説明

2次電池用微細多孔膜

【課題】品質安定性と耐熱性に優れた2次電池用微細多孔膜を提供する。
【解決手段】3層の微細多孔膜であって、中間層は溶解温度150℃以上のポリプロピレン20乃至80重量%と溶解温度140℃以上のフィラー80乃至20重量%を含み、中間層内のフィラーとポリプロピレンの総含量が60重量%以上であり、両表面層はポリエチレンを含み両表面層のうち一層以上はポリエチレンを70重量%以上を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2次電池用微細多孔膜に関するものであって、さらに詳しくは、品質安定性と耐熱性に優れた2次電池用微細多孔膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微細多孔膜を製造する方法中、ポリオレフィンを高温で希釈剤と混練して単一相を作り、冷却過程においてポリオレフィンと希釈剤を相分離させた後、希釈剤部分を抽出させてポリオレフィンに空隙を作る湿式法は薄膜のフィルムを製作することができ、強度と透過度に優れ、気孔が均一であって品質安定性にも優れ、高容量/高出力のリチウムイオン二次電池などに広く使われている。
【0003】
リチウムイオン二次電池はエネルギー密度が非常に高い優秀な電池であるが、短絡発生時に爆発の危険性が存在して使用される分離膜は高い品質水準に対する要求と共に品質安定性も大きく要求されている。最近にはハイブリッド自動車用電池などのようにリチウムイオン二次電池の高容量、高出力の傾向に合せて既存の湿式製品の品質安定性に加えて分離膜の熱的安定性がさらに大きく要求されている。分離膜の熱安定性に劣ると電池過熱に伴う分離膜の溶融破断による爆発の危険性が大きくなるからである。
【0004】
電池内において分離膜の熱的安定性はシャットダウン温度と溶融破断温度によって決められる。シャットダウン温度は電池の内部温度が異常的に増加するようになる時に分離膜の微細多孔が閉じられてそれ以上電流が流せない温度である。溶融破断温度はシャットダウン温度以上で電池の温度が上げ続ける時に分離膜が溶融破断されて電流が再び流れるようになる温度である。電池の安定性のためにはシャットダウン温度は低くて溶融破断温度は高いものが良い。特に、溶融破断温度は電池の爆発を誘発することもできる状況で電流を続いて遮断することができる温度であって、電池の安定性に最も密接な関係を有している。
【0005】
分離膜の熱安定性を向上させるための努力は大きく3つの方向に展開されてきた。無機物或いは耐熱性のある樹脂を既存のポリエチレンに添加して分離膜の耐熱性を高める方法と耐熱性のある物質を表面にコーティングする方法、そして耐熱性のある表面層が存在する多層分離膜を製造する方法である。
【0006】
米国特許発明第6,949,315号では、超高分子量のポリエチレンに5乃至15重量%のチタニウムオキシドなどの無機物を混練して分離膜の熱安定性を向上させたフィルムが紹介されている。しかし、この方法は無機物の添加による熱安定性の向上効果はあるが、無機物の投入による混練性低下及び混練性低下による延伸時のピンホール発生及び品質不均一などの問題が生じ易く、無機物と高分子樹脂界面の親和力(Compatibility)の不足で衝撃強度などのフィルム物性低下が生じるようになる。このような短所は無機物を使用する分離膜には必然的に示されるしかないものである。
【0007】
無機物の代わりに耐熱性に優れた樹脂を混練して製造される分離膜は米国特許発明第5,641,565号に示されている。この技術はポリエチレンに5乃至45重量%のポリプロピレンを混合した樹脂混合物に30乃至75重量%の有機液相化合物と10乃至50重量%の無機物を混合した後、有機液相化合物と無機物を抽出して分離膜を製造する技術である。この技術ではたとえ無機物を抽出するが、前記した無機物の混練時の問題点をそのまま有するようになり、前記特許自体から言及したようにポリエチレンと混練性のないポリプロピレンの添加による物性低下が生じるようになる。また、この方法は使用された無機物を抽出、除去するための工程が追加されて工程が複雑になる短所があり、十分な耐熱効果を得るためには比較的に多量のポリプロピレンを必要とし、この場合は分離膜の物性はさらに劣るようになる。
【0008】
耐熱性のある物質を微細多孔膜の表面にコーティングする方法は米国特許公開第2006−0055075号に示している。しかし、コーティング方式はコーティング層の透過度を高めることに限界があって、全体フィルムの透過度が低くなり、コーティング層と微細多孔膜フィルム間のウェット(wetting)性低下で品質不均一が生じる恐れが高い。
【0009】
分離膜の熱安定性を増加させるために多層分離膜を製造する方法はラミネーションを用いることである。米国特許発明第5,691,077号にはシャットダウン特性に優れる(溶解温度が低い)ポリエチレンに溶融破断温度が高い(溶解温度が高い)ポリプロピレン樹脂をラミネーションして3層構造の分離膜を製造する方法が示されている。この分離膜は熱的特性の面からは優れるが、低温乾式法(原料として希釈剤を使用せず延伸過程においてフォルム内にクラックを誘発させて気孔を形成させる方法)による布帛フィルムの製造過程における延伸不均一、ピンホール発生、厚さ偏差増加などの短所と共に別途工程において進まれるラミネーションの工程追加による生産性低下の問題のみならず、ラミネーションの不良からくるジラミネーションの問題もあって広く使用されてはいない。
【0010】
この方法は優秀な耐熱性にも関わらず、二次電池用分離膜で必ず必要な強性、透過性、品質均一性、及び生産性に劣る問題点を有している。
【0011】
日本特許公開第2007−088815号と国際特許公開第2004−089627号には湿式法で製造されるポリエチレン微多孔膜層を主(main)層とし、やはり湿式法で製造されるポリエチレンとポリプロピレンが混合された層を表面層とする多層分離膜が紹介されている。これらの分離膜は湿式工程から製造されて品質安定性は優秀であるが、ポリプロピレン樹脂の耐熱性以上の耐熱性を有するには限界がある。また、多層の分離膜を全て湿式法で製造するため製造工程が難しくなる短所もある。さらに、ポリプロピレンは結晶度が低い特性によって、希釈剤と共に押出される湿式法で表面層として使用されるとき、押出後に希釈剤内にワックス成分が多量存在するようになって延伸/抽出などの後工程でワックス析出によるフィルム及びロール表面の汚染問題などが生じられて品質安定性に劣る。
【0012】
国際特許公開第2006−038532号には無機粒子を含む表面層が存在する多層湿式分離膜が紹介されているが、この分離膜も前記言及したように多層の分離膜を全て湿式で製造することによる難しい混練工程と表面層にもフィルム生産過程において必ず抽出しなければならない希釈剤を50%以上含めて製品を生産することによる低い物性向上効果(希釈剤が含まれた軟化された状態で延伸を行なうため延伸効果が減る)をみせる。また、表面層に無機物を添加するようになると無機物が延伸/抽出/巻き(Winding)/切断(Slitting)などの工程において脱離されて無機物パウダーによる汚染及び他表面層のスクラッチなどを誘発することができて品質安定性に劣る。
【0013】
二次電池用分離膜の必須的な特性は強性、透過性、及び品質均一性(安定性)であり、最近にはさらに熱安定性が大きく要求される。しかし、上述した従来技術は湿式工程分離膜の水準の品質安定性と強性/透過性及び高い熱安定性を同時に達成することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明者らは前述した従来技術の問題点を解決するために広範囲な研究を続けた結果、ポリプロピレンとフィラーの混合物を希釈剤なく延伸するようになれば界面が隔てるようになり界面に気孔が生じるようになってポリプロピレンとフィラーから構成された多孔膜を製造することができるということを発見した。
【0015】
従って、本発明の目的はこの多孔膜を別途の内層にし湿式法で製造される多孔膜を両表面層にして使用するようになれば、耐熱性に優れたポリプロピレンとフィラーの混合多孔膜層の耐熱特性と湿式法で製造されるポリエチレン微細多孔膜層の品質安定性の特性を同時に有する多層分離膜を製造することができ、この分離膜は強性、透過性、熱安定性及び品質安定性が同時に非常に優れる2次電池用微細多孔膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために本発明は3層の微細多孔膜であって、中間層は溶解温度150℃以上のポリプロピレン20乃至80重量%と溶解温度140℃以上のフィラー80乃至20重量%を含み、中間層内のフィラーとポリプロピレンの総含量が60重量%以上であり、両表面層はポリエチレンを含み両表面層のうち一層以上はポリエチレンを70重量%以上を含む微細多孔膜を提供する。
【0017】
また、本発明は前記の3層の微細多孔膜を含む多層微細多孔膜を提供する。
【0018】
以下、本発明をより詳しく調べると次の通りである。
【0019】
本発明で使用される2次電池用微細多孔膜を製造する基本理論は次のようである。
【0020】
前述したように、ポリエチレンから微細多孔膜を製造する湿式法はポリエチレンとこれに合う希釈剤を混合し押出してシートを製造し、これを延伸してフィルムを製造した後、有機溶媒で希釈剤を抽出して多孔膜を製造する基本工程を使用する。しかし、ポリエチレンから製造された分離膜はポリエチレンの溶解温度が135℃を超えないため耐熱性の限界を有するようになる。反面にポリプロピレンは溶解温度が160℃以上まではいけるが、結晶性に劣って湿式法では高透過のフィルムが製造され難いのみならず、高い溶解温度によってシャットダウン温度も高くなって安全性が劣るようになる。前記シャットダウン温度は電池の内部温度が異常的に増加するようになる時、分離膜の微細多孔が閉じられてそれ以上電流が流せない温度であって低いほど良い。
【0021】
このような問題を克服するために、前述したようにポリエチレンにポリプロピレン或いは耐熱フィラーを混練して使用するようになると、溶融破断温度が上昇して耐熱性が向上される効果はあるが、耐熱物質がポリエチレンマトリックス内において粒子形態で存在し、互いに連結されてなく溶融破断温度の上昇が大きくなく、ポリエチレンと界面が弱くてフィルム全体の物性を落とすようになる。
【0022】
従って、ポリエチレンと、ポリプロピレン及びフィラーが含まれた層を混練して使用せず、ポリエチレン層を別途層にし、ポリプロピレン及びフィラーが含まれた層を別途の層にして多層分離膜を製造しなければならない。このようになれば、ポリプロピレン及びフィラーが含まれた層においてポリプロピレンが連続的に繋がっており、フィラーがポリプロピレンマトリックス内において粒子形態で存在するようになる。結果的にこのように製造された多層多孔膜はポリエチレンの低いシャットダウン温度とポリプロピレンの高い溶解温度にフィラーの耐熱性を加えた高い溶融破断温度を同時に有することができるようになる。
【0023】
ポリプロピレンとフィラーは単純混合する場合は透過度が現れない。ポリプロピレンとフィラー層に透過度を付与するために本発明では湿式分離膜製造工程の延伸工程を共に用いる。即ち、ポリエチレンと希釈剤の混合物からなるシートとポリプロピレンとフィラーからなるシートを多層シートで製造して延伸するようになれば、ポリプロピレンとフィラーの混合層ではポリプロピレンとフィラー間の界面が隔てて(この際、フィラーは延伸温度において必ず固体で存在しなければならない)気孔を形成するようになる。以後、抽出工程を経てポリエチレン層の希釈剤を抽出すれば湿式工程で製造される安定性に優れたポリエチレン分離膜の特徴とポリプロピレンとフィラーによる優秀な耐熱特性/電解液含浸性/強度及び透過度を同時に有する多層微細多孔膜が製造するようになる。
【0024】
この際重要なことは、多孔膜の層を3層以上としポリプロピレンとフィラーの層を必ず内層とすることである。その理由は、表面層に使用されるフィラーは延伸/抽出/巻き/切断などの工程においてパウダーの形態で脱離され、パウダーによる汚染及び他表面層のスクラッチなどを誘発することができて品質安定性を落とすからである。ポリプロピレンとフィラーの層を内層とすれば前記の問題点が全く生じなくて優秀な品質安定性を確保することができ、共に生産性も高くなる。
【0025】
このように製造される分離膜気孔の特徴はポリエチレンからなる層の気孔はポリエチレンと希釈剤の相分離以後、延伸/抽出過程を通じて製造されるマイクロ気孔であり、ポリプロピレンとフィラーからなる層の気孔はポリプロピレンとフィラーの界面隔てによって形成されるマクロ気孔である。
【0026】
本発明による多層微細多孔膜及びその製造方法をさらに詳しく説明すると次のようである。
【0027】
本発明による微細多孔膜は3層の多層構造を基本とする。必要に応じては3層の基本構造に別途の機能性を付与するために追加で層を追加することができる。
【0028】
中間層には溶解温度150℃以上のポリプロピレン20乃至80重量%と溶解温度140℃以上のフィラー80乃至20重量%を含む。前記中間層は延伸工程を通じてポリプロピレンとフィラーの界面隔てによってマクロ気孔を形成しなければならなく、ポリプロピレンの優秀な耐熱性を保持するためにはポリプロピレンが連続的に連結されたマトリックス構造を有しなければならない。従って、ポリプロピレンとフィラーの含量は前記の条件を満たさせる範囲で決めなければならない。
【0029】
前記ポリプロピレンの含量は20乃至80重量%である。前記ポリプロピレンの含量が80重量%を超えると、フィラーの量が少なくなって延伸過程から生成される気孔が減少して透過度が大きく減少する。反面、ポリプロピレンの含量が20重量%未満であればポリプロピレンがマトリックスの形態で連結されず切られるようになって、多孔膜の物性が低くなり、耐熱性の向上効果が大きく劣るようになる。望ましいポリプロピレンの含量は30乃至70重量%であり、さらに望ましくは40乃至60重量%である。
【0030】
本発明で前記ポリプロピレンはホモポリプロピレン或いはプロピレンとエチレン及び炭素数4乃至8のアルファオレフィンが共重合された共重合ポリプロピレンまたはそれらの混合物である。本発明のポリプロピレンは溶解温度は150℃以上である。より詳しくは150℃乃至170℃である。ポリプロピレンの溶解温度は高ければ高いほど耐熱性に優れるため、さらに望ましい溶解温度は160℃以上であり、これを考慮する時にホモポリプロピレンが最も望ましい。
【0031】
前記使用されるポリプロピレンは重量平均分子量は5万乃至200万である。前記ポリプロピレンの重量平均分子量が5万未満である場合、無機物との混練性は優秀であるが、多孔膜の物性に劣り、200万を超える場合は無機物との混練性の問題が生じて望ましくない。
【0032】
本発明で使用されるフィラーは次の役割を含む。第1の役割はポリプロピレンと混練した後、延伸過程において界面に気孔を製造する核役割である。フィラーの第2と第3の役割は多孔膜の耐熱性を上げる役割とフィラー自体の極性に基づいた電解液との優秀な親和力で電解液の含浸性を向上させる役割である。
【0033】
本発明で使用される溶解温度140℃以上のフィラーとしてはポリビニリデンフルオライド、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリメチレンオキシド、ポリアミド、またはこれらの混合物から選ばれた耐熱樹脂であり、またはシリコンジオキシド(SiO)、アルミニウムオキシド(Al)、カルシウムカーボネート(CaCO)、チタニウムジオキシド(TiO)、SiS、SiPO、MgO、ZnO、BaTiO、天然クレー、有機的に変形されたクレー、またはこれらの混合物から選ばれる平均粒子サイズが0.01μm乃至5μmである無機質、またはこれらの混合物である。
【0034】
本発明で使用されるフィラーにおいて、前記フィラーとしては溶解温度140℃以上であるものが使用され、耐熱樹脂類の溶解温度は望ましくは140℃乃至300℃程度が良いが、ここに限られるものではない。前記フィラーの溶解温度が140℃未満である場合、延伸温度において軟性が生じて延伸過程でポリプロピレンとの界面で気孔が生じない。
【0035】
前記フィラーのうち、極性耐熱樹脂の初期サイズはポリプロピレンと溶融混練機で溶融混練されるから構わないが、無機物の場合はその粒子サイズが非常に重要である。望ましい平均粒子サイズは0.01μm乃至5μmである。前記平均粒子サイズが0.01μm未満である場合、延伸過程において形成される気孔のサイズが小さくて多孔膜に適合しなく、平均粒子サイズが5μmを超えると、延伸後の気孔があまり大きく形成されて多孔膜の物性を落とし、厚さが7乃至50μmの本発明による分離膜の全体物性にも影響を及ぼすようになる。
【0036】
前記フィラーの含量は80乃至20重量%で含まれる。前記フィラーの含量が80重量%を超えると、ポリプロピレンの量が少なくなって透過度は増加するが、ポリプロピレンがマトリックスの形態で連結されず切られるようになって多孔膜の物性が低くなって耐熱性の向上効果が大きく劣るようになる。反面、フィラーの含量が20重量%未満であれば、延伸過程から生成される気孔が減少して透過度が大きく減少する。望ましいフィラーの含量は30乃至70重量%であり、さらに望ましくは40乃至60重量%である。
【0037】
中間層にはポリプロピレンとフィラーの他に、ポリプロピレンとフィラーの気孔形成及び耐熱性の付与作用に影響を及ぼさない範囲で、添加剤やポリオレフィンなどが追加で添加される。中間層のポリプロピレンとフィラーの総含量は60重量%以上が望ましい。2成分の含量が60重量%を超えないと、ポリプロピレンによる耐熱効果が現われなく透過もやはり大きく落ちる。さらに望ましくは80重量%以上であり、さらに望ましくはポリプロピレンとフィラーのみで構成するのが良い。気孔形成及び耐熱効果はポリプロピレン40乃至60重量%と無機物60乃至40重量%で最も優れる。
【0038】
本発明の多層分離膜の両表面層はポリエチレンを含み、表面層の中で一層以上はポリエチレンを70重量%以上含む。前述したように電池用分離膜では低いシャットダウン温度が非常に重要である。ポリエチレンは優秀な物性を保持しながらもシャットダウン温度が低くて表面層で最も望ましい樹脂である。
【0039】
本発明で使用されるポリエチレンはホモポリエチレンまたはポリエチレン共重合体或いはこれらの混合物である。また、本発明のポリエチレンはエチレン単独或いはエチレンと炭素数3乃至8のアルファオレフィンの共重合からなるホモポリエチレン或いは共重合ポリエチレンまたはこれらの混合物であり、溶解温度が125℃以上である。前記炭素数3乃至8のアルファオレフィン共重合体の例としてはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1が挙げられる。ポリエチレンの溶解温度が125℃未満である場合はポリエチレンの結晶度が低くて分離膜の透過度が大きく落ちるようになる。最も望ましいポリエチレンの溶解温度は125℃乃至135℃である。
【0040】
なお、前記ポリエチレンの分子量は重量平均分子量が20万乃至300万であるものが望ましく、重量平均分子量が20万未満である場合は最終多孔膜の物性が弱くなり、重量平均分子量が300万を超える場合は押出混練性が悪くなって生産性に劣るようになる。前記ポリエチレンの重量平均分子量のより望ましい領域は20万乃至150万である。
【0041】
本発明は両表面層でポリエチレンの含量が70重量%以上である。前記ポリエチレンの含量が70重量%未満であれば表面層にポリエチレンマトリックスが完全に形成されなくてポリエチレンが溶解されても気孔が全て閉じられなくてシャットダウン温度が高くなる。
【0042】
ポリエチレンの低いシャットダウン温度特性は表面層中の一つのみにポリエチレンの含量が70重量%以上であれば達成することができるが、ポリエチレン多孔膜の優秀な強度と微細で均一な気孔特性を考慮する時、両表面層の全てがポリエチレンの含量が80重量%以上であるものがさらに望ましい。表面層の最も望ましい組成はポリエチレンのみから(ポリエチレン100%)なるものである。
【0043】
前記ポリエチレンと共に使用できる成分としてはポリメチルペンテン、ポリカーボネートなどが含まれ、これに限られない。
【0044】
また、前記ポリエチレンは重量平均分子量が20万乃至300万であるものが望ましい。前記ポリエチレンの重量平均分子量が20万未満である場合は最終多孔膜の物性が弱くなり、重量平均分子量が300万を超える場合は押出混練性が悪くなって生産性が落ちるようになる。本発明でポリエチレンの重量平均分子量のより望ましい領域は20万乃至150万である。
【0045】
また、本発明の2次電池用多層微細多孔膜の最終全体厚さは7μm乃至50μmが適当であり、さらに望ましくは9μm乃至30μmである。前記膜厚が7μm未満である場合は全体強度が弱くて二次電池用分離膜で適当でなく厚さが50μmを超える場合は透過度が低くて二次電池用分離膜に適当でなくなる。両表面層の構成は生産中に生じられる多孔膜のカーリングを考慮する時に同じ組成/同じ厚さであるものが最も望ましい。
【0046】
本発明は中間層の全体厚さに対する割合が1%以上50%未満である微細多孔膜を提供する。前記中間層の厚さが全体厚さの1%未満である場合は耐熱性向上の効果が大きくない。中間層の厚さが全体厚さの50%を超えると、表面層の湿式法によって作られる微細で均一な多孔構造が50%未満になってフィルム全体の均一性に劣るようになる。さらに望ましい全体フィルムの厚さ100%に対して中間層の厚さの割合は1%乃至30%である。
【0047】
また、前記微細多孔膜において耐熱性向上に寄与する中間層の厚さは少なくとも0.5μm乃至25μmとなるべきである。前記中間層の厚さが0.5μm未満である場合、耐熱性及び透過性の向上効果は大きくない。
【0048】
本発明は前記2次電池用多層微細多孔膜は穿孔強度が0.12N/μm以上、透過度が1.0×10−5ダーシー(Darcy)以上であり、溶融破断温度が150℃乃至220℃である2次電池用微細多孔膜を提供する。
【0049】
前記穿孔強度は0.12N/μm以上であるものが適当であるが、穿孔強度が0.12N/μm未満である場合は強度が弱くて二次電池用分離膜には適当でない。さらに望ましい穿孔強度は0.2N/μm乃至0.5N/μmである。
【0050】
本多層分離膜の気体透過度は1.0×10−5ダーシー以上である。前記気体透過度が1.0×10−5ダーシー未満である場合は透過度が十分でなくて高容量/高効率電池に適合しない。さらにより望ましい気体透過度は1.5×10−5ダーシー乃至10.0×10−5ダーシーであり、最も望ましくは2.5×10−5ダーシー乃至8.0×10−5ダーシーである。
【0051】
本発明による微細多孔膜の溶融破断温度は使用されるポリプロピレンの溶解温度とフィラーの含量に左右されるが、150℃以上220℃以下である。電池の耐熱テストは150℃で評価されるのが一般的であるが、電池内部の短絡発生時に電池の温度はさらに高く上がるため溶融破断温度は160℃以上のものが望ましい。
【0052】
本発明によって作られる多孔膜の気孔は2種類で存在する。
【0053】
本発明においてポリプロピレンとフィラーからなる中間層の気孔はポリプロピレンとフィラーの界面の隔てによって形成されるマクロ気孔であって、平均サイズは0.5μm乃至50μmである。この層の気孔が0.5μm未満である場合はフィルム全体の透過度を低下させることができる。反面にこの層の気孔が50μmを超える場合はフィルムの物性が低下し、耐熱性の向上効果も落ちるようになる。前記耐熱性の向上効果は50μm未満の気孔がポリプロピレン内に均一に分布されて安定的なポリプロピレンのネットワークが形成されるときに極大化されるからである。さらに望ましいポリプロピレンとフィラーからなる層の平均気孔のサイズは1μm乃至20μmである。
【0054】
本発明でポリエチレンからなる両表面層の気孔はポリエチレンと希釈剤の相分離以後に延伸/抽出過程を通じて作られるマイクロ気孔であって、平均サイズは0.001μm乃至0.1μmである。前記平均サイズが0.1μmを超えると、フィルム全体の安全性と安定性を害するようになる。望ましいマイクロ気孔の平均サイズは0.01μm乃至0.1μmである。
【0055】
前記ポリオレフィン多層微細多孔膜を製造するための一つの製造方法には(a)溶解温度150℃以上のポリプロピレン系樹脂20乃至80重量%とフィラー80乃至20重量%からなる組成物を溶融混練する段階;(b)溶解温度125℃以上のポリエチレン20乃至50重量%と希釈剤80乃至50重量%からなる組成物を溶融混練する段階;(c)前記(a)及び(b)から混練された溶融物を(a)の組成物が中間層、(b)の組成物が表面層になるように多層シートで成形する段階;(d)前記多層シートの表面層であるポリエチレンと希釈剤の組成物100%を基準で結晶部分が30乃至80%が溶解温度の範囲において前記多層シートを延伸してフィルムで成形する段階;(e)前記フィルムから希釈剤を抽出する段階;及び(f)前記フィルムを熱固定する段階;が含まれる。
【0056】
以下、各段階をより詳しく説明すると、次の通りである。
【0057】
(a)溶解温度150℃以上のポリプロピレン系樹脂20乃至80重量%とフィラー80乃至20重量%からなる組成物を溶融混練する段階;が行われる。
【0058】
前記組成物はポリプロピレンとフィラーの混練のためにデザインされた二軸混合器、混練機、若しくはバンバリミキサーなどを用いて溶融混練させる。溶融混練温度はフィラーが樹脂である場合、ポリプロピレンとフィラーの溶解温度対比10乃至50℃の高い温度において加工するのが良い。溶融混練温度が前記温度領域より低い場合は樹脂の未溶融で混練不良が生じられ、前記温度領域より高い場合は温度が高すぎてポリプロピレンを含む樹脂の熱酸化が激しく生じられる。温度は250℃を超えないものが良い。フィラーが無機物である場合、適当した溶融混練温度は180乃至250℃である。ポリプロピレンとフィラーは事前にブレンドされて混合器に投入されたり、分離された供給器(feeder)からそれぞれ投入されることができる。また、事前に他混練機で1次で混合された組成物の形態でも投入されることができる。
【0059】
(b)溶解温度125℃以上のポリエチレン20乃至50重量%と希釈剤80乃至50重量%からなる組成物を溶融混練する段階;が行われる。
【0060】
本発明で使用される希釈剤としては押出加工温度で樹脂と単一相をなすあらゆる有機液相化合物(organic liquid)が可能である。その例としてはノナン(nonane)、デカン(decane)、デカリン(decalin)、パラフィンオイル(paraffin oil)などの脂肪族(aliphatic)或いは環形炭化水素(cyclic hydrocarbon)とジブチルフタレート(dibutyl phthalate)、ジオクチルフタレート(dioctyl phthalate)などのフタル酸エステル(phthalic acid ester)がある。望ましくは人体に無害であり、沸騰点(boiling point)が高く、揮発性(volatile)成分が少ないパラフィンオイルが適合し、さらに望ましくは40℃での動粘度(kinetic viscosity)が20cSt乃至200cStのパラフィンオイルが適当である。パラフィンオイルの動粘度が200cStを超えると、押出工程における動粘度が高くて負荷上昇、シート及びフィルムの表面不良などの問題が生じられ、抽出工程においては抽出が難しくなって生産性に劣り、残留されたオイルによる透過度の減少などの問題が生じられる。パラフィンオイルの動粘度が20cSt未満であれば押出機内で溶融ポリエチレンとの粘度の差異によって押出加工時に混練が難しくなる。
【0061】
本発明で使用されるポリエチレンと希釈剤との組成は、ポリエチレンが20乃至50重量%であり、希釈剤が80乃至50重量%であるものが良い。前記ポリエチレンの含量が50重量%を超えると(即ち、希釈剤が50重量%未満であれば)、空隙度が減少し空隙サイズが小さくなり、空隙間の相互連結(interconnection)が少なくて透過度が大きく落ちる。反面、前記ポリエチレンの含量が20重量%未満であれば(即ち、希釈剤が80重量%をこえると)、ポリエチレンと希釈剤の混練性が低下してポリエチレンが希釈剤に熱力学的に混練されず、ゲル形態で押出されて延伸時に破断及び厚さの不均一などの問題を起させることができる。
【0062】
前記組成物には必要な場合、酸化安定剤、UV安定剤、帯電防止剤など特定機能の向上のための一般的な添加剤がさらに添加されることができる。
【0063】
前記組成物は希釈剤とポリエチレンとの混練のためにデザインされた二軸混合器、混練機、或いはバンバリミキサーなどを用いて溶融混練させる。溶融混練温度は180乃至300℃が適当である。ポリエチレンと希釈剤は事前にブレンドされて混合器に投入されたり、分離された供給器(feeder)からそれぞれ投入されることができる。
【0064】
(c)前記(a)及び(b)から混練された溶融物を(a)の組成物が中間層、(b)の組成物が表面層になるように多層シートで成形する段階;が行われる。
【0065】
溶融物からシート形態の成形物を製造する方法には一般として鋳造(casting)或いはカレンダーリング(calendering)方法が全て使用できる。適当な鋳造或いはカレンダーリングロールの温度は30乃至80℃である。冷却ロールの温度が30℃未満である場合はシートの急冷によるシートのしわが生じられ、冷却ロールの温度が80℃を超えると、冷却が十分でなくて表面不良などの問題が生じられる。
【0066】
多層のシートを製造する方法では一般として共押出法或いは熱融着法などが使用される。共押出法はシート成形時にそれぞれの押出機から押出される溶融物を多層ティーダイ(T−die)を介して共押出して多層シートを製造する方法であり、熱融着法はそれぞれの押出機から得たシートを重畳して圧力を加え熱融着させる方法である。
【0067】
(d)前記多層シートの表面層であるポリエチレンと希釈剤の組成物100重量%を基準で結晶部分が30乃至80%が溶解温度の範囲において前記多層シートを延伸してフィルムで成形する段階;が行われる。
【0068】
延伸はテンタータイプの同時延伸或いはロールを用いて縦方向の1次延伸を行いテンターで横方向の2次延伸を行う逐次延伸などの如何なる延伸法も使用可能である。
【0069】
延伸比は縦方向及び横方向でぞれぞれ4倍以上であり、総延伸比は25乃至60倍であるものが良い。片方向の延伸比が4倍未満である場合は片方向の配向が十分でなく同時に縦方向及び横方向間の物性均衡が割れて穿孔強度が低下する。また、総延伸比が25倍未満であれば未延伸が生じ、60倍を超えると延伸中に破断が生じる可能性が高く、最終フィルムの収縮率が増加される短所がある。
【0070】
延伸温度は使用されるポリエチレンの融点と希釈剤の濃度及び種類に応じて異なる。最適延伸温度は多層シート表面層のポリエチレンと希釈層の結晶部分の30乃至80重量%が溶解される温度の範囲において選ばれるものが良い。温度による結晶部分の溶解程度はシート成形物のDSC(differential scanning calorimeter)分析から得られる。延伸温度が表面層のポリエチレンと希釈剤の組成物100重量%を基準にして結晶部分の30重量%が溶解する温度より低い温度範囲で選ばれると、フィルムの軟質性(softness)がなくて延伸性が悪くなり延伸時に破断が生じる可能性が高く同時に未延伸も生じる。反面、延伸温度が前記多層シート表面層の成形物内のポリエチレンと希釈層の結晶部分の80重量%が溶解する温度より高い温度の範囲で選ばれると、延伸が容易であり未延伸の発生は少ないが、部分的な過延伸で厚偏差が生じ、樹脂の配向効果が少なくて物性が大きく落ちるようになる。前記の延伸温度領域はポリプロピレンの溶解温度よりは低い領域であるが、ポリプロピレンの低温延伸は可能な温度である。この延伸を通じてポリプロピレンとフィラー層ではポリプロプレンは破断されず延伸され、同時にポリプロピレンとフィラーの界面が隔てて気孔が生じるようになる。このように延伸されたポリプロピレンは希釈剤なく延伸されて延伸効果が高く分離膜全体の物性向上にも寄与するようになるものである。
【0071】
(e)前記フィルムから希釈剤を抽出する段階;が行われる。
【0072】
延伸過程を通じて厚さが薄くなったシート、つまりフィルムは有機溶媒を使用して希釈剤を抽出し乾燥する。本発明で使用可能な有機溶媒としては特別に限られず樹脂押出に使用された希釈剤が抽出できる如何なる溶媒も使用可能であるが、望ましくは抽出効率が高くて乾燥が速いメチルエチルケトン、メチレンクロライド、ヘキサンなどが適当である。抽出方法は浸漬(immersion)方法、スプレー(solvent spray)方法、超音波(ultrasonic)法などの一般的なあらゆる溶媒抽出方法がそれぞれ或いは複合的に使用できる。抽出時、残留希釈剤の含量は1重量%以下でなければならない。残留希釈剤が1重量%を超えれば物性が低下しフィルムの透過度が減少する。
【0073】
残留希釈剤の量は抽出温度と抽出時間に応じて大きく左右される。抽出温度は希釈剤と溶媒の溶解度の増加のために温度が高いものが良いが、溶媒の沸騰による安全性の問題を考えると40℃以下が良い。抽出温度が希釈剤の凝固点以下であれば抽出効率が大きく落ちるため、希釈剤の凝固点よりは必ず高くなければならない。抽出時間は生産されるフィルムの厚さに応じて異なるが、9乃至30μm厚さの微細多孔膜を生産する場合は2乃至4分が適当である。
【0074】
(f)前記フィルムを熱固定する段階;が行われて本発明の微細多孔膜が製造される。
【0075】
乾燥されたフィルムは最後に残留応力を除去して最終フィルムの収縮率を減少させるために熱固定段階を経る。熱固定はフィルムを固定させ熱を加え、収縮しようとするフィルムを強制に保持したり延伸或いは収縮させて残留応力を除去することである。熱固定温度は高いものが収縮率を下げるには有利であるが、高過ぎる場合はフィルムが部分的に溶解し形成された微細多孔が詰まって透過度が低下する。望ましい熱固定温度はフィルム表面層のポリエチレン結晶部分の10乃至70重量%が溶解する温度範囲から選ばれるのが良い。前記熱固定温度がポリエチレン結晶部分の10重量%が溶解する温度より低い温度範囲から選ばれるとフィルム内のポリエチレン分子の再配列(reorientation)が不備でフィルムの残留応力の除去効果がなく、フィルムの結晶部分の70重量%が溶解する温度より高い温度の範囲から選ばれると部分的溶融によって微細多孔が詰まって透過度が低下する。
【0076】
ここで、熱固定時間は熱固定温度が高い場合は相対的に短くしなければならなく、熱固定温度が低い場合は相対的に長くすることができる。テンタータイプの連続式熱固定装置を使用する場合、熱固定時間は望ましくは20秒から2分程度が適当である。最も望ましくは、フィルムの結晶部分の10乃至30重量%が溶解する温度範囲においては1分から2分、30乃至70重量%が溶解する温度範囲においては20秒から1分程度が適当である。
【0077】
本発明による多層微細多孔膜はポリエチレンに基づく低いシャットダウン温度特性とポリプロピレンとフィラーに基づく高い溶融破断温度特性を同時に有するのみならず、湿式方式で製造された分離膜の特徴である均一な微細多孔及び高強性/安定性の特徴と乾式で製造された大きな気孔に伴う高強度/高透過特性も有して高容量/高出力の二次電池に使用するときに優れる効果が見せられる。なお、表面層におけるワックス析出や無機物剥離などが生じなくて高い品質安定性と生産性を有するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施例から製造された微細多孔膜の溶融破断温度測定のためのフレームである。
【図2】本発明の一実施例から製造された微細多孔膜の溶融破断温度測定のためのフレームに微細多孔膜をテープで固定させた形態である。
【符号の説明】
【0079】
1:フレーム
2:微細多孔膜
3:テープ
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下、下記実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明するが、これに本発明の範疇が限られるものではない。
【0081】
*試験方法
【0082】
ポリエチレン及びポリプロピレンの分子量及び分子量分布の測定はPolymer Laboratory社の高温GPC(Gel Permeation Chromatography)で測定された。
【0083】
希釈剤の粘度はCannon社のCAV−4自動動粘度計(Automatic Viscometer)で測定した。
【0084】
原料からシート及びフィルムを製造した方法は次の通りである。
【0085】
*シート及びフィルムの製造方法
【0086】
ポリエチレンと希釈剤はΦ=46mmの二軸混合機で混練された。混練温度は180乃至280℃であった。ポリエチレンはメインホッパーに投入され、希釈剤はサイドフィーダーを用いて押出機に投入された。混練された溶融物はT字形ダイで押出されて30℃鋳造ロールによって必要な厚さで成形された。
【0087】
ポリプロピレンとフィラーはΦ=30mmの二軸混合機で混練/押出された。混練/押出温度は220乃至330℃であった。ポリプロピレンとフィラーは予め混練されて押出機に投入された。混練/押出された溶融物はT字形ダイが付いている別途の押出機を通じて押出されて30℃鋳造ロールによって必要な厚さで成形された。
【0088】
多層シートは圧縮成形機を用いて各シートを重ねた後に熱融着して製造した。熱融着温度は200℃であり、熱融着時間は30秒であった。
【0089】
成形されたシートの温度による結晶部分の溶解する現象を分析するためにMettler Toledo社のDSCを使用した。分析条件はサンプル重量5mg、走査速度(scanning rate)10℃/minであった。
【0090】
シートの延伸はテンタータイプのラボ延伸機で延伸比及び延伸温度を変化させ同時延伸に進行し、延伸温度はDSCの結果に基づいてポリエチレンと希釈層の結晶部分が30乃至80重量%が溶解する温度範囲で決められた。
【0091】
希釈剤の抽出はメチレンクロライドを使用して浸漬方式で施し、抽出時間は5分であった。
【0092】
熱固定は希釈剤が抽出されたフィルムを空気中で乾燥させた後、フィルムをフレームに固定させ熱風オーブン(convection oven)で行った。熱固定は120℃において1分30秒間施した。
【0093】
各フィルム層の厚さはSEM(Scanning Electron Microscope)を使用して測定した。製造されたフィルムを液体窒素下で20秒間冷却させた後、瞬間破壊し、断面を観察して厚さを測定した。
【0094】
製造されたフィルムは微細多孔膜で最も重要な物性の穿孔強度、気体透過度、及び溶融破断温度を測定し、無機物脱離の如何を判断して、その結果を下記表に示した。
【0095】
*物性測定方法
【0096】
(1)穿孔強度は直径1.0mmのピンが120mm/minの速度でフィルムを破断させるときの強度で測定された。
【0097】
(2)気体透過度は空隙測定機(porometer:PMI社のCFP−1500−AEL)から測定された。一般として気体透過度はガーレー数(Gurley number)に示されるが、ガーレー数はフィルム厚さの影響が補正されなくてフィルム自体の空隙構造による相対的透過度がわかり難い。これを解決するために本発明ではダーシー透過度常数を使用した。ダーシー透過度常数は下記数学式1から得られ、本発明では窒素を使用した。
【0098】
<数学式1>
C=(8FTV)/(πD(P−1))
【0099】
ここで、C=ダーシー透過度常数
F=流速
T=サンプル厚さ
V=気体の粘度(Nについて0.185)
D=サンプル直径
P=圧力
【0100】
本発明では100乃至200psi領域においてダーシー透過度常数の平均値を使用した。
【0101】
(3)フィルムの溶融破断温度測定のために図1のような(外郭:7.5cm×7.5cm、内径:2.5cm×2.5cm)フレームに図2のようにフィルム(5cm×5cm)をポリイミドテープで固定させた後、設定された温度で保持される熱風オーブン(convection oven)で10分間放置後、フィルムの破断如何を観察した。10分が過ぎてもフィルムが破断されない最高温度を溶融破断温度と定義した。
【0102】
(4)表面への無機物脱離現象の確認のためにはテープを使用した。テープは3M社のセロハンテープが使用され、10Paの小圧力でテープをフィルム表面に接着させた後、テープを脱着して、テープの表面に無機物が脱離されているかを確認した。
【0103】
実施例1
【0104】
表面層1と表面層2には重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレンと40℃動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使用され、二成分の含量はそれぞれ30重量%、70重量%であった。前記ポリエチレンとパラフィンオイルはΦ=46mmの二軸混合機で混練され、混練温度は220℃であった。前記ポリエチレンはメインホッパーに投入され、希釈剤のパラフィンオイルはサイドフィーダーを用いて押出機に投入された。混練された溶融物はT字形ダイで押出されて30℃鋳造ロールによって成形され、製造された表面層シートの厚さはそれぞれ500μmであった。
【0105】
中間層には重量平均分子量が5.7×10であり、溶解温度が163℃であるポリプロピレンと平均粒子サイズが2.5μmのCaCOが使用され、二成分の含量はそれぞれ50重量%、50重量%であった。中間層のポリプロピレンとフィラーはΦ=30mmの二軸混合機で混練/押出され、混練/押出温度は250℃であった。ポリプロピレンとフィラーは予め混練されて押出機に投入された。混練/押出された溶融物はT字形ダイが付いているΦ=50mmの別途の押出機を通じて250℃において押出されて30℃鋳造ロールによって成形され、製造された中間層シートの厚さは100μmであった。
【0106】
前記のように製造された表面層1、中間層、及び表面層2は200℃で30分間熱融着された後、119℃において縦方向6倍、横方向6倍で総36倍延伸された。希釈剤の抽出はメチレンクロライドを使用して浸漬方式で施し、抽出時間は5分であった。以後、熱固定は希釈剤が抽出されたフィルムを空気中で乾燥させた後にフィルムをフレームに固定させて熱風オーブン(Convection oven)で行った。熱固定は120℃で1分30秒間行い、前記のような抽出と熱固定段階を経た最終フィルムの厚さは20μmであった。得られた分離膜の物性は下記表1に示した。
【0107】
実施例2
【0108】
表面層1と表面層2には重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレンと40℃動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使用され、二成分の含量はそれぞれ30重量%、70重量%であった。製造された表面層シートの厚さは表面層1が250μm、表面層2が160μmであった。中間層には重量平均分子量が5.7×10であり、溶解温度が163℃であるポリプロピレンと平均粒子サイズが0.04μmのBaTiOが使用され、二成分の含量はそれぞれ30重量%、70重量%であった。製造された中間層シートの厚さは50μmであった。
【0109】
表面層1、中間層、及び表面層2は熱融着された後、121℃において縦方向5倍、横方向5倍で総25倍延伸された。抽出と熱固定段階を経た最終フィルムの厚さは12μmであった。
【0110】
他の条件は実施例1と同一に行った。得られた分離膜の物性は下記表1に示した。
【0111】
実施例3
【0112】
表面層1と表面層2には重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレンと40℃動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使用され、二成分の含量はそれぞれ40重量%、60重量%であった。製造された表面層シートの厚さはそれぞれ300μmであった。中間層には重量平均分子量が2.5×10であり、溶解温度が163℃であるポリプロピレンとポリカーボネートが使用され、二成分の含量はそれぞれ60重量%、40重量%であった。製造された中間層シートの厚さは120μmであった。
【0113】
表面層1、中間層、及び表面層2は熱融着された後、122℃において縦方向6倍、横方向6倍で総36倍延伸された。抽出と熱固定段階を経た最終フィルムの厚さは15μmであった。
【0114】
他の条件は実施例1と同一に行った。得られた分離膜の物性は下記表1に示した。
【0115】
実施例4
【0116】
表面層1と表面層2には重量平均分子量が2.7×10であり、コモノマーとしてプロピレンが使用されて溶解温度が130℃であるポリエチレンとポリメチルペンテン及び40℃動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使用された。ポリエチレンとポリメチルペンテン及びパラフィンオイルの含量はそれぞれ27重量%、3重量%、70重量%であった。前記表面層のポリエチレンとポリメチルペンテン及びパラフィンオイルはΦ=46mmの二軸混合機で混練された。混練温度は270℃であった。ポリエチレンとポリメチルペンテンはメインホッパーに投入され、希釈剤はサイドフィーダーを用いて押出機に投入された。混練された溶融物はT字形ダイで押出されて30℃鋳造ロールによって成形され、製造された表面層シートの厚さは430μmであった。
【0117】
中間層のポリプロピレンとフィラーのポリメチルペンテンがΦ=30mmの二軸混合機で混練/押出された。混練/押出温度は270℃であった。前記ポリプロピレンとフィラーは予め混練されて押出機に投入された。混練/押出された溶融物はT字形ダイが付いているΦ=50mmの別途の押出機を通じて250℃において押出されて30℃鋳造ロールによって必要な厚さで成形された。
【0118】
表面層1、中間層、及び表面層2は熱融着された後、118℃において縦方向6倍、横方向5倍で総30倍延伸された。抽出と熱固定段階を経た最終フィルムの厚さは21μmであった。
【0119】
他の条件は実施例1と同一に行った。得られた分離膜の物性は下記表1に示した。
【0120】
実施例5
【0121】
表面層1と表面層2には重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレンと40℃動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使用され、二成分の含量はそれぞれ20重量%、80重量%であった。製造された表面層シートの厚さはそれぞれ350μmであった。中間層には重量平均分子量が5.7×10であり、溶解温度が163℃であるポリプロピレンと、重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレン、及び平均粒子サイズが0.08μmのCaCOが使用され、三成分の含量はそれぞれ50重量%、30重量%、20重量%であった。製造された中間層シートの厚さは100μmであった。
【0122】
中間層のポリプロピレンとポリエチレン及びフィラーがΦ=30mmの二軸混合機で混練/押出されたことを除いては実施例1と同一に行った。
【0123】
表面層1、中間層、及び表面層2は熱融着された後、116℃において縦方向7倍、横方向6倍で総42倍延伸された。抽出と熱固定段階を経た最終フィルムの厚さは13μmであった。
【0124】
他の条件は実施例1と同一に行った。得られた分離膜の物性は下記表1に示した。
【0125】
比較例1
【0126】
層1に重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレンと40℃動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使用され、二成分の含量はそれぞれ30重量%、70重量%であった。製造された層1シートの厚さは1,100μmであった。
【0127】
ポリエチレンとパラフィンオイルはΦ=46mmの二軸混合機で混練された。混練温度は200℃であった。ポリエチレンはメインホッパーに投入され、希釈剤はサイドフィーダーを用いて押出機に投入された。前記混練された溶融物はT字形ダイで押出されて30℃鋳造ロールによって必要な厚さで成形された。
【0128】
層1シートは単独に120℃において縦方向6倍、横方向6倍で総36倍延伸された。抽出と熱固定段階を経た最終フィルムの厚さは20μmであった。
【0129】
他の条件は実施例1と同一に行った。得られた分離膜の物性は下記表2に示した。
【0130】
比較例2
【0131】
表面層1には重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレンと40℃動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使用され、二成分の含量はそれぞれ90重量%、10重量%であった。前記表面層1のポリエチレンとパラフィンオイルはΦ=46mmの二軸混合機で混練された。混練温度は200℃であった。ポリエチレンはメインホッパーに投入され、希釈剤はサイドフィーダーを用いて押出機に投入された。混練された溶融物はT字形ダイで押出されて30℃鋳造ロールによって成形され、製造された表面層1シートの厚さは400μmであった。
【0132】
表面層2には重量平均分子量が5.7×10であり、溶解温度が163℃であるポリプロピレンが使用された。前記表面層2のポリプロピレンはΦ=46mmの二軸混合機で押出/混練された。混練された溶融物はT字形ダイで押出されて30℃鋳造ロールによって成形され、製造された表面層2シートの厚さは70μmであった。
【0133】
中間層には重量平均分子量が5.7×10であり、溶解温度が163℃であるポリプロピレンと平均粒子サイズが1.5μmのCaCOが使用され、二成分の含量はそれぞれ50重量%、50重量%であった。中間層のポリプロピレンとフィラーはΦ=30mmの二軸混合機で混練/押出され、混練/押出温度は230℃であった。ポリプロピレンとフィラーは予め混練されて押出機に投入された。前記混練/押出された溶融物はT字形ダイが付いているΦ=50mmの別途の押出機を通じて250℃において押出されて30℃鋳造ロールによって成形され、製造された中間層シートの厚さは100μmであった。
【0134】
前記製造された表面層1、中間層、及び表面層2は200℃で30秒間熱融着された後、126℃において縦方向6倍、横方向6倍で総36倍延伸された。前記のように抽出と熱固定段階を経た最終フィルムの厚さは14μmであった。
【0135】
他の条件は実施例1と同一に行った。得られた分離膜の物性は下記表2に示した。
【0136】
比較例3
【0137】
表面層1には重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレンと動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使用され、二成分の含量はそれぞれ30重量%、70重量%であった。前記表面層1のポリエチレンと希釈剤のパラフィンオイルはΦ=46mmの二軸混合機で混練され、混練温度は200℃であった。ポリエチレンはメインホッパーに投入され、希釈剤はサイドフィーダーを用いて押出機に投入された。混練された溶融物はT字形ダイで押出されて30℃鋳造ロールによって必要な厚さで成形され、製造された表面層1シートの厚さは700μmであった。
【0138】
前記表面層2には重量平均分子量が5.7×10であり、溶解温度が163℃であるポリプロピレンと重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレン及び平均粒子サイズが2.5μmのCaCOが使用され、三成分の含量はそれぞれ25重量%、25重量%、50重量%であった。前記表面層2のポリプロピレンとポリエチレン及びフィラーはΦ=30mmの二軸混合機で混練/押出された。混練/押出温度は230℃であった。ポリプロピレンとポリエチレン及びフィラーは予め混練されて押出機に投入された。混練/押出された溶融物はT字形ダイが付いているΦ=50mmの別途の押出機を通じて250℃において押出されて30℃鋳造ロールによって必要な厚さで成形され、製造された表面層2シートの厚さは300μmであった。
【0139】
中間層には重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレンとフィラーとして平均粒子サイズが2.5μmのCaCOが使用され、二成分の含量はそれぞれ50重量%、50重量%であった。前記中間層のポリエチレンとフィラーはΦ=30mmの二軸混合機で混練/押出され、混練/押出温度は230℃であった。ポリエチレンとフィラーは予め混練されて押出機に投入された。混練/押出された溶融物はT字形ダイが付いているΦ=50mmの別途の押出機を通じて250℃において押出されて30℃鋳造ロールによって必要な厚さで成形され、製造された中間層シートの厚さは10μmであった。
【0140】
前記製造された表面層1、中間層、及び表面層2は熱融着された後、122℃において縦方向7倍、横方向3倍で総21倍延伸された。抽出と熱固定段階を経た最終フィルムの厚さは40.4μmであった。
【0141】
他の条件は実施例1と同一に行った。得られた分離膜の物性は下記表2に示した。
【0142】
比較例4
【0143】
表面層1と表面層2には重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレンと40℃動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使用され、二成分の含量はそれぞれ30重量%、70重量%であった。製造された表面層1と表面層2のシートの厚さはそれぞれ330μmであった。中間層には重量平均分子量が5.7×10であり、溶解温度が163℃であるポリプロピレンと平均粒子サイズが2.5μmのCaCOが使用され、二成分の含量はそれぞれ90重量%、10重量%であった。製造された中間層シートの厚さは330μmであった。
【0144】
表面層1、中間層、及び表面層2は熱融着された後、122℃において縦方向6倍、横方向6倍で総36倍延伸された。抽出と熱固定段階を経た最終フィルムの厚さは20μmであった。
【0145】
他の条件は実施例1と同一に行った。得られた分離膜の物性は下記表2に示した。
【0146】
比較例5
【0147】
表面層1には重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレンと40℃動粘度が95cStであるパラフィンオイルが使用され、二成分の含量はそれぞれ30重量%、70重量%であった。前記表面層1のポリエチレンと希釈剤のパラフィンオイルはΦ=46mmの二軸混合機で混練され、混練温度は200℃であった。ポリエチレンはメインホッパーに投入され、希釈剤はサイドフィーダーを用いて押出機に投入された。混練された溶融物はT字形ダイで押出されて30℃鋳造ロールによって必要な厚さで成形され、製造された表面層1のシートの厚さは500μmであった。
【0148】
前記表面層2には重量平均分子量が5.7×10であり、溶解温度が163℃であるポリプロピレンと重量平均分子量が3.0×10であり、溶解温度が134℃であるポリエチレンが使用され、二成分の含量はそれぞれ40重量%、60重量%であった。前記表面層2のポリプロピレンとポリエチレンはΦ=30mmの二軸混合機で混練/押出され、混練/押出温度は230℃であった。ポリプロピレンとポリエチレンは予め混練されて押出機に投入された。混練/押出された溶融物はT字形ダイが付いているΦ=50mmの別途の押出機を通じて250℃において押出されて30℃鋳造ロールによって必要な厚さで成形され、製造された表面層2シートの厚さは500μmであった。
【0149】
中間層には重量平均分子量が5.7×10であり、溶解温度が163℃であるポリプロピレンとフィラーとしてポリカーボネートが使用され、二成分の含量はそれぞれ10重量%、90重量%であった。前記中間層のポリプロピレンとポリカーボネートはΦ=30mmの二軸混合機で混練/押出され、混練/押出温度は280℃であった。ポリプロピレンとポリカーボネートは予め混練されて押出機に投入された。混練/押出された溶融物はT字形ダイが付いているΦ=50mmの別途の押出機を通じて280℃において押出されて30℃鋳造ロールによって必要な厚さで成形され、製造された中間層シートの厚さは100μmであった。
【0150】
前記表面層1、中間層、及び表面層2は熱融着された後、118℃から123℃まで延伸比を縦方向6倍、横方向6倍で総36倍延伸を試みたが、破断が生じて延伸が不可であった。
【0151】
他の条件は実施例1と同一に行った。
【0152】
【表1】

【0153】
【表2】

【0154】
本発明の単純な変形乃至変更はあらゆる本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付された特許請求範囲によって明らかになるだろう。
【産業上の利用可能性】
【0155】
上述したように、本発明の2次電池用微細多孔膜は3層以上の多層から構成され、中間層にフィラーを位置させることにより表面層におけるワックス析出や無機物剥離などが生じなくて高い品質安定性と生産性を現す効果がある。
【0156】
また、本発明の2次電池用微細多孔膜は中間層にポリプロピレンとフィラーを混練させて位置させ、延伸過程においてポリプロピレンとフィラーの界面に気孔を中間層に形成させる。この際、前記フィラーが気孔を作る核役割を果たし、膜の透過性を向上させる効果がある。
【0157】
また、3層以上の多層から構成して優秀な強性、透過性、熱安定性、及び品質安定性を有する効果がある。
【0158】
また、品質均一性に優れ、適用範囲が広くて高容量/高出力電池に適用時に優れた効果が見せられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3層の微細多孔膜であって、
中間層は、溶解温度150℃以上のポリプロピレン20乃至80重量%と、溶解温度140℃以上のフィラー80乃至20重量%とを含み、
中間層内のフィラーとポリプロピレンの総含量が60重量%以上であり、
両表面層はポリエチレンを含み、両表面層のうち一層以上はポリエチレンを70重量%以上含む微細多孔膜。
【請求項2】
前記中間層は、溶解温度150℃以上のポリプロピレン20乃至80重量%と、溶解温度140℃以上のフィラー80乃至20重量%とを含み、
中間層内のフィラーとポリプロピレンの総含量が80重量%以上であり、
両表面層は各々ポリエチレンを80重量%以上含む請求項1に記載の微細多孔膜。
【請求項3】
前記中間層は、溶解温度150℃以上のポリプロピレン30乃至70重量%と、溶解温度140℃以上のフィラー70乃至30重量%とからなり、
両表面層はポリエチレンからなる請求項2に記載の微細多孔膜。
【請求項4】
前記中間層の厚さが0.5μm以上であり、全体厚さが7乃至50μmであり、中間層の全体厚さに対する割合が1%以上50%未満である請求項1乃至3のいずれかに記載の微細多孔膜。
【請求項5】
前記膜の穿孔強度が0.12N/μm以上、透過度が1.0×10−5ダーシー以上、溶融破断温度が150℃以上である請求項4に記載の微細多孔膜。
【請求項6】
前記膜の穿孔強度が0.20N/μm以上、透過度が1.5×10−5ダーシー以上、溶融破断温度が160℃以上である請求項5に記載の微細多孔膜。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の3層微細多孔膜を含む多層微細多孔膜。
【請求項8】
前記溶解温度140℃以上のフィラーは、ポリビニリデンフルオライド、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリメチレンオキシド、ポリアミド、またはこれらの混合物から選ばれた耐熱樹脂であり、またはシリコンジオキシド(SiO)、アルミニウムオキシド(Al)、カルシウムカーボネート(CaCO)、チタニウムジオキシド(TiO)、SiS、SiPO、MgO、ZnO、BaTiO、天然クレー、有機的に変形されたクレー、またはこれらの混合物からなる群から選ばれる平均粒子サイズが0.01乃至5μmである無機質、またはこれらの混合物である請求項1乃至3のいずれかに記載の微細多孔膜。
【請求項9】
請求項4に記載の3層微細多孔膜を含む多層微細多孔膜。
【請求項10】
請求項5または6に記載の3層微細多孔膜を含む多層微細多孔膜。
【請求項11】
前記溶解温度140℃以上のフィラーはポリビニリデンフルオライド、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリメチレンオキシド、ポリアミド、またはこれらの混合物から選ばれた耐熱樹脂であり、またはシリコンジオキシド(SiO)、アルミニウムオキシド(Al)、カルシウムカーボネート(CaCO)、チタニウムジオキシド(TiO)、SiS、SiPO、MgO、ZnO、BaTiO、天然クレー、有機的に変形されたクレー、またはこれらの混合物から選ばれる平均粒子サイズが0.01乃至5μmである無機質、またはこれらの混合物である請求項4に記載の微細多孔膜。
【請求項12】
前記溶解温度140℃以上のフィラーはポリビニリデンフルオライド、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリメチレンオキシド、ポリアミド、またはこれらの混合物から選ばれた耐熱樹脂であり、またはシリコンジオキシド(SiO)、アルミニウムオキシド(Al)、カルシウムカーボネート(CaCO)、チタニウムジオキシド(TiO)、SiS、SiPO、MgO、ZnO、BaTiO、天然クレー、有機的に変形されたクレー、またはこれらの混合物から選ばれる平均粒子サイズが0.01乃至5μmである無機質、またはこれらの混合物である請求項4に記載の微細多孔膜。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−521413(P2011−521413A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509415(P2011−509415)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際出願番号】PCT/KR2009/002561
【国際公開番号】WO2009/139585
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(308007044)エスケー エナジー カンパニー リミテッド (53)
【Fターム(参考)】