説明

2部材連結装置

【課題】 2つの部材を連結ピンを用いて連結するときの作業を円滑に行う。
【解決手段】 継ぎブーム5Bのうち左,右の第1ブラケット12,13を挟んで左,右の第2ブラケット14,15と対面する位置に、左,右の上芯出し部材33と下芯出し部材34とを設ける。そして、左,右の上連結ピン16,17に上芯出し部材33の係合溝部33Cを係合させることにより、左,右の上連結ピン16,17を上第2ピン挿通孔14A,15Aに対して芯出しすることができ、これら上第2ピン挿通孔14A,15Aに円滑に挿通することができる。また、左,右の下連結ピン18,19に下芯出し部材34の当接溝部34Cを当接させることにより、左,右の下連結ピン18,19を下第2ピン挿通孔14B,15Bに対して芯出しすることができ、これら下第2ピン挿通孔14B,15Bに円滑に挿通することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベルに用いられる複数個のブーム等の2部材を相互に連結するのに好適に用いられる2部材連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高層建築物等の地上高さが大きな構造物を解体する場合には、解体作業用の作業装置を備えた油圧ショベルが好適に用いられる。この解体作業用の作業装置は、通常、マルチブームと呼ばれる複数のブームを有し、各ブームのうち最上段のブームの先端側にアームが取付けられ、アームの先端側には圧砕機、グラップル等の作業具が取付けられるものである。
【0003】
そして、解体作業用のマルチブームのうち隣合う2個のブームは、一方のブームに設けられたピン挿通孔と、他方のブームに設けられたピン挿通孔とに連結ピンを挿通することにより互いに連結される構成となっている。
【0004】
この場合、従来技術によるマルチブームとして、隣合う2個のブームのうち一方のブームに、連結ピンとは異なる位置に位置決めピンを固定して設け、2個のブームのうち他方のブームには、一方のブームに固定された位置決めピンに係合するフック部材を設ける構成としたものが提案されている。
【0005】
この従来技術によるマルチブームでは、一方のブームと他方のブームとを連結ピンを用いて連結するときに、他方のブームに設けたフック部材を一方のブームの位置決めピンに係合させて一方のブームを持上げることにより、一方のブームを位置決めピンを中心として回動させる。これにより、一方のブームのピン挿通孔と他方のブームのピン挿通孔とを位置合せすることができ、これら各ブームのピン挿通孔に連結ピンを挿通することにより、隣合う2個のブームを連結する構成となっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平4−134566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した従来技術では、一方のブームに固定された位置決めピンが、ピン挿通孔とは異なる位置に配置されているので、他方のブームに設けたフック部材を位置決めピンに係合させて持上げることにより、一方のブームを位置決めピンを中心として回動させたときに、一方のブームのピン挿通孔と他方のブームのピン挿通孔とを正確に位置合せするのが難しいという問題がある。
【0008】
このため、一方のブームに設けたピン挿通孔と他方のブームに設けたピン挿通孔とに連結ピンを挿通する作業に多大な時間が必要となり、隣合う2個のブーム間を連結するときの作業性が低下してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、2つの部材を連結ピンを用いて連結するときに、2つの部材にそれぞれ設けられたピン挿通孔に対して円滑に連結ピンを挿通することができるようにした2部材連結装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため本発明は、第1部材に左,右方向で対面して設けられた左,右の第1ブラケットと、前記左,右の第1ブラケットにそれぞれ上,下に離間して設けられた上,下の第1ピン挿通孔と、前記第1部材に連結される第2部材に設けられ前記第1ブラケットと対面する左,右の第2ブラケットと、前記左,右の第2ブラケットにそれぞれ上,下に離間して設けられ前記上,下の第1ピン挿通孔と同一の孔軸線として重ねることができる上,下の第2ピン挿通孔と、前記上,下の第1ピン挿通孔と前記上,下の第2ピン挿通孔とにそれぞれ挿通される上,下の連結ピンと、前記左,右の第1ブラケット間に配置され前記上,下の連結ピンを前記上,下の第1ピン挿通孔に挿通した状態で前記上,下の第2ピン挿通孔に対して抜差しする上,下の連結ピン抜差し機構とを備えてなる2部材連結装置に適用される。
【0011】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記第2部材のうち前記第1ブラケットを挟んで前記第2ブラケットと対面する位置には、前記上連結ピンを前記上第1ピン挿通孔と上第2ピン挿通孔とに挿通するときに前記上連結ピンの軸線を前記上第2ピン挿通孔の孔軸線に一致させる上芯出し部材と、前記下連結ピンを前記下第1ピン挿通孔と下第2ピン挿通孔とに挿通するときに前記下連結ピンの軸線を前記下第2ピン挿通孔の孔軸線に一致させる下芯出し部材とを設けたことにある。
【0012】
請求項2の発明は、前記上芯出し部材は、前記第2部材の上角隅部から前記第2ブラケットと平行して延び、前記上第2ピン挿通孔を取囲んで円弧状に湾曲し前記上連結ピンに係合する係合溝部を有する板体によって形成し、前記下芯出し部材は、前記第2部材の下角隅部から前記第2ブラケットと平行して延び、前記下第2ピン挿通孔に沿って円弧状に湾曲し前記下連結ピンに当接する当接溝部を有する板体によって形成したことにある。
【0013】
請求項3の発明は、前記上,下の連結ピンは、前記上,下の第1ピン挿通孔と前記上,下の第2ピン挿通孔とに挿通される大径部と、該大径部よりも小さい外径寸法を有し前記大径部を前記上,下の第1ピン挿通孔と前記上,下の第2ピン挿通孔とに挿通した状態で前記上,下の芯出し部材との間に隙間を形成する小径部とにより構成したことにある。
【0014】
請求項4の発明は、前記上,下の連結ピン抜差し機構は、前記上,下の連結ピンから上,下方向に離間した位置に配置されたシリンダと、前記左第1ブラケットの上,下の第1ピン挿通孔に挿通された前記上,下の連結ピンと前記シリンダとにそれぞれ回動可能に連結された左レバーと、前記右第1ブラケットの上,下の第1ピン挿通孔に挿通された前記上,下の連結ピンと前記シリンダとにそれぞれ回動可能に連結された右レバーと、前記左,右の第1ブラケットに対して浮動状態で前記左,右のレバー間を連結し、前記シリンダの伸縮に応じて前記上,下の連結ピンを左,右方向に移動させる支点となるリンクとにより構成したことにある。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、第1ブラケットの上第1ピン挿通孔と第2ブラケットの上第2ピン挿通孔とに上連結ピンを挿通するときには、上芯出し部材によって、上連結ピンの軸線を上第2ピン挿通孔の孔軸線に一致させることができる。また、第1ブラケットの下第1ピン挿通孔と第2ブラケットの下第2ピン挿通孔とに下連結ピンを挿通するときには、下芯出し部材によって、下連結ピンの軸線を下第2ピン挿通孔の孔軸線に一致させることができる。この結果、上連結ピンを上第1ピン挿通孔と上第2ピン挿通孔とに円滑に挿通することができ、下連結ピンを下第1ピン挿通孔と下第2ピン挿通孔とに円滑に挿通することができるので、これら上,下の連結ピンを用いて第1ブラケットと第2ブラケットとを連結するときの作業性を高めることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、第1ブラケットの上第1ピン挿通孔に挿通された上連結ピンに、第2部材に設けた上芯出し部材の係合溝部を係合させることにより、第2部材は上連結ピンを中心として回動し、下芯出し部材の当接溝部が、第1ブラケットの下第1ピン挿通孔に挿通された下連結ピンに当接する。このようにして、上芯出し部材の係合溝部を上連結ピンに係合させると共に、下芯出し部材の当接溝部を下連結ピンに当接させることにより、上連結ピンの軸線と上第2ピン挿通孔の孔軸線とを一致させると共に、下芯出し部材によって下連結ピンの軸線と下第2ピン挿通孔の孔軸線とを一致させることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、第1ブラケットの上第1ピン挿通孔と第2ブラケットの上第2ピン挿通孔とに上連結ピンの大径部を挿通した状態で、上連結ピンの小径部と上芯出し部材との間には隙間が形成される。これにより、上連結ピンを介して第1,第2ブラケット間に伝わる荷重が上芯出し部材に伝わるのを抑えることができ、これと同様に、下連結ピンを介して第1,第2ブラケット間に伝わる荷重が下芯出し部材に伝わるのを抑えることができる。この結果、上芯出し部材と下芯出し部材を薄肉な板材等を用いて形成することができ、その軽量化を図ることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、上連結ピン抜差し機構のシリンダを伸縮させると、左,右のレバーがリンクを支点として左,右方向に移動し、これら左,右のレバーに連結された上連結ピンが左,右方向に移動することにより、左,右の第2ブラケットに設けられた上第2ピン挿通孔に対して、上連結ピンを円滑に抜差しすることができる。また、下連結ピン抜差し機構のシリンダを伸縮させると、左,右のレバーがリンクを支点として左,右方向に移動し、これら左,右のレバーに連結された下連結ピンが左,右方向に移動することにより、左,右の第2ブラケットに設けられた下第2ピン挿通孔に対して、下連結ピンを円滑に抜差しすることができる。このように、第1,第2ブラケットに対する上,下の連結ピンの抜差し作業をシリンダを用いて容易に行うことができるので、第1ブラケットと第2ブラケットとを連結、離脱するときの作業性を高めることができる。また、第1,第2ブラケットに対する上,下の連結ピンの抜差し作業を手作業で行う必要がなく、この抜差し作業を迅速かつ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態による2部材連結装置が適用されるマルチブーム式の油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】下ブームに継ぎブームを連結する状態を示す正面図である。
【図3】下ブーム、左,右の第1ブラケット、上連結ピン抜差し機構等を示す斜視図である。
【図4】上連結ピン、上連結ピン抜差し機構等を拡大して示す一部破断の斜視図である。
【図5】左,右の第1ブラケット、連結ピン、連結ピン抜差し機構等を、連結ピンが離脱位置にある状態で図2中の矢示V−V方向からみた断面図である。
【図6】連結ピンが連結位置に移動した状態を示す図5と同様な断面図である。
【図7】連結ピン、連結ピン抜差し機構等を図5中の矢示VII−VII方向からみた断面図である。
【図8】継ぎブーム、左,右の第2ブラケット、上芯出し部材、下芯出し部材等を示す斜視図である。
【図9】左,右の第2ブラケット、上芯出し部材、下芯出し部材を図2中の矢示IX−IX方向からみた断面図である。
【図10】第2ブラケット、上芯出し部材、下芯出し部材等を図9中の矢示X−X方向からみた断面図である。
【図11】上連結ピンを第1,第2ブラケットに挿通した状態を図7と同様位置からみた断面図である。
【図12】上連結ピンを第1,第2ブラケットに挿通した状態を図11中の矢示XII−XII方向からみた断面図である。
【図13】上連結ピンと下連結ピンを第1,第2ブラケットに挿通した状態を示す図11と同様な断面図である。
【図14】上連結ピンと下連結ピンを第1,第2ブラケットに挿通した状態を図13中の矢示XIV−XIV方向からみた断面図である。
【図15】連結ピン抜差し機構の変形例を示す図14と同様な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る2部材連結装置の実施の形態を、油圧ショベルのマルチブームを構成する2段のブーム間を連結する場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
図中、1は油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられたマルチブーム式の作業装置4とにより大略構成され、例えば高層建築物等の地上高さが大きな構造物を解体するのに好適に用いられるものである。
【0022】
ここで、作業装置4は、上部旋回体3の前部側に回動可能に取付けられた下ブーム5A、継ぎブーム5B、上ブーム5Cからなるブーム5と、上ブーム5Cの先端側に回動可能に取付けられたミドルアーム6と、ミドルアーム6の先端側に回動可能に取付けられた下アーム7A、上アーム7Bからなるアーム7と、上アーム7Bの先端側に回動可能に取付けられた作業具としての圧砕機8とにより大略構成されている。
【0023】
そして、ブーム5の下ブーム5Aに継ぎブーム5Bを取付ける場合には、例えば図2に示すように、油圧クレーン9等を用いて継ぎブーム5Bを吊上げ、継ぎブーム5Bを下ブーム5Aの先端側に配置した状態で、後述の2部材連結装置11を用いて下ブーム5Aと継ぎブーム5Bとを連結する構成となっている。
【0024】
次に、11は本実施の形態による2部材連結装置を示している。この2部材連結装置11は、第1部材としての下ブーム5Aと、第2部材としての継ぎブーム5Bとの間を連結するものである。そして、2部材連結装置11は、後述する左,右の第1ブラケット12,13、左,右の上第1ピン挿通孔12C,13C、左,右の下第1ピン挿通孔12D,13D、左,右の第2ブラケット14,15、左,右の上第2ピン挿通孔14A,15A、左,右の下第2ピン挿通孔14B,15B、左,右の上連結ピン16,17、左,右の下連結ピン18,19、上,下の連結ピン抜差し機構20,31、上芯出し部材33、下芯出し部材34等により構成されている。
【0025】
12は第1部材となる下ブーム5Aの先端部左側に設けられた左第1ブラケットで、この左第1ブラケット12は、図3ないし図6に示すように、一定の間隔をもって左,右方向で対面する左内側第1ブラケット12Aと、左外側第1ブラケット12Bとにより構成されている。ここで、左内側第1ブラケット12Aと左外側第1ブラケット12Bとは、それぞれ厚肉な鋼板等を用いて形成されている。
【0026】
そして、左内側第1ブラケット12Aと左外側第1ブラケット12Bとは、角筒状をなす下ブーム5Aの先端部に溶接等の手段を用いて固着され、下ブーム5Aの上角隅部5A1から下角隅部5A2に亘って上,下方向に延びている(図3参照)。また、左内側第1ブラケット12Aと左外側第1ブラケット12Bとの間には、後述の左第2ブラケット14が配置される構成となっている。
【0027】
ここで、左内側第1ブラケット12Aと左外側第1ブラケット12Bの上端側には、左上第1ピン挿通孔12C,12Cがそれぞれ穿設され、左内側第1ブラケット12Aと左外側第1ブラケット12Bの下端側には、左下第1ピン挿通孔12D,12Dがそれぞれ穿設されている。そして、左上第1ピン挿通孔12Cには、後述の左上連結ピン16が抜差し可能に挿通され、左下第1ピン挿通孔12Dには、後述の左下連結ピン18が抜差し可能に挿通される構成となっている。
【0028】
13は下ブーム5Aの先端部右側に設けられた右第1ブラケットで、この右第1ブラケット13は、一定の間隔をもって左,右方向で対面する右内側第1ブラケット13Aと、右外側第1ブラケット13Bとにより構成されている。ここで、右内側第1ブラケット13Aと右外側第1ブラケット13Bとは、それぞれ厚肉な鋼板等を用いて形成され、下ブーム5Aの先端部に溶接等の手段を用いて固着された状態で、下ブーム5Aの上角隅部5A1から下角隅部5A2に亘って上,下方向に延びている。そして、右内側第1ブラケット13Aと右外側第1ブラケット13Bとの間には、後述の右第2ブラケット15が配置される構成となっている。
【0029】
ここで、右内側第1ブラケット13Aと右外側第1ブラケット13Bの上端側には、右上第1ピン挿通孔13C,13Cがそれぞれ穿設され、右内側第1ブラケット13Aと右外側第1ブラケット13Bの下端側には、右下第1ピン挿通孔13D,13Dがそれぞれ穿設されている。そして、右上第1ピン挿通孔13Cには、後述の右上連結ピン17が抜差し可能に挿通され、右下第1ピン挿通孔13Dには、後述の右下連結ピン19が抜差し可能に挿通される構成となっている。
【0030】
この場合、図5に示すように、左第1ブラケット12の左内側第1ブラケット12Aと左外側第1ブラケット12Bとに穿設された左上第1ピン挿通孔12Cと、右第1ブラケット13の右内側第1ブラケット13Aと右外側第1ブラケット13Bとに穿設された右上第1ピン挿通孔13Cとは、同一の孔軸線O1−O1上に配置されている。また、左第1ブラケット12の左内側第1ブラケット12Aと左外側第1ブラケット12Bとに穿設された左下第1ピン挿通孔12Dと、右第1ブラケット13の右内側第1ブラケット13Aと右外側第1ブラケット13Bとに穿設された右下第1ピン挿通孔13Dとは、同一の孔軸線O2−O2上に配置されている。
【0031】
14は第2部材となる継ぎブーム5Bの基端部左側に設けられた左第2ブラケットで、この左第2ブラケット14は、厚肉な鋼板等を用いて形成されている。そして、左第1ブラケット14は、角筒状をなす継ぎブーム5Bの基端部に溶接等の手段を用いて固着され、継ぎブーム5Bの上角隅部5B1から下角隅部5B2に亘って上,下方向に延びている。
【0032】
そして、左第2ブラケット14は、左第1ブラケット12の左内側第1ブラケット12Aと左外側第1ブラケット12Bとの間に配置され、これら左内側第1ブラケット12A、左外側第1ブラケット12Bと左,右方向で対面するものである。また、左第2ブラケット14の上端側には、左第1ブラケット12の左上第1ピン挿通孔12Cと対応する位置に左上第2ピン挿通孔14Aが穿設され、左第2ブラケット14の下端側には、左第1ブラケット12の左下第1ピン挿通孔12Dと対応する位置に左下第2ピン挿通孔14Bが穿設されている。
【0033】
15は継ぎブーム5Bの基端部右側に設けられた右第2ブラケットで、この右第2ブラケット15は、厚肉な鋼板等を用いて形成され、継ぎブーム5Bの基端部に溶接等の手段を用いて固着された状態で、継ぎブーム5Bの上角隅部5B1から下角隅部5B2に亘って上,下方向に延びている。
【0034】
そして、右第2ブラケット15は、右第1ブラケット13の右内側第1ブラケット13Aと右外側第1ブラケット13Bとの間に配置され、これら右内側第1ブラケット13A、右外側第1ブラケット13Bと左,右方向で対面するものである。また、右第2ブラケット15の上端側には、右第1ブラケット13の右上第1ピン挿通孔13Cに対応する位置に右上第2ピン挿通孔15Aが穿設され、右第2ブラケット15の下端側には、右第1ブラケット13の右下第1ピン挿通孔13Dに対応する位置に右下第2ピン挿通孔15Bが穿設されている。
【0035】
ここで、図14に示すように、左第2ブラケット14の左上第2ピン挿通孔14Aと、右第2ブラケット15の右上第2ピン挿通孔15Aとは、左第1ブラケット12の左上第1ピン挿通孔12C、右第1ブラケット13の右上第1ピン挿通孔13Cと同一の孔軸線O1−O1として重ねることができるようになっている。また、左第2ブラケット14の左下第2ピン挿通孔14Bと、右第2ブラケット15の右下第2ピン挿通孔15Bとは、左第1ブラケット12の左下第1ピン挿通孔12D、右第1ブラケット13の右下第1ピン挿通孔13Dと同一の孔軸線O2−O2として重ねることができるようになっている。さらに、左,右の第2ブラケット14,15間には、後述する左,右の上芯出し部材33と、左,右の下芯出し部材34とが設けられる構成となっている。
【0036】
16は左第1ブラケット12の左上第1ピン挿通孔12Cと、左第2ブラケット14の左上第2ピン挿通孔14Aとに挿通される左上連結ピンで、該左上連結ピン16は、図5に示す離脱位置と図6に示す連結位置との間で移動することにより、左上第2ピン挿通孔14Aに対して抜差しされるものである。ここで、左上連結ピン16は、図6に示すように、左上第1ピン挿通孔12Cと左上第2ピン挿通孔14Aとに摺動可能に挿通される大径部16Aと、該大径部16Aの外径寸法D1よりも小さい外径寸法D2(D1>D2)を有する小径部16Bとにより、左,右方向に延びる段付き円柱状に形成されている。そして、小径部16Bには、径方向に貫通する切欠き部16Cが形成され、該切欠き部16C内には後述する左レバー22の上端部が挿入される構成となっている。
【0037】
17は右第1ブラケット13の右上第1ピン挿通孔13Cと、右第2ブラケット15の右上第2ピン挿通孔15Aとに挿通される右上連結ピンで、該右上連結ピン17は、右上第2ピン挿通孔15Aに対して抜差しされるものである。ここで、右上連結ピン17も、左上連結ピン16と同様に、右上第1ピン挿通孔13Cと右上第2ピン挿通孔15Aとに摺動可能に挿通される大径部17Aと、該大径部17Aよりも小径となった小径部17Bと、切欠き部17Cとにより構成され、切欠き部17C内には後述する右レバー25の上端部が挿入される構成となっている。
【0038】
18は左第1ブラケット12の左下第1ピン挿通孔12Dと、左第2ブラケット14の左下第2ピン挿通孔14Bとに挿通される左下連結ピンで、該左下連結ピン18は、図5に示す離脱位置と図6に示す連結位置との間で移動することにより、左下第2ピン挿通孔14Bに対して抜差しされるものである。ここで、左下連結ピン18は、図6に示すように、左下第1ピン挿通孔12Dと左下第2ピン挿通孔14Bとに摺動可能に挿通される大径部18Aと、該大径部18Aの外径寸法D1よりも小さい外径寸法D2(D1>D2)を有する小径部18Bとにより、左,右方向に延びる段付き円柱状に形成されている。そして、小径部18Bには、径方向に貫通する切欠き部18Cが形成され、該切欠き部18C内には後述する左レバー22の下端部が挿入される構成となっている。
【0039】
19は右第1ブラケット13の右下第1ピン挿通孔13Dと、右第2ブラケット15の右下第2ピン挿通孔15Bとに挿通される右下連結ピンで、該右下連結ピン19は、右下第2ピン挿通孔15Bに対して抜差しされるものである。ここで、右下連結ピン19も、左下連結ピン18と同様に、右下第1ピン挿通孔13Dと右下第2ピン挿通孔15Bとに摺動可能に挿通される大径部19Aと、該大径部19Aよりも小径となった小径部19Bと、切欠き部19Cとにより構成され、切欠き部19C内には後述する右レバー25の下端部が挿入される構成となっている。
【0040】
次に、20は左第1ブラケット12と右第1ブラケット13との間に配置された上連結ピン抜差し機構を示している。この上連結ピン抜差し機構20は、左上連結ピン16を、左第2ブラケット14の左上第2ピン挿通孔14Aに対して抜差しすると共に、右上連結ピン17を、右第2ブラケット15の右上第2ピン挿通孔15Aに対して抜差しするものである。そして、図4ないし図7に示すように、上連結ピン抜差し機構20は、後述のシリンダ21、左レバー22、右レバー25、リンク26等により構成されている。
【0041】
21は上連結ピン抜差し機構20を構成するシリンダで、このシリンダ21は、例えば油圧シリンダにより構成され、チューブ21Aと、ピストン(図示せず)と、基端側がピストンに固定され先端側がチューブ21Aから突出したロッド21Bとにより構成されている。そして、シリンダ21は、左,右の上連結ピン16,17から上,下方向(左,右の第1ブラケット12,13の長さ方向)に離間した位置に左,右方向に延びて配置され、油圧源(図示せず)から圧油が給排されることにより、ロッド21Bを左,右方向に伸縮させるものである。
【0042】
22は左上連結ピン16とシリンダ21とにそれぞれ回動可能に連結された左レバーで、該左レバー22は、全体として上,下方向に延びるブロック体からなり、左レバー22の上,下方向の中間部から下端部は、一定の間隔をもって二股状に切欠かれた切欠き部22Aとなっている。そして、左レバー22の上端部は、左上連結ピン16の切欠き部16C内に挿入された状態で該左上連結ピン16にピン23を用いて回動可能にピン結合されている。また、左レバー22の切欠き部22Aの下端部には、シリンダ21のロッド21Bの先端側がピン24を用いて回動可能にピン結合されている。また、左レバー22の上端側には、左第1ブラケット12に向けて突出するストッパ22Bが設けられ、該ストッパ22Bは、左上連結ピン16が図6に示す連結位置に移動したときに左内側第1ブラケット12Aに当接することにより、左上連結ピン16の連結位置を設定するものである。
【0043】
25は右上連結ピン17とシリンダ21とにそれぞれ回動可能に連結された右レバーで、該右レバー25は、全体として上,下方向に延びるブロック体からなり、右レバー25の上,下方向の中間部から下端部は、一定の間隔をもって二股状に切欠かれた切欠き部25Aとなっている。そして、右レバー25の上端部は、右上連結ピン17の切欠き部17C内に挿入された状態で該右上連結ピン17にピン23を用いて回動可能にピン結合されている。また、右レバー25の切欠き部25Aの下端部には、シリンダ21のチューブ21Aのボトム側がピン24を用いて回動可能にピン結合されている。また、右レバー25の上端側には、右第1ブラケット13に向けて突出するストッパ25Bが設けられ、該ストッパ25Bは、右上連結ピン17が図6に示す連結位置に移動したときに右内側第1ブラケット13Aに当接することにより、右上連結ピン17の連結位置を設定するものである。
【0044】
26は左レバー22と右レバー25との間を連結するリンクで、該リンク26は、左,右の第1ブラケット12,13のいずれにも取付けられておらず、これら左,右の第1ブラケット12,13に対して浮動状態となっている。そして、リンク26は、左,右のレバー22,25の上端部に連結された左,右の上連結ピン16,17を、シリンダ21の伸縮に応じて左,右方向に移動させるための支点を構成するものである。
【0045】
ここで、リンク26は、左,右方向に延びる角柱状に形成され、リンク26の左,右の方向の長さ寸法は、左内側第1ブラケット12Aと右内側第1ブラケット13Aとの間隔よりも僅かに小さく設定されている。また、リンク26の左,右方向の両端部には、コ字型の凹溝部26Aが形成され、該凹溝部26Aは、後述の廻止め板29に摺動可能に係合するものである。そして、リンク26は、左,右のレバー22,25の切欠き部22A,25A内に挿通された状態で、左,右の上連結ピン16,17とシリンダ19との間に配置され、リンク26の一端側はピン27を用いて左レバー22に回動可能にピン結合され、リンク26の他端側はピン28を用いて右レバー25に回動可能にピン結合されている。
【0046】
従って、シリンダ21を縮小させたときには、左上連結ピン16が、左第1ブラケット12の左上第1ピン挿通孔12Cと左第2ブラケット14の左上第2ピン挿通孔14Aとに挿通されると共に、右上連結ピン17が、右第1ブラケット13の右上第1ピン挿通孔13Cと右第2ブラケット15の右上第2ピン挿通孔15Aとに挿通される構成となっている(図14参照)。一方、シリンダ21を伸長させたときには、左上連結ピン16が、左外側第1ブラケット12Bの左上第1ピン挿通孔12Cと左第2ブラケット14の左上第2ピン挿通孔14Aから抜取られると共に、右上連結ピン17が、右外側第1ブラケット13Bの右上第1ピン挿通孔13Cと右第2ブラケット15の右第2ピン挿通孔15Aから抜取られる構成となっている。
【0047】
29は左,右の第1ブラケット部材12,13にそれぞれ設けられた左,右の廻止め板で、これら各廻止め板29は、上,下方向に延びる長方形の板体からなり、左内側第1ブラケット12Aの内側面と、右内側第1ブラケット13Aの内側面とに、それぞれ溶接等の手段を用いて固着されている。そして、リンク26の両端部に設けられた凹溝部26Aは、左,右の廻止め板29にそれぞれ摺動可能に係合している。
【0048】
従って、シリンダ21の伸縮によって左,右の上連結ピン16,17が連結位置と離脱位置との間で移動するときに、リンク26の両端部に形成された凹溝部26Aが廻止め板29に係合することにより、上連結ピン抜差し機構20が、上連結ピン16,17を中心として回動するのを防止することができる構成となっている。
【0049】
30は左,右の第1ブラケット12,13間に位置して下ブーム5Aに設けられた平板状の上ストッパで、該上ストッパ30は、基端側が下ブーム5Aの上端部に溶接等の手段を用いて固着され、先端側が左,右の上連結ピン16,17と対面する位置まで伸長している。そして、上ストッパ30は、図5に示すように、左,右の上連結ピン16,17の小径部16B,17Bが当接することにより、これら左,右の上連結ピン16,17の離脱位置を設定するものである。
【0050】
この場合、左,右の上連結ピン16,17の小径部16B,17Bが、それぞれ上ストッパ30に当接したときには、左上連結ピン16は、左内側第1ブラケット12Aの左上第1ピン挿通孔12Cのみに挿通され、右上連結ピン17は、右内側第1ブラケット13Aの右上第1ピン挿通孔13Cのみに挿通された状態を保つ。従って、上連結ピン抜差し機構20は、左,右の上連結ピン16,17を介して、左内側第1ブラケット12Aと右内側第1ブラケット13Aとの間に保持される構成となっている。
【0051】
次に、31は左第1ブラケット12と右第1ブラケット13との間に配置された下連結ピン抜差し機構を示している。この下連結ピン抜差し機構31は、左下連結ピン18を、左第2ブラケット14の左下第2ピン挿通孔14Bに対して抜差しすると共に、右下連結ピン19を、右第2ブラケット15の右下第2ピン挿通孔15Bに対して抜差しするものである。
【0052】
ここで、下連結ピン抜差し機構31は、上連結ピン抜差し機構20と同様に、左,右の下連結ピン18,19から上,下方向に離間した位置に配置されたシリンダ21と、左下連結ピン18にピン23を用いて回動可能に連結されると共にシリンダ21にピン24を用いて回動可能に連結された左レバー22と、右下連結ピン19にピン23を用いて回動可能に連結されると共にシリンダ21にピン24を用いて回動可能に連結された右レバー25と、ピン27を用いて左レバー22に連結されると共にピン28を用いて右レバー25に連結され、シリンダ21の伸縮に応じて左,右の下連結ピン18,19を左,右方向に移動させる支点となるリンク26とによって大略構成されている。
【0053】
32は左,右の第1ブラケット12,13間に位置して下ブーム5Aに設けられた平板状の下ストッパで、該下ストッパ32は、基端側が下ブーム5Aの下端側に溶接等の手段を用いて固着され、先端側が左,右の下連結ピン18,19と対面する位置まで伸長している。そして、下ストッパ32は、図5に示すように、左,右の下連結ピン18,19の小径部18B,19Bが当接することにより、これら左,右の下連結ピン18,19の離脱位置を設定するものである。
【0054】
この場合、左,右の下連結ピン18,19の小径部18B,19Bが、それぞれ下ストッパ32に当接したときには、左下連結ピン18は、左内側第1ブラケット12Aの左下第1ピン挿通孔12Dのみに挿通され、右下連結ピン19は、右内側第1ブラケット13Aの右下第1ピン挿通孔13Dのみに挿通された状態を保つ。従って、下連結ピン抜差し機構31は、左,右の下連結ピン18,19を介して、左内側第1ブラケット12Aと右内側第1ブラケット13Aとの間に保持される構成となっている。
【0055】
次に、33は継ぎブーム5Bに設けられた左,右の上芯出し部材を示している。この上芯出し部材33は、左,右の第1ブラケット12,13に設けられた上第1ピン挿通孔12C,13Cと、左,右の第2ブラケット14,15に設けられた上第2ピン挿通孔14A,15Aとに、左,右の上連結ピン16,17を挿通するときに、これら左,右の上連結ピン16,17の軸線を、左,右の上第1ピン挿通孔12C,13Cと左,右の上第2ピン挿通孔14A,15Aの孔軸線O1−O1とに一致させるものである。
【0056】
ここで、左側の上芯出し部材33は、左内側第1ブラケット12Aと左外側第1ブラケット12Bとの間に左第2ブラケット14を配置したときに、左内側第1ブラケット12Aを挟んで左第2ブラケット14と対面する位置に配置されている。一方、右側の上芯出し部材33は、右内側第1ブラケット13Aと右外側第1ブラケット13Bとの間に右第2ブラケット15を配置したときに、右内側第1ブラケット13Aを挟んで右第2ブラケット15と対面する位置に配置されている。
【0057】
そして、上芯出し部材33は、図8ないし図10に示すように、左,右の第2ブラケット14,15よりも薄肉な板体を用いて全体としてほぼ三角形状に形成され、継ぎブーム5Bの上角隅部5B1から左,右の第2ブラケット14,15と平行に対面しつつ、左,右の上第2ピン挿通孔14A,15Aに対応する位置まで延びている。
【0058】
ここで、上芯出し部材33は、継ぎブーム5Bの上角隅部5B1に溶接等の手段を用いて固着された取付部33Aと、この取付部33Aから山形状に突出した突出部33Bと、この突出部33Bの先端部を下向きに凹陥させて形成され左,右の上第2ピン挿通孔14A,15Aを取囲んで円弧状に湾曲した係合溝部33Cとにより大略構成されている。この場合、係合溝部33Cは、左,右の上第2ピン挿通孔14A,15Aとほぼ等しい曲率半径を有する円弧状に形成され、左,右の上連結ピン16,17に上方から係合するようになっている。また、係合溝部33Cの下側は、左,右の上第2ピン挿通孔14A,15Aの孔径よりも大きく開口したテーパ状の開口部33Dとなり、この開口部33Dに沿って左,右の上連結ピン16,17を係合溝部33Cに案内する構成となっている。
【0059】
そして、左,右の第1ブラケット12,13の上第1ピン挿通孔12C,13Cと、左,右の第2ブラケット14,15の上第2ピン挿通孔14A,15Aとに左,右の上連結ピン16,17を挿通するときには、まず、図11に示すように、左,右の内側第1ブラケット12A,13Aから突出した左,右の上連結ピン16,17の大径部16A,17Aに、左,右の上芯出し部材33の係合溝部33Cをそれぞれ上方から係合させる。この場合、係合溝部33Cは、左,右の上第2ピン挿通孔14A,15Aとほぼ等しい曲率半径を有しているので、左,右の上芯出し部材33の係合溝部33Cを、左,右の上連結ピン16,17に係合させることにより、左,右の上連結ピン16,17の軸線を、左,右の上第2ピン挿通孔14A,15Aの孔軸線O1−O1に一致させることができる(図12参照)。
【0060】
このようにして、左,右の上芯出し部材33が、左,右の上連結ピン16,17の軸線を、左,右の上第2ピン挿通孔14A,15Aの孔軸線O1−O1に一致させることにより、左,右の第1ブラケット12,13の上第1ピン挿通孔12C,13Cと、左,右の第2ブラケット14,15の上第2ピン挿通孔14A,15Aとに対し、上連結ピン抜差し機構20によって左,右の上連結ピン16,17を円滑に挿通することができる構成となっている。
【0061】
次に、34は継ぎブーム5Bに設けられた左,右の下芯出し部材を示している。この下芯出し部材34は、左,右の第1ブラケット12,13に設けられた下第1ピン挿通孔12D,13Dと、左,右の第2ブラケット14,15に設けられた下第2ピン挿通孔14B,15Bとに、左,右の下連結ピン18,19を挿通するときに、これら左,右の下連結ピン18,19の軸線を、左,右の下第1ピン挿通孔12D,13Dと左,右の下第2ピン挿通孔14B,15Bの孔軸線O2−O2に一致させるものである。
【0062】
ここで、左側の下芯出し部材34は、左内側第1ブラケット12Aと左外側第1ブラケット12Bとの間に左第2ブラケット14を配置したときに、左内側第1ブラケット12Aを挟んで左第2ブラケット14と対面する位置に配置されている。一方、右側の下芯出し部材34は、右内側第1ブラケット13Aと右外側第1ブラケット13Bとの間に右第2ブラケット15を配置したときに、右内側第1ブラケット13Aを挟んで右第2ブラケット15と対面する位置に配置されている。
【0063】
そして、下芯出し部材34は、左,右の第2ブラケット14,15よりも薄肉な板体を用いて全体としてほぼ三角形状に形成され、継ぎブーム5Bの下角隅部5B2から左,右の第2ブラケット14,15と平行に対面しつつ、左,右の下第2ピン挿通孔14B,15Bに対応する位置まで延びている。
【0064】
ここで、下芯出し部材34は、継ぎブーム5Bの下角隅部5B2に溶接等の手段を用いて固着された取付部34Aと、この取付部34Aから山形状に突出した突出部34Bと、この突出部34Bの先端部を継ぎブーム5B側に凹陥させて形成され左,右の下第2ピン挿通孔14B,15Bに沿って円弧状に湾曲した当接溝部34Cとにより大略構成されている。この場合、当接溝部34Cは、左,右の下第2ピン挿通孔14B,15Bとほぼ等しい曲率半径を有する円弧状に形成され、左,右の下連結ピン18,19に前,後方向(図11中の矢示A方向)から係合するようになっている。
【0065】
そして、左,右の第1ブラケット12,13の上第1ピン挿通孔12C,13Cと、左,右の第2ブラケット14,15の上第2ピン挿通孔14A,15Aとにそれぞれ上連結ピン16,17を挿通した後に、左,右の第1ブラケット12,13の下第1ピン挿通孔12D,13Dと、左,右の第2ブラケット14,15の下第2ピン挿通孔14B,15Bとにそれぞれ下連結ピン18,19を挿通するときには、まず、左,右の上連結ピン16,17を中心として左,右の第2ブラケット14,15を前,後方向(矢示A方向)に回動させる。
【0066】
これにより、左,右の内側第1ブラケット12A,13Aから突出した左,右の下連結ピン18,19の大径部18A,19Aに、左,右の下芯出し部材34の当接溝部34Cをそれぞれ当接させる。この場合、当接溝部34Cは、左,右の下第2ピン挿通孔14B,15Bとほぼ等しい曲率半径を有しているので、左,右の下芯出し部材34の当接溝部34Cを、左,右の下連結ピン18,19に当接させることにより、左,右の下連結ピン18,19の軸線を、左,右の下第2ピン挿通孔14B,15Bの孔軸線O2−O2に一致させることができる。
【0067】
このようにして、左,右の下芯出し部材34が、左,右の下連結ピン18,19の軸線を、左,右の下第2ピン挿通孔14B,15Bの孔軸線O2−O2に一致させることにより、左,右の第1ブラケット12,13の下第1ピン挿通孔12D,13Dと、左,右の第2ブラケット14,15の下第2ピン挿通孔14B,15Bとに対し、下連結ピン抜差し機構31によって左,右の下連結ピン18,19を円滑に挿通することができる構成となっている。
【0068】
本実施の形態による2部材連結装置11は上述の如き構成を有するもので、次に、この2部材連結装置11を用いて、油圧ショベル1のブーム5を構成する下ブーム5Aの先端側に継ぎブーム5Bを取付ける場合について説明する。
【0069】
まず、図2に示すように、油圧クレーン9を用いて継ぎブーム5Bを吊上げ、この継ぎブーム5Bの基端側を、油圧ショベル1の上部旋回体3側に取付けられた下ブーム5Aの先端側に配置する。
【0070】
このとき、上連結ピン抜差し機構20は、図5に示すように、シリンダ21を伸長させた状態で、左上連結ピン16を左内側第1ブラケット12Aの左上第1ピン挿通孔12Cに挿通し、右上連結ピン17を右内側第1ブラケット13Aの右上第1ピン挿通孔13Cに挿通することにより、離脱位置となって左内側第1ブラケット12Aと右内側第1ブラケット13Aとの間に保持され、左,右の上連結ピン16,17の大径部16A,17Aの一部は、左,右の内側第1ブラケット12A,13Aから内側に突出している。
【0071】
一方、下連結ピン抜差し機構31も、シリンダ21を伸長させた状態で、左下連結ピン18を左内側第1ブラケット12Aの左下第1ピン挿通孔12Dに挿通し、右下連結ピン19を右内側第1ブラケット13Aの右下第1ピン挿通孔13Dに挿通することにより、離脱位置となって左内側第1ブラケット12Aと右内側第1ブラケット13Aとの間に保持され、左,右の下連結ピン18,19の大径部18A,19Aの一部は、左,右の内側第1ブラケット12A,13Aから内側に突出している。
【0072】
そして、油圧クレーン9によって吊上げた継ぎブーム5Bを下ブーム5Aに向けて下方に移動させ、図11に示すように、左,右の上芯出し部材33の係合溝部33Cを、左,右の内側第1ブラケット12A,13Aから突出した左,右の上連結ピン16,17の大径部16A,17Aに上方から係合させる。これにより、左,右の上連結ピン16,17の軸線を、左,右の上第2ピン挿通孔14A,15Aの孔軸線O1−O1に一致させることができる。
【0073】
この状態で、上連結ピン抜差し機構20のシリンダ21を縮小させることにより、図12に示すように、左,右の上連結ピン16,17を、左,右の第1ブラケット12,13の上第1ピン挿通孔12C,13Cと、左,右の第2ブラケット14,15の上第2ピン挿通孔14A,15Aとに円滑に挿通することができる。
【0074】
次に、継ぎブーム5Bをさらに下方に移動させることにより、左,右の上連結ピン16,17を中心として左,右の第2ブラケット14,15を前,後方向(矢示A方向)に回動させる。これにより、図13に示すように、左,右の内側第1ブラケット12A,13Aから突出した左,右の下連結ピン18,19の大径部18A,19Aに、左,右の下芯出し部材34の当接溝部34Cを当接させ、左,右の下連結ピン18,19の軸線を、左,右の下第2ピン挿通孔14B,15Bの孔軸線O2−O2に一致させることができる。
【0075】
この状態で、下連結ピン抜差し機構31のシリンダ21を縮小させることにより、図14に示すように、左,右の下連結ピン18,19を、左,右の第1ブラケット12,13の下第1ピン挿通孔12D,13Dと、左,右の第2ブラケット14,15の下第2ピン挿通孔14B,15Bとに円滑に挿通することができる。
【0076】
このようにして、下ブーム5Aに設けた左,右の第1ブラケット12,13と、継ぎブーム5Bに設けた左,右の第2ブラケット14,15とを、左,右の上連結ピン16,17、左,右の下連結ピン18,19を用いて連結することにより、下ブーム5Aの先端側に継ぎブーム5Bを取付けることができる。
【0077】
ここで、図13および図14に示すように、左,右の上連結ピン16,17の大径部16A,17Aを、左,右の第1ブラケット12,13の上第1ピン挿通孔12C,13Cと左,右の第2ブラケット14,15の上第2ピン挿通孔14A,15Aとに挿通した状態で、左,右の上芯出し部材33の係合溝部33Cは、上連結ピン16,17の小径部16B,17Bと対面する。これにより、左,右の上芯出し部材33の係合溝部33Cと上連結ピン16,17との間には、大径部16Aの外径寸法D1と小径部16Bの外径寸法D2との差に応じた隙間が形成される。
【0078】
これと同様に、左,右の下連結ピン18,19の大径部18A,19Aを、左,右の第1ブラケット12,13の下第1ピン挿通孔12D,13Dと左,右の第2ブラケット14,15の下第2ピン挿通孔14B,15Bとに挿通した状態で、左,右の下芯出し部材34の当接溝部34Cは、下連結ピン18,19の小径部18B,19Bと対面する。これにより、左,右の下芯出し部材34の当接溝部34Cと下連結ピン18,19との間には、大径部18Aの外径寸法D1と小径部18Bの外径寸法D2との差に応じた隙間が形成される。
【0079】
このため、左,右の上連結ピン16,17を介して左,右の第1ブラケット12,13と左,右の第2ブラケット14,15間に伝わる荷重が、左,右の上芯出し部材33に伝わるのを抑えることができる。また、左,右の下連結ピン18,19を介して左,右の第1ブラケット12,13と左,右の第2ブラケット14,15間に伝わる荷重が、左,右の下芯出し部材34に伝わるのを抑えることができる。この結果、左,右の上芯出し部材33と下芯出し部材34とを薄肉な板材等を用いて形成することができ、その軽量化を図ることができる。
【0080】
かくして、本実施の形態によれば、継ぎブーム5Bのうち左,右の第1ブラケット12,13を挟んで左,右の第2ブラケット14,15と対面する位置に、左,右の上芯出し部材33と下芯出し部材34とを設ける構成としている。このため、左,右の上連結ピン16,17に上芯出し部材33の係合溝部33Cを係合させることにより、左,右の上連結ピン16,17の軸線を、左,右の第2ブラケット14,15に設けた上第2ピン挿通孔14A,15Aの孔軸線O1−O1に一致させることができる。また、左,右の下連結ピン18,19に下芯出し部材34の当接溝部34Cを当接させることにより、左,右の下連結ピン18,19の軸線を、左,右の第2ブラケット14,15に設けた下第2ピン挿通孔14B,15Bの孔軸線O2−O2に一致させることができる。
【0081】
この結果、左,右の上連結ピン16,17を左,右の上第1ピン挿通孔12C,13Cと左,右の上第2ピン挿通孔14A,15Aとに円滑に挿通することができ、左,右の下連結ピン18,19を左,右の下第1ピン挿通孔12D,13Dと左,右の下第2ピン挿通孔14B,15Bとに円滑に挿通することができる。従って、左,右の上連結ピン16,17、左,右の下連結ピン18,19を用いて左,右の第1ブラケット12,13と左,右の第2ブラケット14,15とを迅速に連結し、下ブーム5Aに継ぎブーム5Bを連結するときの作業性を高めることができる。
【0082】
なお、上述した実施の形態では、上,下の連結ピン抜差し機構20,31を、左,右方向に延びて配置されたシリンダ21と、左,右のレバー22,25と、リンク26とにより構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図15に示す第1の変形例のような連結ピン抜差し機構41を用いてもよい。
【0083】
即ち、連結ピン抜差し機構41を、上,下方向に延びて配置されたシリンダ42と、該シリンダ42の一端側にピン結合された第1リンク43と、左上連結ピン16と第1リンク43との間を連結する左第2リンク44と、右上連結ピン17と第1リンク43との間を連結する右第2リンク45と、シリンダ42の他端側と左第2リンク44との間を連結する左第3リンク46と、シリンダ42の他端側と右第2リンク45との間を連結する右第3リンク47とにより構成してもよい。
【0084】
また、左,右の上連結ピン16,17と同軸上に左,右2本のロッドを有するシリンダを配置し、左側のロッドを左上連結ピン16に連結すると共に右側のロッドを右上連結ピン17に連結する構成としてもよい。
【0085】
また、上述した実施の形態では、左第1ブラケット12を左内側第1ブラケット12Aと左外側第1ブラケット12Bとの2枚の板体により構成し、右第1ブラケット13を右内側第1ブラケット13Aと右外側第1ブラケット13Bとの2枚の板体により構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば左内側第1ブラケット12Aのみによって左第1ブラケットを構成し、右内側第1ブラケット13Aのみによって右第1ブラケットを構成してもよい。
【0086】
また、上述した実施の形態では、2部材連結装置11を、油圧ショベル1のブーム5を構成する下ブーム5A、継ぎブーム5B、上ブーム5Cのうち、下ブーム5Aと継ぎブーム5Bとの連結部分に用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば継ぎブーム5Bと上ブーム5Cとの連結部分、アーム7を構成する下アーム7Aと上アーム7Bとの連結部分等にも用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
5A 下ブーム(第1部材)
5B 継ぎブーム(第2部材)
11 2部材連結装置
12 左第1ブラケット
12C 左上第1ピン挿通孔
12D 左下第1ピン挿通孔
13 右第1ブラケット
13C 右上第1ピン挿通孔
13D 右下第1ピン挿通孔
14 左第2ブラケット
14A 左上第2ピン挿通孔
14B 左下第2ピン挿通孔
15 右第2ブラケット
15A 右上第2ピン挿通孔
15B 右下第2ピン挿通孔
16 左上連結ピン
16A,17A,18A,19A 大径部
16B,17B,18B,19B 小径部
17 右上連結ピン
18 左下連結ピン
19 右下連結ピン
20 上連結ピン抜差し機構
21 シリンダ
22 左レバー
25 右レバー
26 リンク
31 下連結ピン抜差し機構
33 上芯出し部材
33C 係合溝部
34 下芯出し部材
34C 当接溝部
41 連結ピン抜差し機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材(5A)に左,右方向で対面して設けられた左,右の第1ブラケット(12,13)と、
前記左,右の第1ブラケット(12,13)にそれぞれ上,下に離間して設けられた上,下の第1ピン挿通孔(12C,12D,13C,13D)と、
前記第1部材(5A)に連結される第2部材(5B)に設けられ前記第1ブラケット(12,13)と対面する左,右の第2ブラケット(14,15)と、
前記左,右の第2ブラケット(14,15)にそれぞれ上,下に離間して設けられ前記上,下の第1ピン挿通孔(12C,12D,13C,13D)と同一の孔軸線として重ねることができる上,下の第2ピン挿通孔(14A,14B,15A,15B)と、
前記上,下の第1ピン挿通孔(12C,12D,13C,13D)と前記上,下の第2ピン挿通孔(14A,14B,15A,15B)とにそれぞれ挿通される上,下の連結ピン(16,17,18,19)と、
前記左,右の第1ブラケット(12,13)間に配置され前記上,下の連結ピン(16,17,18,19)を前記上,下の第1ピン挿通孔(12C,12D,13C,13D)に挿通した状態で前記上,下の第2ピン挿通孔(14A,14B,15A,15B)に対して抜差しする上,下の連結ピン抜差し機構(20,31)とを備えてなる2部材連結装置において、
前記第2部材(5B)のうち前記第1ブラケット(12,13)を挟んで前記第2ブラケット(14,15)と対面する位置には、前記上連結ピン(16,17)を前記上第1ピン挿通孔(12C,13C)と上第2ピン挿通孔(14A,15A)とに挿通するときに前記上連結ピン(16,17)の軸線を前記上第2ピン挿通孔(14A,15A)の孔軸線に一致させる上芯出し部材(33)と、
前記下連結ピン(18,19)を前記下第1ピン挿通孔(12D,13D)と下第2ピン挿通孔(14B,15B)とに挿通するときに前記下連結ピン(18,19)の軸線を前記下第2ピン挿通孔(14B,15B)の孔軸線に一致させる下芯出し部材(34)とを設ける構成としたことを特徴とする2部材連結装置。
【請求項2】
前記上芯出し部材(33)は、前記第2部材(5B)の上角隅部(5B1)から前記第2ブラケット(14,15)と平行して延び、前記上第2ピン挿通孔(14A,15A)を取囲んで円弧状に湾曲し前記上連結ピン(16,17)に係合する係合溝部(33C)を有する板体によって形成し、
前記下芯出し部材(34)は、前記第2部材(5B)の下角隅部(5B2)から前記第2ブラケット(14,15)と平行して延び、前記下第2ピン挿通孔(14B,15B)に沿って円弧状に湾曲し前記下連結ピン(18,19)に当接する当接溝部(34C)を有する板体によって形成してなる請求項1に記載の2部材連結装置。
【請求項3】
前記上,下の連結ピン(16,17,18,19)は、前記上,下の第1ピン挿通孔(12C,12D,13C,13D)と前記上,下の第2ピン挿通孔(14A,14B,15A,15B)とに挿通される大径部(16A,17A,18A,19A)と、該大径部(16A,17A,18A,19A)よりも小さい外径寸法を有し前記大径部(16A,17A,18A,19A)を前記上,下の第1ピン挿通孔(12C,12D,13C,13D)と前記上,下の第2ピン挿通孔(14A,14B,15A,15B)とに挿通した状態で前記上,下の芯出し部材(33,34)との間に隙間を形成する小径部(16B,17B,18B,19B)とにより構成してなる請求項1または2に記載の2部材連結装置。
【請求項4】
前記上,下の連結ピン抜差し機構(20,31)は、前記上,下の連結ピン(16,17,18,19)から上,下方向に離間した位置に配置されたシリンダ(21)と、前記左第1ブラケット(12)の上,下の第1ピン挿通孔(12C,12D)に挿通された前記上,下の連結ピン(16,18)と前記シリンダ(21)とにそれぞれ回動可能に連結された左レバー(22)と、前記右第1ブラケット(13)の上,下の第1ピン挿通孔(13C,13D)に挿通された前記上,下の連結ピン(17,19)と前記シリンダ(21)とにそれぞれ回動可能に連結された右レバー(25)と、前記左,右の第1ブラケット(12,13)に対して浮動状態で前記左,右のレバー(22,25)間を連結し、前記シリンダ(21)の伸縮に応じて前記上,下の連結ピン(16,17,18,19)を左,右方向に移動させる支点となるリンク(26)とにより構成してなる請求項1,2または3に記載の2部材連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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