説明

2軸のプレストレス補強を有するセメント−モルタルパネルの機能システム

2軸のプレストレス補強(136、161)を有するセメント・モルタル・パネル(102、135、160、196、216)のこの機能システムは、とりわけ、2軸のプレストレス補強(136、161)を備えつつセメントモルタルで工場生産される形式のパネル(102、135、160、196、216)の最大の安全性及び効率性の条件のもとでの物理的及び形態並びにハンドリング及び使用に貢献するシステムであって、セメント・モルタル・パネルの塊に、パネルの集合体(102、135、160、196、216)に作用し、該パネルの集合体のハンドリング並びに/あるいは建物の構造からの吊り下げ手段、建物の地震現象及び沈下運動を制御する手段、建物内の湿気の水準を下げるための手段、及びパネルの内部への湿気の進入を減らすための手段への取り付けを可能にする多目的手段(100、157、171、175、196、217)が埋め込まれているシステムを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システムに関する。本発明において、システムは、秩序だった様相で互いに関連付けられたときに前記パネルの全体としての良好な品質に貢献するアイテムの集合体であると理解される。他方で、機能は、システムの設計または構成に関してシステムの使用の容易さ、有用さ、及び便利さを追求するあらゆる事柄であると理解される。
【0002】
正確には、本発明は、有体物からなるシステムで構成され、すなわちシステムの機能性、並びに集合体の物理的、形態的、及び機能的な構成に貢献する構成要素からなり、セメントモルタルで工場生産される形式のパネルに適用されたときに、最大の安全性及び効率性の状態での取り扱い及び使用を可能にするシステムで構成される。建物の建設において、パネルは、建物構造の開口(外部の開口及び内部の開口の両方)を閉鎖するためのものであり、外部の開口を閉じる場合には、ファサードを形成すべく装飾された可視面を有し、内部の開口を閉じる場合には、可視面に装飾を必要とせず、建物の中庭を画定する。パネルは、2〜7cmの厚さを有するセメント・モルタル・パネルによって形成され、そのようなセメント・モルタル・パネルが、2組のプレストレスケーブルまたはロッドによって形成される2軸のプレストレス補強を備えており、1つの同じ組に属するケーブルまたはロッドが、互いに平行かつ等間隔である一方で、一方の組と他方の組とが、互いに固定に取り付けられることなく互いに直角に交差し、補強の格子を形成している。
【背景技術】
【0003】
本出願の出願人は、2軸の補強を有する工場生産のセメント・モルタル・パネルであって、機能システムの種々の構成要素を備えており、そのような機能システムの種々の構成要素が同様の機能的特徴または革新的な特徴を有する新たな構成要素と互換または交換可能であるセメント・モルタル・パネルに関する国際特許出願PCT/ES2007/000706(WO2008/139003という番号で公開済み)の所有者である。
【発明の概要】
【0004】
上述の国際特許出願においては、対象となるセメント・モルタル・パネルに改善された快適状態を持たせると同時に、セメント・モルタル・パネルの安定性及び安全性の特徴を向上させる特定の態様または構成要素が、機能システムに含まれていない。
【0005】
上記機能システムの品質を軽く扱うことなく、多機能手段などの以前のシステムの構成要素のいくつかを、パネルの外面に及ぼす影響がより少なくなり、かつ気候条件によりよく耐えるように構成し、建物の構造への吊り下げ手段に、建物の地震現象及び沈下運動を制御する手段並びに建物の内部の湿気を減らすための手段を備える技術的解決策が採用される。
【0006】
上述の技術的解決策によれば、セメント・モルタル・パネルのハンドリング並びに/あるいは建物の構造への吊り下げ手段、建物の地震現象及び沈下運動を制御する手段、建物内の湿気を減らすための手段、及びパネルの内部への湿気の進入を減らすための手段への取り付けを可能にするパネル集合体上の多機能手段がセメント・モルタル・パネルの塊に埋め込まれているセメント・モルタル・パネルで基本的に構成される本発明の主題の機能システムが開発される。
【0007】
本発明の特徴は、パネル集合体のハンドリング及び/または建物の構造への吊り下げ手段への取り付けを可能にするパネル集合体上の多機能手段が、2つの横アームが側方に位置する中央の直角アーチをΩ形にて形成している厚い平棒によって形成された長方形の本体によって構成され、前記2つの横アームが、前記中央の直角アーチに関して対称かつ互いに同一平面に位置し、前記本体をモルタル内に保持する主たる保持手段を形成しており、前記中央の直角アーチの中央部が、ハンドリング手段及びアンカ手段を順次挿入するためのねじ山付きの貫通穴を有しており、前記集合体の寸法が、前記横アームを前記2軸の補強が位置する前記パネルの中央の内部領域に位置させることができるような寸法であることにある。
【0008】
縦方向の垂直異形材と水平方向の横部材異形材とで形成された金属構造体に適しており、鉄筋コンクリート構造を有する建物における建築パネルの吊り下げを容易にする目的を有している本発明のさらなる特徴は、鉄筋コンクリート構造の床構造スラブの縁への安定な固定手段が設けられる複数のクランプを配置することからなり、該クランプの各々が、前記垂直異形材を収容及び保持する同軸な垂直方向の案内列を形成するように、垂直方向に整列して前記縁へと配置され、前記垂直異形材が横部材によって互いに接続され、該横部材に前記建築パネルの背面に設けられた前記吊り下げ手段が据えられて取り付けられる。
【0009】
上記に関連したさらなる特徴は、1つの場合において、前記クランプが、四角形のブシュまたはリングによって形成され、該ブシュが、該ブシュを前記垂直異形材を垂直方向に通すために適した位置において床構造スラブの前記縁へと固定する手段として、該ブシュをブリッジ状の様相に構成する2つのラグを、該ブシュの面のうちの1つと同一の平面に有しており、該ラグが、前記ブシュを建物の床構造スラブの前記縁へと固定するための手段を備える旨を指定する。同時に、床構造スラブの前記縁への前記ブシュの着座面とは反対側に位置する前記ブシュの前面が、垂直方向の長穴を有している。別の場合には、前記クランプが、折り曲げられた棒部分によって形成され、該折り曲げられた棒部分が、直角アーチを形成しつつ、建物の床構造スラブの縁への前記ブシュの水平固定手段を形成する2つの同一平面に位置する対称なラグへと、両自由端において直角に延びている。
【0010】
本発明のさらなる特徴は、パネル集合体のハンドリング及び/または建物の構造への吊り下げ手段への取り付けを可能にするパネル集合体上の多機能手段が、短くて太い本体によって形成されたプラグによって形成される事例に適用できる。それによると、前記短くて太い本体において、前記保持手段と前記パネルの隠れ面の表面と同一平面に位置する端部領域を有するアンカ手段との間の側方領域が、該側方領域の表面積を増加させ、該本体と該本体が挿入された前記パネルのセメントモルタルとの間に熱膨張及び/または熱収縮の結果として形成されうるすき間へと進入しうる湿気によって覆われるべき前記側面上の距離を増す凹凸が設けられた側面領域を有する。
【0011】
上記に関係する本発明のさらなる特徴は、以下で構成される。
【0012】
1. 前記短くて太い本体が、側方領域に、円錐形の表面、円柱形の表面、楕円形の表面、及びプリズム状の表面によって形成されるグループの構成を基本的に有している。
【0013】
2. 前記プラグの短くて太い本体の側方領域の前記表面の凹凸が、該側方領域の表面から突き出している起伏によって形成されている。
【0014】
3. 前記プラグの短くて太い本体の側方領域の前記表面の凹凸が、該側方領域の表面よりも低い凹所によって形成されている。
【0015】
4. 前記プラグの短くて太い本体の側方領域の前記表面の凹凸の突き出した起伏が、環状の構成を有しており、前記プラグの短くて太い本体の軸に垂直かつ互いに平行である平面に含まれている。
【0016】
5. 前記プラグの短くて太い本体の側方領域の前記表面の凹凸の突き出した起伏が、最小限の湿気の流れの方向を有するらせん形の経路を辿っている。
【0017】
6. 前記プラグとセメントモルタルとの間の露出した接触線を、封止の接合の構成を備えるワッシャで覆って閉じることができる。
【0018】
建物のファサードが、完全に金属製の独立した構造または鉄筋コンクリート構造に組み合わせられた金属製の構造へと取り付けられて該金属構造との間に通気チャンバを形成する約3cmの厚さを有する工場生産のセメント・モルタル・パネルによって好ましくは形成される形式であるエコロジカルな特徴を有する建物の壁に特に適用可能である本発明のさらなる特徴は、前記ファサードの支持構造が、金属製であっても、複合であっても、前記通気チャンバを形成する工場生産のファサードパネルの背面に直面して前記通気チャンバの内側を構成する前面を有しており、該前面が通気性のシートによって完全に覆われており、該シートが、建物の内側の空気及び湿気に関してのみ、もっぱら建物の内側から前記通気チャンバへと向かうただ1つの方向に通気性であるという事実によって定められる。
【0019】
互いに密に関係し、かつ/あるいは上述の特徴に密に関係する本発明のさらなる特徴は、以下のとおりである。
【0020】
1. 前記通気性のシートを含んでいる前記支持構造の前記前面とは反対側の面である該支持構造の後面に、撥水性かつ通気性のボードが当接しており、該ボードに、やはり通気性である発泡モルタルの層が、前記構造の前記後面に向かって前記当接面から突き出すように設けられている。
【0021】
2. 突き出した発泡モルタルの層で一方の面が覆われている撥水性のボードが、該覆われた面にて、前記支持構造のうちの前記通気性のシートによって覆われた前面とは反対側の面である後面に当接している。
【0022】
3. 前記撥水性のボードのうちの発泡モルタルの層を有していない面に、2本の水平方向の「U字」形異形材及び2本の垂直方向の「C字」形異形材によって形成され、断熱材料からなるブランケットを収容しており、随意により垂直材にケーブルまたは配管を通すための穴が設けられているフレームが当接している。
【0023】
4. 前記「U字」及び「C字」形金属異形材のフレームのうちの前記撥水性かつ通気性のボードが当接している面とは反対側の面に、2枚の石膏ボードを面同士で当接させてなるアセンブリが当接しており、該アセンブリのうちの建物の内部に近い方のボードが、通気性の塗装の層で覆われている。
【0024】
5. 前記断熱材料のブランケットが、自立した半剛体材料で構成され、おそらくは前記金属異形材のフレームの支持を必要とせずに、前記撥水性かつ通気性のボードと前記石膏ボードのアセンブリとの間に配置されている。
【0025】
6. 前記通気性の発泡モルタルが、セルロース繊維、ロックウール、グラスファイバ、及び合成繊維によって形成されるグループの材料によって補強されている。
【0026】
本発明のさらなる特徴を、建物の構造を閉鎖する工場生産のパネルが複数の固定部材によって該構造に対して配置され、該複数の固定部材が、前記パネルに埋め込まれて該パネルに取り付けられた多目的プラグのねじ山付きの貫通穴に一端においてナットによって係合すると同時に、他端には前記建物の構造へと固定に取り付けられた支持用の異形材の溝に一辺が係合する多角形の座板がナット及びロックナットによって固定に取り付けられるねじ棒によって形成されている事例に特に適用可能である耐震装置が、前記建物の構造へと固定に取り付けられた前記支持用の異形材の溝への前記多角形の板の着座を着脱可能に安定させるロック手段で構成されるという事実に見ることができる。
【0027】
本発明の実施形態及び詳細を形成する本発明のさらなる特徴が後述される。
【0028】
1. 前記ロック手段が、建物の構造へと張り出しの様相で着脱可能かつ固定に取り付けられた保持用の異形材によって形成され、前記多角形の板の着座を安定させるべく、前記建物の構造へと固定に取り付けられた支持用の異形材の前記溝に据えられる前記多角形の座板の辺とは反対側の一辺と係合するように、自由端に弾性的にたわみうる逆さ溝を有している。
【0029】
2. 金属板片によって形成されたロック手段が、前記支持構造に面している前記多角形の板の面に当接し、該多角形の板の上縁をまたいで該上縁からぶら下がっており、前記金属板片は、前記多角形の座板を固定するロックナットを自由に突き出させる窓を中央に有するとともに、直角なタブへと折り曲げられた下端を有している。多角形のタブが、一方では前記構造へと固定に取り付けられた支持用の角張った異形材の水平部分の上面に据えられ、他方では前記支持用の角張った異形材の溝と支持構造に堅固に取り付けられた該異形材の垂直部分との間にぴったりとはまり込んだ該異形材の補強用の異形材へと、該支持用の角張った異形材の前記水平部分を介して固定に取り付けられる。
【0030】
3. 前記金属板片の窓が、前記多角形の座板の位置固定用の前記ロックナットを突き出させることができ、かつ該ロックナットを前記多角形の座板の位置を固定すべく操作するときに該ロックナットを回転させることができるような寸法を有している。
【0031】
4. 前記補強用の異形材が、四角形の直角な管状の構成を有するとともに、前記支持用の角張った異形材の長さの全体または規則的な間隔で位置する独立した部分を含むグループの不定の長さを占めることができる長さを有している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以上の考え方の理解を容易にすると同時に、構成の性状の種々の詳細を開示するために、本発明の実施形態を、本明細書に添付の図面を参照して後述する。これらの図面は、根本的に例示にすぎないという性質に鑑み、請求される法的な保護の範囲を決して限定するものではないと理解されなければならない。
【図1】本発明による多目的プラグの実施形態の斜視図である。
【図2】多目的プラグに取り付けられたときにパネルのハンドリングを可能にする手段の実施形態の側面図である。
【図3】建物の支持構造へのパネルの固定点の部分断面側面図である。
【図4】図2のハンドリング手段などのハンドリング手段へと取り付けられたプラグが存在するパネルの地点の部分断面側面図である。
【図5】型から外されるときのパネルの構成の部分断面側面図である。
【図6】本発明の構造の一実施形態の断面図であり、クランプの一変種、いずれもクランプによって鉄筋コンクリートの建物構造の床構造スラブへと接続された垂直材及び横部材の一変種、並びに前記構造に吊り下げられた2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルを見てとることができる。
【図7】鉄筋コンクリートの建物構造の床構造スラブの縁に取り付けられたクランプ及び該クランプに保持された垂直材(クランプを見易くするために破線で描かれている)の位置について、考えられる実施形態のうちの1つの詳細の斜視図である。
【図8】図7と同様、鉄筋コンクリートの建物構造の床構造スラブの縁に取り付けられたクランプ及び該クランプに保持された垂直材(クランプを見易くするために破線で描かれている)の位置について、考えられる実施形態のうちの第2の実施形態の詳細である。
【図9】同じ階の床構造スラブに取り付けられた上側及び下側水平金属異形材に関して、下端において下側水平金属異形材へと固定されたいくつかの金属垂直異形材の下端と、上端において上側水平金属異形材へと固定されたさらなるいくつかの金属垂直異形材とを示している床構造スラブの斜視図である。
【図10】上側水平金属異形材の一地点に垂直金属異形材の上端を運動の可能性を持たせつつ取り付ける方法の詳細の断面図であり、鉄筋コンクリート構造の沈下が生じていない状況を示している。
【図11】先の図に示した垂直金属異形材の上端の取り付け方法について、コンクリート構造の沈下運動が生じた後の断面図であり、前記上端が上側水平金属異形材の底壁のすぐ近くに位置している。
【図12】本発明の実施形態よりも前の実施形態による短くて太い本体によって形成されたプラグを備えているセメント・モルタル・パネルの側面断面図である。
【図13】図6と同様、本発明の実施形態による短くて太い本体によって形成されたプラグを示しており、凹凸がプラグの側方領域から突き出している。
【図14】図7と同様、本発明の実施形態による短くて太い本体によって形成されたプラグを示しており、凹凸がプラグの側方領域の凹所を形成している。
【図15】本発明の複合壁の実施形態の一部分の縦断面図である。
【図16】先の図に示した複合壁と同様の複合壁の一部分について、外側から見た部分斜視及び順次断面図である。
【図17】建物の支持構造に当接する2枚の隣接パネルの2つ固定点の部分断面側面図であり、いずれの固定点にも本発明の耐震装置が備えられている。
【図18】本発明の主題による角張った支持断面におけるパネルの固定点の部分断面側面図である。
【図19】金属薄板片の詳細の正面図であり、窓の配置及び多角形の座板の位置決めのための固定用ロックナットとの関係を見て取ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1が、本発明に従って構成された多目的プラグ100の好ましい実施形態を示している。多目的プラグ100が、厚い平棒への連続的な打ち抜き(die stamping)及び折り曲げ(folding)の作業によって製作された単一の部品で形成されている。この目的は、直角Ωとして形成され、アンカ手段107を構成する中央の直角アーチ111を形成する長方形の物体を得ることにある。中央の直角アーチ111の側方に、保持手段106を構成する2つの横アーム112が位置している。これらの保持アーム106は、中央の直角アーチ111に関して対称であり、互いに同一平面にある。保持手段106が、モルタルの塊において、この長方形の物体の主たる保持手段を形成する。同様に、アンカ手段107として機能するこの中央の直角アーチ111の中央部113が、図2のハンドリング手段108及び図3の固定手段109を順次挿入するための中央のねじ山付きの貫通穴114を有している。
【0034】
図3に示されるとおり、多目的プラグ100は、パネル102の隠れ面104と同一平面に位置する中央部113の外面Aと、同一平面に位置する2つの横アーム112の外面Bとの間に、これらの横アーム112を2軸補強のケーブル105またはロッドを見つけることができるパネル102の中央の内部領域に位置させることができるような寸法Dを有している。
【0035】
これらの図は、長方形の物体が平棒によって形成され、好ましくは鋼などの鉄系材料(ただし、他の材料を除外するものではない)の平棒によって形成されることを示している。平棒を、一連の打ち抜き及びプレスの作業によって成形することができるが、決してロストワックス鋳造または他の方法による形成の可能性を除外するものではない。
【0036】
多くの場合に、長方形の物体は、丸みを帯びた凸状及び凹状の横断エッジ115を有する単一の丈夫な部品で構成される。
【0037】
図2が、パネル102のためのハンドリング手段108の実施形態を示している。ハンドリング手段108は、パネル102の成型段階において多目的プラグ100をパネル102へと挿入するために、多目的プラグ100に係合することで、多目的プラグ100のハンドリングを可能にする。最後に、ハンドリング手段108は、図4に示されている位置にあるときに、パネル102の離型及び搬送を可能にする。
【0038】
このパネル102のハンドリング手段108は、多目的プラグ100の中央の直角アーチ111の中央部113に設けられたねじ山付きの貫通穴114に着脱可能に係合させることができるように一端117にねじ山が設けられている鋼棒116によって形成されている。ハンドリング手段108の他端には、図5に示されるように搬送装置119の把持具119Aによる保持を可能にするための溝118が設けられている。最初の作業において、搬送装置119が、閉鎖板121(パネル102の形成用の型120の開放端を閉じる)によって閉じられた環境において、パネル102の形成用の型120内のテクスチャ板120A上に配置された生のモルタルの塊の本体内に多目的プラグ100を挿入する。後の作業において、ハンドリング手段108が、パネル102を型120から取り出し、硬化設備へと運び、硬化設備から保管場所及び/または作業現場へと運ぶことを可能にする。
【0039】
図3に示されるとおり、パネル102を建物構造を形成すべく垂直材110に固定に取り付けられた横部材128に据え付ける作業において、固定部材109が、中央の直角アーチ111のねじ山付きの貫通穴114に挿入される。これらの固定部材109は、一端において中央の直角アーチ111の中央部113のねじ山付きの貫通穴114に係合して、ナット123によって固定されると同時に、他端には座板126(建物構造の垂直材110に固定に取り付けられた支持用の横異形材128の溝127に係合する)がそれぞれのナット124及びロックナット125によって取り付けられるねじ棒122によって形成されている。
【0040】
図6が、考えられる建物構造134への適用を示しており、クランプ129の一変種と、垂直材130及び横部材131の一変種(すべてクランプ129を介して鉄筋コンクリートの建物構造134の床構造スラブ133の縁132に接続されている)と、この建物構造134に取り付けられた2軸のプレストレス補強136を有するセメント・モルタル・パネル135とを見て取ることができる。
【0041】
横部材131は、外へと突き出す吊り下げ手段137を支持するために、或る場合には二重山形材(double angle)の構成をとることができ、別の場合には、図15及び図16に示されるように、2軸のプレストレス補強136の間でパネル135に埋め込まれたプラグ139へと固定される吊り下げ手段137の座板138の挿入のための開口を上縁に有している平たい「C字」形レールの構成をとることができる。
【0042】
同じ図6が、どのようにしてクランプ129が、クランプ129のラグ141を通過するくぎ140または他のコンクリートにおけるアンカ手段によって、床構造スラブ133の縁132に固定されるのかを示している。同時に、前記ラグ141に組み合わせられた四角形のブシュ142(図7及び図8を参照)に垂直材130が収容され、この四角形のブシュ142の前面144に設けられた長穴145を通過するアンカ部材143または他の手段によって、この四角形のブシュ142へと固定される。長穴145が、沈下運動の際に、ファサードパネルの配置に悪影響を及ぼすことなく、クランプ129の或る程度のスライドを可能にする。
【0043】
図7は、クランプ129が、四角形のブシュ142を平棒146に固定に取り付けることによって形成されている事例を示している。平棒146の自由端が、ラグ141を形成し、ラグ141に、くぎ140によって鉄筋コンクリート建物構造134の床構造スラブ133の縁132へのアンカ手段を通すための穴が設けられている。四角形のブシュ142の前面144が、垂直材130の固定のための前記長穴145を有している。
【0044】
図8は、正方形のアーチ148の形態の開いたブシュ142を形成し、両自由端において同一面に位置する対称な2つのラグ141へと垂直に延びている折り曲げられた平棒の一部分147によって、クランプ129Aが形成されている事例を示している。さらに、両方のラグ141に、開いたブシュ142を建物構造の床構造スラブ133の縁132へと固定する手段を形成するくぎ140を通すための穴が設けられている。同時に、ブシュ142は、垂直材130を収容し、長穴145を貫くアンカ手段143によってしっかりと保持する。
【0045】
図9が、例えばブチルなどのエラストマ材料で形成された可撓な不浸透性シート150を床構造スラブ149へと配置することからなる建造物のための閉鎖構造を実行する本発明によるやり方を示している。
【0046】
このシート150が、上側の縁領域150Aを床149に重ね、シート150の残りの部分を床構造スラブ149の縁の中央部150Bを覆うように垂らしつつ、もう一方の下方の縁領域150Cをそのままぶら下げて、床構造スラブ149へと取り付けられる。前記上側の縁部分150Aが、床構造スラブ149の縁に対してわずかに張り出して設置され、ねじによって床構造スラブ149の縁へと固定される下部水平金属異形材151(上階の開口を基準に下部と呼ばれる)のための座として機能する。下部水平金属異形材151に対し、上部水平金属異形材152(下階の開口を基準に上部と呼ばれる)が同一平面の様相で対をなす。同時に、シート150の下側の縁領域150Cが、同じ階の床構造スラブ149の下面に位置する上部水平金属異形材152の側面を覆う。
【0047】
2つの連続する階の床構造スラブ149の間の1つの同じ開口に位置する下部及び上部水平金属異形材151及び152が、垂直方向の金属異形材153を支持し、「U字」形の異形材として底壁151A及び152A並びに側部151B及び152Bをそれぞれ有している。
【0048】
図9に示されるとおり、下部水平金属異形材151は、垂直金属異形材153の下端153Aのための固定ねじを通すための穴154を、側部151Bに備えている。同時に、図10及び図11を参照すると、これらの垂直金属異形材153の上端153Bは、前記側部152Bを横切って設けられる2つの垂直方向の長穴155と、これらの垂直方向の長穴155を通過して垂直金属異形材153の上端153Bに固定されるねじ156とによって形成される機構によって、上部水平金属異形材152の対応する側部152Bへと固定される。これらのねじ156は、鉄筋コンクリート構造の建物の沈下によって引き起こされる応力の存在に起因する相互の運動を許容する任意の種類のねじ、リベット、ピン、または保持手段であってよい。
【0049】
図10が、垂直金属異形材153の上端153Bについて、上部水平金属異形材152の底壁152Aまでの移動の可能性を有する固定の形態を示している。図示の状況において、床スラブ149の鉄筋コンクリート構造の沈下は生じていない。この状況において、上部水平金属異形材152の側部152Bに設けられた垂直方向の長穴155の長さLは、建物の鉄筋コンクリート構造の沈下が生じる場合のために垂直金属異形材153の上端153Bと上部水平金属異形材152の底壁152Aとの間に設けられる距離Dと同じか、あるいは距離Dよりも大きい。
【0050】
図11は、先の図に示した垂直金属異形材153の上端153Bの固定について、コンクリート構造の沈下運動の発生後の状態を示している。この状況において、前記上端153Bが上方に移動し、上部水平金属異形材152の底壁152Aのすぐ近くに位置している。
【0051】
図12、図13、及び図14が、本発明の出願人の技術に従って製作され、2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルを建物構造へと固定するための手段を構成するプラグの例を示している。この固定手段は、この固定手段の保持手段がモルタル塊においてプレストレス補強部材のわずかに下方かつパネルの可視面よりも手前に収容されるように、モルタル塊の硬化の前にモルタル塊へと、補強部材によって形成されるメッシュの内側に挿入される。次いで、建物構造への固定のための手段が、パネルの隠れ面の表面と同一面に位置する領域を有している。
【0052】
図12が、本発明の出願人によってすでに開示されたプラグ157を示しており、プラグ157が、パネル160を形成するセメントモルタル塊への保持手段159を有している短くて太い本体158によって形成されている。保持手段159が、2軸のプレストレス補強部材161に位置しており、パネル160の可視面162から離れている。同時に、本体158は、ねじ山付きの軸穴168をパネル160の隠れ面169の表面と同一面に位置する領域に備えているアンカ手段163を有している。本体158が先細りの側面170を有することで、パネル160への保持が改善されていることに注意すべきである。
【0053】
図13は、プラグの短くて太い本体173の側面172に、この側面172から突き出す起伏174が設けられている点を除き、図12のプラグ157と同じ特徴を有しているプラグ171を示している。図示の場合には、起伏が環状の構成を有しているが、例えばらせん状の構成など、さらに他の構成をとることも可能である。
【0054】
図14が、プラグの短くて太い本体177の側面176に、この側面176の高さよりも低い凹所178が設けられている点を除き、図12のプラグ157と同じ特徴を有しているプラグ175を示している。図示の場合には、凹所が環状の構成を有しているが、さらに例えばらせん状の構成など、他の構成をとることも可能である。
【0055】
プラグ157、171、及び175とパネル160のセメントモルタルとの間の接触の露出線179を、シールガスケット手段を形成する弾性ワッシャ180で覆って閉じることができる。
【0056】
側面から突き出すいくつかの起伏を、突き出さない他の起伏と組み合わせてもよい。同様に、短くて太い本体158、173、177は、いずれの場合も、基本的に、先細りの表面、円柱形の表面、楕円形の表面、及びプリズム状の表面を含むグループからなる構成を、側面の領域に有することができる。
【0057】
図15及び図16は、好ましくはファサードが約3センチメートルの厚さを有する工場生産のセメント・モルタル・パネル181によって形成されている形式の複合壁を示している。工場生産によるパネル181が、独立した全金属製の支持構造または床構造スラブ183の形態を有する鉄筋コンクリート支持構造に組み合わせられた金属製の支持構造182へと固定され、通気チャンバ184が、前記パネル181と金属製の支持構造182との間に形成されている。
【0058】
ファサードの支持構造182は、金属製であっても、複合であっても、通気シート185によって覆われた前面を有しており、そのような前面が、通気チャンバ184の内側を構成し、工場生産によるファサードパネル181の背面に面し、ファサードパネル181とともに前記通気チャンバ184を形成する。シート185は、建物の内部の空気及び湿気についてのみ通気性であり、建物の内部から通気チャンバ184へともっぱら一方通行である。
【0059】
図に示され、図16にさらに詳しく示される支持構造など、複合の支持構造182の場合には、床構造スラブ183が複合の支持構造の構造部分を形成する一方で、同じ構造の残りの金属部分182が、横部材としての「U字」形の金属異形材186によって形成されることに、注意すべきである。これらの金属異形材186は、2つの隣接する階の床構造スラブ183の向かい合う表面へと固定され、凹側が互いに面するように位置し、垂直材としての「C字」形の金属異形材187によって接続される。
【0060】
撥水性の通気板188が、金属製の支持構造182の後面(通気シート185を備える表面とは反対側の表面)に接して配置される。板188は、やはり通気性である発泡モルタルの層189を、前記当接面から金属製の支持構造182にへと突き出させて備えている。
【0061】
撥水通気板188は、発泡モルタルの層189を突き出させている面にて金属製の支持構造182に当接する一方で、他方の面にて「C字」形の金属異形材191の支持フレーム190に当接している。支持フレーム190は、内側に、前記撥水板188と平行に、自立する半剛体材料から製作され、前記支持フレーム190によってもたらされる支持を有さない可能性を可能にする断熱材料のブランケット192を保持している。
【0062】
次いで、「C字」形の金属異形材191の前記支持フレーム190のうち、撥水性の通気板188が配置される面とは反対側の面に当接して、2枚の石こうボード193及び194を互いに当接させてなるアセンブリが配置され、とりわけ建物の内部に近い方のボード194が、通気性の塗料195の層によって覆われる。
【0063】
通気性の発泡モルタル189は、セルロース繊維、ロックウール、グラスファイバ、及び合成繊維で形成されるグループの材料で補強される。
【0064】
図17に示されているように、パネル196及び196Aを建物の構造197に据え付ける作業において、固定部材199が、Ω形の多目的プラグ198または円柱形の多目的プラグ198Aのねじ穴に挿入される。これらの固定部材199は、一端においてΩ形の多目的プラグ198の中央の直角アーチの中央部のねじ穴または円柱形の多目的プラグ198Aのねじ山付きの軸穴に係合して、ナット201によって固定されるねじ棒200によって形成されている。同時に、いずれの場合も、固定部材199の他端に、対応するナット202及びロックナット203によって、建物の構造197へと固定に取り付けられた支持用の異形材211の溝210に係合する多角形の座板209が固定される。
【0065】
ここまで、実用新案ES1068863の主題の応用を説明したが、以下で本発明の主題の説明を付け加える。上述のように、主題は、建物の構造197へと固定に取り付けられた支持用の異形材211の溝210への多角形の座板209の着座を着脱可能、弾性的、かつ可撓に安定させるロック手段212を配置することからなる。
【0066】
前記ロック手段212は、建物の構造197へと片持ち梁の様相で着脱可能かつ固定に取り付けられる保持用の異形材213で構成される。弾性及び可撓性の状態において、保持用の異形材213は、自由端に逆さ溝214を有しており、この逆さ溝214が、多角形の座板209の一辺と係合する。この辺は、建物の構造197に固定に取り付けられた支持用の異形材211の溝210に据えられる辺とは反対側の辺である。
【0067】
パネル196及び196Aのこれらの組み立て状態のもとで、片持ち梁の様相の支持用の異形材211及び保持用の異形材213からなる構成が、その設置に、建物構造197におけるパネル196及び196Aの安定性を阻害することなくパネル196及び196Aのわずかな動きを可能にするための適切な弾性及び可撓性をもたらす。
【0068】
当然ながら、支持用の異形材211及び保持用の異形材213を構造197へとねじ215によって固定することで、そのような異形材を同様の機能の他の部材と交換することができ、それによって、設置物をパネルの劣化の場合に容易に組み立て直すことができ、あるいは空間または外観のニーズに合わせて容易に改造することができる。
【0069】
同様に、好ましくは長方形または正方形の形状を有する多角形の座板209は、他の構成をとることも可能であり、極端な場合には、辺の数が無限である多角形と考えられる円形の構成をとることができる。
【0070】
また、多目的プラグは、ねじ棒200を挿入するためのねじ穴または同等の部材を有する限りにおいて、上述した構成以外の構成であってよい。
【0071】
図18に示されるとおり、建物構造197へのパネル216の据え付け作業の一例においては、短くて太い本体を有する多目的プラグ217、Ω形の多目的プラグ、または他の同様の種類の多目的プラグのねじ穴に、一端において多目的プラグ217のねじ山付きの軸穴に係合してナット220によってプラグ217へと固定されるねじ棒219によって形成された固定部材218が挿入される。同様に、どちらの場合も、固定部材218の他端には、建物の構造197へと固定に取り付けられた支持用の角張った異形材225の溝224に係合する多角形の座板223が、それぞれのナット221及びロックナット222によって固定される。
【0072】
やはりこれまでは、パネル216の固定点を既存の建物197に設置する方法を説明した。以下では、建物の構造197へと固定に取り付けられた支持用の角張った異形材225の溝224への多角形の座板223の着座を着脱可能かつ堅固に安定させるロック手段226を配置することからなる本発明の主題を説明する。
【0073】
本発明の装置によれば、多角形の座板223に、この多角形の座板223の面A(建物の支持構造197に面する表面)に当接し、この多角形の座板223の上縁Bに乗せられて上縁Bからぶら下がるロック手段226が設けられる。ロック手段226は、前記多角形の座板223を固定するためのロックナット222を自由に突き出させる窓228が中央に設けられ、かつ下端がタブ229を形成するように垂直に曲げられている金属薄板部品227で構成される。タブ229が、一方では、建物の構造197に固定に取り付けられた支持用の角張った異形材225の水平部分230の上面に据えられ、他方では、支持用の角張った異形材225の前記水平部分230を貫くねじ231または他の手段によって、支持用の角張った異形材225のための補強用の異形材232へと固定に取り付けられる。補強用の異形材232は、前記支持用の角張った異形材225の溝224と建物の構造へと固定に取り付けられた前記支持用の角張った異形材225の垂直部分233との間にはまり込みの様相で位置している。
【0074】
図19に示され、図18から見て取ることができるように、金属薄板部品227の窓228は、多角形の座板224の位置の固定のためのロックナット222を突き出させることができ、前記多角形の座板223の位置を固定すべくロックナット222を操作するときに、このロックナット222を回転させることができる寸法を有している。
【0075】
補強用の異形材232が、直角な四角形の管状の構成であって、支持用の角張った異形材225の全長によって形成されるグループのうちの或る長さまたは等間隔に位置する異形材225の複数の独立した部分を占めることができる不定の長さであることに、注意すべきである。同様に、別の種類の異形材も使用することができ、さらには支持用の角張った異形材225そのものから打ち抜かれ、溝224の壁へと進む水平部分230の直下に垂直に配置されるタブを使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物構造の開口を閉鎖するために適しており、前記建物の中庭を画定しており、セメント・モルタル・パネルによって形成されており、前記パネルが2〜7cmの厚さを有しており、2組のプレストレスケーブル(105)またはロッドによって形成される2軸のプレストレス補強(136、161)を備えており、1つの同じ組に属するケーブルまたはロッドが、互いに平行かつ等間隔である一方で、一方の組と他方の組とが互いに固定に取り付けられることなく互いに直角に交差して格子を形成している2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システムであって、
前記セメント・モルタル・パネルの塊に、前記パネル(102、135、160、181、196、216)のハンドリング並びに/あるいは建物の構造への吊り下げ手段(127、137、210、224)、建物の地震現象及び沈下運動を制御する手段、建物内の湿気を減らすための手段、及びパネルの内部への湿気の進入を減らすための手段への取り付けを可能にする前記パネル集合体(102、135、160、181、196、216)上の多機能手段(100、157、171、175)が埋め込まれていることを特徴とする2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項2】
前記パネル集合体(102)上の前記多機能手段が、2つの横アーム(112)が側方に位置する中央の直角アーチ(111)をΩ形にて形成している厚い平棒によって形成された長方形の本体によって構成され、
前記2つの横アーム(112)が、前記中央の直角アーチ(111)に関して対称かつ互いに同一平面に位置し、前記本体をモルタル内に保持する主たる保持手段(106)を形成しており、
前記中央の直角アーチ(111)の中央部が、ハンドリング手段(108)及びアンカ手段(107)を順次挿入するためのねじ山付きの貫通穴(114)を有しており、
前記集合体の寸法が、前記横アーム(112)を前記2軸の補強(136、161)が位置する前記パネル(102)の中央の内部領域に位置させることができるような寸法であることを特徴とする請求項1に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項3】
鉄筋コンクリート構造を有する建物における建築パネルの吊り下げを容易にする目的を有する縦方向の垂直異形材(130)と水平方向の横部材異形材(128)とで形成された金属構造体を有しており、
鉄筋コンクリート構造の床構造スラブ(133)の縁(132)への安定な固定手段(140)が設けられる複数のクランプ(129)を備えており、前記複数のクランプ(129)の各々が、前記垂直異形材(130)を収容及び保持する同軸な垂直方向の案内列を形成するように、垂直方向に整列して前記縁(132)へと配置され、前記垂直異形材(130)が、横部材(128)によって互いに接続され、前記横部材(128)に前記建築パネルの背面に設けられた前記吊り下げ手段(137)が据えられて取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項4】
前記クランプ(129)が、四角形のブシュ(142)またはリングによって形成され、前記ブシュ(142)が、前記ブシュ(142)を、前記垂直異形材(130)を垂直方向に通すために適した位置において前記床構造スラブ(133)の前記縁(132)へと固定する手段として、前記ブシュ(142)をブリッジ状の様相に構成する2つのラグ(141)を、前記ブシュ(142)の面のうちの1つと同一の平面に有しており、
前記クランプ(129)が、前記ブシュ(142)を建物の前記床構造スラブ(133)の前記縁(132)へと固定するための手段を備えると同時に、前記床構造スラブ(133)の前記縁(132)への前記ブシュ(142)の着座面とは反対側に位置する前記ブシュ(142)の前面が、垂直方向の長穴(145)を有していることを特徴とする請求項3に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項5】
前記クランプ(129)が、折り曲げられた平棒部分によって形成され、
前記折り曲げられた平棒部分が、直角アーチを形成しつつ、建物の前記床構造スラブの縁への前記ブシュ(142)の水平固定手段を形成する2つの同一平面に位置する対称なラグ(141)へと、両自由端において直角に延びていることを特徴とする請求項4に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項6】
前記閉鎖構造が、前記床構造スラブ(149)の厚さを覆う可撓な不浸透性シート(150)を介在させつつ前記床構造スラブ(149)の自由ファサード縁にわずかな張り出しにて長手方向に固定された第1の水平金属異形材(151)と、前記第1の水平金属異形材と同じであり、前記第1の水平金属異形材(151)の鏡像として前記床構造スラブ(149)の前記自由ファサード縁の下方にわずかな張り出しにて長手方向に固定された第2の金属異形材(152)とを備えており、2つの隣接階の床構造スラブ(133)の前記第1及び第2の金属異形材(151、152)が、規則的な間隔で配置されて前記異形材(151、152)へと固定される垂直金属異形材(153)によって互いに接続されているコンクリート構造における工場生産の2軸プレストレス・セメント・モルタル・ファサード・パネルに適用され、
前記垂直金属異形材(153)が、下端において、前記床構造スラブに取り付けられた前記第1の水平金属異形材(151)へとねじによって堅固に固定される一方で、前記垂直金属異形材(153)の前記上側の水平金属異形材(152)への取り付けが、或る程度自由なはまり合いの様相で、水平方向及び垂直方向にスライド可能であるようなやり方で、前記上側の水平金属異形材(152)に形成された垂直方向の長穴(155)を貫いて前記垂直金属異形材(153)の上端に固定され、頭部によって前記上側の水平金属異形材(152)に圧入されるセルフタップねじ、リベット、及びナットとボルトとからなるシステムによって形成されるグループの固定部材(156)によって達成され、前記長穴が、前記固定部材の直径よりも大きい幅であり、建物のコンクリート構造の床構造スラブの沈下について想定される安全マージンに等しい長さであることを特徴とする請求項1に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項7】
前記上側の水平金属異形材(152)の側部(152B)に設けられる前記垂直方向の長穴(155)の長さLが、前記垂直金属異形材(153)の上端と前記上側の水平金属異形材(152)の底壁との間に設けられる距離D以上であることを特徴とする請求項6に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項8】
前記パネル集合体(160)上の多機能手段が、短くて太い本体(158、173、177)によって形成されたプラグ(157、171、175)によって形成されている事例に適用可能であり、
前記短くて太い本体(158、173、177)の側方領域に、前記側方領域の側面(172、176)の広がりを増し、前記本体(158、173、177)と前記本体が挿入された前記パネル(160)のセメントモルタルとの間に熱膨張及び/または熱収縮の結果として形成されうるすき間へと進入しうる湿気によって覆われるべき前記側面(172、176)上の距離を増す凹凸(174、178)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項9】
前記短くて太い本体(158、173、177)が、側方領域に、円錐形の表面、円柱形の表面、楕円形の表面、及びプリズム状の表面によって形成されるグループの構成を基本的に有していることを特徴とする請求項8に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項10】
前記プラグ(171)の短くて太い本体(173)の側方領域の前記表面の凹凸が、前記側面(172)から突き出している起伏(174)によって形成されていることを特徴とする請求項8に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項11】
前記プラグ(175)の短くて太い本体(177)の側方領域の前記表面の凹凸が、前記側面(172)よりも低い凹所(178)によって形成されていることを特徴とする請求項8に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項12】
前記プラグの短くて太い本体(173、177)の側方領域の前記表面の凹凸(174、178)の起伏が、環状の構成を有しており、前記プラグ(171、175)の短くて太い本体(173、177)の軸に垂直かつ互いに平行である平面に含まれていることを特徴とする請求項10又は11に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項13】
前記プラグ(171、175)の短くて太い本体(158、173、177)の側方領域の前記表面の凹凸(174、178)の起伏が、最小限の湿気の流れの方向を有するらせん形の経路を辿っていることを特徴とする請求項10又は11に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項14】
前記プラグ(157、171、175)とセメントモルタルとの間の露出した接触線を、封止の接合の構成を構成するワッシャ(180)で覆って閉じることができることを特徴とする請求項8に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項15】
建物のファサードが、完全に金属製の独立した構造(182)または鉄筋コンクリート構造(183)に組み合わせられた金属製の構造(182)へと固定されて前記パネル(181)と前記金属構造(182、183)との間に通気チャンバ(184)を形成する約3cmの厚さを有する工場生産のセメント・モルタル・パネル(181)によって好ましくは形成される形式であるエコロジカルな特徴を有する建物の壁に特に適用可能であり、
前記ファサードの支持構造(182、183)が、金属製であっても、複合であっても、前記通気チャンバ(184)を形成する工場生産のファサードパネル(181)の背面に直面して前記通気チャンバの内側を構成する前面を有しており、前記前面が通気性のシート(185)によって完全に覆われており、前記シート(185)が、建物の内側の空気及び湿気に関してのみ、もっぱら建物の内側から前記通気チャンバ(184)へと向かうただ1つの方向に通気性であることを特徴とする請求項1に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項16】
前記通気性のシートを含んでいる前記支持構造(182、183)の前記前面とは反対側の面である前記支持構造(182、183)の後面に、撥水性かつ通気性のボード(188)が当接しており、前記ボード(188)に、やはり通気性である発泡モルタルの層(189)が、前記構造の後面に向かって前記当接面から突き出すように設けられていることを特徴とする請求項15に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項17】
突き出した発泡モルタルの層(189)で一方の面が覆われている撥水性のボード(188)が、前記覆われた面にて、前記支持構造(182)のうちの前記通気性のシート(185)によって覆われた前面とは反対側の面である後面に当接していることを特徴とする請求項15に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項18】
前記撥水性のボード(188)のうちの発泡モルタルの突き出し層(189)を有していない面に、2本の水平方向の「U字」形異形材及び2本の垂直方向の「C字」形異形材によって形成され、断熱材料からなるブランケット(192)を収容しており、随意により垂直材にケーブルまたは配管を通すための穴が設けられている支持フレーム(190)が当接していることを特徴とする請求項15に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項19】
前記「U字」及び「C字」形異形材のフレーム(189)のうちの前記撥水性かつ通気性のボード(188)が当接している面とは反対側の面に、2枚の石膏ボード(193、194)を面同士で当接させてなるアセンブリが当接しており、前記アセンブリのうちの建物の内部に近い方のボード(194)が、通気性の塗装の層(195)で覆われていることを特徴とする請求項18に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項20】
前記断熱材料のブランケット(192)が、自立した半剛体材料で構成され、おそらくは前記金属異形材のフレーム(189)の支持を必要とせずに、前記撥水性かつ通気性のボード(188)と前記石膏ボード(193、194)のアセンブリとの間に配置されていることを特徴とする請求項18に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項21】
前記通気性の発泡モルタルの層(189)が、セルロース繊維、ロックウール、グラスファイバ、及び合成繊維によって形成されるグループの材料によって構成されていることを特徴とする請求項16に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項22】
具体的には耐震装置であり、建物の構造(197)を閉鎖する工場生産のパネルが複数の固定部材によって前記構造(197)に対して配置され、前記複数の固定部材が、前記パネル(196、216)に埋め込まれて前記パネル(196、216)に固定された多目的プラグ(198、198A、217)のねじ山付きの貫通穴(114)に一端においてナット(201、220)によって係合すると同時に、他端には前記建物の構造(197)へと固定に取り付けられた支持用の異形材(211、225)の溝(210、224)に一辺がはまり込む多角形の座板(209、223)が対応するナット(202、221)及びロックナット(203、222)によって取り付けられるねじ棒(200)によって形成されている事例に特に適用可能であり、
前記建物の構造(197)へと固定に取り付けられた前記支持用の異形材(211、225)の溝(210、224)への前記多角形の座板(209、223)の着座を着脱可能に安定させるロック手段(212、226)を備えることを特徴とする請求項1に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項23】
前記ロック手段(212)が、建物の構造へと片持ち梁の様相で固定かつ着脱可能に取り付けられた保持用の異形材(213)によって形成され、前記多角形の座板(209)の着座を安定させるべく、前記建物の構造(197)へと固定に取り付けられた支持用の異形材の前記溝(210)に係合する前記多角形の座板(209)の辺とは反対側の一辺と係合するように、自由端に弾性的にたわみうる逆さ溝(214)を有していることを特徴とする請求項22に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項24】
金属板片(227)によって形成されたロック手段(226)が、支持構造(197)に面している前記多角形の座板(209)の面に当接し、前記多角形の座板(209)の上縁をまたいで前記上縁からぶら下がっており、前記金属板片(227)は、前記多角形の座板(209)を固定するロックナット(222)を自由に突き出させる窓(228)を中央に有するとともに、直角なタブ(229)へと折り曲げられた下端を有しており、前記直角なタブ(229)が、一方では前記構造(197)へと固定に取り付けられた支持用の角張った異形材(225)の水平部分の上面に据えられ、他方では前記支持用の角張った異形材(225)の溝と支持構造(197)に固定に取り付けられた前記異形材(225)の垂直部分との間にぴったりとはまり込んだ前記異形材(225)の補強用の異形材(232)へと、前記異形材(225)の前記水平部分を介して固定に取り付けられることを特徴とする請求項22に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項25】
前記金属板片(227)の窓(228)が、前記多角形の座板(223)の位置固定用の前記ロックナット(222)を突き出させることができ、かつ前記ロックナット(222)を前記多角形の座板(223)の位置を固定すべく操作するときに前記ロックナット(222)を回転させることができるような寸法を有していることを特徴とする請求項24に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。
【請求項26】
前記補強用の異形材(232)が、四角形の直角な管状の構成を有するとともに、前記支持用の角張った異形材(225)の長さの全体または規則的な間隔で位置する独立した複数の部分によって形成されるグループの不定の長さを占めることができる長さを有していることを特徴とする請求項24に記載の2軸のプレストレス補強を有するセメント・モルタル・パネルのための機能システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2012−522153(P2012−522153A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502718(P2012−502718)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【国際出願番号】PCT/ES2010/000124
【国際公開番号】WO2010/112634
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(310009030)
【Fターム(参考)】