説明

2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノール

消費製品の甘さを作り出すかまたは改変するための2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノールの使用。この化合物は、消費製品の甘さを作り出すかまたは改変するための方法に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノール(以下、「化合物A」)、および消費製品において、そのフレーバーを作り出すかまたは改変するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
消費製品のフレーバーは、2つの部分、すなわちアロマおよび味からなることが広く認識されている。一般的に、鼻腔において嗅覚的に感じられる部分を用語「アロマ」で表現し、一方「味」と称する部分は、口で感じられる感覚的なインパクトを表現するために用いられる。甘さは、一般的に認識される5つの味覚の1つである。消費製品の味またはアロマを改変することにより、そのフレーバーを改変する。特に、消費製品の甘さを改変すること、例えば、甘さを増強することにより、そのフレーバーを改変する。
【0003】
フレーバー業界において、消費製品のフレーバーを作り出すかまたは改変する化合物への、継続した要求が存在する。かかる化合物は、フレーバリストの幅を広げ、消費者のためのより素晴らしい製品の多様性をもたらす。特に、消費製品の甘味を増強する化合物への要求が存在し、これは、かかる化合物が、糖尿病および肥満などの健康およびウェルネスの問題のために、その使用が望まれない、従来の砂糖を、置き換えるかまたはこれへの依存を減らすことができるためである。
【発明の概要】
【0004】
消費製品のフレーバーを作り出すかまたは改変するために、化合物Aを消費製品において用いられ得ることが見出された。特に、化合物Aが甘味増強剤であり、したがって、消費製品の甘さを増強することができることが見出された。
【0005】
本明細書において、「甘味増強剤」の用語は、少なくとも1種の他の甘味のある化合物を含む消費製品において用いられた場合に、消費製品の全体の甘味において、付加的な増強よりも強い結果をもたらす化合物を意味する。化合物が甘味増強剤として働くために、組成物において、少なくとも1種の甘味のある化合物の存在が必要である。
【0006】
化合物Aを添加することにより、消費製品のフレーバーを作り出すかまたは改変する方法を提供する。
【0007】
化合物Aを添加することにより、消費製品のフレーバーを改変する方法であって、ここで、消費製品は少なくとも1種の甘味のある化合物を含む、前記方法も提供する。
【0008】
化合物Aを含む消費製品、特に、少なくとも1種の甘味のある化合物を含むかかる消費製品を提供する。
【0009】
上述の方法における、化合物Aの使用も提供する。
【0010】
本明細書において用いられる、用語「消費製品」は、口腔内に置かれ摂取され得る製品、または捨てられる前に口腔内に置かれ得る製品、例えばマウスウォッシュおよびチューインガムを意味する。
【0011】
本方法および製品は、以下の様々な態様の詳細な説明、および本明細書中の例を参照することにより、より容易に理解される。
【0012】
化合物Aは特開昭51−091218号公報において開示された、既知の化合物である。しかしながら、本出願人は、消費組成物のフレーバーを作り出すかまたは改変するために、化合物Aを用いることができることを見出した。特に、化合物Aが、少なくとも1種の甘味のある化合物を含む消費製品に添加されると、化合物Aが甘味増強剤として働くことを見出した。
【0013】
新しいフレーバーアコードを作り出すか、または存在するフレーバーアコードを改変することのできる原料の発見は、もちろん有益である。特定の消費製品、特に食品および飲料において、伝統的に用いられる砂糖の量を減少することを可能とするので、原料が甘さ増強の特性を有する場合には、特に有益である。化合物Aを甘味増強剤として、少なくとも一種の甘味のある化合物を含む消費製品において用いた場合、消費製品において存在する甘味のある化合物の合計量を、5%〜20%、ある態様においては5%〜10%減少させ得る。
【0014】
典型的に、甘味のある化合物は、消費製品に0.01〜99%の濃度で存在する。
【0015】
甘味のある化合物の例として、フルクトース、グルコース、スクロース、ラクトース、マルトース、サッカリン、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、ソルビトール、キシリトール、アスパルテーム、AceK、スクラロース、マルトデキストリン、ポリオール、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンジンジヒドロカルコン、レバウディオサイドA、ステビオシド、マンニトール、エリスリトール、キシロース、ラムノース、ラカンカ抽出物、モグロシドV(または羅漢果抽出物)、ステビア抽出物、タウマチン、イノシトール、シクラメート、モナチンおよびトリロバチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
化合物Aは、それ自体のフレーバーアコードを作り出すために、消費製品に添加することもできる。しかしながら、より典型的には、すでに1種または2種以上のフレーバー原料を含む消費製品に添加され、存在するフレーバーアコードを改変するために用いられる。化合物Aは、種々のフレーバーアコードを改変するために用いることができる。しかしながら、好ましくは、チョコレート、コーヒー、コーラ、チェリー、カラメル、および/または、ストロベリーおよび/またはアプリコットフレーバーを含むフルーツフレーバーを含む、アコードの改変において、有用である。
【0017】
したがって、特定の態様において、少なくとも1種のフレーバー原料を含む消費製品に化合物Aを添加することを含む、消費製品のフレーバーの改変方法を提供する。
【0018】
消費製品の特性、望まれる効果、消費製品の他の原料の特性および分量、および消費製品に化合物Aを添加する目的に依存して、化合物Aは、広い範囲の量で、消費製品に添加され得る。
【0019】
フレーバーを改変する化合物Aの量は、消費製品の合計の約100ppm〜約0.01ppm、特定の態様においては、約50ppm〜約0.01ppm、ある特定の態様においては、約10ppm〜約1ppmであり得る。
【0020】
甘さを増強する化合物Aの量は、消費製品の合計の約1ppm〜約20ppm、より好ましくは約1ppm〜約10ppmであり得る。
【0021】
これらの割合は、限定することを意味するものではなく、当業者にとって、特定の効果を達成するために、これらの限定の範囲外で実施することは可能であり、許容される。
【0022】
化合物Aは、ありとあらゆる消費製品に添加することができる。
【0023】
例は、あらゆる種類の食品、菓子製品、焼成製品、甘味製品、食欲をそそる風味のある(savoury)製品、乳製品、飲料およびオーラルケア製品を含むが、これらに限定されない。
【0024】
例示の食品として、冷蔵スナック、甘いおよび食欲をそそる風味のあるスナック、フルーツスナック、チップス/クリスプ、押出成型スナック、トルティーヤ/コーンチップス、ポップコーン、プレッツェル、ナッツ、他の甘いおよび食欲をそそる風味のあるスナック、スナックバー、グラノーラバー、ブレックファストバー、エナジーバー、フルーツバー、他のスナックバー、ミール・リプレイスメント製品、ダイエット(slimming)製品、回復期用飲料、調理済み食事(ready meal)、缶詰調理済み食事、冷凍調理済み食事、乾燥調理済み食事、冷蔵調理済み食事、ディナーミックス、冷凍ピザ、冷蔵ピザ、スープ、缶詰スープ、乾燥スープ、インスタントスープ、冷蔵スープ、uhtスープ、冷凍スープ、パスタ、缶詰パスタ、乾燥パスタ、冷蔵/生パスタ、麺類、味のついていない麺類、インスタントヌードル、カップ/ボウルインスタントヌードル、パウチ入りインスタントヌードル、冷蔵ヌードル、スナックヌードル、乾燥食品、デザートミックス、ソース、ドレッシングおよび調味料、ハーブおよびスパイス、スプレッド、ジャムおよびプリザーブ、はちみつ、チョコレートスプレッド、ナッツベースのスプレッド、およびイーストベースのスプレッドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
例示の菓子製品として、チューインガム(砂糖入りガム、シュガーフリーガム、機能性ガム、およびバブルガムを含む)、フィリング入り菓子、チョコレートおよび他のチョコレート菓子、薬の入った菓子、薬用キャンディー(lozenge)、タブレット、トローチ(pastille)、ミント、標準的なミント、パワーミント、チューイーキャンディー、ハードキャンディー、ボイルドキャンディー、ブレスおよび他のオーラルケアフィルムまたはストリップ、キャンディーケイン、ロリポップ、グミ、ジェリー、ファッジ、キャラメル、ハードおよびソフト糖衣(panned)製品、トフィー、タフィー、リコリス、ゼラチンキャンディー、グミドッロプ、ジェリービーンズ、ヌガー、フォンダン、上記の1または2以上の組み合わせ、および上記の1または2以上を組み込んだ可食性フレーバー組成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
例示の焼成製品は、アルフォーレス、パン、包装された/産業用のパン、包装されていない/職人のパン、ペストリー、ケーキ、包装された/産業用のケーキ、包装されていない/職人のケーキ、クッキー、チョコレート掛けビスケット、サンドウィッチビスケット、フィリング入りビスケット、食欲をそそる風味のあるビスケットおよびクラッカー、およびパン代用品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
例示の甘い製品は、朝食用シリアル、レディー・トゥー・イート(「rte」)シリアル、家族向け朝食用シリアル、フレーク、ミューズリー、他のレディー・トゥー・イートシリアル、子供向け朝食用シリアル、およびホットシリアルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
例示の食欲をそそる風味のある製品は、塩味スナック(ポテトチップス、クリスプ、ナッツ、トルティーヤ・トスターダ、プレッツェル、チーズスナック、コーンスナック、ポテトスナック、レディー・トゥー・イートポップコーン、電子レンジ調理可能なポップコーン、ポークラインズ、ナッツ、クラッカー、クラッカースナック)、朝食用シリアル、肉、アスピック、塩漬け肉(ハム、ベーコン)、ランチョン/朝食用ミート(ホットドッグ、コールドカット、ソーセージ)、トマト製品、マーガリン、ピーナッツバター、スープ(クリア、缶詰、クリーム、インスタント、UHT)、缶詰野菜、およびパスタソースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
例示の乳製品は、アイスクリーム、インパルス・アイスクリーム、個包装の乳製品アイスクリーム、個包装の氷菓(water ice cream)、マルチパック乳製品アイスクリーム、マルチパック氷菓、持ち帰りアイスクリーム、持ち帰り乳製品アイスクリーム、アイスクリームデザート、バルクアイスクリーム、持ち帰り氷菓、フローズンヨーグルト、職人のアイスクリーム、乳製品、乳、生/殺菌乳、全脂肪生/殺菌乳、半脱脂生/殺菌乳、長期保存/uht乳、全脂肪長期保存/uht乳、半脱脂長期保存/uht乳、無脂肪長期保存/uht乳、山羊乳、濃縮乳/無糖練乳、味のついていない濃縮乳/無糖練乳、フレーバー付、機能性および他の濃縮乳、フレーバー付乳飲料、乳製品のみのフレーバー付き乳飲料、フルーツジュース入りのフレーバー付乳製品、豆乳、サワーミルク飲料、発酵乳飲料、コーヒーホワイトナー、粉ミルク、フレーバー付粉状乳飲料、クリーム、ヨーグルト、味のついていない/ナチュラル(natural)ヨーグルト、フレーバー付きヨーグルト、フルーツ入りヨーグルト、プロバイオティックヨーグルト、飲むヨーグルト、通常の飲むヨーグルト、プロバイオティック飲むヨーグルト、冷蔵および常温保存可能なデザート、乳製品ベースのデザート、豆ベースのデザートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
例示の飲料は、フレーバー付きの水、ソフトドリンク、フルーツドリンク、コーヒーベースドリンク、茶ベースドリンク、ジュースベースドリンク(フルーツおよび野菜)、乳ベースドリンク、ゲルドリンク、炭酸または非炭酸ドリンク、粉末状ドリンク、アルコールまたはノンアルコールドリンクが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
化合物Aは、フレーバーを作り出すかまたは改変するために、消費製品に単独で添加され得る。
【0032】
代替的に、他のフレーバー原料、既知の甘味料のオフテイストをブロックまたはマスクする、オフノートブロッキングまたはマスキング原料、および一般的に用いられる賦形剤、例えば溶媒などを含有するフレーバー組成物の一部として用いることもできる。このように、化合物Aをフレーバー組成物の一部として、消費製品に添加してもよい。典型的なフレーバー組成物は、化合物A、ならびに甘味のある化合物、甘味増強剤、オフノートブロッキングまたはマスキング原料、フレーバー原料および賦形剤から選択される、1または2以上の原料を含む。フレーバー原料は、そのフレーバーが、化合物Aによって改変される原料であっても、またはフレーバーパッケージの単なる一部であってもよい。
【0033】
他の側面において、化合物Aを含む消費製品において、フレーバーの創作または改変のためのフレーバー組成物を提供する。特定の態様において、フレーバー組成物は、甘味のある化合物を含有する消費製品の甘味の増強において、有用である。
【0034】
消費製品における使用のために、化合物Aをフレーバー組成物において用いる場合、前記フレーバー組成物において、フレーバー組成物の重量に対して、約99.99%まで、特定の態様においては、約0.001%から約99.99%までの濃度範囲で用いてもよい。
【0035】
化合物Aは、フレーバー組成物または消費製品に、希釈しない形態で、または溶媒に溶解して、添加することができる。それは、ビヒクルに組み込んで(vehicularise)もよく、例えば、ポリマー、カプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、前駆体、フィルム形成剤、例えば炭素またはゼオライト、環状オリゴ糖およびこれらの混合物などを用いた吸収剤などの、封入材料で封入しても、または、光、酵素などの外部刺激の適用によって、フレーバー原料を放出するように調整された物質に化学的に結合してもよい。
【0036】
フレーバー組成物および消費製品において、化合物Aと共に用いられ得るオフノートブロッキングまたはマスキング原料は、当該技術分野において知られている、いずれの既知のオフノートブロッキングまたはマスキング原料でもよく、限定されない例は、クロロゲン酸および4−(2,2,3−トリメチルシクロペンチル)ブタン酸が挙げられる。
【0037】
フレーバー組成物および消費製品において、化合物Aと共に用いられ得る他のフレーバー付与原料は、天然フレーバー、人工フレーバー、スパイス、調味料等が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なフレーバー付与原料は、合成フレーバーオイルおよびフレーバー付与芳香族炭化水素および/またはオイル、植物、葉、花、果実などに由来する、含油樹脂、エッセンス、蒸留物、および抽出物など、ならびに前述の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。
【0038】
例示的なフレーバーオイルとして、スペアミントオイル、シナモンオイル、ウィンターグリーンのオイル(サリチル酸メチル)、ペパーミントオイル、ハッカオイル、クローブオイル、ベイオイル、アニスオイル、ユーカリオイル、タイムオイル、スギ葉オイル、ナツメグのオイル、オールスパイス、セージのオイル、メース、ビターアーモンドのオイル、カッシアオイルが挙げられる;有用なフレーバー付与剤は、人工の、天然のおよび合成のフルーツフレーバー例えば、バニラ、ならびにレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチなどのシトラスオイル、ならびにリンゴ、洋ナシ、モモ、グレープ、ブルーベリー、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、プラム、プルーン、レーズン、コーラ、ガラナ、ネロリ、パイナップル、アプリコット、バナナ、メロン、アプリコット、ウメ、チェリー、ラズベリー、ブラックベリー、トロピカルフルーツ、マンゴー、マンゴスチン、ザクロ、パパイヤなどのフルーツエッセンスが挙げられる。
【0039】
フレーバー剤によって付与される、追加の例示的なフレーバーは、ミルクフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、クリームフレーバー、ヨーグルトフレーバー;バニラフレーバー;緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、紅茶フレーバー、ココアフレーバー、チョコレートフレーバー、およびコーヒーフレーバーなどの茶またはコーヒーフレーバー;ペパーミントフレーバー、スペアミントフレーバーおよびハッカフレーバーなどのミントフレーバー;
【0040】
アサフェティダフレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー、アンジェリカフレーバー、フェンネルフレーバー、オールスパイスフレーバー、シナモンフレーバー、カモミールフレーバー、マスタードフレーバー、カルダモンフレーバー、キャラウェーフレーバー、クミンフレーバー、クローブフレーバー、ペッパーフレーバー、コリアンダーフレーバー、ササフラスフレーバー、セイボリーフレーバー、山椒フレーバー、エゴマフレーバー、ジュニパーベリーフレーバー、ジンジャーフレーバー、スターアニスフレーバー、セイヨウワサビフレーバー、タイムフレーバー、タラゴンフレーバー、ディルフレーバー、唐辛子フレーバー、ナツメグフレーバー、バジルフレーバー、マジョラムフレーバー、ローズマリーフレーバー、ベイリーフフレーバー、ワサビ(日本ワサビ)フレーバーなどのスパイシーなフレーバー;
【0041】
アーモンドフレーバー、ヘーゼルナッツフレーバー、マカダミアナッツフレーバー、ピーナッツフレーバー、ピーカンフレーバー、ピスタチオフレーバー、およびクルミフレーバーなどのナッツフレーバー;ワインフレーバー、ウィスキーフレーバー、ブランデーフレーバー、ラムフレーバー、ジンフレーバー、およびリキュールフレーバーなどのアルコールフレーバー;フローラルフレーバー;およびオニオンフレーバー、ガーリックフレーバー、キャベツフレーバー、ニンジンフレーバー、セロリフレーバー、マッシュルームフレーバー、およびトマトフレーバーなどの野菜フレーバーが挙げられる。
【0042】
ある態様において、かかる他のフレーバラント(flavourant)原料は、シンナミルアセテート、シンナムアルデヒド、シトラールジエチルアセタール、ジヒドロカルビルアセテート、オイゲニル49ホーメート、p−メチルアニソール、などのアルデヒド類およびエステル類が挙げられ、用いることができる。アルデヒドフレーバー付与剤の更なる例は、アセトアルデヒド(リンゴ)、ベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド)、アニスアルデヒド(リコリス、アニス)、シンナミックアルデヒド(シナモン)、シトラール、すなわちアルファ−シトラール(レモン、ライム)、ネラール、すなわちベータ−シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、エチルバニリン(バニラ、クリーム)、ヘリオトロープ、すなわちピペロナール(バニラ、クリーム)、バニリン(バニラ、クリーム)、アルファ−アミルシンナムアルデヒド(スパイシーフルーティーフレーバー)、ブチルアルデヒド(バター、チーズ)、バレルアルデヒド(バター、チーズ)、シトロネラール(修飾体、多くのタイプ)、デカナール(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−8(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−9(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−12(シトラスフルーツ)、2−エチルブチルアルデヒド(ベリーフルーツ)、ヘキセナール、すなわちトランス−2−ヘキセナール(ベリーフルーツ)、トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド)、ベラトルムアルデヒド(バニラ)、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、すなわちメロナール(メロン)、2,6−ジメチルオクタナール(グリーンフルーツ)、および2−ドデセナール(シトラス、マンダリン)などが挙げられる。
【0043】
他のフレーバー付与原料の更なる例は、米国科学アカデミーによる「Chemicals Used in Food Processing」、刊行1274、63〜258ページ、1965年、において見られ、これは本明細書において参照として組み込まれる。
【0044】
フレーバー組成物および消費製品は、かかるフレーバー組成物または消費製品において、従来用いられている、1種または2種以上の原料または賦形剤、例えば、キャリア材料および当該技術分野において一般的に用いられている他の補助的な剤を含み得る。フレーバー組成物のための好適な賦形剤は、当該技術分野において周知であり、例えば、溶媒(水、アルコール、エタノール、オイル、ファット、ベジタブルオイル、およびMiglyol)、バインダー、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、フレーバー付与剤、着色剤、保存料、抗酸化剤、乳化剤、安定化剤、フレーバー増強剤、アンチケーキング剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
フレーバー組成物および消費製品のための、かかるキャリアおよび希釈剤の例は、「Perfume and Flavour Materials of Natural Origin」, S. Arctander, Ed., Elizabeth, N.J., 1960;「Perfume and Flavour Chemicals」, S. Arctander, Ed., Vol. I & II, Allured Publishing Corporation, Carol Stream, USA, 1994;「Flavourings」, E. Ziegler and H. Ziegler (ed.) Wiley-VCH Weinheim, 1998、および「CTFA Cosmetic Ingredient Handbook」J.M. Nikitakis (ed.), 1st ed., The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association, Inc., Washington, 1988において見られる。
【0046】
フレーバー組成物および消費製品の、他の好適で望ましい原料は、一般的な教科書、「Handbook of Industrial Chemical Additives」, ed. M. and I. Ash, 2nd Ed., (Synapse 2000) に記載されている。
【0047】
化合物A (CAS No. 58451-96-0)は既知の化合物であり、当該技術分野において知られた方法にしたがって合成することができる。合成方法は、Yamato, Masatoshi; Hashigaki, Kuniko; Uenishi, Junichi; Yamakawa, Ikuko; Sato, Noriko; Koyama, Takaji, Chemical structure and sweet taste of isocoumarin and related compounds. VI. Chemical & Pharmaceutical Bulletin (1975), 23(12), 3101-5. CODEN: CPBTAL ISSN:0009-2363. CAN 84:99154 AN 1976:99154 CAPLUS. において記載されている。この文献は、本明細書において参照として組み込まれる。
【0048】
以下に、本方法および製品を表す、一連の限定されない例を示す。
【0049】
例1:化合物Aの味の評価
化合物Aの1%溶液をエタノールで調製した。
この1%溶液を、水を用いてさらに希釈し、10ppm溶液を作った。
【0050】
訓練された専門家のパネルに、このサンプル溶液の味を評価すること、およびフレーバー特質についてコメントすることを求めた。
サンプルが、以下のフレーバー特質を有することが見出された:
最初の甘さ、スパイシー、フェノール様、オイゲノール様。
【0051】
例2:2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノールの等強度測定
化合物Aの1%溶液をエタノールで調製した。
この1%溶液を、水を用いてさらに希釈し、5ppmのサンプル溶液を作った。
この溶液の等強度を判断するために、訓練された専門家のパネルに、このサンプル溶液の味(特に甘味)を、0.5%、1%および1.5%のサンプルスクロース溶液と比較して評価することを求めた。
【0052】
パネルテストは以下の手法で行われた:
各サンプル、20ミリリットルを、ブラインドで、ウィリアムのラテン方格法(William's Latin square design)に従った均衡を保った(counter balanced)順序で、20人の甘味に敏感なパネリストに提供した。
2つの複製(1回のセッションの中)において、パネリストに、溶液を味見して、最も甘くないものから、最も甘いものに、溶液をランク付けすることを求めた。
そして、5ppmの2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノールサンプル溶液、および夫々のサンプルスクロース溶液(0.5%、1%、および1.5%)の間のR-index統計を計算し、これらが互いに有意に異なるか否かを判断した。
【0053】
計算されたR-index値および35%〜65%の範囲の臨界値の間で、p<0.05である場合、サンプルは有意に異なると考えられた。
臨界値範囲よりも有意に大きなR-indexは、化合物Aのサンプル溶液が、スクロースサンプルよりも有意に甘くないことを意味する。下限の臨界値範囲よりも有意に低いR-indexは、化合物Aのサンプル溶液が、スクロースのサンプル溶液よりも、有意に甘いことを示す。
結果を表1に詳細に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
これらの結果から、5ppm化合物Aのサンプル溶液は、0.5%スクロースのサンプル溶液と同等に甘いと受け入れられ、1.0%および1.5%スクロースのサンプル溶液と比較して有意に甘くない(計算したR-index値が、p<0.05で臨界値を超えた)と受け入れられることが判断された。
【0056】
例3:化合物Aによる、砂糖水における甘味増強
化合物Aの1%エタノール溶液を、7%スクロース水溶液に添加した。これにより、5ppmの化合物Aを含有する、7%スクロース水のサンプル溶液を得た。
訓練された専門家のパネルに、化合物Aは含有せず、7%、8%、9%および10%のスクロースを含有するサンプル水溶液と比較した、このサンプル溶液の味(特に甘味)の評価を求めた。
【0057】
パネルテストは以下の手法で行われた:
12ミリリットルの各サンプル溶液を、ブラインドで、ランダムな順序で、20人の甘味に敏感なパネリストに提供した。
2つの複製(1回のセッションの中)において、パネリストに、最も甘くないものから、最も甘いものに、溶液をランク付けすることを求めた。
【0058】
そして、例4に記載に様に、データをR-index分析に掛けた。
結果を表IIに詳細に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
これらの結果から、7%スクロース+5ppmの化合物A溶液は、8%スクロースよりも有意に甘く、10%スクロースよりも有意に甘くなく、9%スクロースと同等の甘さであることが判断された。
その結果として、化合物Aが甘いフレーバー増強剤として作用することが結論づけられ得る。
【0061】
例4:化合物Aを含むフレーバーの味評価
化合物Aの1%エタノール溶液を、コーラフレーバーが付与された溶液に添加した。これにより、5ppmの化合物Aを含有するコーラ溶液を得た。
そして、訓練された専門家のパネルに、このコーラ溶液のサンプルの、化合物Aを含んでいないコーラ溶液に対するフレーバーを評価すること、および認識したフレーバー特質の差異についてコメントすることを求めた。
【0062】
この試験を、チェリーおよびカラメルフレーバーが付与された溶液に関しても繰り返した。
結果を表IIIに示す。
【0063】
【表3】

【0064】
上記説明および上述の例を介して、態様を詳細に説明したが、これらの例は、説明の目的のためのみのものであって、当業者によって、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、変化および修正を行うことが可能であることが理解される。上記の態様は、選択肢だけではなく、組み合わせることもできることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノールを添加することにより、少なくとも1種の甘味のある化合物を含有する消費製品の甘さを増強する方法。
【請求項2】
少なくとも1種の甘味のある化合物が、スクロース、フルクトース、グルコース、マルトース、ラクトース、スクラロース、AceK、アスパルテーム、ネオテーム、レバウディオサイドA、ステビア抽出物、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンジンジヒドロカルコン、トリロバチン、シクラメート、サッカリン、ソルビトール、キシリトール、マルトデキストリン、ポリオール、ステビオシド、マンニトール、キシロース、ラムノース、タウマチン、イノシトール、モナチン、ラカンカ抽出物、モグロシドV、羅漢果抽出物、エリスリトールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
消費製品が、食品、菓子製品、焼成製品、甘味製品、食欲をそそる風味のある製品、乳製品、飲料およびオーラルケア製品からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
消費製品が、2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノールに加えて、少なくとも1種のフレーバー原料を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種のフレーバー原料が、チェリー、コーラまたはカラメルのアコードを形成する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
消費製品において、2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノールが、約0.01ppm〜約100ppmの量で存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
消費製品において、2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノールが、約1ppm〜約10ppmの量で存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の消費製品の甘さを増強する方法。
【請求項8】
消費製品において、甘味のある化合物が、約0.01%〜約99%の濃度で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノールおよび少なくとも1種の甘味のある化合物を含む消費製品。
【請求項10】
少なくとも1種の甘味のある化合物が、スクロース、フルクトース、グルコース、マルトース、ラクトース、スクラロース、AceK、アスパルテーム、ネオテーム、レバウディオサイドA、ステビア抽出物、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンジンジヒドロカルコン、トリロバチン、モナチン、シクラメート、サッカリン、ソルビトール、キシリトール、マルトデキストリン、ポリオール、ステビオシド、マンニトール、キシロース、ラムノース、タウマチン、イノシトール、ラカンカ抽出物、モグロシドV、羅漢果抽出物、エリスリトールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の消費製品。
【請求項11】
消費製品が、食品、菓子製品、焼成製品、甘味製品、食欲をそそる風味のある製品、乳製品、飲料およびオーラルケア製品からなる群から選択される、請求項9または10に記載の消費製品。
【請求項12】
消費製品が、2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノールに加えて、少なくとも1種のフレーバー原料を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の消費製品。
【請求項13】
少なくとも1種のフレーバー原料が、チェリー、コーラまたはカラメルのアコードを形成する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の消費製品。
【請求項14】
消費製品において、2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノールが、約0.01ppm〜約100ppmの量で存在する、請求項9〜13のいずれか一項に記載の消費製品。
【請求項15】
消費製品において、2−メトキシ−5−(フェノキシメチル)フェノールが、約1ppm〜約10ppmの量で存在する、請求項9〜14のいずれか一項に記載の消費製品。

【公表番号】特表2013−512666(P2013−512666A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541497(P2012−541497)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068687
【国際公開番号】WO2011/067313
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】