説明

鳩飛来防止具。

【課題】磁石の磁界を利用した、鳩飛来防止装置を提供する。
【解決手段】鳩の飛来箇所に、一対の永久磁石を互いの磁極を異なる方向に向かい合わせて支持体によって立設して、その磁極間に、一定の幅の磁界が形成できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テラス、ベランダ等に設置して、主として磁力によって、鳩の脳の部分に存在する地球の地磁気を感じるセンサーを狂わせ飛来防止を効果的に行い、しかも簡単でメンテナンスも容易で、又、ベランダなどの設置箇所にその使用の制限を軽減しようとする鳩飛来防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マンション、アパートなど多階建築物のベランダ等に鳩が飛来し、鳩の糞公害が多発している。鳩が営巣する場合その周辺には多大の迷惑を掛けるのが現状である。鳩の帰巣本能は、晴天時では、太陽の位置と地磁気によってはるか遠く離れた地域から、容易に、確実に帰巣することが出来ると近年の研究で知られている。伝書鳩の大会で、遠く離れた場所で、一斉に放された鳩は、晴れた日には、瞬く間に、飼いならされている巣のある方向の空に向かって、飛んでいく、然し曇り空の日は、暫くは、放された上空を周回しながら少しずつ、巣のある方向を探しながらとんで行く。
此れは地磁気を頼りに、飛んでいくと思われる。この様に、鳩の生命腺ともいうべき頭部に存在する磁気センサー、そのセンサーに狂いを生じさせるには、外部から、磁気を印加すればよいことから、各種の磁気を利用した飛来防止具が先行技術として、下記のような先行技術が提示されている。
【0003】
一般的には、ベランダなどに磁石を並べて置くことで、対応していたが、設置した当初は飛来防止効果は認められるが、日時が経過すると、鳩は慣れて、飛来防止効果が低くなってくるといわれている。その対策として、磁石の位置を変えたり、
磁場を変化させ、鳩の慣れを回避する技術が提示されている。
(たとえば、特許文献1参照)
【0004】
上記、先行技術は、何れも一本の紐状体に複数個の磁石を保持しこれ等が揺れるこ
とに、起因して変動磁場を生じさせる技術である。
(たとえば、特許文献2参照)
【0005】
ベランダ等に設置するのには紐状体が邪魔になりベランダの使い勝手が悪くなる
そこでこの対策としてはとの飛来箇所に設置される基板に基板設置箇所における振動や風等にて遊動可能な弾性体にて形成された支持体が間隔を隔てて複数本、立設され、各々の頭部に磁石が支持されてなる技術も提示されている。
(たとえば、特許文献3参照)
【0006】
1979年、鳩の頭の中に小さな磁針が発見された。鳩の頭骨と脳との間に2X1mmくらいの小さな組織があって、その中のマグネタイトの微小な塊が見付かった。それは幅が長さの4分の1で、ちょうど磁針のような形をしている。このマグネタイトは、勿論非常に小さいものだが、それでも鳩が地磁気を感じ取るには充分な大きさあることが、確かめられている。(たとえば非特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−23863号公報
【特許文献2】特開平08−09867号公報
【特許文献3】特許 第2572549号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「磁石のナゾを解く」 中村 弘著 株式会社講談社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術のおいては、肝心なことが欠けていた。
それは、鳩の頭部にセンサーが存在すること、磁石から発生の磁気の分布状態の把握、これらの事を、考慮しない飛来防止方法は、効果が薄いと思われる。
鳩が、飛来後着地すると、頭の部分は、凡そ、着地地点より10〜20cmの高さに位置する。この部分に、約3ガウス以上の磁力が存在すると、鳩は直ちに飛び立ってしまい、その地点には、着地しない。
磁石の磁気分布、単体の磁石では、N極からS極にできるだけ短い距離で磁力線は繋がっていく、そのため、単体磁石では、ビーム状の磁気バリヤーの形成は難しく磁気バリヤー形成の為には、一対の磁石の異極同士を、対向させることが必要である。
【0010】
以上述べたように、従来の飛来防止方法としては、各種、提示されているが、
現在、確実に飛来防止効果を有する品物は市場には、見当たらない。
このことは従来の方法では、確実に飛来防止の目的が果せていないことを示している。何故か、それは、鳩の磁気センサーは、頭部に有ること、磁石の磁気回路を充分に理解されていないこと。鳩の頭部に、ある一定の磁気が印加されるように設定されていないと効果が薄いと言う欠点が有ったからで、本発明は、これ等の欠点を補うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
問題を解決するために本発明が採用した第1の課題解決技術手段は、鳩の飛来箇所に、一対の永久磁石を互いの異なる磁極を相対向させて支持体によって立設して、その磁極間に、一定の幅の磁界が形成できるように構成したことを特徴とする。
【0012】
問題を解決するために本発明が採用した第2の課題解決技術手段は、上記支持体が磁性体からなり、夫々の支持体の下部を、お互いに磁性体によって、連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
従来の欠点を解消し、鳩の急所に磁気騒乱を起こさせて、着地できないように設定することで、確実に飛来防止効果を得ることが出来る。
従来の方法のように、ベランダ等に固定設置することなく、持ち運んで、自在設置もできる。極めてシンプルな方法で、効果抜群である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態概略図。
【図2】本発明の他の実施形態の磁気分布状態(側面)を含めた概略図。
【図3】本発明の磁気分布状態図(平面)
【図4】本発明の磁気分布図
【図5】従来の磁気分布図
【図6】本発明に関する磁気分布の確認方法図
【図7】本発明の実施例1の実施状態図
【図8】本発明の実施例2の支持体の概略図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、鳩舎に於いて、ある実験から、創案されたものである。
鳩は、飛来後、着地すると、常に頭の位置はある一定の高さにある。
着地するや否や、辺りを見渡すようなしぐさ、頭の位置は略一定の高さ、
約10cm〜20cmの間である。後述、実施例に示すごとく、鳩舎で、餌を準備し、二つの餌皿、一方は、高さ15cmの位置に、一対の永久磁石を設置
他方は何もしないままの状態で、暫らくの間、観察すると、何もしない方の餌皿の餌は直ちに食べていくのに、永久磁石を設置した方の餌皿は、手付かずで、何時になっても食べることはなかった。然し、永久磁石を取り外すと、忽ち餌は無くなった。
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は本発明の実施形態の概略図である。
一対の永久磁石1、2、による、磁気バリヤーが、着地した鳩の頭の部分に磁力線が及ぶ状態を示している。磁力の強さは3ガウス程度以上あれば十分で、地磁気の約10倍、但し、永久磁石の磁極の向きは重要で、お互いに異極同士を向かい合わせることが必要条件である。此れによって、一定の高さに、ビーム状に磁気バリヤーが形成できる。この高さは、10cmから20cm位である。
使用される永久磁石は、各種永久磁石が使用できるが、永久磁石の磁力は0.1T以上有れば充分なので、フェライト磁石が最適である。屋外使用なので、錆等に強く、全天候性、しかも価格も安い。
【0017】
より確実に、磁気バリヤーを形成するには、図2に示すよう、上記、手段2のように、支持体同士を、素材が磁性体からなる物体で連結する、即ち、継鉄形成し、磁気回路を短く構成する。その様にすることで、一対の永久磁石、磁気バリヤー、磁性体からなる物体での、磁気的な閉回路を形成でき、より確実な磁気バリヤーとなる。
【0018】
図2、図3は本発明の磁気分布の状態図である。
図2は側面から見た状態図、図3は平面から見た平面状態図
平面状態図では凡そ、畳半畳分の広さをカバーできる。
【0019】
図4、図5は、磁気回路的に従来のものと本発明の磁束分布の違いを示している
即ち、一定の高さに、ビーム状の磁束を得る為には、異極の磁極が相対向する様な一対の磁石が必要で、単体磁石では、難しい。
【0020】
本発明の確認実験として、図6の様に、30cmの間隔で、一対の永久磁石を異極の磁極が対向する様に設置し、ほぼ中央に、微細な永久磁石を紐に吊るして、挿入すると、該永久磁石は一方の磁石に引かれていく、其のまま、永久磁石の磁極の方向を夫々上下方向に置き換えると、挿入した微細磁石は、其の侭、中央に戻り、動くことはない。即ち、磁気が及ばない空間の部分が出来る。
【実施例1】
【0021】
伝書鳩を、飼育している鳩舎のベランダに図7の様に、餌皿を2個並べて置いた、一方の皿の両脇には、本発明の鳩飛来防止具を置き、他の餌皿は鳩飛来防止具を置かない状態で、ピーナッツ豆を同じように入れ、観察した、数時間後の状態は、鳩飛来防止具を置かない方の餌皿の豆はきれいに、食べていたが、鳩飛来防止具を設置した方は、其の侭の状態を保っていた。その後、鳩飛来防止具を取り外すと、此方の方も、忽ち、飛んで来た鳩に、全て食べられてしまった。
【実施例2】
【0022】
図8は本発明の実施例で、永久磁石を取り付ける支持体をペットボトルに水を入れたものを利用し、その上部に取り付けたもので、任意の箇所に移動できる様にしたものである。一対として2個を互いの磁極が相対向するように設置した。この場合は、支持体間の距離は、約30cmとして、設置した。尚、永久磁石は、フェライト磁石で、0.12Tの表面磁束を有するものである。
鳩は、一旦、支持体間に、飛来してきても、直に飛び立ってしまう。
【符号の説明】
【0023】
1 永久磁石
2 永久磁石
3 継鉄−1
4 継鉄−2
5 微細磁石
6 糸紐
7 ペットボトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳩の飛来箇所に、一対の永久磁石を互いの異なる磁極を相対向させて支持体によって立設して、その磁極間に、一定の幅の磁界が形成できるように構成したことを特徴とする鳩飛来防止具。

【請求項2】
上記支持体が磁性体からなり、夫々の支持体の下部を、お互いに磁性体によって、連結したことを特徴とする請求項1記載の鳩飛来防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−179032(P2012−179032A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46018(P2011−46018)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(309015879)株式会社 アイエムティクリエイト (2)
【出願人】(300004681)
【Fターム(参考)】