説明

(メタ)アクリル酸エステルを用いたブロック共重合体

【課題】
特定の構造をもつ(メタ)アクリル酸エステルからなるブロック部、芳香族ビニル化合物からなるブロック部および共役ジエン化合物からなるブロック部を有するブロック共重合体を提供し、その製造方法の提供並びに上記ブロック共重合体を用いた組成物、シートおよびフィルムを提供すること。
【解決手段】
(メタ)アクリル酸エステルからなるブロック部と、芳香族ビニル化合物のブロック部および共役ジエン化合物のブロック部から選ばれた少なくとも一つのブロック部を有するブロック共重合体であって、(メタ)アクリル酸エステルからなるブロック部がブロック共重合体の一つの末端に位置し、かつ(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の酸素原子に結合している置換基が、ノルボルニル骨格またはアダマンチル骨格を有することを特徴とするブロック共重合体を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は(メタ)アクリル酸エステルを用いたブロック共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
リビングアニオン重合で(メタ)アクリル酸エステルを用いると、例えばそれがメタクリル酸メチルであった場合は、成長反応や失活反応ともに非常に速く、重合開始剤化合物や成長中のリビングアニオン鎖の末端と二次反応を起こすため重合制御が困難である。従って、これを用いたリビングアニオン重合は−78℃〜−30℃といった極めて低い反応温度が必要とされ、工業的な生産に適していなかった。また、ルイス酸やアルコラート等の配位性化合物を添加する方法もあるが、やはり−20℃程度の低温での重合が必要であった。さらに、上記方法で得られたスチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル等のポリマーはジブロック体の発生や添加された配位性化合物の影響で、透明性が低く、力学特性等の実用的な特性も低かった。
【0003】
このような特殊な重合条件で(メタ)アクリル酸エステルを用いたブロック共重合体を得た例は特許文献1、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開平11−21308号公報
【特許文献2】特開平9−110951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特定の構造をもつ(メタ)アクリル酸エステルからなるブロック部、芳香族ビニル化合物からなるブロック部および共役ジエン化合物からなるブロック部を有するブロック共重合体を提供するものであり、その製造方法の提供並びに上記ブロック共重合体を用いた組成物、シートおよびフィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、
(1)(メタ)アクリル酸エステルからなるブロック部と、芳香族ビニル化合物のブロック部および共役ジエン化合物のブロック部から選ばれた少なくとも一つのブロック部を有するブロック共重合体であって、(メタ)アクリル酸エステルからなるブロック部がブロック共重合体の一つの末端に位置し、かつ(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の酸素原子に結合している置換基が、ノルボルニル骨格またはアダマンチル骨格を有することを特徴とするブロック共重合体。
(2)ノルボルニル骨格を有する置換基が、ジシクロペンタニル骨格を有することを特徴とする(1)記載のブロック共重合体。
(3)ジシクロペンタニル骨格を有する置換基が、ジシクロペンタニル基であることを特徴とする(2)記載のブロック共重合体。
(4)ノルボルニル骨格を有する置換基が、イソボルニル基であることを特徴とする(1)記載のブロック共重合体。
(5)アダマンチル骨格を有する置換基が、アダマンチル基であることを特徴とする(1)記載のブロック共重合体。
(6)(メタ)アクリル酸エステルが1〜50(1〜30)質量%であり、芳香族ビニル化合物が0〜90(40〜90)質量%であり、共役ジエン化合物が0〜59(9〜59)質量%であり、その合計が100質量%である請求項1〜請求項5のいずれか一項記載のブロック共重合体。
(7)(1)〜(6)いずれか1項記載のブロック共重合体を使用した成形品。
(8)成形品が、シートまたはフィルムである(7)記載の成形品。
(9)成形品が、熱収縮性フィルムである(7)記載の成形品。
(10)成形品が、光学フィルムである(7)記載の成形品。
(11)(メタ)アクリル酸エステルからなるブロック部、芳香族ビニル化合物のブロック部および共役ジエン化合物のブロック部を有するブロック共重合体であって、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の酸素原子に結合している置換基がノルボルニル骨格またはアダマンチル骨格である(メタ)アクリル酸エステルのブロック部を形成する際のリビングアニオン重合の温度を、−20〜80℃とすることを特徴とするブロック共重合体の製造方法、
である。
【発明の効果】
【0006】
特定の(メタ)アクリル酸エステルを用いることで、−20℃以上の条件でも、特殊な添加剤の必要なくリビングアニオン重合が可能であり、得られたブロック共重合体は耐衝撃性、耐熱性、透明性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明における(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルの総称であり、下記の一般式(I)で表される。
【化1】

ここで、メタクリル酸エステルとはRがメチル基でありRが置換基を有していても良い炭化水素基である化合物であって、アクリル酸エステルとはRが水素原子でありRが置換基を有していても良い炭化水素基である化合物の総称である。なお本発明におけるエステル基の酸素原子に結合している置換基とは式(I)中のRで表される炭化水素基を示す。
【0008】
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステルは、エステル基の酸素原子に結合している置換基が、ノルボルニル骨格(ビシクロ[2,2,1]ヘプチル骨格)またはアダマンチル骨格(トリシクロ[3,3,1,13,7]デシル骨格)を有することを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルである。
【0009】
(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の酸素原子に結合している置換基が、ノルボルニル骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸ノルボルニルメチル、アクリル酸フェニルノルボルニル、アクリル酸シアノノルボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸フェンキル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸フェニルノルボルニル、メタクリル酸シアノノルボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸フェンキルが挙げられる。
【0010】
ノルボルニル骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルであっても、更に好ましいのはその骨格がジシクロペンタニル骨格(トリシクロ[5,2,1,02,6]デシル骨格)を有する(メタ)アクリル酸エステルであって、例えば、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸トリシクロペンタジエニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸トリシクロペンタジエニル等が挙げられ、この中でもメタクリル酸ジシクロペンタニルが最も好ましい。
【0011】
(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の酸素原子に結合している置換基が、アダマンチル骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸ジメチルアダマンチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸ジメチルアダマンチルが挙げられる。
【0012】
本発明でいう芳香族ビニル化合物とは、エチレン性不飽和結合を有する芳香族単量体であって、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどがあるが、とくに好ましくはスチレンである。これらは1種でもよく、または2種以上を用いてもよい。
【0013】
本発明でいう共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、とくに好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレンである。これら1種でもよく、また2種以上を用いてもよい。
【0014】
本発明におけるブロック共重合体の分子構造は下記の一般式で示され、以下の(a)〜(d)を満たしていることが好ましい。
−B−D−C ・・・・・ nは1以上の整数。
(a)Aは芳香族ビニル化合物からなる連鎖を有するブロックもしくは共役ジエン化合物からなる連鎖を有するブロック、または芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とからなる連鎖を有するブロックであって、後者の場合その構造はクリアカット構造、テーパー構造、ランダム構造などから適宜選択することができる。nが2以上である場合、Aの構造は同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。
(b)Bは芳香族ビニル化合物からなる連鎖を有するブロックである。
(c)Cは(メタ)アクリル酸エステルからなる連鎖を有するブロックである。
(d)Dはビニル基に芳香族基またはアルキル基から選ばれた置換基を有する芳香族ビニル化合物である。
【0015】
ここでDは、リビングアニオン鎖末端の反応性を制御するために用いられる芳香族ビニル化合物であり、ビニル基に芳香族基またはアルキル基から選ばれた置換基を有していることが必須である。このような化合物としては、たとえばα−メチルスチレン、スチルベン、1,1−ジフェニルエチレンなどが挙げられる。単独重合性を持たない点で1,1−ジフェニルエチレンが好ましい。
【0016】
本発明におけるブロック共重合体の分子量はとくに制限されるものではないが、好ましくはゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)測定におけるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、30,000≦Mw≦300,000の範囲、さらに好ましくは40,000≦Mw≦250,000、最も好ましくは50,000≦Mw≦200,000であることが好ましい。Mwが30,000未満であると得られた共重合体において充分な強度が得られず、300,000を越えるとシートやフィルムに加工することが困難となる場合がある。
【0017】
ブロック共重合体の製造における原料の組成について特に制限はないが共重合体の強度、耐熱性および透明性の点から、(メタ)アクリル酸エステルが1〜40質量%、芳香族ビニル化合物が30〜94質量%、共役ジエン化合物が5〜59質量%が好ましく、(メタ)アクリル酸エステルが1〜30質量%、芳香族ビニル化合物が40〜90質量%、共役ジエン化合物が9〜59質量%が特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステルが1質量%未満では得られるブロック共重合体の強度、耐熱性および透明性が充分でない場合があり、40質量%を超えると成形加工性が悪くなる場合がある。芳香族ビニル化合物が30質量%未満では得られるブロック共重合体の成形加工性が悪くなる場合があり、94質量%を超えると強度が不足する場合がある。
【0018】
リビングアニオン重合反応に用いる有機溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、などの脂環式炭化水素、或いはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが使用できる。
【0019】
ブロック共重合体の製造においては少量の極性化合物を有機溶剤に溶解してもよい。極性化合物は開始剤の効率を向上させるため、または共役ジエンのミクロ構造(組成)を調整するため使用され、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物を同時に共重合させる場合はランダム化剤としての効果を有する。これらの極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルペンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられるが、好ましくはテトラヒドロフランである。
【0020】
ブロック共重合体を製造する際のリビングアニオン重合温度は共重合する単量体によって異なる。芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を重合する際の重合温度は−10〜150℃、好ましくは30〜120℃である。(メタ)アクリル酸エステルを重合する際における重合温度は−20〜80℃であり、−20〜40℃が好ましい。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適には0.5〜10時間である。また、重合系の雰囲気は重合開始前に窒素ガスなどの不活性ガスをもって置換することが望ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するのに十分な圧力の範囲で行なえばよく、特に限定されるものではない。さらに重合系内には開始剤およびリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば、水、酸素、炭酸ガスなどが混入しないように留意する必要がある。
【0021】
リビングアニオン重合の開始剤である有機リチウム化合物は、分子中に1個以上のリチウム原子が結合した化合物であり、本発明では例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの単官能性重合開始剤、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウムなどの多官能性重合開始剤が使用できる。
【0022】
リビングアニオン重合を行う際には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムのアルコキシド、フェノキシド等の化合物を添加することにより、反応の選択性、反応速度を制御させることができるが、本発明ではこれらの添加量を少量、または無添加としてもよい。ポリマー中のリチウム、ナトリウム、アルミニウム含量を、たとえば200ppm以下とすることができる。
【0023】
リビングアニオン重合における重合停止剤として、水、アルコール、無機酸、有機酸、およびフェノール系化合物から選ばれる少なくとも1種以上を用い、反応系中に添加されて重合が停止することができる。重合停止剤として水はとくに賞用できる。
【0024】
なお、重合活性末端の失活数は加えた重合停止剤の化学量論数に比例するので、重合停止剤は活性末端数より少ない化学量論数の量を数回に分けて添加することとして、重合中の活性末端の一部のみを失活させ、残った活性末端による重合をさらに継続させながら所定の重合率に達したところで残りの活性末端を失活させることで分子量の異なるブロック共重合体の混合物を得ることができる。その必要がない場合は一度に全ての活性末端を失活させても良い。但し、重合の完了時にはその時点における活性末端数に対して充分な量の重合停止剤を添加して活性末端を全て失活させることが必要である。
【0025】
失活処理の終わったブロック共重合体溶液から共重合体を分離するための方法としては、(1)メタノールなどの貧溶媒中にブロック共重合体溶液を投入してブロック共重合体を析出させる方法、(2)加熱ロールなどにブロック共重合体溶液を供給し、溶剤のみを蒸発させてブロック共重合体を分離する方法(ドラムドライヤー法)、(3)加熱したブロック共重合体(組成物)溶液を、そこに含まれる有機溶剤の該温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力に保った缶中に連続的、あるいは間欠的に供給して脱揮する方法(フラッシュ蒸発法)、(4)ベント式押出機に通して脱揮させる方法、(5)温水中に撹拌しながら、ブロック共重合体溶液を吹き込んで溶剤を蒸発させる方法(スチームストリッピング法)などや、これらを組み合わせた方法が挙げられる。
【0026】
本発明におけるブロック共重合体は、例えば以下の方法で製造することができる。ただし、以下の方法に限定されるものでない。
【0027】
有機溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として、ビニル芳香族炭化水素および共役ジエンの少なくとも一方からなる単量体を重合し(第1工程)、次にビニル芳香族炭化水素からなる単量体を重合し(第2工程)、次いで置換基を有するビニル芳香族炭化水素からなる単量体を重合し(第3工程)、その後、(メタ)アクリル酸からなる単量体を重合する(第4工程)。
【0028】
ここで第1工程は必ずしも単一の工程である必要はなく、2つ以上のブロック部分を有するブロック共重合体を得る複数の工程でもよい。たとえば第1工程において、芳香族ビニル化合物連鎖のみのブロック部分を重合した後に芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とからなるブロック部分を重合することができる。
【0029】
本発明で得られるブロック共重合体には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、たとえば、安定剤、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、耐候性向上剤、軟化剤、可塑剤、顔料などがあり、これらを適宜添加することによって、ブロック共重合体が各種の加熱処理を受ける場合や、酸化性雰囲気や紫外線などの照射下にて使用される場合に物性の劣化を防ぐことができ、また使用目的に適した物性をさらに付与することができる。
【0030】
安定剤としては、例えば、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートや、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどのフェノール系酸化防止剤、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイトなどのリン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0031】
また、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤としては、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの飽和脂肪酸、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチルなどの脂肪酸エステルやペンタエリスリトール脂肪酸エステル、さらにエルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド、ステアリン酸アマイドなどの脂肪酸アマイドや、エチレンビスステアリン酸アマイド、またグリセリン−モノ−脂肪酸エステル、グリセリン−ジ−脂肪酸エステル、その他にソルビタン−モノ−パルミチン酸エステル、ソルビタン−モノ−ステアリン酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステル、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどに代表される高級アルコールなどが挙げられる。
【0032】
さらに耐候性向上剤としては2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系や2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどのサリシレート系、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、また、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどのヒンダードアミン型耐候性向上剤が例として挙げられる。さらにホワイトオイルや、シリコーンオイルなども加えることができる。
【0033】
これらの添加剤はブロック共重合体100重量部に対し5重量部以下の範囲で使用することが望ましい。
【0034】
本発明のブロック共重合体は、たとえば射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形等の公知の方法により各種成形体に加工され実用に供されるが、シートやフィルム形状で実用に供されることが好ましく、熱収縮性フィルム、熱収縮性多層フィルムおよび光学用フィルムとして実用に供されることも可能である。
【0035】
熱収縮性フィルムや熱収縮性多層フィルムの製造方法は公知の手法が採用できる。例えば熱収縮性フィルムは、ブロック共重合体を押出機で溶融し、それをTダイ、環状ダイなどのダイを使用してフィルム形状として押出し、一軸、二軸あるいは多軸に延伸することによって得られる。また、熱収縮性多層フィルムは別々に溶融したブロック共重合体をダイ内又はフィードブロックなどで多層化後フィルム形状として押出し、一軸、二軸あるいは多軸に延伸することによって得られる。
【0036】
この延伸するときの温度は60〜120℃が好ましい。60℃未満では延伸時にシートやフィルムが破断しやすくなり、また、120℃を越える場合は良好な収縮性が得られにくい。延伸倍率は、1.5〜8倍が好ましい。1.5倍では熱収縮性が不足してしまい、また、8倍を越える場合は延伸が困難となるため好ましくない。これらのフィルムを熱収縮性ラベルや包装材料として使用する場合、熱収縮率は温度80℃において15%以上、好ましくは70℃において15%以上、特に好ましくは70℃において20%以上であることが、低温でかつ迅速に収縮する点で望まれている。フィルムの厚さは10〜300μmが好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。
【0037】
また、本発明では、得られたフィルムの表面特性を良好にするために帯電防止剤や滑剤などを表面に塗布してもよい。
【0038】
本発明の熱収縮性フィルムの用途としては、熱収縮性ラベル、熱収縮性キャップシール、瓶の保護フィルム、パックガード収縮包装、コンデンサ・乾電池等の電気絶縁被膜などが特に好適であるが、その他、包装フィルム、蓋材などにも適宜利用することができる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。実施例に用いたブロック共重合体の製造方法を実施例、比較例として以下に述べる。
【0040】
[実施例1]
(1)窒素雰囲気下、ステンレス製内容量1500リットルの反応容器中に重合溶媒としてシクロヘキサン486kgを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液としてn−ブチルリチウムの10重量%シクロヘキサン溶液1550mLを加えておき、次いで75.6kgのスチレンモノマーを一括で添加し、反応系の内温を50℃に上昇させてこれをリビングアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーの重合率が99%を超えた後、37.8kgのブタジエンを同時に一括で添加したのち、反応系の内温を65℃まで上昇させて共重合を促し、その後反応系の内温を50℃に調整し20分間保った。
(4)その後、62.3kgのスチレンモノマーを一括添加し共重合させた。
(5)0.59kgの1,1−ジフェニルエチレン(新日鐵化学製商品名1,1−ジフェニルエチレン)を一括添加し30分間反応させ、反応系の内温を40℃に下げてさらに10分間保った。
(6)13.6kgのメタクリル酸ジシクロペンタニル(日立化成製商品名FA−513M)を同重量のシクロヘキサンで希釈した後、反応系に一括添加し15分間反応させた後重合を完了させた。
(5)の最後に全て重合活性末端を水により失活させて、重量平均分子量が12万の重合体を含む重合液を得た。
【0041】
[実施例2]
(1)窒素雰囲気下、ステンレス製内容量1500リットルの反応容器中に重合溶媒としてシクロヘキサン504kgを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液としてn−ブチルリチウムの10重量%シクロヘキサン溶液2450mLを加えておき、次いで67.2kgのスチレンモノマーを一括で添加し、反応系の内温を50℃に上昇させてこれをリビングアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーの重合率が99%を超えた後、33.6kgのブタジエンを同時に一括で添加したのち、反応系の内温を65℃まで上昇させて共重合を促し、その後反応系の内温を50℃に調整し20分間保った。
(4)その後、50.4kgのスチレンモノマーを一括添加し共重合させた。
(5)0.76kgの1,1−ジフェニルエチレンを一括添加し30分間反応させ、反応系の内温を40℃に下げてさらに10分間保った。
(6)17.1kgのメタクリル酸ジシクロペンタニルを同重量のシクロヘキサンで希釈した後、反応系に一括添加し15分間反応させた後重合を完了させた。
(5)の最後に全て重合活性末端を水により失活させて、重量平均分子量が9万の重合体を含む重合液を得た。
【0042】
[実施例3]
(1)窒素雰囲気下、ステンレス製内容量1500リットルの反応容器中に重合溶媒としてシクロヘキサン504kgを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液としてn−ブチルリチウムの10重量%シクロヘキサン溶液2550mLを加えておき、次いで67.2kgのスチレンモノマーを一括で添加し、反応系の内温を50℃に上昇させてこれをリビングアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーの重合率が99%を超えた後、33.6kgのブタジエンを同時に一括で添加したのち、反応系の内温を65℃まで上昇させて共重合を促し、その後反応系の内温を50℃に調整し20分間保った。
(4)その後、41.9kgのスチレンモノマーを一括添加し共重合させた。
(5)0.76kgの1,1−ジフェニルエチレンを一括添加し30分間反応させ、反応系の内温を40℃に下げてさらに10分間保った。
(6)25.6kgのメタクリル酸ジシクロペンタニルを同重量のシクロヘキサンで希釈した後、反応系に一括添加し15分間反応させた後重合を完了させた。
(5)の最後に全て重合活性末端を水により失活させて、重量平均分子量が8万の重合体を含む重合液を得た。
【0043】
[実施例4]
(1)窒素雰囲気下、ステンレス製内容量1500リットルの反応容器中に重合溶媒としてシクロヘキサン504kgを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液としてn−ブチルリチウムの10重量%シクロヘキサン溶液2550mLを加えておき、次いで67.2kgのスチレンモノマーを一括で添加し、反応系の内温を50℃に上昇させてこれをリビングアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーの重合率が99%を超えた後、33.6kgのブタジエンを同時に一括で添加したのち、反応系の内温を65℃まで上昇させて共重合を促し、その後反応系の内温を50℃に調整し20分間保った。
(4)その後、33.3kgのスチレンモノマーを一括添加し共重合させた。
(5)0.76kgの1,1−ジフェニルエチレンを一括添加し30分間反応させ、反応系の内温を40℃に下げてさらに10分間保った。
(6)34.0kgのメタクリル酸ジシクロペンタニルを同重量のシクロヘキサンで希釈した後、反応系に一括添加し15分間反応させた後重合を完了させた。
(5)の最後に全て重合活性末端を水により失活させて、重量平均分子量が8万の重合体を含む重合液を得た。
【0044】
[実施例5]
(1)窒素雰囲気下、ステンレス製内容量1500リットルの反応容器中に重合溶媒としてシクロヘキサン504kgを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液としてn−ブチルリチウムの10重量%シクロヘキサン溶液2450mLを加えておき、次いで67.2kgのスチレンモノマーを一括で添加し、反応系の内温を50℃に上昇させてこれをリビングアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーの重合率が99%を超えた後、33.6kgのブタジエンを同時に一括で添加したのち、反応系の内温を65℃まで上昇させて共重合を促し、その後反応系の内温を50℃に調整し20分間保った。
(4)その後、50.4kgのスチレンモノマーを一括添加し共重合させた。
(5)0.76kgの1,1−ジフェニルエチレンを一括添加し30分間反応させ、反応系の内温を40℃に下げてさらに10分間保った。
(6)17.1kgのメタクリル酸イソボルニル(共栄社化学製商品名ライトエステルIB−X)を同重量のシクロヘキサンで希釈した後、反応系に一括添加し15分間反応させた後重合を完了させた。
(5)の最後に全て重合活性末端を水により失活させて、重量平均分子量が9万の重合体を含む重合液を得た。
【0045】
[実施例6]
(1)窒素雰囲気下、ステンレス製内容量1500リットルの反応容器中に重合溶媒としてシクロヘキサン504kgを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液としてn−ブチルリチウムの10重量%シクロヘキサン溶液2450mLを加えておき、次いで67.2kgのスチレンモノマーを一括で添加し、反応系の内温を50℃に上昇させてこれをリビングアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーの重合率が99%を超えた後、33.6kgのブタジエンを同時に一括で添加したのち、反応系の内温を65℃まで上昇させて共重合を促し、その後反応系の内温を50℃に調整し20分間保った。
(4)その後、50.4kgのスチレンモノマーを一括添加し共重合させた。
(5)0.76kgの1,1−ジフェニルエチレンを一括添加し30分間反応させ、反応系の内温を40℃に下げてさらに10分間保った。
(6)16.8kgのメタクリル酸アダマンチル(出光石油製商品名Adamantate AM)を同重量のシクロヘキサンで希釈した後、反応系に一括添加し15分間反応させた後重合を完了させた。
(5)の最後に全て重合活性末端を水により失活させて、重量平均分子量が9万の重合体を含む重合液を得た。
【0046】
[比較例1]
(1)窒素雰囲気下、ステンレス製内容量1500リットルの反応容器中に重合溶媒としてシクロヘキサン490kgを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液としてn−ブチルリチウムの10重量%シクロヘキサン溶液1600mLを加えておき、次いで75.6kgのスチレンモノマーを一括で添加し、反応系の内温を50℃に上昇させてこれをリビングアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーの重合率が99%を超えた後、37.8kgのブタジエンを同時に一括で添加したのち、反応系の内温を65℃まで上昇させて共重合を促し、その後反応系の内温を50℃に調整し20分間保った。
(4)その後、62.3kgのスチレンモノマーを一括添加し共重合させた。
(5)0.5kgの1,1−ジフェニルエチレンを一括添加し30分間反応させ、反応系の内温を40℃に下げてさらに10分間保った。
(6)13.6kgのスチレンモノマーを同重量のシクロヘキサンで希釈した後、反応系に一括添加し15分間反応させた後重合を完了させた。
(5)の最後に全て重合活性末端を水により失活させて、重量平均分子量が14万の重合体を含む重合液を得た。
【0047】
[比較例2]
(1)窒素雰囲気下、ステンレス製内容量1500リットルの反応容器中に重合溶媒としてシクロヘキサン490kgを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液としてn−ブチルリチウムの10重量%シクロヘキサン溶液1600mLを加えておき、次いで75.6kgのスチレンモノマーを一括で添加し、反応系の内温を50℃に上昇させてこれをリビングアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーの重合率が99%を超えた後、37.8kgのブタジエンを同時に一括で添加したのち、反応系の内温を65℃まで上昇させて共重合を促し、その後反応系の内温を50℃に調整し20分間保った。
(4)その後、62.3kgのスチレンモノマーを一括添加し共重合させた。
(5)0.5kgの1,1−ジフェニルエチレンを一括添加し30分間反応させ、反応系の内温を−78℃に下げてさらに10分間保った。
(6)13.6kgのメタクリル酸メチルを同重量のシクロヘキサンで希釈した後、反応系に一括添加し15分間反応させた後重合を完了させた。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させたが、得られた重合体の重量平均分子量は設計値8万に対し14万となった。GPC測定結果から高分子量側に広い分子量分布が確認され、多量のカップリング体を含んでいた。
【0048】
比較例3,4として、2種のスチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチルブロック共重合体(アルケマ社製商品名Nanostrength A123および同社製商品名Nanostrength A250)を用いた。
【0049】
GPC測定は、液体クロマトグラフィー装置(東ソー製商品名「HLC−8220」)を用いて以下の条件で測定した。最もピーク高さの大きいピークの分子量を基準とし、基準の2倍の分子量値を示すピークをカップリング体と見なした。
検出方法:示差屈折法
使用カラム:昭和電工製商品名Shodex GPC KF−400 HQ 直列4本
カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
サンプル濃度:2重量%
検量線:標準ポリスチレン(東ソー製)
【0050】
ガスクロマトグラフィー測定は、メタクリル酸エステルの反応量を評価するために行い、ガスクロマトグラフィー装置(Agilent社製6890型)を用いて以下の条件で測定した。
検出方法:FID法
使用カラム:Agilent社製DB−WAX
導入部・検出部温度:200℃
カラム温度条件:80℃で5分間保ったのち毎分30℃で昇温し、170℃で9分間保持
移動相:ヘリウムガス
移動相流速:毎分4ml
【0051】
シャルピー衝撃強度測定は、全自動衝撃試験機(安田精機製作所製No.258−PCA型)を用いてJIS K−7111にしたがって測定した。試験片はISO 179にしたがって作成したものでエッジワイズ方向ノッチ付き試験片とした。
【0052】
ビカット軟化点測定は、全自動ビカット軟化点測定機(安田精機製作所製No.148−HDA型)を用いてJIS K−7206 A50法にしたがって測定した。
【0053】
曇り度は、濁度計(日本電色製NDH300A型)を用いてJIS K−7136(ISO 14782)にしたがって測定した。
【0054】
実施例1〜6、および比較例1に示したブロック共重合体を含む重合液または市販の共重合体(比較例3、4)について、重量平均分子量、カップリング体存在率を評価した。また実施例1〜6、および比較例2についてメタクリル酸エステルの反応率を評価した。評価結果は表1に示した。
【0055】
【表1】

【0056】
実施例1〜6、および比較例1に示したブロック共重合体を含む重合液について、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学製商品名「スミライザー GS」)をブロック共重合体に対して0.2質量%と、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製商品名「IRGANOX 1076」)をブロック共重合体に対して0.1質量%と、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(旭電化製商品名「アデカスタブ HP−10」)をブロック共重合体に対して0.1質量%とをそれぞれ酸化防止剤として混合し、57mmφ二軸脱揮押出機に供給してダイスから溶融ストランドを引き出し、水冷後カッターにて切断してペレット状の樹脂を得た。その後、得られた共重合体組成物の物性を評価した。評価結果は表2に記載した。比較例2に示したブロック共重合体を含む重合液を同様に造粒しようとしたが、高分子量成分が多いためと思われるが溶融ストランドがうまく得られず、物性評価に使用できる樹脂が得られなかった。また、比較例3、4については組成と曇り度を評価した。
【0057】
【表2】

【0058】
表2に示された結果から、本発明のブロック共重合体に係わる実施例は(メタ)アクリル酸エステルを共重合しない比較例1に比べ、いずれも耐衝撃性、耐熱性に優れ、比較例1およびメタクリル酸メチルを共重合させた比較例3〜4より曇り度が低く抑えられていた。この結果から、本発明のブロック共重合体は、従来の芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とからなるブロック共重合体より耐衝撃性、耐熱性、透明性に優れることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のブロック共重合体および本発明のブロック共重合体を用いた樹脂組成物は、ラベル用シュリンク材に好適な熱収縮フィルムのほか、位相差フィルムや反射防止フィルムなどの光学フィルム、光学素子中の絶縁材の用途にも適応できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステルからなるブロック部、芳香族ビニル化合物のブロック部および共役ジエン化合物のブロック部を有するブロック共重合体であって、(メタ)アクリル酸エステルからなるブロック部がブロック共重合体の一つの末端に位置し、かつ(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の酸素原子に結合している置換基が、ノルボルニル骨格またはアダマンチル骨格を有することを特徴とするブロック共重合体。
【請求項2】
ノルボルニル骨格を有する置換基が、ジシクロペンタニル骨格を有することを特徴とする請求項1記載のブロック共重合体。
【請求項3】
ジシクロペンタニル骨格を有する置換基が、ジシクロペンタニル基であることを特徴とする請求項2記載のブロック共重合体。
【請求項4】
ノルボルニル骨格を有する置換基が、イソボルニル基であることを特徴とする請求項1記載のブロック共重合体。
【請求項5】
アダマンチル骨格を有する置換基が、アダマンチル基であることを特徴とする請求項1記載のブロック共重合体。
【請求項6】
(メタ)アクリル酸エステルが1〜40質量%であり、芳香族ビニル化合物が30〜94質量%であり、共役ジエン化合物が5〜69質量%であり、その合計が100質量%である請求項1〜請求項5のいずれか一項記載のブロック共重合体。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか1項記載のブロック共重合体を使用した成形品。
【請求項8】
成形品が、シートまたはフィルムである請求項7記載の成形品。
【請求項9】
成形品が、熱収縮性フィルムである請求項7記載の成形品。
【請求項10】
成形品が、光学フィルムである請求項7記載の成形品。
【請求項11】
(メタ)アクリル酸エステルからなるブロック部、芳香族ビニル化合物のブロック部および共役ジエン化合物のブロック部を有するブロック共重合体であって、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の酸素原子に結合している置換基がノルボルニル骨格またはアダマンチル骨格である(メタ)アクリル酸エステルのブロック部を形成する際のリビングアニオン重合の温度を、−20〜80℃とすることを特徴とするブロック共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2008−144006(P2008−144006A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331635(P2006−331635)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】