説明

2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法及びその粒子を用いる画像表示装置

【課題】対向する2枚の狭持電極パネル中に、封入する2色相帯電性球状粒子を、所定の電界下に回転変色させて画像を形成させる画像表示装置に用いる2色相帯電性球状粒子の2色相色目割合を自在に調整できるマイクロチャネル式製造方法を提供する。
【解決手段】重合性有機モノマー流体に白色染顔料及び黒色染顔料を含有させてなる白色流体相/黒色流体相からなる2色相流体相を、両流体の表面張力(ρn)[10−3N/m]値の組合せコントロール下に、第1マイクロチャネルを移送させ、第2マイクロチャネルを流れる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の親水性流動媒体に吐出・球状化させ、10表示基準で表す白色/黒色両色相の色目割合が、白色目勝ち又は黒色目勝ち又は白黒同色目等に自在に調整される平均粒子径10〜150μm範囲にある単分散の2色相帯電性球状粒子を自在に調製できるマイクロチャネル式製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2色相帯電性球状粒子の製造方法に関し、より詳細には、所定の電界下に回転変色する異なる帯電特性を有する2色相帯電性球状粒子であって、しかも、この粒子表面の2色相の占有表面積割合(又は2色相の色目割合)を自在に調整することができる2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法に関する。
また、本発明は、このように調製される単分散性に優れる2色相帯電性球状粒子を2枚の対向する狭持電極パネル中に、封入させて所定の電界下に回転変色させて所定の画像を形成させる電子ペーパー・デバイス(PLD)等として有用使される画像表示装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多種多様の情報が、記録・保存・伝送・表示として世の中に出力されている。例えば、CRT、PDP及びLCD等による表示として、複写機、ファクシミリ及びプリンター等の電子写真画像による紙(ハードコピー)への記録・保存・表示として、また、携帯電話、DTA等による伝送・表示として、更には、PLDのような帯電性白黒着色粒子又は白黒2色相の着色球状粒子等を電気泳動、電気飛翔又は回転・泳動させて画像を表示させる等の如くその出力及び表示形態も多岐に及んでいる。
【0003】
そこで、[特許文献1]には、PLD等の表示に用いられる2色に色分けされた表示用回転粒子の製造方法として、微小ボールの半球面に真空蒸着法、スパッタ法、化学気相成長法、スピンナ塗布方法等の薄膜作製方法を用いて異なる着色層を形成させてなる2色相ボールが記載されている。
【0004】
また、[特許文献2]には、マイクロカプセル内に内包させて、電界下に自在に回転泳動する帯電特性の異なる白黒2色ボールが記載されている。その2色ボールの作製法として、白色に見える二酸化チタンを充填したガラスボールを作製し、次いで、この白色ガラスボールを真空蒸着チャンバーに入れて、その半分に黒色部材(例えば、硫化アンチモンとフッ化マグレシウム混合物)を蒸着コーティングさせるものである。
【0005】
また、[特許文献3]には、粒子回転型表示装置及びこれに用いる2色に色分けされた表示用回転粒子の製造方法が開示されている。ワックスに酸化チタンを添加し、スプレードライヤー法で造粒させ、分級後、平均粒径50μmの白色ワックス粒子の半球面に、(1)カーボンブラック分散アルキッド樹脂エナメルをスプレー着色させる。(2)ワックスに緑色顔料、赤色顔料、青色顔料をそれぞれ分散させ、造粒、分級して平均粒子径30〜150μmの緑色、青色、赤色のそれぞれ粒子を、RTVゴムに分散させたゴム塊を90℃に加熱しながら遠心力下に色分けさせて、冷却後に薄板状に切ったゴムから色分けされた表示用粒子を回収するものである。
【0006】
また、[特許文献4]には、厚さ35μm(白色樹脂相厚/黒色樹脂相厚=6/4)の積層フィルムを70×70μmの樹脂片に切断し、次いで、190℃のシリコーンオイル中(常温での動粘度が300cSt以上である)に投入・振とうさせて白黒色相の白目色の大きい目の2色相球状粒子(平均粒子径が81.6μmで、変動係数が20.7%)を調製させることが記載されている。また、このように調製された白色目勝ちの2色回転粒子(帯電特性が異なる2色相粒子)をシリコーンオイル中に分散させてなるシート型表示装置を作製し、250Vの電場印加下に白黒を反転させて反射率で表示するコントラストが33%の画像を形成させることが記載されている。
【0007】
また、[特許文献5]には、着色球状ポリマー粒子のマイクロチャンネル式製造方法が記載されている。すなわち、第1マイクロチャンネルに2色相の異なる重合性樹脂成分の着色連続相を、互いにO/W型の関係にある水性流体が流れる第2マイクロチャンネル内に吐出させて、球状化・重合硬化させて得られる単分散性に優れる2色相球状粒子の製造方法が提案されている。また、この2色相を互いに異なる正負に帯電させてなる2色相双極帯電性球状粒子のマイクロチャンネル式製造方法も提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−352421
【特許文献2】特開2000−122103
【特許文献3】特開昭64−42683
【特許文献4】特開2004−212868
【特許文献5】特開2004−197083
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のような状況下にあって、従来から、各種の表示デバイスに用いられ、例えば、白/黒2色相の球状粒子を電界下に反転させて画像を形成させる画像表示用の白/黒2色相粒子が種々提案されている。上述する[特許文献1]及び[特許文献2]には、予め作製した白色粒子の半球面をスパッタリングや、真空蒸着法等で黒色成分をコーテングさせて2色相化させる製造方法である。このような2色相化では、明らかに技術的にも著しくコスト高になるし、また、歩留まりの観点からも明らかに著しく低生産性の製造方法であると言える。また、[特許文献3]に記載するスプレードライヤー法では、[特許文献1]及び[特許文献2]等のスパッタリングや、真空蒸着法等の2色相化に比べれば、その2色相化の工程は、より低廉化の傾向にある。しかしながら、周知の如くスプレードライヤー造粒法では、明らかに得られる造粒物の粒度幅が大きくなる傾向にあって、高度に分級処理を施しても十分満足される単分散性の粒子は得難く、歩留まりも低下させる傾向にある。
【0010】
従って、従来から提案されている2色相化調製法では、コスト的にも、生産性的にも、しかも、単分散性においても十分に満足され難く、更には、2色相化の工程も技術的に煩雑になる傾向にあるものばかりである。このような状況下にあって、例えば[特許文献4]に提案する2色相化では、その生産性は、多少なりとも改善され、更には、得られる2色相の色目割合を、予め調整させることができる製造方法である。特に本[特許文献4]によれば、白色表示による画像のコトラストを向上させる目的から、例えば、白/黒2色相球状粒子において、白色目勝ちの2色回転粒子が提案されている。また、既に説明する如く、このように調製された白色目勝ちの2色回転粒子(帯電特性が異なる2色相粒子)をシリコーンオイル中に分散させてなるシート型表示装置を作製して、250Vの電場印加下に白/黒相を反転させて反射率で表すコントラスが33%である画像を形成させると記載されている。
【0011】
そこで、本出願人は、既に特開2004−197083号公報(=[特許文献5])として特許出願済みのマイクロチャネル式製造方法によって、2色相球状粒子で、その2着色相が互いに異なる帯電特性を有し、しかも、単分散性に優れる2色相球状粒子を提案している。
【0012】
確かに、本マイクロチャネル式製造方法によれば、従来のその他の2色相化の調製方法に比べれば、明らかに単分散性に優れる2色相球状粒子を、著しく高い生産性で、しかも、著しく簡便な製造方法として提供させることができた。
【0013】
しかるに、このマイクロチャネル式製造方法で得られる球状粒子の2色相の表面積割合、すなわち、2色相の色目割合は、必ずしも明確且つ効率よく、しかも、予め所定の色目割合通りの2色相球状粒子を効率良く調製させるには、未だ十分満足させるに至っていなかった。
【0014】
そこで、2色相球状粒子に係わって、予め2色相の色目割合を自在に調整することが可能であれば、得られる2色相球状粒子の有用性を格段に向上させるものと期待される。
【0015】
以上から、本発明の目的は、2色相球状粒子を画像形成の表示媒体として画像表示デバイスに用いる2色相球状粒子が、その有用性をより向上させる観点から、調製される2色相球状粒子は、
(1)得られる2色相の色目割合を自在に効果的に調整させる。
(2)極めて簡便な製造方法で得られる球状粒子は、単分散性に優れ、しかも、異なる帯電特性を有する2色相球状粒子として高生産性で調製される。
ことを特徴とする2色相帯電性球状粒子の製造方法を提供することである。
【0016】
また、本発明の他の目的は、このよう2色相の色目割合が自在に調整される2色相帯電性球状粒子の特性が活かされて、PLD等のディスプレイ装置におけるディスプレイ性の観点において、例えば、電界表示セル内での着色球状粒子の反転表示性に優れる2色相球状粒子の反転表示型の画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、上記課題を解決させるために、本出願人が既に特開2004−197083号公報に提案した本発明者らによる従来のマイクロチャネル式製造方法に係わって、下記(3)〜(5)に説明する如くの作用効果に着目して鋭意検討した結果、得られる2色相球状粒子の白/黒2色相の色目割合を任意に変化させられることを見出し、本発明を完成させた。
(3)第2マイクロチャネル内を流れる親水性流動媒体中に、吐出させる第1マイクロチャネル内の2色相重合性有機モノマー流体とは、互いにO/W型の接触界面下にある。
(4)この接触界面下に吐出液滴が変形する際に生ずる界面張力がせん断力として働き、自発的に液滴が球状に形成される。
(5)これら上記(3)及び(4)に係わって吐出させる両着色相の表面張力[N/m]値の組合せを種々変化させる。
【0018】
そこで、本発明によれば、2枚の狭持電極パネル中に、封入させた2色相帯電性球状粒子を、所定の電界下に回転変色させて所定の画像を形成させる画像表示装置に用いる白/黒2色相の白色目勝ちである2色相帯電性球状粒子の製造方法であって、第1マイクロチャンネル内を移送する白色流体相と黒色流体相とからなる2色相重合性有機モノマー流体を、互いにO/W型の界面接触下にある第2マイクロチャンネル内を流れる水性流動媒体中に、2色相重合性有機モノマー流体の両相の表面張力[N/m]値の組合せコントール下に、連続又は間欠的に順次吐出・球状化させて、所定の粒径を有する白/黒2色相の色目割合が白色目勝ちに形成されることを特徴とする2色相帯電性球状ポリマー粒子のマイクロチャンネル式製造方法を提供する。
【0019】
すなわち、下記(6)〜(9)に記載する如く、第1マイクロチャネル内を移送する白色流体相と黒色流体相とからなる2色相重合性有機モノマー流体を、互いにO/W型の接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる親水性流動媒体中に吐出させて、白色相と黒色相との2色相からなる球状粒子に係わって、その全表面積を10表示基準で表す両色相の色目割合が、白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にあることを特徴とする白色目勝ちの2色相球状粒子を調製することができる。
(6)白色染顔料及び黒色染顔料のそれぞれを含有させてなる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の白色流体相と表面張力(ρ)[10−3N/m]値の黒色流体相とからなる2色相重合性有機モノマー流体を調製する。
(7)この2色相重合性有機モノマー流体を、下記する関係式(1)及び(2)を満足させながら第1マイクロチャネル内を移送させる。
【数4】


(8)互いにO/W型接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の親水性流動媒体中に、この2色相重合性有機モノマー流体を所定の速度で連続又は間欠的に順次吐出させる。
(9)その結果、親水性流動媒体中に[図3]に図示する概念図で説明されるように、所定の電界下に互いに異なる帯電特性を有する白色相と黒色相との色目割合が、全表面積を10表示基準で表して、白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にある白色目勝ちの2色相球状粒子が形成される。
【0020】
また、本発明によれば、同様に2枚の狭持電極パネル中に、封入する球状粒子を、所定の電界下に回転変色させて所定の画像を形成させる画像表示装置に用いる白/黒2色相がほぼ同等である白/黒同等色目であることを特徴とする2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法を提供する。
【0021】
すなわち、下記(10)〜(13)に記載する如く、第1マイクロチャネル内を移送する白色流体相と黒色流体相からなる2色相連続流体を、互いにO/W型の接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる親水性流動媒体中に吐出させて、白色相と黒色相の2色相からなる球状粒子において、その全表面積を10表示基準で表す両色相の色目割合が、白色相:黒色相≒5:5である白/黒相がほぼ同等色目である2色相帯電性球状粒子を調製することができる。
(10)白色染顔料及び黒色染顔料のそれぞれを含有させてなる表面張力(ρ10)[10−3N/m]値の白色流体相と表面張力(ρ20)[10−3N/m]値の黒色流体相とからなる2色相重合性有機モノマー流体を調製する。
(11)この2色相重合性有機モノマー流体を、下記する関係式(3)及び(4)を満足させながら第1マイクロチャネル内を移送させる。
【数5】


(12)互いにO/W型の接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の親水性流動媒体中に、この2色相重合性有機モノマー流体を所定の速度で連続又は間欠的に順次吐出させる。
(13)その結果、この親水性流動媒体中に、所定の電界下に互いに異なる帯電特性を有する白色相と黒色相との色目割合が、全表面積を10表示基準で表して、白色相:黒色相≒5:5である白/黒相がほぼ同等色目の2色相球状粒子が形成される。
【0022】
更に、本発明によれば、同様に2枚の狭持電極パネル中に、封入する球状粒子を、所定の電界下に回転変色させて所定の画像を形成させる画像表示装置に用いる白/黒2色相の色目割合が、黒色目勝ちであることを特徴とする2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法を提供する。
【0023】
すなわち、下記(14)〜(17)に記載する如く、第1マイクロチャネル内を移送する白色流体相と黒色流体相からなる2色相連続流体を、互いにO/W型の接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる親水性流動媒体中に吐出させて、白色相と黒色相の2色相からなる球状粒子において、その全表面積を10表示基準で表す両色相の色目割合が、白色相:黒色相=4.4〜3.3:5.6〜6.7の範囲にある黒目勝ちである2色相帯電性球状粒子を調製することができる。
(14)白色染顔料及び黒色染顔料のそれぞれを含有させてなる表面張力(ρ100)[10−3N/m]値の白色流体相と表面張力(ρ200)[10−3N/m]値の黒色流体相とからなる2色相重合性有機モノマー流体を調製する。
(15)次いで、この2色相重合性有機モノマー流体を、下記する関係式(5)及び(6)を満足させながら第1マイクロチャネル内を移送させる。
【数6】


(16)互いにO/W型の接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の親水性流動媒体中に、この2色相重合性有機モノマー流体を所定の速度で連続又は間欠的に順次吐出させる。
(17)その結果、この親水性流動媒体中に、所定の電界下に互いに異なる帯電特性を有し白色相と黒色相との色目割合が、全表面積を10表示基準で表して、白色相:黒色相=4.4〜3.3:5.6〜6.7である黒色目勝ちである2色相球状粒子が形成される。
【0024】
また、本発明によれば、このように白/黒2色相の色目割合が、白色目勝ち又は黒色目勝ち更には白/黒同等色目の2色相球状粒子を自在に調整することが可能である本発明による2色相帯電性球状ポリマー粒子のマイクロチャンネル式製造方法によって調製される2色相帯電性球状粒子を、対向する2枚の狭持電極パネル中に封入させて所定の電界下に回転変色させて所定の画像を形成させることを特徴とする画像表示装置を提供する。
【0025】
すなわち、対向する狭持電極パネル内に封入された無極性流動媒体中に、全表面積を10表示基準で表す両色相の色目割合が、
(A)白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にある白色目勝ちの2色相帯電性球状粒子である。
(B)白色相:黒色相≒5:5の白/黒相がほぼ同等色目の2色相帯電性球状粒子である。
(C)白色相:黒色相=4.4〜3.3:5.6〜6.7の範囲にある黒色目勝ちの2色相帯電性球状粒子である。
上記(A)〜(C)に記載する何れか一種であって、体積基準で表す平均粒子径が10〜150μm範囲にある単分散球状粒子のこれらの何れかの2色相帯電性球状粒子を、狭持電極パネル内の無極性絶縁性流動媒体中に、容量%で表して25〜60%の範囲で封入されている。
次いで、狭持電極パネル間に印加する50〜300Vの所定電界下に、これら2色相帯電性球状粒子が回転変色されて、所定の白画像及び/又は黒画像を形成させることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上から、本発明によるマイクロチャネル式製造装置を用いて、互いにO/W型の接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる水性流動媒体の「W相」内に、第1マイクロチャネルから、白/黒2色相を形成する両重合性樹脂モノマーの連続流体の「O相」を吐出させるに際して、これら2色相連続流体相の白色流体相の表面張力(ρ)[10−3N/m]値及び黒色流体相の表面張力(ρ)[10−3N/m]値を、下記関係式(1)及び(2)を満足させることで、全表面積を10表示基準で表す両色相の色目割合が、白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にある白色目勝ちの2色相球状粒子を自在に且つ効果的に調整することができる。
【数7】

【0027】
また、これら2色相連続流体相の白色流体相の表面張力(ρ10)[10−3N/m]値及び黒色流体相の表面張力(ρ20)[10−3N/m]値を、下記関係式(3)及び(4)を満足させることで、全表面積を10表示基準で表す両色相の色目割合が、白色相:黒色相≒5:5の白/黒相がほぼ同等色目の2色相球状粒子を自在に且つ効果的に調整することができる。
【数8】

【0028】
更には、これら2色相連続流体相の白色流体相の表面張力(ρ100)[10−3N/m]値及び黒色流体相の表面張力(ρ200)[10−3N/m]値を、下記関係式(5)及び(6)を満足させることで、全表面積を10表示基準で表す両色相の色目割合が、白色相:黒色相=4.4〜3.3:5.6〜6.7の範囲にある黒色目勝ちの2色相球状粒子を自在に且つ効果的に調整することができる。
【数9】

【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以上から、本発明による2色相の色目割合を自在に調整させてなる単分散性に優れる2色相帯電性球状粒子を、効率良く、しかも、簡便に調製することができるマイクロチャネル式製造方法を、マイクロチャネル式製造装置一例の概念図として図示する図1〜図3を参照しながらマイクロチャネル式製造方法の実施形態について以下に説明をする。
【0030】
既に上述した如く、本発明による2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法によれば、
(イ)本発明においては、2色相重合性有機モノマー流体を形成するO相を第1マイクロチャネルに通して、W相(水相)として所定の流速(ml/h)で流れている第2マイクロチャネル内に吐出させると、互いにO/W型の接触界面下に生ずる界面張力がせん断力として作用して第2マイクロチャネル内を流れながら着色球状ポリマー粒子に形成されることが特徴である。
(ロ)本発明におけるマイクロチャネル内を移送する着色染顔料を分散させてなる2色相重合性有機モノマー流体のO相(油相)は、このチャネル特性としてレイノズル数が1000以下で移送されて、層流状態で移送される傾向にある。
(ハ)特に本発明においては、この着色連続相を明確に異なる二色相を層流下に連続相として第1マイクロチャネル内を移送されることが特徴である。すなわち、マイクロチャネルの流路幅が数百μm程度の極細においては、そこを流れる流体は、粘性が支配的となるためレイノズル数がおおむね1000以下で層流状態になる傾向にある。
(二)従って、本発明における第1マイクロチャネル内に流体を流すと、ほぼ層流状態で移送される傾向にある。このチャネル内を移送させる本発明におけるO相である2色相に色分けさせた流体でも層流状態で、すなわち、2色が混ざらない連続相として容易に移送させることができる。
(ホ)このように第1マイクロチャネル内を移送させる2色相連続流体のO相を、W相として流れる第2マイクロチャネル内に吐出させることで、明確に色分けされた2色相の球状樹脂粒子が形成され、しかも、その平均粒子径の分布度が小さい単分散性に優れる2色相球状ポリマー粒子として形成されることが特徴である。
(ヘ)本発明によれば、第1マイクロチャネル内を移送する表面張力(ρ)[10−3N/m]値の白色流体相と表面張力(ρ)[10−3N/m]値の黒色流体相からなる2色相重合性有機モノマー流体を、第2マイクロチャネル内を流れる親水性流動媒体中に吐出させるに際しては、下記関係式(1)及び(2)を満足するように移送させ、第2マイクロチャネル内を流れる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の親水性流動媒体中に、面積基準で表して2色相の色目割合が、白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にある白色目勝ちで、且つ体積基準で表す平均粒子径が10〜150μm範囲にある単分散球状粒子の2色相帯電性球状粒子を形成させることが特徴である。
【数10】


(ト)また、本発明によれば、第1マイクロチャネル内を移送する表面張力(ρ10)[10−3N/m]値の白色流体相と表面張力(ρ20)[10−3N/m]値の黒色流体相からなる2色相連続流体を、互いにO/W型の接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる親水性流動媒体中に吐出させるに際して、この2色相連続流体を下記関係式(3)及び(4)を満足するように移送させ、第2マイクロチャネル内を流れる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の親水性流動媒体中に、面積基準で表して2色相の色目割合が、白色相:黒色相≒5:5の白/黒相がほぼ同等色目で、且つ体積基準で表す平均粒子径が10〜150μm範囲にある単分散球状粒子の2色相帯電性球状粒子を形成させることが特徴である。
【数11】


(チ)更に、本発明によれば、第1マイクロチャネル内を移送する表面張力(ρ100)[10−3N/m]値の白色流体相と表面張力(ρ200)[10−3N/m]値の黒色流体相からなる2色相連続流体を、互いにO/W型の接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる親水性流動媒体中に吐出させるに際して、この2色相連続流体を下記関係式(3)及び(4)を満足するように移送させ、第2マイクロチャネル内を流れる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の親水性流動媒体中に、面積基準で表して2色相の色目割合が、白色相:黒色相=4.4〜3.3:5.6〜6.7の範囲にある黒色目勝ちで、且つ体積基準で表す平均粒子径が10〜150μm範囲にある単分散球状粒子の2色相帯電性球状粒子を形成させることが特徴である。
【数12】

【0031】
<2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法>
下記(A)、(B)及び(C)に記載する如く両色相の色目割合を自在に調整される2色相帯電性球状粒子に形成することができる本発明によるマイクロチャネル式製造方法である。
(A)白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にある両色相の色目割合が、白色目勝ちの2色相帯電性球状粒子である。
(B)白色相:黒色相≒5:5である両色相の色目割合が、白/黒相がほぼ同等色目の2色相帯電性球状粒子である。
(C)白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にある両色相の色目割合が、黒色目勝ちの2色相帯電性球状粒子である。
【0032】
[図1]に図示する代表的なマイクロチャネル式製造装置を用いて、上記(A)〜(C)に記載する本発明による白色目勝ち、白/黒相がほぼ同等色目及び黒色目勝ちの2色相帯電性球状粒子の製造方法は以下に説明する如くである。
[図1]に図示する第1マイクロチャネル(1)にY字形を形成するように設けるサイド・マイクロチャネル3及びサイド・マイクロチャネル4には、それぞれ白色流体相6a及び黒色流体相6bを供給する。[図2](a)には、その拡大概念断面図として供給される状態が詳細に図示されている通りに同時に供給・合流されて、2色相重合性有機モノマー流体6として第1マイクロチャネル1内に移送させる。
次いで、移送された2色相重合性有機モノマー流体6を、[図1]に図示する第2マイクロチャネル2内を流れる親水性流動媒体2中に吐出させる。本発明においては、第1マイクロチャネル1を移送するO相の2色相重合性有機モノマー流体6と第2マイクロチネル2内を流れるW相の親水性流動媒体7とは、既に説明する如く、互いにO/W型の接触界面下の関係にあることから、既に詳細に説明する如く、本発明においては、吐出された2色相重合性有機モノマー流体6は、極めて容易にW相の親水性流動媒体7中で球状粒に形成される。
【0033】
すなわち、[図2](b)の拡大概念断面図に、2色相重合性有機モノマー流体6の第1マイクロチャネル1内を[「移送」―第2マイクロチャネル2への「吐出」]される状態が詳細に図示されている通りに、第1マイクロチャネル1を、まさに吐出せんとする2色相重合性有機モノマー流体6の吐出流体10は、第2マイクロチャネル2内を流れるO相の親水性流動媒体7中で、球状流体12に形成される。なお、本発明に用いる[図1]に図示するマイクロチャンネル式製造装置においては、第2マイクロチャネル2を流れるW相の親水性流動媒体7は、[図1]に図示する如く、第1マイクロチャネル1の突端部位に左右からV字形を形成するように設けているサイド・マイクロチャネル5a及びサイド・マイクロチャネル5bから第2マイクロチャネル2方向に供給される。従って、本発明においては、[図2](b)に概念図として模写されている如く、まさに吐出せんとする吐出流体10は、サイド・マイクロチャネル5a及びサイド・マイクロチャネル5bから供給する親水性流動媒体7の所定の供給流速によっても、千切れるように吐出される2色相重合性有機モノマー流体6の「球状流体量」12が、適宜に調整されて、W/O型の接触界面の関係下に形成される球状粒子の粒子径を適宜調整させることになる。
【0034】
また、本発明においては、第1マイクロチャンネル1内を移送させる2色相重合性有機モノマー流体(O相)の流速は、第2マイクロチャネル2内を1〜100(ml/h)、好ましくは2〜50(ml/hr)の流速で流れる親水性流動媒体(W相)中への吐出量換算で0.01〜10(ml/h)、好ましくは0.1〜5(ml/hr)として移送させるのが、吐出流体の球状化及びその粒径調整の観点から好ましい。
【0035】
以上から、本発明においては、互いにO/W型の接触界面下の関係において、第1マイクロチャネル1を移送させる2色相重合性有機モノマー流体6の吐出量(=移送速度)、及び親水性流動媒体7の供給流速等が係わって、第2マイクロチャネル2内の親水性流動媒体7中に形成される球状流体12は、体積基準で表す平均粒子径が10〜150μm範囲にある単分散性に優れる2色相帯電性の重合性有機モノマー球状流体12として適宜効果的に調製することができる。
【0036】
本発明によるマイクロチャネル式製造方法で調製された2色相帯電性の重合性有機モノマー球状流体12は、UV照射下及び/又は加熱下に逐次重合硬化させることで、体積基準で表す平均粒子径が10〜150μm範囲にある2色相帯電性単分散球状粒子として調製される。また、第2マイクロチャネル内に吐出・球状粒子化された2色相球状粒子は、球状形状として安定しているので、この重合硬化は、必ずしもこの第2マイクロチャネル内を流れる間に、完全に重合硬化されなくても、第2マイクロチャネル系外に設ける着色球状粒子の回収槽である別途容器内でのUV照射下及び/又は加熱下に適宜に重合硬化させることもできる。
【0037】
しかも、このようなマイクロチャネル式製造方法によって調製される2色相帯電性球状粒子は、既に詳細に説明する如く、第1マイクロチャネル1内を移送させる「表面張力(ρ)[10−3N/m]値の白色流体相6a」(=白色相重合性有機モノマー流体)と「表面張力(ρ)[10−3N/m]値の黒色流体相6b」(=黒色相重合性有機モノマー流体)からなる2色相重合性有機モノマー流体6を吐出させるに際して、既に説明する如く(ρ)<(ρ)であって、且つ(ρ)−(ρ)=0.3〜0.7を満足する関係下に、吐出させることで、[図3]に図示する概念図で説明されるように、所定の電界下に互いに異なる帯電特性を有する白色相と黒色相との色目割合が、全表面積を10表示基準(レベル=0が全面黒色、レベル=10が全表面白色)で表して、(A)白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にある両色相の色目割合が、レベル=5を超える白色目勝ちの2色相帯電性球状粒子を適宜調製される。そこで、本発明においては、(ρ)<(ρ)の関係下にあって、[(ρ)−(ρ)]値が、下限値の「0.3」以下で且つ上限値の「0.7」を超えると、形成される2色相の色目割合が一定せず、色目割合が異なる色混ざり2色相球状粒子が形成されて、効率良く「白色目勝ち」の2色相帯電性球状粒子が得られない。また、本発明においては、好ましくは、[(ρ)−(ρ)]=0.4〜0.6の範囲において、より好適に「白色目勝ち」2色相帯電性球状粒子が調製される。
【0038】
<(A)白色相/黒色相の色目割合が白目勝ち2色相球状粒子>
そこで、本発明における一実施例として、[図1]に図示するマイクロチャネル式製造装置を用いて、第2マイクロチャネル2内には、英弘精機(株)製の「SITAt60/1」を用いて、20℃で測定した表面張力(ρ)=60[10−3N/m]値である親水性流動媒体7が流れている。第1マイクロチャネル1内に、表面張力(ρ)=29.4[10−3N/m]値の黒色流体相6bに対して、白色流体相6aの表面張力(ρ)=29.0〜28.7[10−3N/m]値の範囲において組合せ調整させた白/黒2色相の重合性有機モノマー流体6を移送させて、第2マイクロチャネル2内を流れる表面張力(ρ)の親水性流動媒体7中に吐出させて、粒子径が85μmの単分散性の白/黒2色相の球状粒子を調製した。このようにして白色相流体(ρ)/黒色相流体の表面張力(ρ)=29.0〜28.7[10−3N/m]/24.9[10−3N/m]の組合せ下には、白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にある両色相の色目割合が、「白色目勝ち」の2色相球状粒子を調製することができる。
【0039】
<(B)白色相/黒色相の色目割合がほぼ同等色目の2色相球状粒子>
また、本発明において、白色相流体6aの表面張力(ρ10)<黒色相流体6bの表面張力(ρ20)で、0<(ρ20)−(ρ10)<0.3の関係に調整された白/黒2色相重合性有機モノマー流体6を、第1マイクロチャネル1内を移送させて、第2マイクロチャネル2内に吐出させて、2色相球状粒子を調製させる。すなわち、同様に[図1]に図示するマイクロチャネル製造装置を用いて、第2マイクロチャネル2内に、表面張力(ρ)=29.4[10−3N/m]値の黒色流体相6bに対して、白色流体相6aの表面張力(ρ10)<29.4[10−3N/m]値で、且つ(ρ10)<29.1[10−3N/m]値の範囲において組合せ調整した白/黒2色相の重合性有機モノマー流体6を移送させて、第2マイクロチャネル2内を流れる表面張力(ρ)の親水性流動媒体7中に吐出させて、粒子径が45μmの単分散性の白/黒2色相の球状粒子を調製した。このような白色相流体6a及び黒色相流体の表面張力値の組合せ下において、得られる2色相球状粒子の色目割合が、白色相/黒色相≒5/5の「ほぼ同等色目」の2色相球状粒子が調製される。
【0040】
<(C)白色相/黒色相の色目割合が黒目勝ちの2色相球状粒子>
また、本発明においては、白色相流体6aの「表面張力(ρ100)」≧黒色相流体6bの「表面張力(ρ200)」で、0≦(ρ100)−(ρ200)<0.3の関係に調整された白/黒2色相重合性有機モノマー流体6を、第1マイクロチャネル1内を移送させて、第2マイクロチャネル2内に吐出させて、2色相球状粒子を調製させる。すなわち、同様に[図1]に図示するマイクロチャネル製造装置を用いて、第2マイクロチャネル2内に、表面張力(ρ200)=29.4[10−3N/m]値の黒色流体相6bに対して、白色流体相6aの表面張力(ρ100)≧29.4[10−3N/m]値で、且つ(ρ100)<29.7[10−3N/m]値の範囲において組合せ調整した白/黒2色相の重合性有機モノマー流体6を移送させて、第2マイクロチャネル2内を流れる表面張力(ρ)の親水性流動媒体7中に吐出させて、粒子径が100μmの単分散性の白/黒2色相の球状粒子を調製した。このような白色相流体6a及び黒色相流体の表面張力値の組合せ下において、得られる2色相球状粒子の色目割合が、白色相:黒色相=4.4〜3.3:5.6〜6.7の範囲にある「黒色目勝ち」の2色相球状粒子が調製される。
【0041】
また、本発明においては、上記する如く、第1マイクロチャネル1内を移送させる白/黒2色相の重合性有機モノマー流体素相において、必要に応じてこの黒色相を、適宜赤色、青色、緑色及び黄色等から選ばれる何れかの着色相を適宜調整させることができるので、既に詳細に説明するように、白/黒2色相の他に、例えば、白/赤、白/青、白/緑等の2色相の帯電性球状粒子で、しかも、両色目割合が、上記する(A)、(B)及び(C)と同様の2色相球状粒子を製造することができる。
【0042】
本発明においては、マイクロチャネン式製造装置に設けられる上記第1マイクロチャネル、第2マイクロャネル及びサイド・マイクロチャネルの垂直切断口の形状として、例えば、円形、楕円形及び四角形(正方形、矩形、台形)等を挙げることができる。また、このような形状のマイクロチャネルを、例えば、ガラス板、プラスチック板等の素材に形成させる微細加工の観点から、好ましくは、垂直切断口の形状が四角形(正方形、矩形)であるマイクロチャネルを適宜好適に選ぶことができる。例えば、これらのマイクロチャネル切断口の矩形(又は長方形)において、その切断口の長辺が100μm〜1mmで、その切断口の短辺が200μm〜2mmの範囲で適宜選ぶことがきるが、好ましくは、それぞれの下限値は1μm以上であることが好適である。
【0043】
<2色相帯電性球状粒子を画像表示媒体とする画像表示装置>
以上のように調製された本発明による両相の色目割合が、「白色目勝ち」、「黒色目勝ち」及び白/黒同等色目の少なくとも何れか1種の2色相帯電性球状粒子を、対向する2枚の狭持電極パネル中に封入させ、所定の電界下に回転変色させて所定の画像を形成させる画像表示装置の一例に基づいて以下に説明をする。
【0044】
対向する狭持電極パネル内に封入されている無色透明の無極性絶縁性流動媒体を[TS流体]と称し、本発明においては、例えば、信越シリコン製のシリコーンオイル(KF-96-2cp)がTS流体として好適に用いられる。体積基準で表して「TF流体」中に、「2色相球状粒子」を25〜60容量%の範囲で適宜好適に充填することで、下記(A)、(B)及び(C)なるそれぞれの2色相帯電性球状粒子を封入させた3種の狭持電極パネルが作製される。
【0045】
また、本発明においては、上限値の60容量%を超えると充填過多になって、2色粒子のスムーズな回転を阻害させ、一方、下限値の25容量%未満では画像の表示コントラストを低下又は画像表示を低下させる。従って、回転性及び表示コントラスト等の観点から、好ましくは、35〜50容量%であることが好適である。
(A)「白色目勝ち」の白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にある白色相/黒色相=6/4で、帯電特性が[(−)/(+)]である平均粒径120μmの2色相球状粒子を装填する。
(B)白/黒相≒5/5の白黒相がほぼ同等色目で、帯電特性が[(−)/(0)]である平均粒径110μmの2色相球状粒子を装填する。
(C)「黒色目勝ち」の白色相:黒色相=4.4〜3.3:5.6〜6.7の範囲にある白色相/黒色相=4/6で、帯電特性が[(−)/(+)]である平均粒径100μmの2色相球状粒子を装填する。
【0046】
一方のパネル電極には、透明ガラスITO版を、他方のフレキシブルプラスチクス銅箔電極シートには、サンハヤト製のポジ感光基板、IJプリンタマスクフィルム、現像剤を用いてリソグラフィ操作を行って、[図4]に図示する如くの表示画面センター部に絶縁仕切を設けてなる平面対向銅箔電極が設けられている。すなわち、[図4]に表示する白色画像部及び黒色画像部の形成に対応する電極銅箔が連結する平面電極が、同一平面上に対向している。従って、白色画像部内の黒色画像又は黒色画像部内の白色画像の周辺には、それぞれ微細な絶縁仕切を設けて電極同士の導通短絡が防止されるように形成されている。
【0047】
本発明においては、[図4]に表示するような画像を形成させる画像表示装置の2色相帯電性球状粒子を封入する狭持電極パネルに設ける2枚の対向狭持電極と2対の平面対向銅箔電極とからなるパネルに、50〜300Vの電界を白色画像部と黒色画像部にそれぞれ透明ガラスITO版に対して(+)及び(−)電界として印加させて、反射率表示で表すコントラストが20〜25%の例えば[図4]に表示するような画像を形成させることができる。
【0048】
そこで、本発明においては、パネルに印加させる100〜300V電界下に、上記(A)の「白色目勝ち」では、表示される画像の反射率表示で表すコントラスト(「白表示反射率」−「黒表示反射率」)は、20〜28%で、また、上記(B)及び(C)では、表示される画像の反射率表示で表すコントラストは、20〜25%であった。
【0049】
<2色相帯電性重合性有機モノマー流体>
以上から既に上述する如く、本発明により調製される2色相球状粒子の出発原料は、染顔料で2色相に着色された着色連続相の重合性樹脂成分で、互いに異なる帯電特性{例えば、[(+)/(−)]の2色相、又は[(−)/(0)]の2色相}の2色相帯電性重合性有機モノマー流体である。
【0050】
そこで、このような観点から、本発明に用いる重合性樹脂成分(又は重合性有機モノマー)として、下記に種々挙げる重合性モノマーの具体例として示すモノマー種から明らかなように、本発明に用いる重合性モノマーの官能基又は置換基の種類によって、既に上述する本発明における帯電性は、それぞれ(−)帯電性と(+)帯電性を示す傾向にあるモノマー種を挙げることができる。従って、少なくとも2種以上の複数種のモノマーを本発明における重合性樹脂成分として使用する場合には、その(+)及び(−)帯電性を示す傾向を周知のうえで、好ましくは、同種帯電性の傾向にあるモノマー同士を複数組合せて適宜好適に使用することもできる。
【0051】
一方、少なくとも1種の官能基及び/又は置換基を分子内に有する重合性樹脂成分(又は重合性モノマー)において、その官能基又は置換基としては、例えば、カルボニル基,ビニル基,フェニル基,アミノ基,アミド基,イミド基,ヒドロキシル基,ハロゲン基,スルホン酸基,エポキシ基及びウレタン結合等を挙げることができる。本発明においては、このような重合性モノマーにおける官能基又は置換基を有するモノマー種の単独又は2種以上の複数種を組合せて適宜好適に使用することができる。
【0052】
そこで、パネル中に封入された2色相球状粒子を、所定の電界下に回転・泳動させるに、(−)帯電性の傾向にある重合性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸アリールエステル類としては;(メタ)アクリル酸フェニル,(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられ、ハロゲン基としては;(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル等が挙げられ、ニトリル基としては;アクリロニトリル,メタクリロニトリル等が挙げられ、エポキシ基含有重合性化合物類としては;(メタ)アクリル酸グリシジル,マレイン酸のモノ及びジグリシジルエステル,フマル酸のモノ及びジグリシジルエステル,クロトン酸のモノ及びジグリシジルエステル,テトラヒドロフタル酸のモノ及びジグリシジルエステル,イタコン酸のモノ及びグシジルエステル,ブテントリカルボン酸のモノ及びジグリシジルエステル,シトラコン酸のモノ及びジグリシジルエステル,p−スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル等が挙げられ、ヒドロキシ基含有重合性化合物類としては;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル,(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとのモノエステル,ラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物等が挙げられ、フッ素ビニル単量体類としては;(メタ)アクリル酸トリフルオロジメチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロメチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル,(メタ)アクリル酸パ−フルオロメチル,(メタ)アクリル酸ジパ−フルオロメチルメチル等のフッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられ、不飽和カルボン酸類としては;アクリル酸,メタアクリル酸,テトラヒドロフタル酸,イタコン酸,シトラコン酸,クロトン酸,マレイン酸,フマル酸,イソクロトン酸,ノルボルネンジカルボン酸,6−ジカルボン酸等が挙げられ、また、これらの誘導体としての無水マレイン酸,無水イタコン酸,無水シトラコン酸,テトラヒドロ無水フタル酸,6−ジカルボン酸無水物,酸ハライド等が挙げられ、有機ケイ素基含有(メタ)アクリル系単量体類としては;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0053】
また、(ポリ)アルキレングリコールのジアクリル酸エステル類としては;エチレングリコールのジアクリル酸エステル,ジエチレングリコールのジアクリル酸エステル,トリエチレングリコールのジアクリル酸エステル,ポリエチレングリコールのジアクリル酸エステル,ジプロピレングリコールのジアクリル酸エステル,トリプロピレングリコールのジアクリル酸エステル等が挙げられ、また、(ポリ)アルキレングリコールのジメタクリル酸エステル類としては;エチレングリコールのジメタクリル酸エステル,ジエチレングリコールのジメタクリル酸エステル,トリエチレングリコールのジメタクリル酸エステル,ポリエチレングリコールのジアクリル酸エステル,プロピレングリコールのジメタクリル酸エステル,トリプロピレングリコールのジメタクリル酸エステル等を挙げることができる。
【0054】
また、スチレン系モノマーとしては、例えば、アルキルスチレンとしては;スチレン,メチルスチレン,ジメチルスチレン,トリメチルスチレン,エチルスチレン,ジエチルスチレン,トリエチルスチレン,プロピルスチレン,ブチルスチレン,ヘキシルスチレン,ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン等が挙げられ、ハロゲン化スチレンとしては;フロロスチレン,クロルスチレン,ブロモスチレン,ジブロモスチレン,クロルメチルスチレン等が挙げられ、その他、ニトロスチレン,メトキシスチレン,α−メチルスチレン,ビニルトルエン,p−スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0055】
さらに、官能基を有さない(メタ)アクリル系モノマーとしては;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル等のアクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキル、アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸と2環式アルコールとのエステル等が挙げられ、更には、ビニル基を有するモノマーとしては、例えば、フッ素含有ビニルモノマーとしては;パーフロオロエチレン,パーフロオロプロピレン,フッ化ビニリデン等が挙げられ、ケイ素含有ビニル系モノマーとしては;ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン等が挙げられ、ビニルエステル類としては;酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,n−酪酸ビニル,イソ酪酸ビニル,ピバリン酸ビニル,カプロン酸ビニル,パーサティック酸ビニル,ラウリル酸ビニル,ステアリン酸ビニル,安息香酸ビニル,p−t−ブチル安息香酸ビニル,サリチル酸ビニル等が挙げられ、その他としては;塩化ビニリデン,クロロヘキサンカルボン酸ビニル,β−メタクロリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート等が挙げられる。
【0056】
一方、(+)帯電性の傾向にある重合性モノマーとして、例えば、アミド基含有ビニル単量体類としては;メタクリルアミド,N−メチロールメタクリルアミド,N−メトキシエチルメタクリルアミド,N−ブトキシメチルメタクリルアミド等が挙げられ、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物類としては;(メタ)アクリル酸アミノエチル,(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル,メタクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸アミノプロピル,メタクリル酸フェニルアミノエチル,メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類,N−ビニルジエチルアミン,N−アセチルビニルアミン等のビニルアミン系誘導体類,アリルアミン,メタクリルアミン,N−メチルアクリルアミン,N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアリルアミン系誘導体,アクリルアミド,N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系誘導体,p−アミノスチレン等のアミノスチレン類,N-メチロール(メタ)アクリルアミド及びジアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類,6−アミノヘキシルコハク酸イミド,2−アミノエチルコハク酸イミド等が挙げられる。
【0057】
また、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル,(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル,メタクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸アミノプロピル,メタクリル酸フェニルアミノエチル,メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類,N−ビニルジエチルアミン,N−アセチルビニルアミン等のビニルアミン系誘導体類,アリルアミン,メタクリルアミン,N−メチルアクリルアミン,N,N−ジメチルアクリルアミド,N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアリルアミン系誘導体,アクリルアミド,N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系誘導体,N−アミノスチレン等のアミノスチレン類,6−アミノヘキシルコハク酸イミド,2−アミノエチルコハク酸イミド等のアミノ基含有エチレン性不飽和結合を有するモノマーが適宜好適に使用することができる。
【0058】
そこで、本発明において、上記する(+)又は(−)帯電性の重合性有機モノマーの流体部材を用いて、白色相又は黒色相の2色相流体を調製させるに際して、白色相としては、チタンホワイト(特に白色度の観点から好ましくは、ルチル型チタン顔料が好適に用いられる。また、黒色相としては、カーボンブラック,ブラックパールズ430,Olesolol Fast Black,BONJET BLACK CW-1等が挙げられ、黒色の着色性の観点からカーボンブラックを好適に用いられる。その他の着色相として、有彩色の赤、青、緑、紫及び黄等から選ばれる何れかの2色の分相色相を挙げることができる。このような色相を形成させる染顔料としては、本発明に好適に使用される重合性樹脂成分を含有する流動性分散媒体に不溶性又は均一に分散される限りにおいて特に限定することなく適宜選んで用いられ、本発明において、好ましくは、水に溶解し難い油溶性染料として、例えば、黒;Olesolol Fast Black,BONJET BLACK CW-1、赤;VALIFAST RED 3306,Olesolol Fast RED BL、青;カヤセットブルー,Solvent Blue 35、黄色;VALIFAST YELLOW 4120,Oil Yellow 129,Solvent Yellow 16,Solvent Yellow 33,Disperse Yellow 54、緑;Oil Green 502,Opias Green 502,Solvent Green 3、マゼンダ;VALIFAST PINK 2310N,Plast RED D-54、シアン;ALIFAST BLUE 2610,VALIFAST BLUE 2606,Oil BLUE 650,Plast BLUE 8580,Plast BLUE 8540等を挙げることができる。また、蛍光染料及び蛍光増白剤や、マゼンダ顔料としてピグメントレッド57:1,リオノールレッド6B−4290G,イルガライトルビン4BL,ファストゲンスーパーマゼンダRH、シアン顔料としてリオノールブルー7027,ファストゲンブルーBB,クロモフタルブルー4GNP等の各種の無機・有機顔料等も使用することができる。
【0059】
本発明において、既に上述した第2マイクロチャネルに着色連続相として突出された後の重合性樹脂成分の重合時におけるこのような重合性モノマーを他の共重合モノマーに組合せて使用する場合には、着色樹脂微粒子に託される所望する帯電性(又は電気泳動性)にもよるが、重量基準で表して、前記帯電性モノマーが、好ましくは全モノマー中1〜100%の範囲で、更に好ましくは5〜100%で、特に好ましくは10〜100%の範囲にある重合性モノマーとの共重合体粒子であれば適宜好適に使用されて、所望する帯電性、電気泳動性を発揮する帯電性着色樹脂微粒子を提供することができる。
【0060】
また、このような均斉度の高い本発明による帯電性着色樹脂微粒子の帯電性、又は帯電性で、電気泳動性の傾向を示すその表面帯電量C(μC/g)は、既に上述した重合性モノマー種及びその組合せによって、例えば、ブローオフ法による|C|で表される数値が、好ましくは0.1≦|C|≦500の範囲に、更に好ましくは、0.5≦|C|≦200の範囲に、特に好ましくは1≦|C|≦100の範囲にある帯電性着色樹脂微粒子として適宜提供することができる。
【0061】
また、本発明において、着色連続相を形成させるに際して、他の添加成分として例えば、重合開始剤が挙げられ、例えば、過硫酸カリウム,過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩,過酸化ベンゾイル,過酸化ラウリウム等の過酸化物,アソビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。また、着色・重合時に好ましく用いられる重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤としては、2,2´−アゾビス(2−メチルプロポピオニトリル),2,2´−アゾビス(2−メチルブチロルニトリル),2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル),2,2´−アゾビス(2−ジクロプロピルプロピオニトリル),1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル),ジメチル−2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。そこで、これらの重合開始剤は、通常、重合性モノマー100重量部当たり、0.01〜5重量部で、好ましくは、0.5〜2重量部であれば好適である。
【0062】
また、本発明において、着色連続相が第2マイクロチャネルにおいて球状化着色粒子が形成させることから、その樹脂成分の重合硬化を適宜UV照射下に重合硬化できる。従って、本発明においては、光重合開始剤を使用することができる。そこで、光重合開始剤として、従来から公知であるアセトフェノン類;例えば、アセトフェノン,2,2−ジエトキシアセトフェノン,p−ジメチルアミノアセトフェノン,メトキシアセトフェノン,2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン,2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン、またケトン類;例えば、ベンゾフェノン,2−クロロベンゾフェノン,p,p´−ジクロロベンゾフェノン,p,p´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン,N,N´−テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン),4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、また、ベンゾインエーテル類;例えば、ベンゾイン,ベンゾインメチルエーテル,ベンゾインエチルエーテル,ベンゾインイソプロピルエーテル,ベンゾインイソブチルエーテル,ベンジルメチルケタール,ベンゾイルベンゾエート,α−アシロキシムエステル,チオキサンソン類等を挙げることができ、必要に応じてUV増感剤として、n−ブチルアミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチルホスフィン等の添加することができる。
【0063】
また、本発明において、適宜加熱下に重合硬化させられ、熱分解型の重合開始剤も使用することができ、例えば、有機パーオキサイド類、有機ハイドロパーオキサイド類、有機パーオキシケタール類及びアゾ化合物類等が挙げられる。有機パーオキサイド類:例えば、ジクミルパーオキサイド,ジ−tert−ブチルパーオキサイド,tert−ブチルクミルパーオキサイド,ジラウロイルパーオキサイド,ジベンゾイルパーオキサイド,ジアセチルパーオキサイド,ジデカノイルパーオキサイド,ジイソノナイルパーオキサイド,2−メチルペンタノイルパーオキサイド、また有機ハイドロパーオキサイド類:例えば、tert−ブチルハイドロパ−オキサイド、クミルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジハイドロパーオキシヘキサン、p−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ−オキサイド等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独でも使用されるが、通常、二種以上を組合せて使用することができる。
【0064】
また、本発明において、着色連続相を形成させるに、必ずしも架橋構造を形成させる成分を必要としないが、必要に応じて架橋構造を導入させるため、例えば、2官能性以上の多官能性モノマーを適宜好適に使用することができる。その多官能性モノマーとして、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート,トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート,ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート,トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート,N−メチロールアクリルアマイド等を挙げることができる。また、このような多官能性モノマーは、既に上述した重合性モノマー100重量部に対して、通常、0.5〜50重量部、好ましくは、1〜15重量部で適宜好適に使用することができる。
【0065】
また、本発明におけるO相の着色連続相には、必要に応じてそれ自体公知のその他の添加剤(配合剤)である、例えば、熱安定剤、分散剤、防腐剤、表面張力調整剤、消泡剤、防錆剤、酸化防止剤、近赤外吸収剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、蛍光増白剤等をそれ自体公知の処方によって添加・分散させることができる。
【0066】
以下に、本発明を実施例により更に説明するが、本発明はこれらの実施例にいささかも限定されるものではない。
【0067】
(実施例)
<<白/黒2色相帯電性重合性有機モノマー流体の調製>>
(1)メチルメタクリレート(MMA)の100重量部と、顔料分散剤(楠本化成製;DA-325)の0.5重量部と、着色剤としてカーボンブラック(三菱化学製;#40)10重量部とをサンドミルを用いて分散し、アゾビス系開始剤(和光純薬製;V−65)の2重量部を溶解し、(+)帯電性の黒色連続相用反応性溶液A−1とした。
(2)メチルメタクリレート(MMA)の100重量部と、顔料分散剤(楠本化成製;DA-325)の2重量部と、着色剤としてカーボンブラック(三菱化学製;#40)10重量部とをサンドミルを用いて分散し、アゾビス系開始剤(和光純薬製;V−65)の2重量部を溶解し、(+)帯電性の黒色連続相用反応性溶液A−2とした。
(3)重合性単量体2として、メチルメタクリレート(MMA)の100重量部と顔料分散剤(楠本化成製;DA-325)の0.5重量部、MAAの1重量部と、着色剤としてチタンホワイト(石原産業製 R−550)の5重量部とをサンドミルを用いて分散させ、過酸化物系開始剤(パーブチルND)2重量部を溶解させ、(−)帯電性の白色連続相用反応性溶液A−3とした。
(4)重合性単量体2として、メチルメタクリレート(MMA)の100重量部と顔料分散剤(楠本化成製;DA-325)の2重量部、MAAの1重量部と、着色剤としてチタンホワイト(石原産業製 R−550)の5重量部とをサンドミルを用いて分散させ、過酸化物系開始剤(パーブチルND)2重量部を溶解させ、(−)帯電性の白色連続相用反応性溶液A−4とした。
【0068】
<<親水性流動媒体の調製>>
次に、第2マイクロチャネル2に流れる表面張力(ρ)の親水性流動媒体7として、イオン交換水100重量部に88%ケン化ポリビニルアルコール2重量部を溶解させたものを親水性流動媒体[(ρ)=60[10−3N/m]として用いた。なお、以後、本発明における表面張力値[N/m]の何れもが、英弘精機(株)製の「SITAt60/1」を用いて20℃で測定した値である。
【0069】
<<2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造>>
[図1]、[図2](a)及び(b)に図示するマイクロチャンネル式製造装置を参照しながら説明すると、Y字型マイクロチャネルのV字形部位のサイド・マイクロチャネル3及び4を介して上記した「黒色連続相用反応性溶液A−1」/「白色連続相用反応性溶液A−3」=2色相重合性有機モノマー流体6−1、「黒色連続相用反応性溶液A−2」/「白色連続相用反応性溶液A−3」=2色相重合性有機モノマー流体6−2、及び「黒色連続相用反応性溶液A−1」/「白色連続相用反応性溶液A−4」=2色相重合性有機モノマー流体6−3の3種の各組合せ調整した白/黒2色相重合性有機モノマー流体6のそれぞれを第1マイクロチャネル1(流路孔;0.2mm×0.2mm正方断面口)に移送させた。
次いで、この第1マイクロチャンネル1吐出口から、1(ml/hr)の突出量で、第2マイクロチャネル2(流路孔;0.25mm×0.3mm長方断面口)内を20(ml/hr)で流れる上記「親水性流動媒体7」中に吐出させて[図2](b)に図示する如くの2色相帯電性球状粒子12を形成させた後、80℃で重合させた。以上の操作により 白/黒2色相の異なる帯電特性を有する3種類の粒子径150μm(CV値は5%であった。)の2色相帯電性球状粒子を調製した。
【0070】
<<白/黒2色相重合性有機モノマー流体の白色相表面張力(ρ1),(ρ10),(ρ100)/黒色相表面張力(ρ2),(ρ20),(ρ200)と2色相球状粒子の白/黒色相の色目割合>>
以上から、本実施例で調製した2色相帯電性球状粒子の2色相流体の表面張力[10
N/m]と得られた白/黒2色相球状粒子の白/黒色目割合は、以下の通りであった

2色相重合性有機モノマー流体6−1;
(ρ10)<(ρ20)で、0<(ρ20)−(ρ10)<0.3では、すなわち、白色相
表面張力(ρ10)/黒色相表面張力(ρ20)=29.2/29.4の組合せでは、
2色相球状粒子の色目割合が白/黒色相≒5:5のほぼ同等色目であった。
2色相重合性有機モノマー流体6−2;
(ρ100)>(ρ200)で、(ρ100)−(ρ200)<0.3では、すなわち、白色相
表面張力(ρ100)/黒色相表面張力(ρ200)=29.5/29.4の組合せでは
、2色相球状粒子の色目割合が白/黒色相=4:6の「黒色目勝ち」であった。
2色相重合性有機モノマー流体6−3;
(ρ)<(ρ)で、(ρ)−(ρ)=0.3〜0.7では、すなわち、白色相
表面張力(ρ)/黒色相表面張力(ρ)= 28.9/29.4の組合せでは、2
色相球状粒子の色目割合が白/黒色相=6:4の「白色目勝ち」であった。
【0071】
(比較例)
本発明において、第1マイクロチャネル1内を移送させる2色相重合性有機モノマー流体6を形成させる白/黒流体相の表面張力値[N/m]の組合せの効果と、得られる2色相球状粒子の2色相の色目割合に及ぼす影響を明確にさせるため、2色相の色目割合を自在に調整できない組合せ例を比較例として以下に示した。
2色相重合性有機モノマー流体6−2”;
(ρ100)>(ρ200)で、且つ0≦(ρ100)−(ρ200)<0.3の上限値を超えると、すなわち、白色相表面張力(ρ100)/黒色相表面張力(ρ200)=30/29.4の組合せでは、色目割合が不規則の色混ざり2色相球状粒子となった。
2色相重合性有機モノマー流体6−3”;
(ρ)<(ρ)で、且つ(ρ)−(ρ)=0.3〜0.7の上限値を超えると、すなわち、白色相表面張力(ρ)/黒色相表面張力(ρ)= 28.5/29.4の組合せでは、色目割合が不規則の色混ざり2色相球状粒子となった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、2色相帯電性球状粒子を画像表示媒体として所定の電界下に回転変色させて画像形成させる2枚の狭持電極パネル型のPLD等に有用な画像表示装置を提供することができた。
また、本発明によれば、このような画像表示装置に用いられ、2色相の色目割合を自在に調整できる2色相帯電性球状粒子の量産性が期待される2色相帯電性球状粒子の極めて簡便なマイクロチャネル式製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】2色相帯電性球状粒子を製造させる本発明に用いるマイクロチャネル式製造装置の一例を示す概念斜視図を表す図である。
【図2】本発明に用いる図1に図示するマイクロチャネル式製造装置の第1マイクロチャネル部位(a図)及び第2マイクロチャンネル部位(b図)の拡大概念断面図を表す図である。
【図3】本発明における白/黒2色相帯電性球状粒子を所定の電界下に回転変色させた時に視感される白表示レベルを10表示基準で表す2色相の白目割合(白色色目レベル)を説明する概念模写図である。
【図4】本発明による2色相帯電性球状粒子を画像表示媒体に用いた狭持電極パネル型の画像表示装置による表示画像例を示す写真画像である。
【符号の説明】
【0074】
1 第1マイクロチャネル
2 第2マイクロチャネル
3,4,5a,5b サイド・マイクロチャネル
6 2色相重合性有機モノマー流体
6a,6b 単色相重合性有機モノマー流体
7 親水性流動媒体
10 2色相重合性有機モノマー流体の吐出流体
12 2色相帯電性球状粒子
13 黒色表示像
14 白色表示像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の狭持電極パネル中に、封入する球状粒子を、所定の電界下に回転変色させて所定の画像を形成させる画像表示装置に用いる2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法において、
白色染顔料及び黒色染顔料のそれぞれを含有させてなる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の白色流体相と表面張力(ρ)[10−3N/m]値の黒色流体相とからなる2色相重合性有機モノマー流体を調製し、
前記2色相重合性有機モノマー流体を、下記する関係式(1)及び(2)を満足させながら第1マイクロチャネル内を移送させ、互いにO/W型の接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の親水性流動媒体に吐出させ、
前記親水性流動媒体中に、所定の電界下に互いに異なる帯電特性を有する白色相と黒色相との色目割合が、全表面積を10表示基準で表して、白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にある白色目勝ちの2色相単分散球状粒子を形成させることを特徴とする2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法。
【数1】

【請求項2】
2枚の狭持電極パネル中に、封入する球状粒子を、所定の電界下に回転変色させて所定の画像を形成させる画像表示装置に用いる2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法において、
白色染顔料及び黒色染顔料のそれぞれを含有させてなる表面張力(ρ10)[10−3N/m]値の白色流体相と表面張力(ρ20)[10−3N/m]値の黒色流体相とからなる2色相重合性有機モノマー流体を調製し、
前記2色相重合性有機モノマー流体を、下記する関係式(3)及び(4)を満足させながら第1マイクロチャネル内を移送させ、互いにO/W型の接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の親水性流動媒体に吐出させ、
前記親水性流動媒体中に、所定の電界下に互いに異なる帯電特性を有する白色相と黒色相との色目割合が、全表面積を10表示基準で表して、白色相:黒色相≒5:5である白/黒相がほぼ同等色目の2色相単分散球状粒子を形成させることを特徴とする2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法。
【数2】

【請求項3】
2枚の狭持電極パネル中に、封入する球状粒子を、所定の電界下に回転変色させて所定の画像を形成させる画像表示装置に用いる2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法において、
白色染顔料及び黒色染顔料のそれぞれを含有させてなる表面張力(ρ100)[10−3N/m]値の白色流体相と表面張力(ρ200)[10−3N/m]値の黒色流体相とからなる2色相重合性有機モノマー流体を調製し、
前記2色相重合性有機モノマー流体を、下記する関係式(5)及び(6)を満足させながら第1マイクロチャネル内を移送させ、互いにO/W型の接触界面下にある第2マイクロチャネル内を流れる表面張力(ρ)[10−3N/m]値の親水性流動媒体に吐出させ、
前記親水性流動媒体中に、所定の電界下に互いに異なる帯電特性を有する白色相と黒色相との色目割合が、全表面積を10表示基準で表して、白色相:黒色相=4.4〜3.3:5.6〜6.7の範囲にある黒色目勝ちの2色相単分散球状粒子を形成させることを特徴とする2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法。
【数3】

【請求項4】
前記黒色相が、赤色、青色、緑色及び黄色から選ばれる何れかの着色相であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載する2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法。
【請求項5】
UV照射下及び/又は加熱下に前記2色相重合性有機モノマー流体を重合硬化させて、体積基準で表す平均粒子径が10〜150μm範囲にある2色相単分散球状粒子にすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の2色相帯電性球状粒子のマイクロチャネル式製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3の何れかに記載する製造方法によって調製される2色相帯電性球状粒子を用いて対向する2枚の狭持電極パネル中に、封入する帯電性球状粒子を、所定の電界下に回転変色させて所定の画像を形成させる画像表示装置であって、
前記対向する狭持電極パネル内に封入されている無極性絶縁性流動媒体中に、
全表面積を10表示基準で表す両色相の色目割合が、白色相:黒色相=5.6〜6.7:4.4〜3.3の範囲にある白色目勝ち又は白色相:黒色相≒5:5の白/黒相がほぼ同等色目又は白色相:黒色相=4.4〜3.3:5.6〜6.7の範囲にある黒色目勝ちの何れか一種で、
且つ体積基準で表す平均粒子径10〜150μmの範囲にある前記2色相帯電性球状粒子が、前記狭持電極パネル内の無極性絶縁性流動媒体中に、容量%で表して25〜60%の範囲で封入され、
前記狭持電極パネル間に印加する50〜300V範囲の所定電界下に前記2色相帯電性球状粒子を回転変色させて、所定の白表示及び/又は黒表示の画像が形成されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
前記黒色相が、赤色、青色、緑色及び黄色から選ばれる何れかの着色相であることを特徴とする請求項6に記載する画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−286208(P2007−286208A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111407(P2006−111407)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)