説明

1,4−ベンゾジアゼピン誘導体の製造方法および該誘導体

【課題】芳香環と[6,7]位で縮合してなる2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体の製造方法および該誘導体の提供。
【解決手段】隣接した炭素原子にアミノ基およびアミノメチル基が置換してなる芳香環化合物(b)およびアセチレンジカルボン酸ジエステル(III)をアルコール中で反応させることを特徴とする芳香環と[6,7]位で縮合してなる2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体の製造方法、ならびに、新規な2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,4−ベンゾジアゼピン誘導体の製造方法および該誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
1,4−ベンゾジアゼピン誘導体には、脳の中枢神経のGABA受容体の作用を亢進し、中枢神経の信号の流れを抑制する事によって、不安や興奮などを抑制する働きを持つ物質が知られており、不安や興奮を抑制することで眠気を誘うため不眠治療の薬としても利用される。このベンゾジアゼピン受容作用を利用した薬をベンゾジアゼピン系と総称し、主に睡眠薬や抗不安薬に利用されている。ベンゾジアゼピン薬剤はバルビツール酸系薬剤に比べ、耐性が出来にくい、毒性が低く比較的安全であるといった特徴が有るため不眠や不安などの軽減用の薬として広く使われている。
例えば、下式:
【化1】

で表されるニトラゼパム(7−ニトロ−5−フェニル−1,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オン)は、代表的ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤である。
【0003】
このように、ベンゾジアゼピン骨格は、医薬品開発上重要な基本母核であるため、その効率的な合成法の開発は重要なテーマの一つである。
従来から1,4−ベンゾジアゼピン誘導体の合成法の開発が種々検討されてきた。例えば、特公昭44−23335号公報には、2−クロロジフェニルメチレンイミンとエチレンジアミンとを塩基の存在下に反応させて、5−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピンを合成する方法が開示されている。反応式は下式:
【化2】


で表される。
特公昭44−17138号公報には、2−アミノジフェニルメチレンイミンとグリジンメチルエステルとをピリジン塩基中で反応させて、2−オキソ−5−フェニル−1,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジアゼピンを合成する方法が開示されている。反応式は下式:
【化3】

で表される。
特公昭43−24429号公報には、2′−ベンゾイル−4′−クロル−2−ヒドロキシイミノアセトアニリドを酸化白金触媒の存在化に水素化反応によって7−クロル−1,3、4、5−テトラヒドロ−5−フェニル−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンを合成する方法が開示されている。反応式は下式:
【化4】

で表される。
特公昭43−24185号公報には、N−(クロルアセチル)−2−(2′−メチル−3′−クロルアニリノカルボニル)−3−クロルアニリドを塩基の存在下に加熱して4−(2′−メチル−3′−クロルフェニル)−6−クロルテトラヒドロ−(1、4)−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオンを合成する方法が開示されている。反応は下式:
【化5】

で表される。
これらの方法では、反応によって副生する大量の酸を中和するための塩基を大量に必要とすること、及び白金の様な高価な触媒を必要とすることなどから、更なる改良が望まれている。
【0004】
一方、アセチレンジカルボン酸ジエステルは、近年、工業的に提供されるようになり、両末端に官能基を有することから、複素環合成原料として注目を集めている。例えば、特開平6−25257号公報には、ピリジニウムイリド誘導体とアセチレンジカルボン酸ジエステルとを温和な温度条件下で反応させることによりピリド[1、2−d][1,4]チアゼピン誘導体を合成する方法が開示されている。反応は下式:
【化6】

で表される。
この反応は、大量の酸副生物も発生せず、高価な触媒等も必要とせず、反応温度も温和なことから、工業的には注目されてよい。しかしながら、アセチレンジカルボン酸ジエステルを用いた1、4−ベンゾジアゼピン誘導体の合成方法は未だ報告されていない。
【0005】
この様な現状に対して、副生物を発生せず、且つ、工業的にも効率のよい1,4−ベンゾジアゼピン誘導体の製造方法の開発が待たれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭44−23335号公報
【特許文献2】特公昭44−17138号公報
【特許文献3】特公昭43−24429号公報
【特許文献4】特公昭43−24185号公報
【特許文献5】特開平06−25257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点を解決することを目的とする。即ち、副生物を発生せず、且つ、工業的にも効率のよい1,4−ベンゾジアゼピン誘導体の製造方法の提供および新規な1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン誘導体の提供を目的とする。更には、1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン誘導体に止まらず、芳香環と[6,7]位で縮合してなる2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン誘導体の汎用性のある効率的な製造方法の提供と、芳香環と[6,7]位で縮合してなる新規な2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン誘導体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに、特定のジアミノ芳香環化合物およびアセチレンジカルボン酸ジエステルを反応させることによって、芳香環と[6,7]位で縮合した2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体が生成すること、並びに、アルコール溶媒中で反応させることによって反応が効率的に進行することを見いだし、本発明に到達した。
即ち、本発明は、芳香環と[6,7]位で縮合してなる2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体(a)の製造方法であって、
(b)隣接した炭素原子にアミノ基およびアミノメチル基が置換してなる芳香環化合物、および
(III)アセチレンジカルボン酸ジエステルを
アルコール中で反応させることを特徴とする、下記反応式:
【化7】

[式中、Arは芳香環を表し、YおよびRはそれぞれ独立に置換基を有してよい炭化水素基を表す。]
で表される、[6,7]位縮合2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体(a)の製造方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、式(I):
【化8】

[式中、X〜Xはそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子であり(但し、X〜Xのいずれかが窒素原子であるときは、いずれか1つのみが窒素原子である。)、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してよい炭化水素基、アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し(但し、X〜Xのいずれかが窒素原子であるときは、窒素原子上の置換基は無く、X〜Xの内の相隣接する2つが炭素原子のときは、その相隣接する炭素原子上のR〜Rのいずれか2つは環を形成してよい。)、YおよびRは上記と同義である。]
で表される新規な2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の、下式:
【化9】

[式中、Ar、YおよびRは上記と同義である。]
で表される製造方法において、Arで示される芳香環は炭化水素芳香環またはヘテロ芳香環であってよく、例えば、芳香環が、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、ジアゾール環、フラン環、チオフェン環およびそれらとベンゼン環との縮合環(例えば、ナフタレン環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾピリミジン環、ベンゾピラジン環、インドール環、ベンゾジアゾール環、ベンゾフラン環およびベンゾチオフェン環)からなる群から選ばれた少なくとも1種であってよい。
【0011】
本発明の製造方法を例示的に反応式で示せば、例えば、下式:
【化10】

[式中、Rは上記と同義である。]、および
【化11】

[式中、Rは上記と同義である。]
で表される。
【0012】
本発明はその反応理論に囚われるものではないが、本発明に係る製造方法の反応機構は、例えば、芳香環がベンゼン環の場合で説明すれば、以下の反応式:
【化12】

[式中、矢印は電子の移動を表現している。]
に沿って進行すると考えられる。即ち、ジアミン成分の窒素原子の孤立電子対によるアセチレン結合に対する求核攻撃を基点とした2回のマイケル型共役付加反応が、タンデム型に進行する機構である。
【0013】
本発明は酸や塩基あるいは金属触媒等と云った追加的試薬は必要ではなく、アルコール溶媒中で、隣接した炭素原子にアミノ基およびアミノメチル基が置換してなる芳香環化合物(b)およびアセチレンジカルボン酸ジエステル(III)を溶解・混合するだけで芳香環と[6,7]位で縮合してなる2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体(a)が得られることから、本発明の製造方法が、芳香環としてのベンゼン環に限らず、炭化水素芳香環およびヘテロ芳香環含有ジアミン化合物(b)に広く適用可能であることは、上記反応機構からも理解される。
【0014】
本発明の製造方法は、より好ましくは、芳香環が、ベンゼン環またはピリジン環であり、芳香環と[6,7]位で縮合してなる2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体(a)が2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体であってよい。
【0015】
本発明の製造方法で用いる一方の原料であるアミノ基とアミノメチル基を隣接する炭素原子上に置換してなる芳香環化合物としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等の炭化水素芳香環上の隣接する炭素原子にアミノ基とアミノメチル基を置換してなる化合物、またはピリジン環、ピコリン環、キノリン環およびイソキノリン環等の含Nヘテロ芳香環上の隣接する炭素原子にアミノ基とアミノメチル基を置換してなる含Nヘテロ芳香環化合物が挙げられる。本発明のもう一方の原料であるアセチレンジカルボン酸ジエステルとしては、アセチレンジカルボン酸のアルキルエステルおよび芳香環化合物エステルが挙げられる。
【0016】
本発明の好ましい実施態様を説明すれば、例えば、本発明は、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン誘導体が式(I):
【化13】

[式中、X〜X、R〜R、YおよびRは上記と同義である。]
で表される2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、
アミノ基とアミノメチル基を隣接する炭素原子上に置換してなる芳香環化合物が式(II):
【化14】

[式中、X〜X、R〜RおよびYは前記と同義である。]
で表される化合物であり、および、
アセチレンジカルボン酸ジエステルが式(III):
【化15】

[式中、Rは前記と同義である。]
で表される化合物である、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−1,3−ジカルボキシエステル誘導体の製造方法である。
【0017】
式(I)および(II)において、X〜Xはそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子であり(但し、X〜Xのいずれかが窒素原子であるときは、いずれか1つのみが窒素原子である。)であり、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してよい炭化水素基、アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し(但し、X〜Xのいずれかが窒素原子であるときは窒素原子上の置換基は無い。即ち、式(I)および(II)で表される化合物は、下記のいずれかで表される。
即ち、本発明の好ましい態様として、例えば、式(I)で表される誘導体が、式(I-1):
【化16】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、対応する原料のアリール化合物は式(II-1):
【化17】

[式中、R〜RおよびYは前記と同義である。]
で表される2−アミノベンジルアミン化合物である製造方法が挙げられる。
【0018】
本発明の特に好ましい態様として、例えば、式(I)で表される誘導体が、式(I-1-2):
【化18】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、対応する原料のアリール化合物は式(II-1-1):
【化19】

で表される2−アミノベンジルアミンである製造方法が挙げられる。
【0019】
また、他の好ましい態様として、例えば、式(I)で表される誘導体が式(I-2-1):
【化20】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[2,3−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、
式(II)で表される化合物が、式(II-2-1):
【化21】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される2−アミノ−3−アミノメチルピリジン化合物である製造方法が挙げられる。
【0020】
また、他の好ましい態様として、例えば、式(I)で表される誘導体が式(I-2-2):
【化22】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[3,4−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、
式(II)で表される化合物が、式(II-2-2):
【化23】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される3−アミノ−4−アミノメチルピリジン化合物である製造方法が挙げられる。
【0021】
また他の好ましい態様として、例えば、式(I)で表される誘導体が式(I-2-3):
【化24】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[4,5−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、
式(II)で表される化合物が、式(II-2-3):
【化25】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される4−アミノ−5−アミノメチルピリジン化合物である製造方法が挙げられる。
【0022】
また他の好ましい態様として、例えば、式(I)で表される誘導体が式(I-2-4):
【化26】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[5,6−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、
式(II)で表される化合物が、式(II-2-4):
【化27】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される5−アミノ−6−アミノメチルピリジン化合物である製造方法が挙げられる。
【0023】
〜Rはそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してよい炭化水素基(炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等)、アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。ハロゲンとしては、F、Cl,Br,Iが挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜12の鎖状または分岐状の炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、2,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、2−エチルヘプチル、n−デシル、2−エチルオクチル、2−エチルノニルおよび2−エチルデシル等が挙げられ、および環状の炭化水素基、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、アリル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、3−メチル−4−ペンテニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、2−プロピニル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基、5−ヘキシニル基および3−メチル−4−ペンチニル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル、(2−または3−または4−)メチルフェニル、(2−または3−または4−)エチルフェニル、(2−または3−または4−)i−プロピルフェニル、(2−または3−または4−)i−ブチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。これら炭化水素基の置換基としては、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、シアノ基、アミド基、ニトロ基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、スルホンアミド基等が挙げられる。
〜Xの内の相隣接する2つが炭素原子のときは、その相隣接する炭素原子上のR〜Rのいずれか2つは環を形成してよい。この環は脂環式環であっても芳香族環であってもよい。
【0024】
YおよびRはYおよびRはそれぞれ置換基を有してよい炭化水素基を表し、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等が挙げられる。これらの内、アルキル基としては、炭素数1〜12の鎖状または分岐状の炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、2,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、2−エチルヘプチル、n−デシル、2−エチルオクチル、2−エチルノニルおよび2−エチルデシル等が挙げられ、および環状の炭化水素基、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、アリル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、3−メチル−4−ペンテニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、2−プロピニル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基、5−ヘキシニル基および3−メチル−4−ペンチニル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル、(2−または3−または4−)メチルフェニル、(2−または3−または4−)エチルフェニル、(2−または3−または4−)i−プロピルフェニル、(2−または3−または4−)i−ブチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。これら炭化水素基の置換基としては、ハロゲン(F、Cl等)、シアノ基、アミド基、ニトロ基、アルキルオキシ基、スルホンアミド基等が挙げられる。
【0025】
本発明の製造方法は、反応溶媒にアルコールを用いることを特徴とする。アルコールとしては特に制限はなく、脂肪族アルコールまたは芳香族アルコールを用いることが出来る。例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール、または、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等の芳香族アルコールが挙げられる。これらの内、炭素数1〜10の脂肪族アルコールが好ましく、特に、メタノールが挙げられる。
【0026】
本発明の製造方法は、隣接した炭素原子にアミノ基およびアミノメチル基が置換してなる芳香環化合物(b)、およびアセチレンジカルボン酸ジエステル(III)をアルコール溶媒中で撹拌混合することによって反応が進行して、目的化合物である芳香環と[6,7]位で縮合してなる2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体(a)が得られる。
【0027】
より好ましい実施態様としては、一方の原料であるアミノ基とアミノメチル基を隣接置換してなるアリールもしくは含Nヘテロアリール化合物(以後、「ジアミン成分」と称する。)及び、もう一方の原料化合物であるアセチレンジカルボン酸ジエステル(以後、「アセチレンジエステル成分」と称する。)をアルコール溶媒中、所定温度で撹拌混合することによって反応が進行し、目的化合物である2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体を合成することができる。
「ジアミン成分」および「アセチレンジエステル成分」のアルコール溶媒中における最適濃度は、反応温度および反応時間により異なるが、通常、0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。
反応温度は通常、0℃〜用いるアルコール溶媒の沸点、例えば、メタノールの場合には64.7℃程度まで、好ましくは10℃〜40℃、さらに好ましくは20〜30℃の室温付近である。この様に、極めて穏和な温度条件で反応が進行することは驚くべきことであると同時に、副反応抑制の点でも好ましい。
反応時間は、通常、5分〜20時間、好ましくは10分〜10時間、さらに好ましくは30分〜6時間程度である。
【0028】
反応にあたって、ジアミン成分、ジエステル成分およびアルコール溶媒の混合順序には特に制限はない。通常、アルコール溶媒中にジアミン成分とジエステル成分を添加して、所定温度下に撹拌混合して反応する。アルコール溶媒中にジアミン成分を添加後に、混合撹拌下、ジエステル成分を滴下反応する方法が好ましい。滴下終了後、さらに混合撹拌を続けて、反応を完結させることができる。
【0029】
反応終了後、室温付近まで温度を下げ、析出する生成物の結晶を濾過し、必要に応じて再結晶にて精製後、生成物を得る。結晶が析出しない場合には、カラムクロマトグラフィ等によって精製し得る。
【0030】
本発明が、触媒等の添加剤を必要とせず、室温下で速やかに進行することは工業生産プロセス上、極めて有利なことである。
【0031】
本発明はまた、式(I):
【化28】

[式中、X〜X、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−1,3−ジカルボキシエステル誘導体を提供する。
【0032】
式(I)で表される誘導体は、好ましくは、式(I-1):
【化29】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体である。
【0033】
式(I)で表される誘導体は、特に好ましくは、式(I-1-2):
【化30】

[式中、Rは前記と同義である。]
で表される2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステルである。
【0034】
式(I)で表される誘導体の他の態様は、式(I-2-1):
【化31】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[2,3−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体である。
【0035】
式(I)で表される誘導体の他の態様は、式(I-2-2):
【化32】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[3′,4′−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体である。
【0036】
式(I)で表される誘導体の他の態様は、式(I-2-3):
【化33】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[4,5−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体である。
【0037】
式(I)で表される誘導体の他の態様は、式(I-2-4):
【化34】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[5,6−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体である。
【0038】
本発明の化合物は、H−NMR、13C−NMRおよび質量(MS)スペクトル分析によって化学構造を特定した。
NMR測定は日本電子 JMTC−400/54/SS 400MHz(特に明記しない限り、内部標準としてTMSを用いた。)を用いて行い、MSスペクトル測定は日本電子ハイテック JOEL JNM-AX 500 (特に記述がない限り、マトリックスとして3−ニトロベンジルアルコール: NBAを用いた。)を用いて行った。
【0039】
本発明の式(I)で表される2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−1,3−ジカルボキシエステル誘導体は新規化合物であり、睡眠薬や抗不安薬等の中枢神経系医薬の中間体として有用であることに加え、ジエステル基等の官能基を利用して様々な誘導体への変換が可能である。
例えば、下式:
【化35】

に示されるように、アミノ基へのアシル基、スルホニル基、アルキル基およびアリール基等の導入、あるいはエステル基の修飾等により新たな化合物の提供が可能である。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
10mlの三口フラスコを窒素置換し、2−アミノベンジルアミン(0.5g、4.09mmol)をメタノール(5ml)に溶解して添加した。次いで、撹拌下、室温(25℃)にてアセチレンジカルボン酸ジメチル(0.64g、4.50mmol、1.1当量)を10分間にわたって徐々に滴下した。滴下終了後、さらに30分撹拌し、生じた結晶を吸引濾過して乾燥した。収量は0.803gであった。得られた生成物をH−NMR、13C−NMRおよびMSスペクトルによって分析した結果、生成物の化学構造は式(I-1-2):
【化36】

[式中、Rはメチル基である。]
で表されるジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステルに一致した。原料の2−アミノベンジルアミンに対するモル収率は74%であった。
【0041】
得られた分析データを以下に示す:
1H-NMR δ (CDCl3): 2.84 (1H, d, J=15.6 Hz, one of CH2), 3.40 (1H, d, J=15.6 Hz, one of CH2), 3.68 (3H, s, CH3), 3.92 (3H, s, CH3), 4.87 (1H, br s, NH), 6.57 (1H, d, J=8.1 Hz, Ar-H), 6.68 (1H, t, J=7.3 Hz, Ar-H), 6.86 (1H, d, J=6.9 Hz, Ar-H), 7.01 (1H, t, J=7.3 Hz, Ar-H); 13C-NMR δ (CDCl3): 42.5, 43.3, 52.0, 53.0, 70.7, 115.2, 118.6, 120.0, 125.9, 127.4, 141.1, 170.3, 172.4.
FAB-MS (Matrix: 3-nitrobenzylalcohol): m/z 292 (M+), 203 (M-CO2Et).
【0042】
実施例2
実施例1におけるアセチレンジカルボン酸ジメチルに代えて、アセチレンジカルボン酸ジエチル(0.77g、4.50mmol、1.1当量)を用いる他は、実施例1と同様に実験を行った。得られた結晶の収量は0.81gであった。生成物の化学構造は式(I-1-2):
【化37】

[式中、Rはエチル基である。]
で表されるジエチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステルに一致した。に一致した。原料の2−アミノベンジルアミンに対するモル収率は68%であった。
【0043】
得られた分析データを以下に示す:
1H-NMR δ (CDCl3): 1.24 (3H, t, J=7.3 Hz, CH3), 1.25 (3H, t, J=7.3 Hz, CH3), 2.84 (1H, d, J=15.6 Hz, one of CH2), 3.02 (1H, d, J=15.6 Hz, one of CH2), 3.93 (1H, d, J=22.7 Hz, NCH), 3.97 (31H, d, =22.7 Hz, NCH), 4.15 (2H, d, J=7.3 Hz), 4.87 (1H, br s, NH), 6.58 (1H, d, J=7.8 Hz, Ar-H), 6.69 (1H, dt, J=1.0, 7.3 Hz, Ar-H), 6.88 (1H, d, J=7.1 Hz, Ar-H), 7.02 (1H, dt, J=1.0, 7.3 Hz, Ar-H); 13C-NMR δ (CDCl3): 14.1 (2×C), 42.5, 43.4, 61.0, 62.0, 70.6, 115.3, 118.5, 120.0, 125.9, 127.4, 141.3, 169.8, 171.8.
FAB-MS m/z : 292 (M+), 219 (M-CO2Et).
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体の製造方法は、触媒等の添加剤を必要とせず、室温下で速やかに進行することから、工業生産プロセスとして極めて有用な方法となり得る。
本発明の1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体は、睡眠薬や抗不安薬等の中枢神経系医薬の中間体として利用可能であることに加え、ジエステル基等の官能基を利用して様々な誘導体への利用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香環と[6,7]位で縮合してなる2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体(a)の製造方法であって、
(b)隣接した炭素原子にアミノ基およびアミノメチル基が置換してなる芳香環化合物、および
(III)アセチレンジカルボン酸ジエステルを
アルコール中で反応させることを特徴とする、下記反応式:
【化1】

[式中、Arは芳香環を表し、YおよびRはそれぞれ独立に置換基を有してよい炭化水素基を表す。]
で表される、[6,7]位縮合2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体(a)の製造方法。
【請求項2】
芳香環が、炭化水素芳香環またはヘテロ芳香環である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
芳香環がベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、ジアゾール環、フラン環、チオフェン環およびそれらとベンゼン環との縮合環から選ばれた少なくとも1種である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
芳香環が、ベンゼン環またはピリジン環であり、
芳香環と[6,7]位で縮合してなる2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体(a)が2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項5】
[6,7]位縮合2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボン酸ジエステル誘導体(a)が式(I):
【化2】

[式中、X〜Xはそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子であり(但し、X〜Xのいずれかが窒素原子であるときは、いずれか1つのみが窒素原子である。)、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してよい炭化水素基、アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し(但し、X〜Xのいずれかが窒素原子であるときは、窒素原子上の置換基は無く、X〜Xの内の相隣接する2つが炭素原子のときは、その相隣接する炭素原子上のR〜Rのいずれか2つは環を形成してよい。)、YおよびRは前記と同義である。]
で表される2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、
隣接した炭素原子にアミノ基およびアミノメチル基が置換してなる芳香環化合物(b)が式(II):
【化3】

[式中、X〜X、R〜RおよびYは前記と同義である。]
で表される化合物であり、および、
アセチレンジカルボン酸ジエステルが式(III):
【化4】

[式中、Rは前記と同義である。]
で表される、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
式(I)で表される誘導体が、
式(I-1):
【化5】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、式(II)が、
式(II-1):
【化6】

[式中、R〜RおよびYは前記と同義である。]
で表される2−アミノベンジルアミン化合物である請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
式(I)で表される誘導体が式(I-2-1):
【化7】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[2,3−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、
式(II)で表される化合物が、式(II-2-1):
【化8】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される2−アミノ−3−アミノメチルピリジン化合物である請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
式(I)で表される誘導体が式(I-2-2):
【化9】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[3,4−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、
式(II)で表される化合物が、式(II-2-2):
【化10】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される3−アミノ−4−アミノメチルピリジン化合物である請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
式(I)で表される誘導体が式(I-2-3):
【化11】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[4,5−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、
式(II)で表される化合物が、式(II-2-3):
【化12】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される4−アミノ−5−アミノメチルピリジン化合物である請求項5に記載の製造方法。
【請求項10】
式(I)で表される誘導体が式(I-2-4):
【化13】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[5,6−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体であり、
式(II)で表される化合物が、式(II-2-4):
【化14】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される5−アミノ−6−アミノメチルピリジン化合物である請求項5に記載の製造方法。
【請求項11】
アルコールが炭素数1〜10のアルコールである請求項1〜10のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項12】
式(I):
【化15】

[式中、X〜X、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾ(またはピリド)ジアゼピンの1,3−ジカルボキシエステル誘導体。
【請求項13】
式(I)で表される誘導体が、
式(I-1):
【化16】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表される2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体である請求項12に記載のベンゾジアゼピン誘導体。
【請求項14】
式(I)で表される誘導体が式(I-2-1):
【化17】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[2,3−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体である請求項12に記載のピリドジアゼピン誘導体。
【請求項15】
式(I)で表される誘導体が式(I-2-2):
【化18】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[3′,4′−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体である請求項12に記載のピリドジアゼピン誘導体。
【請求項16】
式(I)で表される誘導体が式(I-2-3):
【化19】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[4,5−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体である請求項12に記載のピリドジアゼピン誘導体。
【請求項17】
式(I)で表される誘導体が式(I-2-4):
【化20】

[式中、R〜R、YおよびRは前記と同義である。]
で表されるピリド[5,6−b]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−2,3−ジカルボキシジエステル誘導体である請求項12に記載のピリドジアゼピン誘導体。