説明

2段式静電フィルタのための円形集塵装置に関連する装置

本発明は2段式静電フィルタのための円形集塵装置(1)に関連する装置に関し、集塵装置(1)は、中心に配置されたボビンの回りに巻きつけられた少なくとも2つの細帯状の電極エレメントから形成され、電極エレメントは、電極エレメント間に隙間を形成するように相互に間隔dだけ離れて配置され、本装置はその中心軸の回りで集塵装置(1)を回転するための手段を備え、真空清浄ノズル(27)が集塵装置(1)の一側に配置され、真空清浄ノズル(27)は集塵装置(1)のすぐ傍に設置される。集塵装置(1)の隣接する電極エレメント間の隙間に貫入するように設計された少なくとも2つのエレメント(35/36)が真空清浄ノズル(27)に設けられることは本発明による装置にとって重要なことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2段式静電フィルタのための円形集塵装置に関連する装置は、集塵装置が、中心に配置されたボビンの回りに巻きつけられた少なくとも2つの細帯状の電極エレメントから形成され、電極エレメントが、電極エレメント間に隙間を形成するように、相互に間隔dだけ離れて配置され、本装置はその中心軸の回りで集塵装置を回転するための手段を備え、真空清浄ノズルが集塵装置の一側に配置され、真空清浄ノズルが集塵装置のすぐ傍に設置される。
【背景技術】
【0002】
より良好な、すなわち、より効果的なエネルギ消費と組み合わされたより良好な室内空気品質についての近年の重要な焦点は、種々の繊維を用いるもの以外の粒子濾過技術を創成している。この種の技術の一例としては2段式静電フィルタと呼ばれるものがある。
【0003】
最近の静電フィルタにおける開発は、金属製電極エレメントを用いる代わりに、濾過装置と呼ばれるものを構成するための高抵抗材料を使用した非常に広範囲に使用できる有効な粒子濾過ソリュージョンを導き出した。従前の繊維層フィルタの使用についての最近の研究は、フィルタに集められた埃並びにフィルタを通る空気の流れに対するその影響に関するものに及んでいる。1つの解決法は、既に集められたダスト粒子の少なくとも大部分をフィルタから取り除くために、作動中に粒子フィルタを断続的に清浄できる。
【0004】
静電フィルタを断続的に清浄する提案が国際公開第WO97/46322号公報に記載されている。この文献は、集塵装置と呼ばれる装置を通る空気の流れの方向における下流側に設けられたイオン化区域を有する2段式静電フィルタを記載している。この集塵装置は、それぞれの電極エレメント間に間隙dを有してボビンの回りに数回巻き付けられた2つの細帯状の電極エレメントから構成される。この種の集塵装置はほぼ円筒形の本体を形成している。空気は集塵装置を軸方向へ通りそして隣接する細帯状の電極エレメント間に形成された開放間隙dを通って流れる。
【0005】
前述の特許出願によれば、集塵装置の吸入口側に集められた埃は、内蔵の真空清浄器を用いて取り除かれる。いかにして真空清浄ノズルが放射方向に配置されて集塵装置の吸入口に直接接続されるか、そして真空清浄器を備えた集塵装置に対していかにしてノズルが移動されるかが記載されている。
【0006】
試験室テストは、集められた埃を効果的に取り除くための上述の解決策は集塵装置の吸入口の領域から埃を取り除けたにもかかわらず、それぞれの電極エレメントおよびその間の間隙に集まったダスト粒子に対しては有効ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第WO97/46322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主たる目的は、ここに特定される形式の円形集塵装置に適合するように設計された好適な実施形態の真空清浄ノズルを備えた装置を提供することである。
本発明の別の目的は、一つの特定な実施形態において、吹き出しノズルを本装置に一体化することにある。
本発明の別の目的は、集められた埃をより効果的に取り除かせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
少なくとも本発明の主な目的は、添付の特許請求の範囲の独立項の請求項1に画定された特徴を有する装置により達成される。本発明の好適な実施形態は独立項の請求項に画定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る装置の一実施形態として示した概略斜視図である。
【図2】同実施形態であって図1に示す装置の一部を形成するノズルの概略図である。
【図3】同実施形態であって本発明に係る装置の一部を形成する集塵装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態として示した吸引式クリーナを有する装置及びその吸引式クリーナによって清掃対応可能な集塵装置の一部を示す概略斜視図である。
【図5】同他の実施形態における吸引式クリーナを通る空気の流れを示す模式図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態として示した装置におけるノズルおよびそのノズルの周辺部分を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の更に異なる他の実施形態として示した装置におけるノズルの開口側からの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による好適な実施形態の装置について、以下、添付の図面を参照して説明する。
【0012】
実験室のテストでは、集塵装置の帯状電極素子(電極エレメント)に捕集したダスト粒子についてはその集塵装置におけるダスト粒子の導入口の表面部に吸引式クリーナ(真空清浄器)のノズルをごく近づけることで、その吸引による比較的強力な空気の流れを利用するだけでは取り除くことが困難であることが示されている。
【0013】
本発明において、吸引式クリーナのノズルは、当該ノズルに対して集塵装置が相対変位する際に、その集塵装置における隣接する帯状電極素子間の隙間に挿入することが可能な要素(挿入要素)を備えている。本発明の一実施形態を、図1を参照しながら以下に説明する。
【0014】
帯状電極素子間への関連要素(挿入要素)の機械的な挿入は、問題の集塵装置(即ち、国際公開第WO97/46322による高電気抵抗材料または静電気散逸材料によって形成された集塵装置)が一方の側面部にのみ接着剤の各ストリングを有する設計であれば、行うことができる。実験室のテストでは、比較的大きな直径を有し、かつ接着剤による複数のストリングを有するように設計されたこの種の集塵装置の実施形態は種々の問題を発生させることが示されている。それは、隣接する帯状電極素子(ストリップ)間に作用する静電気力(即ち、互いに対向する隣接電極間に作用する静電気力)によるものである。各帯状電極素子間の距離は、0.5から2ミリメートルの領域にあることに留意すべきである。このことは、非常に小さな帯状電極素子間の距離の変化であっても、機械的安定性において、一定の高い効率を維持する集塵装置の能力に悪影響を及ぼすことを意味する。
【0015】
実験室のテストで使用した約0.4ミリメートルの厚さを有する板状材料の場合には、集塵装置の安定性に関する静電気力及びそれらの効果による問題はすでに約50cmm以上の直径を有するもので発生しており、そしてもちろん集塵装置の直径の増加に伴い増加した。それは、この種の集塵装置が100cmから150cmの範囲内の直径を有することができるという限定を外した例を与える目的で示されている。実験室でのテストにおいては、各帯状電極素子間の特定の距離を機械的に安定的に維持するための一つの方法は、集塵装置の一方の側面側に、その側の周辺部分においては互いに非常に近接させて接着剤によるストリングを設けることが示されている。また、上記機械的安定性を達成するためには、スポークホイールの形状のホルダに各帯状電極素子を備えた集塵装置を接着する必要であることがわかった。本発明によれば、集塵装置の周辺部分において、接着剤または同様の手段による各ストリングの隣接する方向の最大距離は5cmを超えないようにする必要があり、より好ましくは3cmを超えないようにする必要がある。これは、一般的に集塵装置の直径にかかわらず適用される。
【0016】
上述のように設計された集塵装置のクリーニング装置について提案された実施形態を、図1から図3を参照して説明する。
【0017】
図1は、国際公開第WO97/46322に示す集塵装置と同様の基本原理に基づいて設計された円形状の対称的な集塵装置1を中心に設置した空気清浄装置の一部を模式的に示している。しかし、本発明に係る集塵装置が一方の側面部だけに接着剤のストリングを備えることができるようになっていることと、本発明に係る集塵装置が安定化フレーム3(図3参照)に取り付けられるようになっていることとの関係については留意すべきである。安定化フレーム3は、中心部5と、この中心部5から放射状に延びる所定の数の第1のスポーク7と、集塵装置1の周縁部の全周にわたって延びる周縁部9とを有している。第1のスポーク7は、周縁部9に接続されている。
【0018】
図3から明らかなように、集塵装置1は、中心部5と周縁部9との間に放射状に延びる粘着剤、好ましくは接着剤(にかわ)のストリング10が備えられている。上述したように、粘着剤による各ストリング10は、集塵装置1に必要な安定性を得るために、相対的にきちんと並べるべきである。各ストリング10は、様々な半径方向の長さを有するものであってもよい。安定化フレーム3と各ストリング10は、本発明に係る集塵装置に優れた機械的安定性を与えることになる。因みに、集塵装置1は、図3において見える側と反対の側の側面部には粘着剤のストリングが備えられていないということに注意する必要がある。
【0019】
本発明に係る集塵装置1は、支持要素15によって支持されている。そして、この集塵装置1は、支持要素15の中心の上に、当該集塵装置1の中心部2が設置されている。支持要素15は、当該支持要素15の中心からその支持要素15の周縁部に延びる所定の数の他のスポーク(図示せず)を有している。この支持要素15の周縁部は、本発明に係る集塵装置1の周縁部を支持している。
【0020】
駆動部材、好ましくは電動モータ(回転するための手段)(図示せず)は、集塵装置1の裏側である支持要素15の側面部における当該支持要素15の中心部分に設置されている。電動モータは、支持要素15の中心を貫通する回転軸を備えており、その回転軸が集塵装置1の中心部2に接続されている。これにより、電動モータの回転軸が回転することにより、集塵装置1も支持要素15に対して相対的に回転するようになっている。中心部2の中心は、集塵装置1の回転中心となるように形成されている。電動モータの回転軸は、任意の方向に回転することができる。
【0021】
清浄化する空気は、図1又は図2において図示しない送風ファンによる通常の方法によって、集塵装置1を通過するように送られる。即ち、その清浄化する空気は、図1の矢印P1で示す方向に向けて集塵装置1を通過するように送られる。清浄化する空気中の粒子は、その空気の流れる方向における集塵装置1の上流側の部分で帯電することが前提となっている。これは、従来から公知である。集塵装置1の両帯状電極素子、すなわち当該集塵装置1を構成する各紙片の双方が高電圧電源のそれぞれの電極に従来公知の適切な方法で接続されている。
【0022】
図1は、集塵装置1に隣接して設けられた円柱状のホルダ20及び支持要素15を示している。ホルダ20の長手方向は、支持要素15の主平面を横切る方向となっている。ホルダ20は、支持要素15に近接させて、適切な方法で、例えばベアリング装置を用いて据え付けられている。このため、ホルダ20は、当該ホルダ20の長手方向の軸回りに、任意の方向に自由に回転できるようになっている。この任意の方向に自由に回転できることは、図1において双方向矢印P2によって示している。ホルダ20からは第1の管(第1の管状部)25が延びている。この第1の管25は、第1の直角ベンド26と、その自由端に形成されたノズル(真空清浄ノズル)27(図2参照)を備えている。ノズル27の開口部が集塵装置1における清浄化する空気の入口の範囲内に位置し、かつノズル27の開口部によって定義される平面が集塵装置1の入口の範囲によって定義される平面と好ましくは平行である。ホルダ20の第1の空気流路30は、第1の管25に接続された第1の継手31を、図1に示されていない外部の吸引式クリーナに接続するようになっている。第1の継手31は、ホルダ20に転自在に装着されている。このため、第1の継手31は、ホルダ20がその長手方向の軸回りに回転するのを妨げることがない。
【0023】
ノズル27の構成(設計)は、図2に明確に示されている。第1の直角ベンド26内には、2つの平面帯状要素(挿入要素)35、36が互いに離れた状態で別々に配置されている。平面帯状要素35、36は、チューブ37内に設けられている。平面帯状要素35、36は、チューブ37の上端部及び当該各平面帯状要素35、36の上端部のそれぞれに形成された穴(開孔)に通されたワイヤ38によって当該チューブ37に取り付けられている。このように平面帯状要素35、36を取り付けることによって、これらの平面帯状要素35、36は、集塵装置1を構成する各帯状電極素子、即ち各紙片の厚さに対応するように互いに距離を置いて配置することができる。平面帯状要素35、36の穴は、当該平面帯状要素35、36が傾斜することができるように、ワイヤ38に比して大きな径となっている。平面帯状要素35、36の寸法は、それらがチューブ37内で自由に回転できるような大きさになっている。即ち、平面帯状要素35、36は、長手方向の軸を中心にしてチューブ37内で回転することが可能なように、その幅寸法が設定されている。図2に示すように、各平面帯状要素35、36は、集塵装置1における2つの隣接する各隙間、即ち、隣接する帯状電極素子間の各スペースにそれぞれ入り込むようになっている。因みに、ノズル27が集塵装置1におけるストリング10を有していない側面部の側に配置されていることに留意する必要がある。
【0024】
平面帯状要素35、36は、集塵装置1の厚さの大部分に対応する長手方向の広がり(長さ)を有するものとなっている。平面帯状要素35、36は、その平面帯状要素35、36の働きのために重要な固有の剛性を有している。即ち、平面帯状要素35、36は、帯状電極素子と接触しながら移動すべく、固有の剛性を有している。集塵装置1における2つの帯状電極素子による螺旋状の隙間により、集塵装置1が360度回転変位するごとに、すなわち集塵装置1が1回転するごとに、ノズル27が帯状電極素子の厚さに二倍の隙間を加えた量の半径方向の変位を生じることになる。集塵装置1の回転方向に応じて、ノズル27は集塵装置1の中心に向かうか、当該集塵装置1の周縁に向かうかのいずれかの変位をすることになる。これは、もちろん、クリーニング間隔と、集塵装置1の回転方向の両方を制御する制御装置が必要になることを意味する。平面帯状要素35、36が帯状電極素子の間に配置される事実を有する結果、電極に捕集されダスト粒子は、クリーニング工程中に帯状電極素子から離脱され、その離脱したダスト粒子が吸引式クリーナの収集手段(通常はバッグ)へ空気の流れによって運ばれることになる。平面帯状要素35、36の重要な特性は、これらが固有の剛性を有していることによるものである。
【0025】
本発明においては、平面帯状要素35、36を単に帯状電極素子間の隙間に挿入する細い棒や薄い棒またはブラシなどで構成することを妨げるものではもちろんない。後者の場合には、ブラシのあるものについてはより小さな広がりの隙間“d”に挿入するように設計することができ、またブラシのあるものついてはより大きな広がりの隙間に挿入するように設計することができる。ところで、各平面帯状要素35、36は、集塵装置1における双方の空気流路、即ち集塵装置1における隣接する帯状電極素子間に構成される2つの隙間にそれぞれ配置することが不可欠である。
【0026】
図4は、上述の集塵装置1と原則として同一の円形状の対称的な集塵装置1に関する空気清浄装置の一部を示しています。このため、図1〜図3に示す集塵装置と、図4に示す集塵装置については、双方共に、集塵装置1として、同じ参照番号で示している。
【0027】
即ち、本発明に係る装置の別の実施形態を図4および図5に示す。この別の実施形態においては、集塵装置1は、原則として上述の支持要素15に対応する支持要素15によって支持されている。このため、双方の支持要素は、同じ参照符号の15を付して示す。
【0028】
清浄化する空気は、図4又は図5に示されていない送風ファンによる通常の方法によって、集塵装置1を通過するように送られる。即ち、清浄化する空気は、図5の集塵装置1の下方向に向けて当該集塵装置1を通過するように送られる。清浄化する空気中の粒子は、その空気が流れる方向における集塵装置1の上流側の部分で帯電することが前提である。これは、従来から公知である。集塵装置1の両帯状電極素子、すなわち当該集塵装置1を構成する各紙片の双方が高電圧電源のそれぞれの電極に従来公知の適切な方法で接続されている。
【0029】
図4及び図5は、集塵装置1に隣接して設けられた円柱状(円筒状)のホルダ120及び支持要素15を示している。ホルダ120の長手方向は、支持要素15の主平面を横切る方向となっている。ホルダ120は、支持要素15に近接させて、適切な方法で、例えばベアリング装置を用いて据え付けられている。このため、ホルダ120は、当該ホルダ120の長手方向の軸回りに、任意の方向に自由に回転できるようになっている。この任意の方向に自由に回転できることは、図4において双方向矢印P2によって示している。ホルダ120からは第1の管(第1の管状部)125が延びている。この第1の管125は、その一端部に設けられた第1の直角ベンド126と、当該第1の直角ベンド126の自由端に形成されたノズル(真空清浄ノズル)127(図5参照)を備えている。ノズル127の開口部が集塵装置1における清浄化する空気の入口の範囲内に位置し、かつノズル127の開口部によって定義される平面が集塵装置1の入口の範囲によって定義される平面と好ましくは平行である。ホルダ120の第1の空気流路130は、図5に示すように、第1の管125を第1の継手131に接続し、この第1の継手31を外部の吸引式クリーナ(真空清浄器)Dに接続するようになっている。第1の継手131は、ホルダ120に回転自在に装着されている。このため、第1の継手131は、ホルダ20がその長手方向の軸回りに回転するのを妨げることがない。
【0030】
ノズル127の構成(設計)は、図5において明確に示されている。第1の直角ベンド126内には、2つの平面帯状要素135、136が互いに隣接して配置されている。平面帯状要素135、136は、チューブ内に設けられている。各平面帯状要素135、136は、好ましくは上述の各平面帯状要素35、36に対応する方法で、即ち各平面帯状要素135、136の上端部のそれぞれに形成された各穴(開孔)に通されたワイヤによって、チューブ内に吊下げられている。このように平面帯状要素135、136は、集塵装置1を構成する各帯状電極素子、即ち各紙片の厚さに対応するように互いに距離を置いて配置することができる。平面帯状要素135、136の寸法は、それらがチューブ内で自由に回転できるような大きさになっている。即ち、平面帯状要素135、136は、長手方向の軸を中心にしてチューブ37内で回転することが可能なように、その幅寸法が設定されている。図4及び図5に示すように、各平面帯状要素135、136は、集塵装置1における2つの隣接する各隙間、即ち、隣接する帯状電極素子間の各スペースにそれぞれ入り込むようになっている。従って、平面帯状要素135、136は、集塵装置1の厚さの大部分に対応する長さを有するものとなっている。この場合においても、平面帯状要素135、136が本質的に固有の剛性を有することが重要である。集塵装置1における2つの帯状電極素子による螺旋状の隙間により、集塵装置1が360度回転変位するごとに、すなわち集塵装置1が1回転するごとに、ノズル127が帯状電極素子の厚さに二倍の隙間を加えた量の半径方向の変位を生じることになる。集塵装置1の回転方向に応じて、ノズル127は集塵装置1の中心に向かうか、当該集塵装置1の周縁に向かうかのいずれかの変位をすることになる。これは、もちろん、クリーニング間隔と、集塵装置1の回転方向の両方を制御する制御装置が必要になることを意味する。平面帯状要素135、136が帯状電極素子の間に配置される事実を有する結果、帯状電極素子に捕集されダスト粒子は、クリーニング工程中に帯状電極素子から離脱され、その離脱したダスト粒子が吸引式クリーナの収集手段(通常はバッグ)へ空気の流れによって運ばれることになる。
【0031】
本発明においては、平面帯状要素135、136を単に電極間の隙間に挿入する細い棒や薄い棒またはブラシなどで構成することを妨げるものではもちろんない。後者の場合には、ブラシのある一部のものについてはより小さな広がりの隙間“d”に挿入するように設計することができ、またブラシのある一部のものについてはより大きな広がりの隙間に挿入するように設計することができる。ところで、各平面帯状要素135、136は、集塵装置1における双方の空気流路、即ち集塵装置1における隣接する帯状電極素子間に構成される2つの隙間にそれぞれ配置することが不可欠である。図4及び図5から明らかなように、本発明に係る装置の実施形態には、一端部をホルダ120に接続した第2の管(第2の管状部)140が設けられている。第2の管140には、その他端部に第2の直角ベンド141が設けられている。その第2の直角ベンド141は、その自由端が支持要素15の下面に隣接する位置となっている。これにより、ノズル127と、第2のベンド141の自由端とは、その一方が集塵装置1の反対側における他方のすぐ正面側に位置することになる。ホルダ120の第2の空気流路142は、第2の管140を、吸引式クリーナDにおける吸引機(ブロワ)の排出口(吹出口)に接続された第2の継手143に接続するようになっている。
【0032】
図4及び図5に示す装置は、以下のように作動する。クリーニング/吸引による集塵装置1のクリーニングを行う際に、平面帯状要素135、136は、集塵装置1の中心部に隣接した位置に配置するか、または集塵装置1の周縁部に隣接した位置に配置することが好ましい。集塵装置1は、その後、電気モーターを起動することによって回転することになる。集塵装置1の回転方向は、平面帯状要素135、136が周縁部から中央部に向うか、あるいは中央部から周縁部に向かうか、望む方向への変位を選択することになる。この選択は、集塵装置1が螺旋状に巻かれた帯状の各帯状電極素子として回転すること、及び第1の管25及び第2の管140が回転可能なホルダ120に接続されていることから、自動的に行われることになる。集塵装置1の各帯状電極素子に沿って/各帯状電極素子に対して各平面帯状要素135、136が相対的に移動する際に、各平面帯状要素135、136は機械的な方法で帯状電極素子に付着しているダスト粒子やその他の塵を引き離して自由にする。吸引式クリーナを起動させることにより、吸引効果がノズル127に生じ、移動が自由になったダスト/その他の塵が第1の管125に吸引され、ホルダー120を介して移動して、吸引式クリーナDのバッグPに収集される。同時に、空気が吸引式クリーナDの吸引機の排出口から集塵装置1の下側に供給され、この空気が集塵装置1を通過することになり、その間に集塵装置1からダスト/その他の塵を取り去ることが助長されることになる。ノズル127と第2の管140の出口とは、その一方が他のすぐ正面に位置しているので、効果的なクリーニング/吸引クリーニングを集塵装置1の両側において確立することになる。図5中の矢印は、空気がどのようにして集塵装置1と吸引式クリーナDを通って循環するかを示している。ノズル127に吸い込まれる単位時間当たりの空気の体積(流量)は、第2の管140の第2の直角ベンド141を介して吹き出される単位時間当たりの空気の体積(流量)よりも大きくなるという関係に注意する必要がある。なお、符号140〜143で示す手段は、集塵装置1を通して空気を吹き出すための手段に相当する。
【0033】
図6は、本発明に係る装置のノズル(真空清浄ノズル)227を形成する部分についての更に他の実施形態を示している。図6から明らかなように、この実施形態は、第1の直角ベンド226内に配置され、かつ第1のチューブ237よりも大幅に小さな直径を有する2つの挿入要素/第2のチューブ235、236を収容した第1のチューブ237を備えている。各第2のチューブ235、236の直径は、集塵装置1における隣接する各帯状電極素子間の隙間に入り込むことができるような寸法に設定されている。従って、ノズル227は、上述したように、集塵装置1の半径方向に変位することが可能である。それは第2のチューブ235、236は、ノズル227の変位を確保するために本質的に変形しない硬質のもの、即ち固有の剛性を有するものであることが重要である。上記各挿入要素/第2のチューブ235、236は、上述した平面帯状要素35、36、135、136と同じ程度に隙間に入り込む必要はない。挿入の程度は、単に集塵装置1の入口領域の上側においてノズル227の変位量を確保するのに十分でなければならない。
【0034】
第2のチューブ235、236は圧縮空気源、例えば、コンプレッサー(図示せず)に接続されている。エアトラップ(空気補足器)(図示せず)が、例えばディスク等の形で、集塵装置1の下面側に配置されている。図6に示すノズル227を有する実施形態では、圧縮空気が隣接する帯状電極素子の間の隙間に第2のチューブ235、236を介して供給され、その圧縮空気がトラップに対して“ドスン”と当てるような方法で供給され、そしてその圧縮空気が吸引式クリーナに結合された当該ノズル227に吸い込まれるような方法で動作することになる。第2のチューブ235、236を介して供給された圧縮空気が帯状電極素子から塵、汚れ等や他の粒子を解放し、自由状態となった塵、汚れ等/他の粒子が吸引式クリーナ(図示せず)に接続されたノズル227内に吸引されることになる。
【0035】
図7は、ノズル(真空清浄ノズル)327を有する更に他の実施形態を示す。ノズル327は、隣接する帯状電極素子間の隙間への挿入要素335、336を二組備えている。即ち、二組の挿入要素335、336がノズル327内に配置されている。各組の挿入要素335、336は、それぞれ第1のチューブ337に配置されている。挿入要素335、336は、本質的に変形しない硬質なもの、即ち固有の剛性を有するものであり、適切な方法で吊下げられている。即ち、上述したいずれかの方法で吊下げられている。ノズル327の領域は、第1の直角ベンド326の開口部を部分的に塞ぐことにより所定の範囲(縮小された領域)に制限されている。すなわち、図7の実施形態で示すように、2つの第1のチューブ337の間に延在する長尺(横長)の開口部のみを残すように第1の直角ベンド326の開口部を塞ぐことにより、ノズル327を所定の範囲に制限している。この縮小された入口の開口面積により、ノズル327に接続されている吸引式クリーナ(図示せず)は、改善された吸引効果を発揮することになり、この結果、解放された自由粒子が集塵装置から大いに取り去られることになる。
【0036】
(本発明の変更態様)
上述した各実施形態では、集塵装置の入口側は当該集塵装置における粘着剤のストリングが存在しない側に位置する。しかし、実験室のテストでは、集塵装置の入口側は当該集塵装置の粘着剤のストリングを有する側に位置することができることを示している。これは、勿論、集塵装置を通過する空気の流れの方向から見た場合に、その粒子に対する帯電が当該集塵装置の上流側の部分で行われることが前提である。
【0037】
図5に示す吸引式クリーナDは、集塵装置1に接続された一定不変の恒久的な装置である必要はない。即ち、吸引式クリーナは、清掃することが必要な集塵装置の間で移動するモバイルユニットとして設計することが考えられる。
【0038】
本発明によれば、集塵装置1の下面に空気を供給するための吸引式クリーナにおける吸引機の排出口に代えて、コンプレッサ(空気圧縮機)を使用することが考えられる。コンプレッサは、上述したように、図5に示す適切な方法で、第2の継手143に接続されることになる。
【0039】
因みに、本発明に係る装置の一部を形作る必須の構成要素は、吸引式クリーナに連結可能なノズル27、127、227と接続管群であることに注意する必要がある。この実施形態では、図4及び図5を参照して説明すれば、集塵装置1の下面に空気を供給するための手段をさらに備える必要があり、これらは、通常、例えば、圧縮空気源、例えば吸引式クリーナの吸引機又はコンプレッサ(空気圧縮機)に接続可能なチューブ140、141とチューブの連結部(継手)からなることを意味する。ノズル127と空気を供給するための手段は、さらに集塵装置の対向する各表面(上下の各表面)の上側を同期移動する必要がある。
【0040】
集塵装置は、図3に示すように、粘着剤、好ましくは接着剤(にかわ)による半径方向に延在するストリング10を備えている。しかし、放射状のストリングの形状となるように粘着剤を設けることは必ずしも必要ない。本発明によれば、例えば、円、螺旋状又は楕円などの形で適用される粘着剤が考えられる。重要なことは、粘着剤/接着剤は、隣接する各帯状電極素子の間に設けられる(加えられる)ことである。
【0041】
圧縮空気をエアトラップに対して“ドスン”と当てる図6に示す実施形態を参照すると、そのエアトラップに代えて、吸引式クリーナのノズルを、ノズル227から離れる方向(上記圧縮空気の供給と一緒の方向)の集塵装置1の側面、即ち集塵装置1におけるノズル227とは反対側の側面に配置することが考えられる。それにより、各ノズルは、その一方が他方のすぐ正面側に位置することになる。
【0042】
上述した各実施形態おいては、隣接する隙間に挿入する二つの挿入要素は、ノズル内の各第1のチューブ内に配置されている。本発明によれば、2つ以上の挿入要素をノズル内の各第1のチューブに配置することが考えられる。
【0043】
挿入要素(平面帯状要素)35、36が位置する集塵装置1の側面部で吸引クリーニングを行う実施形態を参照すると、あるブラシ形状のものを、集塵装置1の反対側の側面部に配置することが考えられる。従って、集塵装置1は、当該集塵装置1の帯状電極素子の間にブラシの毛が達するように、そのブラシが配置されている側に細いフレームを設けることが好ましい。ブラシは、集塵装置が回転している場合でも静止していてもよい。ブラシの目的は、集塵装置1から塵埃を引き離して自由ダストにすることであり、その自由ダストは吸引式クリーナに吸引されることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2段式静電フィルタのための円形集塵装置(1)に関連する装置であって、集塵装置(1)は、中心に配置されたボビンの回りに巻きつけられた少なくとも2つの細帯状の電極エレメントから形成され、電極エレメントは、電極エレメント間に隙間を形成するように相互に間隔dだけ離れて配置され、前記装置はその中心軸の回りで集塵装置(1)を回転するための手段を備え、真空清浄ノズル(27;127;227;327)が集塵装置(1)の一側に配置され、真空清浄ノズル(27;127;227;327)は集塵装置(1)のすぐ傍に設置され、真空清浄ノズル(27)には、集塵装置(1)の隣接する電極エレメント間の隙間に貫入するように設計された少なくとも2つのエレメント(35/36;135/136;235/236;335/336)が設けられる、装置。
【請求項2】
エレメント(35/36;135/136;235/236;335/336)は本質的に剛性である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
エレメント(35/36;135/136;235/236;335/336)は細帯状であり、そしてそれらの長手方向に回転自在である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
エレメント(35/36)はエレメント(35/36)の開孔を通過するワイヤ(38)から吊り下げられる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
エレメント(235/236)は管状であり、そして圧縮空気源に接続される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
真空清浄ノズル(327)は縮小された領域を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、真空清浄ノズル(127)から離間する方向の側部から、真空清浄ノズルが設置される側部へ、集塵装置(1)を通して空気を吹き出すための手段(140〜143)を備え、そして該手段(140〜143)は集塵装置(1)の対向側の真空清浄ノズル(127)の正面のすぐ傍に設置される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
集塵装置(1)を通して空気を吹き出すように、手段(140〜143)は、真空清浄器(D)のブロワ吹出口に接続された第2の管状部(140)を備える、請求項7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−503736(P2013−503736A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527846(P2012−527846)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際出願番号】PCT/SE2010/000213
【国際公開番号】WO2011/028162
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512054573)
【Fターム(参考)】