説明

2重ネット編地とその製造方法

【課題】本発明は、従来のようなネット編地の問題点を解決し、少なくともネット目の寸法に十分な自由度を有する2重ネット編地を提供すること。
【解決手段】フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bとで形成されるダブルラッシェル編地であって、前記それぞれの編地が、前記それぞれの編地を構成する畝部Wを部分的に連結した連結部Rを形成することで得られるネット目Nを有すると共に、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bの畝部Wが部分的に前後互いに接結される接結部Sを形成していて、これにより前記両編地が一体化されてなり、しかも部分的に遊離部Xを有している2重ネット編地D。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、ダブルラッシェル機で編成されるネット編地に関し、更に詳しくは、2枚の編地を部分的に編成により一体接結してなるネット目寸法の自由度の大きい2重ネット編地、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラッシェル機やダブルラッシェル機等の経編機で編成されるネット編地は、洗濯ネットやヘヤーネットのような家庭用生活資材やタイツ等の衣料用、或いは包帯等の医療用の他、土木分野、建設分野等で多用されている。
【0003】
これらのネット編地は、その使用目的に応じて、これを編成する際の組織や糸使いにより編目の形状、大きさ、柔軟性等を自在に設定でき、特有の機能を得ることができる。
例えば、ヘヤーネットに用いられるネット編地のように伸縮自在で繊細なものや建設用安全ネットに見られるように丈夫で堅固なものがある。
【0004】
また、土木用として傾斜地に付設し土砂崩れ防止や落石防止に用いられたり、河川等の護岸用の岩石袋などにも用いられる。
これらのネット編地は編み物であることから形態的に比較的変形が容易であり、現場敷設の際に便利であることや、岩石表面にフィットし易く、護岸工事の岩石を入れる袋等には都合が良い利点がある。
【0005】
以上のようにネット編地は、多くの分野で使用され、その利用価値は高いのであるが、欠点もあり、必ずしもすべてが満足のいくものではない。
それは、ネット編地は上記のごとく、ラッシェル機やダブルラッシェル機等の経編機で編成されることから、一旦使用する糸素材や編み組織の仕様を設定して編成した後は、当然、編地自体のネット目の寸法等が固定化されてしまい、その一層の自由度を求めることには限界がある。
【0006】
これらの解決手段の一つに、例えば、ネット編地を土石のキャリヤーバックや、崩れ防止ネットとして使用するような場合、大きなネット目を有するネット編地と小さなネット目を有するネット編地を2枚重ねとする手段が採用されている。
大きなネット目のネット編地は使用する糸素材を太くて丈夫なものにして強度を得て大きな岩石を支え、小さなネット目のネット編地では細かな土石を支えることとすれば、両編地の長所が生かされることとなる。
これらの手法は漁網等にも用いられている。
【0007】
しかし、このような使用法においてもそれぞれのネット編地自体のネット目寸法は固定化されて自由度はない。
もっともネット編地についても多くの工夫がなされ、例えば強度を付与する効果的手段として特許文献に示すようなネット編地が存在するが、これもそのネット目は固定化されていて、すべての使用環境下において機能を発揮するものではない(特許文献1参照)。
この固定化されたネット目寸法が使用環境に応じて一定の範囲内で変化するものであれば、更なる機能性が発現され、今以上に、多くの分野で使用されることとなる。
このように多くの分野で使用されているネット編地は、糸素材、編み組織の仕様を設定して編成した後は、何れもそのネット目寸法が一義的に決まって固定化されてしまう。
1つのネット編地ではネット目寸法に十分な自由度を期待することは到底無理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−57670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような諸事情を背景になされたものである。
すなわち本発明の目的は、従来のようなネット編地の問題点を解決し、少なくともネット目の寸法に十分な自由度を有する2重ネット編地を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、従来のネット目を有するネット編地を2枚を部分的に一体組織として接結合することにより、少なくとも垂直面視で新たなネット目が形成される一枚物の編地を作り出すことが可能であることを見出し、この知見をもとに、本発明を完成するに至った。
【0011】

即ち、本発明は、(1)、フロント・ネット編地とバック・ネット編地とで形成されるダブルラッシェル編地であって、前記それぞれの編地が、前記それぞれの編地を構成する畝部を部分的に連結した連結部を形成することで得られるネット目を有すると共に、フロント・ネット編地とバック・ネット編地の畝部が部分的に前後互いに接結される接結部Sを形成していて、これにより前記両編地が一体化されてなり、しかも部分的に遊離部を有している2重ネット編地に存する。
【0012】
即ち、本発明は、(2)、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bのネット目Nが同一である上記(1)記載の2重ネット編地Dに存する。
【0013】
即ち、本発明は、(3)、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bが同一ネット目Nであり、しかも両編地のネット目Nが1/2リピートずれている状態で互いに部分的に接結されている上記(2)記載の2重ネット編地Dに存する。
【0014】
即ち、本発明は、(4)、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bのネット目Nが異なる上記(1)記載の2重ネット編地Dに存する。
【0015】
即ち、本発明は、(5)、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bを形成する編成糸Yの素材、並びに物性値が異なる上記(1)、(2)、(3)、(4)のいずれか1つに記載の2重ネット編地Dに存する。
【0016】
即ち、本発明は、(6)、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bを形成する編成糸Yが互いに識別可能に異色である上記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)のいずれか1つに記載の2重ネット編地Dに存する。
【0017】

即ち、本発明は、(7)、ダブルラッシェル機DRのフロント・ニードル部FNとバック・ニードル部BNで、それぞれひも状の畝部Wを多数編成すると同時に同一ニードル部内において互いに隣接する畝部W同士の所要箇所を連結して連結部Rを形成することによりネット目Nを有するフロント・ネット編地F、並びにバック・ネット編地Bを得て、同時に両該編地の畝部W同士、又は連結部同士、又は畝部と連結部同士の所要箇所に互いに前後接結した接結部Sを設けることで両編地を一体化し、前記接結部Sの接結箇所、接結数を分散定めることにより互いのズレ自由度を変えて、フロント・ネット編地Fの変化したネット目Nとバック・ネット編地Bの変化したネット目Nの重なりにより多様な合成ネット目GNを発現させる2重ネット編地Dの製造方法に存する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の2重ネット編地Dは、フロント・ネット編地F、バック・ネット編地B共に、畝部Wに連結部Rを作ることでネット目Nが形成されているので、連結部Rの箇所、個数により両編地のネット目Nが同一のもの、異なるものなど自在にネット目Nの形を形成することができる。
そして、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bは、使用素材や編目密度等を個別に設定でき編地自体の作用機能の効果的向上が図られる。
【0019】
そして、これらの2枚の編地が、部分的に適宜箇所で接結部Sにより前後接結されているので、接結部S以外の部分では互いの動きの自由度を維持しつつ、一体化されていて、本編地を加工したり、現場で敷設する際には1枚ものとして扱うことができ不便がない。
しかも、本発明の2重ネット編地Dは、ダブルラッシェル機DRにより本発明の主旨に従ったものを組織的に一体的に一挙に自在に製造出来るので極めて効率的である。
【0020】
そして、本発明の2重ネット編地Dは、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bの2枚のネット編地が、接結箇所以外は、互いに遊離していて自由度が保たれているので、この2重ネット編地Dを垂直面視した場合、フロント・ネット編地Fの畝部Wとバック・ネット編地Bの畝部Wの相互の動き関係により、フロント・ネット編地Fの畝部Wとバック・ネット編地Bの畝部Wの重なりによって、多様で自在に変化する第3のネット目とも言うべき合成ネット目GNが創成される。
すなわちフロント・ネット編地Fの畝部Wとバック・ネット編地Bの畝部Wとの前後の畝部により、各本来編地にはない新しい合成ネット目GNが形成されて新しい機能が付与されるのである。
【0021】
例えば、本2重ネット編地Dを落石防止用として使用した場合には、対象物に直面したフロント・ネット編地Fがまず、そのショックを和らげ、次にバック・ネット編地Bがこれを補佐的に受け止める作用順位が発揮され、従来の1枚ものに比較して飛躍的に強度や寿命面での安全が確保される。
【0022】
更には、フロント・ネット編地Fのネット目Nを大きく、バック・ネット編地Bのネット目Nを小さく設定すれば、大きな落石をフロント・ネット編地Fが受け止め、小さな落石は、バック・ネット編地Bが受け止めることとなり、また新しい合成ネット目GNによりフロント・ネット編地やバック・ネット編地Bのネット目にはない大きさの落石を受け止めることができる。
またフロント・ネット編地Fの素材には太くて強い素材を使用し、バック・ネット編地Bの素材には標準のものを使用することができ、製造コストの低減化が図られ、効率的である。
【0023】
そして、本2重ネット編地Dのフロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bのネット目Nの大きさを異ならせて、しかも接結部Sの設定範囲を大きくすれば、2枚の編地のズレ自由度が大きくなる。
【0024】
そして、本発明の2重ネット編地Dを河川工事に使用する岩石袋等に使用した場合には、表面変化のある岩石のような対象物の表面にフロント・ネット編地F、バック・ネット編地Bのそれぞれが2段構えで絡みつき、対象岩石等の動きを確実に押さえることが可能となり、安定した河川補強が可能となる。
【0025】
そして、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bを形成する編成糸Yを互いに識別可能に異色とすることにより、加工や敷設の際、両編地を違わず選択でき、確実な加工や施工が可能となる他、両編地のいずれかが損傷したかについても確実に視認できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1(A)】図1(A)は、フロント・ネット編地とバック・ネット編地とからなる2重ネット編地Dの実態模式図である。
【図1(B)】図1(B)は、第1の実施の形態を示す図1(A)を幾何学模様で示した模式図である。
【図1(C)】図1(C)は、第1の実施の形態における合成ネット目の模式図である。
【図1(D)】図1(D)の(a)は、第1の実施の形態における2重ネット編地のフロント・ネット編地のダブルラッシェル編地仕様の組織図である。 図1(D)の(b)は、第1の実施の形態における2重ネット編地のバック・ネット編地のダブルラッシェル編地仕様の組織図である。
【図1(E)】図1(E)は、第1の実施の形態におけるフロント・ネット編地をシングルラッシェル編地仕様で示した、挿入糸を含めた組織図である。
【図2】図2は、第2の実施の形態の1例を示すフロント・ネット編地とバック・ネット編地を幾何学模様で示した模式図である。
【図3(A)】図3(A)は、第3の実施の形態におけるバック・ネット編地がフロント・ネット編地のネット目の1/4の大きさである2重ネット編地の幾何学模様で示した模式図である。
【図3(B)】図3(B)は、第3の実施の形態におけるバック・ネット編地をシングルラッシェル編地仕様で示した、挿入糸を含めた組織図である。
【図4】図4は、本2重ネット編地を編成するダブルラッシェル機の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0028】
本編地は、図4の断面模式図に示すようにダブルラッシェル機DRで編成される。
フロント二ードル部FNでフロント・ネット編地Fが、バックニードル部BNでバック・ネット編地Bが編成される。
本ダブルラッシェル機DRは、ガイドG1〜ガイドG10で構成されるガイド群GLを擁し、それぞれに通糸された編成糸Yで2重ネット編地Dが編成される。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1(A)は、本発明の第1の実施の形態を示す模式図である。
本実施の形態の2重ネット編地Dはダブルラッシェル地であり、大きくはフロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bで構成されている。
フロント・ネット編地F、バック・ネット編地Bともに多数のひも状の畝部Wを編成し、これを所要箇所を部分的に連結した連結部Rを形成することでネット目Nが形成されている。
ここで、図1(A)に示すネット目Nは、合成ネット目GNとの比較のため、フロント・ネット編地F、並びにバック・ネット編地Bの一部を省略したものを示した。
【0030】
本実施の形態では、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bは、同一組織でネット目Nの大きさ、形は同じであるが、上下に1/2リピート(図1(B)にPで示す)ずれて編成している。
また、実際には、図1(A)に示すように連結部Rは線状の長さを有していることと畝部Wが剛性を有していることからネット目Nは曲線を描いている。
これを実施の形態2、3(幾何学模様で説明している)との比較のために幾何学模様で示せば図1(B)に示すようにネット目Nは菱形である。
【0031】
そして、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bは、両編地の畝部Wの所要箇所を部分的に互いに前後接結した接結部Sを設けて接結され全体として一枚物の2重ネット編地Dとなっている。
接結部Sは図1(B)に黒丸(●)で示すように、規則的に分散して設けられている。
この接結部Sが設けられることで両編地は組織的に一体化され、しかも接結されていない部分(接結部S以外の部分に相当)、つまり遊離部Xがあることにより互いの動きの自由度が確保される。
つまり、両編地の相対的な自由な動きにより畝部にズレが生じ、これを編地方向に対して垂直面視した場合、そこに第3のネット目と言うべき合成ネット目GNが発現する。
一枚物の2重ネット編地Dにおけるこの合成ネット目GNの発現は、本発明の重要な特徴である。
【0032】
ここで、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bを接結する接結部についていうと、上述した接結部Sは両編地の畝部W同士の接結例で示したが、他にも両編地の連結部R同士、フロント・ネット編地Fの連結部Rとバック・ネット編地Bの畝部W、フロント・ネット編地Fの畝部Wとバック・ネット編地Bの連結部Rがあり、4つの接結組み合わせがあげられる。
【0033】
図1(C)に、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bの変形による合成ネット目Gを説明する模式図を示している。
本図では、理解を容易にするためにフロント・ネット編地Fのネット目Nはそのままに、バック・ネット編地Bのネット目Nのみの変形を示してネット目Nの変形による合成ネット目GNの形成状態を示している。
実際には、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bのいずれのネット目Nも自在に変形して両者の重なりにより自在な合成ネット目GNを発現する。
すなわちフロント・ネット編地Fの畝部Wとバック・ネット編地Bの畝部Wである前後の畝部により、各本来編地にはない新しい合成ネット目GNが形成され新しい機能が付与されるのである。
合成ネット目GNの形、大きさは、変幻自在で小さな合成ネット目GNから、かなり大きな合成ネット目GNも発現できる。
【0034】
そして、互いの自由な動きによるズレ移動は、接結部S間の間隔を大きくすればするほど大きくなり、変化に富んだ合成ネット目GNが得られる。
しかし、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bの取り扱いの観点から一体化に重きを置く場合には、それに対応した間隔で接結部Sが設けられることが望ましい。
【0035】
図1(D)の(a)、(b)に、第1の実施の形態の2重ネット編地Dの組織図の1例をダブルラッシェル編地仕様の組織図で示す。
本例の2重ネット編地におけるフロント・ネット編地F、並びにバック・ネット編地Bは56コースで1リピートである。
図1(D)の(a)において、連結部R1は、畝部W2と畝部W3を互いに絡ませて形成される。
そして、順次、畝部Wが編成されていき、畝部W2は今度は畝部W1と絡んで、連結部R2を形成する。
このように、畝部W2は、絡む畝部Wを右、左、右・・・と交互にかえていくことにより、本フロント・ネット編地Fは、これを幅方向に拡張した際に菱形となるネット目Nを有することとなる。
【0036】
本発明の2重ネット編地Dでは、ネット組織地NCに補強糸としての挿入糸Lを挿入した編地を採用している。
図1(D)の(a)、(b)では、挿入糸Lの組織を記載することによる視覚的な理解の低下を防ぐために、挿入糸Lの組織は示していない。
挿入糸Lについては、シングルラッシェル編地仕様の組織図として図1(E)にその挿入状態を示し、その具体的組織については下記に示す。
【0037】
以下、図1(D)の(a)、(b)に示した第1の実施の形態の2重ネット編地Dの組織例をダブルラッシェル編地仕様により、フロント・ネット編地F、並びにバック・ネット編地Bのネット組織NCを、ガイドG3、G4、G5、G6、G7、G8について示す。
【0038】
(第1の実施の形態の2重ネット編地Dのダブルラッシェル編地仕様組織例)
ガイドG5の組織においては接結部S1を有する。ガイドG4では接結部Sは存在しない。
【0039】
(フロント・ネット編地Fの組織例)
なお、このように表示された編地の仕様組織に基づいて、実際の編地編成が行われる。
(接結部S1を有する組織)
G5(2・4/4・4/4・2/4・4/4/6/6・6/6・4/4・4/4/6/6・6/6・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/(2/4/4・4)/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/)
【0040】
(接結部S1を有しない組織)
G4(2・4/4・4/4・2/4・4/4/6/6・6/6・4/4・4/4/6/6・6/6・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/)
【0041】
G3(4・2/2・2/2・4/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/)
【0042】
(バック・ネット編地Bの組織例)
ガイドG6の組織においては接結部S2を有する。ガイドG7では接結部Sは存在しない。
【0043】
(接結部S2を有する組織)
G6(4・4/4・2/2・2/2・4/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/(4・2/2・2)/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/4・4/4・6/6・6/6・4/4・4/4・6/6・6/6・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4)
【0044】
(接結部S2を有しない組織)
G7(4・4/4・2/2・2/2・4/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/4・4/4・6/6・6/6・4/4・4/4・6/6・6/6・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4)
【0045】
G8(2・2/2・4/4・4/4・2/4・4/4・6/6・6/6・4/4・4/4・6/6・6/6・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・0/0・0/0・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2/2・2/2・4/4・4/4・2)
【0046】
(第1の実施の形態の2重ネット編地Dにおけるフロント・ネット編地Fのシングルラッシェル編地仕様の組織例)
シングルラッシェル編地仕様の組織では、接結部Sについては記載しないので、ガイドG5については記載しない。
G4(4・2/2・4/2・0/0・2/2・0/0・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・2/4・6/6・4/4・6/6・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・4)
【0047】
G3(2・4/4・2/4・6/6・4/4・6/6・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・4/2・0/0・2/2・0/0・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・2)
【0048】
G2(4・4/0・0/4・4/0・0/4・4/0・0/4・4/2・2/4・4/2・2/4・4/2・2/4・4/2・2/4・4/2・2/6・6/2・2/6・6/2・2/6・6/2・2/4・4/2・2/4・4/2・2/4・4/2・2)
【0049】
G1(2・2/6・6/2・2/6・6/2・2/6・6/2・2/4・4/2・2/4・4/2・2/4・4/2・2/4・4/2・2/4・4/0・0/4・4/0・0/4・4/0・0/4・4/2・2/4・4/2・2/4・4/2・2/4・4)
【0050】
上記の組織でガイドG4、G3、G2、G1を用いてフロント・ネット編地Fを形成するが、同様の手法で、ガイドG7、G8、G9、G10を用いてバック・ネット編地Bを形成する。そして、両編地を、上記した接結組み合わせに従い、接結部Sを形成して一体化する。
本第1の実施の形態においては、1/2リピートの上下ズレで接結しているので、両編地の畝部W同士の接結となり、図1(A)、(B)に示す2重ネット編地Dが得られることとなる。
【0051】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。
本実施の形態の2重ネット編地Dは、上述した第1の実施の形態がフロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bの組織が上下に1/2リピートずれているのに対して、ネット目Nの大きさも相対位置も同じである。
図2では、視覚的に理解を容易にするために、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bを少々、ずらして示してあるが、垂直面視した場合、実際には、重なっていてバック・ネット編地Bは見えない状態である。
また、図2ではネット目Nは菱形となっているが、実際には、第1の実施の形態の図1(A)に示すように連結部Rは線状の長さを有していることと畝部Wが剛性を有していることから曲線を描いている。
【0052】
フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bが接結部Sで接結されていること、その接結部Sが適宜、分散して設けられていること、両編地の互いの動きに自由度があること、ズレにより合成ネット目GNが発現すること等の本発明の重要な特徴については、第1の実施の形態と同様である。
【0053】
編地の組織については、図1(D)に示した上記第1の実施の形態のものと比較して、フロント・ネット編地Fの組織とバック・ネット編地Bの組織が1/2ズレ戻されている組織となる。
接結部Sについては両編地の連結部R同士を接結することで第2の実施の形態のネット編地が得られる。
【0054】
(第3の実施の形態)
図3(A)は、本発明の第3の実施の形態を示す図である。
この実施の形態の2重ネット編地Dは、第1の実施の形態や第2の実施の形態におけるフロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bのネット目Nの大きさ、形が同一であったのに対して、フロント・ネット編地Fのネット目Nとバック・ネット編地Bのネット目Nの組織が異なり、ネット目Nの大きさが異なる相違点を有する。
図3(A)に示すように、フロント・ネット編地のネット目Nに比較して、バック・ネット編地のネット目Nは1/4の大きさとなっている。
【0055】
フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bが接結部Sで接結されていること、その接結部Sが適宜、分散して設けられていること、両編地の互いの動きに自由度があること、ズレにより合成ネット目GNが発現すること等の本発明の重要な特徴については、第1の実施の形態、第2の実施の形態と同様である。
【0056】
編地の組織については、フロント・ネット編地Fは上記した第1の実施の形態のネット編地の組織に比較して接結部Sの組織以外は同一であり、バック・ネット編地Bについては、図3(B)にシングルラッシェル編地仕様の組織図で示すように、フロント・ネット編地Fの1/4の大きさであり、以下のガイドナンバーG7、G8、G9、G10ごとに示した通りである。
シングルラッシェル編地仕様の組織では、接結部Sについては記載しないので、ガイドG6については記載しない。
【0057】
G7(4・2/2・4/4・2/2・0/0・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・6/6・4/4・2/2・4)
【0058】
G8(2・4/4・2/2・4/4・6/6・4/4・2/2・4/4・2/2・4/4・2/2・0/0・2/2・4/4・2)
【0059】
G9(4・4/2・2/6・6/2・2/6・6/2・2/4・4/2・2/4・4/0・0/4・4/0・0/4・4/2・2)
【0060】
G10(2・2/4・4/0・0/4・4/0・0/4・4/2・2/4・4/2・2/6・6/2・2/6・6/2・2/4・4)
【0061】
上記の組織でガイドG7、G8、G9、G10を用いてバック・ネット編地Bを形成する。
これとフロント・ネット編地Fを、両編地の選択された連結部R同士で接結して一体化する。
接結部Sの形成箇所は、図3(A)に示すように、フロント・ネット編地Fの連結部Rの一つ飛びの箇所とし、遊離部Xを形成して、ズレの自由度を持たせている。
【0062】
以上、本発明をその実施の形態を例に説明したが、本発明は要旨の変更のない限り、実施の形態のみに限定されるものではなく多様な変形例が可能である。
例えば、フロント・ネット編地Fやバック・ネット編地Bのネット目形状を菱形のような規則的なものからランダムなネット目形状にして更に合成ネット目GNの変化を得ることが可能となる。
また、フロント・ネット編地Fとバック・ネット編地Bの接結についても接結部Sを不規則に散在させることで両編地のズレの自由度に多様な変化を付与することが可能となる。
更には、フロント・ネット編地F、バック・ネット編地Bの組織に関し、必要に応じて補強のための挿入糸を使用することや畝部Wを幅広の形状にすることなども当然可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の2重ネット編地は、フロント・ネット編地の畝部とバック・ネット編地の畝部である前後の畝部、畝部により従来編地にはない新しい合成ネット目が形成されるという特徴があり、この特徴を適用する限り、土木資材等の産業用に限らず、ゴミ収納袋のような生活用品や包帯等の医療用品用としても広く利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
D…2重ネット編地
F…フロント・ネット編地
B…バック・ネット編地
W…畝部
W1…畝部
W2…畝部
W3…畝部
W4…畝部
N…ネット目
NC…ネット組織地
L…挿入糸
GN…合成ネット目
R…連結部
R1…連結部
R2…連結部
R3…連結部
R4…連結部
S…接結部
S1…フロント・ネット編地Fの接結部
S2…バック・ネット編地Bの接結部
X…遊離部
DR…ダブルラッシェル機
FN…フロントニードル部
BN…バックニードル部
G1〜G10… ガイド
GL…ガイド群
Y…編成糸



【特許請求の範囲】
【請求項1】

フロント・ネット編地とバック・ネット編地とで形成されるダブルラッシェル編地であって、前記それぞれの編地が、前記それぞれの編地を構成する畝部を部分的に連結した連結部を形成することで得られるネット目を有すると共に、フロント・ネット編地とバック・ネット編地の畝部が部分的に前後互いに接結される接結部を形成していて、これにより前記両編地が一体化されてなり、しかも部分的に遊離部を有していることを特徴とする2重ネット編地。
【請求項2】
フロント・ネット編地とバック・ネット編地のネット目が同一であることを特徴とする請求項1記載の2重ネット編地。
【請求項3】
フロント・ネット編地とバック・ネット編地が同一ネット目であり、しかも両編地のネット目が1/2リピートずれている状態で互いに部分的に接結されていることを特徴とする請求項2記載の2重ネット編地。
【請求項4】
フロント・ネット編地とバック・ネット編地のネット目が異なることを特徴とする請求項1記載の2重ネット編地。
【請求項5】
フロント・ネット編地とバック・ネット編地を形成する編成糸の素材、並びに物性値が異なることを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれか1つに記載の2重ネット編地。
【請求項6】
フロント・ネット編地とバック・ネット編地を形成する編成糸が互いに識別可能に異色であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5のいずれか1つに記載の2重ネット編地。
【請求項7】
ダブルラッシェル機のフロント・ニードル部とバック・ニードル部で、それぞれひも状の畝部を多数編成すると同時に同一ニードル部内において互いに隣接する畝部同士の所要箇所を連結して連結部を形成することによりネット目を有するフロント・ネット編地、並びにバック・ネット編地を得て、同時に両該編地の畝部同士、又は連結部同士、又は畝部と連結部同士の所要箇所を互いに前後接結した接結部を設けることで両編地を一体化し、前記接結部の接結箇所、接結数を分散定めることにより互いのズレ自由度を変えて、フロント・ネット編地の変化したネット目とバック・ネット編地の変化したネット目の重なりにより多様な合成ネット目を発現させることを特徴とする2重ネット編地の製造方法。




【図1(A)】
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【図1(B)】
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【図1(C)】
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【図1(D)】
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【図1(E)】
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【図2】
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【図3(A)】
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【図3(B)】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−106061(P2011−106061A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262756(P2009−262756)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000201490)前田工繊株式会社 (118)
【Fターム(参考)】