪43とを設ける。そして、タイコ41の貫通孔41aに、略円筒形状の左右管軸用低摩擦材51を圧入し、この左右管軸用低摩擦材51を介して左右管軸23の両端を回転自在に挿通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鯉幟用ポールの先端に取り付けられる鯉幟用矢車ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この鯉幟用矢車ユニットとしては、鯉幟用ポールの先端に下端が取り付けられる上下軸部と、この上下軸部の途中より左右両側にそれぞれ延びる左右軸部と、上下軸部の上端に取り付けられた回転球と、左右軸部の両端にそれぞれ取り付けられた左右一対の矢車と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、矢車は、樹脂材よりなり、左右軸部が貫通する貫通孔を中心部に有するタイコと、このタイコより放射状に延びる複数の矢羽根と、これらの矢羽根の先端同士の間を連結する輪とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2004−205642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、矢車は、それ自体が高精度に設計されたものでなく、製品の公差にばらつきがある。そのため、左右軸部と貫通孔との間の隙間が不均一なものとなり易くなって、タイコが左右軸部の周りでスムーズに回転せず、タイコの回転時に軋み音が発生する。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、左右軸部と貫通孔との間の隙間が不均一であっても、タイコの回転時に軋み音の発生を抑制することができる鯉幟用矢車ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、鯉幟用ポールの先端に下端が取り付けられる上下軸部と、この上下軸部の途中から左右両側にそれぞれ延びる左右軸部と、前記上下軸部の上端に取り付けられた回転球と、前記左右軸部の両端にそれぞれ取り付けられた左右一対の矢車と、を備えた鯉幟用矢車ユニットを前提とする。更に、前記各矢車を樹脂材により構成し、この各矢車に、前記左右軸部が挿通される貫通孔を中心部に有するタイコと、このタイコより放射状に延びる複数の矢羽根と、これらの矢羽根の先端同士の間をそれぞれ連結する輪と、を設ける。そして、前記左右軸部の両端と、前記各矢車のタイコの貫通孔との間に、この左右軸部の両端に対し各矢車のタイコをそれぞれ回転自在に支持する樹脂製低摩擦材を設けている。
【0007】
この特定事項により、左右軸部の両端がタイコの貫通孔に対し樹脂製低摩擦材を介して回転自在に挿通されているので、左右軸部とタイコの貫通孔との間の隙間が不均一であっても、タイコが樹脂性低摩擦材によって左右軸部の周りでスムーズに回転し、タイコの回転時に軋み音の発生を抑制することが可能となる。
【0008】
また、前記タイコを、表裏方向に分割不能となるように一体成形することが好ましい。
【0009】
この場合には、タイコが一体成形されているので、表裏方向で分割可能にそれぞれ成形して一体に貼り合わせたタイコなどのように経時的に表裏方向に剥離することがなく、タイコの耐久性を確保することができる。
【0010】
また、前記回転球を樹脂材により構成し、この回転球に、前記上下軸部の上端がそれぞれ挿通される貫通孔を中心部に有する上下一対の支持片と、この各支持片同士の間に設けられ、当該各支持片にそれぞれ上下両端が固定される複数の翼板と、を設ける。そして、 前記上下軸部の上端と、前記各支持片のうちの少なくとも上側の支持片の貫通孔との間に、この上下軸部の上端に対し少なくとも上側の支持片を回転自在に支持する樹脂製低摩擦材を設けることが好ましい。
【0011】
この場合には、回転球の少なくとも上側の支持片の貫通孔が、上下軸部の上端の樹脂製低摩擦材によって回転自在に支持されているので、上下軸部と支持片の貫通孔との間の隙間が不均一であっても、回転球が樹脂性低摩擦材によってスムーズに回転し、回転球の回転時に軋み音の発生を抑制することができる。
【0012】
また、前記左右軸部の両端に、当該左右軸部の両端に対し前記各矢車を離脱不能に拘束する拘束具を脱着自在に装着することが好ましい。
【0013】
この場合には、左右軸部の両端に各矢車を離脱不能に拘束する拘束具が脱着自在に装着されているので、左右軸部の両端から外方への各矢車の不慮の離脱が阻止される。このため、左右軸部の両端に割りピンを装着して外方への各矢車の離脱を阻止する必要がない。これにより、経時的な使用により破断を招き易い割りピンに依存することなく各矢車の外方への不慮の離脱を確実に阻止することができる。
【0014】
また、前記上下軸部の上端に、当該上下軸部の上端に対し前記回転球を離脱不能に拘束する拘束具を脱着自在に装着することが好ましい。
【0015】
この場合には、上下軸部の上端に回転球を離脱不能に拘束する拘束具が脱着自在に装着されているので、上下軸部の上端から上方への回転球の不慮の離脱が阻止される。このため、上下軸部の上端に割りピンを装着して上方への回転球の離脱を阻止する必要がない。これにより、経時的な使用により破断を招き易い割りピンに依存することなく回転球の上方への不慮の離脱を確実に阻止することができる。
【0016】
また、前記タイコに、前記各矢羽根が風を受け易い向きで保持されるように当該各矢羽根の基端を固定する固定穴をそれぞれ設けることが好ましい。
【0017】
この場合には、各矢羽根は、タイコの固定穴に基端を固定すると、風を受け易い向きで保持されることになり、各矢羽根が受ける風によって矢車をよりスムーズに回転させることができる。
【0018】
また、前記各翼板を、前記各支持片に対し風を受け易い向きとなった状態で組み付けるように単数又は複数枚毎に成形することが好ましい。
【0019】
この場合には、各翼板は、風を受け易い向きとなった状態で上下一対の支持片に対しそれぞれ組みつけられるので、各支持片に各翼板の上下両端を固定するだけで、風を受け易い向きとなる。このため、風を受け易い向きに各翼板を移動させた位置で止める止め輪が不要となり、部品点数の削減化を図ることができる。
しかも、各翼板が複数枚の単位で一体成形されていれば、複数枚の翼板が各支持片に速やかに組み付けられ、各支持片に対する各翼板の組み付けを迅速に行うことができる。
【0020】
また、前記各矢羽根に、絵柄を熱転写することが好ましい。
【0021】
この場合には、樹脂よりなる各矢羽根に絵柄が熱転写されているので、絵柄を印刷したシールなどを矢羽根に貼り付けたもののように経時的に剥がれが発生することがなく、各矢羽根の美観を長期に亘って確保することができる。
【0022】
また、前記各翼板に、絵柄を熱転写することが好ましい。
【0023】
この場合には、樹脂よりなる各翼板に絵柄が熱転写されているので、絵柄を印刷したシールなどを翼板に貼り付けたもののように経時的に剥がれが発生することがなく、各翼板の美観を長期に亘って確保することができる。
【0024】
更に、前記回転球及び前記各矢車を、前記上下軸部の上端及び前記左右軸部の両端にそれぞれ取り付けた状態で収容箱に収容することが好ましい。
【0025】
この場合には、回転球や矢車をその都度組み付けたり分解したりする必要がなく、組み付けや分解による各部位の摩耗や破損などを防止できる上、鯉幟用矢車ユニットの組み付けや分解に要する時間を削減できる。しかも、鯉幟用矢車ユニットを分解することなく収容箱に簡単に収容することができる上、鯉幟用矢車ユニットを収容箱から取り出すだけで鯉幟用ポールの先端に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上、要するに、左右軸部の両端をタイコの貫通孔に対し樹脂製低摩擦材を介して回転自在に挿通することで、左右軸部とタイコの貫通孔との間に公差のばらつきがあっても、タイコを左右軸部の周りでスムーズに回転させて、タイコの回転時に軋み音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る鯉幟用矢車ユニットの斜視図である。
【図2】回転球ユニットの斜視図である。
【図3】回転球ユニットを上方から見た平面図である。
【図4】1組の各翼板を側方から見た側面図である。
【図5】上側の支持片を上方から見た平面図である。
【図6】図5の上側の支持片を側方から見た側面図である。
【図7】下側の支持片を上方から見た平面図である。
【図8】図7の下側の支持片を側方から見た側面図である。
【図9】上下管軸及び挿通部材の縦断側面図である。
【図10】タイコを回転軸方向から見た側面図である。
【図11】図10のタイコを回転軸と直交する方向から見た正面図である。
【図12】図11のA−A線における断面図である。
【図13】矢羽根を表面側から見た正面図である。
【図14】図13の矢羽根を裏面側から見た背面図である。
【図15】図14のB−B線における断面図である。
【図16】図13の矢羽根を側方から見た側面図である。
【図17】矢羽根ユニットを左右に取り付けた状態での鯉幟用矢車ユニットの正面図である。
【図18】図17の矢羽根ユニットを取り付ける前の状態を示す鯉幟用矢車ユニットの正面図である。
【図19】図17の左右管軸の右端部付近を拡大した拡大図である。
【図20】図19の左右管軸の右端部に装着される拘束具を左右管軸側から見た側面図である。
【図21】図1の鯉幟用矢車ユニットを収容箱に収容する場合の手順を示す説明図であって、(a)は台座上に載置する前の状態を示す鯉幟用矢車ユニットの斜視図であり、(b)は台座上に載置した状態を示す鯉幟用矢車ユニットの斜視図、(c)は下側収容箱に台座ごと収容した状態を示す鯉幟用矢車ユニットの斜視図、(d)は下側収容箱に対し上側収容箱を被せた状態での斜視図である。
【図22】本実施の形態の変形例に係る図18相当図である。
【図23】同じくキャップを左右管軸と直交する方向から見た正面図である。
【図24】図23のキャップを左右管軸側から見た側面図である。
【図25】本実施の形態のその他の変形例に係る図19相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態に係る鯉幟用矢車ユニット1について説明する。
【0029】
図1は鯉幟用矢車ユニット1の斜視図である。この図1において、鯉幟用矢車ユニット1は、図示しない鯉幟用ポールの先端(上端)に下端が取り付けられて上方へ延びる上下軸部21を有するとともに、この上下軸部21の略中間部より左右方向へ延びる左右軸部22を有する十文字ユニット2と、この十文字ユニット2の上下軸部21の上端に取り付けられる回転球としての回転球ユニット3と、前記十文字ユニット2の左右軸部22の両端にそれぞれ取り付けられる左右一対の矢羽根としての矢羽根ユニット4,4とを備えている。
【0030】
前記十文字ユニット2は、合成樹脂(例えばABS樹脂など)よりなり、かつ上下軸部21及び左右軸部22がそれぞれパイプ状に一体成形された十文字本体20と、この十文字本体20の上下軸部21の上部に下端が挿脱自在に挿通されたアルミニウム製のパイプよりなる上下管軸24と、左右軸部22内に挿脱自在に挿通されたアルミニウム製のパイプよりなる左右管軸23とを備えている。この上下管軸24は、上下軸部21の上部に挿通された状態で当該上下軸部21より上方へ露出している。一方、左右管軸23の左右両側部も、左右軸部22内に挿通された状態で当該左右軸部22よりも左右外側方にそれぞれ露出している。上下管軸24の下端には、その直径方向に貫通する貫通孔24a(図9に表れる)が設けられているとともに、十文字本体20の上下軸部21の上部にも、その直径方向に貫通する貫通孔21aが設けられている。そして、上下管軸24の下端は、各貫通孔21a,24aを互いに合致させた状態で挿通されるねじ部材25と、このねじ部材25に螺着される蝶ナット26とによって、上下軸部21の上部に止着されている。
【0031】
また、上下軸部21の下端には、鯉幟用ポールの先端が挿通された際に当該鯉幟用ポールの先端に設けられたねじ孔と合致するねじ孔21bが設けられ、これらのねじ孔を合致させた状態で挿通される螺子部材(図示せず)によって十文字本体20が鯉幟用ポールの先端に取り付けられる。この場合、鯉幟用ポールの先端は、十文字本体20を螺子部材により取り付けた際に、上下軸部21の下部つまり左右軸部22よりも下方に位置している。
【0032】
図2は回転球ユニット3の斜視図を示している。この図2において、前記回転球ユニット3は、前記上下軸部21がそれぞれ挿通される挿通孔32a,33aを中心部に有する上下一対の円板状の支持片32,33と、この各支持片32,33同士の間に設けられ、当該各支持片32,33にそれぞれ上下両端が固定される6枚の翼板34,34,…とを備えている。この上下の支持片32,33及び各翼板34は、それぞれ合成樹脂(例えばABS樹脂など)により成形されている。
【0033】
図3は各支持片32,33に対し翼板34を位置合わせした状態で回転球ユニット3を上方から見た平面図、図4は1組の翼板34,34を側方から見た側面図をそれぞれ示している。この図3及び図4において、各翼板34は、風を受け易い向きとなった状態で各支持片32,33に取り付けられるように互いに相隣なる2つの翼板34,34同士を1組にして一体的に成形されている。この各翼板34の上下両端には、孔部34aがそれぞれ設けられている。
【0034】
図5は上側の支持片32の平面図、図6は上側の支持片32の側面図、図7は下側の支持片33の平面図、図8は下側の支持片33の側面図をそれぞれ示している。この図5ないし図8において、前記各支持片32,33には、その周方向所定間隔置き(例えば略60°置き)に孔部32b,33bが設けられている。そして、前記各翼板34は、その上下両端の孔部34aを各支持片32,33の各孔部32b,33bに合致させた状態で、各支持片32,33に対しそれぞれハトメ35(図2に表れる)により取り付けられている。また、各支持片32,33の互いに対向する内側面には、それぞれ周方向所定間隔置き(例えば略120°置き)に放射線状に延びるリブ32c,33cが設けられている。この場合、各リブ32c,33cは、各翼板34の上下両端を各支持片32,33に取り付ける際に当該各支持片32,33に対し周方向から位置規制するために供される。
【0035】
また、前記上下管軸24の上端と、前記回転球ユニット3の上側の支持片32の貫通孔32aとの間には、この上下管軸24の上端に対し上側の支持片32を回転自在に支持する樹脂製低摩擦材としての上下管軸用低摩擦材36が設けられている。この上下管軸用低摩擦材36は、66ナイロンよりなる。
【0036】
図9は上下管軸24の縦断正面図を示している。この図9において、前記上下管軸用低摩擦材36は、上下管軸24の上端に挿通される下側挿通部36aと、上側の支持片32を挿通させる上側挿通部36bとを備えている。この下側挿通部36aと上側挿通部36bとは鍔部36cによって区画されている。そして、上下管軸24の上端に対して挿通される下側挿通部36aは、鍔部36cが上下管軸24の上縁に当接することによってそれ以上下方への挿通が規制されている。この上下管軸用低摩擦材36は、その下側挿通部36aが接着材(図示せず)を介して上下管軸24の内周面に接着されて固定されている。また、上側挿通部36bの上端には、その周方向に凹設された環状の凹部36dが設けられている。そして、上下管軸用低摩擦材36の上端には、凹部36dに嵌合する凸部37aを内周面に設けた拘束具としてのキャップ37が脱着自在に装着されている。
【0037】
また、前記各矢羽根ユニット4は、前記左右管軸23の両端に対し挿通される貫通孔41aを中心部41bに有する略円形状のタイコ41と、このタイコ41の外周端41cにそれぞれ基端が取り付けられ、当該タイコ41の外周端41cより放射状に延びる8枚の矢羽根42,42,…とを備えている。このタイコ41及び各矢羽根42は、それぞれ合成樹脂(例えばABS樹脂など)により成形されている。また、前記各矢羽根ユニット4は、各矢羽根42の先端同士の間をそれぞれ連結する輪43を備えている。
【0038】
図10はタイコ41を表側から見た正面図、図11はタイコ41の側面図、図12は図11のA−A線における断面図をそれぞれ示している。図10ないし図12において、タイコ41は、表裏方向(図11及び図12では上下方向)に分割不能となるように成形型(図示せず)により一体成形されている。また、タイコ41の中心部41bは、表裏方向に厚肉に形成されている。そして、タイコ41の表裏両面には、周方向所定間隔置き(例えば45°置き)に放射状に延びるリブ41d,41d,…が設けられている。この各リブ41dは、タイコ41の外周端41cから中心部41bに向かうに従い表裏方向に嵩高に形成され、その中心部側端部がタイコ41の中心部41bにそれぞれ連結されている。
【0039】
図13は矢羽根42を表側から見た正面図、図14は矢羽根42を裏側から見た背面図、図15は図14のB−B線における断面図、図16は矢羽根42の側面図をそれぞれ示している。図13ないし図16において、各矢羽根42は、平板状の矢羽根本体42aと、この矢羽根本体42aの中心をその裏面に沿って略直線状に延び、当該矢羽根本体42aより先端及び基端がそれぞれ外方に突出する羽根棒42bとを備えている。この矢羽根本体42aと羽根棒42bとは一体成形されている。
【0040】
そして、前記タイコ41の外周端41cには、前記各矢羽根42の羽根棒42bの基端を固定する固定穴41e,41e,…がそれぞれ設けられている。各固定穴41eは、各リブ41dに対応して周方向所定間隔置き(例えば45°置き)に開口している。一方、各矢羽根42の羽根棒42bは、その先端が断面真円形状に形成されているのに対し、基端が断面真円形状を一部切り欠いた断面略D字状に形成されている。そして、各固定穴41eも、羽根棒42bの基端の断面形状に則してそれぞれ略D字状に凹設されている。この場合、図11に示すように、略D字状に凹設された各固定穴41eの直線部分は、その各固定穴41eの中心軸方向から見てタイコ41の表裏面と平行な平行線mに対しα°(例えば略40°)傾斜していて、タイコ41の外周端41cに対し各矢羽根42が風を受け易い向きで保持されるようになっている。また、各矢羽根42の羽根棒42bの基端は、図示しない接着材を塗布して各固定穴41eに挿通され、当該各固定穴41eに固定されている。
【0041】
また、図13に示すように、前記各矢羽根42の矢羽根本体42aの表面及びこの表面と面一状となる羽根棒42bの表面側には、絵柄としての光沢のあるホログラム箔が熱転写されている。各矢羽根ユニット4は、各矢羽根42の矢羽根本体42aの表面を外方向き(反十文字本体20側向き)にした状態で左右管軸23の両端に挿通されて取り付けられている。また、前記各翼板34の表面には、絵柄としての光沢のあるホログラム箔が熱転写されている。回転球ユニット3は、各翼板34の表面を外方向き(半径方向外方向き)にした状態で上下管軸24の上端に挿通されて取り付けられている。
【0042】
前記輪43は、軟質の合成樹脂材(例えばポリ塩化ビニルなど)により帯状に成形され、両端同士を単一のハトメ44(図1に表れる)によって連結して輪状に形成されてなる。また、図1に示すように、輪43には、各矢羽根42の先端を嵌挿する嵌挿孔43a,43a,…が等間隔に設けられている。
【0043】
図17は矢羽根ユニット4を左右に取り付けた状態での十文字ユニット2の正面図であり、図18は図17の矢羽根ユニット4を取り付ける前の状態を示す十文字ユニット2の正面図である。図17及び図18において、前記左右管軸23の両端と、前記各矢車ユニット4のタイコ41の貫通孔41aとの間には、この左右管軸23の両端に対し各矢車ユニット4のタイコ41をそれぞれ回転自在に支持する樹脂製低摩擦材としての左右管軸用低摩擦材51が設けられている。この左右管軸用低摩擦材51は、66ナイロンよりなり、略円筒形状に形成されている。そして、左右管軸用低摩擦材51は、各矢車ユニット4のタイコ41の貫通孔41aにそれぞれ圧入され、それぞれの内周面において左右管軸23の両端に対する摩擦抵抗を低減させるようにしている。
【0044】
また、前記各矢車ユニット4のタイコ41と前記左右軸部22との間に位置する左右管軸23の左右両側には、軟質の合成樹脂材(例えばポリ塩化ビニルなど)よりなる透明チューブ52がそれぞれ遊嵌状態で挿通されている。この各透明チューブ52は、各矢車ユニット4を左右管軸23の左右両側においてそれぞれ位置決めするために供され、当該各矢車ユニット4の左右軸部22側への移動を規制している。また、左右管軸用低摩擦材51の両端は、各矢車ユニット4のタイコ41の両端よりもそれぞれ内外方向に突出していて、その内側突出端が環状のリング部材45を介して各透明チューブ52の外端面に、外側突出端が環状のリング部材45を介して後述する拘束具53のキャップ部53aの内端面にそれぞれ当接している。
【0045】
図19は図17の左右管軸23の右端部付近を拡大した拡大図である。この図19において、前記左右管軸23の両端(図19では右端部のみ示す)には、当該左右管軸23の両端に対し前記各矢車ユニット4を離脱不能に拘束する拘束具53がそれぞれ装着されている。
【0046】
図20は図19の左右管軸の右端部に装着される拘束具53を左右管軸23側から見た側面図である。この図20にも示すように、前記各拘束具53は、左右管軸23の両端に対し当接する内端面を有するキャップ部53aと、このキャップ部53aの内端面より突設され、左右管軸23の内周面に挿通される管状の挿通部53bとを備えている。また、キャップ部53aの内端面には、左右管軸23の端部を嵌入する環状の凹部53cが設けられている。一方、挿通部53bは、先端に行くに従い小径となるテーパー面に形成され、左右管軸23の内周面に対し挿通し易くしている。また、挿通部53bの先端部には、直径方向へ貫通する一対のねじ孔53dが設けられている。そして、左右管軸23の両端部にも、前記挿通部53bのねじ孔53dに対応する一対のねじ孔23aが設けられていて、各ねじ孔23a,53d同士が合致した状態で挿通されるメクラネジ54によって各拘束具53が左右管軸23の両端に対し脱着自在に装着されている。このメクラネジ54の先端は、その外周端が面取り加工されていて、これに合致する形状の反挿通側のねじ孔53d(図19では下側のねじ孔53d)に螺着されることによってそれ以上のねじ込みが規制されるようになっている。この場合、各拘束具53のうちの一方の拘束具53(図19では右側の拘束具53)は、他方の拘束具53が先に左右管軸23の左端に止着されてから装着されるため、挿通側のねじ孔53dに対応する右側の透明チューブ52の対応位置にメクラネジ54を挿通するための挿通孔52aが設けられている。
【0047】
ここで、各矢車ユニット4の取り付け手順を図18に基づいて説明する。
まず、左右軸部22に対し左寄りに位置付けた左右管軸23に、透明チューブ52、リング部材45、左側の矢車ユニット4のタイコ41(左右管軸用低摩擦材51)、リング部材45、及び左側の拘束具53を順に挿通し、透明チューブ52を右側にずらせて、拘束具53のねじ孔53dと左右管軸23の左端部のねじ孔23aとを合致させた状態でメクラネジ54によって拘束具53を左右管軸の左端に止着する。
【0048】
それから、左右軸部22よりも左側の各部材45,41,45,52を左右軸部22と共に左右管軸23上において左側に移動させる。その後、左右軸部22よりも右側の左右管軸23に、透明チューブ52、リング部材45、右側の矢車ユニット4のタイコ41(左右管軸用低摩擦材51)、リング部材45、及び右側の拘束具53を順に挿通し、拘束具53のねじ孔53dと左右管軸23の左端部のねじ孔23aとを合致させる。このとき、右側の透明チューブ52の挿通孔52aも拘束具53の挿通側のねじ孔53dに合致させ、メクラネジ54によって拘束具53を左右管軸の右端に止着する。
【0049】
図21は鯉幟用矢車ユニット1を収容箱に収容する場合の手順を示す説明図であって、(a)は台座上に載置する前の状態を示す鯉幟用矢車ユニットの斜視図であり、(b)は台座上に載置した状態を示す鯉幟用矢車ユニットの斜視図、(c)は下側収容箱に台座ごと収容した状態を示す鯉幟用矢車ユニットの斜視図、(d)は下側収容箱に対し上側収容箱を被せた状態での斜視図である。この図21の(a)及び(b)に示すように、鯉幟用矢車ユニット1は、十文字ユニット2の上下軸部21の上下管軸24の上端に回転球ユニット3を取り付けるとともに、十文字ユニット2の左右軸部22の左右管軸23の両端にそれぞれ矢羽根ユニット4,4を取り付けた状態で、台座61上に載置されている。この台座61は、図21の(c)に示すように、上方に開口する下側収容箱62に収容されている。具体的には、台座61は、下側収容箱62の底部において互いに前後に対向する第1辺及び第3辺(図示せず)とほぼ同じ長さに形成され、かつ下側収容箱62の底部において互いに左右に対向する第2辺及び第4辺(図示せず)に沿って前記第1辺及び第3辺より上下軸部21よりも若干広い間隔(例えば20mm程度)を隔てた位置まで延びる底板61aと、この底板61aの外端より所定角度(例えば略55°)斜め上方へ傾斜するように折曲された傾斜板61bと、この傾斜板61bの上端同士が前記間隔(例えば20mm程度)を隔てた位置より互いに向き合って底板61aの内端に向かって真直ぐ下方へ延びるように折曲された対面板61cと、前記底板61aの内端より上向きに折曲され、前記対面板61cの下端に接合される糊代片61dとを備えている。この台座61は、それぞれの底板61aを合わせた形状が下側収容箱62の底部の四辺に合致する形状に形成され、残る傾斜板61b、対面板61c及び糊代片61dは、底板61aに対し左右両側部を切除した左右方向に短尺な形状に形成されている。また、台座61は、各板61a〜61cによって互いの対向板61c同士を前後に向き合わせた一対の断面略直角三角形を呈している。
【0050】
前記対面板61c同士の間には、発泡スチロールよりなる平板状の緩衝材61eが貼着されている。この緩衝材61eは左右に2分割され、互いの分割片同士の間には、前記上下軸部21の下部を挿通可能とする挿通孔(図示せず)が形成されている。そして、緩衝材61eの上面には、上下軸部21の下部を挿通孔に相通した状態で左右軸部22が設置される。また、一方の傾斜板61b及び対向板61cの左右方向中央位置には、それぞれ上方に開口する切欠61fが設けられ、この切欠61fによって、上下管軸24の下端の各貫通孔24aに挿通されるねじ部材25及び蝶ナット26との干渉が回避されるようにしている。なお、図21中の60は、上下管軸用低摩擦材36上端のキャップ37、左右管軸23両端の拘束具53を保護するための発泡スチロール製のカバー材である。
【0051】
図21の(d)に示すように、収容箱6は、下側収容箱62に対し上方から被せられる上側収容箱63を備えている。この上側収容箱63は、その上方に開口する上方開口を前後左右方向から閉塞するように当該上方開口の縁よりそれぞれ折り曲げられた蓋片63a〜63c(図21では3つのみ示す)を備えている。この場合、上側収容箱63は、その下方に開口する下方開口を介して下側収容箱62に被せられ、上側収容箱63の内周面が下側収容箱62の外周面に摺接している。
【0052】
したがって、本実施の形態では、左右管軸23の両端が左右の矢羽根ユニット4,4のタイコ41の貫通孔41aに圧入された略円筒形状の左右管軸用低摩擦材51に回転自在に挿通されているので、左右管軸23とタイコ41の貫通孔41aとの間の隙間が不均一であっても、タイコ41が左右管軸用低摩擦材51によって左右管軸23の周りでスムーズに回転し、タイコ41の回転時に軋み音の発生を抑制することができる。
【0053】
また、タイコ41が、表裏方向に分割不能となるように一体成形されているので、表裏方向で分割可能にそれぞれ成形して一体に貼り合わせたタイコなどのように経時的に表裏方向に剥離することがなく、タイコ41の耐久性を確保することができる。
【0054】
また、回転球ユニット3の上側の支持片32の貫通孔32aが、上下管軸24の上端の上下管軸用低摩擦材36の上側挿通部36bに回転自在に挿通されているので、上下管軸24と上側の支持片32の貫通孔32aとの間の隙間が不均一であっても、回転球ユニット3が上下管軸用低摩擦材36によってスムーズに回転し、回転球ユニット3の回転時に軋み音の発生を抑制することができる。
【0055】
また、左右管軸23の両端に、当該左右軸部23の両端に対し前記各矢車ユニット4を離脱不能に拘束する拘束具53が脱着自在に装着されているので、左右管軸23の両端から外方への各矢車ユニット4の不慮の離脱が阻止される。このため、左右管軸23の両端に割りピンを装着して外方への各矢車ユニット4の離脱を阻止する必要がない。これにより、経時的な使用により破断を招き易い割りピンに依存することなく各矢車ユニット4の外方への不慮の離脱を確実に阻止することができる。
【0056】
また、上下管軸24の上端に、当該上下管軸24の上端に対し回転球ユニット3を離脱不能に拘束するキャップ37が脱着自在に装着されているので、上下管軸24の上端から上方への回転球ユニット3の不慮の離脱が阻止される。このため、上下管軸24の上端に割りピンを装着して上方への回転球ユニット3の離脱を阻止する必要がない。これにより、経時的な使用により破断を招き易い割りピンに依存することなく回転球ユニット3の上方への不慮の離脱を確実に阻止することができる。
【0057】
また、各矢羽根42の羽根棒42bの基端を固定するタイコ41の固定穴41eが羽根棒42bの基端の断面形状に則してそれぞれ略D字状に凹設され、この略D字状に凹設された各固定穴41eの直線部分が、その各固定穴41eの中心軸方向から見てタイコ41の表裏面と平行な平行線mに対しα°(例えば略40°)傾斜して、タイコ41の外周端41cに対し各矢羽根42が風を受け易い向きで保持されるようになっているので、各矢羽根42は、タイコ41の固定穴41eに基端を固定すると、風を受け易い向きで保持されることになる。これにより、各矢羽根42が受ける風によって矢車ユニット4をよりスムーズに回転させることができる。
【0058】
また、前記各翼板34は、風を受け易い向きで各支持片32,33に取り付けられるように互いに相隣なる2つの翼板34,34同士を1組にして一体的に成形され、その上下両端の孔部34aを各支持片32,33の各孔部32b,33bに合致させた状態で、各支持片32,33に対しそれぞれハトメ35により取り付けられているので、各支持片32,33に各翼板34の上下両端を固定するだけで、風を受け易い向きとなる。このため、風を受け易い向きに各翼板を移動させた位置で止める止め輪が不要となり、部品点数の削減化を図ることができる。
しかも、各翼板34が2枚を1組にして一体成形されている上、各翼板34の上下両端を各支持片32,33に取り付ける際に当該各支持片32,33に対しリブ32c,33cによって周方向から位置規制されるので、2枚の翼板34,34が各支持片32,33に速やかに組み付けられ、各支持片32,33に対する各翼板34の組み付けを迅速に行うことができる。
【0059】
また、各矢羽根42の矢羽根本体42aの表面及びこの表面と面一状となる羽根棒42bの表面側に光沢のあるホログラム箔が熱転写されているので、絵柄を印刷したシールなどを矢羽根本体の表面に貼り付けたもののように経時的に剥がれが発生することがなく、各矢羽根42の美観を長期に亘って確保することができる。
【0060】
また、各翼板34の表面にも光沢のあるホログラム箔が熱転写されているので、絵柄を印刷したシールなどを各翼板に貼り付けたもののように経時的に剥がれが発生することがなく、各翼板34の美観を長期に亘って確保することができる。
【0061】
また、各矢車ユニット4の帯状に成形された輪43が、その両端同士を単一のハトメ44によって連結して輪状に形成されているので、単一のハトメ44によって輪43が周方向で局部的に重くなることが抑制され、各矢車ユニット4をスムーズに回転させることができる。
【0062】
更に、回転球ユニット3及び各矢車ユニット4を上下管軸24の上端及び左右管軸23の両端にそれぞれ取り付けた鯉幟用矢車ユニット1が収容箱6に収容されているので、回転球ユニット3や各矢車ユニット4をその都度組み付けたり分解したりする必要がなく、組み付けや分解による各部位の摩耗や破損などを防止できる上、鯉幟用矢車ユニット1の組み付けや分解に要する時間を削減できる。しかも、鯉幟用矢車ユニット1を分解することなく収容箱6に簡単に収容することができる上、鯉幟用矢車ユニット1を収容箱6から取り出すだけで鯉幟用ポールの先端に取り付けることができる。
【0063】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、前記実施の形態では、キャップ部53aと左右管軸23の内周面に挿通される管状の挿通部53bとを有する拘束具53を用いたが、図22〜図24に示すように、アルミニウム製のパイプや棒体よりなる左右管軸71の両端に周方向に凹設された環状の凹部71aをそれぞれ設け、左右管軸71の両端に、凹部71aに嵌合する凸部72aを内周面に設けた拘束具としてのキャップ72がそれぞれ脱着自在に装着されていてもよい。この場合、キャップ72は、合成樹脂(例えばABS樹脂など)により成形され、左右管軸71の両端の凹部71aに凸部72aが嵌合した状態では、キャップ72自体を故意に変形させない限り凹部71aと凸部72aとの嵌合は解除されず、不慮の離脱が規制されている。
【0064】
また、前記実施の形態では、各矢羽根42の矢羽根本体42aの表面及びこの表面と面一状となる羽根棒42bの表面側に、光沢のあるホログラム箔を熱転写したが、各矢羽根の矢羽根本体の裏面及び羽根棒の裏面にも、絵柄としての光沢のあるホログラム箔が熱転写されていてもよい。この場合には、各矢羽根を表面側及び裏面側のいずれの方向から見ても非常に見栄えの優れたものにすることができる。
【0065】
また、前記実施の形態では、各翼板34の表面に、光沢のあるホログラム箔を熱転写したが、各翼板の裏面にも、絵柄としての光沢のあるホログラム箔が熱転写されていてもよい。この場合には、回転球ユニットの見栄えを非常に優れたものにすることができる。
【0066】
また、前記実施の形態では、各矢車ユニット4の帯状に成形した輪43を、その両端同士を単一のハトメ44によって連結して輪状に形成したが、各矢車ユニットの輪が予め輪状に形成されていてもよい。この場合には、ハトメを不要にして輪の周方向での重さを均一なものとし、各矢車ユニットをよりスムーズに回転させることができる。
【0067】
また、前記実施の形態では、上側収容箱63をその下方の下方開口を介して下側収容箱62に被せ、上側収容箱63の内周面を下側収容箱62の外周面に摺接させたが、下側収容箱の下面の互いに対向する少なくとも2辺より上側収容箱の側面に沿って紐状物を延出し、この紐状物の延出端と上側収容箱の側面との間に、紐状物に張力を持たせて保持する面ファスナーなどの接着部材が設けられていてもよい。この場合には、面ファスナーによって下側収容箱が上側収容箱に保持され、収容箱の移動が円滑に行える。
【0068】
また、前記実施の形態では、上下管軸24の上端に対し上下管軸用低摩擦材36を介して上側の支持片32を回転自在に支持したが、下側の支持片も上下管軸に対し上下管軸用低摩擦材を介して回転自在に支持されていてもよい。具体的には、下側の支持片の貫通孔又はこの貫通孔に対応する上下管軸の対応部位に上下管軸用低摩擦材を介設したり、上下管軸に円筒形状の上下管軸用低摩擦材を挿通して上下の支持片がそれぞれ回転自在に支持されるようにしてもよい。
【0069】
また、前記実施の形態では、各矢羽根42の羽根棒42bの基端を、断面真円形状を一部切り欠いた断面略D字状に形成するとともに、タイコ41の各固定穴41eを、羽根棒42bの基端の断面形状に則してそれぞれ略D字状に凹設したが、各矢羽根の羽根棒の基端の断面形状及び各固定穴の凹設形状としては、羽根棒の基端が固定穴に対しその周方向に回転不能な形状であればどのような形状であってもよい。例えば、羽根棒の基端が断面多角形状や楕円形状などであってもよく、この羽根棒の基端の断面形状に則した凹設形状に固定穴が形成されていればよい。
【0070】
また、前記実施の形態では、互いに相隣なる2つの翼板34,34同士を1組にして一体的に成形したが、単一の翼板又は互いに相隣なる3つ以上の翼板同士を1組にして一体的に成形されていてもよい。この場合には、単一の翼板又は1組に一体成形された複数の各翼板は風を受け易い向きとなった状態で各支持片に対し取り付けられる。
【0071】
更に、前記実施の形態では、左右管軸用低摩擦材51を各矢車ユニット4のタイコ41の貫通孔41aにそれぞれ圧入したが、略円筒形状の左右管軸用低摩擦材が左右管軸の両端にそれぞれ圧入されていてもよい。
また、左右管軸の両端と各矢車ユニットのタイコの貫通孔との間に設けられる樹脂製低摩擦材として、左右管軸の両端に対し挿通される内側挿通部を軸線方向内側に有し、かつ各矢車ユニットのタイコの貫通孔に挿通される外側挿通部を軸線方向内側に有する略円柱形状の左右管軸用低摩擦材が適用されていてもよい。この場合には、左右管軸用低摩擦材の外側挿通部の外端に周方向に凹設された環状の凹部を設け、この外側挿通部の外端に、凹部に嵌合する凸部を内周面に設けたキャップ状の拘束具が脱着自在に装着される。
【0072】
また、前記実施の形態では、回転球ユニット3の上下の支持片32,33同士の間に6枚の翼板34,34,…をそれぞれ設けたが、上下の支持片同士の間に設けられる翼板の数はこれに限定されるものではなく、5枚以下又は7枚以上の翼板が設けられていてもよい。
【0073】
また、前記実施の形態では、各矢羽根ユニット4のタイコ41の外周端41cにそれぞれ基端が取り付けられた8枚の矢羽根42,42,…を設けたが、矢羽根の数はこれに限定されるものではなく、7枚以下または9枚以上の矢羽根がタイコの外周端より周方向に等間隔で放射状に延びて設けられていてもよい。
【0074】
更に、前記実施の形態では、各拘束具53を、その挿通部53bの先端部の一対のねじ孔53dと左右管軸23の両端の一対のねじ孔23aとを合致させた状態で挿通されるメクラネジ54によって、左右管軸23の両端に対し脱着自在に装着したが、図25に示すように、各拘束具53が、その挿通部53bの先端部において半径方向に貫通する単一のねじ孔53dと左右管軸23の両端において半径方向に貫通する単一のねじ孔23aとを合致させた状態で挿通されるタッピングネジ55によって、左右管軸23の両端に対し脱着自在に装着されていてもよい。この場合、ねじ孔23aは、タッピングネジ55を螺着した際に頭部を左右管軸23の外周面とほぼ面一状となるように内部に収めるためのものであり、タッピングネジ55は拘束具53の挿通部53bのねじ孔53dに対してのみ螺着される。
【符号の説明】
【0075】
1 鯉幟用矢車ユニット
21 上下軸部
22 左右軸部
23 左右管軸(左右軸部)
24 上下管軸(上下軸部)
3 回転球ユニット(回転球)
32 上側の支持片
32a 貫通孔
33 下側の支持片
33a 貫通孔
34 翼板
36 上下管軸用低摩擦材(樹脂製低摩擦材)
37 キャップ(拘束具)
4 矢車ユニット(矢車)
41 タイコ
41a 貫通孔
41e 固定穴
42 矢羽根
43 輪
51 左右管軸用低摩擦材(樹脂製低摩擦材)
53 拘束具
6 収容箱
71 左右管軸(左右軸部)
72 キャップ(拘束具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鯉幟用ポールの先端に下端が取り付けられる上下軸部と、この上下軸部の途中から左右両側にそれぞれ延びる左右軸部と、前記上下軸部の上端に取り付けられた回転球と、前記左右軸部の両端にそれぞれ取り付けられた左右一対の矢車と、を備えた鯉幟用矢車ユニットであって、
前記各矢車は、
樹脂材よりなり、
前記左右軸部が挿通される貫通孔を中心部に有するタイコと、
このタイコより放射状に延びる複数の矢羽根と、
これらの矢羽根の先端同士の間をそれぞれ連結する輪と、
を備え、
前記左右軸部の両端と、前記各矢車のタイコの貫通孔との間には、この左右軸部の両端に対し各矢車のタイコをそれぞれ回転自在に支持する樹脂製低摩擦材が設けられていることを特徴とする鯉幟用矢車ユニット。
【請求項2】
前記タイコは、表裏方向に分割不能となるように一体成形されている請求項1に記載の鯉幟用矢車ユニット。
【請求項3】
前記回転球は、
樹脂材よりなり、
前記上下軸部の上端がそれぞれ挿通される貫通孔を中心部に有する上下一対の支持片と、
この各支持片同士の間に設けられ、当該各支持片にそれぞれ上下両端が固定される複数の翼板と、
を備え、
前記上下軸部の上端と、前記各支持片のうちの少なくとも上側の支持片の貫通孔との間には、この上下軸部の上端に対し少なくとも上側の支持片を回転自在に支持する樹脂製低摩擦材が設けられている請求項1又は請求項2に記載の鯉幟用矢車ユニット。
【請求項4】
前記左右軸部の両端には、当該左右軸部の両端に対し前記各矢車を離脱不能に拘束する拘束具が脱着自在に装着されている請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の鯉幟用矢車ユニット。
【請求項5】
前記上下軸部の上端には、当該上下軸部の上端に対し前記回転球を離脱不能に拘束する拘束具が脱着自在に装着されている請求項3又は請求項4に記載の鯉幟用矢車ユニット。
【請求項6】
前記タイコには、前記各矢羽根が風を受け易い向きで保持されるように当該各矢羽根の基端を固定する固定穴がそれぞれ設けられている請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の鯉幟用矢車ユニット。
【請求項7】
前記各翼板は、前記各支持片に対し風を受け易い向きとなった状態で組み付けられるように単数又は複数枚毎に成形されている請求項3〜請求項6のいずれか1つに記載の鯉幟用矢車ユニット。
【請求項8】
前記各矢羽根には、絵柄が熱転写されている請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の鯉幟用矢車ユニット。
【請求項9】
前記各翼板には、絵柄が熱転写されている請求項3〜請求項8のいずれか1つに記載の鯉幟用矢車ユニット。
【請求項10】
前記回転球及び前記各矢車は、前記上下軸部の上端及び前記左右軸部の両端にそれぞれ取り付けられた状態で収容箱に収容されている請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の鯉幟用矢車ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−252199(P2012−252199A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125301(P2011−125301)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(393012253)赤瀬産業株式会社 (3)