説明

2成分現像剤と2成分現像剤の作製方法

【課題】小粒径トナーを使用した場合でも、長期にわたって安定した画質を確保できる2成分現像剤を得ることを目的とする。
【解決手段】着色粒子に無機微粒子が付着してなる体積メディアン粒子径が3〜8μmのトナーと、無機微粒子を付着してなる質量平均粒子径が20〜40μmのキャリアからなる2成分現像剤であり、且つ、トナーに付着されている無機微粒子を構成している元素(A)のキャリア表面上でのX線分析装置により測定された面積比率が、0.5〜3.0面積%であることを特徴とする2成分現像剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2成分現像剤とその作製方法に関するものであり、より詳しくはキャリアに無機微粒子による前処理を行った2成分現像剤と、その作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の現像方法において、2成分現像法は優れた現像法として広く用いられているが、今日においても全く問題を抱えていないわけではない。中でも長期期間の使用に耐え、しかも全期間を通じて性能が一定で安定している2成分現像剤への要望は大きい。
【0003】
キャリアの耐久性向上を目的とした例としては、例えば特許文献1及び2のような公開技術が挙げられる。
【0004】
上記、特許文献においては、長期使用による抵抗上昇を未然に防止し、そのことによって耐久安定性を達成できるとされている。しかし、これら文献に記載された発明はキャリアの被覆樹脂中に導電性微粉末を含有させるというものであり、いずれもキャリアが低抵抗化され、環境安定性等の課題があった。また、現像剤使用初期と、経時後の帯電性変動については、依然として未解決のままであった。
【0005】
一方、近年電子写真法において、高画質化を狙ってトナーの小粒径化の検討がされているが、その場合、トナーの流動性低下、キャリアとの摩擦帯電安定性の不足等の課題があった。その対策として、トナーの流動性確保の目的で、添加する外添剤の量が多くなる傾向がある。しかし、そのために保管時や現像処理時におけるキャリアへの移行量も増加し、これによりキャリアの荷電性能が低下して、現像剤作製初期と経時された後の現像剤特性に大きな差が生じてしまい、長期にわたって安定した画質を得るのが困難となるケースが増大した。
【0006】
2成分現像剤において、キャリアはトナーと摩擦帯電を繰り返すことにより、必然的にトナー表面に保持されている外添剤をキャリア表面に付着・保持することになると考えられる。しかし、キャリア表面に外添剤が付着しすぎると、キャリア表面の帯電性能が低下し、そのために現像剤の帯電量が低下し、トナー飛散、かぶり等の品質低下の原因となる。
【0007】
又、一方では、キャリア表面はトナーとの接触、現像器内での搬送・撹拌による帯電処理等のストレスの繰り返しにより、表面が減耗され、最表面に付着した不純物も含めて除去されることとなる。
【特許文献1】特開平9−160304号公報
【特許文献2】特開平9−152749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、2成分現像剤は保管或いは現像処理により、特にその初期においてトナーからキャリアへの外添剤移行が急速に進行し、一方で、前記外添剤が表面に付着したキャリア表面は多数枚のプリントにより穏やかに減耗していき、徐々に外添剤が除去されるという現象が生じている。そのため、数万枚プリントした後では、両者のバランスの取れた水準でキャリア表面の外添剤量は維持され、帯電レベルは収束していくものと考えられる。
【0009】
しかしながら、上記のような現象が生じたままでは、初期の帯電量を最適なレベルに合わせると、使用後は帯電レベルが低く成りすぎてしまい、使用後の帯電量レベルを最適にしようとすると、初期の帯電量が高く成りすぎてしまって画像が薄くなり、初期から多数プリントに使用後まで一定した画質を得ることが困難であった。
【0010】
そこで、本発明は、外添剤量が比較的多く、外添剤の移行による帯電量の低下が起こりやすい小粒径トナーを使用した場合においても、初期の帯電量の低下を抑えることにより、初期から数万枚プリント後に至るまで、安定した画質を確保できる2成分現像剤を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明では、トナー外添剤のキャリアへの移行に着眼し、初期のキャリアを一定量の外添剤で処理することにより、初期的に帯電レベルを調整し、長期使用後においても同等の帯電レベルを維持することにより、長期にわたり帯電性を安定させるものである。また、これにより帯電量の低下が最も著しく現れる高温高湿の環境下においても、帯電量が低下することなく、安定させることができる。
【0012】
1.
着色粒子に無機微粒子が付着してなる体積メディアン粒子径が3〜8μmのトナーと、無機微粒子を付着してなる質量平均粒子径が20〜40μmのキャリアからなる2成分現像剤であり、且つ、トナーに付着されている無機微粒子を構成している元素(A)のキャリア表面上でのX線分析装置により測定された面積比率が、0.5〜3.0面積%であることを特徴とする2成分現像剤。
【0013】
2.
前記元素(A)がTi(チタン)であることを特徴とする前記1に記載の2成分現像剤。
【0014】
3.
前記1又は2に記載の2成分現像剤において、トナーのX線分析装置により測定された元素(A)の面積比率:TA(面積%)と、キャリアのX線分析装置による元素(A)の面積比率:CA(面積%)の関係が
1<TA/CA<8
であることを特徴とする2成分現像剤。
【0015】
4.
前記1〜3のいずれか1項に記載の2成分現像剤において、トナーへの元素(A)を含む無機微粒子の添加量:tA(質量%)と、キャリアへの元素(A)を含む無機微粒子の添加量:cA(質量%)の関係が
5<tA/cA<80
であることを特徴とする2成分現像剤。
【0016】
5.
前記4に記載の2成分現像剤の作製方法において、キャリア粒子に元素(A)を含む無機微粒子を0.005〜0.05%添加し、キャリア粒子表面に該無機微粒子を付着させた後、着色粒子に元素(A)を含む無機微粒子を0.1〜1.0%添加し付着させたトナーと、を混合することを特徴とする2成分現像剤の作製方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、小粒径トナーを使用した場合でも、長期にわたって安定した画質を確保できる2成分現像剤を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の構成要件、物性値の測定方法、使用するトナー・キャリアの製法、使用する画像形成装置等について、さらに説明する。
【0019】
〔本発明で使用されるトナー及びキャリアの特性〕
本発明で使用されるトナー粒径は、高画質を得るためには3〜8μmが適正であり、4〜7μmがより望ましい。3μm以下では流動性確保が困難で、8μm以上では高画質化が十分はたせない。
【0020】
キャリア粒径としては、小粒径トナーを使用する上で、また高画質を得るために20〜40μmの範囲のものを使用する必要があり、好ましくは25〜37μmが望ましい。20μm以下ではトナーとの適正な混合が困難であり、40μm以上では高画質が望めない。
【0021】
キャリアの磁力は、40〜70Am2/g、好ましくは45〜60Am2/gが望ましい。
【0022】
〔無機粒子〕
キャリアにおける元素(A)を含有する無機粒子の面積比率は、0.5〜3.0面積%であるが、より好ましい範囲は1.0〜3.0面積%である。
【0023】
上記無機微粒子としては、2成分現像剤中にトナーの外添剤として使用する微粒子を、トナーとは別に添加するのがよい。即ち、トナーと混合するのと同一の外添剤をキャリアに添加し撹拌混合する。
【0024】
この様な手段は、以前にも採られたことはあったが、その目的は、現像剤を作製するにあたり、キャリアとトナーを混合すると、トナーの外添剤が脱離して、或いはトナー中へ埋没し、トナーの流動性が著しく低下することにより生ずる画像欠陥を抑制することであった。要するに初期のトナー劣化を防止することがその目的であった。現像剤としての帯電量に着目しその安定性、耐久性向上を目的とするものではなかった。
【0025】
本発明においては、そこに含有される元素(A)の表面比率に注目し、元素(A)の表面比率を前記範囲内に調製することにより、現像剤の帯電安定性を外部環境変化も含めて、維持することを可能にするものである。表面比率が0.5面積%未満の場合、キャリアへの微粒子添加の効果は十分得られず、3.0面積%を超える場合は、初期帯電量が低下しすぎて、逆に帯電量が次第に上昇してしまう傾向が出てくる。
【0026】
無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機微粒子が好ましい。
【0027】
具体的には、シリカ微粒子として、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0028】
チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0029】
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0030】
無機微粒子の粒径は、10〜300nmが望ましく、添加量は、トナーに対しては、0.1〜1.0質量部、好ましくは、0.2〜0.8質量部が望ましく、キャリアに対しては、0.005〜0.05質量部、好ましくは0.01〜0.04質量部が望ましい。
【0031】
元素(A)とは、具体的にはTi、Si、Alといった元素であるが、特にはTi(チタン)が好ましい。
【0032】
又、トナーのX線分析装置により測定された元素(A)の面積比率:TA(面積%)と、キャリアのX線分析装置による元素(A)の面積比率:CA(面積%)の関係が、1≦TA/CA≦8であることが好ましく、更に2〜6の範囲がより好ましい。
【0033】
さらに、トナーへの元素(A)を含む無機微粒子の添加量:tA(質量%)と、キャリアへの元素(A)を含む無機微粒子の添加量:cA(質量%)の関係が、5≦tA/cA≦80であることが好ましく、更に20〜60の範囲が好ましい。
【0034】
キャリアの無機微粒子を用いた前処理方法としては、キャリアに前処理に用いる無機微粒子を適量添加した上で、タービュラーミキサー、V型混合機などの混合機で処理時間、30分〜1時間撹拌し、処理するのが好ましい。
【0035】
〔特性の測定方法〕
(トナーの体積基準メディアン径(体積D50%径)の測定)
コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出する。
【0036】
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを2500個に設定して測定する。尚、アパチャ−径は50μmのものを使用した。
【0037】
(帯電量)
本発明の現像剤サンプルにおけるトナーの帯電量を帯電量測定装置「ブローオフ式TB−200」(東芝社製)により測定した。
【0038】
ブローオフ式の帯電量測定装置を用いて帯電量を測定する。
【0039】
400メッシュのステンレス製スクリーンを装着したブローオフ帯電量測定装置(例えばTB−200:東芝ケミカル社製)でブロー圧50kPaの条件で10秒間窒素ガスにてブローする。測定された電荷を飛翔したトナー質量でわることによって帯電量(μC/g)を算出する。
【0040】
(キャリアの粒径)
前準備:
ビーカーに、現像剤、少量の中性洗剤、純水を添加してよくなじませ、ビーカー底に磁石を当てながら上澄み液を捨てる。さらに、純水を添加し上澄み液を捨てることで、トナーおよび中性洗剤を除き、キャリアのみを分離する。これを40℃にて乾燥し、キャリア単体を得る。
【0041】
測定:
前準備により現像剤より分離したキャリアを、走査型電子顕微鏡により、150倍にて写真を撮影し、ランダムに100個以上の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像を、画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ社製)を用いて測定した。
【0042】
(元素の面積比率(ESCA))
X線分析装置による元素の面積比率を測定して求めた。
【0043】
測定:
測定サンプルを、X線分析装置ESCA−1000(島津製作所社製)を用いて、表面近傍の元素の面積比率を測定した。
【0044】
測定条件:
X線強度;30mA、10kV
分析深度;Normalモード
定量元素;Si、Ti、O、C、Al
の元素を同時に定量分析し、面積率トータル100%に対する、外添剤に該当する元素の比率を求め、(面積%)とした。
【0045】
なお、キャリアの測定時には、下記の前準備を行った後、測定を行った。
【0046】
前準備:
ビーカーに、現像剤、少量の中性洗剤、純水を添加してよくなじませ、ビーカー底に磁石を当てながら上澄み液を捨てる。さらに、純水を添加し上澄み液を捨てることで、トナーおよび中性洗剤を除くことで、キャリアのみを分離する。40℃にて乾燥し、キャリア単体を得る。
【0047】
〔本発明に係わるキャリア〕
本発明に用いることが出来るキャリアは特に限定はないが、樹脂被覆キャリアが望ましい。
【0048】
樹脂被覆層の形成に用いるバインダー樹脂としては、被膜を形成できるものであれば特に限定されず用いることができるが、以下に述べる乾式法により樹脂被覆層を形成する場合には熱可塑性樹脂の粒子が好ましい。
【0049】
熱可塑性樹脂としては、以下に詳述するアクリル酸エステル系重合体(共重合体を含む)が好ましい。
【0050】
アクリル酸エステル系重合体を構成するモノマーとしては、例えば次のモノマー、アクリル酸およびメタクリル酸とアルキルアルコール、ハロゲン化アルキルアルコール、アルコキシアルキルアルコール、アラルキルアルコールもしくはアルケニルアルコール等とのエステル化物が挙げられる。その他に樹脂としてはスチレン及びその誘導体から得られる重合体(共重合体)があげられる。
【0051】
またこれらのモノマーと共重合可能なモノマーとして付加重合性不飽和カルボン酸類及びそのエステル化物、脂肪族モノオレフィン、共役ジエン系脂肪族ジオレフィン、含窒素ビニル化合物、酢酸ビニル類、ビニルエーテル類、ビニルシラン化合物等のようなモノマーがあり、前記した共重合体の共重合成分として使用できる。
【0052】
これらの中、帯電能力、被覆層の形成能力等から、アクリル酸、メタクリル酸とアルキルアルコールとのエステル化物の単独重合体、共重合体、及びそれらとスチレンとの共重合体が好ましく用いられる。アルキルアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、t−ブチルアルコール等が好ましい。
【0053】
これらのアクリル酸エステル系重合体は重量平均分子量(Mw)で5万〜100万のものであれば磁性体粒子への固着強度が高くなりキャリアの耐久性が向上させることができ好ましい。
【0054】
次に、キャリアを構成する磁性芯材について説明する。
【0055】
本発明で用いられる磁性芯材は、従来公知のものを使用することができるが、マグネタイト、フエライトのごとき真比重が3〜7g/mlの磁性粒子を用いた場合は、現像器内での混合撹拌時に現像剤が受けるストレスが小さくなり、被覆層の破壊やトナーのキャリア表面への融着等を生じ難くなるため好ましい。
【0056】
磁性芯材の質量平均粒子径は、樹脂被覆層を設けて20〜40μmになるものが好ましい。
【0057】
次に、キャリアの製造方法について説明する。
【0058】
本発明の摩擦帯電付与部材(キャリア)は、磁性芯材の上に樹脂被覆層を設けて製造することができる。
【0059】
本発明に係る樹脂被覆層は、公知の乾式法、湿式法(溶媒コーティング法、溶媒浸漬法)等により磁性芯材上に設けることができるが、これらの中で乾式法が製造コスト、環境負荷低減の観点から好ましい。
【0060】
乾式法とは、熱可塑性樹脂粒子(バインダー樹脂)、磁性芯材とを図1に記載の装置を用い、乾式で加熱混合して、磁性芯材の上に樹脂被覆層を設ける方法である。
【0061】
図1は、磁性芯材の上に樹脂被覆層を乾式で形成する装置の一例を示す撹拌羽根付き高速撹拌混合機の側面図である。
【0062】
図1において、10は本体容器、10aは本体容器底部、11は本体上蓋、12は原料投入口、13は投入弁、14はフィルター、15は点検口、16は品温計、17はジャケット、18は水平方向回転体、18a、18b、18cは水平方向回転体翼部、18dは水平方向回転体中心部、19は垂直方向回転体、20は製品排出口、21は排出弁、22はモータ、23はスリットエアー噴出機を示す。
【0063】
溶媒コーティング法とは、樹脂被覆層を形成するバインダー樹脂の溶媒溶解液からなるコーティング液を、磁性芯材の上にコートして樹脂被覆層を設けて作製する方法である。
【0064】
〔2成分現像剤〕
次に、2成分系現像剤について説明する。
【0065】
本発明に係る2成分系現像剤は、本発明に係るキャリアとトナーを混合することにより調製することができる。
【0066】
キャリアとトナーの混合割合は、キャリアに対してトナー濃度が1〜15質量%となることが好ましい。
【0067】
キャリアとトナーを混合する混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機、タービュラーミキサー等の公知の装置を用いることができるが、これらの中ではヘンシェルミキサーが好ましい。
【0068】
〔本発明で用いられるトナー〕
次に、本発明で用いられるトナーについて説明する。
【0069】
トナー粒子の作製方法は、特に限定はないが、液中からトナー粒子を固液分離して作製されたものが好ましい。懸濁重合法、乳化会合法、溶解懸濁法等のいずれの方法で作製したトナー粒子分散液からでも製造できるが、粒度分布がシャープで、画像が優れ、高い現像剤寿命が得られる乳化重合会合法で製造したトものが好ましい。
【0070】
以下、乳化重合会合法によるトナー粒子分散液の製造方法について説明する。
【0071】
乳化重合によるトナー粒子分散液の製造方法は、水系媒体中でトナー粒子を形成させる方法で、例えば特開2002−351142号公報等に開示されている。
【0072】
また、特開平5−265252号公報、特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に開示される樹脂粒子を水系媒体中で塩析/融着させてトナー粒子分散液を製造する方法を挙げることができる。
【0073】
具体的には、水中で樹脂粒子を乳化剤を用いて分散させた後、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加えて塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒子径を成長させ、目的の粒子径となったところで水を多量に加えて粒子径成長を停止し、さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、トナー粒子分散液調製するものである。なお、ここにおいて凝集剤と同時にアルコールなど水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0074】
水系媒体としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、またはこれらを混合したものを挙げることができるが特に限定されるものではない。トナーの製造にはこれらの中から適したものを選ぶことができる。
【0075】
有機溶媒としては、トルエン、キシレン、またはこれらを混合したものを挙げることができるが特に限定されるものではない。
【0076】
本発明に係るトナーは、流動性の改良やクリーニング性の向上等の目的で、いわゆる外添剤をトナー粒子に添加して使用する。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0077】
外添剤として使用できる無機微粒子としては、従来公知のものを挙げることができる。具体的には、シリカ微粒子、チタン微粒子、アルミナ微粒子等を好ましく用いることができる。これら無機微粒子は疎水性であることが好ましい。
【0078】
シリカ微粒子の具体例としては、日本アエロジル株式会社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト株式会社製のHVK−2150、H−200、キャボット株式会社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0079】
チタン微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル株式会社製の市販品T−805、T−604、テイカ株式会社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン株式会社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産株式会社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0080】
アルミナ微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル株式会社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業株式会社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0081】
外添剤として使用できる有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体等のを挙げることができる。
【0082】
外添剤として使用できる滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。かかる高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム等のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム等のリシノール酸金属塩等が挙げられる。
【0083】
外添剤の添加量としては、トナー粒子に対して0.1〜5質量%程度であることが好ましい。
【0084】
外添剤をトナー粒子中に添加混合する装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエ
ルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機等の種々の公知の混合装置を挙げることができる。
【0085】
〔本発明で用いられる感光体〕
次に、本発明で用いられる感光体について説明する。
【0086】
本発明で用いられる感光体は、特に限定されるものではないが、特開2003−202785号公報や、特開2003−208036号公報に記載される導電性支持体上に有機感光層を有し、当該有機感光層の上に有機珪素化合物を縮合させて形成した表面保護層を有する、いわゆるシリコンハードコート層と呼ばれる表面保護層を有する感光体も使用することができる。
【0087】
〔画像形成方法〕
次に、画像形成方法について説明する。
【0088】
本発明に係るキャリアは、小型で高速の画像形成装置に好ましく用いることができる。
【0089】
図2は本発明に係るキャリアを用いる画像形成方法の一例を示す画像形成装置の断面構成図である。
【0090】
図2に示す画像形成装置は、デジタル方式による画像形成装置であって、カラープリンタ(タンデム型で中間転写体を介して記録材へ転写するタイプ)の一例を示す断面図である。
【0091】
以下、図2の画像形成装置について説明する。
【0092】
図2に示す画像形成装置は、ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、ベルト形状の中間転写体16と、転写ローラ17Y、17M、17C、17Bkと、記録材搬送ローラ18と、定着装置2とを備えている。本発明では、ベルト形状の中間転写体16のベルト材料として、ベルト形状の前記本発明に係る中間転写体を備える。本発明では中間転写体16や、後述する定着装置2のエンドレスベルトのベルト材料として、ポリイミド樹脂が使用される。
【0093】
ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転可能にそれぞれ有機感光層を有する感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkが備えらる。感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkの周囲には、コロトロン帯電器12Y、12M、12C、12Bkと、露光器13Y、13M、13C、13Bkと、各色現像器(イエロー現像器14Y、マゼンタ現像器14M、シアン現像器14C、ブラック現像器14Bk)と、感光体クリーナ15Y、15M、15C、15Bkとがそれぞれ配置されている。
【0094】
ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、中間転写ベルト16に対して4つ並列に配置されているが、ユニット10Bk、10Y、10C、10Mの順等、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
【0095】
中間転写ベルト16は、バックアップローラ30、支持ローラ31、32、33によって、矢印の反時計方向に感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkと同じ周速度をもって回転可能になっており、支持ローラ32、33の中間に位置するその一部が感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkとそれぞれ接するように配置されている。中間転写ベルト16は、ベルト用クリーニング装置34が備えられている。支持ローラ31はテンションローラの役割を担い、中間転写ベルト16面方向に移動可能に配置され、中間転写ベルト16のテンションを調節することができる。
【0096】
転写ローラ17Y、17M、17C、17Bkは、中間転写ベルト16の内側であって、中間転写ベルト16と感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置され、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkと、中間転写ベルト16にトナー画像転写する一次転写部(ニップ部)を形成している。
【0097】
バイアスローラ35は、中間転写ベルト16のトナー像が担持される表面側に、中間転写ベルト16を介しバックアップローラ30と対向して配置されている。この中間転写ベルト16を介したバイアスローラ35とバックアップローラ30とで二次転写部(ニップ部)を形成している。又、バックアップローラ30には、バックアップローラ30に圧接して回転する電極ローラ26を備える。
【0098】
定着装置2は、記録材Pが上記二次転写部を通過した後に搬送できるように配置されている。
【0099】
図2に示す画像形成装置のユニット10Yにおいては、感光体ドラム11Yを回転駆動させる。これと連動してコロトロン帯電器12Yが駆動し、感光体ドラム11Yの表面を所定の極性・電位に一様に帯電させる。表面が一様に帯電された感光体ドラム11Yは、次に、露光器13Yによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
【0100】
続いて該静電潜像は、イエロー現像器14Yによって現像されと、感光体ドラム11Yの表面にトナー画像が形成される。
【0101】
このトナー画像は、感光体ドラム11Yと中間転写ベルト16との一次転写部(ニップ部)を通過すると同ときに、転写ローラ17Yから印加される転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト16の外周面に順次、一次転写される。
【0102】
この後、感光体ドラム11Y上に残存したトナーは、感光体クリーナ15Yによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム11Yは、次の転写サイクルに供される。
【0103】
以上の転写サイクルは、ユニット10M、10C、10Bkでも同様に行われ、第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され中間転写ベルト16上に重ね合わせられて、フルカラートナー像が形成される。
【0104】
中間転写ベルト16に転写されたフルカラートナー像は、転写ベルト16の回転でバイアスローラ35が設置された二次転写部(ニップ部)に到る。
【0105】
記録材Pは、二次転写部の中間転写ベルト16とバイアスローラ35との間に所定のタイミングで給送される。バイアスローラ35及びバックアップローラ30による圧接搬送と中間転写ベルト16の回転により、該中間転写ベルト16に担持されたトナー像が記録材P上に転写される。
【0106】
トナー像が転写された記録材Pは、定着装置2に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を定着する。尚、転写の終了した中間転写ベルト16は、二次転写部の下流に設けたベルト用クリーニング装置34で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。
【0107】
本発明に係る画像形成装置の中間転写ベルトや、定着装置のエンドレスベルトには、ベルト材料としてポリイミド樹脂が好ましく使用される。
【0108】
本発明に用いる記録材は、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、転写材或いは転写紙と通常よばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0109】
次に、本発明を実施態様を示し具体的に説明するが、無論、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
【0110】
〔トナーの作製〕
(樹脂粒子Aの製造)
第一段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5L(リットル)の反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8gとイオン交換水3Lを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させたものを添加し、再度液温80℃とし、下記単量体混合液を1時間かけて滴下した後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子(1H)」とする。
【0111】
スチレン 480g
n−ブチルアクリレート 250g
メタクリル酸 68.0g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 16.0g
第二段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7gをイオン交換水800mlに溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、前記樹脂粒子(1H)を260gと、下記単量体溶液を90℃にて溶解させた溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
【0112】
スチレン 245g
n−ブチルアクリレート 120g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.5g
ポリエチレンワックス(融点 ℃) 190g
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を得た。これを「樹脂粒子(1HM)」とする。
【0113】
第三段重合
さらに、過硫酸カリウム11gをイオン交換水400mlに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
スチレン 435g
n−ブチルアクリレート 130g
メタクリル酸 33g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8g
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し樹脂粒子を得た。これを「樹脂粒子A」とする。
【0114】
(樹脂粒子Bの製造)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム2.3gをイオン交換水3Lを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させたものを添加し、再度液温80℃とし、下記単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子B」とする。
【0115】
スチレン 520g
n−ブチルアクリレート 210g
メタクリル酸 68.0g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 16.0g
(着色剤分散液の作製)
ドデシル硫酸ナトリウム90gをイオン交換水1600mlに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330R:キャボット社製)420gを徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。これを、「着色剤分散液1」とする。この着色剤分散液1における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
【0116】
(凝集・融着工程)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、樹脂粒子Aを固形分換算で300gと、イオン交換水1400gと、「着色剤分散液1」120gと、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3gをイオン交換水120mlに溶解させた溶液を仕込み、液温を30℃に調整した後、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム35gをイオン交換水35mlに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、90℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。
【0117】
この状態で、「コールターマルチサイザーIII」にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が3.1μmになった時点で、樹脂粒子Bを260g添加し、さらに粒子成長反応を継続させた。所望の粒子径になった時点で、塩化ナトリウム150gをイオン交換水600mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、融着工程として液温度98℃にて加熱撹拌することにより、FPIA−2100による測定で円形度0.965になるまで、粒子間の融着を進行させた。その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.0に調整し、撹拌を停止した。
【0118】
(洗浄・乾燥工程)
凝集・融着工程にて生成した粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII型式番号60×40」(松本機械社製)で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥してトナー用母体粒子を作製した。
【0119】
(トナー粒子の作製)
上記で得られたトナー母体粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1.0質量%、および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)を0.6質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、本発明のトナーAを作製した。トナーAのX線分析装置による元素(A)の面積比率は3.0面積比率であった。
【0120】
又、トナー母体粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1.0質量%、および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=30nm)を0.8質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、本発明のトナーBを作製した。
【0121】
更に、トナー母体粒子に疎水性シリカ(12nm)を1.0質量%、アルミナ(30nm)を0.5質量%添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、本発明のトナーCを作製した。
〔キャリアの作製〕
(キャリアコアの作製)
配合割合がFe23=60モル%、MgO=40モル%となるように、炭酸カルシウムおよび塩化マグネシウムを添加し、組成物を準備した。それに1%の結合剤と水を加えて60%濃度のスラリーとした後、湿式ボールミルで粉砕し、スプレードライヤーで処理することにより平均粒径35μmの乾燥粒子を得た。ついで焼成炉において大気雰囲気のもと1150℃で焼成を行い、解粒篩分けしてフェライトコア粒子を得た。
【0122】
同様に粉砕条件を調整し、実施例の表中の各粒径のコア粒子を得た。
【0123】
(樹脂コートキャリアの作製)
前記フェライトコア粒子100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂微粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコア粒子の表面に樹脂コート層を形成し、キャリアを得た。
【0124】
(現像剤の作製)
表1に記載の各キャリアに同じく表1記載の微粒子を添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)に投入し、回転速度45rpmで30分間混合した後、トナーをトナー濃度が8質量%になるように添加し、更に30分間混合し現像剤を作製した。
【0125】
なお、各キャリアの元素(A)の表面比率測定は、上記キャリアを用いて作製された現像剤のトナーを分離し、キャリア表面の元素量を測定して求めた。
【0126】
【表1】

【0127】
〔実写評価〕
(カブリ評価)
上記で得られた現像剤を、コニカミノルタ製bizhubC450に投入し、温度=25℃、相対湿度=50%RHの環境において、画素率が10%の画像(画素率が7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像を)をA4で1枚間欠モードにて50,000枚にわたる画像形成を行い、更に継続して、温度=30℃、相対湿度=85%RHの環境において10,000枚の画像形成を行った。カブリ濃度の測定は、まず印字されていない白紙について、マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、白紙濃度とする。
【0128】
次に評価形成画像50,000枚目及び60,000枚目の白地部分について、同様に20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、この平均濃度から白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。カブリ濃度が0.010以下であれば、カブリは実用的に使用可能であるといえる。
【0129】
◎:0.003未満
○:0.003〜0.006未満
△:0.006〜0.010以下
×:0.010より大きい値
(帯電量)
本発明の現像剤サンプルにおけるトナーの帯電量を帯電量測定装置「ブローオフ式TB−200」(東芝社製)により測定した。
【0130】
ブローオフ式の帯電量測定装置を用いて帯電量を測定する。
【0131】
400メッシュのステンレス製スクリーンを装着したブローオフ帯電量測定装置(例えばTB−200:東芝ケミカル社製)でブロー圧50kPaの条件で10秒間窒素ガスにてブローする。測定された電荷を飛翔したトナー質量でわることによって帯電量(μC/g)を算出する。
【0132】
【表2】

【0133】
本発明内のものは、使用初期から長期使用後に亘って良好な特性を示すことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】磁性芯材の上に樹脂被覆層を乾式で形成する装置の一例を示す撹拌羽根付き高速撹拌混合機の側面図。
【図2】本発明に係るキャリアを用いる画像形成方法の一例を示す画像形成装置の断面構成図。
【符号の説明】
【0135】
10Y、10M、10C、10Bk ユニット
11Y、11M、11C、11Bk 有機感光層を有する感光体ドラム
12Y、12M、12C、12Bk コロトロン帯電器
14Y、14M、14C、14Bk 現像器
13Y、13M、13C、13Bk 露光器
15Y、15M、15C、15Bk 感光体クリーナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色粒子に無機微粒子が付着してなる体積メディアン粒子径が3〜8μmのトナーと、無機微粒子を付着してなる質量平均粒子径が20〜40μmのキャリアからなる2成分現像剤であり、且つ、トナーに付着されている無機微粒子を構成している元素(A)のキャリア表面上でのX線分析装置により測定された面積比率が、0.5〜3.0面積%であることを特徴とする2成分現像剤。
【請求項2】
前記元素(A)がTi(チタン)であることを特徴とする請求項1に記載の2成分現像剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の2成分現像剤において、トナーのX線分析装置により測定された元素(A)の面積比率:TA(面積%)と、キャリアのX線分析装置による元素(A)の面積比率:CA(面積%)の関係が
1<TA/CA<8
であることを特徴とする2成分現像剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の2成分現像剤において、トナーへの元素(A)を含む無機微粒子の添加量:tA(質量%)と、キャリアへの元素(A)を含む無機微粒子の添加量:cA(質量%)の関係が
5<tA/cA<80
であることを特徴とする2成分現像剤。
【請求項5】
請求項4に記載の2成分現像剤の作製方法において、キャリア粒子に元素(A)を含む無機微粒子を0.005〜0.05%添加し、キャリア粒子表面に該無機微粒子を付着させた後、着色粒子に元素(A)を含む無機微粒子を0.1〜1.0%添加し付着させたトナーと、を混合することを特徴とする2成分現像剤の作製方法。

【図1】
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【図2】
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