説明

鼻汁吸引器

【課題】 洗浄が容易で、取り扱いにも便利で、構造が簡易で、ノズル部の吸引力を調整することができて効果的に鼻水を吸引することなどが可能な鼻汁吸引器を提供する。
【解決手段】 一端から鼻汁を吸引するノズル4と、内部に空間を有する本体2と、本体2の一端に着脱可能に装着され、ノズル4を固定するキャップ3と、キャップ3に着脱可能に装着され、多数の吸引孔を備えた多孔筒5と、瓶状に形成され、本体2の内部空間において多孔筒5に着脱可能に装着される鼻汁溜6と、本体2に着脱可能に装着され、家庭用掃除機等に接続するための接続部7と、吸引力調整部8とを備える鼻汁吸引器1。吸引源からの吸引力が、本体2の内部空間、多孔筒5、鼻汁溜6、ノズル4へと伝達され、ノズル4の先端部から鼻汁を吸引する。本体2の開口部2eと、吸引力調整部8の開口部8aとを重合させてノズル4の吸引力を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻汁吸引器に関し、特に、家庭用の掃除機等を利用して花粉症患者等の鼻から鼻汁を吸引する鼻汁吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用掃除機に接続することによって充分な吸引力を得て、よく鼻水を吸い取ることができ、洗浄も容易な器具として、特許文献1には、ビニールチューブに接続管、チューブ、吸引口の順で接続し、ビニールチューブの反対側に差し込み口を装着し、差し込み口を掃除機に接続してガラス管を鼻にあてて使用する鼻汁吸引具が提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、鼻汁を簡単に吸引することができるように、家庭用電気掃除機接続部に家庭用電気掃除機の吸入ノズル先端を接続して、家庭用掃除機を作動させることにより、容器内の空気が家庭用電気掃除機に吸入され負圧となり、チューブホースを通じて鼻汁吸引部で鼻汁を吸引する鼻汁吸引器が提案されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、鼻腔内に分泌した鼻汁を、簡略な操作で安全かつ円滑に吸引除去することのできる鼻汁吸引除去装置として、先端に鼻腔内に挿入して鼻汁を吸引するための吸引管と、それに連なる他端に家庭用掃除機の継ぎ手パイプに連結するための連結パイプと、その中間の任意の位置に配されて吸引された鼻汁を貯留するための鼻汁貯留容器とからなり、各々円筒状チューブにより連結され、一体として形成された装置が提案されている。
【0005】
また、特許文献4には、吸引力の調整を掃除機によって行い、慢性アレルギー性鼻炎の予防等にも有効な補助器具を提供するにあたって、掃除機をコンプレッサーの代わりに利用して、本体を掃除機に固定し、ホースにより鼻水を吸い上げ、タンクに鼻水を誘導して溜めるとともに、一度吸った鼻水が掃除機内に逆流すると掃除機内が不潔になりカビの発生を招きかねないため、3つの弁を設けて逆流を防止した鼻水吸引器が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−57474号公報
【特許文献2】特開平10−99427号公報
【特許文献3】実用新案登録第3095863号公報
【特許文献4】特開2001−87376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載の従来の鼻汁吸引具においては、鼻水を溜める容器等が存在しないため、鼻汁吸引具に付着した鼻水以外の鼻水はそのまま掃除機の方に流れてしまうという問題があった。また、この鼻汁吸引具には、掃除機の吸引力がそのまま加えられ、吸引力を調整することもできないため、吸引力が不足する場合には、効果的に鼻水を吸引することができず、逆に吸引力が大きすぎる場合には、患者等に不快感を与えるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の鼻汁吸引器についても、構成は簡単であるが、チューブホースを適切な位置に固定することができないとともに、特許文献1に記載の鼻汁吸引具と同様に、掃除機の吸引力を調整することができず、効果的に鼻水を吸引することができないなどの問題があった。
【0009】
さらに、特許文献3に記載の鼻汁吸引除去装置についても、吸引した鼻汁を捨てたり、装置を洗浄する場合には、チューブ、鼻汁貯留容器、上蓋等を分離しなければならず、さらに使用の際にはこれらを接続したり、組み立てる必要があり、取り扱いに不便であるという問題があった。また、上記特許文献と同様に、掃除機の吸引力を調整することができず、効果的に鼻水を吸引することができないなどの問題があった。
【0010】
また、特許文献4に記載の鼻水吸引器等は、構造が複雑であるともに、形状的にも取り扱いに便利であるとはいえず、さらに、上記特許文献と同様に、掃除機の吸引力を調整することができず、効果的に鼻水を吸引することができないなどの問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来の鼻汁吸引器等における問題点に鑑みてなされたものであって、簡単に洗浄することができ、鼻汁を吸引する際の取り扱いに便利で、構造も簡単で、ノズル部の吸引力を調整することができて、効果的に鼻水を吸引することができ、患者等に不快感を与えることもない鼻汁吸引器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、鼻汁吸引器であって、中空棒状に形成され、一端から鼻汁を吸引するノズルと、該ノズルの中間部を固定するとともに、内部に空間を有する本体と、瓶状に形成され、該本体の内部空間に開口部を介して着脱可能に装着されるとともに、前記ノズルの他端が収容され、前記開口部の近傍に吸引孔を有する鼻汁溜と、前記本体の内部空間と吸引源とを連通させる接続部とを備えることを特徴とする。
【0013】
そして、本発明によれば、吸引源からの吸引力が、本体の内部空間、鼻汁溜、ノズルへと伝達され、ノズルの先端部から鼻汁を吸引することができるため、簡易な構成により、簡単な操作で鼻汁を吸引することができる。また、瓶状の鼻汁溜を本体から取り外すことにより、鼻汁を捨てたり、鼻汁溜を洗浄することが容易であり、組み立ても簡単に行うことができる。
【0014】
前記鼻汁吸引器において、前記本体に穿設された開口部と、前記本体に装着され、前記本体の開口部と重合することにより、前記本体の内部空間を大気に解放させる開口部を備え、該開口部と前記本体の開口部との重合量を調整することにより、前記ノズルの一端における吸引力を調整する吸引力調整部とを備えることができる。これによって、ノズル先端の吸引力を容易に調整することができる。すなわち、吸引力が不足する場合には、開口部を小さくし、効果的に鼻水を吸引することができ、逆に吸引力が大きすぎる場合には、開口部を大きくして吸引力を低下させ、患者等に不快感を与えることもない。
【0015】
前記鼻汁吸引器において、前記鼻汁溜を、前記開口部の近傍に吸引孔を有する部分と、他の部分とに2分割可能とすることができる。これによって、各々分割された部品の製造が容易となり、鼻汁吸引器の製造コストを低下させることができるとともに、鼻汁溜の洗浄もより容易に行うことができる。
【0016】
前記鼻汁吸引器において、前記接続部を、前記本体に着脱可能で、蛇腹状に形成することができる。これによって、鼻汁吸引器の移動をより円滑に行うことができ、作業性が向上する。
【0017】
前記鼻汁吸引器において、前記ノズルを、前記本体に着脱可能に設けられるキャップを介して前記本体に固定することができる。これによって、簡易な構成となった本体及びキャップを別々に製造することができるため、鼻汁吸引器の製造コストを低下させることができるとともに、ノズルの取付もより容易に行うことができる。
【0018】
前記鼻汁吸引器において、前記吸引源を、家庭用掃除機とすることができる。家庭用掃除機を用いることで、各家庭で手軽に鼻汁の吸引を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、洗浄を容易に行うことができ、鼻汁を吸引する際の取り扱いにも便利で、構造が簡易で、ノズル部の吸引力を調整することができて、効果的に鼻水を吸引することができ、患者等に不快感を与えることもない鼻汁吸引器を提供することなどが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明にかかる鼻汁吸引器の一実施の形態を示し、この鼻汁吸引器1は、円筒状の本体2と、本体2の一端に着脱可能に装着されるキャップ3と、キャップ3に固定され、L字状の中空棒状に形成されたノズル4と、キャップ3に着脱可能に装着され、多数の吸引孔を備えた多孔筒5と、瓶状に形成され、本体2の内部空間において多孔筒5に着脱可能に装着される鼻汁溜6と、本体2に着脱可能に装着され、家庭用掃除機に接続するための接続部7と、本体2の他端に着脱可能に装着される吸引力調整部8とを備える。
【0021】
本体2は、図2に示すように、円筒状の胴体2aの両端部が開口され、これら両端部に雄ねじ部2b、2cが形成されている。また、本体2の下部には、吸引力調整部8を着脱可能に装着するための2条の溝部2dと、開口部2eが形成される。
【0022】
キャップ3は、図3に示すように、基部3aの下方が開口し、この開口部の内側に雌ねじ部3dが形成される。上部のノズル取付部3bには、ノズル4が挿通、固定される。ノズル取付部3bの内側には、多孔筒5を取り付けるための雄ねじ部3cが形成される。
【0023】
ノズル4は、図4に示すように、L字状の中空棒状に形成され、長尺の直線状部4aがキャップ3に支持、固定される。短尺の直線状部4cは、曲線状部4bを介して直線状部4aに接続され、直線状部4cの先端部には、鼻汁の吸引口4dが形成される。
【0024】
多孔筒5は、図5に示すように、全体が円筒状に形成され、胴部5aの上下開口部には雌ねじ部5c、5dが形成される。胴部5aの中間部には、多数の吸引孔5bが穿設される。
【0025】
鼻汁溜6は、図6に示すように、瓶状に形成された胴部6aの開口部に雄ねじ部6bが形成される。
【0026】
接続部7は、図7に示すように、雌ねじ部7eを介して本体2へ接続部7を取り付けるための取付部7aと、家庭用掃除機と接続するため、中空の円錐台状に形成された取付部7cと、取付部7a、7cとの間に存在する蛇腹部7bと、取付部7cに着脱可能で内径が取付部7cの外径と略々等しい中空円錐台状の調整部材取付部7dとで構成される。
【0027】
吸引力調整部8は、図8に示すように、図2に示した本体2の外径と略々同じ内径を有するリング状に形成され、本体2の開口部2eと略々同寸法の開口部8aが穿設されている。吸引力調整部8の内壁には、2条の突条8bが形成され、本体2の溝部2dと係合することで、吸引力調整部8全体が本体2の軸線回りに回動可能となっている。
【0028】
次に、上記構成を有する鼻汁吸引器1の組立要領について図面を参照しながら説明する。
【0029】
まず、本体2に吸引力調整部8を取り付ける。吸引力調整部8の突条8bを本体2の溝部2dと係合させることにより、吸引力調整部8を本体2に回動可能に装着することができる。次に、キャップ3に多孔筒5を取り付ける。キャップ3の雄ねじ部3cに多孔筒5の雌ねじ部5cを螺合させることによって、キャップ3に多孔筒5を装着することができる。次に、多孔筒5に鼻汁溜6を取り付ける。多孔筒5の雌ねじ部5dに鼻汁溜6の雄ねじ部6bを螺合させることによって、多孔筒5に鼻汁溜6を装着することができる。
【0030】
多孔筒5及び鼻汁溜6が装着されたキャップ3のノズル取付部3bにノズル4を挿通させ、ノズル4の直線状部4aがノズル取付部3bに支持、固定されるようにする。そして、キャップ3の雌ねじ部3dを本体2の雄ねじ部2bに螺合させ、キャップ3を本体2に装着する。最後に、接続部7を本体2に取り付ける。本体2の雄ねじ部2cに接続部7の雌ねじ部7eを螺合させることによって、本体2に接続部7を装着することができる。以上で鼻汁吸引器1の組立が完了する。
【0031】
次に、上記鼻汁吸引器1の使用方法について、図1を中心に参照しながら説明する。
【0032】
図1に示した接続部7の取付部7c(図7参照)に家庭用の掃除機の吸引口を接続する。尚、家庭用の掃除機の吸引口の内径が取付部7cよりも大きいため適切に掃除機の吸引口を接続することができない場合には、取付部7cに調整部材取付部7dを装着し、取付部の外径を大きくすることにより対応することができる。
【0033】
本体2の胴部2a(図2参照)を手に持って、掃除機を運転し、ノズル4の先端部を患者等の鼻の中に挿入する。これによって、鼻汁吸引器1の内部の空気は、矢印で示す方向に流れ、これに伴って吸引された鼻汁は、本体2の底部に溜まる。
【0034】
ノズル4の吸引口4dにおける吸引力が弱い場合、又は強すぎる場合には、本体2の開口部2dと吸引力調整部8の開口部との重合量を調節する。吸引力が弱い場合には、重合量を少なくしてより吸引口4d側から空気を吸引するように調整し、吸引力が強すぎる場合には、重合量を多くして吸引口4d側からの空気の吸引量を少なくする。
【0035】
鼻汁の吸引が終了すると、本体2からキャップ3を取り外し、キャップ3から多孔筒5及び鼻汁溜6を取り外し、鼻汁溜6の中の鼻汁を捨て、鼻汁溜6等を洗浄する。これによって、鼻汁吸引器1の使用後の各部品を清潔に保つことができる。
【0036】
尚、上記実施の形態においては、本体2とキャップ3とを別部品として構成したが、両部品を一体化して一つの部品とすることもできる。また、キャップ3と鼻汁溜6についても別部品として構成したが、両部品を一体化して一つの部品とすることもできる。また、接続部7を介して吸引源と接続するように構成したが、必ずしも接続部7を設ける必要はなく、家庭用掃除機を直接本体2に接続するようにしてもよい。さらに、吸引源として家庭用掃除機を利用するのではなく、鼻汁吸引器1を専用の吸引装置と組み合わせてもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明にかかる鼻汁吸引器の一実施の形態を示す組立図である。
【図2】図1の鼻汁吸引器の本体を示す正面図である。
【図3】図1の鼻汁吸引器のキャップを示す断面図である。
【図4】図1の鼻汁吸引器のノズルを示す一部断面図である。
【図5】図1の鼻汁吸引器の多孔筒を示す断面図である。
【図6】図1の鼻汁吸引器の鼻汁溜を示す正面図である。
【図7】図1の鼻汁吸引器の接続部を示す概略図である。
【図8】図1の鼻汁吸引器の吸引力調整部を示す一部断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 鼻汁吸引器
2 本体
2a 胴体
2b 雄ねじ部
2c 雄ねじ部
2d 溝部
2e 開口部
3 キャップ
3a 基部
3b ノズル取付部
3c 雄ねじ部
3d 雌ねじ部
4 ノズル
4a 直線状部
4b 曲線状部
4c 直線状部
4d 吸引口
5 多孔筒
5a 胴部
5b 吸引孔
5c 雌ねじ部
5d 雌ねじ部
6 鼻汁溜
6a 胴部
6b 雄ねじ部
7 接続部
7a 取付部
7b 蛇腹部
7c 取付部
7d 調整部材取付部
7e 雌ねじ部
8 吸引力調整部
8a 開口部
8b 突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空棒状に形成され、一端から鼻汁を吸引するノズルと、
該ノズルの中間部を固定するとともに、内部に空間を有する本体と、
瓶状に形成され、該本体の内部空間に開口部を介して着脱可能に装着されるとともに、前記ノズルの他端が収容され、前記開口部の近傍に吸引孔を有する鼻汁溜と、
前記本体の内部空間と吸引源とを連通させる接続部とを備えることを特徴とする鼻汁吸引器。
【請求項2】
前記本体に穿設された開口部と、前記本体に装着され、前記本体の開口部と重合することにより、前記本体の内部空間を大気に解放させる開口部を備え、該開口部と前記本体の開口部との重合量を調整することにより、前記ノズルの一端における吸引力を調整する吸引力調整部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の鼻汁吸引器。
【請求項3】
前記鼻汁溜は、前記開口部の近傍に吸引孔を有する部分と、他の部分とに2分割可能であることを特徴する請求項1又は2に記載の鼻汁吸引器。
【請求項4】
前記接続部は、前記本体に着脱可能で、蛇腹状に形成されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の鼻汁吸引器。
【請求項5】
前記ノズルは、前記本体に着脱可能に設けられるキャップを介して前記本体に固定されることを特徴する請求項1乃至4のいずれかに記載の鼻汁吸引器。
【請求項6】
前記吸引源は、家庭用掃除機であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の鼻汁吸引器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−340894(P2006−340894A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169251(P2005−169251)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(505216324)有限会社清川 (1)
【Fターム(参考)】