説明

鼻腔用噴射器

【課題】使用に手数がかからず、面倒でない鼻腔用噴射器を提供する。
【解決手段】鼻腔内にボタン20のノズル筒20cを入れ、ボタンを介して噴射装置Pのステム17を押し込むことにより、噴射装置を取り付ける容器の液体をノズル筒の先端から鼻腔内に向けて吐出する鼻腔用噴射器において、ボタンに、2つの鼻腔内に各々挿入して容器の液体を同時に吐出する2つのノズル筒を並べて設ける。そして、使用時は、ボタンの2つのノズル筒を2つの鼻腔内に各々挿入し、ボタンを介して噴射装置のステムを押し込むことにより、噴射装置を取り付ける容器の液体をノズル筒の先端から鼻腔内に向けて同時に吐出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器の口部に噴射装置を取り付け、その噴射装置のステムにボタンを取り付けてなり、使用時にそのボタンのノズル筒を鼻腔内に入れ、ボタンを介してステムを押し込むことにより容器の液体をノズル筒の先端から鼻腔内に向けて吐出する鼻腔用噴射器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の鼻腔用噴射器は、容器の口部に、ポンプ式やエアゾール式などの噴射装置をねじ付け、その噴射装置のステムに、手掛け部を有するボタンを取り付け、ボタンには1つのノズル筒を突出して設け、そのノズル筒の先端に、噴口を有するノズルを圧入して形成していた。
【0003】
そして、使用時には、ノズル筒をまず一方の鼻腔内に入れ、手掛け部に手を掛けてボタンを介してステムを押し込むことにより、容器の液体をノズル筒先端の噴口から一方の鼻腔内に向けて吐出し、続いてノズル筒を他方の鼻腔内に入れ換え、同様にして容器の液体を他方の鼻腔内に向けて吐出し、鼻腔内に薬用液を噴射して鼻腔内に塗布したり、洗浄液を噴射して鼻腔内を洗浄したりしていた。
【0004】
【特許文献1】特開2000−335665号公報
【特許文献2】特開2004−418995号公報
【特許文献3】特開2004−000844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような鼻腔用噴射器では、ノズル筒を入れて鼻腔内に片方ずつ薬用液を塗布したり、鼻腔内を片方ずつ洗浄したりしなければならないから、使用に手数がかかる面倒があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、使用に手数がかからず、面倒でない鼻腔用噴射器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、この発明は、鼻腔内にボタンのノズル筒を入れ、ボタンを介して噴射装置のステムを押し込むことにより、噴射装置を取り付ける容器の液体をノズル筒の先端の、例えばノズルの噴口から鼻腔内に向けて吐出する鼻腔用噴射器において、
ボタンに、2つの鼻腔内に各々挿入して容器の液体を同時に吐出する2つのノズル筒を並べて設ける、ことを特徴とする。
【0008】
そして、使用時は、ボタンの2つのノズル筒を2つの鼻腔内に各々挿入し、ボタンを介して噴射装置のステムを押し込むことにより、噴射装置を取り付ける容器の液体をノズル筒の先端から鼻腔内に向けて同時に吐出する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、そのような鼻腔用噴射器において、容器の液体が点鼻用の薬用液である、ことを特徴とする。そして、使用時は、2つの鼻腔内に点鼻用の薬用液を一度に噴射し、鼻腔内に塗布する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、上述のような鼻腔用噴射器において、容器の液体が洗鼻用の洗浄液である、ことを特徴とする。そして、使用時は、2つの鼻腔内に洗鼻用の洗浄液を一度に噴射し、鼻腔内を洗浄する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、以上のような鼻腔用噴射器において、容器の口部にポンプ式噴射装置を取り付け、ステムを押し込むことによりポンプ式噴射装置を作動し、容器の液体を吸い上げてノズル筒の先端から吐出する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、以上のような鼻腔用噴射器において、容器の口部にエアゾール式噴射装置を取り付け、ステムを押し込むことにより、エアゾール式噴射装置の出口弁を開いて容器に液体とともに収納する噴射剤の圧力で、容器の液体をノズル筒の先端から吐出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
したがって、この発明によれば、使用時は、ボタンの2つのノズル筒を1つずつ2つの鼻腔内に挿入し、ボタンを介して噴射装置のステムを押し込むことにより、容器の液体をノズル筒の先端から鼻腔内に向けて同時に吐出するので、2つの鼻腔に液体を一度に噴射し、片方ずつ液体を吐出する面倒をなくして、使用に手数がかからない鼻腔用噴射器を提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、容器の液体が点鼻用の薬用液であるので、使用時には、2つの鼻腔内に点鼻用の薬用液を一度に噴射し、鼻腔内に塗布することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、容器の液体が洗鼻用の洗浄液であるので、使用時には、2つの鼻腔内に洗鼻用の洗浄液を一度に噴射し、鼻腔内を洗浄することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、容器の口部にポンプ式噴射装置を取り付けるので、使用時には、ステムを押し込むことによりポンプ式噴射装置を作動し、容器の液体を吸い上げてノズル筒の先端から吐出し、2つの鼻腔に液体を一度に噴射することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、容器の口部にエアゾール式噴射装置を取り付けるので、ステムを押し込むことにより、エアゾール式噴射装置の出口弁を開いて容器に液体とともに収納するフロン等の噴射剤の圧力で、容器の液体をノズル筒の先端から吐出し、2つの鼻腔に液体を一度に噴射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には、この発明による鼻腔用噴射器の外観を側方から見て示す。
【0019】
図示例の鼻腔用噴射器では、容器10の口部にネジキャップ11を用いてポンプ式噴射装置Pを取り付けてなる。容器10は、プラスチック材料を用いてボトル形状につくってなり、その口部外周に雄ネジを設け、内部に点鼻用や洗鼻用の液体を収納する。
【0020】
図2には、ポンプ式噴射装置Pの外観を斜め上から見て示す。また、図3には、ポンプ式噴射装置Pの縦断面を示す。
【0021】
図中符号12は、シリンダである。シリンダ12は、途中に2つの段部を設けて下方に向けて順次小径につくり、上部の大径部の上縁周囲にフランジ12aを設けるとともに、そのフランジ12aのすぐ下に径方向に貫通して空気吸込み孔12bをあけ、下部の小径部内に下方からパイプ13の上端部を圧入してなる。
【0022】
このようなシリンダ12内には、上方からコイルスプリング14を挿入して中径部内に入れ、小径部との間の段部12c上に乗せる。段部12cには、中央に開口12dをあけてある。そうして、シリンダ12内には、さらに開閉弁15を取り付けたピストン16を入れ、コイルスプリング14上に乗せて下部を中径部内に液密に挿入し、出し入れ自在に設ける。
【0023】
ピストン16には、下部中心に吸上げ通路16aを形成し、その吸上げ通路16aの奥で径方向に貫通して吸込み口16bをあけてなる。そして、弾性によりたわんで、その吸込み口16bを開閉するように、ピストン16のまわりに上述の開閉弁15を設ける。ピストン16の上部は、管状のステム17の噴出路17a内に出し入れ自在に入れ、先端肩部16cを噴出路17a内の内径段部17bに当てる。
【0024】
ステム17は、下部をシリンダ12の大径部内に液密に挿入し、出し入れ自在に設ける。これにより、シリンダ12内に、圧力室Aを区画する。それから、ステム17の上部を頂部11aの中心孔に挿入して上述したネジキャップ11を取り付け、シール18を挟んでフランジ12a上に乗せてシリンダ12に抱き付かせ、中心孔を通したステム17の先端を上向きに突出する。このとき、シール18を介してステム17をピストン16とともに押し下げてコイルスプリング14を若干圧縮し、ピストン16の先端肩部16cをステム17の内径段部17bに確実に押し当てる。ネジキャップ11は、頂部11aに中心孔を有するとともに、内周に雌ネジ11bを有し、頂部11aからは上向きに円筒部11cを立てる。
【0025】
ステム17の先端には、ボタン20を固着したキャップ状のプッシュ21を着脱可能にはめ付ける。プッシュ21は、頂部の中心に中心孔21aを有し、その中心孔21aのまわりから下向きにステム17への小筒部21bを有し、また頂部外周から下向きに、ネジキャップ11の円筒部11cが入り込む大筒部21cを有する。そして、その大筒部21cまわりに、ボタン20の下向き筒部20aをはめ付け、嵌合、溶着などにより固着する。これにより、プッシュ21の頂部とボタン20との間には、円板状の空間22を形成する。
【0026】
ボタン20には、小判型の板部20bから下向きに上述の下向き筒部20aを設け、上向きに2つのノズル筒20cを並べて立てる。2つのノズル筒部20cは、鼻腔に挿入しやすいようにやや先細とし、内部に柱状のセンターポストチップ23を収納し、入口に小キャップ状のノズル24をはめ付ける。ノズル24には、頂部中心に噴口24aをあけ、頂部内面にスピン溝24bを形成する。そして、板部20bには、2つのノズル筒部20cの内部と円板状の空間22間をそれぞれ連通する連通孔20dをあけてなる。
【0027】
それから、ネジキャップ11内にパッキン25を挿入してシリンダ12のフランジ12aにあてがい、容器10の口部からパイプ13を挿入してシリンダ12も入れ、パイプ13の先端を容器10内の底部に向けてのばし、ネジキャップ11を容器10の口部に被せて内周の雌ネジ11bを口部の雄ネジにネジ付け、パッキン25を圧縮してポンプ式噴射装置Pを容器10の口部に取り付けてなる。
【0028】
いま、この鼻腔用噴射器を使用するときは、容器10を持って板部20bの両端に指を掛け、2つのノズル筒部20cを各々鼻腔に挿入してボタン20を押し下げる。すると、コイルスプリング14の付勢力に抗してプッシュ21を介してステム17をピストン16とともにシリンダ12内に押し込み、圧力室Aの圧力を上昇する。
【0029】
そして、圧力室Aの圧力が一定以上となったときには、その圧力でピストン16を押し込み、先端肩部16cをステム17の内径段部17bから離し、圧力室Aの液体をステム17とピストン16との間を通過してステム17の噴出路17aからプッシュ21の中心孔21aを通して空間22に入れ、振り分けて2つの連通孔20dからそれぞれ2つのノズル筒20c内に導き、ノズル筒20cとセンターポストチップ23との間を通過してスピン溝24bを通し、ノズル24の噴口24aからミスト状として鼻腔内に向けて吐出し、鼻腔内に薬用液を噴射して鼻腔内に塗布したり、洗浄液を噴射して鼻腔内を洗浄したりする。
【0030】
圧力室Aの圧力が低下すると、コイルスプリング14の付勢力でピストン16を戻して再び先端肩部16cをステム17の内径段部17bに押し当て、噴口24aからの吐出を停止する。そして、板部20bに掛けていた指を外すと、コイルスプリング14の付勢力でピストン16とともにステム17を押し戻し、プッシュ21を介してボタン20を押し上げる。
【0031】
すると、圧力室A内が負圧化して弾性に抗してたわんで開閉弁15が開き、容器10内の液体を、パイプ13内を通してシリンダ12の開口12dからシリンダ12の中径部内に入れ、吸上げ通路16aを通過して吸込み口16bから圧力室Aに吸い上げる。これにより、再度ボタン20を押し下げると、圧力室Aの液体を再び噴口24aから鼻腔内に向けて吐出することができる。
【0032】
以上のとおり、図示鼻腔用噴射器によれば、鼻腔内にボタン20のノズル筒20cを入れ、ボタン20を介して噴射装置Pのステム17を押し込むことにより、噴射装置Pを取り付ける容器10の液体をノズル筒20cの先端から鼻腔内に向けて吐出する鼻腔用噴射器において、ボタン20に、2つの鼻腔内に各々挿入して容器10の液体を同時に吐出する2つのノズル筒20cを並べて設ける。
【0033】
そして、使用時は、ボタン20の2つのノズル筒20cを2つの鼻腔内に各々挿入し、ボタン20を介して噴射装置Pのステム17を押し込むことにより、噴射装置Pを取り付ける容器10の液体をノズル筒20cの先端から鼻腔内に向けて同時に吐出する。よって、2つの鼻腔に液体を一度に噴射し、片方ずつ液体を吐出する面倒をなくして、使用に手数がかからない鼻腔用噴射器を提供することができる。
【0034】
容器10の液体が点鼻用の薬用液であるときは、2つの鼻腔内に点鼻用の薬用液を一度に噴射し、鼻腔内に塗布することができる。また、容器10の液体が洗鼻用の洗浄液であるときは、2つの鼻腔内に洗鼻用の洗浄液を一度に噴射し、鼻腔内を洗浄することができる。
【0035】
さて、上述した例では、容器10の口部にポンプ式噴射装置Pを取り付け、ステム17を押し込むことによりポンプ式噴射装置Pを作動し、容器10の液体を吸い上げてノズル筒20cの先端から吐出する鼻腔用噴射器に適用した場合について説明した。しかし、この発明は、容器の口部に公知のエアゾール式噴射装置を取り付け、ステムを押し込むことにより、エアゾール式噴射装置の出口弁を開いて容器に液体とともに収納するフロン等の噴射剤の圧力で、容器の液体をノズル筒の先端から吐出する、ポンプ式ではない鼻腔用噴射器にも、同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明に係る鼻腔用噴射器を側方から見た外観図である。
【図2】その鼻腔用噴射器において、容器に取り付けるポンプ式噴射装置の斜視図である。
【図3】そのポンプ式噴射装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 容器
11 ネジキャップ
12 シリンダ
14 コイルスプリング
15 開閉弁
16 ピストン
17 ステム
20 ボタン
20c ノズル筒
21 プッシュ
22 円板状の空間
23 センターポストチップ
24 ノズル
24a 噴口
P ポンプ式噴出装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻腔内にボタンのノズル筒を入れ、前記ボタンを介してステムを押し込むことにより容器の液体を前記ノズル筒の先端から鼻腔内に向けて吐出する鼻腔用噴射器において、
前記ボタンに、2つの鼻腔内に各々挿入して容器の液体を同時に吐出する2つの前記ノズル筒を並べて設けることを特徴とする、鼻腔用噴射器。
【請求項2】
前記容器の液体が点鼻用の薬用液であることを特徴とする、請求項1に記載の鼻腔用噴射器。
【請求項3】
前記容器の液体が洗鼻用の洗浄液であることを特徴とする、請求項1に記載の鼻腔用噴射器。
【請求項4】
前記容器の口部にポンプ式噴射装置を取り付け、前記ステムを押し込むことにより前記ポンプ式噴射装置で前記容器の液体を吸い上げて前記ノズル筒の先端から吐出することを特徴とする、請求項1ないし3に記載の鼻腔用噴射器。
【請求項5】
前記容器の口部にエアゾール式噴射装置を取り付け、前記ステムを押し込むことにより、前記エアゾール式噴射装置の出口弁を開いて前記容器に液体とともに収納する噴射剤の圧力で、前記容器の液体を前記ノズル筒の先端から吐出することを特徴とする、請求項1ないし3に記載の鼻腔用噴射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−105365(P2007−105365A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301551(P2005−301551)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)