説明

鳥獣除け用ゴミネット

【課題】ネットの取り扱い性を損なうことなく、ネット内に鳥獣が侵入するのを防止すること。
【解決手段】ゴミGを収納するネット本体1と、このネット本体1の下側開口部に連設されるトラップ部2とから構成される。このトラップ部2は、ネット本体1の内側に位置し、円環状の第一環状部材3と、この第一環状部材3の内側に配置される第一環状部材3よりも小径円環状の第二環状部材4と、両環状部材3、4の間に張設される円環帯状のトラップネット5とからなる。ネット本体1には、トラップネット5を上側から押さえ付けるおもり部材6が設けられ、両環状部材3、4を地面に伏せた状態で使用される。鳥獣は第一環状部材3を持ち上げてトラップ部2内に入り込もうとするが、頭上からトラップネット5が覆い被さるため、本能的に危険を察知してネット本体1内への侵入を断念する。このため、ゴミ袋Gが荒らされることなく、ゴミ置き場の美観が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラスや猫等の鳥獣がゴミ袋を荒らすのを防ぐためにそのゴミ袋に被せる鳥獣除け用ゴミネットに関する。
【背景技術】
【0002】
生ゴミ等のゴミ置き場においては、カラスや猫等の鳥獣がゴミ袋を荒らすのを防ぐため、ゴミ回収までの間そのゴミ袋をネットで覆って、鳥獣が近付けないようにしておくことが多い。このネットとして、例えば特許文献1に示すものがある。このネットは、円筒形ネットの下縁部に、金属チェーンを周回するように設けたものである。この金属チェーンの重みでもって、風等でネットが浮き上がるのを防止するとともに、鳥獣がその下縁部からネット内に侵入するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−159163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成においては、例えば、ある程度の力があるカラス等の中型の鳥の場合、くちばしでネットの下縁部を持ち上げて、ネット内に侵入する恐れがある。前記下縁部に設ける金属チェーンを重くすれば侵入しづらくなるが、ネットの重量が増して取り扱い性を損なう問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、ネットの取り扱い性を損なうことなく、ネット内に鳥獣が侵入するのを効果的に防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、この発明は、ゴミ袋を収納する袋状のネット本体と、このネット本体の下側開口部に連設されるトラップ部とを備え、前記トラップ部は、第一環状部材と、この第一環状部材の内側に配置される第二環状部材と、両環状部材の間に張設されるトラップネットとを有し、前記両環状部材を地面に伏せた状態にして前記トラップ部からの鳥獣の侵入を防止する鳥獣除け用ゴミネットを構成した。
【0007】
鳥獣がネット本体内に侵入するためには、トラップ部を構成する第一環状部材と第二環状部材を順次持ち上げなければならない。この第一環状部材をくぐり抜けて第二環状部材を持ち上げる際に、両環状部材の間に張設したトラップネットが鳥獣の上から覆い被さる。鳥獣は、上から覆い被さるものに対して本能的に身の危険を察知するため、第一環状部材をくぐり抜けてトラップネットが覆い被さった時点で、ネット本体内への侵入を断念する。本構成のように、両環状部材の間にトラップネットを張設して、両環状部材を地面に伏せた状態とすることにより、トラップネットも地面に伏せた状態に保つことができる。このため、第一環状部材をくぐり抜けた鳥獣に大きな圧迫感を与えることができ、高い侵入防止作用が発揮される。
【0008】
しかも、この鳥獣除け用ゴミネットは、トラップネットが鳥獣の上に覆い被さることによって侵入防止作用を発揮するものであって、両環状部材を重くすることによって鳥獣の侵入を阻止するものではない。すなわち、特許文献1の構成における金属チェーンと異なり、鳥獣が持ち上げることができる程度の重さのものであっても良い。このため、ネットの軽量化を図ることができ、その取り扱い性が良好なものとなる。
【0009】
また、例えばカラス等の鳥は知能が高く、トラップ部をくぐり抜けずに、ネット本体の網目の隙間にくちばしを突っ込んで、ゴミ袋をネット本体の外に引き出そうとする行動をとることがある。この場合、引き出そうとしたゴミ袋がトラップ部に乗り掛かった状態となって、ネット本体の下側開口部をしっかりと閉じるため、このゴミ袋を容易にネットの外に引き出すことができない。このため、ネット本体内に収納したゴミ袋が荒らされる恐れは低い。
【0010】
前記構成においては、ネット本体におもり部材を設け、ネットの使用の際に、前記おもり部材が前記トラップネットを上側から押さえ付け得るようにすることができる。
【0011】
このようにおもり部材を設けると、トラップネットの下側に侵入した鳥獣をこのトラップネットで押さえ付ける作用が増大するため、鳥獣に与える圧迫感が一段と高まる。このため、鳥獣の侵入防止作用を一層向上することができる。このおもり部材をネット本体に所定間隔ごとに設けてもよいが、下側開口部の全体において侵入防止作用を高めるために環状とするのがより好ましい。
【0012】
さらに前記各構成においては、前記第一環状部材と第二環状部材との間隔を、侵入防止対象とする鳥獣の体長よりも広くすることができる。
【0013】
このように間隔を広くすると、ネット内への侵入を試みる鳥獣が第一環状部材と第二環状部材を同時に持ち上げることが困難となる。そうすると、第一環状部材をくぐり抜けた鳥獣が、接地した両環状部材とトラップネットの間に完全に閉じ込められた状態となって身の危険を強く感じる。このため、第二環状部材をくぐり抜けてネット本体内へ侵入するのを断念する可能性が一層高まる。
【0014】
さらに前記各構成においては、前記第一環状部材と第二環状部材に介在する間隔保持部材を設け、この間隔保持部材により両環状部材の間に所定の間隔が保持されるようにすることができる。
【0015】
トラップ部は、両環状部材が一方向に偏ることなく所定間隔をもって配置されることによって、トラップネットによる鳥獣のトラップ作用が有効に作用し、高い侵入防止作用を発揮する。この間隔保持部材として、例えば、両環状部材の間に介在する突っ張り棒を採用し得る。この突っ張り棒を両環状部材の環状方向の一定間隔ごと(例えば、両環状部材の間の4か所)に設けることによって、両環状部材の間隔を適切に保つことができ、両環状部材の一方向への偏りを効果的に防止し得る。
【0016】
さらに前記各構成においては、前記ネット本体の上部に、開閉自在の上側開口部を形成することができる。
【0017】
このように上側開口部を形成しておけば、追加でネット本体内にゴミ袋を入れたい場合に、このネット本体下側のトラップ部を持ち上げる必要がない。このため、ゴミ袋の追加投入の際に不用意に両環状部材の位置関係がずれて、鳥獣の侵入防止作用が損なわれるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、ネット本体の下側開口部に、第一環状部材と、第二環状部材と、両環状部材との間に張設されたトラップネットとから構成されるトラップ部を連設した。このようにトラップ部を設けることにより、ネット本体内に鳥獣が入り込むのを阻止し、ネット本体内のゴミ袋が荒らされるのを極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明に係る鳥獣除け用ゴミネットの第一実施形態を示す斜視図
【図2】第一実施形態の側面図
【図3】第一実施形態における上側開口部を示す斜視図
【図4】第一実施形態の作用を示す側面図
【図5】第二実施形態の要部側面図
【図6】第二実施形態の作用を示す側面図
【図7】両環状部材に間隔保持部材を設けた状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係る鳥獣除け用ゴミネットの第一実施形態を図1及び図2に示す。この鳥獣除け用ゴミネットは、ゴミGを収納する袋状のネット本体1と、このネット本体1の下側開口部に連設されるトラップ部2とから構成されている。このトラップ部2は、ネット本体1の内側に位置し、円環状の第一環状部材3と、この第一環状部材3の内側に配置される第一環状部材3よりも小径円環状の第二環状部材4と、両環状部材3、4の間に張設される円環帯状のトラップネット5とからなる。両環状部材3、4は、トラップネット5の網目の内外周端にそれぞれ編み込まれている。
【0021】
ネットの使用の際には、両環状部材3、4を地面に伏せて、その環状の全体に亘って地面に接地した状態とする。このようにすれば、両環状部材3、4が、鳥獣Bがネット本体1内に入り込もうとする際の妨げになるためである。両環状部材3、4の間の間隔(トラップネット5の幅)は適宜決めることができるが、侵入防止対象となる鳥獣Bの大きさを考慮するのが好ましい。例えば、カラスや猫等を対象とする場合は、前記間隔を10cm程度(鳥獣Bの体にトラップネット5が十分覆い被さる程度)とすることができる。
【0022】
第一環状部材3は、ネット本体1に、その下側開口部端に沿うように円環状に編み込まれている。ネット本体1の下側開口部近傍(第一環状部材3よりも数cm程度上側)には、円環状のおもり部材6が編み込まれており、ネットの使用の際に、このおもり部材6がトラップネット5の上に覆い被さり得るようになっている。また、ネット本体1の上側開口部端には紐体7が円環状に通されており、この紐体7を絞ることによって上側開口部を閉じる一方で、図3に示すように、この紐体7を緩めることによって上側開口部を開口するようになっている。さらに、ネット本体1の上側開口部近傍には保形リング8が編み込まれており、この保形リング8でネット本体1を大きく開いて、その内部にゴミ袋Gを容易に収納し得るようにしている。なお、ゴミ袋Gをネット本体1に収納することによって、このネット本体1が自然に大きく開くのであれば、保形リング8を適宜省略してもよい。
【0023】
なお、図3においては、おもり部材6とネット本体1の位置関係を明瞭に示すため、おもり部材6を地面から少し浮かせた状態を図示しているが、実際の使用の際には、第一環状部材3及び第二環状部材4と同様に、おもり部材6が接地した状態(トラップネット5の上に覆い被さった状態)とするのが好ましい。
【0024】
図4にこのネットによる鳥獣Bの侵入防止作用を示す。例えば、ネット本体1内に収納したゴミGを狙ってカラスBが侵入を試みる場合、このカラスBは、くちばしで第一環状部材3を持ち上げてその内側(トラップ部2内)に入り込もうとする。このとき、カラスBの体にトラップネット5が覆い被さる。カラス等の鳥獣Bはその体に何かが覆い被さると本能的に危険を察知し、さらにネット本体1内に侵入するのを断念する。ネット本体1におもり部材6を設けた場合、このおもり部材6がトラップネット5を上から押さえ付けるため、その侵入防止作用を一層向上することができる。
【0025】
図4に示した実施形態においては、カラスBの体長の方が両環状部材3、4の間隔(トラップネット5の幅)よりも大きいが、前記間隔の方を大きくすることによって、侵入防止作用を一層高めることができる。すなわち、前記間隔の方を大きくすると、カラス等の鳥獣Bが両環状部材3、4の両方を一度に持ち上げることができないため、鳥獣Bの体全体がトラップネット5に覆われた状態となる。両環状部材3、4で前後を塞がれた上にトラップネット5が覆い被さった鳥獣Bは一段と大きい危険を察知するため、ネット本体1内への侵入の恐れが一層低くなる。
【0026】
また、カラス等の知能の高い鳥獣Bは、トラップ部2をくぐり抜けることなく、ネット本体1の網目の外側からネット本体1内にくちばしを突っ込み、ゴミ袋Gを引っ張ってネット本体1外に引きずり出そうとすることがある。この場合、引っ張ったゴミ袋Gがトラップ部2に乗り掛かった状態となって、ネット本体1の下側開口部をしっかりと塞ぐため、このゴミ袋Gを容易にネット本体1外に引き出すことができない。このように、この鳥獣除け用ゴミネットを使用することによって、鳥獣Bによってゴミ袋Gが荒らされるのを確実に防止することができ、ゴミ置き場の美観を保つことができる。
【0027】
この発明に係る鳥獣除け用ゴミネットの第二実施形態を図5に示す。この鳥獣除けゴミネットは、第一実施形態と同様に、ネット本体1とトラップ部2とから構成されており、このトラップ部2は第一環状部材3と、第二環状部材4と、トラップネット5とで構成されている点で同じであるが、第二環状部材4がネット本体1の下側開口部に編み込まれていて、トラップ部2がネット本体1の外側に位置している点で異なっている。
【0028】
この第二実施形態においても、図6に示すように第一環状部材3をくぐり抜けてトラップ部2内に入り込もうとする鳥獣Bにトラップネット5が覆い被さり、第一実施形態と同様に侵入防止作用が発揮される。
【0029】
上記の各実施形態においては、図7に示すように、第一環状部材3と第二環状部材4を間隔保持部材9で連結することができる。この間隔保持部材9を、例えば、両環状部材3、4の周方向の90度ごとに設けることによって、両環状部材3、4が一方向に偏ることなく所定間隔をもって配置される。このため、トラップネット5による鳥獣Bのトラップ効果が有効に作用して、高い侵入防止作用を発揮する。
【0030】
上記の各実施形態においては、トラップ部2に第一環状部材3と第二環状部材4の二本の環状部材を用いた態様について示したが、例えば、両環状部材3、4の間に第三環状部材を配置する態様とすることもできる。このようにすれば、鳥獣Bが複数の環状部材を持ち上げにくくなるため、侵入防止効果を一層高めることができる。また、この環状部材3、4は円環状のものに限定されず、例えば矩形状のものを採用することもできる。この場合も、矩形状の両環状部材3、4の間に張設したトラップネット5によって、鳥獣Bの侵入作用を発揮できるためである。
【0031】
この環状部材3、4の素材は適宜選択することができるが、ネットの不使用時にコンパクトに収納し、かつ使用時に速やかに元の環状に戻るように、弾力性及び復元性を備えた素材を採用するのが好ましい。
【符号の説明】
【0032】
1 ネット本体
2 トラップ部
3 第一環状部材
4 第二環状部材
5 トラップネット
6 おもり部材
7 紐体
8 保形リング
9 間隔保持部材
B 鳥獣(カラス)
G ゴミ袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴミ袋(G)を収納する袋状のネット本体(1)と、このネット本体(1)の下側開口部に連設されるトラップ部(2)とを備え、
前記トラップ部(2)は、第一環状部材(3)と、この第一環状部材(3)の内側に配置される第二環状部材(4)と、両環状部材(3、4)の間に張設されるトラップネット(5)とを有し、前記両環状部材(3、4)を地面に伏せた状態にして前記トラップ部(2)からの鳥獣(B)の侵入を防止する鳥獣除け用ゴミネット。
【請求項2】
ネット本体(1)におもり部材(6)を設け、使用の際に前記おもり部材(6)が前記トラップネット(5)を上側から押さえ付け得るようにした請求項1に記載の鳥獣除け用ゴミネット。
【請求項3】
前記第一環状部材(3)と第二環状部材(4)との間隔が、侵入防止対象とする鳥獣(B)の体長よりも広い請求項1又は2に記載の鳥獣除け用ゴミネット。
【請求項4】
前記第一環状部材(3)と第二環状部材(4)に介在する間隔保持部材(9)を設け、この間隔保持部材(9)により両環状部材(3、4)の間に所定の間隔が保持されるようにした請求項1から3のいずれか一つに記載の鳥獣除け用ゴミネット。
【請求項5】
前記ネット本体(1)の上部に、開閉自在の上側開口部を形成した請求項1から4のいずれか一つに記載の鳥獣除け用ゴミネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−95543(P2013−95543A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238526(P2011−238526)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(598032678)
【出願人】(507227120)
【Fターム(参考)】