説明

鼻カニューレアセンブリを備えた吸入療法システム

患者に吸入ガスを供給するための鼻カニューレが提供される。鼻カニューレは、離間した1組の供給ラインを備え、各供給ラインは、放出口を有するヘッド部をその一端に備える。各供給ラインの他端は吸入ガス源に接続可能である。各ヘッド部は、患者の一方の鼻腔内にぴったりと受容され、且つ保持される一方、患者に供給された過剰な吸入ガスの排出と、患者に供給される吸入ガス以上に必要とされる大気の吸気を促進するために、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚の一部と、ヘッド部の外表面の一部と、の間に十分な漏出流路が形成される大きさである。本発明はまた、鼻カニューレを組み入れた吸入療法システム、鼻カニューレを用いて睡眠障害を有する患者を治療する方法、患者の鼻腔圧を測定するための診断器具、および患者の鼻腔圧を測定するための診断器具の使用方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、一般的には呼吸補助装置に関し、具体的には、呼吸器疾患を有する患者の鼻道内に酸素等の流体を投与する際に用いられる鼻カニューレアセンブリを備えた、吸入療法システムに関する。
[発明の背景]
患者の上唇と外鼻孔との間の鼻唇部に接触するように配置される、多様な可撓性カニューレが今まで製造されてきた。それらのカニューレの多数が軟質の可撓性プラスチック製であるとはいえ、カニューレは通常長時間に亘って装着されるため、装着者はしばしば不快感を覚える。長時間に亘る装着は、装着者の顔の組織に、特に人中、および保護されていない鼻唇部周辺に、カニューレが継続的に接触することとなり、刺激および炎症を引き起こすことになる。
【0002】
従来のカニューレ装置は、大まかな二つのグループに分類可能である。
第一のグループは、主管部と、主管部に一体的に接続されて流体流通状態になる1組の管状鼻プロングと、を備える単一部材を用いている。主管部は、可撓性の補助酸素供給チューブに接続可能な反対側の端部を有する。補助酸素供給チューブは患者の耳に掛けられ、それ自体が、加圧された酸素源に流体流通状態になる。周知のように、鼻プロングは装着者の鼻孔に挿入され、患者の気道に低流量の酸素を供給する。これら装置の主管部は、装着者の上唇の、全長ではないにしてもその大部分に亘っている。その際、主管部は、患者の上唇の大部分に亘り接触圧力を及ぼす。このような状況下では、カニューレ自体、およびカニューレに接続された補助酸素供給チューブが、比較的低流量の酸素を供給するように構成されていても、すなわち、特に頑丈でも、硬くも重くもない場合であっても、患者は、比較的短時間のうちに不快感を覚え始めるのが普通である。この第一のグループの構成によるカニューレ装置およびアセンブリの例は、米国特許第2,868,199号、第3,643,660号、第3,802,431号、第4,106,505号、第4,156,426号、第5,400,776号、および第5,794,619号公報、ならびに、米国特許出願公開公報第2001/0031929 A1号および第2002/0112730 A1号において、例えば見受けられる。
【0003】
第二のグループは、ハーネス部材を伴う。ハーネス部材は、それ自体は酸素を運搬しないが、可撓性の補助酸素供給チューブの放出開口端が鼻プロングを規定するように、可撓性の補助酸素供給チューブを保持する。しかしながら、これらの装置のハーネス部材もまた、患者の上唇の全長または大部分に亘るのが一般的である。それにより、これらの装置は、たとえ低負荷ガス供給用であっても、第一のグループのカニューレ装置と同様の、患者の不快感の問題を引き起こす。第二のグループの構成によるカニューレ装置の例は、米国特許第2,931,358号、第3,400,714号、第4,278,082号、第4,648,398号、第4,790,308号、第4,818,320号、および第5,533,506号公報に、例えば見受けられる。
【0004】
米国特許出願公開公報第2002/0046755 A1号(`755号公報)は、上述のグループのどちらか一方に分類される鼻カニューレの多様な実施例だけでなく、容易に分類し難いその他の実施例もまた、開示している。しかしながら、当該公報に開示されている鼻カニューレの何れも、高流量状態下でも患者が快適であるような装置について述べていない。高流量状態とは、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を患っている患者にしばしば処方される陽圧気道圧療法、例えば、持続陽圧気道圧(CPAP)または二相性陽圧気道圧(BiPAP)において患者が経験し得る状態である。例えば、`755号公報に教示されているカニューレの一実施例によれば、患者の上唇に載置される、比較的幅の狭いコネクタ部材が、可撓性の酸素供給補助チューブに一体的に取り付けられる。それにより、チューブの両端は、使用者の鼻孔内の鼻中隔に弾性的に係合する鼻プロングとして機能し得る。本明細書で用いられるように、「鼻中隔」または単に「中隔」という用語は、鼻腔を半分に分ける隔壁を意味し、分けられた鼻腔は鼻孔にて終端する。中隔は、前方つまり前部では、堅いが屈曲可能な構成体であり、皮膚に覆われた軟骨組織でほぼ構成されている。OSAの間、一般的な大人の患者の気道を開いた状態に維持するのに治療上望ましいカニューレに、吸入ガス流を供給するためには、例えば、従来の補助酸素供給チューブでは、約1/4インチ(0.635cm)もの外径を有する必要がある。この口径のチューブは、(鼻内組織を傷つけないようにしなければならないので)鼻孔内にわずかな長さを挿入された場合でも、使用者にとってかなり邪魔で、堅く、不快なものであり、使用者の中隔に弾性接触している場合は特にそうである。そのような不快感は、自分に処方された陽圧気道圧療法に対する患者のコンプライアンスに悪影響を及ぼすこととなり、療法全体の効果を低減する恐れがある。
【0005】
米国特許第4,782,832号、第5,042,478号、第5,134,995号、第5,269,296号、第5,535,739号、第5,687,715号、第5,752,510号、第6,431,172号、および第6,478,026号公報、ならびに米国特許出願公開公報第2002/005935 A1号は、陽圧気道圧療法用の鼻カニューレについて記載している。しかしながら、これらの文献に開示されているカニューレ装置は、かなり大きく、装着しにくいものである。実際その多くは、患者の鼻孔を覆い、且つ/または、塞ぐような構成になっている。結果的に、それらもまた、治療に対する患者の最適なコンプライアンスを促進するものではない。
【0006】
したがって、小型で軽量で且つ可撓性の高い材料から製造された鼻カニューレアセンブリを備えた吸入療法システムには、利点がある。そのように構成されれば、鼻カニューレアセンブリは、陽圧気道圧療法に有用である高流量での加圧吸入ガスの投与を伴う療法を含む、加圧吸入ガスの長時間投与を余儀なくされる吸入療法を受ける患者にとって、快適なものとなるであろう。
[発明の概要]
本発明は、患者の顔の鼻唇部に接触するように構成された鼻カニューレアセンブリを備えた吸入療法システムを提供する。カニューレアセンブリは、鼻カニューレと、鼻カニューレに接続された1組の可撓性補助吸入ガス供給ラインと、主吸入ガス供給ラインと、場合により、補助供給ラインの周囲に配設されるスリップループと、を備える。
【0007】
鼻カニューレは、可撓性の高い、すなわち柔軟な材料で好適に作られる単一部材である。カニューレは、幅の狭い中央部材と、1組の補助吸入ガス供給ラインに接続可能であって、中央部材の対向する両端部に沿って一体的に形成される、1組の可撓性供給アームと、を規定するように成形される。供給アームの内端部は、中央部材から僅かに湾曲した形状で突出する、離間した1組の中空の管状延長部、すなわちプロングを規定している。管状延長部は、装着者の鼻孔内に挿入され、その僅かに湾曲した形状によって、吸入ガスの供給は、鼻道の自然な輪郭に沿って咽頭へと好適に導かれ得る。
【0008】
中央部材の上面は、鼻中隔の下方外表面における接触面積を最小にするために、且つ、鼻中隔に対する圧力を集中させ得る直線的または尖鋭な縁端を避けるために、丸みを帯びていることが好ましい。この形状は、中央部材の本来の可撓性および短さと相まって、患者の鼻唇部のごく一部にカニューレを軽く接触させることを可能にする。
【0009】
更に、カニューレの可撓性供給アームは、アームが補助吸入ガス供給ラインに接続され、カニューレアセンブリが患者によって適切に装着された際に、補助吸入ガス供給ラインが、患者の頬骨の上を通ったり横切ったりせず、頬骨の下を通ることが促されるように、アームが屈曲するように構成されている。この効果の利点は、鼻カニューレの補助吸入ガス供給ラインが、患者の頬骨格の組織に接触した時に、患者によっては覚える不快感が避けられることである。したがって、本発明の鼻カニューレアセンブリは、患者による装着中に補助吸入ガス供給ラインの引っ張り力を受けた際に、患者の鼻唇部に対して最小限の圧力しか及ぼさない。更に、中隔を含む鼻道の内壁から管状延長部の表面が離間している以上は、鼻道内で管状延長部が好適に配置されていることになる。その結果が、高流量の状態下であっても患者が長時間装着することが可能な、きわめて着け心地の良い鼻カニューレアセンブリとなり、患者はそれにより自分の吸入療法計画を遵守し易くなり、最適な効果が得られ易くなる。
【0010】
本発明の別の目的は、患者の呼吸数が実質的に一定のままであるように、吸気時に患者の呼吸仕事量を実質的に増加させない一方、患者の呼気抵抗を増大させることである。
本発明の更に別の目的は、酸素、薬剤等の治療ガスすなわち吸入ガス(以下、これら全てを「吸入ガス」と称する)を患者の鼻腔内に十分な量投入することである。その目的は、呼気時に患者によって吐出される過程で、二酸化炭素を希薄化することである。希薄化するとは、二酸化炭素の多くを吹き払ったり、または発散させたりし、その吹き払われたり発散させられた二酸化炭素を、その後、引き続いての吸気時に患者によって直ちに吸入され得る吸入ガスと、置き換えることである。
【0011】
本発明の更に別の目的は、患者の鼻腔内に簡単に保持される一方、患者の呼気中に含まれる二酸化炭素の一部を吹き払ったり発散させたりできるように、鼻孔の内側を向いた皮膚と鼻プロングの外表面との間での漏出が促進されるように受容される、吸入ガス供給システムを提供することである。
【0012】
本発明の更に別の目的は、過剰な量の吸入ガスを、可変流量で正常に患者に供給する一方、過剰な吸入ガスの一部を、鼻孔の内側を向いた皮膚と鼻プロングの外表面との間に漏出させることである。
【0013】
本発明の更に別の目的は、患者に供給する前に吸入ガスを適切に加熱および加湿する一方で、吸入ガスに含まれる水蒸気が給水管に沿って凝結するのを最小限に抑え、且つ、吸入ガスを供給する間、吸入ガス供給システムによって発生する騒音を約46デシベル近くのレベルまで低減させる、吸入ガス供給システムを構成することである。
【0014】
本発明の更に別の目的は、吸入ガス供給システムを利用して、患者に十分な背圧を発生させ、且つ維持することであり、その結果、患者の軟口蓋は十分に膨張した状態を保ち、圧潰状態が防止される。
【0015】
本発明の更に別の目的は、睡眠時無呼吸を治療し得る、吸入ガス供給システムを提供することである。
本発明の更に別の目的は、ガス供給源が通常約8cmH2O程度のガス供給圧を維持する一方、患者の吸気時には約6cmH2O程度のガス供給圧に降下し、患者の呼気時には約10cmH2O程度に上昇するように、ガス供給源の流量を調整つまり変動させることである。患者の呼気時に、鼻カニューレのヘッド部と患者の鼻孔の皮膚との間に、供給された過剰なガスが漏出し、ガス供給圧を約8cmH2O程度に維持するために、ガス供給源の動作は減速するか、あるいはことによると、一時的に短時間中断する。
【0016】
本発明の更に別の目的は、ガス供給鼻カニューレ呼吸システムの使用中に、患者が十分なガスの供給を受けており、自分が供給ガスすなわち空気の「不足状態にある」ことを経験すなわち認識しなくていいように、患者の呼吸機能を詳細に追跡記録する、ガス供給鼻カニューレ呼吸システムを提供することである。
【0017】
本発明の更に別の目的は、ガス供給鼻カニューレ呼吸システムにおいて、例えば約22mmHgの比較的大きい圧力降下を、ガス供給源と鼻カニューレとの間に創り出すことと、現在患者が直面している呼吸の特徴をかなり正確に予測することのできる、ガス供給鼻カニューレ呼吸システムを提供することである。
【0018】
本発明は、患者に吸入ガスを供給するための鼻カニューレに関する。鼻カニューレは1組の供給ラインを備え、1組の供給ラインは、吸入ガスを放出するための放出口を有するヘッド部を一端にそれぞれ備え、それぞれの他端は吸入ガス源に接続可能である。各ヘッド部は、患者の一方の鼻腔内にぴったりと受容され、且つ保持される一方、患者に供給された過剰な吸入ガスの排出を促進するため、且つ、患者に供給される吸入ガス以上に必要とされる大気の吸気を促進するために、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚の一部と、ヘッド部の外表面の一部と、の間に十分な漏出流路が形成される大きさである。
【0019】
本発明は、患者に吸入ガスを供給するための鼻カニューレアセンブリに関する。鼻カニューレアセンブリは1組の供給ラインを備え、1組の供給ラインは、吸入ガスを放出するための放出口を有するヘッド部を一端にそれぞれ備え、それぞれの他端は補助吸入ガス供給ラインに接続可能である。各補助吸入ガス供給ラインの遠位端部は、患者に吸入ガスを供給するための吸入ガス源に接続される。各ヘッド部は、患者の一方の鼻腔内にぴったりと受容され、且つ保持される一方、患者に供給された過剰な吸入ガスの排出を促進するために、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚の一部と、ヘッド部の外表面の一部と、の間に十分な漏出流路が形成される大きさである。
【0020】
本発明は、鼻カニューレを介して患者に吸入ガスを供給するための吸入療法システムに関する。吸入療法システムは、患者に吸入ガスを供給するための吸入ガス源と、吸入ガスを受け入れ、患者の鼻孔に供給するための、吸入ガス源に接続される鼻カニューレと、を備える。鼻カニューレは1組の供給ラインを備え、1組の供給ラインは、吸入ガスを放出するための放出口を有するヘッド部を一端にそれぞれ備え、各供給ラインの他端は、補助吸入ガス供給ラインに接続される。各補助吸入ガス供給ラインの遠位端部は、患者に吸入ガスを供給するための吸入ガス源に接続される。各ヘッド部は、患者の一方の鼻腔内にぴったりと受容され、且つ保持される一方、患者に供給された過剰な吸入ガスの排出を促進するために、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚の一部と、ヘッド部の外表面の一部と、の間に十分な漏出流路が形成される大きさである。
【0021】
本発明は、睡眠障害を有する患者を吸入ガスを用いて治療する方法に関する。その方法は、鼻カニューレのプロングを患者の各鼻孔内に挿入するステップと、少なくとも患者の呼気時に、患者の気道内に背圧を形成するのに十分な一定の流量で、鼻カニューレに吸入ガスを供給するステップと、少なくとも呼気時に、鼻カニューレのプロングと、鼻孔の内側を向いた皮膚と、の間の鼻孔から、供給された吸入ガスの一部を漏出させるステップと、を含む。
【0022】
本発明は、患者の鼻腔圧を測定するための診断器具に関する。診断器具は鼻カニューレを備え、鼻カニューレは1組の供給ラインと圧力検知プローブとを備える。1組の供給ラインは、吸入ガスを放出するための放出口を有するヘッド部を一端にそれぞれ備え、それぞれの他端は吸入ガス源に接続可能である。各ヘッド部は、患者の一方の鼻腔内にぴったりと受容され、且つ保持される一方、患者に供給された過剰な吸入ガスの排出を促進するために、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚の一部と、ヘッド部の外表面の一部と、の間に十分な漏出流路が形成される大きさである。圧力検知プローブは各ヘッド部に組み合わされ、各圧力検知プローブは、圧力検知装置に圧力測定値を供給するために連結される。
【0023】
本発明は、患者の鼻腔圧を測定するための診断器具の使用方法に関する。その使用方法は、患者が眠ることを許可するステップと、第一の流量で患者に吸入ガスを供給しながら、診断器具を装着した睡眠中の患者を監視するステップと、診断器具の圧力検知プローブを介して、患者の鼻腔内の圧力を測定するステップと、患者が睡眠中に規則正しく呼吸するように、患者の気道内に所望の背圧を生じさせる、最適な吸入ガス流量が得られるまで吸入ガスの流量を調整するステップと、を含む。
【0024】
本特許出願、および添付する特許請求の範囲で用いられているように、睡眠時無呼吸、閉塞性睡眠時無呼吸、酸素飽和度低下、およびその他の関連する呼吸障害等は、以下、全て「睡眠障害」と称する。
【0025】
本特許出願、および添付する特許請求の範囲で用いられているように、「一定の流量」という用語は、患者への吸入ガスの供給が、例えば、所望の背圧を患者の気道内に生じさせて呼吸を促進するなどの、効果をもたらすのに十分ではあるが患者に不快感を与えるほど過剰ではないような流量でなければならないことを意味する。
【0026】
本特許出願、および添付する特許請求の範囲で用いられているように、「谷部」という用語は、開口部、通路、窪み、または、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚とカニューレのヘッド部の外表面との間で、両流れ方向への漏出を容易にする、例えば、チャネル、溝、スロット、縦溝等のその他の外面の凸凹を意味する。
【0027】
本特許出願、および添付する特許請求の範囲で用いられているように、「供給ライン」という用語は、アーム、導管、チューブ、ダクト、チャネル、または、源から患者に吸入ガスを供給するためのその他の閉ざされた流路を意味する。
【0028】
本発明の他の詳細、目的、および利点は、現在好適である実施例、および現在好適である本発明の実施方法について、以下の記述が進むに従って明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】患者に装着されて作動位置にある、本発明によるカニューレアセンブリの一部の拡大立面図である。
【図2】患者に装着されて作動位置にある、本発明によるカニューレアセンブリ全体の立面図である。
【図3】本発明によるカニューレアセンブリのカニューレの背面図である。
【図4】延長部が患者の鼻腔内に挿入された状態で、患者に固定されたときの図3のカニューレの相対位置を示す、図3の4−4線に沿った拡大断面図である。
【図5】図3のカニューレの上面図である。
【図6】本発明による鼻カニューレアセンブリを備えた吸入療法システムのブロック図である。
【図7】吸入療法システムの別の実施例の概略図である。
【図8】本発明による鼻カニューレアセンブリを備えた吸入療法システムの、別の実施例のブロック図である。
【図9】鼻カニューレの変形例の正面図である。
【図9A】図9の9A−9A切断線の方向における、図9の鼻カニューレの概略図である。
【図9B】患者の鼻孔と鼻カニューレのヘッド部との間の、複数の漏出流路を規定するように患者の鼻孔内に受容された鼻カニューレの、二つのヘッド部を示す概略正面図である。
【図9C】患者の鼻孔内に受容された鼻カニューレの二つのヘッド部のうちの一方を示す、図9Bの概略側面図である。
【図10】鼻カニューレの別の変形例の正面図である。
【図10A】図10の10A−10A切断線の方向における、図10の鼻カニューレの概略図である。
【図10B】患者の鼻孔と鼻カニューレのヘッド部との間の、複数の漏出流路を規定するように患者の鼻孔内に受容された鼻カニューレの、二つのヘッド部を示す概略正面図である。
【図11】吸入療法システムの吸入ガス供給ラインと共に使用する、スイベルの概略断面図である。
【図12】本発明のカニューレに組み込まれた診断器具の正面図である。
【図12A】図12の12A−12A切断線の方向における、図12の診断器具の概略図である。
【図12B】別体の圧力検知装置に連結された各圧力検知プローブを示す、図12の診断器具の正面図である。
【図13】吸入療法システムの、多様な内部の加熱、加湿、および制御要素を組み入れたハウジングの概略図である。
【図13A】図13のハウジング内部の加熱、加湿、および制御要素を示す概略図である。
【図13B】図13のポストヒータの概略断面図である。
【図14】吸入ガス供給ライン用のコルゲートチューブ、すなわち従来の絶縁ラップまたは絶縁材料の一部の概略縦断面図である。
【図14A】図14の14A−14A切断線に沿った概略断面図である。
【図15】1組の補助吸入ガス供給ラインの張力を制御する、スリップループの概略断面図である。
【図15A】図15のスリップループの概略上面図である。
【図16A】患者に装着されて作動位置にある、本発明によるカニューレアセンブリの拡大立面図である。
【図16B】患者に装着されて作動位置にある、本発明によるカニューレアセンブリ全体の立面図である。
【図17】連結ブリッジに流路を備える鼻カニューレの変形例の正面図である。
【図17A】図17の17A−17A切断線に沿った鼻カニューレの概略図である。
【図17B】患者の鼻孔と鼻カニューレのヘッド部との間の、複数の漏出流路を規定するように患者の鼻孔内に受容された図17の鼻カニューレのヘッド部を示す概略正面図である。
【図17C】患者の鼻孔内に受容された鼻カニューレの二つのヘッド部の一方を示す、図17Bの概略側面図である。
【図18A】本発明によるカニューレアセンブリを、患者に固定して作動位置にするためのシステムを示す概略正面図である。
【図18B】患者に固定されて作動位置にある、図18Aのシステムの概略側面斜視図である。
【図18C】カニューレアセンブリを患者に固定して作動位置にする、図18Aのシステムの概略側面図である。
【図18D】内部に螺旋状の補強材を含んでいるガス供給ラインの概略横断面図である。
【図18E】図18Dの18E−18E切断線に沿った、図18Dのガス供給ラインの概略部分断面図である。
【図19A】改良されたガス流量センサの概略図である。
【図19B】患者に装着されて作動位置にある、ガス流量センサを有するカニューレアセンブリの概略図である。
【図20】患者に装着されて作動位置にある、流量調整機構を有するカニューレアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、単に一例として添付する図面に示される、本発明の好適な実施例の以下の記述から、より容易に明らかになるであろう。
[発明の詳細な説明]
各図全般に亘って、同様あるいは類似の参照符号が同様あるいは類似の構成要素を示している図面を参照すると、参照符号10によって概して示される、本発明による鼻カニューレアセンブリは、図1および図2において、患者の顔に装着された作動位置で示されている。鼻カニューレアセンブリ10は、鼻カニューレ12と、カニューレの供給ラインまたはアーム26に接続された、1組の補助吸入ガス供給ライン14(更なる詳細は以下に記載)と、主吸入ガス供給ライン16と、補助ライン14のそれぞれを主吸入ガス供給ライン16に連結するためのコネクタ18と、患者の耳および頭部の周囲での補助ラインの調節を容易にするための、補助ライン14の周囲に配設される、任意のスリップループまたはライン締付け部材20と、主吸入ガス供給ライン16の第二の端部を、加圧吸入ガス源または吸入ガス源23に接続するのを容易にするための端部コネクタ22と、を備える。図6を参照して更に詳細に後述されるように、加圧吸入ガス源または吸入ガス源23は、加圧空気を供給するためのコンプレッサ(OSAの治療に通常使用される)を備える。患者の治療上の必要に応じて、加圧吸入ガス源または吸入ガス源23を備えた吸入療法システムは、加熱および加湿した吸入ガスを患者に供給してもよい。
【0031】
カニューレ12は一般に、例えばディップ成形加工等の適切な成形加工によって製造され得る単一部材である。カニューレ形成のためのディップ成形加工の例としては、米国特許出願第09/754,471号および第09/883,843号(両者ともに発明の名称は「鼻口腔カニューレ呼吸検知装置の製造方法」)に開示されているものが挙げられ、それらの開示は、参照することによってその全内容を本明細書に包含されるものとする。カニューレ12の組成物は、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、軟質ラテックス、または柔軟性すなわち可撓性の高いその他の材料等、熱可塑性組成物であることが好ましい。
【0032】
図1、図3、および図5に最もはっきり図示されるように、カニューレ12は、実質的に直角を有する1組の可撓性の供給アーム26を離間する、幅の狭い、すなわち長さの短い中央ブリッジ部材24を備える。供給アーム26の頭部は、中央ブリッジ部材24の対向する縁部28に沿って、中央ブリッジ部材24に一体的に連結され(図3参照)、供給アーム26の第二の端部は、補助吸入ガス供給ライン14の一方にそれぞれ接続可能である(図1および図2参照)。カニューレ12の供給アーム26と補助吸入ガス供給ライン14との間の接続は、何らかの適切な方法または手段によって実現され得るものであり、着脱可能であっても、固定的であってもよい。例えば、現在の好ましい実施例によれば、供給アーム26は補助吸入ガス供給ライン14内に密接に受容され、その接続は、摩擦嵌合、溶剤結合、接着接合、超音波溶接等によって維持され得る。
【0033】
図4および図5に示されるように、ノズルすなわち中空の管状延長部30は、供給アーム26のそれぞれの頭部から上方に突出しながら頭部と一体的に形成される。各管状延長部30は、患者の鼻腔前部の形状に実質的に対応する僅かに湾曲した形状を帯び、吸入ガス放出口32にて終端することが好ましい。患者の快適性を最適にするために、各管状延長部30は、中央ブリッジ部材24の上端から放出口32に向かって、上方向に先細になっていることが好ましい。作動中、各管状延長部30は、鼻腔Nの中に達するように、患者の鼻孔の一方に挿入される。管状延長部30の湾曲した形状により、吸入ガスが圧力を生じさせて潜在的に患者を刺激する恐れのある鼻腔上流部に向かってではなく、吸入ガスの供給は、鼻道の自然な輪郭に沿って順当に咽頭Pへと導かれることが可能である。更に、患者の呼吸が誘発する動きによって鼻道を刺激するおそれのある尖鋭な縁端は、管状延長部30に沿った部分またはその先端にはみられず、また、カニューレの軟質で可撓性のある材質は、延長部が鼻腔Nの輪郭に沿い易くなることを可能にする。
【0034】
患者の上唇の、全長ではないにしてもその大部分に亘る構成を有する、従来の一部の鼻カニューレとは違い、カニューレ12の中央ブリッジ部材24はかなり幅が狭く、比較的短い軸長を有する。実際に、中央ブリッジ部材24は、実質的に患者の人中34の幅にしか亘らないような形状である(図1)。その結果、カニューレの使用中、患者の上唇前面の最小限の領域だけが、中央ブリッジ部材24の背面およびカニューレ12に継続的に接触することになる。更に、図4に示されるように、中央ブリッジ部材24の上面部は、鼻中隔の下方外表面における接触面積を最小にするために、且つ、鼻中隔に対する圧力を集中させ得る尖鋭または直線的な縁端を避けるために、丸みを帯びていることが好ましい。このように、これらの特徴の組合せによって、カニューレ12は患者の鼻唇部のわずかな部分に軽く接触することになり、結果として、長時間に亘って鼻カニューレ12を装着しなければならない患者の快適性を向上させるとともに、患者が自分のCPAP治療プログラムを遵守しようとする意欲を高める。
【0035】
図1および図2は、カニューレアセンブリ10が患者によって装着されている、好ましい様態を図示する。カニューレ12は一般に患者の鼻唇部を横切るように載置される一方、可撓性の補助吸入ガス供給ライン14は初めに患者の顔を横切り、患者の耳の上から後ろへと延び、顎領域を下って、患者の顎先の下で一つにまとめられる。続いて、供給補助ライン14の両方を包囲するのに十分な大きさであるライン締付け部材20は、供給補助ライン14が患者に対して不愉快にピンと張られることなく、カニューレ12がしっかりと定位置にとどまるように、補助供給ライン14の長さに沿って調節され得る。
【0036】
図5に図示されるように、一構成によれば、カニューレ12の中央ブリッジ部材24は、水平面Xを規定する。供給アーム26のそれぞれは、水平面Xの片側に位置し、且つ、中央ブリッジ部材24の水平面Xに対して鋭角αを形成する各水平面X’上に位置している。中央ブリッジ部材24の水平面Xに対して、角度αにて供給アーム26を配設することは、カニューレ12を患者の鼻唇部に対して適切な位置に維持するために、補助吸入ガス供給ライン14に加える必要がある張力および/または力の量を、最小限にする働きをする。
【0037】
更に、図3に示されるように、各供給アーム26の反対側の端部は初めに頭部および中央ブリッジ部材24から離れるように延び、続いて屈曲し、互いから遠ざかる外向きに方向を変えて第二の端部まで達する。その形状は、例えば子供あるいは大人といった、装置を使用する患者の顔の特徴および頭の大きさによって、約0.4インチ〜約0.8インチの曲率半径を有する緩やかに湾曲した形状である。供給アーム26は可撓性および屈撓性が高いにもかかわらず、補助供給ライン14に所望の形状を付与するのに十分な弾性および剛性を有し、それにより患者の快適性は更に高められる。つまり、湾曲した供給アーム26は、補助吸入ガス供給ライン14が、患者の頬骨部36を横切ったり上を越えたりするのではなく、回り込んで下を通過するよう促す機能を果たす(図1参照)。鼻カニューレの補助吸入ガス供給ラインが自分の頬骨部36に接触した際に、患者によっては覚える不快感が、このような構成によって好都合に回避される。このように、本発明の鼻カニューレアセンブリ10は、患者による装着中に補助吸入ガス供給ライン14の引っ張り力を受けた際に(高流量の吸入ガスを供給するために構成された、より内径が大きく堅固である補助吸入ガス供給ラインの場合、引っ張り力はより大きくなる)、患者の鼻唇部34および頬骨部36の両方に対して最小限の圧力しか及ぼさない。
【0038】
上述のように、鼻カニューレアセンブリ10は、酸素補給療法のため投入されるように低流量で吸入ガスを運搬するのに用いられる場合であっても、また、OSA治療のための陽圧気道圧療法の酸素投与に必要とされる、少なくとも毎分約120リットルの高流量で吸入ガスを運搬するのに用いられる場合であっても、有益である。いずれにしても、主吸入ガス供給ライン16、補助吸入ガス供給ライン14、およびカニューレ供給アーム26の寸法は、最小の容積および重量、最小の圧力降下、最大の流量、ならびに、乱流および騒音の最小限の発生を実現するために最適化されるであろう。更に、鼻カニューレ12は、体格的にとても小さな子供あるいは幼児からとても大きな大人に及ぶ患者の、固有の物理的な顔の特徴および大きさに対応するのに適した、いかなる寸法にも成形可能であることが理解されるだろう。その結果が、高流量率の状態下であっても患者が長時間装着することが可能な、きわめて着け心地の良い鼻カニューレアセンブリとなり、患者はそれにより自分の吸入療法計画を遵守し易くなり、最適な効果が得られ易くなる。
【0039】
図6は、全体として、吸入ガスを吸入療法システム40および患者Pに供給するための加圧吸入ガス源または吸入ガス源23と、本発明による鼻カニューレアセンブリ10と、を備えた吸入療法システム40を示している。吸入療法システム40は、更に詳細に後述されるが、患者Pに高流量の吸入ガスを提供する開放システムとして一般的に定義され得る。開放システムは、一般的に大気圧の影響にさらされる。当業者には容易に分かるように、大気圧の影響を受けることは、吸入ガスの流れが、患者の鼻孔内に導入される鼻カニューレアセンブリ10の放出口32付近で生じ、そこでは、患者の呼気ガスの一部と共に、吸入ガスの一部が鼻孔と管状延長部との境界領域を通って漏出することが可能である。
【0040】
本発明の開放式の吸入療法システム40とは対照的に、従来周知である睡眠時無呼吸用ガス供給システムは一般的に、大気圧に対してより高い所定の圧力下で吸入ガスを供給する、閉鎖システムである。そのような閉鎖システムでは、患者Pの口および/または鼻を覆ってフェイスマスクが封止され、閉鎖式の圧力システムを創出する。閉鎖式のガス供給システムは、気道を開存状態に維持するために、患者の気道において4〜20cmH2Oの範囲の圧力を発生させ得る。封止されたマスクは、患者の睡眠中も当然患者に装着されている。しかしながら、封止されたマスクと、それにより発生した圧力は、供給された吸入ガスと相まって、患者には特に不快なものであり、数回の治療の後、例えばマスクの不快感等の様々な理由によって、患者が治療を性急に断念してしまうことが多い。
【0041】
睡眠時無呼吸の多くの場合は、そのような閉鎖システムの負担および影響は必要ないものである。本発明の開放式の吸入療法システム40は、周知の閉鎖式の療法システムの上記の欠点を解消する。上述の鼻カニューレアセンブリ10は、周知の睡眠時無呼吸治療システムにおいて用いられるマスクよりも、患者が装着する上で実質的に、より快適である。したがって、患者が不快感からマスクを外して、治療を断念する事態は起こりにくい。高流量の吸入ガスが患者の気道に供給されると、4〜20cmH2Oの圧力で届けられて患者が利用できる吸入ガスが豊富にあることが確実になる。
【0042】
一般的に、図6の太い黒矢印の他に図7でも示されるように、本発明の吸入療法システム40は、所望の高流量の吸入ガスを与えるための流れ発生/測定機構44に、源23から最初に吸入ガスを供給し、続いて、吸入療法システム40の残りの部分を介して鼻カニューレアセンブリ10へ、そして患者の上気道系内へと吸入ガスを供給する。高流量によって、患者の肺は支障なく吸入ガスを取り込むことができ、患者の口および鼻を覆うマスクを用いることによって患者の肺の中に著しく過大な圧力を発生させなくとも、高流量の吸入ガスは豊富で十分な吸入ガス源を提供する。所望の吸入ガス流量を発生させるための流れ発生/測定機構44は、例えばコンプレッサ、ファン、ポンプ、送風機、または、従来技術で周知のその他の装置であってもよい。流れ発生/測定機構44は、概して、4〜20cmH2Oの圧力で、毎分約20〜約120リットル、好ましくは毎分約50リットルの流量で、吸入ガスを供給する。
【0043】
吸入ガスは、通常、患者に供給される前に調整される。患者に供給する前に吸入ガスを調整するために、加湿器50が一般的に設けられる。患者が不快感を覚えたり、患者の鼻腔の内部組織が損傷されたりすることを、最小化および/または回避するために、吸入ガスは通常、加熱および加湿される。具体的には、上述した流量で供給される吸入ガスは、約70%〜100%の相対湿度に、より好ましくは約80%の相対湿度に維持されるべきである。更に、供給されるガスの温度は、約81°F(27.2℃)〜約90°F(32.2℃)の範囲内、より好ましくは約86°F(30.0℃)であるべきである。
【0044】
高流量状態は、補助ガス供給ライン14および/または供給アーム26に騒音および乱流を引き起こし易くなり得る。騒音および乱流は、患者に苦痛および/または不快感をもたらし、患者が長時間このシステムを使用することの障壁となり得る。騒音および乱流を最小限にするために、鼻カニューレアセンブリ10の構成部品である補助吸入ガス供給ライン14および主吸入ガス供給ライン16は、一般的に約0.173〜0.290インチ(0.439〜0.736cm)の内径を有し、約0.350インチ(0.889cm)の外径を有するが、他のサイズも予測され、当業者にとってそれは容易に明らかとなろう。吸入ガス供給ラインがガス供給条件を満たすのに十分なサイズであり、且つ、ラインのねじれが回避または最小化されるのに十分なサイズである限り、帯状供給管を利用することも可能である。
【0045】
特別に調製された吸入ガスの場合、吸入ガスの使用量を節約するために、吸入ガス源42の一部として逆止弁またはその他の好適な供給ガス計量装置46が備えられるのが好ましい。吸入ガスは、こうして計量装置46を介して流れ発生/測定機構44に供給される。流れ発生/測定機構44は一般的に、最終的に鼻カニューレアセンブリ10を介して患者Pに吸入ガスを供給する前に、吸入ガスを適切に加湿するために吸入ガスを加湿器50に供給し、続いて吸入ガスを適切に加熱するためにヒータ47に供給する。
【0046】
吸入療法システム40の流量パラメータを制御するために、コントローラ56が用いられるが、流量パラメータの制御とは、例えば、使用者によって選択されたか、あるいは、ランプ関数もしくはリランプ関数で要求された、所望のガス流を監視することである。患者が所望の流量(ランプ関数)に順応することができるように、コントローラ56は、約5分〜30分の間に亘って、吸入ガス流量を毎分約20〜120リットルの間で変化させるための調整を行うが、好ましい吸入ガス流量は毎分約50リットルである。このランプ関数は、初期の低温の起動時と、高温の中断休止起動時の両方に用いられ得る。
【0047】
更に、コントローラ56は吸入ガスの温度を絶えず監視し、供給される吸入ガスの湿度および/または温度の両方を個別に制御するために、加湿器50およびヒータ47に情報を提供する。コントローラ56は、患者の快適性を最大にするために、ランプ関数全体に亘って温度の監視および制御も行う。コントローラ56には、吸入療法システム40のこれらの多様な局面を監視および制御するために、制御ロジック回路が設けられる。そのような制御ロジック回路は従来のものであり、技術的に周知であるため、これについての更に詳細な説明は行わない。
【0048】
コントローラ56に様々な情報を提供するために、他にも多くの装置が備えられてよい。例えば、吸入ガスの温度を患者の大気温度環境に対して最も効果的なものにするため、大気温度センサ66がコントローラ56に大気温度を提供してもよい。また、吸入療法システム40は、加湿器50を通過した吸入ガスの湿度をより効果的に制御し易くするために、大気湿度を検知するための大気湿度センサ67を備えていてもよい。
【0049】
本発明の更に別の実施例において、図8に示すとおり、吸入療法システム40は、流れ発生/測定機構44を通過する前あるいは後において、通過型加湿器70あるいはより効率的に加湿を管理して吸入ガスに含まれる水蒸気を増加させる可変的な熱制御機器を備えた、技術的に周知の他のタイプの加湿器を介して、毎分120リットル、好ましくは毎分約50リットルの吸入ガスを供給してもよい。加湿された吸入ガスは、次にヒータ(例えばポストヒータ)48に運ばれ、その後患者Pに供給するための鼻カニューレアセンブリ10に供給される。先に論じたように、コントローラ56は、患者に供給する前に吸入ガスの温度と湿度を十分に制御するため、システムの構成要素、すなわち流れ発生/測定機構44、加湿器70、およびヒータ(例えばポストヒータ)48を監視および制御するために用いられる。吸入療法システム40には、ヒータ(例えばポストヒータ)48の後に温度測定センサ58が備えられていてもよく、患者Pに供給する前に吸入ガスが所望の温度および湿度レベルに確実に制御され易くなるよう、大気温度センサ66および大気湿度センサ67がコントローラ56に入力を供給してもよい。
【0050】
患者に供給する直前に吸入療法システム40によって十分に加熱および加湿された吸入ガスは、通常、好ましくは70〜100パーセントの相対湿度、より好ましくは約85パーセントの相対湿度で供給される。
【0051】
吸入ガスの加熱に関しては、後加熱方式が好適である。なぜならば、後加熱方式は加熱および冷却が比較的速やかなため、患者に供給される吸入ガスの温度のより正確な制御がし易いからである。
【0052】
図9〜図9Cを参照して、本発明の更なる変形例を説明する。この実施例は上記実施例と非常に類似しているので、この実施例と上記実施例の相違点のみについて詳細に説明する。本実施例によれば、各供給アーム26のプロング端部は、吸入ガス放出口32を含む膨らんだヘッド部72を備えている。ヘッド部72は、ヘッド部72の挿入および取出しを容易にするとともに患者の鼻孔内でのヘッド部72の保持を容易にする、楕円形の横断面形状(図10〜図10B参照)を有することが好ましい。ヘッド部72が各鼻孔内で受容されるため、楕円形状のヘッド部の最大直径は僅かに押し縮められてもよく、ヘッド部72が僅かに圧縮されることにより、患者に不快感を知覚させることもなく、患者の鼻孔内でのヘッド部72の保持状態が改善されることになる。あるいは、ヘッド部72の直径は図7〜図9Cに示されているように、ほぼ円筒の形状であってもよい。ヘッド部72の外表面には、少なくとも1つ、好ましくは複数の均等に離間した細長いチャネル、溝、スロット、谷あるいは縦溝74が形成されている。これらの細長いチャネル、溝、スロット、谷あるいは縦溝74のそれぞれは、管状延長部30の長手方向の軸Aにほぼ平行に延びているが、管状延長部30の長手方向の軸Aからは離間しており、患者の吸気時に、患者が必要とする更なる空気を吸い込めるようにするとともに、過剰に供給された吸入ガスを鼻腔から容易に排出できるようになっている。細長いチャネル、溝、スロット、谷あるいは縦溝74のそれぞれは、共通の細長い谷部76で分かれて1組の隣接する細長い稜線78に向かう1組の隣り合う側面75によって、通常規定される。図9〜図9Bに示されている第一の種類のヘッド部72(大きめの型)においては、ヘッド部72が比較的大きな鼻孔を有する患者の鼻孔71内に容易に受容され、保持されるよう、ヘッド部72は、約0.50インチ(1.3cm)〜約0.70インチ(1.8cm)、好ましくは約0.60インチ(1.5cm)の最大外径を有し、約0.50インチ(1.3cm)〜0.60インチ(1.5cm)、好ましくは約0.55インチ(1.4cm)の軸方向の長さを有している(図9Bおよび図9C参照)。この実施例によれば、膨らんだヘッド部72は、ヘッド部72の周囲に均等に離間した8つの細長いチャネル、溝、スロット、谷あるいは縦溝74を有する。各谷部76は、約0.03インチ(0.08cm)〜約0.06インチ(0.15cm)、好ましくは約0.05インチ(0.13cm)の深さを有する。
【0053】
例えば膨らんだヘッド部72の「小さめの」型である、図10〜図10Bに示されている第二の種類のヘッド部72によれば、ヘッド部72が比較的小さめの鼻孔を有する患者の鼻孔71内に容易に受容されるよう、ヘッド部72は、約0.345インチ(0.88cm)〜約0.375インチ(0.95cm)、好ましくは約0.355インチ(0.90cm)の最大外径を有し、約0.30インチ(0.76cm)〜約0.375インチ(0.95cm)、好ましくは約0.35インチ(0.9cm)の軸方向の長さを有している(図10B参照)。この実施例によれば、膨らんだヘッド部72は、ヘッド部72の周囲に均等に離間した6つの細長いチャネル、溝、スロット、谷あるいは縦溝74を有する。各谷部76は、約0.015インチ(0.04cm)〜約0.035インチ(0.09cm)、好ましくは約0.025インチ(0.06cm)の深さを有する。
【0054】
細長いチャネル、溝、スロット、谷あるいは縦溝74および漏出流路81の数、形状、深さ、幅、大きさ、漏出断面積等に関して、具体的な用途に応じて多数の変形例が当業者には自明であることは、本技術分野における当業者には理解されるはずである。このことを考慮し、本明細書中では、膨らんだヘッド部72、側面75、谷部76、細長い稜線78、および/または漏出流路81のそうした変形例および/または改良例に関する更に詳細な説明は行わないが、そうした多数の変形例は本発明の趣旨および範囲に含まれるとみなされる。
【0055】
鼻カニューレ12の頭部が患者の鼻73の各鼻孔71内に受容されるため(図9B、図9Cおよび図10B参照)、鼻カニューレ12の細長い谷部76は患者の鼻孔71の外辺開口部よりやや小さい直径を有し、その結果、円周方向に離間した複数の漏出流路81が形成される。漏出流路81のそれぞれは、共通の細長い谷部76で分かれて1組の隣接する細長い稜線78に向かう1組の隣り合う側面75と、鼻孔71の内側を向いた皮膚組織69と、によって形成および規定される。大型のヘッド部72(図9〜図9B参照)に関しては、共通の細長い谷部76で分かれる隣り合う側面75、および鼻孔71の内側を向いた皮膚組織69が一緒になって、約0.0045平方インチ(0.029cm2)〜0.0055平方インチ(0.035cm2)の開口断面積すなわち漏出流路81を規定し、好ましくは約0.005平方インチ(0.032cm2)の開口断面積すなわち漏出流路81を規定する。より小型のヘッド部72(図10〜図10B参照)に関しては、共通の細長い谷部76で分かれる隣り合う側面75、および鼻孔71の内側を向いた皮膚組織が一緒になって、約0.002平方インチ(0.013cm2)〜0.003平方インチ(0.019cm2)の開口断面積すなわち漏出流路81を規定し、好ましくは約0.0025平方インチ(0.016cm2)の開口断面積すなわち漏出流路81を規定する。
【0056】
ヘッド部72の大きさは、鼻腔に供給された過剰な吸入ガスが漏出流路81を通って絶えず排出され得るように、鼻カニューレ12の膨らんだヘッド部72の外表面と患者の鼻孔71の内側を向いた皮膚組織69との間に流体密封が形成されるのを漏出流路81が防いでいる一方で、患者の鼻孔71内に鼻カニューレ12を容易に保持できる程度の大きさになっている。漏出流路81はまた、例えば吸気時に患者により生じた負圧のピーク時のような、吸気時に、吸入療法システム40によりその時供給されている一定の吸入ガスの流量を超えて、患者による呼吸のため追加的な空気が必要である場合、大気が漏出流路81を通って絶えず流入できるようにする。このような構成により、吸入療法システム40は、呼気時に患者の気道内に十分な抵抗すなわち背圧を生じさせることができ、その結果、吸気および呼気の度に患者が必要とする労力を著しく増やすことなく、患者の気道は十分に開いた状態および/または膨張した状態を保つ。
【0057】
技術的に周知のとおり、正常人は通常、94%〜97%の血中酸素濃度を有する。世界中で多数の人を悩ませている主な呼吸障害の一つは、例えば患者の血液中の酸素濃度レベルが約88パーセント以下である状態の、睡眠時無呼吸として一般に知られている。
【0058】
本発明による吸入療法システム40は、軽度および中度の両方のOSAを容易に治療できるとともに、重度のOSAの治療においても功を奏する。吸入療法システム40の作動中、ガス供給流量は、治療時間全体に亘って一定に保たれる。つまり、吸入療法システム40は、従来技術による装置およびシステムにおいてよく生じたように、システムにおける何らかの漏出の変化によって、供給される吸入ガスの流量を変化させることはない。それにもかかわらず、供給される吸入ガスの供給流量は、呼気時に患者によって吐き出されつつある二酸化炭素を、希薄化および/または拡散させるのに十分である一方でなお、呼気時に気管支、気管、肺等が全て十分に膨らんだ状態を維持するように、患者の気道内における十分な抵抗すなわち背圧を維持する。それによって、続いて吸気が始まると、吸気時の患者にとって比較的軽度な呼吸の労力をなお維持しながら、例えば二酸化炭素のような排出ガスあるいは副産物ガスを患者からより完全に放出あるいは排出することを促進する。
【0059】
吸入療法システム40は、通常、毎分約26〜約60リットル、好ましくは毎分約50リットルの流量、および、約4〜20水柱センチメートルの圧力で吸入ガスを供給する。吸入ガスのこのようなフロー条件が、患者の気道内に十分な背圧を生成および維持するのにほぼ十分であるため、気道は患者の呼気時に十分に開いた状態を保ち、圧潰状態にならない。患者の気道が圧潰状態になると、それによって二酸化炭素および/またはその他の患者の副産物ガスの完全な吐出が妨げられ易いため、それらのガスが患者の気道内に閉じ込められることは理解されよう。本発明によれば、呼気時に患者の気道は基本的に圧潰状態にならないように、且つ/または、十分には閉塞されないようになっているので、患者の肺胞から鼻孔までの通常のガス排出気道は十分開いていて、呼気時に狭窄せず、且つ/または閉塞もしないため、患者の血流から肺胞に運搬された二酸化炭素および/またはその他の患者の副産物ガスは、この通常のガス排出気道に沿って流れることができ、呼気時に患者によって吐出される。
【0060】
例えば毎分約20〜120リットルという本発明の高い供給流量のため、吸入療法システム40は、主吸入ガス供給ライン16、補助吸入ガス供給ライン14、供給アーム26、および/またはヘッド部72に沿って吸入ガスが患者に供給される際に、騒音を発生させ易い。吸入療法システム40の作動中の騒音の発生を約50デシベル未満の騒音レベルまで最小化するように、吸入療法システム40を構成することが望ましく、システムの作動中の騒音の発生を約46デシベル程度の騒音レベル近くまで低減させることがより好ましい。このような騒音の低減を実現するために、主吸入ガス供給ライン16、補助吸入ガス供給ライン14、供給アーム26、およびヘッド部72が全て、吸入ガス流路に沿って漸進的に屈曲部、移行部、拡大部、および縮小部を有していることが重要である。すなわち、吸入ガス供給ライン、導管、チューブ、ダクト、チャネル、構成要素等の全てが、鋭い、鋭角的な、あるいは直角の屈曲、方向転換、あるいは湾曲を避け、更に、ガス供給ライン、導管、チューブ、ダクト、チャネル、構成要素等の急激な拡大および縮小を避けなければならない。
【0061】
本発明による鼻カニューレ12は、通常、患者が眠っている夜間に使用されるため、騒音の低減は特に重要である。騒音を更に低減させるため、供給アーム26から管状延長部30までの移行部は、寸法が徐々に大きくなっていてもよく、それによって管状延長部30内に入る吸入ガスの膨張がより漸進的になるため、患者に供給される吸入ガスに伴う騒音は更に低減され易くなるであろう。
【0062】
吸入療法システム40を使用している患者への、快適性の提供を更に促進するため、吸入療法システム40の他の部分に対して鼻カニューレアセンブリ10が回転し易くなるように、360度回転可能なスイベル80(図11参照)が、例えば主吸入ガス供給ライン16に沿って設けられていてもよい。スイベル80の好適な位置は、主吸入ガス供給ライン16とコネクタ18との接続部に密接している位置で、コネクタ18は次に1組の補助吸入ガス供給ライン14に連結されている。スイベル80の固定式ハウジング84の第一端部82は、主吸入ガス供給ライン16の遠位端部にある開口部を包み込むか、あるいは開口部内で受容される。固定式ハウジング84の第一端部82は、不用意に外れたり抜けたりしないよう、接着、溶接、あるいはその他の方法で主吸入ガス供給ライン16にしっかりと固定あるいは取り付けがされていることが好ましい。
【0063】
回転可能なスイベル80は、固定式ハウジング84の第二端部86に受容されるとともに包み込む第一端部85を有する、回転可能なハウジング90を更に含む。回転可能なハウジング90の第二端部89は、コネクタ18の開口部を包み込むか、あるいは開口部内に直接受容される。あるいは、主吸入ガス供給ライン16の短い追加部分(図示なし)がスイベル80をコネクタ18と相互接続させてもよい。回転可能なハウジング90の第一端部と第二端部の間の中間部は、約10度〜約45度、好ましくは約20度程度の小さな屈曲88を有する。
【0064】
回転可能なハウジング90の第一端部85および固定式ハウジング84の第二端部86は、例えば嵌合軸受面あるいは他の従来の仕組みによって、回転可能なハウジング90を第二端部86との取り外し不能な嵌合状態に保つ一方で、それら二つの部品相互間で相対的回転がなお可能である、共働部品あるいは嵌合部品をそれぞれ有している。回転可能なハウジング90の第一端部85は一体的なショルダ部92を備え、固定式ハウジング84の第二端部86は、共働的なショルダ部96を有する一体的なシュラウド94を備えている。2つのショルダ部92、96の間には、治療用の吸入ガスがそこから漏れ出すのを防ぐよう密封するために、液密性のガスケットあるいはシール98が挟まれている。シュラウド94は、そのガスケットあるいはシール98を封入して、外部環境によるガスケットあるいはシール98の損傷を最小化する。回転可能なハウジング90と固定式ハウジング84との間の相対的回転を可能にしつつも、回転可能なハウジング90を固定式ハウジング84上に係留保持するために、スナップ式ロッキングリング99は、シュラウド94の外表面に設けられた環状の凹部と係合する突起を有する。
【0065】
1組の補助吸入ガス供給ライン14は、コネクタ18の反対側の端部に接続され、スイベル80は、鼻カニューレ、1組の補助吸入ガス供給ライン14、コネクタ18、および回転可能なハウジング90が、固定式ハウジング84、主吸入ガス供給ライン16、および吸入療法システム40の他の部分に対して回転することを可能にする。本技術分野における当業者にとって容易に明らかになるように、本発明から乖離することなくスイベル80に様々な改良および変更を加え得ることは、理解されるだろう。このような改良および変更は、本発明の趣旨および範囲に含まれるものと考えられる。
【0066】
次に図12を参照して、患者の吸気時および呼気時の鼻腔圧を測定するのに好都合で、特に睡眠実験室において使用するのに適した診断器具113を説明する。診断器具113は、通常、例えば図9〜図10Bを参照して論じた「大型」あるいは「小型」のいずれかの鼻カニューレ12を備えるが、それに改良が加えられている。2つの供給アーム26の2つの頭部のうちのそれぞれ1つに位置するヘッド部72は、圧力検知用の中空のチューブあるいはプローブ114を支持している。圧力検知用の中空のチューブあるいはプローブ114は、例えば接着あるいはその他の締結方法でヘッド部72に取り外し不能に固定されているか、または吸入ガス放出口32に対する、圧力検知用の中空のチューブあるいはプローブ114の露出長さの調整を容易にするために、ヘッド部72に調整可能に固定されているか、そのいずれかである。圧力検知用の中空のチューブあるいはプローブ114は、ヘッド部72の後端壁部を介して入り、稜線78のうちの1つの下面に沿って、且つ、稜線78で収束する2つの隣接する側面75に沿って、ヘッド部72の内部空間の中を通り抜けることが好ましい(図12A参照)。圧力検知用の中空のチューブあるいはプローブ114は、ヘッド部72の前端壁部を介して外に出て、供給アーム26の頭部の長手方向の軸に対して平行に延び、吸入ガス放出口32から離れて、使用時には鼻カニューレの他の部分より患者の鼻腔内深くに延びていることが好ましい。吸入ガス放出口32に対する、圧力検知用の中空のチューブあるいはプローブ114の露出長さは、圧力検知用の中空のチューブあるいはプローブ114がヘッド部72に取り外し不能に固定されているか、あるいはヘッド部72に対して調整可能であるかに関わらず、通常、0.280インチ(0.71cm)〜0.670インチ(1.70cm)である。吸入ガス放出口32に対する、圧力検知用の中空のチューブあるいはプローブ114の露出長さは、約0.52インチ(1.32cm)であることがより好ましい。圧力検知用プローブ114がこのように間隔保持および位置決めされているため、圧力検知用プローブ114のそれぞれは、鼻腔圧測定値をより確実に検出するように、鼻腔内における所望の位置に適切に置かれる。吸入ガス放出口32に対する圧力検知用プローブ114の位置が調整可能である場合、これによって更に、鼻腔内における圧力測定値をより確実に検出し易くなる結果となる。
【0067】
圧力検知用プローブ114のそれぞれの反対側の端部は、圧力測定値を供給するために、1つの共通の圧力検知装置115(図12参照)に双方とも連結されている。圧力検知装置115としては、ユタ州ソルトレークシティのKorr Medical Technologies,Inc.により、RSS100の商標/商品名で製造されているトランスデューサや、ニューヨーク州オグデンスバーグのBraebon Medical Corporationにより製造されている、携帯型トランスデューサが例として挙げられる。あるいは、患者の鼻腔のそれぞれの圧力を測定するために、圧力検知用プローブ114のそれぞれの反対側の端部が別々の圧力検知装置115(図12B参照)にそれぞれ連結されていてもよい。鼻カニューレアセンブリ10のヘッド部72内における内部空間を通る吸入ガスの流れが乱れるのを最小限にするため、圧力検知用プローブ114の導管あるいはチューブは、外径が0.068インチ(0.173cm)〜0.070インチ(0.178cm)程度であることが好ましい。圧力検知用プローブ114は、ヘッド部72を貫通しているため、通常、膨らんだヘッド部72の外表面と患者の鼻孔71の内側を向いた皮膚組織69との間に通常形成される漏出インターフェースを乱したり変化させたりしない。
【0068】
診断器具113は、吸気時および呼気時に患者の気道が十分に開いた状態を維持するように、患者の気道内における所望の背圧をバランス調整および決定するために使用すべく、特別に構成されている。共通の細長い谷部76で分かれている隣接する側面75の各組と、鼻孔71の内側を向いた皮膚組織69と、により形成される漏出流路81は、通常、患者によって異なり、例えばある患者の漏出流路81は他の患者の漏出流路81より大きかったり小さかったりすることが理解されるだろう。更に、それぞれの患者の気道、気管支、気管、肺、肺容量等もまた大きく異なっている。
【0069】
患者に対するバランス調整時には、患者は通常眠ることを許されており、吸入ガスが第一の流量で患者に供給される間、診断器具113によって監視が行われる。そして、この第一の吸入ガス流量で、圧力検知用プローブ114により患者の鼻腔内の圧力が測定される。測定された圧力および検出された患者の呼吸の特徴に応じて、専門家が吸入ガス源23からの流量を調整して、患者に供給される吸入ガス流量を、例えば増加または減少のどちらかであるが、変化させる。吸入ガス流量の段階的増加あるいは減少のために、専門家は、特に睡眠中に患者が十分に呼吸できるような、患者の気道内における所望の背圧を実現する最適な吸入ガス流量を決定するまで、患者の鼻腔内に生じる圧力および患者の呼吸の特徴を継続して監視する。
【0070】
診断器具113の使用の後に、患者が十分に呼吸するために必要な、例えば睡眠時無呼吸を治療するために必要である、患者の気道内における圧力に関する妥当な指示が患者に与えられる。患者が一度診断器具113によって判断されると、その患者は、使用するために同様なサイズのカニューレを供給してもらうことができる。そして、患者はこうした同様なサイズのカニューレのうちの1つを自分の吸入療法システム40に設置し、吸入ガス流量を事前に決定された流量に調整することができる。患者はその結果、自分の気道および肺の中に十分な背圧を生じさせ、それによって、肺に収容されて血流から取り出された二酸化炭素および/または他の副産物ガスは、より完全に吐出あるいは排出され易くなる。診断器具113がCPAPの用途にのみ限定されることはなく、呼吸および/または診断の様々な用途に用いられ得ることは理解されるだろう。
【0071】
必要であれば、吸入療法システム40を使用している患者に現在時刻を表示するための時計100(図13および図13Aに概略的にのみ示されている)が、吸入療法システム40に備えられてもよい。必要であれば、その時計は、所望の治療時間の後に吸入ガスの供給すなわち治療を終了させるために、所望の起床時間に患者を目覚めさせるアラームを備えていてもよい。更に、吸入ガスを患者に供給する前に吸入ガスに加湿することを容易にする、吸入療法システム40の水収容タンクあるいは貯水容器102は、貯水容器102内の水位が低くて補充が必要であることを患者に音声的および/または視覚的に示すインジケータ(図示なし)に連結された、低水位センサ104を備えていてもよい。貯水容器102は更に、貯水容器内の水位が吸入療法システム40の効率的な作動に必要な水の量を超えており、吸入療法システム40のより効率的な作動のために患者が水を一部取り除かなければならないことを患者に音声的および/または視覚的に示すインジケータ(図示なし)に連結された、高水位センサ108を備えていてもよい。最後に、収容されている水の加熱を容易にするために、貯水容器102が従来からある温水器(図示なし)を備えていてもよい。しかし、貯水容器102内の水を加熱することに伴う1つの問題は、貯水容器102の内側の表面に付着し易い炭酸カルシウムが生成されることである。このことはまた、炭酸カルシウムの温水器への付着、ひいては温水器が定期的な手入れを要することにもつながり得る。上記の特徴はいずれも従来からあるもので、技術的に周知であるため、これに関する更に詳細な説明は行わない。
【0072】
加熱および加湿された吸入ガスを周囲環境から更に遮断するため、プラスチックチューブあるいはコルゲートチューブまたは従来からある断熱ラップあるいは断熱材料112(例えば10mmのコルゲートチューブ112)によって、主吸入ガス供給ライン16および/または補助吸入ガス供給ライン14が被覆されるか包み込まれていてもよい。図14および図14Aは、断熱ラップあるいは断熱材料112によって包囲されるか包み込まれている主吸入ガス供給ライン16を概略的に示している。主吸入ガス供給ライン16および/または補助吸入ガス供給ライン14に固定された、あるいは内部に埋め込まれた補強材が、場合により備えられてもよい。主吸入ガス供給ライン16の外表面と断熱ラップあるいは断熱材料112の内向きの表面との間には、断熱エアポケット111が形成される。断熱ラップあるいは断熱材料112は、吸入ガスを吸入療法システム40の周囲環境から遮断し、吸入ガスの温度を実質的に最初に加熱されて供給された温度に維持する効果を有し、更に、吸入ガスに加えられた湿気が、主吸入ガス供給ライン16、コネクタ18、スイベル80、1組の補助吸入ガス供給ライン14および/または鼻カニューレの内表面に沿って凝結する可能性を最小化する。
【0073】
図15に示されているように、スリップループあるいはライン締付け部材20は、補助吸入ガス供給ライン14の両方を包み込み、供給アーム26のヘッド部72を患者の鼻孔71内の適切な位置に維持するため、補助吸入ガス供給ライン14に十分な張力を与えるのを助けている。ライン締付け部材20は、押し広げ加工をした、すなわち広がった開口部120、122をその両側の端部に有している一方で、両方の補助吸入ガス供給ライン14の外表面と摩擦嵌合するため、小さめの寸法の中間部124を有するのが好ましい。中間部124は、どのような調整位置においても補助吸入ガス供給ライン14に沿って保持されるように、補助吸入ガス供給ライン14の外表面と十分な干渉嵌合を有するような大きさになっている。ライン締付け部材20の中間部124と補助吸入ガス供給ライン14の外表面との摩擦干渉結合は、ライン締付け部材20を調整された位置に維持する一方、押し広げ加工をした開口部120、122によって、補助吸入ガス供給ライン14はライン締付け部材20から離れて延び、補助吸入ガス供給ライン14のどちらにも鋭角的な屈曲、ねじれあるいはその他の閉塞または狭窄が生じることなく、ライン締付け部材20に対して自由に動くことが可能になる。
【0074】
本発明の1つの重要な特徴は、患者の鼻孔71の内側を向いた皮膚69と各供給アームのヘッド部72の外表面との間に流出する漏出量を制御しながらも、患者に様々な流量の吸入ガスを供給することに関する。この構成によって、呼吸プロセス全体において患者の気道が十分に膨らむこととなり、気道は狭窄したり圧潰したり、あるいは別の方法で患者の相対的に自由な吸気あるいは呼気を妨げたりしない。
【0075】
通常、互いに接続した場合の補助吸入ガス供給ライン14と主吸入ガス供給ライン16を合わせた全長は、3フィート〜50フィート程度であり、より好ましくは全長約7フィートである。
【0076】
呼気しようとする際に、供給された吸入ガスは必要な抵抗を患者に与えるので、気道および肺は十分に膨らみ、圧潰したり狭窄したり、あるいは他の方法で閉塞したり、患者の呼気の際の相対的に自由な呼吸を妨げるようなことはない。
【0077】
吸入ガスが相対的に高流量であるため、吸入ガスは患者の鼻腔および気道をすっかり乾燥させてしまう傾向がある。上記の通り、これに対処するため、主吸入ガス供給ライン16、補助吸入ガス供給ライン14、スイベル80、および/またはコネクタ18に沿って、加えられた湿気が凝結することは回避しながらも、吸入ガスは飽和状態に近いレベルまで十分に加湿される。
【0078】
本発明の好適な態様において、吸入ガスが2つの流通路に分れて鼻カニューレアセンブリ10に運ばれる直前の吸入ガスの温度を測定するため、主吸入ガス供給ライン16が補助吸入ガス供給ライン14と接続している部分に隣接して、すなわちコネクタ18に、あるいはコネクタ18に隣接して、温度サーミスタ(図示なし)が置かれていてもよい。これにより、患者に供給される吸入ガスの温度をより正確に制御することが容易になる。
【0079】
患者に供給される吸入ガスの温度および/または湿度の制御を更に容易にするため、システム40は、記憶されている様々な温度に対する相対湿度を有する、従来からある参照テーブルを備えていてもよい。つまり、吸入ガスが、その温度に応じて異なる相対湿度を有するであろうことは理解されるだろう。吸入療法システム40は、この記憶された温度および/または湿度の情報を利用して、システム作動中に供給される吸入ガスの湿度および温度の制御を更に最適化することができる。このような参照テーブルおよびその利用は、従来からあって技術的に周知であるため、これに関するさらに詳細な説明は行わない。
【0080】
吸入ガスへの加湿を容易にするため、吸入ガスは通過型加湿器116(図13B参照)を通過させられるが、その際に、吸入ガスは複数のバッフル121および通過型加湿器116を囲っている外壁の内向きの面の回りを巡っている、入口118から出口119までの蛇行するあるいは迷路状の流路117を通過する。通過型加湿器116を通過する際に、吸入ガスは所望の湿度まで十分に加湿される。しかし、水道水を使用することに伴う1つの問題は、バッフル121の表面上および/または貯水容器の内側の表面上、ならびにそれらの表面に沿った所に付着し易い、炭酸カルシウムおよび/または他の化合物が生成されてしまうことであり、その結果として、炭酸カルシウムおよび/または他の化合物が付着する恐れがあることである。必要であれば、上記のように、貯水容器が手入れを要することを患者に知らせるために、貯水容器が高水位アラームおよび低水位アラームの両方を備えていてもよい。
【0081】
コンプレッサは、貯水容器に吸入ガスを供給するが、吸入ガスはそこで十分な量の湿気を受け取り、次に、加熱線を中に含む吸入供給ラインに沿って流れる。加熱線は供給ラインの長さに沿って延び、加湿された吸入ガスが患者まで運ばれて吸入される前に凝結することを低減するために、例えば27℃〜32℃の所望の温度まで加熱される。加熱線の温度は、吸入ガスが所望の温度まで加熱されるように加熱線の温度を制御する、コントローラ56によって制御される。過度に熱が発生したことによって加熱線が高温になりすぎた場合、コントローラは必要に応じて、加熱線への電源を完全に切るか、あるいは電力を止め、続いて患者あるいは他のスタッフに、加熱線が手入れを要することを知らせるためにアラームを鳴らすことができる。加熱線を通過した後の吸入ガスは、通常、70〜95パーセントの相対湿度を有するが、吸入ガスが85パーセントまでの相対湿度を有することが好ましい。
【0082】
吸入ガスの加熱に関しては、加熱線装置が好適である。なぜならば、加熱線装置は加熱および冷却が比較的速やかなため、患者に供給される吸入ガスの温度のより正確な制御がし易いからである。
【0083】
必要であれば、吸入療法システムは、吸入療法システム作動中に吸入ガスの使用量節約を促進する、吸入ガス計測装置(図示なし)を更に備えていてもよい。つまり、吸入ガス計測装置は、吸入ガスの使用量を節約するため、患者への吸入ガスの一定した流れを、例えば患者が吸気も呼気もしていない呼吸の合間に短時間遮断する。患者への吸入ガスの一定した流れを短時間遮断するこのような吸入ガス計測装置は、従来からあって技術的に周知であるため、これに関する更に詳細な説明は行わない。
【0084】
次に、本発明の吸入療法システム40および鼻カニューレアセンブリ10の、更に別の実施例およびその実装例を考慮して、図16Aおよび図16Bは、カニューレアセンブリ126の実施例を図示するものである。カニューレアセンブリ126は、患者の顔の輪郭に更にフィットするように改善され、患者の頭部、顔、および鼻道に対してカニューレアセンブリ126を所望の位置に支持するための、改善された機構を提供する。
【0085】
図16Aおよび図16Bに示されるように、カニューレアセンブリ126は、図1、図2、図9、図9A、図9B、図9C、図10、図10A、および図10Bに関して上述された、カニューレアセンブリ10に全体として類似している。示されているとおり、鼻カニューレアセンブリ126は、鼻カニューレ128と、カニューレ128の鼻カニューレアーム132に接続された1組の吸入ガス供給ライン130と、主吸入ガス供給ライン134と、吸入ガス供給ライン130のそれぞれを主吸入ガス供給ライン134に連結するためのコネクタ136と、主吸入ガス供給ライン134の第二の端部を、加圧吸入ガス源または吸入ガス源140に接続するのを容易にするための端部コネクタ138と、を備える。鼻カニューレアーム132と補助吸入ガス供給ライン源140との間の接続は、何らかの適切な方法または手段によって実現され得るものであり、着脱可能であっても、固定的であってもよい。実施例によれば、例えば鼻カニューレアーム132は吸入ガス供給ライン130の端部内に密接に受容され、接合されるが、その接続は、摩擦嵌合、溶剤結合、接着接合、超音波溶接等によって維持され得る。
【0086】
上述のように、また、以下で更に論じるように、鼻カニューレ128は一般に、例えばディップ成形加工等の適切な成形加工によって製造され得る単一部材である。カニューレ形成のためのディップ成形加工の例としては、米国特許出願第09/754,471号および第09/883,843号(両者ともに発明の名称は「鼻口腔カニューレ呼吸検知装置の製造方法」)に開示されているものが挙げられ、それらの開示は、参照することによってその全内容を本明細書に包含されるものとする。鼻カニューレ128の組成物は、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、軟質ラテックス、または柔軟性すなわち可撓性の高いその他の材料等、熱可塑性組成物であることが好ましい。
【0087】
図16Aおよび図17に示されるように、例えば、鼻カニューレ128は、幅の狭い、すなわち長さの短い中央ブリッジ部材142を備える。中央ブリッジ部材142は、その対向する平行な側面が鼻カニューレアーム132に一体的に接続された状態で、すなわち、その対向する平行な側面が鼻カニューレアーム132の一体部分として形成された状態で、鼻カニューレアーム132を互いから離間させる。ブリッジ部材142は、離間された鼻カニューレアーム132の間に、相互連結するガス流路を提供する内部ブリッジ流路144を規定する。ブリッジ流路144の目的は一般的に、鼻カニューレアーム132から二つの鼻道146に流れるガスの流量を均等化する働きをすることであり、また、何らかの理由で鼻道146のどちらか一方が、部分的または完全に、遮断または制限された際には、鼻カニューレアーム132から患者の鼻道までの代替の流路を供給することである。
【0088】
図17に示されるように、且つ、先に図9、図9A、図9B、および図9Cに示されたように、鼻カニューレアーム132の形状および構成を更に考慮すれば、各鼻カニューレアーム132の各管状延長部30のプロング端部は、吸入ガス放出口32を含む膨らんだヘッド部72をその端部表面に備えている。ヘッド部72は、ヘッド部72の挿入および取出しを容易にするとともに患者の各鼻孔内でのヘッド部72の保持を容易にする、幾分楕円形である横断面形状(図10〜図10B参照)を有することが好ましい。ヘッド部72が各鼻孔内に受容される際に、楕円形状のヘッド部の最大直径は僅かに押し縮められてもよく、ヘッド部72がそのように僅かに圧縮されることにより、患者に不快感を知覚させることもなく、患者の鼻孔内でのヘッド部72の保持状態が改善されることになる。あるいは、ヘッド部72の直径はほぼ円筒の形状であってもよい。
【0089】
先に述べたように、ヘッド部72の外表面には、少なくとも1つ、好ましくは複数の均等に離間した細長いチャネル、溝、スロット、谷あるいは縦溝74が形成され、ヘッド部72の外表面に沿ってそれらは延びている。これらの細長いチャネル、溝、スロット、谷あるいは縦溝74のそれぞれは、管状延長部30の長手方向の軸にほぼ平行に延びているが、管状延長部30からは離間しており、過剰に供給された吸入ガスを鼻腔から容易に排出できるようになっている。また、細長いチャネル、溝、スロット、谷あるいは縦溝74のそれぞれは、共通の細長い谷部76で分かれて、1組の隣接する細長い稜線78に向かう1組の隣り合う側面75によって、通常規定される。図9、図9A、図9B、および図9C、ならびに図10、図10A、および図10Bを参照して先に述べられたように、また、大型および小型の本発明の典型的な実施例に関して述べられたように、ヘッド部72の寸法は、特定の用途および/または特定の患者の要件によって、変動し得る。細長いチャネル、溝、スロット、谷あるいは縦溝74および漏出流路81の数、形状、深さ、幅、大きさ、全体的な形状および構成、漏出断面積等に関して、具体的な用途に応じて多数の変形例が当業者には自明であることもまた、本技術分野における当業者には理解されるだろう。このことを考慮し、本明細書中では、膨らんだヘッド部72、側面75、谷部76、細長い稜線78、および/または漏出流路81のそうした変形例および/または改良例に関する更に詳細な説明は行わないが、そうした多数の変形例は全て、本発明の趣旨および範囲に含まれるとみなされる。
【0090】
本明細書において先に論じられたように、ヘッド部72は、鼻カニューレ128の膨らんだヘッド部72の外表面と患者の鼻孔71の内側を向いた皮膚組織69との間に流体密封が形成されるのを漏出流路81が防ぐ一方で、患者の鼻孔71内に鼻カニューレ128を容易にしっかり保持できる程度の大きさになっている。このような理由で、また、概して本発明によれば、鼻カニューレ128の頭部が患者の鼻73の各鼻孔71内に受容されると、鼻カニューレ128の細長い谷部76は患者の鼻孔71の外辺開口部よりやや小さい直径を有し、その結果、円周方向に離間した複数の漏出流路81が形成される。それにより、この機能的構造は、鼻腔に供給された過剰な吸入ガスが漏出流路81を通って患者の鼻孔71から絶えず排出されることを可能にする。このような構成によって、吸入療法システム40は、吸気時においても呼気時においても患者の気道内に十分な抵抗すなわち背圧を生じさせることができ、その結果、吸気および呼気の度に患者が必要とする労力を著しく増やすことなく、患者の気道は十分に開いた状態および/または膨張した状態を保つ。
【0091】
次に、本実施例の吸入ガス供給ライン130の構造および構成を考慮すれば、上述のように、鼻カニューレアーム132は、吸入ガス供給ライン130を介して吸入ガス源140に接続される。先に記述した実施例において、吸入ガス供給ライン130は、各鼻カニューレアーム32から、対応する頬を横切って上方そして外側へと通過し、患者の耳の上から耳の周囲を通り、患者の顎の下の地点に戻る。そこにおいて、吸入ガス供給ライン130は、吸入ガス源140に連結された共通の供給ライン134に接続される。しかしながら、この構成は、ガス供給ライン130の重量および剛比、ならびにカニューレアセンブリ126およびガス供給ライン130を支持することに起因する耳への圧力により、患者に不快感または刺激を引き起こす場合があり得る。さらに、ガス供給ライン130を耳の周りに掛けることによって、ガス供給ライン130、コネクタ136、およびカニューレアセンブリ126を適所に固定する方法では、必要な安定性が得られない場合がある。患者が自分の頭や体を動かしたり、あるいは医療スタッフによって患者の頭や体が動かされたりする際には、特に不安定である。
【0092】
しかし、図18A〜図18Eに図示される本発明の実施例は、より軽量で、より柔軟なカニューレアセンブリ126およびガス供給ライン130を提供すること、ならびに、カニューレアセンブリ126およびガス供給ライン130をよりしっかり位置決めすることによって、上記の問題を実質的に軽減または解消する。図18A〜図18Eに図示されるように、本実施例では、先に説明した実施例よりも、各鼻カニューレアーム132の略水平部分が好適に幾分短くなっており、その結果、ガス供給ライン130と、対応する鼻カニューレアーム132と、の間の接続部148が、先に説明した鼻カニューレアセンブリ126の実施例におけるよりも、患者の顔の正中線および鼻に比較的近く位置することになる。図示した例では概して、各接続部148は、対応する鼻と口との間であって、口の外縁またはそのすぐ外側の領域に、位置している。一般的にガス供給ライン130より高い機械的剛性を有する、鼻カニューレアーム132がこのように短くされると、ガス供給ライン130が、患者の鼻の正中線により近いところから始まる湾曲部を有することを可能にし、それにより、ガス供給ライン130の経路を定める際により柔軟性を持たせることができる。
【0093】
図18Bに図示されるように、また、比較のために例えば図1および図2を参照すると、各ガス供給ライン130は、接続部148から外側上方に向かって湾曲する第一の部分130Aを有し、頬骨の下の経路に沿って頬の表面をたどり、通常目の外側角部の下の領域にある第一の地点130Bまで達する。第一の地点からは、各ガス供給ライン130は、頬の表面に沿って内側下方に向かって湾曲し、下顎の輪郭に沿って第二の地点130Dへ到達する、目の外側角部と耳との間に位置する第二の部分130Cを有する。第二の地点130Dからは、ガス供給ライン130は、下顎の輪郭下方に内側に湾曲し、のどの脇に沿って、顎の下であり顔の正中線に近いところに位置する第三の地点130Fまで進む、第三の部分130Eを有する。反対側のガス供給ライン130は、上述したものの鏡像であり、その第三の地点130Fもまた、顎の下であり顔の正中線に近いところに位置する。続いて上記2本のガス供給ライン130は、お互いの方向へ共に湾曲して下方に向かい、2本のガス供給ライン130を共通のガス供給ライン134に接続するコネクタ136に至る、第四の部分130Gをそれぞれ有する。
【0094】
したがって、本実施例によれば、患者の顔の各側面であり、鼻カニューレアーム132の間で合流する2つの平面の縁端部の輪郭を、ガス供給ライン130が規定していることが見て取れる。その平面の縁端部を規定する輪郭線は、患者の顔の輪郭をより忠実にたどり、患者の顔の輪郭に沿っている。ガス供給ラインによって規定される構成は、そのように、ぴったりフィットするマスクの外縁にやや似て、患者の顔の輪郭に一致しており、その結果、患者の顔面にその構成自体をより効果的に支持して、カニューレアセンブリ126の重量の一部を患者の顔の輪郭の至るところにより均等に分散させる。したがって、この構成は、患者の顔によってより確実に支持および固定もされると同時に、患者が装着するのにより快適なものでもある。
【0095】
これに関連して更に注目されるべきは、ブリッジ部材142の肉厚を同様に減少してカニューレアセンブリ126の重量を更に削減し、ガス供給ライン130によって規定される2つの平面の間の合流領域に、より大きな柔軟性をもたらすことである。それにより、カニューレアセンブリにおいて、患者の顔の輪郭に対してより密接で、より快適且つ支持的で、より確実なフィット性が実現される。
【0096】
図18Aおよび図18Bに示されるように、ガス供給ライン130が患者の耳の周りに掛かって、ガス供給ライン130およびカニューレアセンブリ126を患者の顔に保持するループが形成されている構成にはなっていない。代替として、カニューレアセンブリ126の本実施例は、左右両方の取付ストラップすなわちループ150を備える。各取付ストラップすなわちループ150は、取付ストラップすなわちループ150Aと、固定端締結具150Bと、調節可能な締結具150Cと、を備える。図示されるように、各取付ストラップすなわちループ150Aの一端は、実施例においてはガス供給ライン130の接続部148に隣接するガス供給ライン130の端部に取り付けられた、固定端締結具150Bによって、対応するガス供給ライン130に取り付けられている。調節可能なループ150Aそれぞれの反対端は、取付ストラップすなわちループ150Aの長さを固定端締結具150Bと調節可能な締結具150Cとの間で調節可能にする、対応する調節可能な締結具150Cと調節可能に係合している。図示されているように、調節可能なループ150Aそれぞれの調節可能な締結具150Cは、他方のガス供給ライン130の第三の部分130Eに沿った地点、すなわち、下顎の輪郭下方に内側に湾曲し、のどの脇に沿って、顎の下の地点まで進む、ガス供給ライン130の部分に沿った地点で、他方のガス供給ライン130に固定されている。
【0097】
したがって、本実施例の左右の取付ストラップすなわちループ150は、患者の頭部の後ろで交差するようにX字形に構成されており、それにより各取付ストラップすなわちループ150は、カニューレアセンブリ126の反対側に係留されていることが見て取れるだろう。その結果、カニューレアセンブリ126、ガス供給ライン130、および本システムのその他の構成要素の間の取り付けは、ガス供給ライン130を患者の耳の周りにただ掛けることによって実現され得るよりも、強固なものとなる。このような固定のための構成は一般的に、患者の耳を急に強く引いたり引っ張ったりせず、カニューレアセンブリ126およびガス供給ライン130を患者の頭部に保持する際の圧力をより均等に分配し、その結果、より大きな快適性が患者にもたらされることも、理解されるだろう。更に理解されるべきは、取付ストラップすなわちループ150が交差していること、および各取付ストラップすなわちループ150の長さが別々に調節可能であるという事実によって、取付ストラップすなわちループ150は非対称の長さであり得ることである。長さが非対称であることは、他の機器や例えば包帯等に対応するのに必要となるかもしれない。
【0098】
取付ストラップすなわちループ150の一実施例によれば、調節可能なループ150Aは、略円形または楕円形の断面を有し、中空あるいは中実のどちらでもよく、また、弾性あるいは非弾性のどちらでもよい。固定端締結具150Bはほぼ中空で、円筒形であるか、または楕円形の断面を有し、ガス供給ライン130に、すなわち、例えば接続部148に取り付けられてもよく、あるいは、これらの構成要素の一体的部品として形成または成形されてもよい。調節可能な締結具150Cは、同様に略円形または楕円形の横断面を有し、調節可能なループ150Aが、調節可能な締結具150Cに所望の調節可能な長さまで挿入および貫通できるように、その全長を通して中空である。調節可能なストラップすなわちループ150Aの長さが容易に調整可能でありながらも、調節可能なストラップすなわちループ150Aが確実に保持されるような摩擦嵌合がもたらされるように、調節可能な締結具150Cの開口部の内径と、調節可能なループ150Aの外径と、が選択されることで長さ調節は行われる。また、調節可能な締結具150Cは、ガス供給ライン130に取り付けられるか、あるいはガス供給ライン130の一体的部品として形成または成形されてもよく、ガス供給ライン130に沿った固定端締結具150Bおよび調節可能な締結具150Cの位置は、図示された位置と逆であってもよい。
【0099】
最後に、調節可能なストラップすなわちループ150A、固定端締結具150B、および調節可能な締結具150Cは、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、軟質ラテックス、または柔軟性すなわち可撓性の高いその他の材料等、熱可塑性組成物を含んでいてもよい。さらに、取付ストラップすなわちループ150のアセンブリは、略X字形のクロスコネクタ150Dを更に備えていてもよい。クロスコネクタ150Dは、2つの調節可能なループ150Aがクロスコネクタ150Dを貫通して、互いに干渉しあうことなく別々に調節できるように、例えば交差する中間点で互いに取り付けられた2つの中空の管を備えていてもよい。一般的に示されるように、クロスコネクタ150Dは、2つの調節可能なストラップすなわちループ150Aが患者の頭部の後ろで交差する領域に配置され、2つの調節可能なループ150Aを互いに対して固定的な形状で保持する機能を果たす。それにより、この構成によって実現される快適性および安定性は、更に改善される。
【0100】
次に、ガス供給ライン130の詳細な構成を考慮すれば、供給ライン130の構造的および機能的特徴は、本発明の恩恵をもたらす上で重要な要因であることは、上記の説明から明らかである。論じてきたように、これらの恩恵の例としては、鼻カニューレ128および関連する供給ラインを患者に装着する際に安定性が増すこと、患者の快適性が増大すること、患者へのガス流が増大することおよび容易になること、ならびに患者の顔の大きさおよび形状に更に幅広く適応できるようになること、等が挙げられる。例えば、カニューレアセンブリ126は、子供の患者および大人の患者の両者の他に、若年成人の患者、丸い顔立ちの患者、ほっそりした顔立ちの患者、その中間の顔立ちの患者等にも容易に対応可能である。
【0101】
本発明による改善されたガス供給ライン130の一実施例が、図18A〜図18Eに図示されている。特に図18C、図18D、および図18Eに示されるように、供給ライン130は、従来のガス供給ラインに用いられていたものとほぼ同様の外径を有する管類を含むが、内部流路の直径は先行技術の意匠に比して概して増大しており、その結果、ガス供給ライン130からの流れ抵抗は減少し、通過する吸入ガスの流量は増大する。本発明によるガス供給ライン130は、約0.65インチ〜0.20インチの外径を有し、0.15インチ〜0.050インチの内径を有する。ガス供給ライン130は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、軟質ラテックス、または、柔軟性すなわち可撓性が高く、意図される目的に適合する化学組成を有するその他の材料から、一般的に製造される。
【0102】
従来のガス供給ラインより軽量になると共に、ガス供給ライン130の内部ガス流容量を増大させることに加えて、ガス供給ライン130の肉厚を削減することによって、ガス供給ライン130は更なる可撓性および展性を有することになり、結果としてガス供給ライン130は、より容易にそしてより忠実に患者の顔の輪郭をたどり、患者の顔の輪郭に一致することが可能になり、カニューレアセンブリ126は、より好適で、より確実で、そしてより快適なフィット性を患者にもたらす結果となる。しかし、ガス供給ライン130の肉厚が削減されること自体が、ガス供給ライン130がより容易にねじれたり、平らになったり、押し縮められたり、あるいは別様に変形される傾向を増大させ得ることが認識される。それらの変形は、患者の顔の輪郭を忠実にたどるためにラインが操作されたり曲げられたりしたとき、あるいは、例えば患者が自分の頭の向きを変えた結果、例えば枕やマットレスに対してガス供給ライン130が片頬によって挟まれたり押し縮められたりしたときなど、外力または圧力がラインに加えられたときに、起こり得る。
【0103】
このような変形の発生を低減または最小限にするために、図18Dおよび図18Eにより明らかに図示されるように、ガス供給ライン130は、連続的な細長いばね状の螺旋状補強材すなわちばね130Rを備える。ばね130Rは、実質的に供給ラインの全長に沿って、供給ライン130の側壁内で螺旋状になっている。螺旋状補強材すなわちばね130Rは、例えば鋼鉄、銅、真鍮、ステンレス鋼、鉄等の様々な材料から製造されてよい。関連技術における当業者によって理解されるように、螺旋状補強材すなわちばね130Rの形状は、ガス供給ライン130に沿った屈曲位置におけるねじれ等、ガス供給ライン130の横方向の、すなわち断面の変形に対する耐性と支持を増大させるだろう。同時に螺旋状補強材130Rは、ガス供給ライン130の長手方向の可撓性を妨げず、その結果、ガス供給ライン130は、比較的急な屈曲および湾曲に自由に順応して追随することができるだろう。これに関連して、螺旋状補強材130Rの材料は、ガス供給ライン130が、曲げられたり形成されたりしたいかなる形状すなわち外形をも維持するように、十分な展性を有することが好ましく、そうであればガス供給ライン130は、患者の顔および下顎の所望の輪郭を忠実にたどることができる。
【0104】
展性のある螺旋状補強材130Rと、ガス供給ライン130の壁を形成する可撓性の管類と、の組合せは、上記で論じられた目的のために互いに支持していることが認識されるだろう。すなわち、そして図18Dおよび図18Eに図示されるように、螺旋状補強材130Rは、本質的にはガス供給ライン130の壁の中に埋め込まれるか、あるいは場合によって、ガス供給ライン130の内表面に形成された螺旋状の溝の中に引っ込めて取り付けられる。このような螺旋状の溝は、螺旋状補強材130Rが、使用中にガス供給ライン130の長手方向の軸に沿って移動したり、滑ったり、あるいは変形したりすることを防止するのに役立つだろう。同時に螺旋状補強材130Rは、ガス供給ライン130の中に埋め込まれていても、あるいは、ガス供給ライン130の内表面に沿った螺旋状の溝に引っ込めて取り付けられていても、横方向の、すなわち断面の変形に対してガス供給ライン130の側壁を補強する。ガス供給ラインの内部流路領域の断面は、非円形であってもよいことが理解されるだろう(図18D参照)。
【0105】
ガス供給ラインに沿って流れる際に、加熱および加湿されたガスの温度を維持して、加熱されたガスに含まれる水蒸気が凝結するのを最小限にするために、ガス供給ラインの各部分は、ガス供給ラインの長さに沿って延びる内部加熱要素すなわち加熱線を有するか、あるいは適切に断熱されることが好ましい。
【0106】
最後に、図19Aおよび図19Bに図示されるように、本発明は、センサ素子152Sとセンサコントローラ152Cとを備える、改善されたガス流量センサ152を更に含む。センサ素子152Sは、ガス供給ライン130に沿ったガス流路内に位置する単体のサーミスタを備える。そしてまたセンサコントローラ152Cは、サーミスタを備えるセンサ素子152Sを介して、制御可能な電流フローを提供するための駆動回路152Dと、センサ素子152Sの抵抗ひいてはサーミスタの温度を測定するための測定回路152Mと、駆動回路152Dおよび測定回路152Mを、制御可能なデューティサイクルでセンサ素子152Sに交互に接続するための、スイッチ回路152Xと、を備える。
【0107】
ガス流量センサ152の基本動作モードは、デューティサイクル速度、およびデューティサイクル周期すなわちパルス幅が、スイッチ回路152Xによって決定されるデューティサイクルに従って、スイッチ回路152Xが、駆動回路152Dと測定回路152Mとをセンサ素子152Sに交互に接続することである。スイッチ回路152Xのデューティサイクルの、対応する周期すなわちパルス幅の間に、駆動回路152Dがセンサ回路152Sに接続されると、駆動回路152Dは、センサ素子152Sを形成するサーミスタを介して、周知のレベルでの、且つ周知の持続時間での電流のパルスを駆動する。それにより、サーミスタが対応する周知の抵抗を有するように、サーミスタは周知の温度まで加熱される。しかしながら、センサ素子152Sのサーミスタを通過するガス流は、ガス流によって決定される率でサーミスタから熱を奪い、ガス流に比例した分、サーミスタの温度および抵抗を比例的に低下させる。スイッチ回路152Xのデューティサイクルの、対応する周期すなわちパルス幅の間に、測定回路152Mがセンサ回路162Sに接続されると、測定回路152Mは、センサ素子152Sを形成するサーミスタの抵抗を測定することによって、ガス流量を決定する。
【0108】
ガス流量センサ152の一実装例において、スイッチ回路152Xのデューティサイクル速度およびデューティサイクル周期すなわちパルス幅、ならびに、駆動回路152Dによって供給される電流は、フィードバック機構によって制御される。本実装例では、スイッチ回路152Xの駆動回路152Dのパルス周期の間、電気エネルギーおよび、ひいてはサーミスタ内に駆動された熱は、測定周期を含む当該デューティサイクルの残りの間、サーミスタから奪われた熱と釣り合うように制御され、その結果、サーミスタの温度および、ひいてはサーミスタの抵抗は一定に保たれる。本モードで動作する場合、スイッチ回路152Xのデューティサイクルの加熱パルス周期の幅は、センサ素子152Sのサーミスタを通過して流れるガスの質量流量にほぼ直線的に比例することが、経験的に示されてきた。
【0109】
センサ素子152Sは、回路設計の分野での当業者に理解される妥当な制限内であれば、センサコントローラに直接物理的に隣接して位置する必要がないことは、関連技術における当業者によって理解されるだろう。センサ素子152Sを形成するサーミスタは、物理的に比較的小さくすることが可能であり、その結果、センサ素子152Sは、ガス流量の測定が望まれる場所次第で、吸入療法システム40において考えられる、広範に亘るいかなる場所に位置することも可能であることもまた、理解されるだろう。考えられる場所は、図19Bに例示的に示されている。
【0110】
本発明の更なる実施例および実装例を更に詳細に考慮して、本発明が、(a)呼気時に患者によって吐き出されつつある二酸化炭素を、希薄化および/または拡散させることと、(b)患者の気道において、患者の気道を膨らんだ状態に保つだけの背圧を維持することと、に十分である吸入ガスの流量を患者に供給することは、本明細書に記述されてきた。上述のように、本発明のシステムおよび鼻カニューレはそれによって、吸気時および呼気時に、患者にとって比較的軽度な呼吸の労力をなお維持しながら、排出ガスあるいは副産物ガスを患者からより完全に放出あるいは排出することを促進する。本発明によれば、これらの目的は、患者の気道内に十分な背圧が生じることによって達成される。十分な背圧は、呼吸サイクルの特に呼気周期の間に、鼻カニューレの流れ抵抗を介して、吸入ガスの流れによって生じるものである。
【0111】
上述のように、鼻カニューレを通る流れ抵抗は、鼻カニューレのヘッド部の外表面と、それに嵌合する患者の鼻道の内側の皮膚と、の間に形成される、患者の内鼻道が患者の外部環境と連通することを可能にする漏出流路によって、決定および制御される。背圧は、ガス流量と漏出流路の流れ抵抗との一次関数であるため、所定の漏出流路の流れ抵抗に対して、背圧はガス流量の一次関数であろうし、所定のガス流量に対して、背圧は漏出流路の流れ抵抗の一次関数であろう。したがって、本発明によれば、漏出流路の寸法およびガス流量は、患者の気道内に十分な正の背圧が維持されるように選択される。その結果、患者の気道は、呼吸サイクル全体において、また特に呼気時に、常に十分膨らんだ状態を保つ。
【0112】
図6、図7、および図20に関して本明細書に上述されたように、本発明の吸入療法システム40は、吸入ガスの所望の流量を維持するガス流れ発生/測定機構44に、源23から吸入ガスを供給し、吸入ガスは、吸入療法システム40を介して鼻カニューレアセンブリ10へ、そして患者の上気道系内へと供給される。また、上述のように、患者の肺が支障なく吸入ガスを取り込むことができ、且つ、患者の肺の中に所望の過大圧力を発生させる目的で患者の口および鼻を覆うマスクを使用する必要もなく、鼻カニューレを患者の鼻道と連通させるだけで、適切な吸入ガス源を患者に提供できるように、流量は選択される。
【0113】
先に説明された、所望の吸入ガス流量を発生させるための流れ発生/測定機構44は、例えばコンプレッサ、ファン、ポンプ、送風機、または、従来技術で周知のその他の装置であってもよい。流れ発生/測定機構44は、通常、4〜20cmH2Oの圧力、および毎分約20〜約120リットル、好ましくは毎分約50リットルの流量で、吸入ガスを供給する。ガス流量は、吸入療法システム40の流れパラメータを制御するコントローラ56によって制御される。すなわち、コントローラ56は、使用者によって選択されたか、あるいは、先に説明したランプ関数もしくはリランプ関数で要求された、所望のガス流を監視する。本発明の一実装例において、患者がランプ関数による所望の流量に順応することができるように、コントローラ56は、約5分〜30分の間に亘って、吸入ガス流量を毎分約20〜120リットルの間で変化させるための調整を行うが、好ましい吸入ガス流量は毎分約50リットルである。このランプ関数は、初期の「低温の」起動時と、「高温の」中断休止起動時の両方に用いられ得る。
【0114】
本明細書に上述された本発明の第一の実施例において、コントローラ56は、呼吸サイクルの呼気および吸気の両周期を通して、ガス供給流量を一定のレベルに維持する。したがって、また、患者へのガス流量が一定であるため、本発明のこの第一の実施例においては、患者の気道から出て漏出流路を通るガス流量は、比較的一定である平均成分を含むだろう。その平均成分は、患者に供給されたものの患者の呼吸要求基準を超えている過剰ガスと、患者の吸気および呼気に由来する可変成分から成る。
【0115】
したがって、漏出流路を通って外へ向かうガス流の可変成分は、呼気周期中に増加しその後減少するが、吸気周期中は僅かに正であり続ける。患者の気道に常に正の背圧が存在することが望ましいため、患者の呼吸サイクル全体を通して、患者に供給されるガスは常時過剰であることが必要である。その結果、漏出流路を通って漏れる過剰ガスの正方向の流れあるいは豊かな過剰ガスが常にあることになり、それによって、患者の気道内に正の背圧が常に存在する状態を確保できる。したがって、患者へのガス流量の定数成分は、患者の呼吸器系に流れ込むガス流の正味の正数の体積が常にあるように、患者の呼吸による可変成分の最大の負の偏位を超える体積でなければならない。この条件が満たされた場合、呼気および吸気の両周期を含む呼吸サイクルの全周期の間、漏出流路を通って外へ向かう正のガス流と、正の背圧が存在することになろう。
【0116】
別の実施例では患者へのガス流量は一定ではなく、背圧がほぼ一定のレベルに維持されるように、すなわち、患者の気道における圧力が外部の大気圧に対してほぼ一定の正差であって、患者の吸気および呼気の呼吸サイクルによって大きく変化しないように、患者の呼吸サイクルにほぼ合うように調整される。しかし、この調整されたガス流の実施例においては、ガス流源140の設計および構成を技術的および経済的に考慮すると、源140から供給ライン134へのガス流が実質的に一定の流量で維持されることが好ましい。したがって、図20に示される本発明の本実施例は、鼻カニューレ128のヘッド部72へのガス流を調整するために、必要に応じて、供給ライン134に、あるいは供給ライン134と鼻カニューレアセンブリ126との間に、あるいは鼻カニューレアセンブリ128自体に、流量調整機構154を備え、鼻カニューレ128のヘッド部72の放出端部30の領域で、比較的一定の圧力を維持する。
【0117】
流量調整機構154の考えられる実装例について詳細な議論を続ける前に、呼吸サイクル中に患者の呼吸器系の抵抗が変化することによって、鼻カニューレ128のヘッド部72からガス供給ラインへと続く距離に亘って、ガス圧の変動が検出可能となることに留意しなければならない。しかし、更に留意すべきことは、ガス供給ラインにおける圧力変動の大きさ、および、それが患者の気道内の状況を正確に反映する度合いは、ヘッド部72からの検出距離が増加するにつれて著しく減少し、その結果、流量調整機構154の設計および実施に影響を与える。
【0118】
第一の実装例において流量調整機構154は、一列に並んでいる流量調整バルブ156Vと流量調整センサ156Sとを一般的に備える、直列型の流量調整機構であってもよい。流量調整バルブ156Vは、患者の呼吸器系のガス流抵抗に比例して変化するガス流抵抗を示すことによって、すなわち、鼻カニューレ128へ流れるガスの体積が、患者の呼吸器系の流れ抵抗に反比例するように、呼吸サイクル中における鼻カニューレアセンブリ126へのガスの流量を調整する。鼻カニューレ128へのガス流量と、そこでの患者の呼吸器系の流れ抵抗と、の間の反比例関係は、鼻カニューレ128のヘッド部72の放出端部/上端部において、患者の呼吸器系に比較的一定の圧力をもたらす。
【0119】
直列型の調整方法において、呼吸サイクルの間に患者の気道によって示される変化する抵抗、および、結果として生じる圧力変動は、鼻カニューレ128および直列型流量調整バルブ156Vから実質的に「さかのぼって」、すなわち供給ライン134および源140の方向へ、移動することになる。逆に、直列型流量調整バルブ156Vから鼻カニューレ128へのガス流量、すなわち流量調整バルブ156Vの「下流」は、患者の気道によって示される変動する流れ抵抗に反比例して変化し、その結果、鼻カニューレ128のヘッド部72において、実質的に一定のガス圧が生じることとなる。
【0120】
直列型流量調整バルブ156Vは、例えばスプール弁として、または他の従来の圧力減少バルブもしくは圧力調整バルブとして実装されてもよく、また、センサ156Sは、例えばコネクタ136と鼻カニューレ128またはヘッド部72との間に、位置する圧力センサとして実装されてもよく、ヘッド部72に、またはヘッド部72の十分近傍に位置することが好ましい。
【0121】
直列型流量調整機構154の別の実装例において、センサ156Sの機能は、本明細書に上述されたように、ガス圧ではなくガス流量を測定するガス流量センサ152によって実行されてもよい。本実装例によれば、センサ素子152Sは、鼻カニューレ128のヘッド部72に例えば配置されて、鼻カニューレ128を通って患者の呼吸器系に流れ込むガス流量を検知する。流量調整機構154は、続いて調整バルブ156Vの流れ抵抗を、すなわち鼻カニューレ128へのガス量を調整することによって、ガス流量測定値に応答して、吸気および呼気による呼吸器系の内圧が変化する間を通して、鼻カニューレ128への正方向のガス流を所定のレベルに維持する。その結果、呼吸器系の内圧は呼吸サイクルを通して変化するが、室内の大気圧に対して常に正数であるだろう。
【0122】
流量調整機構154のバルブは、更に別の実装例において、鼻カニューレ128へのガスの流れにおける可変抵抗を示すのではなく、鼻カニューレ128に供給されてその一部が過剰なガス流として周囲環境中に放出されるガスの流れを制御する、流れ排気弁158Vであってもよい。示されているように、流れ排気弁158Vは、ガス供給ライン134から、またはコネクタ136と、室内の大気圧に通気する鼻カニューレ128と、の間のガス流路に沿った地点から接続された、調整経路158Pを有する。通気弁158Vを通るガスの流量、すなわち通気弁158Vを通って通風可能であるガスの流量は、圧力センサまたはガス流量センサ素子152Sによって、上述された方法で再び制御される。
【0123】
本明細書に含まれる本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、上記の吸入療法システムにいくらか変更を加えることは可能であるため、上記の説明あるいは添付の図面において示された内容の全ては、本明細書における進歩的概念を説明するための単なる例と解釈されるべきであり、本発明を限定するものと見なされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に吸入ガスを供給するための鼻カニューレであって、該鼻カニューレは、
吸入ガスを放出するための放出口を有するヘッド部を一端にそれぞれ備える1組の供給ラインであって、該1組の供給ラインのそれぞれの他端が吸入ガス源に接続可能である、1組の供給ラインと、
実質的に患者の人中の幅にしか亘らない、十分短い軸長を有し、前記供給ラインと一体的に相互接続するために前記ヘッド部に隣接して位置する中央ブリッジ部材と、
を備え、
各ヘッド部は、患者の一方の鼻腔内にぴったりと受容され、且つ保持される一方、患者に供給された過剰な吸入ガスが漏出流路を介して容易に排出されるために、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚の一部と、前記ヘッド部の外表面の一部と、の間に十分な漏出流路が形成される大きさであり、
前記ブリッジ部材は、相互連結するガス流路を供給する内部流路をその内部に規定し、前記ガス流路は、通常、前記1組の供給ラインから前記1組のヘッド部へのガスの流量を均等化する働きをし、使用中に前記ヘッド部の一方が部分的または完全に遮断または制限された際には、代替の流れを供給する
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項2】
請求項1に記載の鼻カニューレであって、
各ガス供給ラインは一般的に、使用時に一旦患者に装着されると、患者の鼻腔を出てすぐ患者の頬に沿って続き、顎の下から患者の顔の正中線近傍を通り、
1組の調節可能なストラップが、前記ガス供給ラインに取り付けられ、患者の頭部を一回りする結果、患者の頭部に前記鼻カニューレを容易に保持する
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項3】
請求項1に記載の鼻カニューレであって、
ガス流路に沿って、前記ガス供給ライン内に電熱部が配置され、前記電熱部は、前記ガス供給ラインを通って流れる前記ガスを加熱するため、且つ前記ガス供給ラインを通って流れる前記ガスの温度を測定するための前記電熱部への、電力潮流を制御するコントローラに連結される
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項4】
請求項1に記載の鼻カニューレであって、
前記ガス供給ラインは、該ガス供給ラインの側壁補強の一助となる、螺旋状の補強材をそれぞれ備える
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項5】
請求項1に記載の鼻カニューレであって、
前記ヘッド部の外表面は、過剰な吸入ガスの排出と、患者に必要とされる大気の吸気を促進するために、複数の漏出流路を部分的に規定するために形成された複数の細長い谷部を備える
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項6】
請求項5に記載の鼻カニューレであって、
前記ヘッド部の前記外表面には、6〜8の細長い谷部が形成され、該谷部は前記ヘッド部の円周周りに均等に離間され、前記細長い谷部のそれぞれは、過剰な吸入ガスの排出と、患者に必要とされる大気の吸気を促進するために、前記ヘッド部における前記漏出流路の1つを部分的に規定する
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項7】
請求項5に記載の鼻カニューレであって、
前記複数の細長い谷部のそれぞれは、前記複数の漏出流路の1つを部分的に規定するために、共通の細長い谷で分かれて、離間しているが隣接する1組の細長い稜線に向かう1組の隣り合う平面状の側面によって、形成される
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項8】
請求項5に記載の鼻カニューレであって、
前記漏出流路のそれぞれ一つが、約0.002平方インチ(0.013cm2)〜0.0055平方インチ(0.035cm2)の開口断面積を有し、
各ヘッド部は、約0.345インチ(0.88cm)〜約0.70インチ(1.8cm)の最大幅寸法と、約0.30インチ(0.76cm)〜約0.60インチ(1.5cm)の長さを有する
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項9】
請求項1に記載の鼻カニューレであって、
前記中央ブリッジ部材は、前記1組の供給ラインに保持される前記ヘッド部が患者の鼻孔内に容易に挿入されるために、前記1組の供給ラインを互いに平行に並べる
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項10】
請求項1に記載の鼻カニューレであって、
前記鼻カニューレは可撓性材料から製造され、前記供給ラインそれぞれの第二の端部は互いから遠ざかるように屈曲し、患者の顔の曲率にほぼ一致するように湾曲している
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項11】
請求項10に記載の鼻カニューレであって、
前記供給ラインそれぞれの前記第二の端部は補助吸入ガス供給ラインに連結され、前記供給ラインそれぞれの少なくとも前記第二の端部は、前記鼻カニューレが患者により装着された際に、前記供給ラインに連結され取り付けられた前記補助吸入ガス供給ラインが、患者の頬骨部の下を通ることを促すのに十分な剛性を有する
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項12】
患者に吸入ガスを供給するための鼻カニューレアセンブリであって、該鼻カニューレアセンブリは、
吸入ガスを放出するための放出口を有するヘッド部を一端にそれぞれ備える1組の供給ラインであって、該1組の供給ラインのそれぞれの他端は補助吸入ガス供給ラインに接続され、前記補助吸入ガス供給ラインそれぞれの遠位端部は患者に吸入ガスを供給するための吸入ガス源に接続される、1組の供給ラインと、
前記供給ラインと一体的に相互接続するために前記ヘッド部に隣接して位置する中央ブリッジ部材と、
を備え、
各ヘッド部は、患者の一方の鼻腔内にぴったりと受容され、且つ保持される一方、患者に供給された過剰な吸入ガスが漏出流路を介して容易に排出されるために、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚の一部と、前記ヘッド部の外表面の一部と、の間に十分な漏出流路が形成される大きさであり、
前記ブリッジ部材は、相互連結するガス流路を供給する内部流路をその内部に規定し、前記ガス流路は、通常、前記1組の供給ラインから前記1組のヘッド部へのガスの流量を均等化する働きをし、使用中に前記ヘッド部の一方が部分的または完全に遮断または制限された際には、代替の流れを供給する
ことを特徴とする鼻カニューレアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載の鼻カニューレであって、
各ガス供給ラインは一般的に、使用時に一旦患者に装着されると、患者の鼻腔を出てすぐ患者の頬に沿って続き、顎の下から患者の顔の正中線近傍を通り、
1組の調節可能なストラップが、前記ガス供給ラインに取り付けられ、患者の頭部を一回りする結果、患者の頭部に前記鼻カニューレを容易に保持する
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項14】
請求項12に記載の鼻カニューレであって、
ガス流路に沿って、前記ガス供給ライン内に電熱部が配置され、前記電熱部は、前記ガス供給ラインを通って流れる前記ガスを加熱するため、且つ前記ガス供給ラインを通って流れる前記ガスの温度を測定するための前記電熱部への、電力潮流を制御するコントローラに連結される
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項15】
請求項12に記載の鼻カニューレであって、
前記ガス供給ラインは、該ガス供給ラインの側壁補強の一助となる、螺旋状の補強材をそれぞれ備える
ことを特徴とする鼻カニューレ。
【請求項16】
請求項12に記載の鼻カニューレアセンブリであって、
前記ヘッド部の外表面は、過剰な吸入ガスの排出と、患者に必要とされる大気の吸気を促進するために、複数の漏出流路を部分的に規定するために形成された複数の細長い谷部を備え、
前記ヘッド部の前記外表面には、6〜8の細長い谷部が形成され、該谷部は前記ヘッド部の円周周りに均等に離間され、前記細長い谷部のそれぞれは、過剰な吸入ガスの排出と、患者に必要とされる大気の吸気を促進するために、前記ヘッド部における前記漏出流路の1つを部分的に規定する
ことを特徴とする鼻カニューレアセンブリ。
【請求項17】
請求項12に記載の鼻カニューレアセンブリであって、
前記複数の細長い谷部のそれぞれは、前記複数の漏出流路の1つを部分的に規定するために、共通の細長い谷で分かれて、離間しているが隣接する1組の細長い稜線に向かう1組の隣り合う平面状の側面によって、形成される
ことを特徴とする鼻カニューレアセンブリ。
【請求項18】
請求項12に記載の鼻カニューレアセンブリであって、
前記漏出流路のそれぞれ一つが、約0.002平方インチ(0.013cm2)〜0.0055平方インチ(0.035cm2)の開口断面積を有する
ことを特徴とする鼻カニューレアセンブリ。
【請求項19】
請求項12に記載の鼻カニューレアセンブリであって、
各ヘッド部は、約0.345インチ(0.88cm)〜約0.70インチ(1.8cm)の最大幅寸法と、約0.30インチ(0.76cm)〜約0.60インチ(1.5cm)の長さを有する
ことを特徴とする鼻カニューレアセンブリ。
【請求項20】
請求項14に記載の鼻カニューレアセンブリであって、
前記鼻カニューレは可撓性材料から製造され、前記供給ラインそれぞれの第二の端部は互いから遠ざかるように屈曲し、患者の顔の曲率にほぼ一致するように湾曲している
ことを特徴とする鼻カニューレアセンブリ。
【請求項21】
請求項20に記載の鼻カニューレアセンブリであって、
前記供給ラインそれぞれの前記第二の端部は補助吸入ガス供給ラインに連結され、前記供給ラインそれぞれの少なくとも前記第二の端部は、前記鼻カニューレが患者により装着された際に、前記供給ラインに連結され取り付けられた前記補助吸入ガス供給ラインが患者の頬骨部の下を通ることを促すのに十分な剛性を有する
ことを特徴とする鼻カニューレアセンブリ。
【請求項22】
鼻カニューレを介して患者に吸入ガスを供給するための吸入療法システムであって、前記吸入療法システムは、
患者に吸入ガスを供給するための吸入ガス源と、
該吸入ガス源に接続され、前記吸入ガスを受け取って患者の鼻孔に前記吸入ガスを供給するための鼻カニューレと、
を備え、
前記鼻カニューレは、
吸入ガスを放出するための放出口を有するヘッド部を一端にそれぞれ備える1組の供給ラインであって、該1組の供給ラインのそれぞれの他端は補助吸入ガス供給ラインに接続され、前記補助吸入ガス供給ラインそれぞれの遠位端部は患者に吸入ガスを供給するための前記吸入ガス源に接続される、1組の供給ラインと、
前記供給ラインと一体的に相互接続するために前記ヘッド部に隣接して位置する中央ブリッジ部材と、
を備え、
各ヘッド部は、患者の一方の鼻腔内にぴったりと受容され、且つ保持される一方、患者に供給された過剰な吸入ガスが漏出流路を介して容易に排出されるために、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚の一部と、前記ヘッド部の外表面の一部と、の間に十分な漏出流路が形成される大きさであり、
前記ブリッジ部材は、相互連結するガス流路を供給する内部流路をその内部に規定し、前記ガス流路は、通常、前記1組の供給ラインから前記1組のヘッド部へのガスの流量を均等化する働きをし、使用中に前記ヘッド部の一方が部分的または完全に遮断または制限された際には、代替の流れを供給する
鼻カニューレである
ことを特徴とする吸入療法システム。
【請求項21】
請求項20に記載の吸入療法システムであって、
該吸入療法システムは、患者に前記吸入ガスを供給する前に、該吸入ガスを所望の温度まで加熱するためのヒータを更に備える
ことを特徴とする吸入療法システム。
【請求項22】
請求項20に記載の吸入療法システムであって、
該吸入療法システムは、患者に前記吸入ガスを供給する前に、該吸入ガスに湿気を供給するための加湿器を更に備える
ことを特徴とする吸入療法システム。
【請求項23】
請求項20に記載の吸入療法システムであって、
該吸入療法システムは、
患者に前記吸入ガスを供給する前に、該吸入ガスを所望の温度まで加熱するためのヒータと、
患者に前記吸入ガスを供給する前に、該吸入ガスに湿気を供給するための加湿器と、
を更に備える
ことを特徴とする吸入療法システム。
【請求項24】
請求項23に記載の吸入療法システムであって、
前記吸入ガスの湿度および温度に関する情報を供給するために、湿度センサおよび温度センサがコントローラに連結され、該コントローラは前記加湿器および前記ヒータの動作を制御して、患者に供給する前に、前記吸入ガスの温度および湿度を制御する
ことを特徴とする吸入療法システム。
【請求項25】
請求項24に記載の吸入療法システムであって、
該吸入ガスシステムは、前記吸入ガスを、約70%〜100%の相対湿度、および約80°F(26.6℃)〜約90°F(32.2℃)の温度で供給する
ことを特徴とする吸入療法システム。
【請求項26】
請求項20に記載の吸入療法システムであって、
該吸入療法システムは、毎分約20〜120リットルの間で変化する吸入ガスの流量を供給する
ことを特徴とする吸入療法システム。
【請求項27】
請求項20に記載の吸入療法システムであって、
該吸入ガスシステムは、該吸入ガスシステム作動中に前記吸入ガスの使用量節約を促進するために、吸入ガス計量装置を更に備える
ことを特徴とする吸入療法システム。
【請求項28】
請求項20に記載の吸入療法システムであって、
前記吸入ガス供給ラインおよび前記鼻カニューレは、前記吸入ガスが前記吸入ガス源から前記鼻カニューレに流れる際に、前記吸入ガスによる騒音の発生を最小限にするために、前記吸入ガス供給ラインおよび前記鼻カニューレに沿って漸進的に屈曲部、移行部、拡大部、および縮小部をそれぞれ有する
ことを特徴とする吸入療法システム。
【請求項29】
睡眠障害を有する患者の治療方法であって、該治療方法は、
鼻カニューレのプロングを、前記患者の各鼻孔内に挿入するステップと、
少なくとも前記患者の呼気時に前記患者の気道内に背圧を形成するのに十分な一定の流量で、前記鼻カニューレに吸入ガスを供給するステップと、
少なくとも呼気時に、供給された前記吸入ガスの一部を、前記鼻カニューレの前記プロングと前記鼻孔の内側を向いた皮膚との間の前記鼻孔から、漏出させるステップと、
を含むことを特徴とする治療方法。
【請求項30】
請求項29に記載の、睡眠障害を有する患者の治療方法であって、
前記吸入ガスとして酸素を使用するステップと、
毎分約20〜120リットルの流量で前記酸素を供給するステップと、
を更に含む
ことを特徴とする治療方法。
【請求項31】
請求項29に記載の、睡眠障害を有する患者の治療方法であって、
前記吸入ガスを放出するための放出口を有するヘッド部を一端に備え、各プロングの他端は吸入ガス源に接続される供給ラインに連結される前記鼻カニューレの、各プロングを形成するステップを更に含み、
各ヘッド部は、患者の一方の鼻腔内にぴったりと受容され、且つ保持される一方、患者に供給された過剰な吸入ガスが漏出流路を介して容易に排出されるため、且つ、患者に供給される前記吸入ガス以上に必要とされる大気の吸気を促進するために、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚の一部と、前記ヘッド部の外表面の一部と、の間に十分な漏出流路が形成される大きさである
ことを特徴とする治療方法。
【請求項32】
請求項29に記載の、睡眠障害を有する患者の治療方法であって、
前記患者に前記吸入ガスを供給する前に、該吸入ガスを所望の温度まで加熱するステップを更に含む
ことを特徴とする治療方法。
【請求項33】
請求項29に記載の、睡眠障害を有する患者の治療方法であって、
前記患者に前記吸入ガスを供給する前に、該吸入ガスを加湿するステップを更に含む
ことを特徴とする治療方法。
【請求項34】
請求項29に記載の、睡眠障害を有する患者の治療方法であって、
前記吸入ガスを所望の温度まで加熱するステップと、
前記患者に前記吸入ガスを供給する前に、該吸入ガスを所望の湿度まで加湿するステップと、
を更に含む
ことを特徴とする治療方法。
【請求項35】
請求項29に記載の、睡眠障害を有する患者の治療方法であって、
前記睡眠障害を有する患者の治療中に前記吸入ガスの節約を促進するために、前記一定の流量の前記吸入ガスを、計量装置を用いて遮断するステップを更に含む
ことを特徴とする治療方法。
【請求項36】
患者の鼻腔圧を測定するための診断器具であって、
該診断器具は鼻カニューレを備え、該鼻カニューレは、
吸入ガスを放出するための放出口を有するヘッド部を一端にそれぞれ備える1組の供給ラインであって、該1組の供給ラインのそれぞれの他端は吸入ガス源に接続可能である、1組の供給ラインと、
各ヘッド部に組み合わされた圧力検知プローブであって、該圧力検知プローブのそれぞれが、圧力測定値を供給するために圧力検知装置に連結されている、圧力検知プローブと、
を備え、
各ヘッド部は、患者の一方の鼻腔内にぴったりと受容され、且つ保持される一方、患者に供給された過剰な吸入ガスが漏出流路を介して容易に排出されるため、且つ、患者に供給される前記吸入ガス以上に必要とされる大気の吸気を促進するために、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚の一部と、前記ヘッド部の外表面の一部と、の間に十分な漏出流路が形成される大きさである
鼻カニューレである
ことを特徴とする診断器具。
【請求項37】
患者の鼻腔圧を測定するための診断器具の使用方法であって、
前記診断器具は鼻カニューレを備え、該鼻カニューレは、
吸入ガスを放出するための放出口を有するヘッド部を一端にそれぞれ備える1組の供給ラインであって、該1組の供給ラインのそれぞれの他端は吸入ガス源に接続可能である、1組の供給ラインと、
各ヘッド部に組み合わされた圧力検知プローブであって、該圧力検知プローブのそれぞれが、圧力測定値を供給するために圧力検知装置に連結されている、圧力検知プローブと、
を備え、
各ヘッド部は、患者の一方の鼻腔内にぴったりと受容され、且つ保持される一方、患者に供給された過剰な吸入ガスが漏出流路を介して容易に排出されるため、且つ、患者に供給される前記吸入ガス以上に必要とされる大気の吸気を促進するために、患者の鼻腔の内側を向いた皮膚の一部と、前記ヘッド部の外表面の一部と、の間に十分な漏出流路が形成される大きさである
鼻カニューレであって
前記使用方法は、
患者が眠ることを許可するステップと、
吸入ガスが第一の流量で患者に供給されている間、前記診断器具を装着した睡眠中の前記患者を監視するステップと、
前記圧力検知プローブを介して、前記患者の前記鼻腔内の圧力を測定するステップと、
前記患者が睡眠中に規則正しく呼吸するように、前記患者の気道内に所望の背圧を生じさせる、最適な吸入ガス流量が得られるまで、前記吸入ガスの前記流量を調整するステップと、
を含む
ことを特徴とする使用方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図10】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図15】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図17】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図17C】
image rotate

【図18A】
image rotate

【図18B】
image rotate

【図18C】
image rotate

【図18D】
image rotate

【図18E】
image rotate

【図19A】
image rotate

【図19B】
image rotate

【図20】
image rotate


【公表番号】特表2011−510707(P2011−510707A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544438(P2010−544438)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/031824
【国際公開番号】WO2009/094532
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(598056652)